特許第6225071号(P6225071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6225071-航空機用更生タイヤの製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225071
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】航空機用更生タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/54 20060101AFI20171023BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20171023BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B29D30/54
   B29C33/02
   B29C35/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-99435(P2014-99435)
(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-214121(P2015-214121A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和也
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−100283(JP,A)
【文献】 特開平10−86237(JP,A)
【文献】 特開2014−76765(JP,A)
【文献】 特開平9−225945(JP,A)
【文献】 特開平8−230072(JP,A)
【文献】 特開2010−116111(JP,A)
【文献】 特開2007−216634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
B29C 33/02
B29C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
更生タイヤ用加硫成形型のタイヤの踏面形成面における成形型幅方向中心位置から成形型幅方向最外位置までの距離を距離Aとした場合の踏面形成面の成形型幅方向中心位置から距離Aの60%〜75%の位置における更生タイヤ用加硫成形型の径寸法が、新品タイヤ用加硫成形型のタイヤの踏面形成面における成形型幅方向中心位置から成形型幅方向最外位置までの距離を距離Aとした場合の踏面形成面の成形型幅方向中心位置から距離Aの60%〜75%の位置における新品タイヤ用加硫成形型の径寸法よりも小さい寸法に形成された更生タイヤ用加硫成形型を用いて航空機用更生タイヤを製造することを特徴とする航空機用更生タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記距離Aの60%〜75%の位置における更生タイヤ用加硫成形型の径寸法と前記距離Aの60%〜75%の位置における新品タイヤ用加硫成形型の径寸法との差が、更生タイヤ用加硫成形型の最大径寸法の0.3%〜2.0%であることを特徴とする請求項1に記載の航空機用更生タイヤの製造方法。
【請求項3】
タイヤの幅方向の両端側に位置してタイヤの周方向に連続するベルトの両側端においてコードの切断端が露出していないベルトを備えた台タイヤのトレッド形成面にトレッドゴムとなるストリップゴム部材を巻き付けたものを更生タイヤ用加硫成形型内に入れ、当該更生タイヤ用加硫成形型内に入れられた台タイヤの内面に内圧を印加した状態で台タイヤ及びストリップゴム部材を加硫することによって、航空機用更生タイヤを製造したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の航空機用更生タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用更生タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの踏面中央領域におけるトレッドゴム厚さを薄くできる更生タイヤ用加硫成形型を用いることによって、更生タイヤの踏面中央部の発熱量を低減して高速耐久性を向上させた航空機用の更生タイヤを製造する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−100283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、新品タイヤ用加硫成形型の踏面形成面と比べて踏面形成面をフラット化させた構成の更生タイヤ用加硫成形型を用いて航空機用更生タイヤを製造するため、製造された航空機用更生タイヤのショルダー部の厚さ(ゲージ)が厚くなって、走行時におけるショルダー部の接地圧が高くなる可能性があり、走行時のショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪の小さくない航空機用更生タイヤが製造されてしまう虞がある。
本発明は、走行時のショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた更生タイヤを製造可能とした航空機用更生タイヤの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る航空機用更生タイヤの製造方法は、更生タイヤ用加硫成形型のタイヤの踏面形成面における成形型幅方向中心位置から成形型幅方向最外位置までの距離を距離Aとした場合の踏面形成面の成形型幅方向中心位置から距離Aの60%〜75%の位置における更生タイヤ用加硫成形型の径寸法が、新品タイヤ用加硫成形型のタイヤの踏面形成面における成形型幅方向中心位置から成形型幅方向最外位置までの距離を距離Aとした場合の踏面形成面の成形型幅方向中心位置から距離Aの60%〜75%の位置における新品タイヤ用加硫成形型の径寸法よりも小さい寸法に形成された更生タイヤ用加硫成形型を用いて航空機用更生タイヤを製造するので、新品タイヤと比べて航空機用更生タイヤのショルダー部の厚さを薄くできるため、走行時において前記距離Aの60%〜75%の位置に相当するショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
また、前記距離Aの60%〜75%の位置における更生タイヤ用加硫成形型の径寸法と前記距離Aの60%〜75%の位置における新品タイヤ用加硫成形型の径寸法との差を、更生タイヤ用加硫成形型の最大径寸法の0.3%〜2.0%としたことにより、走行時において前記距離Aの60%〜75%の位置に相当するショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた更生タイヤをより確実に製造できる。
また、タイヤの幅方向の両端側に位置してタイヤの周方向に連続するベルトの両側端においてコードの切断端が露出していないベルトを備えた台タイヤのトレッド形成面にトレッドゴムとなるストリップゴム部材を巻き付けたものを更生タイヤ用加硫成形型内に入れ、当該更生タイヤ用加硫成形型内に入れられた台タイヤの内面に内圧を印加した状態で台タイヤ及びストリップゴム部材を加硫することによって、航空機用更生タイヤを製造したので、走行時において前記距離Aの60%〜75%の位置に相当するショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】更生タイヤ用加硫成形型の断面図。
図2】更生タイヤ用加硫成形型の要部拡大断面図。
図3】更生タイヤ用加硫成形型で製造された航空機用更生タイヤの一例を示すタイヤ断面図。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図2に示すように、実施形態の航空機用更生タイヤの製造方法に用いる更生タイヤ用加硫成形型1Aは、タイヤの踏面形成面2Aにおける成形型1Aの幅方向(図1の左右方向(成形するタイヤの踏面幅方向に相当))の中心位置3Aから成形型1Aの幅方向の最外位置4Fまでの距離を距離Aとした場合の踏面形成面2Aの成形型幅方向中心位置3Aから距離Aの60%〜75%の位置における成形型1Aの径寸法1Xが、新品タイヤ用加硫成形型1Bのタイヤの踏面形成面2Bにおける成形型1Bの幅方向の中心位置3Bから成形型1Bの幅方向の最外位置4Fまでの距離を距離Aとした場合の踏面形成面2Bの成形型幅方向中心位置3Bから距離Aの60%〜75%の位置における成形型1Bの径寸法1Yよりも小さい寸法に形成されている。当該距離Aの60%〜75%の位置は、実施形態による航空機用更生タイヤの製造方法によって製造される航空機用更生タイヤのショルダー部の位置に相当する。従って、走行時において前記距離Aの60%〜75%の位置に相当するショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
【0009】
成形型1Aの径寸法1Xは、成形型1Aの幅方向中心位置3Aから距離Aの60%〜75%の位置におけるタイヤの中心軸位置に相当する成形型1Aの中心軸Xから成形型1Aの踏面形成面2Aまでの最短距離である。
成形型1Bの径寸法1Yは、成形型1Bの幅方向中心位置3Bから距離Aの60%〜75%の位置におけるタイヤの中心軸位置に相当する成形型1Bの中心軸Xから成形型1Bの踏面形成面2Bまでの最短距離である。
【0010】
前記距離Aの60%〜75%の位置における更生タイヤ用加硫成形型1Aの径寸法1Xと前記距離Aの60%〜75%の位置における新品タイヤ用加硫成形型1Bの径寸法1Yとの差である1Z=1Y−1Xは、更生タイヤ用加硫成形型1Aの最大径寸法1XMの0.3%〜2.0%である。当該最大径寸法1XMは、例えば、更生タイヤ用加硫成形型1Aの中心軸Xから踏面形成面2Aの成形型幅方向中心位置3Aまでの最短距離である。
前記差1Zを更生タイヤ用加硫成形型1Aの最大径寸法1XMの2.0%より大きくした場合、更生タイヤ用加硫成形型1Aと後述する台タイヤとが緩衝して、更生タイヤの品質が悪化する可能性があり、逆に、当該差1Zを更生タイヤ用加硫成形型1Aの最大径寸法1XMの0.3%より小さくした場合、航空機用更生タイヤのショルダー部の厚さを薄くできず、ショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪の小さくない航空機用更生タイヤが製造される虞がある。
そこで、当該差1Zを、更生タイヤ用加硫成形型1Aの最大径寸法1XMの0.3%〜2.0%としたことで、航空機用更生タイヤのショルダー部の厚さを薄くでき、走行時のショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた高品質の航空機用更生タイヤをより確実に製造できるようにした。
【0011】
尚、図1図2においては、更生タイヤ用加硫成形型1Aの踏面形成面2Aを実線で図示し、新品タイヤ用加硫成形型1Bの踏面形成面2Bを二点鎖線で図示している。
また、図1図2においては、成形型1A;1Bの幅方向中心位置3A;3Bから距離Aの60%の位置までの距離を距離Bと図示し、成形型1A;1Bの幅方向中心位置3A;3Bから距離Aの75%の位置までの距離を距離Cと図示しており、また、距離Bの位置における成形型1A;1Bの径寸法をそれぞれ1X1;1Y1と図示し、距離Cの位置における成形型1A;1Bの径寸法をそれぞれ1X2;1Y2と図示している。
【0012】
また、実施形態で説明した更生タイヤ用加硫成形型1A及び新品タイヤ用加硫成形型1Bは、同仕様の航空機用更生タイヤ及び航空機用新品タイヤを製造するための成形型であり、成形型の幅方向の最外位置4F、距離A、距離B、距離C、中心軸Xが同じであるものを例として説明している。
尚、更生タイヤ用加硫成形型1A及び新品タイヤ用加硫成形型1Bは、製造するタイヤの周方向に沿って複数に分割された複数の分割ピースにより構成される。
【0013】
また、実施形態の更生タイヤ用加硫成形型1Aは、踏面形成面2Aにおける成形型幅方向中心位置3Aから距離Aの60%の位置と成形型幅方向最外位置4Fとの間の領域における成形型1Aの径寸法が、径寸法1X以下となるように形成されている。よって、当該更生タイヤ用加硫成形型1Aを用いて航空機用更生タイヤを製造することによって、航空機用更生タイヤのショルダー部の厚さを薄くできるため、走行時のショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできて、耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
【0014】
さらに、実施形態の更生タイヤ用加硫成形型1Aは、更生タイヤ用加硫成形型1Aの中心軸Xから踏面形成面2Aの成形型幅方向中心位置3Aまでの最短距離である更生タイヤ用加硫成形型1Aの最大径寸法1XMが、新品タイヤ用加硫成形型1Bの中心軸Xから踏面形成面2Bの成形型幅方向中心位置3Bまでの最短距離である新品タイヤ用加硫成形型1Bの最大径寸法よりも若干大きい寸法に形成されている(図2参照)。よって、当該更生タイヤ用加硫成形型1Aを用いて航空機用更生タイヤを製造することによって、踏面中央領域におけるトレッドゴム厚さを薄くできるため、踏面中央部の発熱量を小さくできて耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
【0015】
実施形態の更生タイヤ用加硫成形型1Aを用いた航空機用更生タイヤの製造方法は、トレッドゴムが摩耗したタイヤのトレッドゴムをバフ処理によって除去した台タイヤのトレッド形成面にトレッドゴムとなるストリップゴム部材を巻き付けたものを更生タイヤ用加硫成形型1A内に入れ、当該更生タイヤ用加硫成形型1A内に入れられた台タイヤの内面に内圧を印加した状態で台タイヤ及びストリップゴム部材を加硫することによって、航空機用更生タイヤを製造する。
尚、前記台タイヤとして、当該タイヤの幅方向の両端側に位置してタイヤの周方向に連続するベルトの両側端においてコードの切断端が露出していないベルトを備えた航空機用更生タイヤの主要構成を備えた台タイヤを用いることで、航空機用更生タイヤを製造できる。
【0016】
このように、実施形態では、新品タイヤ用加硫成形型1Bの踏面形成面2Bと比べて踏面形成面2Aをラウンド化させた構成の更生タイヤ用加硫成形型1Aを用いて航空機用更生タイヤを製造することによって、ショルダー部の厚さを薄くできて、走行時のショルダー部の発熱量及びタイヤの周方向のせん断歪を小さくできるとともに、踏面中央領域におけるトレッドゴム厚さを薄くできて、踏面中央部の発熱量を小さくできるので、耐久性に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。特に、高速耐久性能に優れた航空機用更生タイヤを製造できる。
【0017】
更生タイヤ用加硫成形型1Aを用いて製造された航空機用更生タイヤの一例を図3に基づいて説明する。
航空機用更生タイヤ1は、カーカス2と、トレッド部3と、ベルト部と、ビード部6と、サイドウォール部7と、ショルダー部8と、を備えて構成される。ベルト部は、内側ベルト部4と外側ベルト部5とにより構成される。
【0018】
カーカス2は、有機繊維により形成された図外のコードが平行に並ぶようにゴムで被覆されたプライ(カーカスプライ)と呼ばれる平板状のコード層が複数層張り合わされて構成される。
カーカス2は、航空機用更生タイヤ1の内面11側から航空機用更生タイヤ1の外面12側に向けて積層された複数のコード層が一対のビード部6;6間をトロイド状に跨るように配設され、例えば、内層側の複数層は両端が該ビード部6のビードコア6aに対してタイヤ幅方向内側から外側へ折り返されるターンアッププライとなっており、外層側の複数層は両端が該ビード部6のビードコア6aに対してタイヤ幅方向外側から内側へ折り返されるダウンプライとなっている。
【0019】
トレッド部3は、カーカス2のタイヤ径方向外側に配置されている。トレッド部3の表面には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝31が形成されている。サイドウォール部7及びショルダー部8は、トレッド部3とビード部6との間における航空機用更生タイヤ1の側面を形成する部位であり、サイドウォール部7はビード部6と連続するように設けられて地面等の走行面に接地しない航空機用更生タイヤ1の側面を構成し、ショルダー部8は、サイドウォール部7とトレッド部3との境界部位を構成する。航空機用更生タイヤ1の踏面は、地面等の走行面と接地可能なトレッド部3の表面及びショルダー部8の表面の一部により形成される。
【0020】
内側ベルト部4は、カーカス2とトレッド3との間に設けられる。
内側ベルト部4は、1層のベルト41、又は、航空機用更生タイヤ1の内面11側から航空機用更生タイヤ1の外面12側に向けて積層された複数層のベルト41;41…を備える。当該ベルト41は、切断端無しベルト、即ち、航空機用更生タイヤ1の幅方向の両端側に位置して航空機用更生タイヤ1の周方向に連続するベルトの両側端において図外のコードの切断端が露出していないベルトである。
内側ベルト部4のベルト41を形成するプライ(ベルトプライ)は、例えば、有機繊維により形成されたコードがゴムで被覆された細長連続板(帯状のストリップ材)が、図外のタイヤ組立ドラム(コア)の周囲を周方向に略1周する毎に、タイヤ組立ドラムの幅方向の両方の側端間を1度だけ往復するようにタイヤ組立ドラムに巻き付けられ、このような巻付けを細長連続板間に隙間が生じないよう周方向にほぼ細長連続板の幅だけずらして多数回行うことで形成される。尚、細長連続板は、複数本のコードが互いに平行に配置されて細長連続板の側縁面に沿って延長するようゴムで被覆された構成のものや、1本のコードが細長連続板の側縁面に沿って延長するようゴムで被覆された構成のものを用いる。
当該ベルト41内のコードは、タイヤ組立ドラムの幅方向の側端において折曲げ方向を変えてジグザグしながらタイヤ周方向に沿って延長し、ベルト41内に略均一に埋設されている。
また、上述したように、細長連続板をタイヤ組立ドラムの幅方向の両方の側端において所定の曲率半径で屈曲させながら巻き付けると、これらの屈曲部、即ち、ベルト41の両端近傍に、3枚の細長連続板の半幅同士が上下に重なり合う略三角形の領域が周方向に繰り返し発生するとともに、これらの領域は周方向に次々に連続して細幅の積層部を構成する。
以上のように構成されたベルトは、エンドレスベルト(ジグザク構造ベルト)と呼称される。
【0021】
外側ベルト部5は、内側ベルト部4とトレッド部3との間に設けられる。
外側ベルト部5は、1層のベルト51、又は、航空機用更生タイヤ1の内面11側から航空機用更生タイヤ1の外面12側に向けて積層された複数層のベルト51;51…を備える。
外側ベルト部5は、切断端有りベルト、即ち、航空機用更生タイヤ1の幅方向の両端側に位置して航空機用更生タイヤ1の周方向に連続するベルトの両側端においてコードの切断端が露出しているベルトである。
外側ベルト部5は、有機繊維により形成されたコードが平行に並ぶようにゴムで被覆されたプライ(ベルトプライ)と呼ばれる平板状のコード層により構成される。
【0022】
当該航空機用更生タイヤ1は、内側ベルト部4を切断端無しベルトで構成し、外側ベルト部5を切断端有りベルトで構成した。即ち、切断端有りベルトが切断端無しベルトよりも航空機用更生タイヤ1の径方向の外側に設けられたので、切断端とカーカスプライとの距離を確保でき、仮に切断端に亀裂が発生したとしても、亀裂がカーカスプライに到達しにくくなり、安全性を確保できるようになる。
【0023】
また、当該航空機用更生タイヤ1は、カーカス2のコード、内側ベルト部4のコード、外側ベルト部5のコードが、ナイロン、例えば66ナイロン等の有機繊維により形成される。
また、カーカス2のコードとタイヤ赤道面1Cとの交差角度は、85°〜90°の範囲内になるように構成される。
また、内側ベルト部4のコードとタイヤ赤道面1Cとの交差角度は、0°より大きくて30°よりも小さくなるように、好ましくは、10°〜30°となるように構成される。
また、外側ベルト部5のコードとタイヤ赤道面1Cとの交差角度は、0°〜25°、好ましくは、10°〜25°となるように構成される。
以上のように、コードが有機繊維コードにより形成され、かつ、有機繊維コードとタイヤ赤道面1Cとの交差角度(コード角)が上記のように構成されたので、耐圧性能に優れるとともに、切断端を核(起点)としたセパレーションの発生を抑制でき、軽量かつ耐久性に優れた航空機用更生タイヤ1を得ることができる。
【0024】
尚、航空機用更生タイヤ1として、内側ベルト部4を切断端無しベルトで構成し、外側ベルト部5を切断端有りベルトで構成した航空機用更生タイヤ1を説明したが、内側ベルト部4を切断端有りベルトで構成し、外側ベルト部5を切断端無しベルトで構成した航空機用更生タイヤを製造するようにしてもよい。
【0025】
また、航空機用更生タイヤ1の切断端無しベルトは、スパイラルベルトであってもよい。例えば、有機繊維により形成されたコードがゴムで被覆された細長連続板を、タイヤ組立ドラム(コア)の一方の側部から他方の側部まで、螺旋状に隙間なく巻回して形成されたベルトを備えた航空機用更生タイヤを製造することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 航空機用更生タイヤ、1A 更生タイヤ用加硫成形型、
1B 新品タイヤ用加硫成形型、1X;1Y 径寸法、1Z 差、
1XM 更生タイヤ用加硫成形型の最大径寸法、2A;2B 踏面形成面、
3A;3B 成形型幅方向中心位置、4F 成形型幅方向最外位置。
図1
図2
図3