(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無限遠物体からの近軸入射光線高を1として各面への近軸入射光線高を定義し、前記正のガラスレンズのパワーをφ(単位:1/mm)と定義し、該正のガラスレンズの物体側面への近軸入射光線高をHと定義した場合に、次式
0.63<φ×H<1.60
を満たす、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の広角レンズ。
光軸からの高さをh(単位:mm)と定義し、非球面の光軸上の曲率半径をr(単位:mm)と定義し、該非球面上の座標点と該非球面の光軸上での接平面との距離であるサグ量をX(h)と定義した場合に、前記接合面が、有効光束径内において、次式
|X(h)|<|(h2/r)/(1+SQRT(1−(1-0.8)×(h/r)2))|
を満たす、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の広角レンズ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態(実施例1)の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図2】本発明の実施例1の広角レンズの各種収差図である。
【
図3】本発明の実施例2の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図4】本発明の実施例2の広角レンズの各種収差図である。
【
図5】本発明の実施例3の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図6】本発明の実施例3の広角レンズの各種収差図である。
【
図7】本発明の実施例4の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図8】本発明の実施例4の広角レンズの各種収差図である。
【
図9】本発明の実施例5の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図10】本発明の実施例5の広角レンズの各種収差図である。
【
図11】本発明の実施例6の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図12】本発明の実施例6の広角レンズの各種収差図である。
【
図13】本発明の実施例7の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図14】本発明の実施例7の広角レンズの各種収差図である。
【
図15】本発明の実施例8の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図16】本発明の実施例8の広角レンズの各種収差図である。
【
図17】本発明の実施例9の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図18】本発明の実施例9の広角レンズの各種収差図である。
【
図19】本発明の実施例10の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図20】本発明の実施例10の広角レンズの各種収差図である。
【
図21】本発明の実施例11の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図22】本発明の実施例11の広角レンズの各種収差図である。
【
図23】本発明の実施例12の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図24】本発明の実施例12の広角レンズの各種収差図である。
【
図25】本発明の実施例13の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図26】本発明の実施例13の広角レンズの各種収差図である。
【
図27】本発明の実施例14の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図28】本発明の実施例14の広角レンズの各種収差図である。
【
図29】本発明の実施例15の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図30】本発明の実施例15の広角レンズの各種収差図である。
【
図31】本発明の実施例16の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図32】本発明の実施例16の広角レンズの各種収差図である。
【
図33】本発明の実施例17の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図34】本発明の実施例17の広角レンズの各種収差図である。
【
図35】本発明の実施例18の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図36】本発明の実施例18の広角レンズの各種収差図である。
【
図37】本発明の実施例19の広角レンズの構成を示すレンズ配置図である。
【
図38】本発明の実施例19の広角レンズの各種収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の広角レンズについて図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の一実施形態として、高画素タイプの監視カメラに搭載される広角レンズについて説明する。なお、監視カメラと同じく小型化及び低価格化が要請される別の機器に搭載される広角レンズも本発明の範疇である。広角レンズが搭載される別の機器の一例として、車載カメラが挙げられる。
【0026】
本実施形態の広角レンズは、例えば1〜2メガピクセルの監視カメラ向けであり、半画角が30°を超える。例えば2メガピクセルの場合、これまで主流であったVGAの場合と比べて画素数が約6倍に増加すると共に2.5倍の解像度が必要となる。
【0027】
一般に、広角の監視カメラは、絞りよりも物体側に負レンズが配置され、絞りの後段に正レンズ群が配置された広角のレトロフォーカスレンズが搭載されている。この種のレトロフォーカスレンズにおいて、倍率色収差は、最も物体側の負レンズに低分散材料を使用することで抑えられつつ後群とのバランスで打ち消される。一方、軸上色収差を抑えるためには、正レンズに低分散材料を使用し且つ負レンズに高分散材料を使用して、軸上色収差が補正されるように正のパワーを残すことが基本である。しかし、上記の通り、倍率色収差を補正するため最も物体側の負レンズに低分散材料が使用されているので、軸上色収差の補正も考慮すると、構成枚数の少ない光学レンズでは、2メガピクセル等の高画素タイプに対応するのが難しかった。
【0028】
そこで、本実施形態の広角レンズは、概説すると、物体側から順に、一枚又は二枚の負レンズを有する負レンズ群、絞りの近傍に配置された正のガラスレンズ、正負一対の樹脂レンズの非球面同士を接合した接合レンズが配置されている。この構成により、本実施形態の広角レンズは、少ない構成枚数でありつつも2メガピクセル等の高画素タイプに対応する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。ここではレンズ配置図として本発明の実施例1(後述)のものを援用する。なお、
図1をはじめとする広角レンズ10の各配置図は、図中左側が物体側であり、図中右側が像側(監視カメラに搭載されたイメージセンサ側)である。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態の広角レンズ10は、物体側から順に、少なくとも、負レンズL1、正レンズL2、絞りS、接合レンズL3を有している。広角レンズ10を構成する各光学レンズは、広角レンズ10の光軸AXを中心とした回転対称形状を有している。なお、上記において「少なくとも(中略)有している」としたのは、本発明の技術的思想の範囲において、別の光学素子を追加する構成例もあり得るからである。例えば、本発明に係る広角レンズに対して収差補正に実質的に寄与しない平行平板やNDフィルタ、ローパスフィルタ、IRカットフィルタ等を追加する構成例や、本発明に係る広角レンズの構成及び効果を維持しつつ別の光学素子を付加する構成例が想定される。
【0031】
本実施形態において、負レンズ群は負レンズL1の一枚構成であるが、別の実施形態では負レンズL1’を加えた二枚構成であってもよい。負レンズL1や負レンズL1’には次のバリエーションがある。
・非球面ガラスレンズ
・球面ガラスレンズ
・非球面樹脂レンズ
・球面樹脂レンズ
ここで、負レンズ群をガラスレンズ又は樹脂レンズで構成するかを決定する一つの要因として、負レンズ群に要求されるレンズ表面硬度が考えられる。要求されるレンズ表面硬度が高い場合、負レンズ群は例えばガラスレンズで構成される。レンズドーム等を備えるカメラでは、一般に、要求されるレンズ表面硬度が低いため、負レンズ群を樹脂レンズで構成してもよい。また、負レンズ群のレンズ面を非球面とすることで、歪曲収差が抑えられる。
【0032】
正レンズL2には次のバリエーションがある。
・非球面ガラスレンズ
・球面ガラスレンズ
【0033】
正レンズL2が非球面ガラスレンズであるとき、組立時の偏芯に起因する収差の発生を抑えるのに有利となる。また、後述するように、接合レンズL3は樹脂レンズである。樹脂レンズは、一般に、温度上昇時の線膨張によりパワーが低下すると共に屈折率の低下によりパワーが低下し、バックフォーカスの変化と非点収差による像面湾曲が変化しやすい。バックフォーカスの変化は、AF機能を備えているシステムであれば実質的な問題にはならない。しかし、歪曲収差の大きい広角レンズでは像面湾曲が発生すると、物体側解像力が元々低い周辺部の解像力が更に低下するという問題が指摘される。そのため、AF機能の有無によらず、像面湾曲の発生は極力抑えることが望ましい。本実施形態では、正レンズL2を線膨張率の低いガラス材料で成形することにより、像面湾曲の抑制に寄与させている。
【0034】
絞りSの配置パターンには、正レンズL2に隣接し且つ正レンズL2よりも物体側に配置されるパターンと、正レンズL2に隣接し且つ正レンズL2よりも像側に配置されるパターンがある。
【0035】
接合レンズL3は、分散の異なる正負一対の樹脂レンズを接合したものであり、全体として正のパワーを持ち、接合面が非球面となっている。接合レンズL3は、例えば、物体側レンズが正レンズであり、像側レンズが負レンズである。また、物体側レンズが負レンズであり、像側レンズが正レンズであってもよい。
【0036】
このように、本実施形態の広角レンズ10には、正負一対のレンズを接合した接合レンズL3が備えられている。より詳細には、接合レンズL3は、正負一対のレンズがレンズ材料に近い屈折率を持つ接着剤で接合されている。接合される面同士の距離の誤差は、接着層厚のバラツキ程度に抑えられる。そのため、光軸に垂直な方向の偏芯が正負一対のレンズ間で実質的に発生しない。また、物体側から負正の順に配置される構成であっても、接合面で全反射が起こることはない。
【0037】
これに対し、接合レンズを備えない構成の場合、正負一対のレンズ間で光束が空気中に射出されるため、対向する各レンズ面での屈折率差(レンズと空気との屈折率差)が大きいことから大きな収差が発生すること、軸上色収差の打ち消し作用を起こさなければならないこと、等を考慮する必要がある。そのため、正負一対のレンズに対する許容可能な製造誤差を厳しく設定せざるを得ない。また、物体側から負正の順に配置される構成では、軸外光で全反射が起こる虞がある。
【0038】
接合レンズL3の接合面は非球面であり、サグ量X(h)が接合面の近軸曲率半径で定義される近軸球面と比べて光軸AXから周辺に向かうほど小さくなる。なお、サグ量X(h)は、非球面上の座標点と非球面の光軸上での接平面との距離である。サグ量X(h)は、光軸AXからの高さをh(単位:mm)と定義し、非球面の光軸AX上の曲率半径をr(単位:mm)と定義し、円錐係数をκと定義し、非球面係数をA
nと定義した場合に、次式により示される。
X(h)=(h
2/r)/(1+SQRT(1−(1+κ)×(h/r)
2))+ΣA
n×h
n
【0039】
全体として正のパワーを持つレンズ系を少ない枚数の球面レンズで設計すると、一般に、色収差を補正する作用を持つ発散面が強い曲率を持つため、光軸から周辺に向かうに従って色収差が過剰に補正される。これにより、球面収差の色収差が発生する。この種の色収差を抑えるため、正負一対のレンズの屈折率差が大きくなる短波長側の球面収差が過剰に補正される傾向にある。このような問題を避けるため、接合レンズL3の接合面は、光軸から周辺に向かうほどパワーが弱くなる非球面となっている。
【0040】
接合レンズL3をなす正負一対のレンズは、射出成形により製造される樹脂レンズである。正負一対の樹脂レンズはそれぞれ、光学面から鍔部までの形状が一体加工された金型によって規定されるキャビティ内に溶融樹脂を射出注入することで成形される。このように成形された正負一対の樹脂レンズは、極僅かな偏芯量で接合される。本実施形態によれば、優れた色収差補正機能を持つ非球面を、正負一対のレンズをガラス製にした場合と比べて、容易且つ低コストで高精度に接合することができる。
【0041】
接合レンズL3は、ガラスと比べて屈折率の低い樹脂製のレンズであるため、像面湾曲の基本特性を決定するペッツバール和がプラス方向に振れやすい。そこで、接合レンズL3は、像側面が非点隔差をオーバーにする方向の非球面となっており、像面をフラットに近付ける機能が付加されている。具体的には、接合レンズL3の像側面は、サグ量X(h)が接合レンズL3の像側面の近軸曲率半径で定義される近軸球面と比べて光軸AXから周辺に向かうほどプラス方向に変化する面形状を持つ。なお、サグ量X(h)の符号は、物体側をマイナスとし、像側をプラスとする。更に、接合レンズL3の物体側面も非球面化することで、画角毎の像面湾曲の調整が可能となる。
【0042】
接合レンズL3は、例えば、正の樹脂レンズのアッベ数をν
ppと定義し、負の樹脂レンズのアッベ数をν
npと定義した場合に、次式(1)
ν
pp−ν
np>28・・・(1)
が満たされる。
【0043】
本実施形態では、負レンズL1(及びL1’)に低分散の材料を使用することで倍率色収差の発生を抑える構成が採用されるため、接合レンズL3で軸上色収差を補正する必要がある。そのため、条件式(1)が満たされるように、接合レンズL3をなす正負一対の樹脂レンズにはアッベ数差の大きい材料を選択することが望ましい。但し、高分散の樹脂レンズ材料は、低分散の樹脂レンズ材料よりも高屈折率となることから、接合レンズL3の接合面で屈折率差が必ず生じる。そのため、軸上色収差が補正されると同時に単色収差が発生する虞がある。本実施形態では、この種の単色収差を抑えるためにも、接合レンズL3の物体側面が非球面化されている。なお、条件式(1)が満たされなければ(アッベ数差が小さければ)、色収差を補正するためにレンズ周辺の面の傾きが大きくなりすぎて、負の樹脂レンズの射出成形形状が不安定になり、正の樹脂レンズとの接合に不利になる。
【0044】
接合レンズL3に使用される樹脂材料として、例えば、ポリカーボネート系やポリエステル系等の屈折率が1.6前後でアッベ数が20台の材料が考えられる。このような高分散な材料と屈折率差が大きくならないように低分散で比較的高屈折率な樹脂材料として、シクロオレフィンポリマーや環状オレフィンコポリマー等が考えられる。前者と後者の材料を組み合わせることで、アッベ数差が大きくなると共に屈折率差が小さくなり、軸上色収差の補正と単色収差の抑制により一層有利となる。なお、例えば、接合レンズL3を樹脂レンズと超低分散ガラスモールドレンズとの接合レンズとした場合、アッベ数差を大きくとることができ、良好な収差補正が得られる。しかし、樹脂レンズとガラスレンズとでは線膨張率の差が大きいため、接合面の接着が温度変化時に剥離する虞がある。そのため、温度環境の厳しい監視カメラや車載カメラへの適用には不向きである。このような理由から、本実施形態のように、樹脂レンズ同士を接合させることが望ましい。
【0045】
接合レンズL3は、例えば、正の樹脂レンズの屈折率の温度変化係数をa
pp(単位:1/℃)と定義し、負の樹脂レンズの屈折率の温度変化係数をa
np(単位:1/℃)と定義した場合に、次式(2)
|a
pp−a
np|<0.00004・・・(2)
が満たされる。
【0046】
樹脂レンズの場合、温度変化によるレンズの線膨張並びに屈折率変化によるピント位置変化及び収差変化が問題となる。AF(Auto Focus)が可能である場合はピント位置のズレを実用上キャンセルできるが、非点隔差の変化による画面周辺のピント位置のズレは設計段階で抑えておくことが望ましい。また、接合レンズL3は、正の樹脂レンズが周辺像面をアンダー方向に変化させる作用を持ち、負の樹脂レンズが周辺像面をオーバー方向に変化させる作用を持つ。例えば、温度が上昇するとレンズが膨らむため、レンズ面の曲率が緩くなり、また、密度が低下する。レンズ面の曲率が緩くなること及び樹脂レンズの密度が低下することで屈折率が低下するため、正負一対の樹脂レンズの何れにおいても、レンズとしての作用が実質的に弱くなる。正負一対の樹脂レンズの線膨張率が等しい場合、元の屈折率が高いレンズの方が、温度変化による屈折率の変化量が大きくなる傾向がある。本実施形態では、高分散高屈折率の負の樹脂レンズ材料の方が屈折率の温度変化係数が高い。そのため、温度が上昇すると、接合面の作用が弱まることでバックフォーカスが縮み、像面湾曲がアンダー方向に変化する。
【0047】
上記の問題を避けるため、接合レンズL3の前後面での屈折による収差の発生や、負レンズL1及び正レンズL2での屈折率変化とのキャンセルを考慮して接合レンズL3を設計する必要がある。但し、正負一対の樹脂レンズで互いの温度変化係数の差が大きくなると、正負一対の樹脂レンズのパワーバランスを偏らせて像面湾曲の変化とバックフォーカスの変化とのバランスを取らざるを得ない。接合レンズL3の負レンズの屈折率の温度変化係数が負に大きいほど接合レンズL3の正レンズのパワーが大きくなるが、この場合、接合レンズL3の正レンズのコバ確保が難しくなり生産し難い形状となる。一方、接合レンズL3の正レンズの屈折率の温度変化係数が負に大きいほど接合レンズL3の負レンズのパワーが大きくなる。しかし、この場合、接合レンズL3全体の正のパワーが減少することにより、軸外主光線の像面への入射角度が大きくなって光利用効率が低下したりバックフォーカスが短くなったりするという弊害が生じる。そこで、条件式(2)が満たされるように、温度変化係数の差が小さい樹脂レンズを組み合わせることが望ましい。
【0048】
正レンズL2は、例えば、その屈折率の温度変化係数をa
pg(単位:1/℃)と定義した場合に、次式(3)
|a
pg|<0.00001・・・(3)
が満たされる。
【0049】
条件式(3)が満たされることにより、温度変化時における広角レンズ10の性能変化に対する正レンズL2の寄与が、例えば性能変化全体の1/10程度に抑えられる。
【0050】
正レンズL2は、例えば、無限遠物体からの近軸入射光線高を1として各面への近軸入射光線高を定義し、正レンズL2のパワーをφ(単位:1/mm)と定義し、正レンズL2の物体側面への近軸入射光線高をHと定義した場合に、次式(4)
0.63<φ×H<1.60・・・(4)
が満たされる。
【0051】
また、正レンズL2は、負レンズL1(及びL1’)が樹脂レンズであるとき、次式(5)
0.63<φ×H<1.30・・・(5)
が更に満たされてもよい。
【0052】
また、正レンズL2は、負レンズL1(及びL1’)がガラスレンズであるとき、次式(6)
0.80<φ×H<1.60・・・(6)
が更に満たされてもよい。
【0053】
条件式(4)〜(6)は、負レンズL1(及びL1’)の作用で入射光線高が上がっている正レンズL2がほぼ全体のパワーを負担していることを規定している。負レンズL1(及びL1’)が樹脂レンズであるとき、条件式(5)が満たされるように、正レンズL2が1に近いパワーを持つことが望ましい。負レンズL1(及びL1’)がガラスレンズであるとき、正レンズL2のパワーが大きいほど温度変化による影響が抑えられるため、条件式(6)を満たすことが望ましい。
【0054】
条件式(4)〜(6)の各下限を下回ると、正レンズL2のパワー不足を補うため、接合レンズL3をなす正の樹脂レンズのパワーを大きくする必要がある。そのため、接合レンズL3をなす負の樹脂レンズは、空気に接する面が凸のメニスカスレンズになるが、分散の大きい凸レンズで色収差を補正する必要上、接合面の曲率半径が小さくなる。この結果、接合レンズL3をなす正負一対の樹脂レンズは共に射出成形し難くなる。このような理由から、条件式(4)〜(6)の各下限を下回るのは望ましくない。
【0055】
条件式(4)〜(6)の各上限を上回ると、温度上昇により、バックフォーカスが縮む方向に変化すると共にフランジバック長が伸びるため、ピント調節のためのスペースに余裕を持たせなければならない。また、AF動作させない構成である場合は、バックフォーカスのズレと像面湾曲の変化が同方向に出るため、画面周辺部のピントズレを許容することが難しくなる。このような理由から、条件式(4)〜(6)の各上限を上回るのは望ましくない。
【0056】
また、本実施形態において、接合レンズL3の接合面は、有効光束径内でサグ量X(h)が次式(7)
|X(h)|<|(h
2/r)/(1+SQRT(1−(1-0.8)×(h/r)
2))|・・・(7)
を満たす。式(7)において、rは、接合レンズL3の接合面の近軸曲率半径を示す。
【0057】
条件式(7)は、接合レンズL3の接合面が有効光束径内でκ=−0.8の回転楕円面(接合面と近軸曲率半径が同じもの)よりもサグ量が少ないことを規定する。
【0058】
負レンズL1(及びL1’)には、倍率色収差の発生を抑えるため、低分散材料が用いられている。そのため、負レンズL1(及びL1’)と正レンズL2とでは軸上色収差を補正することができない。接合レンズL3で軸上色収差を補正するには、強い色補正面を持つ必要がある。強い色補正面をそのまま軸上色収差の補正に必要な曲率半径の球面にすると、曲率半径よりも有効半径が大きくなることはないため、レンズを明るくすることができない。本実施形態では、接合面は、球面の場合には周辺部で球面収差の色収差が過剰補正となることから、サグ量X(h)が近軸曲率半径を同じとする近軸球面と比べて光軸AXから周辺に向かうほど小さくなるように非球面化されている。条件式(7)を満たすように、非球面の度合いとして有効光束径内でκ=−0.8の回転楕円面よりもサグ量を少なくすることで、軸上色収差を補正しつつ開口が小さくなる問題を避けることができる。広角レンズ10は、条件式(7)を満たすことにより、例えばF2.8よりも明るいレンズとなる。
【0059】
接合レンズL3の接合面は、例えば、有効光束半径をh
MAX(単位:mm)と定義し、有効光束半径h
MAXにおける非球面の傾きをdX(h
MAX)/dhと定義した場合に、次式(8)
0.5<|dX(h
MAX)/dh|<1.30・・・(8)
が満たされる。
【0060】
条件式(8)の下限を下回る場合、接合レンズL3の接合面の傾きが小さく、偏芯による光学性能の劣化が少ないため、正負一対の樹脂レンズを接合させる技術的意義が実質的に無くなる。条件式(8)の上限を上回る場合、接合面の傾きが大きすぎることから、レンズ周辺部において形状測定精度や成形精度が不足し易くなり、また、凹レンズにウエルドラインが発生するなど、製造上困難が発生し易くなる。そのため、条件式(8)を満たすことが望ましい。
【0061】
接合レンズL3の接合面は、例えば、サグ量X(h)の2階微分値をd
2X(h)/dh
2と定義した場合に、次式(9)
d
2X(h)/dh
2≠0・・・(9)
(但し、ここでは、0<h<h
MAX)
が満たされる。
【0062】
例えば球面同士を接合させる場合を考える。この場合、互いのレンズ面(凹面と凸面)は、どのような傾きをもって接触した場合も位置的に安定する状況にはならないため、薄い接着層を介して滑る。そのため、作業者は、透過光や反射光を通じて非接合面の状態を観察しながら接合面の接合状態を調節することができる。これに対し、非球面同士を接合させる場合、互いのレンズ面(凹面と凸面)は、2階微分値がゼロとなる局所的な領域を持つと、3点接触する位置で安定してしまい、滑りが悪くなることがある。言い換えると、互いのレンズ面(凹面と凸面)は、2階微分値がゼロとなる領域の設計を回避する(すなわち、非球面の傾きが常に変化するように設計する)ことにより、例えば正規の位置以外でどのような傾きをもって接触した場合も位置的に安定せず滑りやすくなる。これにより、非球面同士が誤った位置で接合される問題を回避しやすくなる。このような理由から、条件式(9)を満たすことが望ましい。
【0063】
広角レンズ10は、例えば、負レンズ群が負レンズL1の一枚構成で且つ絞りSが正レンズL2よりも像側に配置される構成であるとき、負レンズL1のアッベ数をν
nと定義し、正レンズL2のアッベ数をν
pと定義した場合に、次式(10)
0≦ν
n−ν
p<18・・・(10)
が満たされる。
【0064】
倍率色収差の発生を抑えるためには、条件式(10)が満たされるように、負レンズL1に低分散の材料を使用し、正レンズL2にやや高分散の材料を使用することが望ましい。一方、軸上色収差を補正するために正レンズL2に低分散の材料を使用すると(条件式(8)の下限を下回ると)、負レンズL1での倍率色収差の発生を正レンズL2で打ち消す効果が不足するため、絞りSと接合レンズL3との間隔を広げて倍率色収差をキャンセルする必要がある。この場合、レンズの全長が長くなると共に外径寸法が大型化し、また、バックフォーカス長が短くなる。また、正レンズL2に高分散の材料を使用すると(条件式(8)の上限を上回ると)、接合レンズL3の接合面の曲折半径が小さくなりすぎて、射出成形が難しくなる。
【0065】
広角レンズ10は、例えば、負レンズL1(及びL1’)が樹脂レンズで構成されるとき、広角レンズ10の焦点距離(全系の焦点距離)をf(単位:mm)と定義し、接合レンズL3の物体側面の曲率半径をr’(単位:mm)と定義した場合に、次式(11)
0.50<f/r’<1.33・・・(11)
が満たされる。
【0066】
条件式(11)は、AF機能を有さない場合を前提に規定される条件式である。温度変化時における負レンズL1(及びL1’)によるバックフォーカスの変化をキャンセルするためには、条件式(11)が満たされるように、接合レンズL3の物体側面が凸面であることが望ましい。但し、条件式(11)の下限を下回ると、温度上昇の際にバックフォーカスが短くなりすぎてしまうため、AF機能が必須となってしまう。条件式(11)の上限を上回るように、接合レンズL3の物体側面を強い凸面にすると、温度変化に伴うバックフォーカスの変化を適切に設定する必要上、接合レンズL3の像側面が凹面に設計される。しかし、このようなパワーバランスでは射出瞳が像側によりすぎるため、イメージセンサの瞳条件を満足することが難しくなり、光量損失が増加する。
【0067】
広角レンズ10は、例えば、負レンズL1(及びL1’)がガラスレンズで構成されるとき、次式(12)
−0.28<f/r’<0.63・・・(12)
が満たされる。
【0068】
接合レンズL3の物体側面は、温度変化に伴うバックフォーカスの過剰な変化を避けるため、条件式(12)が満たされるように、緩い凸面形状から緩い凹面形状に設計されるのが望ましい。
【0069】
次に、これまで説明した広角レンズ10の具体的数値実施例を19例説明する。なお、各実施例では、イメージセンサのカバーガラスとして、屈折率1.51680、アッベ数(d線)64.20、厚み0.250(単位:mm)のものを想定している。
【実施例1】
【0070】
上述したように、本発明の実施例1の広角レンズ10の構成は、
図1に示される通りである。本実施例1において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
【0071】
本実施例1の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)は、表1に示される。表1(面データ及び非球面データ)に示される番号NOは、
図1中の面符号rn(nは自然数)及び絞り符号snに対応する。表1(面データ)の番号NOに付された「*」は、その番号NOに対応する面が非球面であることを示す。表1(面データ)中、R(単位:mm)は光学部材の各面の曲率半径を、D(単位:mm)は光軸AX上の光学部材厚又は光学部材間隔を、N(D)はd線(波長588nm)の屈折率を、ν(D)はd線のアッベ数を、α(単位:1/K)は線膨張率を、dN/dT(単位:1/℃)は屈折率の温度変化係数を、h
MAX(単位:mm)は有効光束半径を、それぞれ示す。表1(面データ及び非球面データ)中の標記Eは、10を基数、Eの右の数字を指数とする累乗を表している。
【0072】
【表1】
【0073】
図2(a)〜(e)は、本実施例1の広角レンズ10の各種収差図である。具体的には、
図2(a)は、d線(588nm)、g線(436nm)、C線(656nm)、F線(486nm)、e線(546nm)での球面収差及び軸上色収差を示す。
図2(b)は、d線、g線、C線、F線、e線での倍率色収差を示す。
図2(c)は、非点収差(S:サジタル成分、M:メリディオナル成分)を示す。
図2(d)は、歪曲収差を示す。
図2(a)〜(c)の各図の縦軸は像高を、横軸は収差量を、それぞれ示す。
図2(d)の縦軸は像高を、横軸は歪曲率を、それぞれ示す。
図2(e)は、本実施例1の広角レンズ10の各像高におけるd線の横収差図である。
図2(e)の各図の縦軸は横収差量を、横軸は入射瞳座標を、それぞれ示す。
図2(e)の各図中、横軸の左側が下光線を、右側が上光線を、それぞれ示す。なお、本実施例1の表及び各図面についての説明は、以降の各実施例で提示される表及び各図面においても適用する。
【実施例2】
【0074】
図3は、本発明の実施例2の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例2において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図4(a)〜(e)は、本実施例2の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表2は、本実施例2の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0075】
【表2】
【実施例3】
【0076】
図5は、本発明の実施例3の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例3において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図6(a)〜(e)は、本実施例3の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表3は、本実施例3の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0077】
【表3】
【実施例4】
【0078】
図7は、本発明の実施例4の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例4において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図8(a)〜(e)は、本実施例4の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表4は、本実施例4の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0079】
【表4】
【実施例5】
【0080】
図9は、本発明の実施例5の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例5において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図10(a)〜(e)は、本実施例5の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表5は、本実施例5の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0081】
【表5】
【実施例6】
【0082】
図11は、本発明の実施例6の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例6において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図12(a)〜(e)は、本実施例6の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表6は、本実施例6の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0083】
【表6】
【実施例7】
【0084】
図13は、本発明の実施例7の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例7において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図14(a)〜(e)は、本実施例7の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表7は、本実施例7の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0085】
【表7】
【実施例8】
【0086】
図15は、本発明の実施例8の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例8において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図16(a)〜(e)は、本実施例8の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表8は、本実施例8の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0087】
【表8】
【実施例9】
【0088】
図17は、本発明の実施例9の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例9において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図18(a)〜(e)は、本実施例9の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表9は、本実施例9の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0089】
【表9】
【実施例10】
【0090】
図19は、本発明の実施例10の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例10において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図20(a)〜(e)は、本実施例10の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表10は、本実施例10の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0091】
【表10】
【実施例11】
【0092】
図21は、本発明の実施例11の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例11において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図22(a)〜(e)は、本実施例11の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表11は、本実施例11の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0093】
【表11】
【実施例12】
【0094】
図23は、本発明の実施例12の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例12において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図24(a)〜(e)は、本実施例12の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表12は、本実施例12の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0095】
【表12】
【実施例13】
【0096】
図25は、本発明の実施例13の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例13において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図26(a)〜(e)は、本実施例13の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表13は、本実施例13の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0097】
【表13】
【実施例14】
【0098】
図27は、本発明の実施例14の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例14において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図28(a)〜(e)は、本実施例14の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表14は、本実施例14の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0099】
【表14】
【実施例15】
【0100】
図29は、本発明の実施例15の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例15において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図30(a)〜(e)は、本実施例15の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表15は、本実施例15の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0101】
【表15】
【実施例16】
【0102】
図31は、本発明の実施例16の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例16において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図32(a)〜(e)は、本実施例16の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表16は、本実施例16の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0103】
【表16】
【実施例17】
【0104】
図33は、本発明の実施例17の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例17において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1及びL1’より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図34(a)〜(e)は、本実施例17の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表17は、本実施例17の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0105】
【表17】
【実施例18】
【0106】
図35は、本発明の実施例18の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例18において、負レンズ群は、ガラス製の負レンズL1及び樹脂製の負レンズL1’より構成される。接合レンズL3は、物体側から正レンズ、負レンズが並ぶ構成となっている。
図36(a)〜(e)は、本実施例18の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表18は、本実施例18の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0107】
【表18】
【実施例19】
【0108】
図37は、本発明の実施例19の広角レンズ10の構成を示すレンズ配置図である。本実施例19において、負レンズ群は、樹脂製の負レンズL1及びL1’より構成される。接合レンズL3は、物体側から負レンズ、正レンズが並ぶ構成となっている。
図38(a)〜(e)は、本実施例19の広角レンズ10の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差、横収差)図である。表19は、本実施例19の広角レンズ10の具体的数値構成(面データ、非球面データ、各種データ)を示す。
【0109】
【表19】
【0110】
(各実施例の数値検証)
表20は、本実施例1〜19において、条件式(1)〜(12)のそれぞれを適用したときに算出される値の一覧表である。表20中、条件式(7)の右辺・左辺及び条件式(9)については、便宜上、高さh
MAX(=有効光束半径)のときの数値とした。なお、光軸AXからの各高さhにおいて条件式(7)及び(9)が満たされることは、各実施例1〜19の表の非球面データより求まる(但し、実施例11だけは、ある高いhにおいて条件式(9)を満たさない。)。
【0111】
【表20】
【0112】
各実施例の表及び表20から判るように、本実施例1の広角レンズ10は、条件式(1)〜(4)、(6)〜(10)及び(12)を満たす。本実施例2の広角レンズ10は、条件式(1)〜(5)、(7)、(9)及び(11)を満たす。本実施例3〜5の広角レンズ10は、条件式(1)〜(5)、(7)〜(9)及び(11)を満たす。本実施例6〜8の広角レンズ10は、条件式(1)〜(5)及び(7)〜(10)を満たす。本実施例9、10の広角レンズ10は、条件式(1)〜(4)及び(6)〜(10)、(12)を満たす。本実施例11の広角レンズ10は、条件式(1)〜(4)、(6)〜(8)、(10)及び(12)を満たす。本実施例12〜15の広角レンズ10は、条件式(1)〜(4)及び(6)〜(10)、(12)を満たす。本実施例16、17、19の広角レンズ10は、条件式(1)〜(5)、(7)〜(9)を満たす。本実施例18の広角レンズ10は、条件式(1)〜(4)、(6)〜(9)を満たす。各実施例1〜19においては、各条件式を満たすことによる効果が奏される。
【0113】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。