特許第6225064号(P6225064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225064
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/08 20060101AFI20171023BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20171023BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F04B53/08 E
   F04C15/00 L
   F04C15/00 K
   F04D29/58 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-84957(P2014-84957)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-203409(P2015-203409A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100193194
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 好典
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−54716(JP,A)
【文献】 特開2005−171951(JP,A)
【文献】 特開2010−144620(JP,A)
【文献】 特開2010−112180(JP,A)
【文献】 特開2012−189013(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0302142(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0008197(US,A1)
【文献】 特開2002−188573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/08
F04C 15/00
F04C 29/04
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を吐出する電動ポンプであって、
作動流体を吸込み、加圧して吐出するポンプと、
前記ポンプが連結され、前記ポンプを駆動するモータと、
前記モータの側方に配置され、前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、
前記モータと前記モータ制御部との間に配置され、内部を流通する冷媒によって前記モータ制御部を冷却する冷却部と、
を備え、
前記冷却部は、前記モータ制御部の内部空間に突出し、冷媒が流通する流路が内部に形成された隆起部を有することを特徴とする電動ポンプ。
【請求項2】
前記冷却部は、冷媒が前記隆起部の内部に形成された流路を通るように導くガイド部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記隆起部は、前記モータ制御部内に配置される基板の垂直方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
端子部が前記基板に固定され、本体部が前記傾斜面に固定される回路素子をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記モータと前記冷却部との間に設けられ、前記モータから前記冷却部への伝熱を抑制する断熱層をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記モータ制御部と前記モータとを電気的に接続するとともに、前記モータ制御部を前記モータに対して固定する接続部をさらに備え、
前記接続部は、前記モータに前記ポンプが連結される部分から離れた部分において前記モータに接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動ポンプとして、特許文献1には、オイルを加圧するポンプと、ポンプに連結するモータと、モータの一端に直接固定されるモータ制御部と、を備える電動オイルポンプが開示されている。
【0003】
この電動オイルポンプでは、モータ制御部の内部で発生した熱を外部に放出するために、モータ制御部に冷却フィンを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−94553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、モータ制御部には、内部で発生する熱だけではなく、温度が上昇したオイルを吸排するポンプの熱もモータを介して伝わるため、モータ制御部内に配置された電子回路の温度が上昇し、モータの出力や作動時間が制限されるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、モータ制御部内に配置された電子回路の温度の上昇を抑制し、モータをより高い出力で、より長い時間作動可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、作動流体を吐出する電動ポンプであって、作動流体を吸込み、加圧して吐出するポンプと、前記ポンプが連結され、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータの側方に配置され、前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、前記モータと前記モータ制御部との間に配置され、内部を流通する冷媒によって前記モータ制御部を冷却する冷却部と、を備え、前記冷却部は、前記モータ制御部の内部空間に突出し、冷媒が流通する流路が内部に形成された隆起部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷媒によってモータ制御部を冷却する冷却部に、モータ制御部の内部に突出する隆起部を設けたので、モータ制御部内を効率的に冷却することが可能となり、モータ制御部内に配置された電子回路の温度の上昇を抑制することができる。この結果、モータをより高い出力で、より長い時間作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る電動ポンプの側面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4図2のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図2のV−V線に沿う断面図である。
図6図2の隆起部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動ポンプ100について説明する。
【0011】
図1に示される電動ポンプ100は、自動車のエンジンや変速機に取り付けられ、潤滑部へのオイル供給や油圧で駆動する油圧機器に油圧を供給するために用いられる。
【0012】
電動ポンプ100は、作動流体として作動油を吸込み、加圧して吐出するポンプ1と、駆動軸方向の一方側にポンプ1が連結され、ポンプ1を駆動するモータ2と、モータ2の側方(図1において上方)に配置され、モータ2の駆動を制御するモータ制御部3と、を備える。
【0013】
ポンプ1は、図示しない吸込口と吐出口とを有し、吸込口を通じて吸込んだ作動油を加圧し、加圧された作動油を吐出口から図示しない油圧機器等へ供給する。ポンプ1は、モータ2により駆動される図示しない被駆動軸を有し、被駆動軸が回転または往復動することにより、作動油を吸込及び吐出する。ポンプ1は、ピストンポンプやギアポンプ,遠心ポンプ,プランジャポンプ等、被駆動軸が回転または往復動することにより、作動流体を吸込及び吐出する形式のものであればどのような形式のものでもよい。
【0014】
モータ2は、電力が供給されることにより回転または往復動する図示しない駆動軸を有し、駆動軸は、駆動軸方向の一方側においてポンプ1の被駆動軸に連結される。モータ2のケーシングは、駆動軸方向の一方側において図示しない結合手段によりポンプ1のケーシングと結合されている。モータ2は、電力が供給されることにより回転または往復動する駆動軸を有するものであれば、どのような形式のものでもよい。また、モータ2のケーシングは、ポンプ1のケーシングと一体的に形成されていてもよい。
【0015】
次に、図2を参照してモータ制御部3について説明する。図2は、図1のII−II線に沿う断面図であるが、モータ2の断面については省略して示している。
【0016】
モータ制御部3は、ケーシング10内においてモータ2側に配置される駆動回路基板12と、駆動回路基板12と平行であって駆動回路基板12に対してモータ2と反対側に配置される制御回路基板13と、を有する。駆動回路基板12は、モータ2に駆動電流を供給する基板であり、制御回路基板13は、モータ2の駆動を制御する基板である。
【0017】
駆動回路基板12には、トランジスタ、コンデンサ、コイルといった発熱性があり比較的大きい回路素子が取り付けられ、制御回路基板13には、マイコン等のICチップが取り付けられる。駆動回路基板12及び制御回路基板13は、図示しないコネクタを介して外部電源や他の制御装置に接続されるとともに、モータ2とモータ制御部3とを接続する接続部4内に設けられる図示しないバスバーを介してモータ2に接続される。
【0018】
接続部4は、モータ2とモータ制御部3とを電気的に接続するだけではなく、モータ制御部3をモータ2に対して固定する部材である。接続部4の一端は、モータ制御部3に接続され、他端はモータ2に接続される。接続部4がモータ2に接続される位置は、モータ2にポンプ1が連結されるモータ2の駆動軸方向の一方側とは反対側の駆動軸方向の他方側寄りの部分である。すなわち、接続部4は、モータ2にポンプ1が連結される部分から離れた部分においてモータ2に接続される。ポンプ1の熱はモータ2及び接続部4を介してモータ制御部3へ伝わるが、ポンプ1と接続部4とは離れた位置に配置されるため、伝熱経路は長くなる。この結果、ポンプ1の熱はモータ制御部3へ伝わりにくくなる。接続部4は、モータ2のケーシング、モータ制御部3のケーシング10、または、後述の冷却部5に一体的に形成されてもよい。
【0019】
モータ制御部3には、内部を流通する冷媒によってモータ制御部3を冷却する冷却部5が結合される。冷却部5は、モータ制御部3とモータ2との間に配置されており、モータ2側に面する遮熱壁21と、モータ制御部3側に面する冷却壁22と、遮熱壁21と冷却壁22とを接続する側壁23と、を有する。遮熱壁21、冷却壁22及び側壁23に囲まれた内部には、冷媒が流通する流通空間が形成される。側壁23には、流通空間内に冷媒を導入する導入口24と、冷媒を排出する排出口25と、が設けられている。
【0020】
遮熱壁21は、モータ2のケーシングの外形に沿った曲面状に形成され、モータ2のケーシングとの間に断熱層としての所定の隙間31が形成されるように配置される。所定の隙間31が設けられることにより、モータ2の熱やポンプ1の熱が冷却部へ直接伝熱することが防止される。遮熱性を高めるために、遮熱壁21とモータ2のケーシングとの間に断熱材を設けてもよい。あるいは、隙間31に、冷却風や走行風を導く構成としてもよい。
【0021】
冷却壁22は、モータ制御部3のケーシング10の開口端を封鎖する封止部材を兼ねている。つまり、モータ制御部3のケーシング10は、図示しない結合手段により、冷却部5に結合されている。このため、特に駆動回路基板12からモータ2側の内部空間11は、冷却壁22を介して冷媒により冷却される。
【0022】
冷却壁22には、モータ制御部3内の内部空間11に突出する隆起部26が形成されている。隆起部26は、図2に示されるように、駆動回路基板12の垂直方向に対して傾斜した2つの傾斜壁27を有し、駆動回路基板12側に向かうにつれて2つの傾斜壁27間の距離が狭まる形状に形成されている。本実施形態では、傾斜壁27の駆動回路基板12側の端部間を接続する接続壁28を設けている。接続壁28を設けることなく、傾斜壁27の端部同士を直接接続した形状としてもよい。
【0023】
内部空間11に突出する隆起部26が冷却部5に設けられたことによって、駆動回路基板12から冷却部5側の内部空間11は拡大される。この拡大された内部空間11は、コイルやコンデンサといった比較的大きい回路素子が集中して配置される空間となり、有効利用される。
【0024】
傾斜壁27には、駆動回路基板12に配置される回路素子のうちのトランジスタ14が固定される。トランジスタ14の固定状態について、図6を参照して説明する。図6は、図2の隆起部26周辺を拡大した拡大図である。
【0025】
トランジスタ14の本体部14aは、傾斜壁27の傾斜面に接触した状態でねじ等の固定手段により固定される。一方、トランジスタ14の本体部14aから延びる端子部14bの先端は、駆動回路基板12にはんだ付け等により固定される。傾斜壁27と駆動回路基板12とが成す角度は前述のように直角ではないため、端子部14bの途中には、緩やかな屈曲部14cが形成される。このため、本体部14aに近い部分の端子部14bは、傾斜壁27の傾斜面に平行となり、駆動回路基板12に近い部分の端子部14bは、駆動回路基板12に対して垂直となる。
【0026】
トランジスタ14の端子部14bが屈曲部14cを有することにより、熱膨張差によってトランジスタ14の端子部14bが固定される駆動回路基板12とトランジスタ14の本体部14aが固定されている傾斜壁27との間隔が変化したとしても、この変化は屈曲部14cの角度が増減することによって吸収される。このため、熱膨張差が生じても駆動回路基板12と端子部14bとのはんだ付け部に作用する力は低減される。
【0027】
本実施形態では、2つの傾斜壁27が設けられており、多数のトランジスタ14がある場合、これらをコンパクトに配置することができる。トランジスタ14が少数の場合は、一方の傾斜壁27にのみトランジスタ14を固定し、他方の傾斜壁27を駆動回路基板12に対して垂直な壁としてもよい。
【0028】
次に、図2〜5を参照し、冷媒が流通する冷却部5内の流通空間について説明する。図3は、図1のIII−III線に沿う断面図であるが、モータ2の断面は省略して示している。図4図5は、それぞれ図2のIV−IV線,V−V線に沿う断面図であるが、冷却部5以外の部品は省略して示している。各図中の矢印は冷媒の流れを示している。
【0029】
冷却部5内の流通空間は、側壁23に設けられた導入口24が開口する入口空間41と、隆起部26内に形成され、入口空間41に接続する隆起部内空間42と、側壁23に設けられた排出口25が開口する平坦空間44と、隆起部内空間42と平坦空間44とを接続する接続空間43と、を有する。
【0030】
入口空間41は、図2及び図4に示されるように、側壁23と、冷却部5の内部に設けられたガイド部29及び内部壁30と、により囲まれた空間である。ガイド部29は、図4に示されるように、遮熱壁21から隆起部26に向けて形成される膨出部である。ガイド部29が設けられていることによって、導入口24から流入した冷媒は、冷却壁22や遮熱壁21に沿って流れることなく、モータ制御部3側に向かって流れることになる。内部壁30は、図2に示されるように、隆起部26の傾斜壁27のうち、導入口24から離れている方の傾斜壁27の下方付近に設けられ、冷却壁22と遮熱壁21と側壁23とガイド部29とに接続している。このため、導入口24から流入した冷媒は、直接排出口25から流出することはない。
【0031】
隆起部内空間42は、図3に示されるように、傾斜壁27と接続壁28とガイド部29とによって囲まれた空間であり、入口空間41及び接続空間43と通じている。冷媒はガイド部29によって隆起部26内に形成された隆起部内空間42を流通することになる。このため、隆起部26の傾斜壁27に固定されたトランジスタ14は隆起部内空間42を流通する冷媒によって冷却される。
【0032】
接続空間43は、図4に示されるように、ガイド部29を挟んで入口空間41と反対側に形成される空間であり、隆起部内空間42及び平坦空間44と通じている。
【0033】
平坦空間44は、図2及び図5に示されるように、冷却壁22と遮熱壁21との間に形成される平坦な空間であり、排出口25が開口するとともに接続空間43と通じている。モータ制御部3の内部空間11に配置されたコンデンサやコイル等の発熱素子は、冷却壁22を介して、平坦空間44を流通する冷媒によって冷却される。冷却壁22と内部空間11内の空気との接触面積を増やすために、冷却壁22に冷却フィンを形成してもよい。また、冷媒が平坦空間44内を均一に流れるように、平坦空間44内に冷媒を誘導する仕切りを設けてもよい。
【0034】
次に、冷却部5を流通する冷媒による冷却作用について説明する。
【0035】
図示しない冷媒供給装置から供給された冷媒は、導入口24から入口空間41に流入する。入口空間41に流入した冷媒は、ガイド部29によって流れる方向が変化され、モータ制御部3に向かう方向(図2及び図4において上方)に流れ、隆起部内空間42に流入する。隆起部内空間42に流入した冷媒は、傾斜壁27を介して、傾斜壁27に固定されたトランジスタ14を冷却する。隆起部内空間42を流通した冷媒は接続空間43を通じて平坦空間44に流入する。平坦空間44に流入した冷媒は、冷却壁22を介してモータ制御部3の内部空間11に配置されたコンデンサやコイル等の発熱素子を冷却する。その後、冷媒は排出口25を通り冷媒供給装置へ戻される。
【0036】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0037】
モータ制御部3の内部空間11に突出する隆起部26が冷却部5に設けられているため、内部空間11及び内部空間11に配置されるトランジスタ14やコンデンサ、コイル等の回路素子は効率的に冷却される。この結果、基板に固定される電子回路の温度の上昇が抑制され、モータをより高い出力で、より長い時間作動させることが可能となる。特に傾斜壁27に固定されたトランジスタ14は、傾斜壁27を介して冷媒により効率的に冷却される。
【0038】
また、冷却部5は、モータ2と直接接触することなく、所定の隙間31だけ離れて配置されているため、冷却部5とモータ2との間に存在する空気が断熱層として作用し、モータ2の熱やポンプ1の熱が冷却部5を介してモータ制御部3へ伝わることを防止することができる。また、冷却部5とモータ2との間の隙間31に、冷却風や走行風を導くことによりさらに伝熱を防止することができる。この結果、基板に固定される電子回路の温度の上昇が抑制され、モータをより高い出力で、より長い時間作動させることが可能となる。
【0039】
また、モータ制御部3とモータ2とを接続する接続部4は、モータ2にポンプ1が連結される部分から離れた部分においてモータ2に接続されているため、ポンプ1の熱はモータ制御部3へ伝わりにくくなる。この結果、ポンプ1の熱がモータ制御部3へ伝わることが抑制され、基板に固定される電子回路の温度の上昇を抑制することができる。
【0040】
また、モータ制御部3の内部空間11に突出する隆起部26が冷却部5に設けられたことによって、駆動回路基板12から冷却部5側の内部空間11は拡大される。この拡大された内部空間11にコイルやコンデンサといった比較的大きい回路素子を集中して配置することにより、内部空間11を有効利用し、回路素子をコンパクトに配置することができる。また、隆起部26には2つの傾斜壁27があるため、トランジスタ14を多数有する場合であってもこれらをコンパクトに配置することができる。
【0041】
また、熱膨張差によりトランジスタ14の端子部14bが固定される駆動回路基板12とトランジスタ14の本体部14aが固定されている傾斜壁27との間隔が変化したとしても、端子部14bに形成された屈曲部14cの角度が増減することによって、ある程度の変位が吸収される。このため、トランジスタの本体部が固定される平面と端子部が固定される基板とが直交し、端子部に屈曲部が形成されない場合に比べて、熱膨張差が生じたときに駆動回路基板12と端子部14bとのはんだ付け部に作用する力は低減される。この結果、端子部14bと駆動回路基板12との接触状態が不良となることを防止できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0043】
例えば、上記実施形態に係る電動ポンプ100は、作動流体として作動油を吸込及び吐出するものであるが、これに代えて、作動流体として水等を吸込及び吐出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ポンプ
2 モータ
3 モータ制御部
4 接続部
5 冷却部
11 内部空間
12 駆動回路基板
13 制御回路基板
14 トランジスタ(回路素子)
14a 本体部
14b 端子部
14c 屈曲部
24 導入口
25 排出口
26 隆起部
27 傾斜壁
29 ガイド部
31 隙間(断熱層)
42 隆起部内空間
100 電動ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6