(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6224879
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】搾乳装置用グリップ装置
(51)【国際特許分類】
A01J 7/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
A01J7/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-167090(P2012-167090)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2013-39126(P2013-39126A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001414
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512197652
【氏名又は名称】ミルクリネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MILKLINE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100077861
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 勝三
(72)【発明者】
【氏名】セラフィーニ マッシモ
【審査官】
川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−054830(JP,A)
【文献】
米国特許第04907535(US,A)
【文献】
特表平10−501127(JP,A)
【文献】
米国特許第06014945(US,A)
【文献】
実公昭57−010584(JP,Y1)
【文献】
欧州特許出願公開第01882410(EP,A1)
【文献】
米国特許第08662013(US,B1)
【文献】
米国特許第01686115(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0144016(US,A1)
【文献】
米国特許第00730119(US,A)
【文献】
米国特許第04655492(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第10247860(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J 5/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニホルド(14又は62)と、パルスチューブ(16又は64)と、シェルと、動物の乳房に接続しようとするティートカップとを備えている搾乳装置(12又は12’)のためのグリップ装置(10又は10’)において、前記グリップ装置が、前記マニホルド(14又は62)に接続した前記パルスチューブ(16又は64)の終り部分に取り付けられ、プラスチック材料で作られた2つの半シェル(20,22又は60)を包含し、これらの各半シェルが1つ又はそれ以上のピースであることを特徴とするグリップ装置。
【請求項2】
請求項1記載のグリップ装置(10又は10’)において、前記2つの半シェル(20,22又は60)が、前記マニホルド(14又は62)及び前記パルスチューブ(16又は64)を部分的に取り囲み、前記パルスチューブ(16又は64)が個人の手の平均寸法に等しい長さだけ取り囲まれていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のグリップ装置(10)において、前記2つの半シェル(20,22)の内部に配置されるコネクタ(28)を更に包含し、前記コネクタ(28)が単一のピースに作られ又は相互に接続されるのが適当である多数の要素により構成され、また、前記コネクタ(28)が、その一端で、制御装置に接続したかつ前記パルスチューブ(16)内に部分的に挿入したセンサの信号ケーブル(30)の第1の部分に接続されていると共に、その他端で、前記センサの他の信号ケーブル(32)の第2の部分に接続されていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のグリップ装置(10)において、前記2つの半シェル(20,22)の各々はその内部が上方部分又はチャンバ(24)と下方部分又はチャンバ(26)とに小分けされ、これらの上方及び下方部分又はチャンバ(24,26)が前記パルスチューブ(16)の、前記マニホルド(14)に関してのフック個所から開始する部分及び前記コネクタ(28)を受け入れるのに適当であり、前記上方部分又はチャンバ(24)が前記パルスチューブ(16)の自然の曲げに追従するように定形の長手方向延長部、部分的な直線パターン部及び部分的な曲線部を有し、前記上方部分又はチャンバ(24)には横方向に配列されている多数のリブ(25)が設けられ、これらのリブ(25)が前記パルスチューブの側面形状に対応するような形状とされていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のグリップ装置(10’)において、前記2つの半シェル(60)の各々が前記パルスチューブ(64)の、前記マニホルド(62)に関してのフック個所から開始する部分を受け入れるのに適当である内部部分又はチャンバ(66)を有し、前記内部部分又はチャンバ(66)が前記パルスチューブ(64)の自然の曲げに追従するように定形の長手方向延長部、部分的な直線パターン部及び部分的な曲線部を有することを特徴とするグリップ装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のグリップ装置(10又は10’)において、前記2つの半シェル(20,22)の各々又は前記2つの半シェル(60)の各々が、それぞれ、前記上方部分又はチャンバ(24)の上方部に又は前記内部部分又はチャンバ(66)の上方部に、垂直に延びている拡大部又は付加部(33又は68)を有し、この拡大部又は付加部(33又は68)の両端から2つの両側の対称の延長部(35又は70,70’)が水平に延び、これらの延長部(35又は70,70’)の下方前部と前記半シェルの上方前部との間に形成されている、前記延長部の下方部には2つのくぼみ(37又は72)が形成され、これらのくぼみ(37又は72)は、前記2つの半シェル(20,22)又は前記2つの半シェル(60)が互いに結合されたときに、任意の支持体にフックすることができるようにするのに適当であることを特徴とするグリップ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のグリップ装置(10)において、一方の前記半シェル(20)の外部形状に沿ってくぼみ又は空洞(38)が形成され、このくぼみ又は空洞が他方の前記半シェル(22)の外部形状に沿って形成されている、対応する突出部又はリップ(40)を受け入れるのに適当であり、また、絶縁シリコンのガスケット又はフィルムが塵埃、液体又は同種物の侵入を防止する目的で前記くぼみ又は空洞(38)と前記突出部又はリップ(40)との間に介挿されていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項8】
請求項6に記載のグリップ装置(10又は10’)において、前記マニホルド(14又は62)に向かって面している、前記2つの半シェル(20,22)の各々又は前記2つの半シェル(60)の各々の端にタブ(42又は74)を包含し、これらの各タブ(42又は74)が、前記2つの半シェルの各々の上方前部から開始して横方向へ、前記半シェルの幅又は横寸法に等しい長さでもって延びており、前記2つの半シェルの前記タブ(42又は74)は、前記2つの半シェルが互いに連結されたときに、前記マニホルド(14又は62)の上方部分(14”又は62”)に取り付けられているスプリットピン(43又は63)の上方前部から垂直に延びているタブ(44又は76)を取り囲むのに適当であり、これによりグリップ装置からのマニホルドの解放を防止する手段を構成することを特徴とするグリップ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のグリップ装置(10又は10’)において、前記2つの半シェル(20,22)の各々の上方前部又は前記2つの半シェル(60)の各々の上方前部に、前記搾乳装置をフックするための少なくともひとつのリング(46又は78)が形成されていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項10】
請求項4に記載のグリップ装置(10)において、プラスチック材料で作られているグロメット要素(34)を包含し、このグロメット要素(34)は、前記マニホルド(14)に向かって面している前記下方部分又はチャンバ(26)の端に形成されているポケット(36)内に配置され、前記センサの前記信号ケーブル(30)の第1の部分が通過することができるようにすると共に、塵埃、外部物質及び同種物質が前記下方部分又はチャンバ(26)内に入るのを防止するのに適当であることを特徴とするグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の種類の家畜、例えば牛、羊及びヤギから機械化して集乳するために用いられている搾乳装置のためのグリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械化した搾乳は、伝統的な人間の手による搾乳と比較してかなりの利点を有する。すなわち、このような機械化した搾乳は、集乳方法を改善せしめ、作業者が単一の搾乳装置でもって処理ができる家畜の一定時間における搾乳量を増大せしめることができ、また動物へのストレスを減少せしめ、これにより、乳の品質を改善せしめると共に、地域の衛生及び健康制限を守る。
【0003】
自動化した/機械化した搾乳装置は、動物の乳房に接続しようとするティートカップを取り付けている2つ又は4つのシェルと、乳を集合するマニホルドと、このマニホルド内に存在する乳を容器に運ぶチューブと、空気を吸い出して、シェルのティートカップが接続されている動物の乳房からの乳の搾り出しをできるようにするために必要とされる負圧又は真空を作り出すのに適当であるポンプ(連続してではなくて、断続的に駆動される)に接続されている、パルスチューブと称されている他のチューブとを包含する。
【0004】
動物へのストレスを可能の限り小さくし、これにより乳の良好な品質を保証するために機械化した/自動化した搾乳方法を更に改善又は最善にするために、単一のクォーター乳房型の搾乳装置を用いることにより、その適用の解決が図られている。このような型式の搾乳装置においては、パルス真空作動が単一のシェルに加えられる。このような型式の搾乳装置には、また、各単一の乳房クォーターから来る信号(例えば、乳の導電性に関連する信号で、これは乳房内炎症又は乳腺炎を防止するために重要である)を制御装置に送るセンサが設けられている。このセンサは、搾乳した動物の健康に加えて、各単一の乳房クォーターの機能を制御するために必要とされる。このような技術によれば、各シェルが他のシェルから独立し、負圧又は真空の適用のための専用ライン又はダクトを有する。
【0005】
更に、このような型式の搾乳装置において、パルスチューブは、シェルへの真空をもたらすチャンネルと、センサにより検出した信号を制御装置に送るケーブルとを包含することができる。前記ケーブルは、前記パルスチューブの外側に位置させることもできるし、又は前記パルスチューブの内部を進ませることもできる。前記パルスチューブは、一般に、押し出しラバーから作られている。
【0006】
パルスチューブは、伝統的な機械化した搾乳のために用いられる型式であろうと、又は単一の乳房クォーター搾乳のために用いられる型式であろうと、剛直であり、また寸法に関していくぶん扱いにくく、搾乳作業者は、シェルを動物の乳房に位置させ又は接続するために、このようなパルスチューブをその手でもって握るものである。
【0007】
しかしながら、このような方法は、作業者がパルスチューブを所定の個所又は区域において握ることができず、その結果、このような握りは握り状態が悪くて、不安定であり、ことによると、搾乳装置の不都合な落下及びその損傷を引き起すという欠点を有する。
【0008】
同じ欠点は、作業者がパルスチューブによって搾乳装置を握るのではなくて、マニホルドを握る場合においても生じる。
【0009】
他の欠点として、次のようなことがある。すなわち、取り付け段階中における搾乳装置の偶然の落下を防止するために、作業者は、最適な作業状態を損なって動物へ苦痛を与える不自然でぎこちない姿勢をとることである。
【0010】
更に他の欠点として、次のようなことがある。すなわち、搾乳装置のセンサを交換する場合において、作業者が困難に直面することである。実際に、センサ及び制御装置を接続するケーブルは通常約2メートルと長く、どんな場合でも、センサと制御装置との間の距離に等しい。例えば、パルスチューブの内部を通る接続ケーブルを備えているセンサを交換する場合において、前記接続ケーブルを搾乳装置の交換センサの組み立て中にパルスチューブの全体長さにわたって引き出す必要がある。このような作業は、接続ケーブルとパルスチューブとの間の摩擦のために困難であるに加えて、また、かなりの時間がかかり、したがってコストの増加を生じせしめる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、作業者が正確、堅固及び安全なグリップでもって搾乳装置をグリップすることができるグリップ装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、搾乳装置を容易にかつ正確な方法で取り付けるようにして、作業者が不自然な姿勢をとることがないようにすることにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、搾乳装置の構成部品又は搾乳装置それ自体のメンテナンス及び/又は交換を迅速にかつ容易に行うことができるようにすることにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、高いレベルの耐性及び作業時間の確実性を保証し、更には、容易にかつ人間工学的に作るのに適当である搾乳装置用グリップ装置を提供することにある。
【0015】
以上述べた目的は、マニホルドと、パルスチューブと、シェルと、動物の乳房に接続しようとするティートカップとを備えている搾乳装置のためのグリップ装置において、前記グリップ装置が、前記マニホルドに接続した前記パルスチューブの終り部分に取り付けられ
、プラスチック材料で作られた2つの半シェルを包含し、これらの各半シェルが1つ又はそれ以上のピースであることを特徴とするグリップ装置により達成される。
【0016】
本発明の搾乳装置用グリップ装置の構造及び作用の特徴は、好適及び非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して述べられている下記の詳細な説明から一層よく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のグリップ装置を取り付けている搾乳装置の側面を概略的に示す図である。
【
図2】本発明のグリップ装置の断面を概略的に示す図である。
【
図3】本発明のグリップ装置の一部分を詳細に示す図である。
【
図4】本発明のグリップ装置の1つの構成部品を軸測投像法で概略的に示す図である。
【
図5】本発明のグリップ装置の他の構成部品を軸測投像法で概略的に示す図である。
【
図6】本発明のグリップ装置を分解して軸測投像法で概略的に示す図である。
【
図7】代替的な実施形態の構成による本発明のグリップ装置の断面を概略的に示す図であって、このグリップ装置は、2チャンネル型のパルスチューブを備えていて、単一の乳房クォーターを制御する信号ケーブルを備えていない搾乳装置に利用できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した図面を参照するに、参照符号10により総括的に示されている搾乳装置用グリップ装置は、単一の乳房クォーター型の、非限定的な例である伝統的で公知の搾乳装置12に取り付けられている。この型式の搾乳装置12はマニホルド14を包含し、このマニホルド14にはその下方部分14’の底部に位置している出力チューブ15が取り付けられている。この出力チューブ15は、マニホルド14内を通過する吸引乳の収集のためのダクトの接続のために必要とされる。この型式の搾乳装置12は、また、出力チューブ15側の端とは反対側の端においてマニホルド14の上方部分14”から外向きに延びている2つ又は4つのダクト13を包含する。これらのダクト13には、ティートカップが取り付けられている2つ又は4つのボス(図面には示されていない)が接続される。この型式の搾乳装置12は、更に、マニホルド14に接続されているパルスチューブ16を包含する。
【0019】
グリップ装置10は、好適には、しかし限定されるものではないが、2つの半シェル20及び22を包含する。これらの半シェル20及び22は、プラスチック又はその目的のために適当である他の材料で作られている。各半シェルは、単一の本体若しくは2つ又はそれ以上の要素により形成される。これらの要素は、互いに連結され、マニホルド14及びパルスチューブ16を部分的に取り囲む。パルスチューブ16は、人間工学の原則により要求される個人の手の平均寸法に等しい長さだけ取り囲まれる。
【0020】
代替的な実施形態において、グリップ装置は、パルスチューブの一部分を、個人の手の平均寸法に等しい距離だけ、連続する方法ではなくて、グリップ装置の長さのひとつ又はそれ以上の部分に沿って、取り囲む。
【0021】
溝形状が、2つの半シェル20及び22間の連結面に形成されている。これらの溝形状は、塵埃及び/又は液体の蓄積、流れ及び排出のためのラビリンス通路を形成する機能を有する。これらの塵埃及び/又は液体は、それら自身、搾乳装置に見ることができる(図面には示されていない)。
【0022】
半シェル20,22の各々は、それぞれ、その内部が実質的に上方部分又はチャンバ24と下方部分又はチャンバ26とに小分けされている。これらの上方及び下方部分又はチャンバ24,26は、パルスチューブ16の、マニホルド14へのフック個所から開始する部分及びコネクタ28を受け入れるのに適当である。コネクタ28は、単一の要素又は互いに連結される幾つかの要素によって作られ、その機能は後で詳細に述べられる。
【0023】
上方部分又はチャンバ24は、パルスチューブ16の自然の曲げに追従するように、定形の長手方向延長部、部分的な直線パターン部及び部分的な曲線部を有する。
【0024】
この上方部分又はチャンバ24は、横方向に配列されている多数のリブ25を有する。これらのリブ25は、パルスチューブ16を取り囲みまた同時にパルスチューブ16を上方チャンバの内部で安定させるために、パルスチューブ16の側面形状に対応するような形状とされている。
【0025】
下方部分又はチャンバ26の内部に位置しているコネクタ28は、センサ(マニホルド14の内部のセンサ)の信号ケーブル30の第1の部分と前記センサの信号ケーブル32の第2の部分との接続を可能にする機能を有し、信号ケーブル30の第1の部分がマニホルド14に接続され、また信号ケーブル32の第2の部分が前記コネクタを出て来る。この信号ケーブル32の第2の部分は、好適には、しかし限定されるものではないが、パルスチューブ16に入り、制御装置(図面には示されていない)への、その接続個所にまでパルスチューブ16に沿って延びる。
【0026】
信号ケーブル30の第1の部分は、グロメット要素34を通過する。このグロメット要素34は、プラスチック材料で作られ、ポケット36内に収容される。このポケット36は、マニホルド14に向かって面している半シェル20,22の各々の下方部分又はチャンバ26の端に形成されている。前記グロメット要素34は、塵埃、外部物質及び同種物質が下方部分又はチャンバ26内に入るのを防止する機能を有する。
【0027】
半シェル20,22の各々は、上方部分又はチャンバ24の方向へ面している上方部に、垂直に延びている拡大部又は付加部33を有する。この拡大部又は付加部33の両端から2つの両側の対称の延長部35が水平に延びている。これらの延長部35の下方前部と半シェルの上方前部との間に形成されている、延長部35の下方部には2つのくぼみ
37が形成されている。これらのくぼみ37は、2つの半シェル20,22が互いに結合されたときに、任意の支持体(図面には示されていない)にフックすることができるようにするのに適当である。
【0028】
くぼみ又は空洞38が、半シェル20の外部形状に沿って形成されている。このくぼみ又は空洞38は、半シェル22の外部形状に沿って形成されている、対応する突出物又はリップ40を受け入れるのに適当である。任意のガスケット(図面には示されていない)、又はシリコンのフィルム、あるいは公知の等価の絶縁物質が前記くぼみ38と前記リップ40との間に挿入される。これらのガスケット等は、塵埃、液体又は同種物が侵入するのを防止するのに適当である。
【0029】
マニホルド14に向かって面している、2つの半シェル20,22の各々の端はタブ42を有する。これらの各タブ42は、半シェルの上方前部から開始して横方向へ、マニホルド14の方向における半シェルの幅又は横寸法に根本的には等しい長さでもって延びている。
【0030】
2つの半シェル20と22とがパルスチューブ16及びマニホルド14のまわりで連結されると、それらのタブ42が、マニホルド14の上方部分14”に取り付けられているスプリットピン43の上方前部から開始して垂直に延びているタブ44を取り囲み、これにより、グリップ装置からのマニホルドの解放を防止する手段を構成する。
【0031】
更に、少なくともひとつのリング46が2つの半シェル20,22の各々の上方前部に形成されている。これらの各リング46は、搾乳装置をその自動解放フック手段(図面には示されていない)にフックするために形成されている。図面に示されている好適な実施形態においては、各シェルには2つのリング46が形成されている。
【0032】
特に図面に示されている好適な実施形態を参照するに、2つの半シェル20及び22はねじ48及びナット50の手段又は公知の等価の固定手段により互いに接続される。代替な実施形態において、2つの半シェルの接続はスナップ係合型又は同種型の迅速取付け/取外し手段により行うことができる。
【0033】
特に
図7を参照するに、本発明によるグリップ装置の代替的な実施形態が示されている。このグリップ装置は、特に、2チャンネル型パルスチューブを備えていて、単一の乳房クォーターの制御のための信号ケーブルを備えていない搾乳装置へ適用できるようにされている。
【0034】
図7に参照符号10’により総括的に示されているグリップ装置は、2つの半シェル60を包含する(
図7において、2つの半シェルの一方のみが示されており、他方の半シェルは一方の半シェルと全体的に類似でかつ対称である特徴を有する)。これらの半シェル60は、プラスチック又はその目的のために適当である他の材料で作られている。各半シェルは、単一の本体若しくは2つ又はそれ以上の要素により形成される。これらの要素は、互いに連結され、搾乳装置12’のマニホルド62(好適には、下方部分62’及び上方部分62”を包含する)及びパルスチューブ64を部分的に取り囲む。パルスチューブ64は、人間工学の原則により要求される個人の手の平均寸法に等しい長さだけ取り囲まれる。この場合において、また、本発明によるグリップ装置は、パルスチューブを、グリップ装置の長さのひとつ又はそれ以上の部分に沿って連続する方法又は不連続の方法で限定した部分に沿って取り囲むことができる。
【0035】
溝形状が、2つの半シェル間の連結面に形成されている。上述した好適な実施形態と同じように、これらの溝形状は塵埃及び/又は液体の蓄積、流れ及び排出のためのラビリンス通路を形成する機能を有する。これらの塵埃及び/又は液体は、それら自身、搾乳装置に見ることができる(図面には示されていない)。
【0036】
2つの半シェル60の各々は、パルスチューブ64の、マニホルド62への取り付け個所から開始する部分を受け入れるのに適当である内方部分又はチャンバ66を包含する。これらの各内方部分又はチャンバ66は、パルスチューブ64の自然の曲げに追従するように、定形の長手方向延長部、部分的な直線パターン部及び部分的な曲線部を有する。
【0037】
2つの半シェル60の各々は、上方部に、垂直に延びている拡大部又は付加部68を有する。この拡大部又は付加部68の両端から2つの両側の対称の延長部70及び70’が水平に延びている。これらの延長部70,70’の下方前部と半シェルの上方前部との間に形成されている、延長部70,70’の下方部には2つのくぼみ72が形成されている。これらのくぼみ72は、2つの半シェル60が互いに結合されたときに、任意の支持体(図面には示されていない)にフックすることができるようにするのに適当である。
【0038】
上述した好適な実施形態において説明したように、代替的な実施形態の2つの半シェルは、その外部形状に沿ってくぼみ又は空洞及び対応する突出部を有することができ、これにより、2つの半シェルを迅速かつ容易に一緒に組み立てること及び安定させることができる。この場合、任意的に、液体、塵埃及び同種の汚染物の侵入に対して絶縁又は密封するためにガスケットを介挿することができる。
【0039】
マニホルド62に向かって面している、2つの半シェル60の各々の端はタブ74を有する。これらの各タブ74は、半シェルの上方前部から開始して横方向へ、マニホルド62の方向における半シェルの幅又は横寸法に根本的に等しい長さでもって延びている。
【0040】
2つの半シェル60が一緒にパルスチューブ64及びマニホルド62のまわりで連結されると、それらのタブ74が、マニホルド62の上方部分62”に取り付けられているスプリットピン
63の上方前部から開始して垂直に延びているタブ76を取り囲み、これにより、グリップ装置からのマニホルドの解放を防止する手段を構成する。
【0041】
更に、少なくともひとつのリング78が2つの半シェル60の各々の上方前部に形成されている。これらの各リング78は、搾乳装置をその自動解放フック手段(図面には示されていない)にフックするために形成されている。
【0042】
2つの半シェル60は、ねじ及びナットの手段、又は公知の等価の固定手段により、あるいはスナップ係合型又は同種の型の迅速取り付け/取り外し手段により互いに接続される。
【0043】
代替的な実施形態において、グリップ装置は単一のピースに作られる。
【0044】
上述した説明からわかるように、本発明によるグリップ装置により得られる利点は明らかである。
【0045】
本発明による搾乳装置用グリップ装置は、有益的には、グリップ装置の人間工学性のおかけで容易にかつしっかりとグリップすることができることを利用して、作業者が搾乳装置を動物の乳房に関して迅速にかつ都合よく位置させてグリップすることができることを提供する。
【0046】
他の利点は、作業者がぎこちなくて不自然な姿勢をとることなしに、グリップ装置の存在が搾乳装置を位置させることができることである。
【0047】
更に他の利点は、本発明によるグリップ装置がメンテナンス作業及び部品交換をマニホルドの存在のおかげで容易にかつ迅速にすることができることである。
【0048】
更に他の利点は、本発明によるグリップ装置をパルスチューブのまわりに位置させることにより、搾乳装置からのスペースを減じることがなく、搾乳装置が取り付けられる動物の乳房に関しての搾乳装置の位置を変えることができることである。
【0049】
更に他の利点は、本発明によるグリップ装置は単一の乳房クォーター型の搾乳装置及び伝統的な機械化した搾乳装置の両方に適用することができることである。
以上本発明を単に非限定的な例として与えられているその実施形態のふたつを特に参照して詳述してきたけれども、種々の変形を行うことができることは上述の記載に照らして当業者には明らかであろう。したがって、本発明は特許請求の範囲に記載されている範囲内にあるすべての変形及び変更を含むものである。