特許第6225022号(P6225022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225022
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20171023BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B29C45/17
   B22D17/20 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-271593(P2013-271593)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-123725(P2015-123725A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】中家 浩之
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 洋介
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 実開平11−000063(JP,U)
【文献】 特開2013−154533(JP,A)
【文献】 特開2006−025594(JP,A)
【文献】 特開平09−164571(JP,A)
【文献】 特開2003−340869(JP,A)
【文献】 特開平11−138599(JP,A)
【文献】 特開2008−200953(JP,A)
【文献】 特開2001−295909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 47/00−47/96
B22D 15/00−17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用モータ本体と該駆動用モータ本体に回転自在に支持された回転軸部とを備えた駆動用モータと、前記回転軸部と共に回転されるプーリと、を備えた成形機であって、
前記駆動用モータ本体の外側に装着される着脱自在なハウジングと、該ハウジングに設けられ、前記回転軸部を支持する軸受と、を備えており、
前記軸受は、外側から内側の順に、外輪、転動体、内輪が構成されており、
該内輪の内側には、該内輪に一体に筒状の軸受用スリーブが設けられており、該軸受用スリーブに対し、第1のプーリを第1の固定手段により固定しており、
前記第1の固定手段により前記軸受用スリーブに固定された前記第1のプーリを、前記ハウジング内に配設したことを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記軸受用スリーブの外側に前記回転軸部の先端側を突設し、該回転軸部の先端側に、
第2のプーリを第2の固定手段により固定したことを特徴とする請求項に記載の成形機。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記第1のプーリに掛け回された駆動伝達ベルトが内外に出入り可能な開口部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形機。
【請求項4】
前記ハウジング内の熱を放熱する通気孔を、前記ハウジングに形成したことを特徴とする請求項に記載の成形機。
【請求項5】
前記駆動用モータ本体に対して前記ハウジングを装着する位置の調整を行うことが可能な位置調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源としてモータを備えた射出成形機やダイカストマシン等の成形機に関し、特に、金型のキャビティに溶融材料を充填する駆動源にモータを用いた成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられている一般的な射出成形機は、大別すると概ね、型締ユニットと及び射出ユニットから構成されており、型締ユニットにおいては、固定金型及び可動金型を備え、固定金型に対して可動金型をトグル機構若しくは直圧方式などの型締めを可能とする可動手段により進退させ、型開閉が行われる。
【0003】
また、射出ユニットにおいては、駆動源たるモータの回転力によりプーリやベルトなどを介して駆動力を伝達させ、回転運動を直線運動に変換するボールネジ機構等を介し、加熱シリンダ内に設けられたスクリュを作動させ、射出ノズル先端より型閉された金型のキャビティへ溶融樹脂の射出が行われるようになっている。
【0004】
上述した従来技術に関連するものとして、特許文献1には、モータの回転軸部に設けたプーリに対し、複数のベルトを掛け回すことで、ベルトの回転の同期をとりながら駆動する射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−299330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で開示されているような従来の射出成形機においては、モータ本体に対し片持ち状に設けられた回転軸部に対して、複数のベルトが掛け回されているため、回転軸部に対する荷重負荷が増大してしまう。そのため、回転軸部が湾曲するなどして変形することがあった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、駆動用モータの回転軸部に対し比較的大きな荷重負荷が与えられても、当該回転軸部が変形してしまうことを抑制することができる成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本成形機に係る発明は、
駆動用モータ本体と該駆動用モータ本体に回転自在に支持された回転軸部とを備えた駆動用モータと、前記回転軸部と共に回転されるプーリと、を備えた成形機であって、
前記駆動用モータ本体の外側に装着される着脱自在なハウジングと、該ハウジングに設けられ、前記回転軸部を支持する軸受と、を備えたものであり、
前記軸受は、外側から内側の順に、外輪、転動体、内輪が構成されており、
該内輪の内側には、該内輪に一体に筒状の軸受用スリーブが設けられており、該軸受用スリーブに対し、第1のプーリを第1の固定手段により固定しており、
さらに、前記第1の固定手段により前記軸受用スリーブに固定された前記第1のプーリを、前記ハウジング内に配設したことを特徴とする
【0011】
本成形機に係る発明は、
前記軸受用スリーブの外側に前記回転軸部の先端側を突設し、該回転軸部の先端側に、第2のプーリを第2の固定手段により固定したことを特徴とする。
【0012】
本成形機に係る発明は、
前記ハウジングには、前記第1のプーリに掛け回された駆動伝達ベルトが内外に出入り可能な開口部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本成形機に係る発明は、
前記ハウジング内の熱を放熱する通気孔を、前記ハウジングに形成したことを特徴とする。
【0014】
本成形機に係る発明は、
前記駆動用モータ本体に対して前記ハウジングを装着する位置の調整を行うことが可能な位置調整手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本成形機の発明によれば、駆動用モータの回転軸部が、ハウジングに設けられた軸受により支持されていることから、回転軸部に対し比較的大きな荷重負荷が与えられても、回転軸部が湾曲等により変形してしまうことを抑制することができる。よって、駆動用モータの故障を防止することができ、ひいては当該駆動用モータの寿命を延ばすことができる。
【0016】
しかも、回転軸部は、荷重負荷が与えられたとき、軸受により芯ずれすることがないよう抑制されることから、回転軸部と共に駆動伝達ベルト等の掛け回されたプーリが回転されるとき、駆動伝達ベルトがぶれるなどして、該駆動伝達ベルトの張力バランスが崩れてしまうことを防止できる。よって、ひいては張力バランスの崩れに伴う駆動伝達ベルトの破断を防止することができる。
【0017】
さらに、ハウジングには、通気孔が形成されていることから、成形機の稼動に伴い、駆動用モータの回転軸部が駆動されるとき、ハウジング内が高温化することを防止することができる。よって、ハウジング内に有する、回転軸部と共に回転される第1のプーリや該第1のプーリに掛け回された駆動伝達ベルト等が、高熱化して劣化することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】射出成形機に構成される射出ユニットを示す正面図である。
図2】射出ユニットの要部を上方側から視た状態を示す斜視図である。
図3】射出ユニットの要部を下方側から視た状態を示す斜視図である。
図4】射出ユニットに構成される駆動用モータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための実施形態を図1図4により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0020】
本実施形態の射出成形機は大別すると、射出ユニット1と図示しない型締ユニットとから構成される。型締ユニットには、可動金型が固定される可動ダイプレート、固定金型が固定される固定ダイプレート、固定ダイプレートに対し可動ダイプレートを進退させ、固定金型に対して可動金型の型開閉を行うためのトグルリンク機構等を備える。
【0021】
図1〜3に示すように射出ユニット1には、駆動源として2つの射出駆動用モータ2を備える。これら射出駆動用モータ2は、ネジなどの固定手段により固定フレーム3に並列に固定されている。
【0022】
図4に示すように、射出駆動用モータ2は、大別すると、射出駆動用モータ本体4と、該射出駆動用モータ本体4に回転自在に支持された回転軸部5とから構成されている。射出駆動用モータ2の回転軸部5の基端側には、回転軸部5と共に回転される第1のプーリ6が設けられている。他方、射出駆動用モータ2の回転軸部5の先端側には、回転軸部5と共に回転される第2のプーリ7が設けられている。
【0023】
図1〜3に示すように、左右2つの射出駆動用モータ2のそれぞれの下方には、駆動伝達プーリ10を備える。射出駆動用モータ2のそれぞれに対応して設けられた当該駆動伝達プーリ10は、金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填するときに駆動されるものである。第1のプーリ6と駆動伝達プーリ10とには、駆動伝達ベルト11が掛け回されている。
【0024】
左右2つの射出駆動用モータ2のそれぞれに設けられた左右2つの第2のプーリ7には、1本の同期用ベルト12が掛け回され、これにより、2つの射出駆動用モータ2の駆動の同期をとることができる。また、固定フレーム3には上下2つのテンションアイドラ13が設けられており、当該テンションアイドラ13が同期用ベルト12を押圧することで、当該同期用ベルト12に対して所定の張力を与える。
【0025】
ここで、図4に基づき射出駆動用モータ2の構成についてさらに説明する。射出駆動用モータ本体4と、該射出駆動用モータ本体4に回転自在に支持された回転軸部5とから構成された射出駆動用モータ2には、モータ取付用プレート14が構成されている。射出駆動用モータ本体2のモータ取付用プレート14には、着脱自在なハウジング15が嵌合され装着されている。なお、当該ハウジング15は、回転軸部5と同心になるようにして配設される。また、ハウジング15内には、第1のプーリ6が配設される。
【0026】
ハウジング15には一体に軸受16が設けられている。当該軸受16は、外側から内側の順に、外輪17、転動体18、内輪19が構成されている。該内輪19の内側には、該内輪19に一体に筒状の軸受用スリーブ20が設けられている。
【0027】
軸受用スリーブ20には回転軸部5が挿通されており、それにより当該回転軸部5は軸受用スリーブ20を介して軸受16に回転自在に支持される。
【0028】
軸受用スリーブ20には、回転軸部5に挿通された第1のプーリ6が、第1の固定手段たるボルト25により固定されている。そして、第1のプーリ6は、第3の固定手段たる第1の摩擦式締結具21により、回転軸部5に固定されている。
【0029】
また、回転軸部5の先端側は、ハウジング15に設けられた軸受用スリーブ20の外側に突設されている。そして、回転軸部5の先端側には、第2のプーリ7が、第2の固定手段たる第2の摩擦式締結具22により回転軸部5に固定されている。
【0030】
ハウジング15の上方には、ハウジング15内の熱を放熱する通気孔23が形成されている。他方、ハウジング15の下方には、第1のプーリ6に掛け回された駆動伝達ベルト11が駆動されているとき、当該駆動伝達ベルト11がハウジング15の内外に出入り可能な開口部24が形成されている。
【0031】
以上により、射出駆動用モータ2の回転軸部5は、ハウジング15に設けられた軸受16により支持されることから、回転軸部5に対し比較的大きな荷重負荷が与えられても、回転軸部5が湾曲等により変形してしまうことを抑制することができる。よって、射出駆動用モータ2の故障を防止することができ、ひいては当該射出駆動用モータ2の寿命を延ばすことができる。
【0032】
しかも、射出駆動用モータ本体4に片持ち状に回転自在に支持された回転軸部5は、荷重負荷が与えられたとき、軸受16により、芯ずれすることがないよう抑制されることから、回転軸部5と共に駆動伝達ベルト11等の掛け回された第1のプーリ6が回転されるとき、駆動伝達ベルト11がぶれるなどして、該駆動伝達ベルト11の張力バランスが崩れてしまうことを防止できる。よって、ひいては張力バランスの崩れに伴う駆動伝達ベルト11の破断を防止することができる。
【0033】
さらに、ハウジング15には、その上方に通気孔23が形成されていることから、射出成形機の稼動に伴い、射出駆動用モータ2の回転軸部5が駆動されるとき、ハウジング15内が高温化することを防止することができる。よって、ハウジング15内に有する、回転軸部5と共に回転される第1のプーリ6や該第1のプーリ6に掛け回された駆動伝達ベルト11等が、高熱化して劣化することを防止することができる。
【0034】
また、本実施形態の軸受16は、射出駆動用モータ本体4に直接装着されたハウジング15に一体に設けられている。よって、射出駆動用モータ2の故障により交換が生じたとしても、回転軸部5の変形を抑制可能な当該駆動用モータ2を容易に入れ替えることができる。つまり、例えば、回転軸部5を支持する軸受16が、射出駆動用モータ本体4に直接装着されたハウジング15ではなく、それ以外の部品等に設けられている場合には、射出駆動用モータが故障等により交換する場合、回転軸部と軸受との位置関係の微調整を図ることが必要となるが、こうした煩雑な作業を解消することができる。
【0035】
以上、本実施形態の一例を詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。本発明の一例においては、ハウジング15は、射出駆動用モータ本体4に嵌合されることで装着されることについて述べたが、射出駆動用モータ本体4へのハウジング15の装着方法としては、ボルト止め等で装着してもよい。その場合には、ハウジング15にボルトの挿通される孔を形成することになるが、当該孔を長孔で形成し、当該長孔を位置調整手段として、射出駆動用モータ本体4に対してハウジング15を装着する位置調整を行えるようにしてもよい。その場合には、回転軸部5に対する、軸受16及び軸受用スリーブ20の位置調整を容易に行なうことが可能になる。また、回転軸部5を支持する軸受16は、図4に示すように1つに限らず、複数であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 射出ユニット
2 射出駆動用モータ(駆動用モータ)
3 固定フレーム
4 射出駆動用モータ本体(駆動用モータ本体)
5 回転軸部
6 第1のプーリ
7 第2のプーリ
10 駆動伝達プーリ
11 駆動伝達ベルト
12 同期用ベルト
13 テンションアイドラ
14 モータ取付用プレート
15 ハウジング
16 軸受
17 外輪
18 転動体
19 内輪
20 軸受用スリーブ
21 第1の摩擦式締結具(第3の固定手段)
22 第2の摩擦式締結具(第2の固定手段)
23 通気孔23
24 開口部24
25 ボルト(第1の固定手段)
図1
図2
図3
図4