(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225046
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】車両用樹脂モールの曲げ加工方法
(51)【国際特許分類】
B29C 53/02 20060101AFI20171023BHJP
B60J 10/75 20160101ALI20171023BHJP
【FI】
B29C53/02
B60J10/75
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-33965(P2014-33965)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-157437(P2015-157437A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】近藤 篤生
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−39914(JP,A)
【文献】
特開昭63−172632(JP,A)
【文献】
特開2003−94514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 53/00−53/84
B21D 5/00− 9/18
B60J 10/00−10/90
B60J 1/00− 1/20
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用樹脂モールの長手方向の少なくとも曲げ予定部分に、上記樹脂モールとは異なる材料からなる芯材をセットするステップ、
上記樹脂モール曲げ予定部分にパンチを当接させて曲げ荷重を与えるステップ、及び
曲げ加工の終了した樹脂モールから芯材を取り除くステップ、
を備え、
上記曲げ荷重は、樹脂モールに塑性変形を与える大きさであること、及び
上記曲げ荷重は、上記芯材を塑性変形させない大きさであること、
を特徴とする車両用樹脂モールの曲げ加工方法。
【請求項2】
請求項1記載の車両用樹脂モールの曲げ加工方法において、
上記曲げ荷重を与えるステップの前に、上記樹脂モールの少なくとも曲げ予定部分周辺を所定の温度にする加熱ステップを有する車両用樹脂モールの曲げ加工方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用樹脂モールの曲げ加工方法において、
上記芯材は、上記樹脂モールの曲げ予定部分の仮想曲率中心から遠い側に、上記樹脂モールに沿う連続部を有し、近い側に同連続部から延びる櫛歯状部を有する車両用樹脂モールの曲げ加工方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の車両用樹脂モールの曲げ加工方法において、
上記樹脂モールと芯材のセット材に曲げ荷重を与える曲げ荷重付与機構は、樹脂モールの曲げ予定部分に対して可変の荷重を与えることができる可変荷重付与機構である車両用樹脂モールの曲げ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用樹脂モールを曲げ加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトモール等の車両用モールは、金属材料を含むモール(金属材料(例えばSUS)と樹脂材料(例えばPP、TPO、PVC等)の合成モール)と、樹脂材料のみからなる樹脂モールとに大別される。金属材料を含むモールは、金属材料に塑性変形を与えることで容易に曲げ加工ができるが、樹脂材料のみからなる樹脂モールは、金属材料を含むモールに比して曲げ加工が困難である。例えば特許文献1は、樹脂モールをマイクロ波に感応するマイクロ波感応性樹脂材料と感応しないマイクロ波非感応性樹脂材料とから構成し、マイクロ波感応性樹脂材料部分にマイクロ波を照射した後にプレス成形することで樹脂モールを曲げ加工する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-94514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の曲げ加工方法は、特定の樹脂材料を用いるものであって汎用性に欠ける。また、プレス型による型形状を樹脂モールに転写するという技術常識に基づくものである。さらに、樹脂モールを曲げ加工するとき、樹脂モールに芯材を組合せることが行われている(例えば特許文献1)が、従来は芯材が使い捨てであり、加工コストが高いという問題があった。
【0005】
本発明は、樹脂モールを構成する樹脂材料を問わずに曲げ加工ができる車両用樹脂モールの曲げ加工方法を得ることを目的とする。また、本発明は樹脂モールに組み合わせる芯材の繰り返し使用ができる曲げ加工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両用樹脂モールを変形させる際の曲げ荷重(変位量)を、該樹脂モールを塑性変形させるに十分な荷重(変位量)に設定する一方、樹脂モールを所定形状に変形させる補助具として、繰り返し使用可能な芯材を用いるという着眼に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明の車両用樹脂モールの曲げ加工方法は、樹脂モールの長手方向の少なくとも曲げ予定部分に、上記樹脂モールとは異なる材料からなる芯材をセットするステップ、上記樹脂モール曲げ予定部分にパンチを当接させて曲げ荷重を与えるステップ、及び曲げ加工の終了した樹脂モールから芯材を取り除くステップ、を備え、上記曲げ荷重は、樹脂モールに塑性変形を与える大きさであり、かつ、上記芯材を塑性変形させない大きさであること、ことを特徴としている。
【0008】
好ましくは、曲げ荷重を与えるステップの前に、該樹脂モールの少なくとも曲げ予定部分周辺を所定の温度(例えば120〜150℃)にする加熱ステップを加えることが好ましい。樹脂モールに対しより確実に塑性変形を与えることができる。
【0009】
樹脂モールは、PP、TPO、PVC等の一種以上の樹脂材料を用い、二色(複数色)成形を含む押出成形で製造するのが一般的である。また、その一様断面形状は、問わないが、成形終了時には直線状をなしている。具体的に、ベルトモールでは、車両ドアのアウタパネル上縁に被着される断面逆U字状部を有し、該断面逆U字状部の内外に、弾性リップ(窓ガラスと摺接するスタビライザリップ、あるいはアウタパネルと弾接するボディタッチリップ等)が突出形成される。
【0010】
芯材は、樹脂モールに塑性変形を与える曲げ荷重によっては塑性変形せず元形状に復元可能な材料及び形状とする。「元形状」は変形前の樹脂モールに沿う形状であり、「元形状に復元可能」とは、樹脂モールと一緒を曲げた後、塑性変形した樹脂モールから取り外した芯材が、弾性的に元形状に復元することができる性質を言う。芯材の復元能力は、繰り返し使用によって低下するが、本発明の芯材は、複数回使用可能な復元性を備えていればよい。
【0011】
芯材の材質としては、ナイロン(ナイロン6)が最も好ましい。またその形状は、樹脂モールの曲げ予定部分の仮想曲率中心から遠い側に、樹脂モールに沿う連続部を有し、近い側に同連続部から延びる櫛歯状部を有することが好ましい。
【0012】
樹脂モールと芯材のセット材に曲げ荷重を与える曲げ荷重付与機構は、型形状を樹脂モールに転写するものではない。すなわち、樹脂モールの曲げ予定部分に対して可変の荷重(変形、変位)を与えることができる荷重付与機構を用いる。このような可変荷重付与機構によると、樹脂モールのスプリングバック量を考慮しながら、樹脂モールに与える変形量を可変することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂モールを構成する樹脂材料を問わずに曲げ加工ができる樹脂モールの曲げ加工方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の曲げ加工方法によって形成するベルトモールの形状の一例及びドアパネルへの装着例を示す側面図である。
【
図3】押出成形終了後の直線状のベルトモールに対して芯材を装着する状態を示す側面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】ベルトモールと芯材のセット材に対して曲げ加工を施す荷重付与機構の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車両ドアの樹脂ベルトモールの曲げ加工に適用した実施形態を説明する。
図1は、曲げ加工を要する樹脂ベルトモールの一例を示している。押出成形の終了したベルトモール10は一様断面材であり、
図1の最上部に示すように直線状をしている。一方、この直線状ベルトモール10を装着する車両ドア20のアウタパネル21の上縁21Eは側面視曲線状をなしており、直線状ベルトモール10は装着できない。そこで、直線状ベルトモール10に上縁21Eの側面形状に沿う曲げ(塑性変形)を与えて曲げベルトモール10Cとし、この曲げベルトモール10Cをアウタパネル21の上縁21Eに装着する。車両ドア20は、アウタパネル21の上方に窓開口を形成するドアサッシュ22を有し、このドアサッシュ22(窓開口)内を窓ガラスGが昇降する。
【0016】
図2は、曲げベルトモール10C(直線状ベルトモール10)の断面形状(構造)の一例を示している。直線状ベルトモール10は、アウタパネル21の上縁21Eに被着される断面逆U字状部11を有し、この断面逆U字状部11の窓ガラスG側に上下二段にシールリップ12、13が一体に突出形成されている。シールリップ12と13の窓ガラスGとの接触部には植毛12H、13Hが施されている。また、断面逆U字状部11の車外側の外面には装飾カバー部材14が一体に成形され、断面逆U字状部11の車外側の下端部及び内面にはボディタッチリップ15、16が一体に成形されている。これら断面逆U字状部11ないしボディタッチリップ15、16は、複数の材料、例えば、PP、TPO、PVC等の樹脂材料から二色成形(複数色成形)されている。直線状ベルトモール10を構成する樹脂材料、その組合わせ及び形状構造は、多種が知られており、本発明はこれらを問わない。
図2は一例を示すものである。また、直線状ベルトモール10(または曲げベルトモール10C)には、押出成形後に追加工(不要部分の除去加工)を施すことが一般的に行われるが、本発明はこれら追加工の有無及び態様を問わない。
【0017】
曲げベルトモール10Cは、
図1に示すように、その長手方向の一カ所の曲げ予定部分Bを、仮想曲率中心Oを中心とする曲率半径Rで曲げた、曲げ部分が一カ所のみの単純曲げ形状をしている。
図3ないし
図5は、押出成形終了後の直線状ベルトモール10と、この直線状ベルトモール10に結合され、直線状ベルトモール10の曲げ加工時に、該直線状ベルトモール10と一緒に曲げられる(曲げ応力を受ける)芯材30を示している。
【0018】
芯材30は、直線状ベルトモール10の曲げ加工に繰り返し使用(少なくとも複数回使用)が可能な形状及び材料から構成されている。すなわち、芯材30は、直線状ベルトモール10に塑性変形を与える曲げ荷重(変位)によっては塑性変形せず直線状に復元可能な材料及び形状とする。芯材30を元形状に復元可能とするには、該芯材30の形状を考慮して、塑性変形したベルトモール10から芯材30を外したとき自身の弾性によって自動復元するようにその材質を選定することが最も望ましい。芯材30の復元能力は、繰り返し使用によって低下するが、本実施形態の芯材30は、複数回使用可能な復元性を備えていればよい。
【0019】
図示実施形態の芯材30は、直線状態では、直線状ベルトモール10の曲げ予定部分Bの仮想曲率中心Oから遠い側に、直線状ベルトモール10に沿う連続部31を有しており、この連続部31から、仮想曲率中心Oに接近する側に向けて該連続部31の延長方向に直交する方向に延びる櫛歯状部32を有している。櫛歯状部32は、互いに平行な第1櫛歯状部32aと、第2櫛歯状部32bとを有し、両者の間に、溝部33が形成されている。第1櫛歯状部32aは、直線状ベルトモール10の断面逆U字状部11内に挿入されるもので、その先端部は断面逆U字状部11の底部の内面傾斜に沿う斜面32a1とされ、第2櫛歯状部32bの先端部は、シールリップ12の内面(下面)傾斜に沿う斜面32b1とされている。また、溝部33内には、直線状ベルトモール10の断面逆U字状部11の車内側壁と、弾性変形させたシールリップ13が挿入される。
【0020】
芯材30の材質は、具体的には、ナイロン6とすることが最も好ましい。
【0021】
図4に示すように、芯材30を直線状ベルトモール10に正しく装着した状態では、溝部33内に、直線状ベルトモール10の断面逆U字状部11の車内側壁と、弾性変形させたシールリップ13が挿入され、断面逆U字状部11の車内側壁の下端部11aは溝部33の底部に接触し、第1櫛歯状部32aの先端斜面32a1は断面逆U字状部11の底部と接触し、第2櫛歯状部32bの先端斜面32b1はシールリップ12の内面(下面)と接触する。一方、芯材30には、第1櫛歯状部32aの溝部33とは反対側に受け面34が形成されていて、芯材30を直線状ベルトモール10に正しく装着した状態では、直線状ベルトモール10のボディタッチリップ15は、この受け面34から離間している。このようにボディタッチリップ15を受け面34(芯材30)から離間させることで、曲げ加工時の該ボディタッチリップ15の変形やへたりを防止することができる。
【0022】
図6、
図7は、芯材30と組み合わせる前の直線状ベルトモール10を加熱する加熱装置40の概念図である。この例は、2本の直線状ベルトモール10を一緒に(同時に)加熱するもので、2本のシリンダ装置41と、1つの加熱炉42とを有している。2本の直線状ベルトモール10は、2本のシリンダ装置41のピストンロッド41aの先端にそれぞれセットされ、ピストンロッド41aを進退させることで、直線状ベルトモール10が加熱炉42内に進退する。加熱炉42は、ヒータ42aによる加熱空気をダクト42b(
図7)を介して炉内に供給する。このシリンダ装置41による直線状ベルトモール10の加熱炉42内への挿入位置は、直線状ベルトモール10の曲げ予定部分Bのモール長手方向の前後所定範囲が加熱されるように定める。加熱温度及び加熱時間は、直線状ベルトモール10の形状材質に応じ、直線状ベルトモール10の断面逆U字状部11が所定温度(例えば120〜150℃)になるように定める。
【0023】
図8ないし
図10は、以上の加熱装置40によって加熱された直線状ベルトモール10に対し、
図4のように芯材30をセットした2本のセット材に同時に曲げ荷重(変位)を与える曲げ荷重付与機構(プレス機構)50を示している。この曲げ荷重付与機構50は、基台51と、油圧シリンダ装置52(
図10)によって基台51に対して進退(昇降)移動する昇降台53とを備えている。基台51と昇降台53には、直線状ベルトモール10と芯材30のセット材に対し曲げ荷重を与えるダイス54とパンチ55が備えられている。図示例は、2本のセット材に同時に曲げ荷重を与えるため、ダイス54とパンチ55も一対が備えられているが、一対のダイス54とパンチ55は同一または対称構造であるため、一方のみを説明する。
【0024】
ダイス54は、直線状ベルトモール10(芯材30)の長手方向に離間して位置する一対の支持脚54a(
図9)と、直線状ベルトモール10(芯材30)の長手方向と直交する方向に離間し、かつこの支持脚54aを挟んで位置する一対の縦壁54bと、この一対の縦壁54bの間に位置する曲面型54cとを有している。曲面型54cの上面には、凹曲面54c1が形成されている。
【0025】
パンチ55は、以上のダイス54の一対の縦壁54bの間に位置しており、その下面に、凹曲面54c1に対応する曲率の凸曲面55aが形成されている。この凸曲面55aの下面(曲面型54c側の面)は、ダイス54の一対の縦壁54bに直交する断面において、直線状ベルトモール10の上端の傾斜断面方向と同一の方向に傾斜している(
図10)。一方、ダイス54の凹曲面54c1は、同断面方向において芯材30の底面と平行な水平をなしている。
【0026】
ダイス54の凹曲面54c1とパンチ55の凸曲面55aは、油圧シリンダ装置52により昇降台53を基台51に最大に接近させた状態でも互いに接触することはない。つまり、ダイス54とパンチ55は、その型形状を直線状ベルトモール10(と芯材30)に転写するものではなく、曲げ加工中にプレス装置のような型閉じ状態は生じることはない。そして、油圧シリンダ装置52によって、パンチ55のダイス54に対する接近量(変位量)を調節することができる。
【0027】
以上の曲げ荷重付与機構50による直線状ベルトモール10と芯材30のセット材に対する曲げ加工は次のように行われる。
図9に示すように、直線状ベルトモール10と芯材30のセット材は、芯材30を下方にして、ダイス54の一対の縦壁54bの間に挿入され、一対の支持脚54aの上にセットされる。このとき、直線状ベルトモール10は、その曲げ予定部分Bの位置をパンチ55の凸曲面55aの最下点と一致させる。
【0028】
このセット状態で、油圧シリンダ装置52により昇降台53(ダイス54)を下降させると、パンチ55の最下点が直線状ベルトモール10の曲げ予定部分Bに当接し、直線状ベルトモール10に対する曲げ加工が開始される。この曲げ加工においては、断面逆U字状部11の車内側壁の下端部11aは溝部33の底部に接触し、第1櫛歯状部32aの斜面32a1は断面逆U字状部11の逆U字状部底部と接触し、第2櫛歯状部32bの斜面32b1はシールリップ12の内面(下面)と接触しているため、直線状ベルトモール10と芯材30の間に隙間が生じることがなく、両者は一緒に変形する。
【0029】
油圧シリンダ装置52によって直線状ベルトモール10と芯材30のセット材に与える荷重(パンチ55のダイス54側への変位量)は、曲げ加工後のベルトモール10(10C)のスプリングバック量を考慮して、曲げベルトモール10Cの曲げ予定部分B点が一旦曲率半径Rより小さくなるように変形するように定める。このように、ダイス54とパンチ55を型閉じ状態とすることなく直線状ベルトモール10(及び芯材30)に対する曲げ加工を施すことで、直線状ベルトモール10に与える曲げ荷重(変位量)を調節することができ、曲げベルトモール10Cの曲げ予定部分B点の曲率を設計値に近づけることが容易にできる。
【0030】
また、パンチ55の凸曲面55aの直線状ベルトモール10との接触部分Bの曲率半径をr(
図9)とすると、この曲率半径rは、曲げ加工の終了した曲げベルトモール10Cの曲率半径R(
図1)より小さくすることが実際的である。パンチ55の凸曲面55aは、曲げ加工中に、ベルトモール10(10C)に中央部のみが部分的に接触する態様も全面的に接触させる態様も可能である。また、曲げ加工の途中において曲げベルトモール10Cがダイス54の凹曲面54c1と全面的に接触することはないので、凹曲面54c1の形状精度を高くする必要はない。
【0031】
なお、図示実施形態では、曲げ加工中にダイス54とパンチ55の型閉じ状態が生じることはないが、本発明は、曲げ加工中に、ダイス54の凹曲面54c1とパンチ55の凸曲面55aがベルトモール10(10C)及び芯材30に接触する(つまり、型閉じ状態が生じる)曲げ荷重付与機構50を排除するものではない。
【0032】
以上の直線状ベルトモール10と芯材30の曲げ加工に際しては、芯材30の櫛歯状部32は隣り合う櫛歯突起の先端側が互いに接近する方向に弾性変形する。このため、直線状ベルトモール10の曲げ変形を妨げることが少ない。そして曲げ加工の終了した曲げベルトモール10Cから芯材30を離脱させると、芯材30は自身の弾性で直線状の元形状に復元する(連続部31は直線状になり、櫛歯状部32の隣り合う櫛歯突起の間隔が等間隔になる)。従って、次の直線状ベルトモール10に対して芯材30を装着し、同じ曲げ加工を施すことができる。すなわち、芯材30に直線状ベルトモール10に沿う連続部31だけでなく櫛歯状部32を設けることにより、大きな曲げ荷重を要することなく直線状ベルトモール10に曲げ加工を施すことができ、かつ、芯材30の元形状への復元性を高めることができる。
【0033】
以上の実施形態は、樹脂製ベルトモールに本発明を適用したものであるが、本発明はルーフモール等の他の樹脂製モールにも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 直線状ベルトモール
10C 曲げベルトモール
11 断面逆U字状部
11a 下端部
12 13 シールリップ
14 装飾カバー部材
15 16 ボディタッチリップ
20 車両ドア
21 アウタパネル
21E 上縁
22 ドアサッシュ
30 芯材
31 連続部
32 櫛歯状部
32a 第1櫛歯状部
32b 第2櫛歯状部
32a1 32b1 斜面
33 溝部
34 受け面
40 加熱装置
41 シリンダ装置
41a ピストンロッド
42 加熱炉
42a ヒータ
42b ダクト
50 曲げ荷重付与機構
51 基台
52 油圧シリンダ装置
53 昇降台
54 ダイス
54a 支持脚
54b 縦壁
54c 曲面型
54c1 凹曲面
55 パンチ
55a 凸曲面
B 曲げ予定部分
O 仮想曲率中心
R 曲率半径
G 窓ガラス