(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄電池に充電可能な充電電力をインバータにより直流に変換して蓄電池に充電した場合の前記充電電力の実質的単価である蓄電電力単価を、前記充電電力の値に応じた前記インバータの効率に基づいて算出する蓄電電力単価算出部と、
蓄電池の蓄積電力が充電されたときの蓄電電力単価の平均である平均蓄電電力単価を算出する平均蓄電電力単価算出部と、
前記蓄電池の蓄積電力を前記インバータにより交流に変換して放電した場合の放電電力の実質的単価である放電電力単価を、前記平均蓄電電力単価と前記放電電力の値に応じた前記インバータの効率とに基づいて算出する放電電力単価算出部と、
前記蓄電電力単価と、前記蓄電電力単価として許容される最大値である最大蓄電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定した結果と、前記放電電力単価と、前記放電電力単価として許容される最大値である最大放電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定した結果とに基づいて、前記蓄電池が行うべき動作を決定する蓄電池動作決定部とを備え、
前記最大蓄電電力単価は、充電電力単価の最低値よりも大きく、前記平均蓄電電力単価よりも小さい範囲において設定され、
前記最大放電電力単価は、前記平均蓄電電力単価よりも大きく、前記充電電力単価の最高値よりも小さい範囲において設定される
蓄電池制御装置。
蓄電池に充電可能な充電電力をインバータにより直流に変換して蓄電池に充電した場合の前記充電電力の実質的単価である蓄電電力単価を、前記充電電力の値に応じた前記インバータの効率に基づいて算出する蓄電電力単価算出ステップと、
蓄電池の蓄積電力が充電されたときの蓄電電力単価の平均である平均蓄電電力単価を算出する平均蓄電電力単価算出ステップと、
前記蓄電池の蓄積電力を前記インバータにより交流に変換して放電した場合の放電電力の実質的単価である放電電力単価を、前記平均蓄電電力単価と前記放電電力の値に応じた前記インバータの効率とに基づいて算出する放電電力単価算出ステップと、
前記蓄電電力単価と、前記蓄電電力単価として許容される最大値である最大蓄電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定した結果と、前記放電電力単価と、前記放電電力単価として許容される最大値である最大放電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定した結果とに基づいて、前記蓄電池が行うべき動作を決定する蓄電池動作決定ステップとを備え、
前記最大蓄電電力単価は、充電電力単価の最低値よりも大きく、前記平均蓄電電力単価よりも小さい範囲において設定され、
前記最大放電電力単価は、前記平均蓄電電力単価よりも大きく、前記充電電力単価の最高値よりも小さい範囲において設定される
蓄電池制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態における電力管理システム100の構成例を示している。なお、以降の説明にあたり、本実施形態における電力管理システム100が、例えばHEMS(Home Energy Management System)などと呼ばれる、住宅における電力を管理するシステムである場合を例に挙げる。
同図に示す電力管理システム100は、太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106−1〜106−N、コントロール端末107及び電力管理装置(蓄電池制御装置の一例)200を備える。
【0011】
太陽電池101は、再生可能エネルギーを利用する発電装置の1つであり、光起電力効果により光としての再生可能エネルギーを電力に変換する。太陽電池101は、例えば屋根などのように太陽光を効率的に受けられる場所に設置されることで、太陽光を電力に変換する。
パワーコンディショナ102は、太陽電池101に対応して備えられ、太陽電池101から出力される直流の電力を交流に変換する。
【0012】
蓄電池103は、充電のために入力される電力を蓄積し、また、蓄積した電力を放電して出力する。この蓄電池103には、例えばリチウムイオン電池などを採用することができる。
【0013】
インバータ104は、蓄電池103に対応して備えられるもので、蓄電池103に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池103から放電により出力される電力の直流交流変換を行う。つまり、インバータ104は、蓄電池103が入出力する電力の双方向変換を行う。
具体的に、蓄電池103に対する充電時には、商用電源10またはパワーコンディショナ102から電力経路切替部105を介して充電のための交流の電力がインバータ104に供給される。インバータ104は、このように供給される交流の電力を直流に変換し、蓄電池103に供給する。
また、蓄電池103の放電時には、蓄電池103から直流の電力が出力される。インバータ104は、蓄電池103から出力される直流の電力を交流に変換して電力経路切替部105に供給する。
【0014】
電力経路切替部105は、電力管理装置200の制御に応じて電力経路の切り替えを行う。これにより、電力経路切替部105は、同じ住宅において、商用電源10を負荷106−1〜106−Nに適宜供給するように電力経路を形成することができる。
【0015】
また、電力経路切替部105は、同じ住宅において、太陽電池101により発生された電力をパワーコンディショナ102から負荷106−1〜106−Nに適宜供給するように電力経路を形成することができる。
【0016】
また、電力経路切替部105は、同じ住宅において、商用電源10と太陽電池101の一方または両方から供給される電力をインバータ104経由で蓄電池103に充電するように電力経路を形成することができる。
【0017】
また、電力経路切替部105は、同じ住宅において、蓄電池103から放電により出力させた電力を、インバータ104経由で負荷106−1〜106−Nに適宜供給するように電力経路を形成することができる。
【0018】
負荷106−1〜106−Nは、それぞれ、住宅において電力を消費する機器や設備などのうちのいずれかに対応する。なお、以降の説明にあたり、負荷106−1〜106−Nについて特に区別しない場合には、負荷106と記載する。
【0019】
コントロール端末107は、電力管理システム100が対応する住宅の居住者(ユーザ)が電力管理システム100における所定の操作を行うことができる端末である。コントロール端末107は、操作に応じたコマンドを電力管理装置200に送信する。電力管理装置200は、コントロール端末107から受信したコマンドに応じた所定の制御を実行する。
【0020】
電力管理装置200は、住宅における電気設備(太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106)を制御する。
【0021】
上記のような構成による電力管理システム100では、例えば電気料金が低額になる深夜などの商用電源や、日中において太陽電池101により発生された電力のうちの余剰電力を蓄電池103に充電して蓄積しておくことができる。そして、例えば負荷106に供給する電力の全てあるいは一部を蓄電池103に蓄積された電力で賄ったり、蓄電池103に蓄積された電力を売電したりすることができる。
このように蓄電池103を活用することで、住宅における商用電源の使用料金を抑えたり、売電による利益を得たりするなどして、電力利用に関する経済性を向上させることができる。
【0022】
ただし、蓄電池103に応じて充放電される電力について電力変換を行うインバータ104は、電力が一定以上の状態では高効率を維持するが、電力が一定未満の状態では効率の低下が顕著になるという特性を有している。
図2は、電力に応じたインバータ104の効率特性の一例を示している。同図からも分かるように、インバータ104は、定格から境界値αとして示すまでの電力の区間においては高効率を維持するが、電力が境界値αから小さくなっていくのに応じて効率が低下する傾向にある。
【0023】
そのうえで、蓄電池103に対する充放電は、電力管理システム100における電力状況に応じて、必ずしも、十分な電力により行われるとは限らない。
例えば、深夜電力を蓄電池103に充電するにあたり、負荷106としての或る機器が深夜電力を比較的多く使用しているような状況では、蓄電池103に充電できる深夜電力は小さくなる。また、太陽電池101の発電電力(太陽光発電(再生可能エネルギー発電)電力)を充電するにあたり、発電電力における余剰電力が小さい場合においては、蓄電池103に充電可能な電力も小さくなる。
このように、蓄電池103に充電可能な電力が小さい場合には、インバータ104の効率が低下する結果、蓄電池103に蓄積された電力の単価が、商用電源の電力単価に対して相対的に高くなってしまうことになる。このような場合、安価な深夜電力あるいは太陽電池101の余剰電力を蓄電することの経済的効果が弱まる。
また、蓄電池103を放電するにあたっても、負荷106が必要とする需要電力から太陽電池101の発電電力を差し引いた不足電力に対して補填すべく放電するような場合など、不足電力が小さければ、蓄電池103からの放電電力も小さくなる。
このように放電電力が小さい場合にも、インバータ104の効率が低下する。このために、蓄電池103から放電される電力の単価が、商用電源の電力単価に対して相対的に高くなり、蓄電池103の蓄積電力を使用することの経済的効果が弱まってしまう。
【0024】
上記のような蓄電池103への充放電電力と、インバータ104の効率、蓄電池103の充放電電力の電力単価との関係の具体例について、
図3〜
図6を参照して説明する。
図3は、或る住宅における1日(24時間)の電力状況の一例を示している。同図においては、横軸に時刻が示され、縦軸に電力が示される。
同図において、線Aは、住宅における負荷106が消費する消費電力を示す。線Bは、太陽光発電電力を示す。領域Cは、負荷106が消費する太陽光発電電力を示している。領域Dは、住宅において負荷106が消費しきれずに余剰する太陽光発電電力の電力(余剰電力)を示している。
【0025】
図4は、
図3の電力状況のもとで蓄電池103に深夜電力を蓄電させた場合の、蓄電電力、インバータ104の効率、蓄電電力単価を示している。同図において、線LN1は、1日における1時間ごとに蓄電池103に対して充電(蓄電)される蓄電電力を示す。線LN2は、1時間ごとのインバータ104の効率を示す。対応する棒状のグラフBr1は、1時間ごとの蓄電電力単価を示す。
なお、同図における蓄電電力単価は、蓄電池103に充電可能な深夜電力をインバータにより直流に変換して蓄電池に充電した場合の深夜電力の実質的単価である。このような蓄電電力単価は、深夜電力の料金に応じて決まる電力単価と、深夜電力を充電するときのインバータ104の効率とに基づいて求められる。具体的に、同図における蓄電電力単価は、深夜電力の料金に応じて決まる電力単価をインバータ104の効率で除算することによって求められる。
また、同図の例では、インバータ104の上限出力が3kWである場合を例に挙げている。
【0026】
同図の線LN1により示される蓄電電力の変化から分かるように、蓄電池103への深夜電力の蓄電は、0時台〜7時台の間と、21時台〜23時台の間とで行われている。
ここで、0時台〜2時台、6時台、22時台〜23時台の各時間帯では、線LN1で示すように、インバータ104の上限出力に応じた3kWによる充電が行われている。このとき、インバータ104の効率は、線LN2で示すように、ほぼ1(100%)に近い高い値が得られている。また、グラフBr1が示す蓄電電力単価は10円程度である。このときの蓄電電力単価は、深夜料金に対応する商用電源の電力単価とほぼ等しい。
【0027】
ここで、3時台〜5時台の時間帯は、電気温水器が稼働する時間帯として設定されている。このために、3時台〜5時台の時間帯では、蓄電池103への充電に使用できる電力が減少し、蓄電電力が0.5kWにまで低下している状態が示される。
このように蓄電電力が低下したのに応じて、インバータ104の効率も0.6程度にまで低下している。そして、インバータ104の効率の低下に応じて、蓄電電力単価は、16円程度に上昇している。
【0028】
また、8時台〜21時台の時間帯では、深夜電力の充電が行われていないことから、蓄電電力は0である。8時台〜21時台の時間帯におけるインバータ104の効率としては0が示されている。同図において示されるインバータ104の効率が0の状態は、インバータ104が電力変換を行っていないことを示す。また、8時台〜21時台の時間帯においては充電が行われていないことから、蓄電電力単価についても0となる。
【0029】
同図によれば、3時台〜4時台の時間帯は蓄電電力単価が高くなっている。このような場合、例えば、深夜料金が設定される0時台〜7時台の間と、21時台〜23時台の間とのうち、3時台〜4時台については、敢えて深夜電力を蓄電池103に充電しないほうが、経済性が高くなる場合がある。
【0030】
また、
図5は、
図3の電力状況のもとで蓄電池103に太陽光発電電力の余剰電力を蓄電させた場合の、蓄電電力、蓄電電力単価、インバータ104の効率を示している。なお、この場合の蓄電電力は余剰電力と等しい。また、この場合の蓄電電力単価は、太陽光発電電力の余剰電力をインバータ104により直流に変換して蓄電池103に充電した場合の太陽光発電電力の実質的単価である。このような太陽光発電電力に対応する蓄電電力単価は、太陽光発電電力の買い取り価格に応じて決まる電力単価を、余剰電力を充電するときのインバータ104の効率で除算することによって求められる。
【0031】
同図の場合、線LN1が示すように、0時台〜8時台、10時台、17時台〜23時台の各時間帯においては余剰電力の充電は行われていない。このため、0時台〜8時台と17時台〜23時台の各時間帯においては、インバータ104の効率は0が示され、蓄電電力単価も発生していない。
【0032】
そして、同図においては、9時台と11時台〜16時台の各時間帯において余剰電力の充電が行われている。まず、9時台に対応する時間帯においては、線LN1で示す蓄電電力(余剰電力)が0.2Wと少ないため、線LN2が示すインバータ104の効率も0.1程度と低い。このために、グラフBr1が示す蓄電電力単価は、90円近くにまで上昇している。
【0033】
また、11時台〜16時台の時間帯においては、蓄電電力(余剰電力)が増加することにより、インバータ104の効率も最大で0.8程度となるまでに高くなっている。これに伴って、11時台〜16時台の時間帯における蓄電電力単価は、10円程度から20円未満の範囲にまで下降している。
【0034】
同図の場合には、9時台に対応する時間帯において、余剰電力が相当に小さくなっているためにインバータ104の効率も大きく低下し、蓄電電力単価が著しく増加している。このような場合、例えば、9時台に対応する時間帯については、たとえ余剰電力が生じているとしても蓄電池103に充電しないほうが、経済性が高くなる場合がある。
【0035】
また、
図6は、
図3の電力状況のもとで、負荷106の需要電力から太陽光発電電力を差し引いた不足電力に応じて蓄電池103から放電させた場合の放電電力、放電電力単価、インバータ104の効率を示している。
また、この場合の放電電力単価は、蓄電池103の蓄積電力をインバータ104により交流に変換して放電した場合の放電電力の実質的単価である。放電電力単価は、平均蓄電電力単価を、放電時のインバータ104の効率で除算することによって求められる。平均蓄電電力単価は、蓄電池103の蓄積電力についての単価である。平均蓄電電力単価は、現在までの蓄電池103に対する充電電力と放電電力の積算値と、充電時における蓄電電力単価に応じて求められる。
【0036】
同図の場合、線LN11が示すように、0時台〜8時台、17時台〜23時台の各時間帯においては不足電力に応じた放電が行われている。
上記の時間帯において、0時台〜1時台、7時台〜8時台の各時間帯は、電気温水器が稼働されていないことから、需要電力が少なく、従って放電電力も少ない状態である。これに伴い、0時台〜1時台、7時台〜8時台の各時間帯における平均蓄電電力単価は、130円程度にまで上昇している。
また、17時台〜18時台の時間帯においても、同様に、需要電力(放電電力)が少ないことから平均蓄電電力単価が130円程度にまで上昇している。
なお、同図においては、0時台のときの平均蓄電電力単価が13円である場合を例に挙げている。
【0037】
これに対して、2時台〜6時台の時間帯においては、電気温水器の稼働により放電電力が増加して充電電力も3kw程度と上限出力にまで高くなり、インバータ104の効率もほぼ1にまで上昇する。これにより、放電電力単価は、6時台の時間帯を除いて20円未満にまで下降する。
また、19時台〜23時台の時間帯においても、ある程度の需要電力により放電電力も0.5kWから1.2kW程度の範囲で生じているために、インバータ104の効率としても0.7〜0.8程度と比較的高い状態が得られている。これに伴い、放電電力単価はほぼ20円以下に収まっている。
【0038】
また、9時台〜16時台の時間帯においては、太陽光発電電力の余剰電力がほぼ需要電力で消費されていることから、放電電力は0となっている。これに伴い、インバータ104は電力変換を行わないことから効率は0を示し、放電電力単価も発生していない。
【0039】
同図の場合には、太陽光発電電力が発生しておらず需要電力が少ないために放電電力が少なくなる0時台〜1時台、7時台〜8時台、17時台〜18時台の各時間帯において、放電電力単価が著しく高くなっている。従って、0時台〜1時台、7時台〜8時台、17時台〜18時台の各時間帯については、蓄電池103から放電させないほうが、経済性が高くなる場合がある。
【0040】
図3〜
図6の説明から理解されるように、1日における電力状況に応じて、蓄電池103に充電できる電力、また、蓄電池103から放電(供給)できる電力は変動する。このため、インバータ104の効率も変動し、蓄電電力単価あるいは放電電力単価についても変動が生じる。
このように蓄電電力単価や放電電力単価が変動することによっては、蓄電電力単価や放電電力単価が許容範囲を超えて高くなってしまう場合もある。蓄電電力単価や放電電力単価が許容範囲を超えて高くなってしまう機会が多くなるほど、蓄電池を備えることによる経済的効果も弱まることになる。
【0041】
そこで、本実施形態の電力管理装置200は、予め策定された運転計画に従って電力管理システム100における設備(太陽電池101、負荷106、蓄電池103など)の運転制御を実行したうえで、以下のように蓄電池103を制御する。
即ち、電力管理装置200は、蓄電池103について、運転計画に従って充電または放電の動作を実行させるにあたり、蓄電電力単価または放電電力単価が一定条件を満たしているときには、そのときの運転計画を変更することなく蓄電池103を制御する。
また、蓄電電力単価または放電電力単価が一定条件を満たさない状態となった場合には、蓄電池103についての運転計画を変更し、充電あるいは放電を停止させるように制御する。
また、運転計画に従った場合、充放電を停止させるべきときであっても、例えば蓄電電力単価または放電電力単価が一定条件を満たす場合には、運転計画を変更して充電または放電を行うことができる。
このように蓄電池103を制御することによって、本実施形態においては、蓄電池103を備えることによる経済性を促進させることが可能になる。
【0042】
以下、本実施形態の電力管理装置200による蓄電池103の制御について説明する。
図7は、電力管理装置200の構成例を示している。同図に示す電力管理装置200は、制御部201と記憶部202とを備える。
制御部201は、
図1に示した電力管理システム100における電力管理に関する各種制御を実行する。そのうえで、制御部201は、電力管理の1つとして蓄電池103の充放電制御を実行する。制御部201としての機能は、例えば電力管理装置200において備えられるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることにより実現される。
【0043】
制御部201は、機能部として、運転制御部211、蓄電電力単価算出部212、平均蓄電電力単価算出部213、放電電力単価算出部214及び蓄電池動作決定部215を備える。
運転制御部211は、運転計画情報記憶部221が記憶する運転計画情報が示す運転計画に従って、電力管理システム100(即ち、住宅)における設備(太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106)についての運転制御を実行する。
運転計画は、例えば過去の運転実績や天気予報の情報などに基づいて事前に策定され、策定された内容が運転計画情報として運転計画情報記憶部221に記憶される。
【0044】
蓄電電力単価算出部212は、蓄電電力単価を算出する。前述のように蓄電電力単価は、蓄電池103に充電可能な充電電力をインバータ104により直流に変換して蓄電池103に充電した場合の実質的単価である。
本実施形態における蓄電電力単価算出部212は、蓄電池103に充電可能な充電電力の値(レベル)に応じたインバータ104の効率に基づいて蓄電電力単価を算出する。また、蓄電電力単価算出部212は、所定の単位時間(例えば1時間)が経過するごとに蓄電電力単価を算出する。
【0045】
本実施形態において、蓄電池103への充電が可能な充電電力としては、商用電源10から供給される電力と、太陽電池101により発電され、パワーコンディショナ102から出力される太陽光発電電力を元とする電力との2つである場合を例に挙げる。
上記のように2つの充電電力が充電可能であるのに応じて、本実施形態の蓄電電力単価算出部212は、商用電源10から供給される電力の充電に対応する蓄電電力単価と、太陽光発電電力の充電に対応する蓄電電力単価との2つの蓄電電力単価を算出する。
なお、以降において、商用電源10から供給される電力の充電に対応する蓄電電力単価については商用電源対応蓄電電力単価と呼ぶ。また、太陽光発電電力の充電に対応する蓄電電力単価については太陽光発電対応蓄電電力単価と呼ぶ。
【0046】
図8を参照して、蓄電電力単価算出部212による商用電源対応蓄電電力単価と太陽光発電対応蓄電電力単価の算出手法例について説明する。
まず、商用電源対応蓄電電力単価の算出について説明する。蓄電電力単価算出部212は、商用電源対応蓄電電力単価の算出にあたり、商用電源10の電力単価である商用電源電力単価Tkを取得する。
【0047】
商用電源電力単価Tkは、商用電源10の電気料金のプランに応じて決まるもので、記憶部202のパラメータ記憶部222にパラメータの1つとして予め記憶されている。
例えば、電気料金のプランとして、日中よりも安価な深夜料金が設定されているなど、1日における所定の時間帯ごとに電気料金が異なっている場合がある。この場合、電気料金の異なる時間帯ごとに商用電源電力単価Tkも異なる。このように時間帯ごとに商用電源電力単価Tkが異なる場合、パラメータ記憶部222は、1日における所定の時間帯区分に対応した異なる値の商用電源電力単価Tkを記憶する。
蓄電電力単価算出部212は、パラメータ記憶部222から商用電源電力単価Tkを読み出すことによって、商用電源電力単価Tkを取得できる。
【0048】
また、蓄電電力単価算出部212は、商用電源対応蓄電電力単価の算出にあたり、現時刻において商用電源10から供給可能な交流の電力を直流に変換した場合におけるインバータの効率ηckを求める。
蓄電電力単価算出部212は、効率ηckを求めるにあたり、現時刻において蓄電池103に充電が可能な商用電源10の電力の値と、記憶部202のインバータ効率テーブル記憶部223が記憶するインバータ効率テーブルとを利用する。
【0049】
蓄電電力単価算出部212は、現時刻において蓄電池103に充電が可能な商用電源10の電力を、例えば電力管理システム100(住宅)において消費することが許可される電力の上限値(消費電力上限値)と、現時刻において測定される負荷106の消費電力とに基づいて求めることができる。
最も簡単な例として、現時刻において蓄電池103に充電が可能な商用電源10の電力は、消費電力上限値から現時刻の消費電力を減算することによって求められる。
【0050】
また、インバータ効率テーブル記憶部223が記憶するインバータ効率テーブルは、インバータ104についての、充電時における電力と効率との対応関係と、放電時における電力と効率との対応関係とを示すテーブルである。
即ち、インバータ効率テーブルは、充電時と放電時とのそれぞれについて、
図2に例示した電力と効率との対応関係を示す。
蓄電電力単価算出部212は、充電時に対応するインバータ効率テーブルから、現時刻において蓄電池103に充電が可能な商用電源10の電力の値と対応付けられている効率の値を取得する。このようにして取得される効率の値が効率ηckである。
【0051】
そして、蓄電電力単価算出部212は、以下の式1により現時刻における商用電源対応蓄電電力単価Tckを算出する。
Tck=Tk/ηck・・・(式1)
上記の式1より理解されるように、商用電源対応蓄電電力単価Tckは、効率ηckが低下するのに応じて、商用電源電力単価Tkよりも増加していく。
【0052】
次に、同じ
図8を参照して、太陽光発電対応蓄電電力単価の算出手法例について説明する。蓄電電力単価算出部212は、太陽光発電対応蓄電電力単価の算出にあたり、太陽光発電電力の単価である太陽光発電電力単価Trを取得する。
【0053】
太陽光発電電力単価Trは、予め定められた太陽光発電電力の買い取り金額に応じて決まる太陽光発電電力についての電力単価である。太陽光発電電力単価Trは、記憶部202のパラメータ記憶部222に予め記憶されている。なお、太陽光発電電力の買い取り金額が1日における時間帯によって異なる場合、太陽光発電電力単価Trも時間帯によって異なる。このような場合、パラメータ記憶部222は、時間帯の区分ごとに応じて異なる太陽光発電電力単価Trを記憶する。
【0054】
また、蓄電電力単価算出部212は、太陽光発電対応蓄電電力単価の算出にあたり、現時刻において余剰電力を充電した場合のインバータの効率ηcrを求める。
蓄電電力単価算出部212は、太陽光発電対応蓄電電力単価の算出に対応して効率ηcrを求めるにあたり、現時刻において蓄電池103に充電が可能な太陽光発電電力の余剰電力の値と、記憶部202のインバータ効率テーブル記憶部223が記憶するインバータ効率テーブルとを利用する。
【0055】
本実施形態において、蓄電池103に充電が可能な太陽光発電電力は、負荷106により消費されずに余剰する余剰電力である。
そこで、蓄電電力単価算出部212は、現時刻における余剰電力を求める。蓄電電力単価算出部212は、現時刻における余剰電力について、現時刻における太陽光発電電力と消費電力との差分に基づいて求めることができる。
【0056】
蓄電電力単価算出部212は、インバータ効率テーブル記憶部223が記憶する充電時対応のインバータ効率テーブルから、現時刻の余剰電力に対応する効率ηcrを取得する。
そして、蓄電電力単価算出部212は、以下の式2により現時刻における太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrを算出する。
Tcr=Tr/ηcr・・・(式2)
上記の式2より理解されるように、太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrも、効率ηcrが低下するのに応じて、太陽光発電電力単価Trから増加する。
【0057】
このように、蓄電電力単価算出部212は、蓄電電力単価として、1つには商用電源10からの充電電力をインバータ104により直流に変換した場合の商用電源対応蓄電電力単価を算出する。
また、蓄電電力単価算出部212は、もう1つの蓄電電力単価として、太陽光発電電力の余剰電力としての充電電力をインバータ104により直流に変換した場合の太陽光発電対応蓄電電力単価を算出する。
【0058】
平均蓄電電力単価算出部213は、平均蓄電電力単価を算出する。平均蓄電電力単価は、蓄電池103の蓄積電力が充電されたときの蓄電電力単価の平均である。
【0059】
図9を参照して、平均蓄電電力単価の算出手法例について説明する。本実施形態では、平均蓄電電力単価の算出にあたり、同図に示すように以下のパラメータが定義される。
インバータ104による電力変換を介して蓄電池103に充電される充電電力の単価として現時刻における単価を充電電力単価Txとする。
充電電力単価Txは、
図8との対応では、商用電源電力単価Tkと太陽光発電電力単価Trとのうちのいずれかとなる。即ち、商用電源10を蓄電池103に充電する場合には、商用電源電力単価Tkが充電電力単価Txとなり、太陽光発電電力を蓄電池103に充電する場合には、太陽光発電電力単価Trが充電電力単価Txとなる。
【0060】
インバータ104を介して蓄電池103に充電される電力量を充電電力量Wxとする。
蓄電池103からインバータ104を介して放電される電力量を放電電力量Wuとする。
充電または放電が行われる前の平均蓄電電力単価をTi
preとする。
充電または放電が行われる前の蓄電池103の蓄電電力量をWi
preとする。
充電または放電が行われた後の平均蓄電電力単価をTiとする。
充電または放電が行われた後の蓄電池103の蓄電電力量をWiとする。
【0061】
平均蓄電電力単価算出部213は、蓄電池103への充電が行われている場合には、以下のように平均蓄電電力単価Tiを算出する。
この場合において、平均蓄電電力単価算出部213は、以下の式3により充電後の蓄電電力量Wiを求める。
Wi=Wi
pre+Wx
・ηc・・・(式3)
なお、上記の式3における効率ηcには、商用電源10からの充電電力の充電が行われる場合には、効率ηckが代入され、太陽光発電電力の余剰電力の充電が行われる場合には、効率ηcrが代入される。
そのうえで、平均蓄電電力単価算出部213は、上記の式3により求めた蓄電電力量Wiを利用して、以下の式4により充電後の平均蓄電電力単価Tiを求める(更新する)。
Ti=(Ti
pre・Wi
pre+Tx・Wx)/Wi・・・(式4)
上記の式4から理解されるように、平均蓄電電力単価Tiはインバータ104による損失に応じて充電電力単価Txよりも高くなる。
【0062】
また、平均蓄電電力単価算出部213は、蓄電池103への放電が行われた場合には、以下の式5により平均蓄電電力単価Tiを算出する。
Ti=Ti
pre・・・(式5)
即ち、放電に際しては、平均蓄電電力単価Tiは放電前と同じ値でよい。
また、平均蓄電電力単価算出部213は、放電が行われたのに応じて、放電後の蓄電電力量Wiを以下の式6により求めておく。
Wi=Wi
pre−Wu/ηc・・・(式6)
上記のように求められた蓄電電力量Wiは、次に充電が行われた場合の平均蓄電電力単価Tiの算出に利用される。
このように、平均蓄電電力単価算出部213は、蓄電池103の充電または放電が行われるのに応じて、上記の式3〜式6による演算を用いて平均蓄電電力単価Tiを更新する。
【0063】
放電電力単価算出部214は、放電電力単価を算出する。放電電力単価は、蓄電池103の蓄積電力をインバータ104により交流に変換して放電した場合の放電電力の実質的単価である。
放電電力単価算出部214は、放電電力の値に応じたインバータ104の効率に基づいて放電電力単価を算出する。
【0064】
図10を参照して放電電力単価の算出手法例について説明する。
放電電力単価算出部214は、放電電力単価を求めるにあたり、現時刻において放電が行われた場合の放電電力に応じたインバータ104の効率ηdを求める。同図から理解されるように、効率ηdは、蓄電池103から放電された直流の電力を交流に変換する際のインバータ104の効率である。
【0065】
放電電力単価算出部214は、効率ηdを求めるにあたり、インバータ効率テーブル記憶部223が記憶する放電時対応のインバータ効率テーブルから、現時刻において蓄電池103が放電可能(消費電力を補填可能)な電力の値に対応する効率の値を取得する。放電電力単価算出部214は、このように取得した効率の値を、効率ηdとする。
【0066】
そして、放電電力単価算出部214は、現時刻において平均蓄電電力単価算出部213が算出した平均蓄電電力単価Tiと現時刻における効率ηdとを利用して、以下の式7により放電電力単価Tdを算出する。
Td=Ti/ηd・・・(式7)
【0067】
蓄電池動作決定部215は、蓄電電力単価と、蓄電電力単価として許容される最大値である最大蓄電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定する。
また、蓄電池動作決定部215は、放電電力単価と、放電電力単価として許容される最大値である最大放電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かについて判定する。
そして、蓄電池動作決定部215は、上記の各判定の結果に基づいて、蓄電池103が行うべき動作を決定する。
【0068】
具体的に、蓄電池動作決定部215は、現時刻における蓄電電力単価と最大蓄電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かに基づいて、蓄電池103に充電電力を充電すべきか否かについて決定する。
蓄電電力単価は、前述のように蓄電電力単価算出部212により算出される。最大蓄電電力単価は、蓄電電力単価として許容される最大値であり、予め定められる定数である。
【0069】
また、蓄電池動作決定部215は、放電電力単価と最大放電電力単価との関係が所定の条件を満たしているか否かに基づいて、蓄電池103を放電させるべきか否かについて決定する。
放電電力単価は、前述のように放電電力単価算出部214により算出される。最大放電電力単価は、放電電力単価として許容される最大値であり、予め定められる定数である。
【0070】
ここで、再度、
図8を参照して、蓄電池動作決定部215による蓄電池103の充放電についての決定手法例について説明する。
まず、蓄電池103の充電動作についての決定手法例から説明する。本実施形態において、蓄電電力単価については、前述のように商用電源対応蓄電電力単価Tckと太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrとの2種類が算出される。
このように算出される蓄電電力単価が2種類であるのに応じて、最大蓄電電力単価も2種類が定められる。即ち、同図に示すように、商用電源10に対応する商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkと、太陽光発電電力に対応する太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tprとが定められる。
商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkと太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tprは、それぞれ記憶部202におけるパラメータ記憶部222が記憶している。
【0071】
そして、蓄電池動作決定部215は、現時刻に対応して求められた商用電源対応蓄電電力単価Tckと、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkとについて、所定の条件として以下の式8による充電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
Tck≦Tpk・・・(式8)
蓄電池動作決定部215は、式8を満たしていれば、一定水準以上の経済性を維持して商用電源10を充電できるとして、商用電源10を蓄電池103に充電すべきと決定する。
一方、商用電源対応蓄電電力単価Tckが商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkより大きく、式8が満たされていなければ、商用電源10を充電した場合には一定水準以上の経済性が維持できないということになる。そこで、この場合の蓄電池動作決定部215は、商用電源10を蓄電池103に充電すべきではないと決定する。
【0072】
また、蓄電池動作決定部215は、現時刻に対応して求められた太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrと、太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tprとについて、所定の条件として以下の式9による充電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
Tcr≦Tpr・・・(式9)
蓄電池動作決定部215は、式9を満たしていれば、一定水準以上の経済性を維持して太陽光発電電力を蓄電池103に充電できるとして、太陽光発電電力の余剰電力を蓄電池103に充電すべきと決定する。
一方、式9が満たされていなければ、蓄電池動作決定部215は、太陽光発電電力を蓄電池103に充電した場合には一定水準以上の経済性は維持できないとして、太陽光発電電力の余剰電力を蓄電池103に充電すべきではないと決定する。
【0073】
また、蓄電池動作決定部215は、現時刻に対応して求められた平均蓄電電力単価Tiと、最大放電電力単価Tqとについて、所定の条件として以下の式10による放電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
Td≦Tq・・・(式10)
式10が満たされている場合、蓄電池動作決定部215は、一定水準以上の経済性を維持した放電を行えるとして、蓄電池103を放電させるべきであると決定する。
一方、式10が満たされていなければ、蓄電池103を放電させた場合には一定水準以上の経済性を維持できないとして、蓄電池動作決定部215は蓄電池103を放電させるべきでないと決定する。
【0074】
上記のように蓄電池動作決定部215が蓄電池103について、商用電源10から供給される電力の充電、太陽光発電電力における余剰電力の充電、放電の各動作の可否についての決定処理を行った結果、総合的には、決定結果の組み合わせとして以下の4つのうちのいずれかが得られる。
【0075】
即ち、1つは、蓄電池103に商用電源10の電力を充電すべきとの決定結果と、蓄電池103に太陽光発電電力の余剰電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103を放電させるべきでないとの決定結果との組み合わせである。
上記の決定結果の組み合わせが得られた場合、蓄電池動作決定部215は、最終的に蓄電池103に商用電源10の電力を蓄電池103に充電すべきと決定する。
【0076】
もう1つは、蓄電池103に商用電源10の電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103に太陽光発電電力の余剰電力を充電すべきとの決定結果と、蓄電池103を放電させるべきでないとの決定結果との組み合わせである。
上記の決定結果の組み合わせが得られた場合、蓄電池動作決定部215は、最終的に太陽光発電電力の余剰電力を蓄電池103に充電すべきと決定する。
【0077】
もう1つは、蓄電池103に商用電源10の電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103に太陽光発電電力の余剰電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103を放電させるべきとの決定結果との組み合わせである。
上記の決定結果の組み合わせが得られた場合、蓄電池動作決定部215は、最終的に蓄電池103を放電させるべきと決定する。
【0078】
もう1つは、蓄電池103に商用電源10の電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103に太陽光発電の余剰電力を充電すべきでないとの決定結果と、蓄電池103を放電させるべきでないとの決定結果との組み合わせである。
上記の決定結果の組み合わせが得られた場合、蓄電池動作決定部215は、最終的に蓄電池103について充電、放電いずれの動作も停止すべきと決定する。
【0079】
ここで、本実施形態における最大蓄電電力単価(商用電源対応最大蓄電電力単価Tpk、太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tpr)と、最大放電電力単価Tqとの設定条件について説明する。なお、説明を簡単で分かりやすくすることの便宜上、ここでは、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkと最大放電電力単価Tqとの設定条件について説明する。
【0080】
一定水準以上の経済性を維持しながら蓄電池103に充放電を実行させるには、商用電源電力単価Tkができるだけ低いときに充電(買電)を行い、商用電源電力単価Tkが高いときに、蓄電池103の放電電力により消費電力を補填できるようにすることが好ましい。
このことから、商用電源電力単価Tkの最高値Tkh、商用電源電力単価Tkの最低値Tklとすると、平均蓄電電力単価Tiは、以下の式11で示す条件を満たせばよい。
Tkl<Ti<Tkh・・・(式11)
【0081】
そのうえで、さらに安定的、かつ、的確に高い経済性を確保するには、以下の式12で示す条件を満たせばよい。
Tkl<Tpk<Ti<Tq<Tkh・・・(式12)
つまり、式12に示す条件のもとで、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkについては、商用電源電力単価Tkの最低値Tklよりも大きく、平均蓄電電力単価Tiよりも小さい範囲において設定する。一方、最大放電電力単価Tqについては、平均蓄電電力単価Tiよりも大きく、商用電源電力単価Tkの最高値Tkhよりも小さい範囲において設定するものである。
式12の条件のもとでは、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkを小さくするのに応じて、平均蓄電電力単価Tiを抑えることが可能である。また、最大放電電力単価Tqを小さくするのに応じて、放電時における経済性を高くしていくことができる。
【0082】
説明を
図7に戻す。記憶部202は、制御部201が利用する各種の情報を記憶する。記憶部202は、蓄電池103の充放電制御に関連して、運転計画情報記憶部221と、パラメータ記憶部222と、インバータ効率テーブル記憶部223とを備える。
【0083】
運転計画情報記憶部221は、運転計画情報を記憶する。運転計画情報は、電力管理システム100(即ち、住宅)における設備(太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106)についての運転計画を示す。運転計画は、例えば過去の運転履歴などに基づいて予め策定される。
【0084】
パラメータ記憶部222は、蓄電池103の充放電制御にあたって制御部201が利用するパラメータを記憶する。
具体的に、パラメータ記憶部222は、パラメータとして、商用電源電力単価Tk、太陽光発電電力単価Tr、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpk、太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tpr、最大放電電力単価Tqを記憶する。
【0085】
インバータ効率テーブル記憶部223は、インバータ104についてのインバータ効率テーブルとして、充電時に対応するインバータ効率テーブルと、放電時に対応するインバータ効率テーブルとを記憶する。
【0086】
次に、
図11のフローチャートを参照して、電力管理装置200が蓄電池103の充放電制御のために実行する処理手順例について説明する。同図に示す処理は、予め定めた一定時間(例えば1時間)に対応する期間(充放電制御期間)ごとに実行される。
【0087】
電力管理装置200において、制御部201は、次の充放電制御期間の開始時刻に至るのを待機する(ステップS101−NO)。
次の充放電制御期間の開始時刻に至るのに応じて(ステップS101−YES)、制御部201は、まず、商用電源10の電力を蓄電池103に充電すべきか否かについて決定するための処理を以下のように実行する(ステップS102〜S105)。
【0088】
制御部201は、パラメータ記憶部222から、現時刻に対応する商用電源電力単価Tkと、商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkとを取得する(ステップS102)。
次に、蓄電電力単価算出部212は、現時刻において蓄電池103に商用電源10の電力を充電した場合のインバータ104の効率ηckを算出する(ステップS103)。このために、蓄電電力単価算出部212は、現時刻において蓄電池103に商用電源10から充電可能な電力を求め、充電時対応のインバータ効率テーブルにおいて、求められた電力の値に対応付けられている効率の値を、効率ηckの算出結果とする。
【0089】
次に、蓄電電力単価算出部212は、式1に示したように、ステップS102により取得した商用電源電力単価TkをステップS103により算出した効率ηckで除算することにより、商用電源対応蓄電電力単価Tckを算出する(ステップS104)。
【0090】
次に、蓄電池動作決定部215は、ステップS104により算出した商用電源対応蓄電電力単価Tckと、ステップS102により取得した商用電源対応最大蓄電電力単価Tpkとが、先に式8に示した充電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
そして、蓄電池動作決定部215は、充電許可条件を満たしているか否かの判定結果に応じて、商用電源10を蓄電池103に充電すべきか否かを決定する(ステップS105)。
【0091】
次に、制御部201は、太陽光発電電力の余剰電力を蓄電池103に充電すべきか否かについて決定するための処理を以下のように実行する(ステップS106〜S109)。
つまり、制御部201における蓄電電力単価算出部212は、パラメータ記憶部222から、現時刻に対応する太陽光発電電力単価Trと、太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tprとを取得する(ステップS106)。
【0092】
次に、蓄電電力単価算出部212は、現時刻において蓄電池103に太陽光発電電力の余剰電力を充電した場合のインバータ104の効率ηcrを算出する(ステップS107)。このために、蓄電電力単価算出部212は、前述のように、現時刻における余剰電力を求め、充電時対応のインバータ効率テーブルにおいて、余剰電力の値に対応付けられている効率の値を、効率ηcrの算出結果とする。
【0093】
次に、蓄電電力単価算出部212は、式2に示したように、ステップS106により取得した太陽光発電電力単価TrをステップS107により算出した効率ηcrで除算することにより、太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrを算出する(ステップS108)。
【0094】
次に、蓄電池動作決定部215は、ステップS108により算出した太陽光発電対応蓄電電力単価Tcrと、ステップS106により取得した太陽光発電対応最大蓄電電力単価Tprとが、先に式9に示した充電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
そして、蓄電池動作決定部215は、充電許可条件を満たしているか否かの判定結果に応じて、太陽光発電電力の余剰電力を蓄電池103に充電すべきか否かを決定する(ステップS109)。
【0095】
次に、制御部201は、蓄電池103を放電させるべきか否かについて決定するための処理を以下のように実行する(ステップS110〜S114)。
制御部201は、パラメータ記憶部222から、最大放電電力単価Tqを取得する(ステップS110)。
次に、平均蓄電電力単価算出部213は、式3〜式6により説明したように、現在時刻における平均蓄電電力単価Tiを算出する(ステップS111)。
【0096】
次に、放電電力単価算出部214は、現時刻において放電が行われた場合の放電電力に応じたインバータ104の効率ηdを算出する(ステップS112)。このために、放電電力単価算出部214は、現在の運転状況から、現時刻において蓄電池103が放電した場合に放電が可能(消費電力を補填可能)な電力を導出し、放電時対応のインバータ効率テーブルにおいて、導出した電力の値に対応付けられた効率の値を、効率ηdの算出結果とする。
【0097】
次に、放電電力単価算出部214は、式7により示したように、ステップS111により算出した平均蓄電電力単価TiをステップS112により算出した効率ηdで除算することにより、放電電力単価Tdを算出する(ステップS113)。
【0098】
蓄電池動作決定部215は、ステップS113により算出した放電電力単価Tdと、ステップS110により取得した最大放電電力単価Tqとが、先に式10に示した放電許可条件を満たしているか否かについて判定する。
そして、蓄電池動作決定部215は、放電許可条件を満たしているか否かの判定結果に応じて、蓄電池103を放電させるべきか否かを決定する(ステップS114)。
【0099】
蓄電池動作決定部215は、ステップS105、S109、S114の各決定結果を総合して、蓄電池103の充放電動作についての最終的な決定を行う(ステップS115)。ステップS115にて得られる最終的な決定結果は、前述のように、商用電源10から供給される電力の充電、太陽光発電電力の余剰電力の充電、放電、充放電の停止のうちのいずれかとなる。
そして、運転制御部211は、ステップS115による最終的な決定結果に従った蓄電池103の動作が得られるように運転制御を実行する(ステップS116)。
上記のように、電力管理装置200が処理を実行することによって、インバータ104の効率に応じた経済性を考慮した蓄電池103の充放電制御が行われる。これにより、蓄電池103を備えることによる経済的効果の促進を図ることが可能になる。
【0100】
また、本実施形態においては、例えば一定時間による充放電制御期間ごとに蓄電電力単価、平均蓄電電力単価、放電電力単価の算出を行って蓄電池103の動作を決定している。これにより、本実施形態では、予め策定された蓄電池103の運転計画について、経済的効果が一定水準以上で保たれるように充放電制御期間ごとに適宜修正していくことが可能になる。
【0101】
また、本実施形態において、最大蓄電電力単価(商用電源対応最大蓄電電力単価、太陽光発電対応最大蓄電電力単価)と、最大放電電力単価とについては、例えば電力管理システム100に対応する住宅のユーザが変更できるようにしてもよい。この場合には、例えば
図1に示したコントロール端末107に対する操作により、最大蓄電電力単価と最大放電電力単価とが変更可能なようにすればよい。
【0102】
図12は、コントロール端末107の画面において表示される操作画面の一例を示している。
同図に示す操作画面においては、最大蓄電電力単価を変更するための変更ボタンBT1が配置されている。ユーザは、変更ボタンBT1を操作することにより、最大蓄電電力単価を変更することができる。変更された最大蓄電電力単価は、表示エリアAR1にて表示される。
また、操作画面においては、最大放電電力単価を変更するための変更ボタンBT2が配置されている。ユーザは、変更ボタンBT2を操作することにより、最大放電電力単価を変更することができる。変更された最大放電電力単価は、表示エリアAR2にて表示される。
【0103】
また、上記のように変更された最大蓄電電力単価と最大放電電力単価は、例えば表示エリアAR3において、商用電源電力単価や平均蓄電電力単価などとともに、時間経過とともにグラフ形式で示されるようになっている。なお、同図においては、最大蓄電電力単価として、商用電源対応最大蓄電電力単価のみが示されている。
また、表示エリアAR4においては、平均蓄電電力単価の現在値が示される。
【0104】
図12に示す操作画面に対する操作によって最大蓄電電力単価もしくは最大放電電力単価が変更されるのに応じて、コントロール端末107は、変更された最大蓄電電力単価もしくは最大放電電力単価を電力管理装置200に送信する。
電力管理装置200は、受信された最大蓄電電力単価もしくは最大放電電力単価により、これまでパラメータ記憶部222に記憶されていた最大蓄電電力単価もしくは最大放電電力単価を更新する。
このような構成によって、最大蓄電電力単価と最大放電電力単価をユーザの操作に応じて変更することが可能となる。
【0105】
なお、これまでの実施形態の説明にあっては、本実施形態の電力管理装置200がHEMSに対応するものであるとして説明した。しかし、本実施形態の電力管理装置200は、例えば、一定の地域範囲における複数の住宅、施設を対象として電力制御を行うTEMS(Town Energy Management System)、CEMS(City Energy Management System)などの電力管理システムにおいて各住宅、施設における蓄電池の制御を行う場合にも適用できる。
【0106】
なお、上述の電力管理装置200の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の電力管理装置200としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。