特許第6225095号(P6225095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225095
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】カーペット保護用トレイ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20171023BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171023BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H02G3/04
   B60R16/02 620A
   B60N3/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-219506(P2014-219506)
(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公開番号】特開2016-86595(P2016-86595A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】100189049
【弁理士】
【氏名又は名称】花坂 達也
(72)【発明者】
【氏名】木須 直己
(72)【発明者】
【氏名】飯室 重公
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−041959(JP,U)
【文献】 特開平10−129325(JP,A)
【文献】 米国特許第06092854(US,A)
【文献】 特開2007−302128(JP,A)
【文献】 特開2000−168626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60N 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロアパネルの立体構造に相応する立体構造に成形されて前記フロアパネル上に組み付けられる成形カーペットの上面に重ねられると、上方からの負荷による前記成形カーペットの型崩れを抑止可能な硬質材料製のカーペット保護用トレイであって、
一部が前記成形カーペットに固定されて前記フロアパネル上に配索されるワイヤハーネスの、前記成形カーペットの外側に延出する複数のハーネス構成電線を、個別に収容可能な複数のハーネス収容部が、上面に区画形成されたことを特徴とするカーペット保護用トレイ。
【請求項2】
前記ハーネス収容部は、収容する前記ハーネス構成電線を構成する電線及びコネクタを位置規制して、前記電線及び前記コネクタが外部からの振動等で当該収容部外に飛び出すことを抑止する位置規制手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のカーペット保護用トレイ。
【請求項3】
前記成形カーペットに装備される折り畳み部に対応する位置には、前記成形カーペットと一体に当該カーペット保護用トレイを折り畳み可能にする蛇腹状の可撓部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカーペット保護用トレイ。
【請求項4】
前記複数のハーネス収容部は、当該カーペット保護用トレイを前記蛇腹状の可撓部で折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの前記ハーネス収容部同士が重ならないように、前記各ハーネス収容部の形状や配列を設定したことを特徴とする請求項3に記載のカーペット保護用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロアパネルに組み付けられるワイヤハーネス付きの成形カーペットの保管時に使用するカーペット保護用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、下記特許文献1に開示されたワイヤハーネス付き成形カーペットの斜視図である。
【0003】
このワイヤハーネス付き成形カーペット100は、図13に示すように、車体のフロアパネル210の立体構造に相応する立体構造に成形されてフロアパネル210上に組み付けられる成形カーペット110と、一部がこの成形カーペット110に固定されるワイヤハーネス120と、ワイヤハーネス120を成形カーペット110に固定する帯状フェルト材130と、を備えている。
【0004】
成形カーペット110は、図14に示すように、裏面側から順に、熱溶融性樹脂層111と、この熱溶融性樹脂層111の上に積層された強度確保用の基礎樹脂層112と、この基礎樹脂層112の表面に植設される繊維層(不図示)と、を備えている。
【0005】
成形カーペット110の基礎樹脂層112は、加熱状況下で加圧成形することで、所定の形状に成形可能な樹脂層である。この基礎樹脂層112は、フロアパネル210の立体構造に相応する立体構造に成形されると共に、表面側に凸の断面形状のハーネス配索溝114が形成される。
【0006】
ハーネス配索溝114は、ワイヤハーネス120を配索する溝である。このハーネス配索溝114に配索されたワイヤハーネス120は、ワイヤハーネス120の上に被せられた帯状フェルト材130を熱溶融性樹脂層111に熱融着させることによって、成形カーペット110に固定される。
【0007】
一部が成形カーペット110のハーネス配索溝114に固定されるワイヤハーネス120は、図15に示すように、成形カーペット110の外側に延出する複数のハーネス構成電線121〜124を有している。ワイヤハーネス付き成形カーペット100の保管時に、図15に示したように、複数のハーネス構成電線121〜124が成形カーペット110の周囲に延出した状態のままでは、大きな保管スペースが必要となってしまう。
【0008】
そこで、ワイヤハーネス付き成形カーペット100の保管時には、成形カーペット110の外側に延出した複数のハーネス構成電線121〜124は、図16に示すように、ループ状に丸めて、成形カーペット110の上に載置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−302128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、図16に示したように、成形カーペット110の上に複数のハーネス構成電線121〜124を載せた状態にしておくと、各ハーネス構成電線121〜124の重量が偏荷重となって作用することで、成形カーペット110が型崩れを起こし、フロアパネル210への組付け性が悪くなる場合がある。
【0011】
また、成形カーペット110の上に載せているハーネス構成電線121〜124同士が絡み付いて、ワイヤハーネス付き成形カーペット100をワイヤハーネス120に組み付ける際に、ハーネス構成電線相互の絡み付きを解く作業が必要になり、作業性が低下するという問題が生じた。
【0012】
このような不都合を防止するために、成形カーペット110の強度を向上させることが考えられるが、成形カーペット110の強度向上は、成形カーペット110の重量化やコストアップを招いてしまう。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、成形カーペットの強度を向上させずとも、ワイヤハーネス付き成形カーペットの保管時に、ワイヤハーネスの複数のハーネス構成電線の荷重による成形カーペットの型崩れを防止すると共に、ハーネス構成電線相互の絡み着きを防止することのできるカーペット保護用トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 車体のフロアパネルの立体構造に相応する立体構造に成形されて前記フロアパネル上に組み付けられる成形カーペットの上面に重ねられると、上方からの負荷による前記成形カーペットの型崩れを抑止可能な硬質材料製のカーペット保護用トレイであって、
一部が前記成形カーペットに固定されて前記フロアパネル上に配索されるワイヤハーネスの、前記成形カーペットの外側に延出する複数のハーネス構成電線を、個別に収容可能な複数のハーネス収容部が、上面に区画形成されたことを特徴とするカーペット保護用トレイ。
【0015】
(2) 前記ハーネス収容部は、収容する前記ハーネス構成電線を構成する電線及びコネクタを位置規制して、前記電線及び前記コネクタが外部からの振動等で当該収容部外に飛び出すことを抑止する位置規制手段を備えていることを特徴とする上記(1)に記載のカーペット保護用トレイ。
【0016】
(3) 前記成形カーペットに装備される折り畳み部に対応する位置には、前記成形カーペットと一体に当該カーペット保護用トレイを折り畳み可能にする蛇腹状の可撓部を備えたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のカーペット保護用トレイ。
【0017】
(4) 前記複数のハーネス収容部は、当該カーペット保護用トレイを前記蛇腹状の可撓部で折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの前記ハーネス収容部同士が重ならないように、前記各ハーネス収容部の形状や配列を設定したことを特徴とする上記(3)に記載のカーペット保護用トレイ。
【0018】
上記(1)の構成によれば、ワイヤハーネス付き成形カーペットの保管時には、成形カーペットの上面に当該カーペット保護用トレイを重ねておくと、成形カーペットの外側に延出する複数のハーネス構成電線を、成形カーペットの上面に重ねたカーペット保護用トレイの複数のハーネス収容部に収容することで、複数のハーネス構成電線を整然と成形カーペットの上方に収容することができ、ワイヤハーネス付きの成形カーペットの保管時の占有スペースを低減することができる。
【0019】
また、成形カーペットの外側にはみ出す複数のハーネス構成電線を、カーペット保護用トレイの複数のハーネス収容部に個別に収容することで、ハーネス構成電線相互の絡み付きを防止することができる。そのため、ハーネス構成電線相互の絡み付きによって後のフロアパネルへの組み付け作業が遅延することを防止することもできる。
【0020】
また、ワイヤハーネス付き成形カーペットは、成形カーペットの上面にカーペット保護用トレイを重ねておくことで、成形カーペットの強度を向上させずとも、複数のハーネス構成電線の荷重による成形カーペットの型崩れを防止することができ、成形カーペットの型崩れによって成形カーペットのフロアパネルへの取り付けが困難になることを防止することができる。
【0021】
更に、成形カーペットの上面にカーペット保護用トレイを重ねておくことで、複数のワイヤハーネス付き成形カーペットを積み重ねても、成形カーペットの型崩れを防止することができ、多数のワイヤハーネス付き成形カーペットを積み重ねて省スペースに保管することができる。
【0022】
上記(2)の構成によれば、カーペット保護用トレイの各ハーネス収容部は、収容するハーネス構成電線を構成する電線やコネクタを位置規制する位置規制手段を備えていて、収容しているハーネス構成電線の電線やコネクタなどが搬送時に作用する振動等で、ハーネス収容部から脱落することを防止することができ、搬送時に加わる振動等でハーネス構成電線相互が絡み付くことを防止することができる。
【0023】
上記(3)の構成によれば、成形カーペットの上面に重ねたカーペット保護用トレイは、成形カーペットと一体に折り畳むことができる。そのため、保管時や搬送時等には、成形カーペット及びカーペット保護用トレイを折り畳んでおくことで、搬送を容易にしたり、保管を容易にすることができる。
【0024】
上記(4)の構成によれば、カーペット保護用トレイは折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの収容部が重ならず、折り重なるトレイが互いに異なる曲げ特性を示すため、折り畳んだカーペット保護用トレイが変形し難く、カーペット保護用トレイの剛性向上によって成形カーペットに対する保護性能を向上させることができる。また、各ハーネス収容部に収容したハーネス構成電線の脱落を防止することもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるカーペット保護用トレイによれば、成形カーペットの強度を向上させずとも、ワイヤハーネス付きの成形カーペットの保管時に、ワイヤハーネスの複数のハーネス構成電線の荷重による成形カーペットの型崩れを防止すると共に、ハーネス構成電線相互の絡み着きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は本発明に係るカーペット保護用トレイの一実施形態と、この一実施形態のカーペット保護用トレイが載置される成形カーペットと、の斜視図である。
図2図2図1に示したカーペット保護用トレイの側面図である。
図3図3図1に示したカーペット保護用トレイが成形カーペットの上面に重ねられ、成形カーペットの外側に延出するハーネス構成電線がカーペット保護用トレイのハーネス収容部に収容された状態の斜視図である。
図4図4はカーペット保護用トレイを組み付けた複数のワイヤハーネス付き成形カーペットが多段に重ねられた状態の斜視図である。
図5図5図3に示した第6のハーネス収容部の拡大斜視図である。
図6図6図5に示した第6のハーネス収容部の具体的構造の一例の平面図である。
図7図7図3に示した第8のハーネス収容部の拡大斜視図である。
図8図8図7に示した第8のハーネス収容部の具体的構造の一例の平面図である。
図9図9は本発明の一実施形態のカーペット保護用トレイの蛇腹状の可撓部の配置を示した斜視図である。
図10図10図9に示したカーペット保護用トレイの折り畳み状態の斜視図である。
図11図11はカーペット保護用トレイを組み付けたワイヤハーネス付き成形カーペットが2つ折りに折り畳まれる途中の状態を示す斜視図である。
図12図12は本発明の一実施形態のカーペット保護用トレイにおける複数のハーネス収容部の配列状態の設定例を示す平面図である。
図13図13は従来のワイヤハーネス付き成形カーペットの概略構成を示す斜視図である。
図14図14図13に示したワイヤハーネス付き成形カーペットのワイヤハーネスを固定する構造を示す分解斜視図である。
図15図15は従来のワイヤハーネス付き成形カーペットにおいて、成形カーペットの外側にハーネス構成電線が延出した状態を示す斜視図である。
図16図16は従来のワイヤハーネス付き成形カーペットにおいて、成形カーペット上にハーネス構成電線が載置された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るカーペット保護用トレイの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1図12は本発明に係るカーペット保護用トレイの一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態のカーペット保護用トレイと成形カーペットとの斜視図、図2図1に示したカーペット保護用トレイの側面図、図3図1に示したカーペット保護用トレイが成形カーペットの上面に重ねられ、成形カーペットの外側に延出するハーネス構成電線がカーペット保護用トレイのハーネス収容部に収容された状態の斜視図、図4はカーペット保護用トレイを組み付けた複数のワイヤハーネス付き成形カーペットが多段に重ねられた状態の斜視図、図5図3に示した第6のハーネス収容部の拡大斜視図、図6図5に示した第6のハーネス収容部の具体的構造の一例の平面図、図7図3に示した第8のハーネス収容部の拡大斜視図、図8図7に示した第8のハーネス収容部の具体的構造の一例の平面図、図9は本発明の一実施形態のカーペット保護用トレイの蛇腹状の可撓部の配置を示した斜視図、図10図9に示したカーペット保護用トレイの折り畳み状態の斜視図、図11はカーペット保護用トレイを組み付けたワイヤハーネス付き成形カーペットが2つ折りに折り畳まれる途中の状態を示す斜視図、図12は本発明の一実施形態のカーペット保護用トレイにおける複数のハーネス収容部の配列状態の設定例を示す平面図である。
【0029】
この一実施形態のカーペット保護用トレイ4は、図1図3に示すように、車両のフロアパネル(不図示)上に組み付けられるワイヤハーネス付き成形カーペット6(図3参照)の保管時または搬送時等に、ワイヤハーネス付き成形カーペット6を構成している成形カーペット61の上面に重ねられて、使用される。
【0030】
図3に示したワイヤハーネス付き成形カーペット6は、成形カーペット61と、一部が成形カーペット61に固定されて車両のフロアパネル上に配索されるワイヤハーネス62と、を備えている。
【0031】
成形カーペット61は、車体のフロアパネルの立体構造に相応する立体構造に成形されて、フロアパネル上に組み付けられるカーペットである。本実施形態に示した成形カーペット61は、図1に示す車体の幅方向の寸法を2分する中心軸611で2つ折りに折り畳み可能になっている。即ち、成形カーペット61は、中心軸611の位置が、谷折りに折り畳まれる折り畳み部613になっている。
【0032】
ワイヤハーネス62は、その一部が成形カーペット61に固定されて、成形カーペット61と一緒に不図示のフロアパネルに組み付けられる。
【0033】
ワイヤハーネス62は、成形カーペット61に固定される不図示の電線群と、この電線群から分岐して成形カーペット61の外側に延出する複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……と,を備えている。
【0034】
成形カーペット61の外側に延出する複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……は、ワイヤハーネス付き成形カーペット6を車体のフロアパネル上に組み付けた後、フロアパネル上に配索されて、車載の機器に接続される。
【0035】
本実施形態におけるカーペット保護用トレイ4は、薄皿状に成形された硬質材料製の成形品で、図3に示すように成形カーペット61の上面に重ねられると、上方からの負荷による成形カーペット61の型崩れを抑止可能な剛性を備えている。
【0036】
カーペット保護用トレイ4の材質としては、各種の合成樹脂材料を使用することができる。
【0037】
本実施形態のカーペット保護用トレイ4は、図1及び図3に示すように、その上面4aに、複数のハーネス収容部41a,41b,41c,……が区画形成されている。
【0038】
複数のハーネス収容部41a,41b,41c,……は、ワイヤハーネス62の複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……を個別に収容可能な凹みである。
【0039】
第1のハーネス収容部41aは第1のハーネス構成電線62aを収容し、第2のハーネス収容部41bは第2のハーネス構成電線62bを収容し、第3のハーネス収容部41cは第3のハーネス構成電線62cを収容し、第4のハーネス収容部41dは第4のハーネス構成電線62dを収容し、第5のハーネス収容部41eは第5のハーネス構成電線62eを収容し、第6のハーネス収容部41fは第6のハーネス構成電線62fを収容し、第7のハーネス収容部41gは第7のハーネス構成電線62gを収容し、第8のハーネス収容部41hは第8のハーネス構成電線62hを収容する。第9のハーネス収容部41i及び第10のハーネス収容部41jは予備用である。
【0040】
成形カーペット61の外側に延出する複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……は、図3に示すように、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……に収容されると、成形カーペット61の外周にはみ出さない状態に、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……に保持される。
【0041】
カーペット保護用トレイ4の上面は略平坦に形成されており、成形カーペット61の上面にカーペット保護用トレイ4を重ねた複数のワイヤハーネス付き成形カーペット6は、図4に示すように、上下方向に多段に重ねた状態で、保管したり搬送したりすることができる。
【0042】
カーペット保護用トレイ4の各ハーネス収容部41a,41b,41c,……は、図5図8に示すように、収容するハーネス構成電線62a,62b,62c,……を構成する電線621やコネクタ622を位置規制する位置規制手段411a,411b,411c,……を備えている。
【0043】
位置規制手段411a,411b,411c,……は、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……の電線621やコネクタ622が外部からの振動等で当該収容部外に飛び出すことを抑止する。
【0044】
図5及び図6に示した第6のハーネス収容部41fは、第6のハーネス構成電線62fの電線621を位置規制する位置規制手段として、電線621が挿通する通路幅を狭めた幅狭通路411aと、電線621が挿通する通路を蛇行させる突起部411bと、を備えている。また、図5及び図6に示した第6のハーネス収容部41fは、第6のハーネス構成電線62fの複数のコネクタ622を位置規制する位置規制手段として、コネクタ622に当接する複数のコネクタ当接面411cを備えている。
【0045】
図7及び図8に示した第8のハーネス収容部41hは、第8のハーネス構成電線62hの電線621を位置規制する位置規制手段として、電線621が挿通する通路幅を狭めた幅狭通路411dと、電線621が挿通する通路を蛇行させる突起部411eとを備えている。また、図7及び図8に示した第8のハーネス収容部41hは、第8のハーネス構成電線62hの複数のコネクタ622を位置規制する位置規制手段として、これらのコネクタ622が当接する複数のコネクタ当接枠411fを備えている。コネクタ当接枠411fは、突起部411eと第8のハーネス収容部41hの内壁面に内接することで、第8のハーネス収容部41h内に位置決めされている。
【0046】
また、本実施形態のカーペット保護用トレイ4は、図1及び図9に示すように、成形カーペット61に装備される折り畳み部613に対応する位置に、蛇腹状の可撓部413を備えている。
【0047】
カーペット保護用トレイ4は、蛇腹状の可撓部413を谷折りすることで、図10に示すように、右側のトレイ半体4cが左側のトレイ半体4dに重なる折り畳み状態にすることができる。
【0048】
この蛇腹状の可撓部413を谷折りするカーペット保護用トレイ4の折り畳みは、図11に示すように、ワイヤハーネス付き成形カーペット6の上面にカーペット保護用トレイ4を載置している状態でも行うことができる。即ち、蛇腹状の可撓部413は、成形カーペット61と一体に当該カーペット保護用トレイ4を折り畳み可能にしている。
【0049】
また、本実施形態のカーペット保護用トレイ4は、図1及び図9に示すように、左右のトレイ半体4c,4dにも、これらのトレイ半体の前半部4c1,4d1を後半部4c2,4d2の上に折り重ねる蛇腹状の可撓部414を備えている。カーペット保護用トレイ4は、保管時に、蛇腹状の可撓部413又は蛇腹状の可撓部414で折り畳むことで、保管スペースを低減させることができる。
【0050】
更に、本実施形態のカーペット保護用トレイ4に装備される複数のハーネス収容部41a,41b,41c,……は、当該カーペット保護用トレイ4を蛇腹状の可撓部413で折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの収容部同士が重ならないように、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……の形状や配列を設定している。
【0051】
例えば、図12に示した複数のハーネス収容部の配置例では、ハーネス収容部41a,41b,41cは、破線で示したハーネス収容部41ak,41bk,41ckのように、形状や配列を変更する方が望ましい。
【0052】
以上に説明した一実施形態のカーペット保護用トレイ4では、ワイヤハーネス付き成形カーペット6の保管時には、図3に示したように、成形カーペット61の上面に当該カーペット保護用トレイ4を重ねておくと、成形カーペット61の外側に延出する複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……を、成形カーペット61の上面に重ねたカーペット保護用トレイ4の複数のハーネス収容部41a,41b,41c,……に収容することで、複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……を整然と成形カーペット61の上方に収容することができ、ワイヤハーネス付き成形カーペット6の保管時の占有スペースを低減することができる。
【0053】
また、成形カーペット61の外側にはみ出す複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……を、カーペット保護用トレイ4の複数のハーネス収容部41a,41b,41c,……に個別に収容することで、ハーネス構成電線62a,62b,62c,……相互の絡み付きを防止することができる。
【0054】
そのため、ハーネス構成電線62a,62b,62c,……相互の絡み付きによって後のフロアパネルへの組み付け作業が遅延することを防止することもできる。
【0055】
また、ワイヤハーネス付き成形カーペット6は、成形カーペット61の上面にカーペット保護用トレイ4を重ねておくことで、成形カーペット61の強度を向上させずとも、複数のハーネス構成電線62a,62b,62c,……の荷重による成形カーペット61の型崩れを防止することができ、成形カーペット61の型崩れによって成形カーペット61のフロアパネルへの取り付けが困難になることを防止することができる。
【0056】
更に、成形カーペット61の上面にカーペット保護用トレイ4を重ねておくことで、図4に示したように、複数のワイヤハーネス付き成形カーペット6を積み重ねても、成形カーペット61の型崩れを防止することができ、多数のワイヤハーネス付き成形カーペット6を積み重ねて省スペースに保管することができる。
【0057】
また、カーペット保護用トレイ4は、ワイヤハーネス付き成形カーペット6の保管時や搬送時に使用するもので、ワイヤハーネス付き成形カーペット6を車体のフロアパネルに取り付けたときには、成形カーペット61から取り外される。そして、成形カーペット61から取り外されたカーペット保護用トレイ4は、次に保管したり搬送したりする成形カーペット61に装着することができ、繰り返し使用することができるため、経済的である。
【0058】
また、一実施形態のカーペット保護用トレイ4の場合、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……は、収容するハーネス構成電線62a,62b,62c,……を構成する電線やコネクタを位置規制する位置規制手段411a〜411fを備えていて、収容しているハーネス構成電線の電線やコネクタなどが搬送時に作用する振動等で、ハーネス収容部41a,41b,41c,……から脱落することを防止することができ、搬送時に加わる振動等でハーネス構成電線62a,62b,62c,……相互が絡み付くことを防止することができる。
【0059】
また、一実施形態のカーペット保護用トレイ4の場合、成形カーペット61の上面に重ねたカーペット保護用トレイ4は、図11に示したように、成形カーペット61と一体に折り畳むことができる。そのため、保管時や搬送時等には、成形カーペット61及びカーペット保護用トレイ4を折り畳んでおくことで、搬送を容易にしたり、保管を容易にしたりすることができる。
【0060】
また、一実施形態のカーペット保護用トレイ4の場合、カーペット保護用トレイ4は折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの収容部が重ならず、折り重なるトレイが互いに異なる曲げ特性を示すため、折り畳んだカーペット保護用トレイ4が変形し難く、カーペット保護用トレイ4の剛性向上によって成形カーペット61に対する保護性能を向上させることができる。また、各ハーネス収容部41a,41b,41c,……に収容したハーネス構成電線62a,62b,62c,……の脱落を防止することもできる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0062】
例えば、カーペット保護用トレイに装備するハーネス収容部の数量や、各ハーネス収容部の具体的な形状や大きさなどは、これらのハーネス収容部に収容するハーネス構成電線の構成に応じて、適宜に設計変更することができる。
【0063】
ここで、上述した本発明に係るカーペット保護用トレイの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0064】
[1] 車体のフロアパネルの立体構造に相応する立体構造に成形されて前記フロアパネル上に組み付けられる成形カーペット(61)の上面に重ねられると、上方からの負荷による前記成形カーペット(61)の型崩れを抑止可能な硬質材料製のカーペット保護用トレイ(4)であって、
一部が前記成形カーペット(61)に固定されて前記フロアパネル上に配索されるワイヤハーネス(62)の、前記成形カーペット(61)の外側に延出する複数のハーネス構成電線(62a,62b,62c,……)を、個別に収容可能な複数のハーネス収容部(41a,41b,41c,……)が、上面に区画形成されたことを特徴とするカーペット保護用トレイ(4)。
【0065】
[2] 前記ハーネス収容部(41a,41b,41c,……)は、収容する前記ハーネス構成電線(62a,62b,62c,……)を構成する電線及びコネクタを位置規制して、前記電線及び前記コネクタが外部からの振動等で当該収容部外に飛び出すことを抑止する位置規制手段(411a〜411f)を備えていることを特徴とする上記[1]に記載のカーペット保護用トレイ(4)。
【0066】
[3] 前記成形カーペット(61)に装備される折り畳み部(613)に対応する位置には、前記成形カーペット(61)と一体に当該カーペット保護用トレイ(4)を折り畳み可能にする蛇腹状の可撓部(413)を備えたことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のカーペット保護用トレイ(4)。
【0067】
[4] 前記複数のハーネス収容部(41a,41b,41c,……)は、当該カーペット保護用トレイ(4)を前記蛇腹状の可撓部(413)で折り畳んだときに、同一の形状及び大きさの前記ハーネス収容部同士が重ならないように、前記各ハーネス収容部(41a,41b,41c,……)の形状や配列を設定したことを特徴とする上記[3]に記載のカーペット保護用トレイ(4)。
【符号の説明】
【0068】
4 カーペット保護用トレイ
6 ワイヤハーネス付き成形カーペット
41a,41b,41c,…… ハーネス収容部
61 成形カーペット
62 ワイヤハーネス
62a,62b,62c,…… ハーネス構成電線
411a,411d 幅狭通路(位置規制手段)
411b,411e 突起部(位置規制手段)
411c コネクタ当接面(位置規制手段)
411f コネクタ当接枠(位置規制手段)
413,414 蛇腹状の可撓部
613 折り畳み部
621 電線
622 コネクタ
図1
図2
図3
図4
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