【実施例1】
【0011】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像処理装置1の機能を示すブロック図である。
画像処理装置1は、例えば、画像データを入力する複合機(Multi Function Printer;MFP)である。この画像処理装置1は、入力部2から出力される入力画像データIDを入力し、画像処理後の下地除去後画像データUDを出力部3へ出力する構成になっている。
【0012】
入力部2は、例えば、画像を読み取って入力画像データIDを入力するスキャナであり、図示しない載置台、光源、反射板、受光素子(ラインセンサ)、及び信号処理部を備えている。このスキャナは、載置台に置かれた用紙等の記録媒体に光源から光を照射し、照射した光を記録媒体にて反射させ、その反射光を受光素子が受光して画像信号を読み取り、信号処理部によってアナログ/デジタル変換(A/D変換)やシェーディング補正等の信号処理を施す装置である。入力画像データIDは、入力部2によって読み取られた複数の第1画素からなる画像データであり、例えば、ビットマップデータである。
【0013】
出力部3は、例えば、電子写真式のプリンタであり、画像処理装置1から出力された下地除去後画像データUDを基に、現像剤によって記録媒体上に画像を形成する装置である。下地除去後画像データUDは、入力画像データIDから下地画素が除去された除去後の画像データであり、例えば、ビットマップデータである。画像処理装置1は、この装置全体を制御するための制御部10を有している。制御部10は、中央処理装置(CPU)及びリード・オンリ・メモリ(ROM)等により構成されている。
【0014】
画像処理装置1は、入力画像データIDを記憶する入力画像記憶部20を有している。入力画像記憶部20は、例えば、揮発性のランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)等により構成されている。入力画像記憶部20の出力側には、前処理部30及び下地除去部50が接続されている。
【0015】
前処理部30は、入力画像記憶部20から読み出された入力画像データIDを入力し、フィルタ処理を施して処理済み画像データとしての平滑化画像データSDを出力するものであり、平滑化処理を行うための平滑化フィルタ31を有している。平滑化画像データSDは、複数の第2画素からなり、入力画像データIDのノイズ等を除去するためにフィルタ処理を施したものである。前処理部30の出力側には、検出部としての閾値レベル検出部40と、下地除去部50と、が接続されている。
【0016】
閾値レベル検出部40は、平滑化画像データSDを入力し、この平滑化画像データSDの画素値としての輝度値を参照してヒストグラムHGを作成し、作成したヒストグラムHGに基づいて、下地画素であるか否かを判定する閾値レベルYthを出力するためのものである。閾値レベル検出部40の出力側には、下地除去部50が接続されている。
【0017】
下地除去部50は、入力画像データID、平滑化画像データSD、及び閾値レベルYthを入力し、出力画像データとしての下地除去後画像データUDを出力するためのものであり、画素値変換部としての輝度値変換部51と、判定部としての下地画素判定部52と、画素値変換部としての下地画素置換部53と、を有している。
【0018】
輝度値変換部51は、入力画像データID及び閾値レベルYthを入力し、入力した閾値レベルYthから画素値変換テーブルとしての輝度値変換テーブル51aを作成し、作成した輝度値変換テーブル51aに基づき、入力画像データIDの輝度値を変換して複数の第3画素からなる画素値変換データとしての輝度値変換画像データKDを作成するためのものである。
【0019】
下地画素判定部52は、平滑化画像データSD及び閾値レベルYthを入力し、入力した平滑化画像データSDの輝度値と閾値レベルYthとを比較して平滑化画像データSDの輝度値が大きい場合に下地画素と判定し、判定結果としての2値データである非下地画素判定結果US及び下地画素判定結果NSを出力するためのものである。輝度値変換部51及び下地画素判定部52の出力側には、下地画素置換部53が接続されている。
【0020】
下地画素置換部53は、輝度値変換画像データKD、非下地画素判定結果US及び下地画素判定結果NSを入力し、入力した下地画素判定結果NSに対応する輝度値変換画像データKDの画素の輝度値を最大値に置換し、下地画素を除去した下地除去後画像データUDを出力するためのものである。下地除去部50の出力側には、出力画像記憶部60が接続されている。
【0021】
出力画像記憶部60は、下地除去後画像データUDを記憶するためのものであり、例えば、揮発性のRAM等により構成されている。出力画像記憶部60の出力側には、下地除去後画像データUDを出力するための出力部3が接続されている。
【0022】
図2(a)、(b)は、
図1中の入力画像データIDの例を示す図であり、同図(a)は入力画像データIDの画素を示す拡大図、及び同図(b)は同図(a)における画素に対応する輝度値を示す図である。
【0023】
図2(a)に示す入力画像データIDは、文字部分である文字画像ID1と、下地部分である下地画像ID2から形成されている。文字画像ID1及び下地画像ID2は、それぞれ文字画素ID1S及び下地画素ID2Sにより形成されている。文字画素ID1S及び下地画素ID2Sは、それぞれ濃度の異なる画素から構成され、網点画像を形成している。文字画像ID1及び下地画像ID2は、目視では一様の濃度に見えるように形成されている。
【0024】
図2(b)に示す文字輝度値ID1N及び下地輝度値ID2Nは、それぞれ文字画素ID1S及び下地画素ID2Sの各画素に対応する輝度値Y(=Y1,Y2,・・・)を示すものである。輝度値Yは、白黒の画像を表現する画像データ(以下「グレースケール」という。)における色の明るさを表す値であり、0以上255以下の数値で表わされるものである。輝度値Yが0の場合は、黒色を示し、輝度値Yが大きくなるに従って明るい色を示し、輝度値Yが255の場合は、白色を示している。
【0025】
図3は、
図1中の平滑化フィルタ31の例を示す図である。
平滑化フィルタ31は、平滑化フィルタ処理に用いられる数値からなるオペレータ31aを有している。オペレータ31aは、入力画像データIDの所定の画素及び前後左右2画素の輝度値に掛け合わせて平滑化するための重み係数である。例えば、平滑化フィルタ31は、所定の画素と、その所定の画素に対して前後左右方向に2画素ずつと、を均等に重み付けをするフィルタ(以下「移動平均フィルタ」という。)であり、全ての画素に対して等しいオペレータ31aを有している。
【0026】
図4は、
図1中のヒストグラムHGの例を示す図である。
ヒストグラムHGは、
図1の平滑化画像データSDの各画素の輝度値Yを読み取り、輝度値Y毎の画素数を数えて作成した分布曲線であり、横軸は輝度値Yを示し、縦軸は画素数を示し、輝度値Ys、Yt、及び閾値レベルYthを有している。輝度値Ysは、ヒストグラムHGを輝度値Yが255から減少する方向に参照し、最初に画素数が1以上の値になったときの輝度値である。輝度値Ytは、最も画素数が大きいときの輝度値である。閾値レベルYth(例えば、200)は、
Yth=Yt−(Ys−Yt)
の式にて得られた輝度値である。
【0027】
図5は、
図1中の輝度値変換テーブル51aの例を示す図である。
図5の横軸は入力画像データIDの各画素の入力輝度値Yiを示し、縦軸は輝度値変換画像データKDの各画素の出力輝度値Yoを示している。輝度値変換テーブル51aにおける実線L1は、
図5のヒストグラムHGから算出された閾値レベルYthに基づき、入力画像データIDの各画素の輝度値Yを変換して輝度値変換画像データKDを作成するための変換前後の輝度値の関係を示すグラフである。入力輝度値Yiが0から閾値レベルYthまでの場合、入力輝度値Yiと出力輝度値Yoは、等しい値とする。入力輝度値Yiが閾値レベルYthから255までの場合、出力輝度値Yoは、入力輝度値Yiの値に関わらず255とする。
【0028】
(実施例1の画像処理方法)
図6は、
図1の画像処理装置1の画像処理方法を示すフローチャートである。
【0029】
図6を参照しつつ、
図1の画像処理装置1の画像処理方法を説明する。
図1の入力部2が画像を読み取って入力画像データIDに変換し、画像処理装置1に対して入力画像データIDが入力されると、
図6のステップS1の入力画像読み込み処理へ進む。ステップS1において、制御部10は、入力部2から入力画像データIDを読み込み、ステップS2の入力画像記憶処理へ進む。ステップS2において、制御部10は、読み込んだ入力画像データIDを入力画像記憶部20に記憶し、ステップS3の前処理としてのフィルタ変換処理へ進む。
【0030】
ステップS3において、前処理部30は、入力画像記憶部20に記憶された入力画像データIDを読み出し、入力画像データIDから平滑化フィルタ31を用いて平滑化を行い、平滑化画像データSDを作成する。前処理部30は、作成された平滑化画像データSDを閾値レベル検出部40へ出力し、ステップS4の検出処理としての閾値レベル検出処理へ進む。
【0031】
ステップS4において、閾値レベル検出部40は、入力した平滑化画像データSDの各画素の輝度値Yを読み取り、輝度値Y毎の画素数を数えてヒストグラムHGを作成する。閾値レベル検出部40は、作成したヒストグラムHGから閾値レベルYthを算出する。閾値レベル検出部40は、算出した閾値レベルYthを下地除去部50へ出力し、ステップS5の下地除去処理へ進む。
【0032】
ステップS5において、下地除去部50は、入力した入力画像データID、平滑化画像データSD、及び閾値レベルYthから下地除去後画像データUDを作成する。下地除去部50は、作成した下地除去後画像データUDを出力画像記憶部60へ出力し、ステップS6の出力画像記憶処理へ進む。
【0033】
ステップS6において、制御部10は、出力された下地除去後画像データUDを出力画像記憶部60に記憶し、ステップS7の画像出力処理へ進む。
【0034】
ステップS7において、制御部10は、出力画像記憶部60に記憶された下地除去後画像データUDを出力部3へ出力する。その後、出力部3は、下地除去後画像データUDを基に画像を形成して、処理を終了する。
【0035】
図7は、
図6中のステップS5の下地除去処理の詳細を示すフローチャートである。
図6のステップS5の下地除去処理が開始されると、
図1の下地除去部50は、
図7のステップS51の輝度値変換テーブル作成処理へ進む。ステップS51において、下地除去部50の輝度値変換部51は、入力した閾値レベルYthに基づき、入力輝度値Yiと出力輝度値Yoとの対応を示す輝度値変換テーブル51aを作成し、ステップS52の入力画像輝度値変換処理へ進む。
【0036】
ステップS52において、輝度値変換部51は、入力画像記憶部20に記憶された入力画像データIDを読み出し、輝度値変換テーブル51aの入力輝度値Yiと出力輝度値Yoとの対応から入力画像データIDの輝度値Yを変換する。輝度値変換部51は、輝度値Yを変換して輝度値変換画像データKDを作成して下地画素置換部53へ出力し、ステップS53の下地画素判定処理へ進む。
【0037】
ステップS53において、下地画素判定部52は、入力した平滑化画像データSDの輝度値Yと閾値レベルYthとを比較する。下地画素判定部52は、平滑化画像データSDの各画素の輝度値Yが閾値レベルYthより大きい場合、下地画素である判定し、判定結果である下地画素判定結果NSを作成する。下地画素判定部52は、平滑化画像データSDの各画素の輝度値Yが閾値レベルYth以下の場合、下地画素ではないと判定し、非下地画素判定結果USを作成する。下地画素判定部52は、作成した非下地画素判定結果US又は下地画素判定結果NSを下地画素置換部53へ出力し、ステップS54の下地判定画素置換処理へ進む。
【0038】
ステップS54において、下地画素置換部53は、入力した輝度値変換画像データKD、非下地画素判定結果US及び下地画素判定結果NSに基づき、下地画素判定結果NSに対応する輝度値変換画像データKDの画素の輝度値を最大値に置換して下地画素を除去する。その後、下地画素置換部53は、下地画素を除去した下地除去後画像データUDを作成し、処理を終了する。
【0039】
図6のステップS3及び
図7のステップS52〜S54を、以下、具体的に説明する。
図8は、
図1中の輝度値変換画像データKD及び平滑化画像データSDの例を示す図である。
【0040】
輝度値変換画像データKDは、
図2の入力画像データIDがステップS52の入力画像輝度値変換処理にて変換されたものであり、輝度値変換画像データKDにおける文字部分の画素である文字画素KD1Sと、下地部分の画素である下地画素KD2Sと、から形成されている。文字輝度値KD1N及び下地輝度値KD2Nは、それぞれ文字画素KD1S及び下地画素KD2Sの各画素に対応する輝度値Y3,Y4を示すものである。
【0041】
平滑化画像データSDは、
図2の入力画像データIDがステップS3のフィルタ変換処理にて変換されたものであり、この平滑化画像データSDにおける文字部分の画素である文字画素SD1Sと、下地部分の画素である下地画素SD2Sと、から形成されている。文字輝度値SD1N及び下地輝度値SD2Nは、それぞれ文字画素SD1S及び下地画素SD2Sの各画素に対応する輝度値Y5,Y6を示すものである。
【0042】
図7のステップS52では、
図5の輝度値変換テーブル51aの入力輝度値Yiと出力輝度値Yoとの対応から、入力画像データIDの輝度値Y1,Y2が変換され、輝度値変換画像データKDが作成される。入力画像データIDの輝度値Y1の値は全て200以下であるため、輝度値変換画像データKDの輝度値Y3の値は、輝度値Y1と同じ値となる。入力画像データIDの輝度値Y2の値は200以上の値を含むため、その画素に対応する輝度値変換画像データKDの輝度値Y4の値は、255に変換される。
【0043】
図6のステップS3では、
図3の平滑化フィルタ31に基づき、入力画像データIDにおける輝度値Y1,Y2の画素毎の輝度値の差が平滑化され、平滑化画像データSDが作成される。平滑化画像データSDの輝度値Y5は、例えば、100前後の値に平滑化される。平滑化画像データSDの輝度値Y6は、例えば、200前後の値に平滑化される。
【0044】
図7のステップS53では、輝度値Y5の値が全て200以下であるため、文字画素SD1Sの全ての画素が下地画素ではないと判定される。この場合、下地画素判定部52は、各画素に対し非下地画素判定結果USを作成する。下地画素SD2Sは、輝度値Y6の値が全て200より大きい値であるため、下地画素であると判定されて各画素に対し下地画素判定結果NSが作成される。
【0045】
図7のステップS54では、文字画素SD1Sに対して非下地画素判定結果USが作成されているため、文字輝度値KD1Nの輝度値Y3は置換されない。下地画素KD2Sは、下地画素判定結果NSが作成されているため、下地輝度値KD2Nの輝度値Y4は最大値である255に置換される。
【0046】
図9(a)、(b)は、
図1中の下地除去後画像データUDの例を示す図であり、同図(a)は下地除去後画像データUDの画素を示す拡大図、及び同図(b)は同図(a)における画素に対応する輝度値を示す図である。
【0047】
図9(a)に示す下地除去後画像データUDは、文字部分である文字画像UD1と、下地部分である下地画像UD2から形成されている。文字画像UD1及び下地画像UD2は、それぞれ文字画素UD1S及び下地画素UD2Sにより形成されている。
図9(b)に示す文字輝度値UD1N及び下地輝度値UD2Nは、それぞれ文字画素UD1S及び下地画素UD2Sの各画素に対応する輝度値Yを示すものである。文字輝度値UD1N及び下地輝度値UD2Nは、ステップS54において置換された後の輝度値Y3,Y4と同じ値である輝度値Y7,Y8を有している。
【0048】
文字画像UD1は、ステップS54にて
図8の文字画素KD1Sが置換されなかったため、文字画素KD1Sと同じであり、文字輝度値UD1Nに対応する文字画素UD1Sにより形成されている。下地画像UD2は、ステップS54にて
図8の下地画素KD2Sが置換されたため、下地輝度値UD2Nに対応する白色の下地画素UD2Sにより形成されている。
【0049】
図10は、
図8中の平滑化画像データSDにおける各画素の輝度値Yとその画素数の分布を示す分布曲線図である。
【0050】
図10において、実線の分布曲線HG1は,文字輝度値SD1Nの輝度値Y5とその画素数の分布を示す曲線であり、破線の分布曲線HG2は,下地輝度値SD2Nの輝度値Y6とその画素数の分布を示す曲線である。
図10の横軸は輝度値Yを示し、縦軸は画素数を示している。閾値レベルYthは、
図4の閾値レベルYthと同じ値を示している。ステップS3のフィルタ変換処理をすることにより、分布曲線HG1は、分布曲線HG2と重複しないので、閾値レベルYthにより文字輝度値SD1Nと下地輝度値SD2Nとを区別することが可能となる。
【0051】
(比較例の下地除去後画像データ)
比較例として、実施例1におけるステップS3のフィルタ変換処理を行わずにステップS5の下地除去処理を行った場合を説明する。
【0052】
図11(a)、(b)は、比較例の下地除去後画像データUDaの例を示す図であり、同図(a)は下地除去後画像データUDaの画素を示す拡大図、及び同図(b)は同図(a)における画素に対応する輝度値を示す図である。
図11(a)、(b)は、実施例1を示す
図9中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0053】
図11(a)に示す下地除去後画像データUDaには、実施例1の文字画像UD1に代えて、これとは構成の異なる文字画像UDa1が形成されている。文字画像UDa1は、実施例1の文字画素UD1Sに代えて、文字画素UDa1Sにより形成されている。
図11(b)に示す文字輝度値UDa1Nは、実施例1の文字輝度値UD1Nに代えて、文字画素UDa1Sの各画素に対応する輝度値Yを示すものであり、輝度値Y9を有している。その他の下地除去後画像データUDaの構成は、実施例1と同様である。
【0054】
図12は、
図8中の輝度値変換画像データKDにおける各画素の輝度値Yとその画素数の分布を示す分布曲線図である。
【0055】
図12において、実線の分布曲線HG3は,文字輝度値KD1Nの輝度値Y3とその画素数の分布を示す曲線であり、破線の分布曲線HG4は,下地輝度値KD2Nの輝度値Y4とその画素数の分布を示す曲線である。
図12の横軸は輝度値Yを示し、縦軸は画素数を示している。閾値レベルYth0(例えば、140)は、実施例1の入力画像データIDに対して実施例1のステップS4と同様に閾値レベルYthを算出した場合の値である。閾値レベルYthは、実施例1の閾値レベルYthと同じ値を示している。
【0056】
比較例では、平滑化されていない入力画像データIDに対して閾値レベルYth0の算出を行うため、分布曲線HG3,HG4は、実施例1の分布曲線HG1,HG2と比較して緩斜になり、分布曲線HG3と分布曲線HG4との間に重複箇所が生じる。閾値レベルYth0は、実施例1の閾値レベルYthと比較すると小さい値となる。そのため、閾値レベルYth0に基づいて
図6のステップS5の下地除去処理を行うと、
図11(b)に示す文字輝度値UDa1Nは、輝度値Y9の一部が255に変換される。
図11(a)に示す文字画像UDa1は、目視では全体的に薄く見えることになる。
【0057】
このように、比較例では、ステップS5の下地除去処理を行うと文字画像UDa1が目視では全体的に薄く見えてしまうという不都合がある。実施例1は、このような不都合を解消し、以下のような効果がある。
【0058】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像処理装置1及び画像処理方法によれば、下地画素判定部52は、入力画像データIDを平滑化した平滑化画像データSDの輝度値Y5、Y6と、閾値レベルYthと、を比較する。その比較結果が輝度値Y5、Y6が大きいと判定された場合、下地画素置換部53は、対応する輝度値変換画像データKDの輝度値Y3,Y4を最大値に置換して下地画素を除去した下地除去後画像データUDを出力する。これにより、下地除去後画像データUDは、文字画像UD1の輝度値Y7が入力画像データIDの輝度値Y1と同じ値となり、下地画像UD2の輝度値Y8が最大値となるので、文字画像ID1に影響することなく下地画像ID2が除去されるので、画質が劣化することを防止できる。
【実施例2】
【0059】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2の画像処理装置の構成は、実施例1の輝度値変換画像テーブル51aに代えて、これとは構成の異なる輝度値変換画像テーブル51bが作成される点を除き、実施例1の画像処理装置1と同様である。そのため、実施例2については、輝度値変換画像テーブル51bについてのみ説明する。
【0060】
図13は、本発明の実施例2における輝度値変換画像テーブル51bの例を示す図である。
【0061】
図13の横軸は入力画像データIDの各画素の入力輝度値Yiを示し、縦軸は輝度値変換画像データKDの各画素の出力輝度値Yoを示している。輝度値変換画像テーブル51bにおける実線L2は、実施例1と同様に、閾値レベルYthに基づき、入力画像データIDの各画素の輝度値Yを変換して輝度値変換画像データKDを作成するための変換前後の輝度値の関係を示すグラフであり、輝度値Yf及び点P1,P2を有している。輝度値Yf(例えば、128)は、入力輝度値Yiが0より大きく閾値レベルYth未満の所定の値である。実線L2上の点P1は、座標(Yf,Yf)を示す点であり、点P2は、座標(Yth,255)を示す点である。実施例1の輝度値変換画像テーブル51aは、入力輝度値Yiが0から閾値レベルYthまでの場合、入力輝度値Yiと出力輝度値Yoは等しい値であるが、本実施例2の輝度値変換画像テーブル51bは、入力輝度値Yiが輝度値Yfから閾値レベルYthまでの場合、出力輝度値Yoは点P1と点P2とを結ぶ直線上の値である点で実施例1と異なる。
【0062】
(実施例2の画像処理方法)
実施例2の画像処理方法は、輝度値変換画像テーブル51bに基づいて
図7のステップS52の入力画像輝度値変換処理が行われる点を除き、実施例1の画像処理装置1の画像処理方法と同様である。
【0063】
(実施例2の効果)
本実施例2の画像処理装置及び画像処理方法によれば、輝度値変換画像テーブル51bを用いることにより、出力輝度値Yoが急激に変化することを抑制できる。これにより、入力画像データIDと輝度値変換画像データKDとの輝度値の差(諧調ギャップ)がなくなることにより、画質が劣化することを防止できる。
【0064】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0065】
(a) 実施例1、2では、入力画像データIDをグレースケールにより表された白黒の画像データとして説明したが、明度Lと補色次元a及びbにより表されるCIELAB色空間により表されたカラー画像データ等にしてもよい。このように変更しても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0066】
(b) 実施例1、2では、平滑化フィルタ31は移動平均フィルタを用いたが、所定の画素付近の画素に対して重み付けを大きくするフィルタ(ガウシアンフィルタ)を用いてもよい。このように変更しても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0067】
(c) 実施例1、2では、閾値レベル検出部40に入力される平滑化画像データSDを入力して閾値レベルYthを検出したが、入力画像データIDの一部を抽出して平滑化処理後の画像データを作成し、閾値レベル検出部40に出力してもよい。このように変更しても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0068】
(d) 実施例1、2では、輝度値変換画像テーブル51a,51bにおける入力輝度値Yiと出力輝度値Yoとの変化の度合いを一定にしたが、入力輝度値Yiが増加するに伴って変化させてもよい。
【0069】
(e) 実施例1、2では、入力部2としてのスキャナを例に説明したが、画像処理装置1の内部に組み込んでもよい。又、入力部2として入力画像データIDを入力するUSBメモリ、デジタルカメラ、カメラ機能付き携帯端末等にしてもよい。
【0070】
(f) 実施例1、2では、出力部3としての電子写真式のプリンタを例に説明したが、画像処理装置1の内部に組み込んでもよい。又、出力部3としてカラープリンタ、モノクロプリンタ、ファクシミリ装置、複写機等にしてもよい。