特許第6225036号(P6225036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6225036-連続アンローダの飛散防止カバー構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225036
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】連続アンローダの飛散防止カバー構造
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20171023BHJP
   B65G 65/08 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B65G67/60 D
   B65G65/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-10048(P2014-10048)
(22)【出願日】2014年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-137166(P2015-137166A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】田畑 宏明
(72)【発明者】
【氏名】田中 良典
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−026490(JP,A)
【文献】 実開昭59−140235(JP,U)
【文献】 実開昭63−059139(JP,U)
【文献】 実開昭63−200513(JP,U)
【文献】 実開平01−045624(JP,U)
【文献】 米国特許第04737061(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/60−67/62
B65G 65/00−65/28
B65G 17/00−17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットエレベータの下端部に前後方向に伸縮自在な掻取部を形成し、前記バケットエレベータのケーシングの下部に前記掻取部の後端の垂直部を覆う固定カバーを取り付けた連続アンローダの飛散防止カバー構造において、
前記固定カバーの外側もしくは内側に、前記掻取部の伸縮に追従して上下動する可動カバーを上下動自在に設けたことを特徴とする連続アンローダの飛散防止カバー構造。
【請求項2】
前記可動カバーは、前記掻取部の後端のスプロケットの軸にリンクを介して連結され、前記掻取部の伸縮による後端のスプロケットの上下動に追従して前記固定カバーに対してスライドする請求項1に記載の連続アンローダの飛散防止カバー構造。
【請求項3】
前記可動カバーは、前記垂直部の側方及び後方を覆うように断面コ字状に形成された請求項1又は2に記載の連続アンローダの飛散防止カバー構造。
【請求項4】
前記可動カバーの後部の下端側には、飛散したバラ物をバケットチェーンのバケットに案内する傾斜面が、前記垂直部に向かって傾斜して形成された請求項1から3のいずれかに記載の連続アンローダの飛散防止カバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続アンローダの飛散防止カバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すような、船倉内の鉱石や石炭等のバラ物を陸揚げするバケットエレベータ式の連続アンローダ1には、内部の搬送経路を密閉式構造とし、バケットエレベータ8のケーシング18の下部に掻取部13の後端の垂直部22を覆う固定カバー23を取り付けたものがある。
【0003】
かかる連続アンローダ1によれば、陸揚げ中のバラ物が機外に飛散することを抑えることができ、埠頭周辺の水域や埠頭上の環境を保全することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−32460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、掻取部13には、前後方向に伸縮自在に形成され、掻き取り部長さが調節できるタイプのものがある。掻取部13がかかるタイプである場合、固定カバー23はバケットエレベータ8のケーシング18に固定されるものであるため、掻取部13が前後方向に縮退したとき、固定カバー23が水平部40の掻取位置から高い位置になり、バラ物の飛散及び発塵の防止効果が薄れるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、掻取部が前後方向に縮退して垂直部が下方に伸張したときでもバラ物の飛散及び発塵を良好に防止できる連続アンローダの飛散防止カバー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、バケットエレベータの下端部に前後方向に伸縮自在な掻取部を形成し、前記バケットエレベータのケーシングの下部に前記掻取部の後端の垂直部を覆う固定カバーを取り付けた連続アンローダの飛散防止カバー構造において、前記固定カバーの外側もしくは内側に、前記掻取部の伸縮に追従して上下動する可動カバーを設けたものである。
【0008】
前記可動カバーの可動方法の一例としては、前記掻取部の後端のスプロケットの軸にリンクを介して連結され、前記掻取部の伸縮による後端のスプロケットの上下動に追従して前記固定カバーに対してスライドしてもよい。
【0009】
前記可動カバーは、前記垂直部の側方及び後方を覆うように断面コ字状に形成されてもよい。
【0010】
前記可動カバーの後部の下端側には、飛散したバラ物をバケットチェーンのバケットに案内する傾斜面38が、前記垂直部に向かって傾斜して形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る連続アンローダの飛散防止カバー構造によれば、掻取部が縮んだときでもバラ物の飛散及び発塵を良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る連続アンローダの掻取部を示し、(a)は側面図、(b)は背面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
図2】(a)は前後方向に縮んだ掻取部の側面図、(b)は同掻取部の背面図である。
図3】(a)は図2(b)のB−B線矢視部分断面図であり、(b)は(a)のC−C線矢視断面図である。
図4図3(b)のガイドの変形例を示す説明図である。
図5】連続アンローダの全体説明図である。
図6】従来の飛散防止カバー構造に係り、(a)は掻取部が伸張した状態の説明図であり、(b)は掻取部が縮退した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0014】
図5に示すように、連続アンローダ1は、埠頭などの岸壁2に設けられたレール3上を走行する走行部4と、走行部4上に鉛直軸回りに旋回自在に設けられた旋回台5と、旋回台5に俯仰自在に設けられたブーム6と、ブーム6の先端に回動自在に設けられたトップフレーム7と、トップフレーム7に鉛直軸回りに回動自在に設けられトップフレーム7から垂下される上下に長いバケットエレベータ8と、旋回台5に俯仰自在に設けられると共にトップフレーム7に回動自在に設けられブーム6と平行に配置されるバランシングレバー9と、バランシングレバー9に設けられたカウンターウェイト10とを備える。
【0015】
バケットエレベータ8は、船倉11内の積荷である石炭等のバラ物12を上方に移送するものであり、下端部にバラ物を掻き取るための掻取部13を有する。バケットエレベータ8は、上端両側に配置された一対の駆動スプロケット14と、これら駆動スプロケット14の鉛直下方に配置された一対の後部スプロケット15と、後部スプロケット15から水平方向前方に離間して配置された一対の前部スプロケット16と、駆動スプロケット14、後部スプロケット15及び前部スプロケット16に掛け回されたバケットチェーン17と、掻取部13とトップフレーム7との間のバケットチェーン17を覆う筒状のケーシング18とを備える。
【0016】
駆動スプロケット14は、図示しない駆動装置からの動力を受けて回転駆動されるようになっており、後部スプロケット15に掛け回されたバケットチェーン17を上昇させる方向に駆動する。
【0017】
図1(a)及び図1(b)に示すように、前部スプロケット16及び後部スプロケット15は、バケットエレベータ8のフレーム(図示せず)にリンク機構19を介して水平方向に近接離間自在に支持されている。リンク機構19は、後部スプロケット15を駆動スプロケット14の鉛直下方に支持すると共に後部スプロケット15に対して前部スプロケット16を近接離間自在に支持するように形成されている。また、リンク機構19は、前部スプロケット16と後部スプロケット15とを近接させたとき前部スプロケット16及び後部スプロケット15を下方に移動させ、前部スプロケット16と後部スプロケット15とを離間させたとき、前部スプロケット16及び後部スプロケット15を上方に移動させるように形成されている。
【0018】
バケットチェーン17は、バケットエレベータ8の両側に配置される一対の無端チェーン20と、これら無端チェーン20間に設けられると共に無端チェーン20の周長方向に間隔を隔てて複数設けられたバケット21とを備える。
【0019】
掻取部13は、前部スプロケット16と、後部スプロケット15と、リンク機構19と、バケットエレベータ8下端部のバケットチェーン17とからなり、前部スプロケット16及び後部スプロケット15の近接離間に伴って前後方向に伸縮すると共に上下方向に伸縮する。また、掻取部13は側面視略三角形状に形成されている。掻取部13の後端には、バケットチェーン17が垂直に上昇する垂直部22が形成されている。
【0020】
図1(a)及び図1(c)に示すように、ケーシング18の下部には、垂直部22を覆う固定カバー23が取り付けられている。固定カバー23は、垂直部22の側方及び後方を覆うように断面コ字状に形成されている。また、固定カバー23は、掻取部13が前後方向に伸張して掻取部13の下端が上昇したとき、下端が掻取部13の下端より上方に位置するように上下方向の長さを設定されている。これにより、固定カバー23が船倉11内に積まれたバラ物12と干渉しないようになっている。なお、固定カバー23は、垂直部22の前方の一部を覆うように前端が内側に屈曲された形状(断面C字状)に形成されていてもよい。
【0021】
また特に、固定カバー23の外側には、掻取部13の伸縮に追従して上下動する可動カバー24がガイド25を介して上下動自在に設けられている。可動カバー24は、垂直部22の側方及び後方を固定カバー23の外側もしくは内側から覆うように断面コ字状に形成されている。
【0022】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ガイド25は、可動カバー24に設けられたガイドレール26と、固定カバー23に設けられガイドレール26に沿って走行する被ガイド部27とからなる。被ガイド部27は、固定カバー23の外側の側面に設けられた基部28と、基部28の前後に回転自在に設けられたガイドローラ29とからなる。ガイドレール26は、断面L字状に形成された一対の長尺の鋼材からなる。ガイドレール26は、それぞれのガイドローラ29に対応して前後に離間して配置されると共に、L字状の内部にガイドローラ29を収容するように配置されている。
【0023】
なお、ガイド25は、これに限るものではない。例えば、ガイドレール26が固定カバー23に設けられ、被ガイド部27が可動カバー24に設けられるものとしてもよい。また、図4に示すように、ガイド30は、固定カバー23又は可動カバー24の一方に設けられ上下に延びる溝31を有するガイドレール32と、固定カバー23又は可動カバー24の他方に設けられガイドレール32の溝31内に上下スライド自在に収容されるブロック状の被ガイド部33とからなるものとしてもよい。また、ガイドレール32及び被ガイド部33は、固定カバー23又は可動カバー24に一体に形成されるものとしてもよい。
【0024】
図1(a)及び図1(b)に示すように、可動カバー24の可動は、例えば、後部スプロケット15の軸34に一対のリンク35を介して連結し、掻取部13の収縮による後部スプロケット15の上下動に追従して固定カバー23に対してスライドするようにしている。リンク35は、可動カバー24の下部両側と後部スプロケット15の軸34の両端とを接続する。具体的には、リンク35は、後部スプロケット15の軸34に設けられ上方に延びる起立部36と、起立部36の上端から水平方向に延びて形成され可動カバー24の下端部に水平軸回り回動自在に連結される連結部37とを備える。リンク35は、可動カバー24を後部スプロケット15より上方に保持する。
【0025】
また、可動カバー24の後部の下端側には、飛散したバラ物12をバケットチェーン17のバケット21に案内するための傾斜面38が形成されている。傾斜面38は、垂直部22に向かって傾斜、すなわち、可動カバー24の後部の下端側が下方に向かうにつれて垂直部22に近接するように傾斜されており、上方からのバラ物12を傾斜方向に弾いて案内するようになっている。
【0026】
図3(a)に示すように、可動カバー24の上端部には、固定カバー23側(内側)に屈曲する鍔部24aが形成されている。鍔部24aは、可動カバー24内の粉塵が外部へ飛散するのを防止する。
【0027】
また、図5に示すトップフレーム7、ブーム6、旋回台5及び走行部4には、バケットエレベータ8からのバラ物12を埠頭2上に設置されたコンベア39へ送るためのテーブルフィーダ、ベルトコンベア、ホッパ等の移送装置(図示せず)が設けられている。移送装置は、移送中のバラ物12が外部へ飛散しないように密閉されている。
【0028】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0029】
図1(a)及び図5に示すように、掻取部13を前後伸張させた状態で船倉11内のバラ物12を掻き取る場合、掻取部13は下端が上昇された状態となっている。このとき、可動カバー24は固定カバー23に対して上方にスライドした状態となっており、固定カバー23を覆うように固定カバー23の外側にラップして配置される。可動カバー24は、後部スプロケット15より上方に保持されるため、船倉11内のバラ物12と干渉することはなく、バラ物12の掻き取りを邪魔することはない。また、垂直部22は、下端近傍まで固定カバー23及び可動カバー24に覆われているため、垂直部22から落下したバラ物12が周囲に飛散することはない。
【0030】
図2(a)及び図2(b)に示すように、掻取部13を前後方向に縮退させると、前部スプロケット16及び後部スプロケット15が下方に移動し、掻取部13が下方に伸張される。可動カバー24は後部スプロケット15の移動に追従して下方に移動する。このとき、可動カバー24は、固定カバー23に対して下方にスライドする。これにより、固定カバー23より下方に延びた垂直部22を可動カバー24で覆うことができ、垂直部22からのバラ物12の飛散を防止することができる。また、可動カバー24は、上端部のみが固定カバー23とラップする状態となり、かつ、固定カバー23の外側に位置されるため、固定カバー23と可動カバー24の間からバラ物12が飛散することもない。またさらに、バケット21から後方に落下したバラ物12は可動カバー24後部の傾斜面38によって前方へ案内され、掻取部13下方の掻き取り位置又は上昇する他のバケット21内に落下する。このため、垂直部22から落下したバラ物12が飛散することはなく、周囲の環境をよりクリーンに保つことができる。掻取部13で掻き取られたバラ物12は、循環するバケットチェーン17によって上昇され、トップフレーム7、ブーム6、旋回台5及び走行部4に設けられた移送装置によって埠頭2上のコンベア39に移送される。このとき、移送装置は密閉されているため、移送中のバラ物12が飛散することはない。
【0031】
このように、固定カバー23の外側に、掻取部13の伸縮に追従して上下動する可動カバー24を上下動自在に設けたため、掻取部13が前後方向に縮退して垂直部22が下方に伸びたときであっても垂直部22からのバラ物12の飛散及び発塵を良好に防止できる。
【0032】
また、可動カバー24は、掻取部13の後部スプロケット15の軸34にリンク35を介して連結され、掻取部13の伸縮による後部スプロケット15の上下動に追従して固定カバー23に対してスライドするため、可動カバー専用の動力を必要とせず、垂直部22からバラ物12が飛散するのを簡易な構造で良好に防止できる。
【0033】
可動カバー24は、垂直部22の側方及び後方を覆うように断面コ字状に形成されるものとしたため、垂直部22から側方又は後方へのバラ物12の飛散を簡単な構造で防止できる。
【0034】
可動カバー24の後部の下端側には、飛散したバラ物12をバケットチェーン17のバケット21に案内する傾斜面38が、垂直部22に向かって傾斜して形成されるものとしたため、垂直部22から後方に落下したバラ物12を前方へ案内でき、バラ物12の後方への飛散を防止できる。
【符号の説明】
【0035】
1 連続アンローダ
8 バケットエレベータ
12 バラ物
13 掻取部
15 後部スプロケット(スプロケット)
17 バケットチェーン
18 ケーシング
22 垂直部
23 固定カバー
24 可動カバー
35 リンク
34 軸
38 傾斜面
40 水平部
図1
図2
図3
図4
図5
図6