【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、総務省、ミリ波帯チャネル高度有効利用適応技術に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る受信装置の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して説明する。本実施形態の受信装置は、無線LANの通信規格(例えばIEEE802.11ad)に対応した情報通信端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット端末である。但し、本実施形態の受信装置は、スマートフォン又はタブレット端末に限定されない。
【0013】
図1は、本実施形態の受信装置100の内部構成を簡略に示すブロック図である。
図2は、本実施形態の受信装置100の内部構成を詳細に示すブロック図である。
図1に示す受信装置100は、受信アンテナAntが接続された高周波信号処理回路RFCと、アナログデジタル変換部104と、信号検出部DTSと、ゲイン制御部GCNTと、復調部113と、復号部114とを含む。
【0014】
高周波信号処理回路RFCは、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)101と、周波数変換部(MIX:mixer)102と、可変増幅器(VGA:Variable Gain Amplifier)103とを含む。信号検出部DTSは、相関演算部105と、相関検出部106と、電力演算部107と、電力検出部108と、パケット検出部109とを含む。ゲイン制御部GCNTは、待受けゲイン設定部110と、ゲイン探索範囲設定部111と、ゲイン決定部112とを含む。つまり、受信装置100は、信号検出部DTSにおいて、入力された信号の電力に関する情報を用いて、受信信号の状態を判断し、ゲイン制御部GCNTにおいて、判断した受信信号の状態を基に、ゲイン探索範囲を決定する。なお、信号の電力に関する情報としては、信号の振幅の絶対値、電力、所定の電力の発生回数、電力の積分値のいずれでもよい。
【0015】
以下、
図1又は
図2に示す受信装置100の各部の動作について説明する。
【0016】
受信アンテナAntは、受信装置100の通信相手である外部(例えば不図示の送信装置)から送信された高周波信号(例えばミリ波)を受信する。受信アンテナAntにおいて受信された高周波信号は高周波信号処理回路RFCに入力される。
【0017】
高周波信号処理回路RFCは、ゲイン制御部GCNTにより決定されたゲインを用いて、受信アンテナAntにおいて受信された高周波信号を増幅する。高周波信号処理回路RFCは、受信装置100における局所発振信号(ローカル信号、不図示)を用いて、受信アンテナAntにおいて受信された高周波信号をベースバンド信号に変換する。ベースバンド信号は、アナログデジタル変換部104に入力される。
【0018】
低雑音増幅器101は、ゲイン決定部112により決定された低雑音増幅器101のゲインを用いて、受信アンテナAntにおいて受信された高周波信号を増幅して周波数変換部102に出力する。
【0019】
周波数変換部102は、受信装置100における局所発振信号(ローカル信号、不図示)を用いて、低雑音増幅器101により増幅された高周波信号の周波数をダウンコンバートし、高周波信号をベースバンド信号に変換して可変増幅器103に出力する。
【0020】
可変増幅器103は、ゲイン決定部112により決定された可変増幅器103のゲインを用いて、周波数変換部102から出力されたベースバンド信号を増幅してアナログデジタル変換部104に出力する。
【0021】
アナログデジタル変換部104は、可変増幅器103により増幅されたアナログのベースバンド信号をサンプリング及び量子化することにより、デジタルのベースバンド信号にAD(Analog Digital)変換して相関演算部105、電力演算部107及び復調部113に出力する。
【0022】
受信装置100は、後述する待受けゲイン設定部110が待受けゲインを設定した後に、受信信号の待受け状態に移行する。なお、受信装置100が信号を待ち受ける場合の低雑音増幅器101のゲインと可変増幅器103のゲインとの積(デシベルでは和)を、「待受けゲイン」と定義する。
【0023】
信号検出部DTSは、受信信号の待受け状態において、アナログデジタル変換部104により量子化された信号(以下、「量子化信号」という)の電力演算値及び相互相関値(後述参照)を基に、信号の検出の有無を判定する。信号検出部DTSは、信号を検出したと判定すると、信号を検出したことを通知するキャリアセンス信号を出力する。
【0024】
以下、相関演算部105は、量子化信号と予め保持している既知系列(後述参照)とを相関演算して相互相関値を算出する。相関検出部106は、相互相関値を用いて信号を検出する。本開示では、相関演算部105及び相関検出部106を用いて、信号の有無を判定する信号検出方法を「相関検出」と定義する。
【0025】
また、電力演算部107は、信号の電力演算値を出力する。電力検出部108は、電力演算値を用いて信号を検出する。本開示では、電力演算部107及び電力検出部108を用いて、信号の有無を判定する信号検出方法を「電力検出」と定義する。
【0026】
具体的には、パケット検出部109は、第1の信号検出の判定基準として、相関演算部105により演算された相互相関値を用い、更に、第2の信号検出の判定基準として、電力演算部107により演算された信号の電力演算値を用いる。パケット検出部109は、信号の電力演算値を基にした電力検出結果と相互相関値を基にした相関検出結果とを用いて、信号(パケット)の検出の有無を判定する。
【0027】
即ち、パケット検出部109は、表1に示す信号検出方法(即ち、電力検出又は相関検出のどちらにより信号が検出されたか)に応じて、信号の受信強度を強い又は強くないと推定し、推定結果を示す受信強度推定結果をゲイン探索範囲設定部111に出力する。表1は、信号検出方法と信号の受信強度との対応関係を示すテーブルである。
【0029】
パケット検出部109は、信号を検出したと判定すると、信号を検出したことを通知するキャリアセンス信号を出力し、更に、検出された信号が自システム(後述参照)からの信号であると判定した場合には、検出された信号を復調させるための制御信号を復調部113に出力する。
【0030】
相関演算部105は、量子化信号と相関演算部105が予め保持している既知系列との相互相関値を演算し、相互相関値を相関検出部106に出力する。既知系列は、例えばIEEE802.11adでは、
図3に示すパケットの先頭に付加されるプリアンブルPRBを構成するゴレイ系列(Golay Sequence)であるが、ゴレイ系列に限定されない。
図3は、本実施形態の受信装置100が受信するパケットの構造と、パケットの先頭に付加されるプリアンブルPRBの構造とを示す模式図である。
【0031】
受信装置100の通信相手である送信装置(不図示)は、先頭にプリアンブルPRBを付加したパケットを送信する。プリアンブルPRBは、複数の既知系列A1,A2〜ANが結合された構成である。N個の系列A1,A2〜ANは互いに等しくてもよく、符号を反転させたものでもよい。A1,A2〜ANはそれぞれ一つの既知系列Aを用いて、A又は−Aと表せる。
【0032】
つまり、相関演算部105は、複数の既知系列A1〜ANの基となる既知系列Aを保持しており、量子化信号(受信信号)の先頭に付加されたプリアンブルPRB内の複数の既知系列A1〜ANと予め保持している既知系列Aとの相互相関値を演算する(
図4(A)参照)。
図4(A)は、相関検出の説明図である。
【0033】
相関検出部106は、相関演算部105により演算された相互相関値と
図4(A)に示す所定の相関閾値とを比較し、相関演算部105により演算された相互相関値のピーク値が
図4(A)に示す相関閾値を超えるか否かを判定する。相関検出部106は、相関演算部105により演算された相互相関値のピーク値が
図4(A)に示す相関閾値を超えるか否かの判定結果をパケット検出部109に出力する。
【0034】
なお、相関閾値を適宜調整することによって、自システム(後述参照)からの信号が受信装置100において受信された場合には、相関演算部105により演算された相互相関値のピーク値は
図4(A)に示す相関閾値を超えるが、他システムからの干渉信号が受信装置100において受信された場合には、
図4(A)に示す相関閾値を超える相互相関値のピーク値は出現しない。
【0035】
これにより、パケット検出部109は、相関演算部105及び相関検出部106における相関検出により、量子化信号が自システムからの受信信号であるか又は他システムからの干渉信号であるかを判定できる。
【0036】
また、相関演算部105は、既知系列として相互相関値のサイドローブの抑圧特性が高い既知系列を用いることにより、相互相関値のピーク値のSNRを向上できる。例えば、IEEE802.11adにおいて用いられるゴレイ系列は、相互相関値のサイドローブの抑圧特性が高い。
【0037】
サイドローブを完全に抑圧できる系列であれば、理想的には相互相関値のピーク値のSNRは、量子化信号(受信信号)のSNRの系列長倍になる。例えば、系列長が128シンボルであれば、SNRが128倍になる。量子化信号(受信信号)のSNRが小さい、即ち、受信装置100が受信した信号の受信強度が弱い場合でも、相互相関値のピーク値のSNRは大きいので、相互相関値を用いた信号検出精度は高い。
【0038】
一方、受信装置100に少なくとも既知系列A1全体が受信されるまで、相関演算部105により演算された相互相関値のピーク値は出現しない。例えば
図4(A)では、既知系列の系列長が128シンボルである場合には、相互相関値のピーク値の出現は、量子化信号の受信開始から128シンボル後となる。即ち、相関検出を用いた信号検出の判定には、待ち時間が必要になる。
【0039】
電力演算部107は、待受けゲインが設定された後に、例えば信号の振幅を二乗して一定時間のサンプル(例えば16サンプル)を平均化することにより、信号の電力を演算して電力検出部108、待受けゲイン設定部110及びゲイン決定部112に出力する。
図4(B)は、電力検出の説明図である。
【0040】
本実施形態では、パケット検出部109は、電力演算部107により演算された信号の電力値に対する電力検出部108の電力検出結果を基に、信号を検出したと判定する。また、パケット検出部109は、電力演算部107により演算された信号の電力値が所定の電力閾値を超える場合に、信号を検出したと判定しても良い(
図4(B)参照)。
【0041】
なお、パケット検出部109は、信号の電力値を用いた電力検出により、自システム(例えば受信装置100と同一の通信規格(IEEE802.11ad)に対応した送信装置、以下同様。)から送信された信号以外に、他システム(例えば受信装置100と異なる通信規格に対応した送信装置、以下同様。)からの干渉信号も検出できる。
【0042】
図4(B)では、受信装置100が信号を受信したタイミングにおいて、信号と熱雑音とを合わせた合算電力値が、受信信号の時間長に対して、比較的短時間に立ち上がるので、信号検出の瞬時性が高く、即ち、信号の検出に要する時間が短い。例えば、信号の電力値が熱雑音の電力値に対して十分に大きく、通信相手から受信した信号の受信強度の強さを示す受信SNR(Signal-to-Noise Ratio)が高い場合には、信号と熱雑音とを合わせた合算電力値の立ち上がりが早い。但し、受信SNRが低くなるにつれ、信号の電力値が外部雑音により歪み、立ち上がりが遅くなるため、信号検出のタイミングも遅くなる。
【0043】
電力検出部108は、電力演算部107により演算された信号の電力値を基に、通信相手である送信装置から受信した信号の受信強度が強いか否かを判定し、信号の受信強度が強いか否かの判定結果(以下、「電力検出結果」という)をパケット検出部109に出力する。電力検出部108の詳細な動作については、
図5〜
図8を参照して後述する。
【0044】
ゲイン制御部GCNTは、受信信号の待受け状態において、アナログデジタル変換部104において量子化された熱雑音の電力を監視する。ゲイン制御部GCNTは、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果(後述参照)を用いて、パケット検出部109により検出された受信信号の電力値に応じたAGC処理におけるゲイン探索範囲を調整する。
【0045】
ゲイン制御部GCNTは、パケット検出部109により信号の検出が判定された後に、受信信号のレベルの変動幅がアナログデジタル変換部104のダイナミックレンジに収まるように、低雑音増幅器101及び可変増幅器103の各ゲインを制御する。
【0046】
待受けゲイン設定部110は、受信信号の待受け状態において、アナログデジタル変換部104により量子化された熱雑音の電力値を監視する。待受けゲイン設定部110は、量子化された熱雑音の電力値が所定の待受電力目標値となるように、低雑音増幅器101及び可変増幅器103の各ゲインを決定する。
【0047】
待受電力目標値は、例えばアナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる電力値の所定割合(例えば3割)とする。以下、待受け状態における低雑音増幅器101のゲインと可変増幅器103のゲインとの積(デシベルでは和)を「待受けゲインGs(Standby Gain)」という。
【0048】
待受けゲイン設定部110は、アナログデジタル変換部104により量子化された熱雑音の電力値が待受電力目標値となるように待受けゲインを大きな値に調整する。これにより、受信装置100は、アナログデジタル変換部104により量子化された信号の電力値が小さくても、低雑音増幅器101及び可変増幅器103において増幅された信号の電力値を、アナログデジタル変換部104の量子化分解能以上の大きさに調整できる。
【0049】
ゲイン探索範囲設定部111は、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果を用いて、表2に従って、パケット検出部109により検出された受信信号の電力値に応じたAGC処理におけるゲイン探索範囲を調整して設定する。AGC処理におけるゲイン探索範囲とは、低雑音増幅器101及び可変増幅器103の各ゲインのゲイン探索範囲である。表2は、信号の受信強度とゲイン探索範囲との関係の一例を示すテーブルである。ゲイン制御部GCNTのゲイン探索範囲設定部111の具体的な動作については、
図9を参照して後述する。
【0051】
ゲイン決定部112は、ゲイン探索範囲設定部111により設定されたゲイン探索範囲において、待受けゲイン設定部110により設定された待受けゲインと電力演算部107により演算された受信信号の電力値とを用いて、AGC処理を実行する。
【0052】
言い換えると、ゲイン決定部112は、ゲイン探索範囲設定部111により設定されたゲイン探索範囲において、パケット検出部109により検出された受信信号の電力値が所定の受信電力目標値となるように、低雑音増幅器101及び可変増幅器103の各ゲインを決定する。以下、低雑音増幅器101のゲインと可変増幅器103のゲインとの積(デシベルでは和)を、「合算ゲイン」という。
【0053】
ゲイン決定部112は、低雑音増幅器101及び可変増幅器103の各ゲインを決定した後、低雑音増幅器101のゲインを低雑音増幅器101に設定し、更に、可変増幅器103のゲインを可変増幅器103に設定する。受信電力目標値は、例えばアナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる電力値の所定割合(例えば6割)とする。なお、受信電力目標値は、待受電力目標値より高い。
【0054】
ゲイン決定部112は、アナログデジタル変換部104により量子化された受信信号の電力値が受信電力目標値より小さければ合算ゲインを大きくし、受信信号の電力値が受信電力目標値より大きければ合算ゲインを小さくする。なお、AGC処理の規定時間以内に受信信号の電力値が受信電力目標値に達しなければ、AGC処理がタイムアウトしたとして、ゲイン決定部112は、AGC処理を強制的に終了する。
【0055】
復調部113は、パケット検出部109が出力した制御信号に応じて、アナログデジタル変換部104により量子化された受信信号の復調を開始し、復調結果を復号部114に出力する。復調部113は、信号検出部DTS及びゲイン制御部GCNTにおけるAGC処理が収束した後に、
図3に示すヘッダHEDの領域、ペイロードPLDの領域の順に復調する。
【0056】
復号部114は、復調部113の復調結果に対して所定の誤り訂正復号処理し、送信装置から送信された情報ビットを復元して後段に出力する。送信装置から送信されたパケットには、ヘッダHED及びペイロードPLDに対して、所定の誤り訂正符号が付加されている。なお、ヘッダHEDは、ペイロードPLDの復調に必要となる制御情報が格納されたフィールドである。ペイロードPLDは、プリアンブルPRB及びヘッダHEDに格納される制御情報以外の情報データ、たとえば、画像データである。
【0057】
(受信装置100の電力検出部108の詳細な構成及び動作)
次に、本実施形態の受信装置100の電力検出部108の詳細な構成及び動作について、
図5〜
図8を参照して説明する。
図5は、本実施形態の電力検出部108の内部構成の一例を詳細に示すブロック図である。
図6(A)は、信号の受信強度が弱い、中程度、強い場合の電力検出のタイミングを示す説明図である。
図6(B)は、信号の受信強度が弱い、中程度、強い場合の第1の判定信号及び第2の判定信号の出力タイミングを示す説明図である。
図7は、信号の受信強度が強い、中程度である場合の第1の判定信号、ゲート信号、第2の判定信号の説明図である。
【0058】
図6(A)において、信号の受信強度が弱い場合の電力値(a)は、所定の電力閾値を超えないので電力検出による信号検出は判定されないが、相関検出による信号検出が判定されるので受信可能である。
【0059】
また、信号の受信強度が強い場合の電力値(c)は、電力演算部107による電力値の演算後に所定の電力閾値を超えるので(時刻ta)、ゲイン探索範囲が広く設定されるが、信号検出までに時間が短いため(時刻ta)、AGC処理の収束時間が長くても受信可能である。時刻taは、信号の受信強度が強い場合の電力検出による信号の検出タイミングである。
【0060】
ところが、信号の受信強度が中程度である場合の電力値(b)は、例えば外部雑音の影響により、所定の電力閾値付近を推移し、電力閾値を超えるか超えないか不確定性があるため、信号の検出までに要する時間が長くなる(時刻tb)。時刻tbは、信号の受信強度が中程度である場合の電力検出による信号の検出タイミングである。従って、信号の受信強度が中程度である場合には、電力検出に要する時間が長くなる場合があり、相関検出に要する時間と同程度になることがある。
【0061】
このため、信号の受信強度が中程度である場合の電力値(b)は、時刻tbにおいて電力検出により信号が検出されたと判定され、ゲイン探索範囲が広い範囲に設定されるため、ゲイン決定部112におけるAGC処理の収束時間が長くなる。また、電力検出までに要する時間とAGC処理の収束までに要する時間との両方が長くなると、復調部113における復調の開始が遅れ、復号部114において復元された情報ビットにエラーが発生する可能性が高くなる。
【0062】
本実施形態では、電力検出部108は、受信信号のSNR、即ち、通信相手から送信された信号の受信強度が中程度である場合には相関検出により信号を検出し、更に、受信信号のSNR(信号の受信強度)が強い場合に電力検出する方法を用いる。
【0063】
従って、通信相手から送信された信号の受信強度が中程度である場合には、信号検出部DTSは相関検出により信号を検出し、ゲイン探索範囲設定部111は、AGC処理におけるゲイン探索範囲を狭くする。これにより、ゲイン決定部112におけるAGC処理の収束までに要する時間が短くなるので、受信装置100は、復調部113における復調開始の遅延を抑制し、受信エラーの発生を抑制できる。
【0064】
次に、
図5に示す電力検出部108の具体的な構成及び動作について説明する。
図5に示す電力検出部108は、電力値第1判定部201と、電力値第2判定部202と、ゲート信号発生部203と、ゲート部204を有する。
【0065】
電力値第1判定部201は、電力演算部107により演算された信号の電力値(以下、「演算電力値」という)と所定の第1の電力閾値とを比較し、信号の演算電力値が第1の電力閾値を超える場合に第1の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第1電力閾値は、アナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる信号の電力値の所定割合であって、待受電力目標値を超える割合(例えば5割)とする。
【0066】
電力値第2判定部202は、電力演算部107により演算された信号の演算電力値と所定の第2の電力閾値とを比較し、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超える場合に第2の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第2電力閾値は、アナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる信号の電力値の所定割合であって、待受電力目標値を超える割合(例えば7割)とする。
【0067】
ゲート信号発生部203は、第1の判定信号を入力してから所定のゲート期間(例えば
図7に示す時刻tgsから時刻tgeまでの間)、ゲート信号を発生する。なお、所定のゲート期間は、復調部113における信号の復調の開始が遅延しないように、電力検出に許される遅延時間より短く設定される。
【0068】
例えば、所定期間は、相関検出による信号検出に、プリアンブルPRBを構成する1つの既知系列に対応する時間を要する場合には、1つの既知系列に対応する時間の8割とする。また、例えば、所定期間は、相関検出による信号検出に、プリアンブルPRBを構成する3つの既知系列に対応する時間を要する場合には、1つの既知系列に対応する時間の2.5倍とする。
【0069】
ゲート部204は、ゲート信号が出力されている期間、即ち上述したゲート期間において、第2の判定信号が入力された場合に、受信SNR、即ち、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力する(
図7の「(c)の場合」に対応)。
【0070】
図6(B)において、信号の受信強度が弱い場合の電力値(a)では、信号の演算電力値は第1の電力閾値を超えた時刻t1において第1の判定信号が出力されるが、信号の受信強度によっては、信号の演算電力値は第1の電力閾値を超えないこともある(
図7では図示しない)。
【0071】
また、信号の受信強度が中程度である電力値(b)では、信号の演算電力値は第1の電力閾値を超えた時刻t1において第1の判定信号が出力され、時刻t2’に、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超える。時刻t2’までの時間は、ゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えるため、第2の判定信号が出力されない(
図7の「(b)の場合」に対応)。
【0072】
更に、信号の受信強度が強い場合の電力値(c)では、信号の演算電力値は第1の電力閾値を超えた時刻t1において第1の判定信号が出力され、時刻t2において、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超える。時刻t2は、ゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えないため、第2の判定信号が出力される(
図7の「(c)の場合」に対応)。
【0073】
なお、第1の判定信号が出力されるタイミングは、信号の受信強度に応じて若干変化するが、説明を簡単にするために、信号の受信強度が(a)〜(c)に示す各電力値が第1の電力閾値を超える時刻は同一としている。
【0074】
また、
図7では、信号の受信強度が弱い場合(
図6(B) 信号の受信強度が弱い場合の電力値(a))には、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超えないので、第2の判定信号は出力されず、電力検出信号も生成されない(
図7では図示しない)。
【0075】
信号の受信強度が中程度である場合には(
図7に示す「(b)の場合」を参照)、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超えるタイミングは、信号の演算電力値が第1の電力閾値を超えた時刻t1(=時刻tgs)から時刻tgeまでの期間ではないので、電力検出信号は生成されない。
【0076】
一方、信号の受信強度が強い場合には(
図7に示す「(c)の場合」を参照)、信号の演算電力値が第2の電力閾値を超えるタイミングは、信号の演算電力値が第1の電力閾値を超えた時刻t1(=時刻tgs)から時刻tgeまでの期間であるため、電力検出信号が生成される。
【0077】
以上により、電力検出部108は、受信装置100が受信した信号の受信強度が強い場合に、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力でき、信号の受信強度が強くない場合(中程度、弱い場合)に、電力検出信号はパケット検出部109へ出力されない。
【0078】
なお、ゲート期間内に、第2の電力閾値超えになった後に、第2の電力閾値を下回った場合は電力検出信号が生成されるが、広いゲイン範囲を探索する(表1と表2を参照)ための時間は確保されているため、受信可能となる。
【0079】
次に、本実施形態の受信装置100の電力検出部108における電力検出の動作について、
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態の受信装置100の電力検出部108における電力検出の動作手順の一例を説明するフローチャートである。
【0080】
図8において、電力検出部108は、電力演算部107により演算された演算電力値が所定の第1の電力閾値を超えるか否かを電力値第1判定部201において判定する(S1)。電力検出部108は、電力演算部107により演算された演算電力値が所定の第1の電力閾値を超えると判定した場合に(S1、YES)、所定期間(時刻tgsから時刻tgeまでの時間)、ゲート信号をゲート信号発生部203において出力する(S2)。
【0081】
電力検出部108は、ゲート信号発生部203においてゲート信号が出力されている間に(S3、YES)、電力演算部107により演算された演算電力値が所定の第2の電力閾値を超えると判定した場合に(S4、YES)、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力する(S5)。
【0082】
(受信装置100のゲイン探索範囲設定部111におけるゲイン探索範囲の設定)
次に、本実施形態の受信装置100のゲイン探索範囲設定部111におけるゲイン探索範囲の設定の詳細な動作について、
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態の受信装置100のゲイン探索範囲設定部111におけるゲイン探索範囲の設定の動作手順の一例を説明するフローチャートである。
【0083】
図9において、ゲイン探索範囲設定部111は、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果を取得する(S11)。ゲイン探索範囲設定部111は、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果が強いか否かを判定する(S12)。
【0084】
ゲイン探索範囲設定部111は、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果が強いと判定した場合には(S12、YES)、AGC処理におけるゲイン探索範囲を広くする(S13)。例えば、ゲイン探索範囲設定部111は、ゲイン決定部112における合算ゲインの制御範囲を最大範囲に調整することにより、ゲイン探索範囲を広くする。合算ゲインGの制御範囲の最大範囲とは、例えば低雑音増幅器101のゲインと可変増幅器103のゲインとの和である合算ゲインの最小値をGmin、合算ゲインの最大値をGmaxとし、[Gmin,Gmax]の範囲である。
【0085】
即ち、受信信号の電力値が第2の電力閾値を超える程に大きい場合には、受信信号の受信SNRが大きく、電力の立ち上がりが早い。従って、相関検出により信号が検出されるタイミングよりも、電力検出により信号が検出されるタイミングの方が早い。
【0086】
従って、電力検出により信号が検出されるタイミングが相関検出により信号が検出されるタイミングよりも早い場合には、ゲイン探索範囲設定部111は、受信装置100が受信した信号の受信強度が強いと推定できる。合算ゲインは現在の設定値から大きく下げられる必要があるので、ゲイン探索範囲設定部111は、AGC処理における合算ゲインのゲイン探索範囲を広くする。
【0087】
一方、ゲイン探索範囲設定部111は、パケット検出部109から出力された受信強度推定結果が強くないと判定した場合には(S12、NO)、AGC処理におけるゲイン探索範囲を、合算ゲインの値が大きくなる範囲となるように狭くする(S14)。例えば、合算ゲインの値が大きくなる範囲とは、合算ゲインの制御範囲の制限率をRn(例えば0.3程度の値)とし、[Rn×Gmax,Gmax]の範囲である。
【0088】
即ち、受信信号の電力値が第1の電力閾値又は第2の電力閾値を超えない場合には、受信信号の受信SNRが小さい。電力検出による信号検出ではなく、相関検出により信号が検出されると考えられる。
【0089】
従って、ゲイン探索範囲設定部111は、受信装置100が受信した信号の受信強度が強くない(中程度、弱い)と推定できる。合算ゲインは現在の設定値から大きく下げられる必要は無いので、ゲイン探索範囲設定部111は、AGC処理における合算ゲインのゲイン探索範囲を狭くする。
【0090】
これにより、ゲイン決定部112におけるAGC処理の収束時間が短くなり、更に、所定のプリアンブルPRBに対応した相関検出による信号の検出時間が長くても、ゲイン決定部112は、AGC処理の収束時間を短縮できる。即ち、復調部113における復調開始の遅延を抑制できる。
【0091】
このように、受信装置100は、パケット検出部109において電力検出又は相関検出のどちらにより信号が検出されたかを判定し、先に信号が検出された信号検出方法に従って、AGC処理における合算ゲインのゲイン探索範囲を設定できる。
【0092】
なお、本実施形態の受信装置100の電力検出部は、
図5に示す電力検出部108の構成に限定されない。以下、電力検出部の変形例について、図面を参照して説明する。
【0093】
(第1の変形例の電力検出部108aの詳細な構成及び動作)
第1の変形例の電力検出部108aの詳細な構成及び動作について、
図10(A)及び
図10(B)を参照して説明する。
図10(A)は、第1の変形例の電力検出部108aの内部構成を詳細に示すブロック図である。
図10(B)は、信号の受信強度が強い、中程度である場合の計数部出力の関係の一例を示す説明図である。
【0094】
図10(A)に示す電力検出部108aは、電力値判定部301と、計数部302と、計数値第1判定部303と、計数値第2判定部304と、ゲート信号発生部203と、ゲート部204とを有する。
図10(A)に示す電力検出部108aの各部の説明において、
図5に示す電力検出部108の各部と同一の内容についての説明は省略又は簡略化し、異なる内容について説明する。
【0095】
電力値判定部301は、電力演算部107により演算された信号の演算電力値と所定の電力判定閾値とを比較し、信号の演算電力値と電力判定閾値との比較結果を計数部302に出力する。電力判定閾値は、例えばアナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる信号の電力値の所定割合であって、待受電力目標値より大きな割合(例えば5割)とする。
【0096】
計数部302は、電力値判定部301からの出力を基に、電力演算部107により演算された信号の演算電力値が電力判定閾値を超えている状態をカウントし、すなわち、信号が閾値を超過している間、所定間隔毎にカウント値を1ずつ増加させ、その結果(計数値)を計数値第1判定部303及び計数値第2判定部304に出力する。
【0097】
計数部302は、電力演算部107により演算された信号の演算電力値が所定期間にわたって連続して特定の値未満になった場合には、計数値を0(ゼロ)にリセットする。受信装置100が受信する信号の受信強度が中程度である場合には、演算電力値が
図6(B)に示す第2の電力閾値を超えたり超えなかったりするので、計数部302における計数値のカウント頻度が低下する。
【0098】
計数値第1判定部303は、計数部302により出力された計数値と所定の第1の計数閾値とを比較し、計数部302により出力された計数値が第1の計数閾値を超える場合に第1の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第1の計数閾値は、電力値第1判定部201が用いる第1の電力閾値に対応する所定値である。
【0099】
計数値第2判定部304は、計数部302により出力された計数値と所定の第2の計数閾値とを比較し、計数部302により出力された計数値が第2の計数閾値を超える場合に第2の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第2の計数閾値は、電力値第2判定部202が用いる第2の電力閾値に対応する所定値である。
【0100】
図10(B)では、信号の受信強度が弱い場合の電力値(a)は、電力値判定部301における電力判定閾値未満となるため、第1の判定信号及び第2の判定信号は出力されないので、
図10(B)に示さず、説明も割愛する。
【0101】
また、信号の受信強度が中程度である電力値(b)では、信号の演算電力値に対応する計数値は第1の計数閾値を超えた時刻t1’において第1の判定信号が出力され、時刻t2’において、信号の演算電力値に対応する計数値が第2の計数閾値を超える。時刻t2’は、
図7に示すゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えるため、第2の判定信号が出力されない。
【0102】
また、信号の受信強度が強い場合の電力値(c)では、信号の演算電力値に対応する計数値は第1の計数閾値を超えた時刻t1において第1の判定信号が出力され、時刻t2において、信号の演算電力値が第2の計数閾値を超える。時刻t2は、
図7に示すゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えないため、第2の判定信号が出力される。
【0103】
これにより、
図10(A)に示す電力検出部108aの構成を用いた場合でも、電力検出部108aは、
図5に示す電力検出部108と同様に、受信装置100が受信した信号の受信強度が強い場合に、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力でき、信号の受信強度が強くない場合(中程度、弱い場合)に、電力検出信号はパケット検出部109へ出力されない。
【0104】
(第2の変形例の電力検出部108bの詳細な構成及び動作)
第2の変形例の電力検出部108bの詳細な構成及び動作について、
図11を参照して説明する。
図11は、第2の変形例の電力検出部108bの内部構成を詳細に示すブロック図である。
【0105】
図11に示す電力検出部108bは、電力値判定部301と、計数部302と、遅延部401と、減算部402と、回数判定部403とを有する。
図11に示す電力検出部108bの各部の説明において、
図10(A)に示す電力検出部108aの各部と同一の内容についての説明は省略又は簡略化し、異なる内容について説明する。
【0106】
計数部302は、電力値判定部301からの出力を基に、電力演算部107により演算された信号の演算電力値が電力判定閾値を超えている状態をカウントし、すなわち、信号が閾値を超過している間、所定間隔毎にカウント値を1ずつ増加させ、その結果(計数値)を遅延部401及び減算部402に出力する。つまり、
図10(B)と同様に、時間増加に対して、計数部の出力が増加する。
【0107】
図10(A)に示す電力検出部108aは、計数値第1判定部303、計数値第2判定部304、ゲート信号発生部203及びゲート部204の構成において、所定期間における計数部302の出力(計数値)の増分、即ち、時間に対する傾きに応じて、受信装置100が受信した信号の受信強度が強いか否かを判定していることと等価である。
【0108】
これに対して、
図11に示す電力検出部108bは、計数部302の出力(計数値)を所定期間、遅延部401において遅延させる。遅延部401は、計数部302の出力(計数値)を所定期間、遅延させて減算部402に出力する。
【0109】
つまり、
図10(B)を用いて説明すると、所定期間の遅延がt2−t1であれば、計数部302から減算部402に入力される値は時刻t2のカウントとなり、遅延部401から減算部402に入力される値は時刻t1のカウント値となる。
【0110】
減算部402は、計数部302の出力(計数値)と、遅延部401により遅延された計数部302の出力(計数値)とを減算し、減算結果を回数判定部403に出力する。これにより、減算部402は、所定時間における計数部302の出力(計数値)の増分を求めることができる。つまり、所定期間の遅延がt2−t1であれば、時刻t2のカウントから時刻t1のカウント値を減算した値となる。
【0111】
回数判定部403は、減算部402の出力と所定の回数閾値とを比較し、減算部402の出力が回数閾値を超えた場合に、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力する。
【0112】
これにより、
図11に示す電力検出部108bの構成を用いた場合でも、電力検出部108bは、
図5に示す電力検出部108と同様に、受信装置100が受信した信号の受信強度が強い場合に、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力でき、信号の受信強度が強くない場合(中程度、弱い場合)に、電力検出信号はパケット検出部109へ出力されない。
【0113】
(第3の変形例の電力検出部108cの詳細な構成及び動作)
第3の変形例の電力検出部108cの詳細な構成及び動作について、
図12(A)及び
図12(B)を参照して説明する。
図12(A)は、第3の変形例の電力検出部108cの内部構成を詳細に示すブロック図である。
図12(B)は、信号の受信強度が強い、中程度である場合の計数部出力の関係の一例を示す説明図である。
【0114】
図12(A)に示す電力検出部108cは、電力値判定部501と、電力積分部502と、積分値第1判定部503と、積分値第2判定部504と、ゲート信号発生部203と、ゲート部204とを有する。
図12(A)に示す電力検出部108cの各部の説明において、
図5に示す電力検出部108の各部と同一の内容についての説明は省略又は簡略化し、異なる内容について説明する。
【0115】
電力値判定部501は、電力演算部107により演算された信号の演算電力値と所定の電力積分閾値とを比較し、信号の演算電力値が電力積分閾値を超えた場合に積分開始信号を電力積分部502に出力する。電力積分閾値は、例えばアナログデジタル変換部104の出力振幅が最大となる信号の電力値の所定割合であって、待受電力目標値より大きな割合(例えば5割)とする。
【0116】
電力積分部502は、電力値判定部501から出力された積分開始信号を基に、電力演算部107により演算された信号の演算電力値の時間積分を開始する。電力積分値は、受信装置100が受信した信号の受信強度が強い場合には、信号の受信強度が中程度である場合よりも早く増加する。電力積分部502は、電力演算部107により演算された信号の演算電力値の積分値を積分値第1判定部503及び積分値第2判定部504に出力する。
【0117】
積分値第1判定部503は、電力積分部502により出力された積分値と所定の第1の積分閾値とを比較し、電力積分部502により出力された積分値が第1の積分閾値を超える場合に第1の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第1の積分閾値は、電力値第1判定部201が用いる第1の電力閾値に対応する所定値である。
【0118】
積分値第2判定部504は、電力積分部502により出力された積分値と所定の第2の積分閾値とを比較し、電力積分部502により出力された積分値が第2の積分閾値を超える場合に第2の判定信号をゲート信号発生部203に出力する。第2の積分閾値は、電力値第2判定部202が用いる第2の電力閾値に対応する所定値である。
【0119】
図12(B)では、図示しない信号の受信強度が弱い場合の電力値(a)は、電力値判定部501における電力判定閾値未満となるため、第1の判定信号及び第2の判定信号は出力されず、説明を割愛する。
【0120】
また、信号の受信強度が中程度である電力値(b)では、信号の演算電力値に対応する積分値は第1の積分閾値を超えた時刻t1’において第1の判定信号が出力され、時刻t2’において、信号の演算電力値に対応する積分値が第2の積分値を超える。時刻t2’は、ゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えるため、第2の判定信号は出力されない。
【0121】
更に、信号の受信強度が強い場合の電力値(c)では、信号の演算電力値に対応する積分値は第1の積分閾値を超えた時刻t1において第1の判定信号が出力され、時刻t2において、信号の演算電力値が第2の積分閾値を超える。時刻t2は、ゲート信号が出力される時刻tgsから時刻tgeまでの時間を超えないため、第2の判定信号が出力される。
【0122】
これにより、
図12(A)に示す電力検出部108cの構成を用いた場合でも、電力検出部108cは、
図5に示す電力検出部108と同様に、受信装置100が受信した信号の受信強度が強い場合に、通信相手から送信された信号の受信強度が強い旨を示す電力検出結果を含む電力検出信号をパケット検出部109に出力でき、信号の受信強度が強くない場合(中程度、弱い場合)に、電力検出信号はパケット検出部109へ出力されない。
【0123】
以上、図面を参照して各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0124】
上述した本開示では、受信装置100を、例えばハードウェア資源を用いて構成する場合を例示して説明したが、受信装置100の一部の構成については、ハードウェア資源と協働するソフトウェアを用いて構成しても良い。
【0125】
また、上述した本実施形態の受信装置100の各部(構成要素)は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。LSIは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全ての構成要素を含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0126】
また、集積回路化の手法にはLSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いて実現しても良い。LSIの製造後に、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続、設定が再構成可能なリコンフィグラブル・プロセッサを用いても良い。
【0127】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、その技術を用いて受信装置100の各部を集積化しても良い。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。