(54)【発明の名称】9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物及びその製造方法、並びに9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物を用いた有機分子酸化触媒及びアルコール類の酸化方法
【文献】
SHIBUYA M. et al.,Tetrahedron Letters,2012年,Vol.53,p.2070-3,Available online 15 February 2012
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グルタリルクロリドをジワインレブアミドとした後、メチル化によって得られる2、6−ヘプタンジオンと塩化アンモニウム、アセトンジカルボン酸の縮合によってケトビシクロアミン体を合成した後に、ヒドラジンとの縮合によりヒドラゾンとした後、塩基性条件下にアザノルアダマンタン骨格を形成し、アミノ基を酸化することを特徴とする、請求項1に記載の式(1)で表わされるアザノルアダマンタンN-オキシル化合物を製造する方法。
請求項1に記載の9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物の存在下に、第1級アルコールを酸化せしめて、対応するオキソ体を合成することを特徴とする第1級アルコールの酸化方法。
前記9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物の添加量が、第1級アルコール及び第2級アルコールを有する化合物に対して0.001mol%〜1000mol%の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
共酸化剤が、過酸素酸、過酸化水素、次亜ハロゲン酸及びその塩、過ハロゲン酸及びその塩、過硫酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン化剤、トリハロゲン化イソシアヌル酸、ジアセトキシヨードアレン、酸素及び空気からなる群から選ばれる酸化剤であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物及びその製造方法、並びに9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物を用いた有機分子酸化触媒及びアルコール類の酸化方法について詳細に説明する。
【0012】
先ず、本発明における「第1級アルコールを選択的に酸化する」、「第1級アルコール選択的酸化反応」、「第1級アルコール選択的酸化触媒」、「第1級アルコール選択性」、その他同義で用いられる表現は、第1級アルコールと第2級アルコールの共存する基質の酸化反応において、第1級アルコールのみ酸化された反応物を50%以上得ることができる反応、機能又は触媒を意味し、好適には第1級アルコールのみ酸化された反応物を70%以上得ることができる反応、機能又は触媒を意味する。より好適には第1級アルコールのみ酸化された反応物を90%以上得ることができる反応、機能又は触媒を意味する。
【0013】
本発明は、下記式(1)で表される9−アザノルアダマンタンN−オキシル化合物を有機分子酸化触媒として用いることを特徴としている。
【0015】
(上式中、R
1及びR
2は水素原子又はアルキル基を示す。ただし、R
1及びR
2の一方が水素の場合、もう一方はアルキル基である。)
【0016】
式(1)のR
1及びR
2で示されるアルキル基としては、当該分野で知られているもので且つ所期の目的を達成できるものであれば特に制限されないが、例えば、低級アルキル基等が挙げられる。該低級アルキル基としては、C
1~5のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられるが、特にはメチル基が好ましい。
【0017】
上記式(1)で示される化合物は、下記式(2)
【0018】
【化6】
(上式中、R
1及びR
2は上記と同義である。)
で表されるアザノルアダマンタン化合物を酸化する工程を少なくとも経由することで合成することができる。
【0019】
また、上記式(2)に示すアザノルアダマンタン化合物は、下記式(3)
【0021】
(上式中、R
1及びR
2は、上記と同義である。R
3は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、直鎖または分岐鎖であるC
1-12アルキル基、C
3-12シクロアルキル基、(C
1-12アルキル)オキシ基、(C
3-12シクロアルキル)オキシ基、(C
1-12アルキル)チオ基、(C
3-12シクロアルキル)チオ基、(C
1-12アルキル)アミノ基、(C
3-12シクロアルキル)アミノ基、ジ(C
1-6アルキル)アミノ基、ジ(C
3-6シクロアルキル)アミノ基、C
1-12アルキルカルボニル基、C
3-12シクロアルキルカルボニル基、(C
1-12アルキル)オキシカルボニル基、(C
3-12シクロアルキル)オキシカルボニル基、(C
1-12アルキル)チオカルボニル基、(C
3-12シクロアルキル)チオカルボニル基、(C
1-12アルキル)アミノカルボニル基、(C
3-12シクロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(C
1-6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C
3-6シクロアルキル)アミノカルボニル基、(C
1-12アルキル)カルボニルオキシ基、(C
3-12シクロアルキル)カルボニルオキシ基、(C
1-12アルキル)カルボニルチオ基、(C
3-12シクロアルキル)カルボニルチオ基、(C
1-12アルキル)カルボニルアミノ基、(C
3-12シクロアルキル)カルボニルアミノ基、ジ(C
1-12アルキルカルボニル)アミノ基、ジ(C
3-12シクロアルキルカルボニル)アミノ基、C
1-6ハロアルキル基、C
3-6ハロシクロアルキル基、C
2-6アルケニル基、C
3-6シクロアルケニル基、C
2-6ハロアルケニル基、C
3-6ハロシクロアルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
2-6ハロアルキニル基、Raで置換されていてもよいベンジル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(ベンジルカルボニル)アミノ基、Raで置換されていてもよいアリール基、Raで置換されていてもよいアリールオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールチオ基、Raで置換されていてもよいアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルアミノ基、及びRaで置換されていてもよいジ(アリールカルボニル)アミノ基からなる群から選ばれる1以上の置換基を表し、置換基の数が2以上である場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。Raは、ハロゲン、C
1-6アルキル基、C
1-6ハロアルキル基、C
3-6シクロアルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキル基、C
1-6アルキルスルフェニルC
1-6アルキル基、C
1-6ハロアルコキシ基、C
1-6アルキルスルフェニル基、C
1-6アルキルスルフィニル基、C
1-6アルキルスルホニル基、C
1-6ハロアルキルスルフェニル基、C
1-6ハロアルキルスルフィニル基、C
1-6ハロアルキルスルホニル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6ハロアルケニル基、C
2-6アルケニルオキシ基、C
2-6ハロアルケニルオキシ基、C
2-6アルケニルスルフェニル基、C
2-6アルケニルスルフィニル基、C
2-6アルケニルスルホニル基、C
2-6ハロアルケニルスルフェニル基、C
2-6ハロアルケニルスルフィニル基、C
2-6ハロアルケニルスルホニル基、C
2-6アルキニル基、C
2-6ハロアルキニル基、C
2-6アルキニルオキシ基、C
2-6ハロアルキニルオキシ基、C
2-6アルキニルスルフェニル基、C
2-6アルキニルスルフィニル基、C
2-6アルキニルスルホニル基、C
2-6ハロアルキニルスルフェニル基、C
2-6ハロアルキニルスルフィニル基、C
2-6ハロアルキニルスルホニル基、−NO
2、−CN、ホルミル基、−OH、−SH、−NH
2、−SCN、C
1-6アルコキシカルボニル基、C
1-6アルキルカルボニル基、C
1-6ハロアルキルカルボニル基、C
1-6アルキルカルボニルオキシ基、フェニル基、C
1-6アルキルアミノ基またはジC
1-6アルキルアミノ基であって、置換するRaの数は1〜5個であり、Raが2個以上の場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。Xは、水素原子又はアシル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、アルキル基、アリル基、ベンジル基、アリール基、シリル基、水酸基、アルコキシ基、酸素原子から選択される基を表す。)
で表わされるヒドラゾノアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を閉環せしめてアザノルアダマンタン環を形成せしめることで合成することができる。
【0022】
なお上記Xは、ヒドラゾノ[3.3.1]ノナン化合物を閉環せしめてアザノルアダマンタン環を形成せしめる反応に悪影響を与えなければ、上記に例示した基以外であってもよい。
【0023】
上記Xのアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ビバロイル基、ベンゾイル基等のC
1-10のアシル基が挙げられる。カルバモイル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のC
1-10のカルバモイル基が挙げられる。スルホンアミド基としては、メタンスルホンアミド基、トリフルオロメタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、トルエンスルホンアミド基、ニトロトルエンスルホンアミド基等のスルホンアミド基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基等のC
6-18のアリール基が挙げられる。シリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基,トリイソプロピルシリル基、Tert−ブチルジメチルシリル基等の3つのアルキル基が置換したシリル基が挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のC
1-10のアルコキシ基が挙げられる。なお、アルキル基は上記R
1と同じである。
【0024】
また、上記式(3)に示す化合物は、下記式(4)
【0025】
【化8】
(上式中、R
1、R
2及びXは上記と同義である。)
で表わされるケトアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物をフェニルヒドラジンと縮合せしめることで合成することができる。
【0026】
そして、上記式(4)に示す化合物は、グルタリルクロリドをジワインレブアミドとした後、メチル化によって得られる2、6−ヘプタンジオンと塩化アンモニウム、アセトンジカルボン酸の縮合によって合成することができる。
【0027】
勿論、上記に例示した合成方法は、式(1)で示される化合物を合成するための一例に過ぎず、他の方法であってもよい。また、上記式(1)〜(4)で表される化合物には、アザノルアダマンタン核の1,5位以外に、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基が置換された誘導体も含まれる。
【0028】
本発明において被酸化物である「アルコール」とは下記の一般式(5)で示される第1級アルコール、又は下記の一般式(6)で示される第2級アルコールであればよい。
【0031】
上記一般式(5)及び(6)における置換基X及びYは、酸化反応に悪影響を及ぼさない置換基であれば特に制限はない。例えば、X及びYは、置換されてもよい直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、置換されてもよい環状アルキル基、置換されてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されてもよい芳香族複素環基を挙げることができる。また、上記一般式(5)及び(6)に示される構造単位を同一分子内に複数有する化合物も含まれる。
【0032】
上記X及びYの「置換されてもよい直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基」における直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては、例えば炭素数1から16程度のアルキル基を挙げることができる。これらのうちでは炭素数1から8程度のアルキル基を好適に適用することができる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−プロピルブチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−プロピルペンチル基、2−エチルヘキシル基、又は5,5−ジメチルヘキシル基などを挙げることができる。
【0033】
環状アルキル基としては炭素数3から7程度のシクロアルキルを挙げることができるが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はシクロヘプチル基等である。
【0034】
芳香族環炭化水素基を構成する芳香環は単環式芳香族炭化水素環又は縮合多環式芳香族炭化水素環のいずれであってもよい。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、フェナントリル基、又はアセナフチレニル等の炭素数6から14程度のアリール基を挙げることができる。
【0035】
芳香族複素環基を構成する複素環としては、例えば5員環若しくは6員環の単環式複素環、又は6員+5員若しくは6員+6員の縮合複素環を挙げることができるが、これらに限定されることはない。複素環を構成する環構成ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1から3個の原子を挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、複素環としては芳香環であることが好ましいが、飽和または部分飽和であってもよい。複素環が飽和または部分飽和である場合、異原子部分は適切な保護基によって保護されていることが好ましい場合が多いが、そのままであってもよい。
【0036】
芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、フラザニル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、若しくはトリアジニル等の単環式芳香族複素環基、又はベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズインダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、1,2−ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾピラニル基、1,2−ベンゾイソチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、ブテリジニル基、カルバゾリル基、α−カルボリニル基、β−カルボリニル基、γ−カルボリニル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、フェナトリジニル基、フェナトロリニル基、インドリジニル基、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル基、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジル基、イミダゾ[1,5−a]ピリジル基、イミダゾ[1,2−b]ピリダジニル基、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル基、1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジニル基等の8〜12員の縮合多環式芳香族複素環基を挙げることができる。なお、これらの芳香族複素環基は飽和又は部分飽和となっていてもよい。
【0037】
本明細書において、ある基について「置換されていてもよい」と言う場合には、その基の任意の位置に1又は2以上の任意の置換基が存在していてもよいことを意味しており、2以上の置換基が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。このような置換基は反応に影響を及ぼさない限りその種類は特に制限されない。
【0038】
直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、環状アルキル基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基上に存在可能な置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、若しくはプロピル基等の炭素数1から6程度のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、若しくはプロポキシ基等の炭素数1から6程度のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、若しくはヨウ素原子等のハロゲン原子、ビニル基若しくはアリル等の炭素数2から6程度のアルケニル基、エチニル基若しくはプロパルギル等の炭素数2から6程度のアルキニル基、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいスルホニル基、置換されていてもよいスルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、置換されていてもよいアミジノ基、カルボキシ基、炭素数2から7程度のアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、芳香族基、芳香族複素環基、又はアシル基(例えば置換されていてもよいアルキルカルボニル基、又は置換されていてもよいアリールカルボニル基)等を挙げることができるがこれらに限定されることはない。これらの置換基は適宜保護されていてもよい。保護基の種類は特に限定されないが、水酸基やアミノ基などに適する保護基は、例えば、Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, 1999, John Wiley & Sons, Inc.などの成書を参照して適宜選択することができ、アルコール酸化後に生成物のアルデヒド又はケトン化合物から適宜の手段により除去することが可能である。
【0039】
本発明における「共酸化剤(「再酸化剤」又は「バルク酸化剤」ともいう。)」とは、触媒への酸化能力の供給源であり、ヒドロキシルアミンをニトロキシルラジカル又はオキソアンモニウム塩に、あるいはニトロキシルラジカルをオキソアンモニウム塩に酸化できるものであれば特に制限はなく、一般に、TEMPOを使用する酸化反応で利用されるものから適宜、選択することができる。そのような共酸化剤としては、例えば、過酸素酸、過酸化水素、次亜ハロゲン酸及びその塩、過ハロゲン酸及びその塩、過硫酸塩、ハロゲン化物、N−ブロモコハク酸イミド等のハロゲン化剤、トリハロゲン化イソシアヌル酸類、ジアセトキシヨードアレン類、酸素、空気、あるいはこれらの混合物であり、好適には過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸リチウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、過硫酸水素ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、トリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、塩素、臭素、沃素、ジアセトキシヨードベンゼン、酸素、空気などを用いることができる。本発明の方法は空気をバルク酸化剤として用いる場合にも高い酸化効率を達成することができるので、バルク酸化剤として空気を用いる場合は本発明の好ましい態様である。
【0040】
本発明における酸化反応は、溶媒中で、又は無溶媒で行うことができる。溶媒を用いる場合、反応を阻害しないものであれば特に制限はない。そのような溶媒をしては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類、酢酸、蟻酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールのようなフッ化アルコール類、tert−ブチルアルコールのような第3級アルコール類、スルホラン、水を挙げることができ、これらは混合物としても使用してよい。これらのうちで好適には、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、カルボン酸類、水又はそれらの混合物である。更に好適には、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、水又はそれらの混合物であり、特に好適にはジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸、ジクロロメタン−水混合溶液、アセトニトリル−水混合溶液、トルエン−水混合溶液、酢酸エチル−水混合溶液などを挙げることができる。
【0041】
反応混合液中には適宜、無機塩又は有機塩等の緩衝剤を添加することもでき、緩衝剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の重炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酢酸塩などを挙げることができ、好適には炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸塩などを挙げることができる。
【0042】
反応混合液中には適宜、反応を促進させる添加剤を添加することもできる。添加剤としては、例えば次亜塩素酸ナトリウムを共酸化剤として用いる場合においては、四級アンモニウム塩、アルカリ金属のハロゲン化物などを挙げることができ、好適には塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムあるいはこれらの混合物である。また、酸素を共酸化剤に用いる場合においては、一般にTEMPOを使用する空気酸化反応で使用される添加剤から選択することができ、例えば亜硝酸塩、亜硝酸エステル、無機酸、有機酸、臭素、又は銅、鉄、ルテニウム等の遷移金属であり、好適には亜硝酸ナトリウムと酢酸の混合物、亜硝酸ナトリウムと臭素の混合物、亜硝酸ナトリウムと塩化鉄の混合物、塩化銅、tert−ブチルナイトライトなどを挙げることができる。
【0043】
アルコール類に対する化合物(I)の使用量は特に限定されないが、通常はアルコール類に対して0.0001mol%〜1000mol%(原料アルコール類のモル数に対して0.0001%から1000%のモル数であることを意味する)であり、0.0001mol%〜150mol%が好ましく、0.001mol%から50mol%がより好ましい。0.1mol%から20mol%とすることが特に好ましい。
【0044】
反応温度は、原料化合物、バルク酸化剤及び試薬量により異なるが、通常−80
oC〜120
oCであり、好適には0から40
oCである。
【0045】
本反応の反応終了後、目的の酸化生成物は通常の後処理の後、抽出、再結晶、又はカラムクロマトグラフィー等の単離操作によって単離することができる。
【0046】
本発明による(1)で表わされるニトロキシルラジカルを触媒とする酸化反応は、TEMPOあるいはAZADOを触媒とする酸化反応において一般的に考えられている反応機構と同様の反応機構で進行すると考えられる。従って、(1)で表わされるニトロキシルラジカルに対応するヒドロキシルアミン体、及び、オキソアンモニウム塩も、ニトロキシルラジカル化合物と同様の触媒活性を示すものと考える。
【0047】
以下に本発明の実施例等を示し、さらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
R
1=R
2=Meである式(1)で表わされる化合物(1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタンN−オキシル、1,5−dimethyl−9−azanoradamantane N−oxyl、以下、DMN−AZADO)の合成法
【0049】
(実施例1−1)
ヘプタン−2,6−ジオンの合成
【化11】
【0050】
グルタリルクロリド(25ml、196mmol)のジクロロメタン(500ml)溶液に室温下、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(42g、431mmol)を加えた後、氷冷下、ピリジン(95ml、1.18mol)を滴下した。室温下2時間撹拌した後、反応混合液をセライトろ過した。ろ液を減圧濃縮後、ジエチルエーテル(300ml)を加え再びセライトろ過、減圧濃縮によってジワインレブアミド体を得た。このジワインレブアミド体をテトラヒドロフラン(500ml)に溶解させた後、氷冷下、メチルマグネシウムブロミドの3Mジエチルエーテル溶液(160ml、0.470mol)をゆっくりと滴下した。室温下、4時間撹拌した後、再び氷冷下としてゆっくりと水を加えた。反応液を酢酸エチルを用いて抽出した後、飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘプタン−2,6−ジオン(20.3g、81%)を得た。
【0051】
ヘプタン−2,6−ジオン :
1H−NMR (400 MHz、 CDCl
3) δ2.47 (t、 J = 7.2 Hz、 4H)、 2.13 (s、 6H)、 (quint、 J = 7.2 Hz、 2H);
13C−NMR (100 MHz、 CDCl
3) δ 208.3、 42.4、 29.9、 17.6; IR (neat、 cm
−1): 2983、 1714、 1357、 1156; MS m/z 128 (M
+)、 43 (100%); HRMS (EI): calcd for C
7H
12O
2 128.0837 (M
+)、 found 128.0835。
【0052】
(実施例1−2)
1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オンの合成
【化12】
【0053】
ヘプタン−2,6−ジオン(4.96g、38.7mmol)とアセトンジカルボン酸(10.74g、73.5mmol)の水溶液(32ml)を封管中に注入し、氷冷下、27M KOH (6ml)、塩化アンモニウム(6.20g、116mmol)水溶液(60ml)、酢酸ナトリウム(3.81g、46.4mmol)を順次加え、1g/ml KOH水溶液によってpHを9に調整した。反応液は、遮光下封管中室温で3日間撹拌した。10%塩酸水溶液を炭酸ガスの発生が完全に終わるまでゆっくりと滴下し、ジクロロメタンを用いて洗浄した。分液操作後、水層を10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性とし、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を、炭酸カリウムで乾燥、減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製後、1、5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(1.84g、28%)を得た。
【0054】
1、5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン:
1H−NMR (400 MHz、 CDCl
3) δ 2.35 (d、 J = 16.2 Hz、 2H)、 2.11 (d、 J = 16.2 Hz、 2H)、 1.70−1.62 (m、 3H)、 1.58−1.41 (m、 1H)、 1.41−1.28 (m、 3H)、 1.21 (s、 6H);
13C−NMR (100 MHz、 CDCl
3) δ 211.3、 52.9、 52.4、 37.9、 31.5、 19.4; IR (neat、 cm
−1): 3285、 3217、 2923、 1704、 1291、 850; MS m/z 167 (M
+)、 124 (100%); HRMS (EI): calcd for C
10H
17NO 167.1310 (M
+)、 found 167.1292。
【0055】
(実施例1−3)
N−tert−ブトキシカルボニル−1、5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オンの合成
【化13】
【0056】
1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(1.87g、 11.2mmol)とピリジン(2.3ml、28mmol)のジクロロメタン溶液(50 ml)に、氷冷下トリホスゲン(1.33g、4.48mmol)を数回に分けて加えた。30分氷冷下撹拌後、tert−ブタノール(2.2ml、22.4mmol)を滴下し8時間撹拌した。反応液に水を加えて反応を停止させた後に、ジエチルエーテルで抽出、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(0.37g、13%)と共に、1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(1.1g、59%)を回収した。回収した1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オンに対して同様の操作を2回繰り返し、N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(1.36g、44%)を得た。
【0057】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン;
1H−NMR (400 MHz、 CDCl
3) δ 2.65 (d、 J = 15.5 Hz、 2H)、 2.26 (d、 J = 16.9 Hz、 2H)、 1.78−1.70 (m、 2H)、 1.59−1.51 (m、 13H)、 1.39 (s、 6H);
13C−NMR (100 MHz、 CDCl
3) δ 210.5、 158.9、 81.2、 57.1、 50.5、 38.8、 29.8、 28.0、 19.1; IR (neat、 cm
−1): 1704、 1366、 1306、 1272; MS m/z 267 (M
+)、 57 (100%); HRMS (EI): calcd for C
15H
25NO
3 267.1834 (M
+)、 found 267.1818。
【0058】
(実施例1−4)
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−3−(トシルヒドラゾノ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンの合成
【化14】
【0059】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(3.04g、11.4mmol)のベンゼン溶液(115ml)に、p−トルエンスルホニルヒドラジン(6.37g、34.2mmol)を加えDean−Stark装置を用いて6時間加熱還流した。氷冷下、飽和重層水を加え、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。減圧下濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−3−(トシルヒドラゾノ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(3.07g、62%)を得た。
【0060】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−3−(トシルヒドラゾノ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン;
1H−NMR (400 MHz、 CDCl
3) δ 7.85 (d、 J = 7.7 Hz、 2H)、 7.42 (br s、 1H)、 7.30 (d、 J = 7.7 Hz、 2H)、 2.53−2.22 (m、 4H)、 2.42 (s、 3H)、 1.74−1.60 (m、 2H)、 1.60−1.35 (m、 4H)、 1.44 (s、 9H)、 1.32 (s、 3H)、 1.30 (s、 3H);
13C−NMR (100 MHz、 CDCl
3) δ 161.1、 158.6、 143.8、 135.6、 129.4、 127.8、 80.9、 56.2、 55.4、 43.5、 39.2、 38.1、 36.2、 30.3、 29.9、 27.9、 21.5、 18.8; IR (neat、 cm
−1): 2930、 1697、 1166、 1137; MS m/z 435 (M
+)、 180 (100%); HRMS (EI): calcd for C
22H
33N
3O
4S 435.2192 (M
+)、 found 435.2206。
【0061】
(実施例1−5)
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタンの合成
【化15】
【0062】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−3−(トシルヒドラゾノ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(40.6mg、93.2μmol)のジメチルホルムアミド溶液(1ml)に、室温下、水素化ナトリウム(18.9mg、0.466mmol)を加えた。15分間室温で撹拌後、15分加熱還流した。氷冷下、水を加え、ジエチルエーテルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタン(13.6mg、58%)を得た。
【0063】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタン;
1H−NMR (400 MHz、 CDCl
3) δ 2.61 (quint m、 J = 5.4 Hz、 2H)、 1.76 (d、 J = 10.1 Hz、 4H)、 1.57−1.48 (m、 4H)、 1.48 (s、 9H)、 1.38 (s、 6H);
13C−NMR (100 MHz、 CDCl
3) δ 159.8、 80.2、 65.8、 48.3、 38.8、 28.1、 24.2; IR (neat、 cm
−1): 2926、 2857、 1698、 1351、 1149; MS m/z 251 (M
+)、 195 (100%); HRMS (EI): calcd for C
15H
25NO
2 251.1885 (M
+)、 found 251.1895。
【0064】
(実施例1−5−2)
1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタン N−オキシル(DMN−AZADO)の合成
【化16】
【0065】
N−tert−ブトキシカルボニル−1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタン(376mg、1.50mmol)のジクロロメタン溶液(7.5ml)に、氷冷下トリフルオロ酢酸(0.56ml、6.0mmol)を滴下した。室温にて1時間撹拌した後、水を加えた。ジクロロメタンを用いて抽出した後、有機層を炭酸カリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタンをメタノール溶液(3.0ml)とした後、タングステン酸ナトリウム2水和物(247mg、0.75mmol)を加え、室温下30分間撹拌した。さらに尿素・過酸化水素(過酸化尿素又は、UHP(urea hydrogen peroxide))(564mg、6.0mmol)を加え、室温下40分撹拌した。飽和重層水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、1,5−ジメチル−9−アザノルアダマンタン N−オキシル(DMN−AZADO)(69mg、28%)を得た。
【0066】
DMN−AZADO:IR (neat、 cm
−1): 2955、 2869、 1732、 1456、 1374、 1337; MS m/z 166 (M
+)、 93 (100%); HRMS (EI): calcd for C
10H
16NO
・ 166.1232 (M
+)、 found 166.1232; Anal: calcd for C
10H
16NO
・: C、 72.25; H、 9.70; N、 8.43、 found: C、 71.91; H、 9.61; N、 8.07。
【実施例2】
【0067】
上記の方法で合成したDMN−AZADOと既存のニトロキシルラジカル型酸化触媒であるTEMPO、1−Me−AZADOの第1級アルコール選択的酸化反応における触媒活性を比較検討した。まず、次亜塩素酸ナトリウムを共酸化剤として用いる条件下に反応を実施した。
【0068】
【表1】
【0069】
次亜塩素酸ナトリウム1.5当量を用いた場合、TEMPOでは、17%の
ジケトン体が回収され、1−Me−AZADOを用いた場合には、24%の1級アルコールと2級アルコールが共に酸化されたジケトン体が得られた。そのため、TEMPOと1−Me−AZADOを触媒として用いた場合には、収率は中程度であるのに対して、DMN−AZADOを用いた場合には、94%と高収率で目的のヒドロキシケトン体が得られた。この結果、DMN−AZADOがアルコール酸化反応の触媒として機能し、第1級アルコール選択性と高い反応性を併せ持つ触媒であることが明らかとなった。
【0070】
次に、種々のジオールに対するDMN−AZADOの反応性について、TEMPOと比較し、検討を行った。
【0071】
【表2】
【0072】
TEMPOでは、反応時間を20分とした場合、基質により異なるが目的のヒドロキシケトン体は67〜78%程度しか得られなかった。一方、DMN−AZADOを用いた場合には、基質により異なるが、90%以上の高収率で目的のヒドロキシケトン体が得られ、且つケトアルデヒド等の目的物以外の化合物は誤差レベルであった。この結果、DMN−AZADOがアルコール酸化反応の触媒として機能し、基質の種類を問わず、且つTEMPOと比較して短時間で第1級アルコール選択性と高い反応性を併せ持つ触媒であることが明らかとなった。
【0073】
(実施例2−1)
(E)−メチル 6−エチル−5−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−2−オクテネートの酸化
【0074】
【化17】
【0075】
(E)−メチル 6−エチル−5−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−2−オクテネート(51.0mg、0.221mmol)のジクロロメタン溶液(0.59ml)に、DMN−AZADO(0.367mg、2.2μmol)、及び臭化カリウム(2.63mg、22μmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(3.56mg、11μmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(350μl)を加え、0℃に氷冷した。次に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.262M、210μl)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(240μl)の混合溶液を滴下し、0℃で10分撹拌した。20%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(1ml)加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物(45.6mg、90%)を得た。
【0076】
(E)−メチル 6−エチル−6−ホルミル−5−ヒドロキシ−2−オクテネート:
1H−NMR (400MHz, CDCl
3) δ 9.63 (s, 1H), 7.03 (ddd、 J = 14.4 Hz、 7.2 Hz、 7.2 Hz、 1H)、 5.94 (d、 J = 14.4 Hz、 1H)、 3.98 (ddd、 J = 10.4 Hz、 4.8 Hz、 2.4 Hz、 1H)、 3.74 (s、 3H)、 2.44−2.21 (m、 2H)、 2.29 (d、 J = 4.8 Hz、 1H)、 1.80 (dq、 J = 14.8 Hz、 7.4 Hz、 1H)、 1.78 (dq、 J = 14.8 Hz、 7.4 Hz、 1H)、 1.70 (dq、 J = 14.8 Hz、 7.4 Hz、 1H)、 1.58 (dq、 J = 14.8 Hz、 7.4 Hz、 1H)、 0.94 (t、 J = 7.4 Hz、 3H)、 0.87 (t、 J = 7.4 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 208.2、 166.7、 146.2、 123.3、 72.0、 55.4、 51.5、 34.6、 23.0、 22.0、 8.27、 7.97; IR (neat、 cm
−1): 3500、 2969、 2883、 1722、 1658、 1438、 1328、 1275、 1219、 1170、 1043、 978; MS m/z 229 (M
++H)、 100 (100%); HRMS (EI) calcd for C
12H
21O
4 229.1434 (M
++H)、 found 229.1426。
【0077】
(実施例2−2)
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオールの酸化
【0078】
【化18】
【0079】
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオール(42.5mg、0.204mmol)を実施例2−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタナール(39.3mg、93%)を得た。
【0080】
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタナール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.51 (s、 1H)、 7.36−7.17 (m、 5H)、 3.77 (d、 J = 9.7 Hz、 1H)、 2.96 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.7 Hz、 5.4 Hz、 1H)、 2.67 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.2 Hz、 7.3 Hz、 1H)、 2.29 (br s、 1H)、 1.83−1.64 (m、 2H)、 1.11 (s、 3H)、 1.04 (s、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 206.6、 141.6、 128.3、 125.8、 74.0、 50.3、 33.0、 32.5、 18.8、 16.3; IR (neat、 cm
−1): 3466、 2959、 2871、 1721、 1455、 1075、 1046、 700; MS m/z 188 (M
+−H
2O)、 72 (100%); HRMS (EI) calcd for C
13H
16O 188.1201 (M
+−H
2O)、 found 188.1189。
【0081】
(実施例2−3)
オレアノ−12−エン−11−オキソ−3β,30−ジオールの酸化
【0082】
【化19】
【0083】
オレアノ−12−エン−11−オキソ−3β,30−ジオール(41.2mg、0.090mmol)を実施例2−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(37.3mg、91%)を得た。
【0084】
オレアノ−12−エン−3β−ヒドロキシ−11−オキソ−30−アール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.42 (s、 1H)、 5.66 (s、 1H)、 3.23 (dd、 J = 10.6 Hz、 5.3 Hz、 1H)、 2.79 (dt、 J = 13.6 Hz、 3.4 Hz、 1H)、 2.34 (s、 1H)、 2.14−1.96 (m、 2H)、 1.96−1.77 (m、 3H)、 1.77−1.52 (m、 6H)、 1.52−1.34 (m、 7H)、 1.34−1.09 (m、 8H)、 1.09−0.90 (m、 8H)、 0.81 (s、 3H)、 0.80 (s、 3H)、 0.70 (d、 J = 10.6 Hz、 1H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 205.6、 200.0、 168.5、 128.6、 78.7、 61.8、 54.9、 47.6、 46.8、 45.4、 43.2、 39.13、 39.11、 38.4、 37.1、 32.7、 31.9、 28.5、 28.3、 28.1、 27.3、 26.4、 26.1、 24.0、 23.7、 18.7、 17.5、 16.3、 15.5; IR (neat、 cm
−1): 3461、 2927、 2864、 1728、 1655、 1456、 1387、 1209、 1075、 755; MS m/z 454 (M
+)、 287 (100%); HRMS (EI) calcd for C
30H
46O
3 454.3447 (M
+)、 found 454.3436。
【実施例3】
【0085】
天然物ベツリンを基質としてジアセトキシヨードベンゼンを共酸化剤とする条件下に、DMN−AZADOとTEMPO、1−Me−AZADO、AZADOを用いて触媒活性を比較した。合わせて、既存の酸化剤であるDMP(Dess−Martin periodinane)との比較検討も行った。
【0086】
【表3】
【0087】
検討の結果、AZADO、1−Me−AZADOを用いた場合には、ジケトン体が約50%得られ、TEMPOでは、2時間反応後も原料は26%回収された。TEMPOでは、反応時間を延長すると目的生成物であるヒドロキシアルデヒド体の分解反応が進行した。これに対し、DMN−AZADOは、3%とごくわずかなジケトン体の生成は見られたものの、高収率で目的のヒドロキシアルデヒド体が得られた。DMPを用いた場合には、選択性は見られなかった。
【0088】
この検討から、ジアセトキシヨードベンゼンを共酸化剤に用いる条件においても、DMN−AZADOが、TEMPOに比べ高い反応性を持ち、AZADOや1−Me−AZADOに比べ高い第1級アルコール選択性が明らかとなった。
【実施例4】
【0089】
ベツリンを基質としてジアセトキシヨードベンゼンを共酸化剤とする条件下に、種々の触媒量でTEMPOとDMN−AZADOの触媒活性についてさらに詳細な検討を行った。
【0090】
【表4】
【0091】
TEMPOを用いた場合には、15mol%まで触媒量を増やした場合に、収率よく第1級アルコール選択的反応が進行するのに対し、DMN−AZADOは、3mol%まで触媒量を減じても収率よく反応が進行した。反応時間は、DMN−AZADOがTEMPOに比べ、優位に短かった。触媒量、反応時間ともにTEMPOにくらべ、DMN−AZADOの優位性が明らかであった。
【実施例5】
【0092】
次に、種々のジオールに対するDMN−AZADOの反応性について、TEMPOと比較し、検討を行った。
【0093】
種々のジオールにおいて、DMN−AZADOはTEMPOに比べ、短時間かつ高収率で第1級アルコール選択的酸化反応が進行した。ネオペンチル位に位置する第1級アルコールの酸化もDMN−AZADOでは速やかに進行し、DMN−AZADOが高活性な第1級アルコール選択的酸化触媒であることは明らかである。
【0094】
【表5】
【実施例6】
【0095】
ジアセトキシヨードベンゼンを共酸化剤として用いる第1級アルコール選択的酸化反応
(実施例6−1)
【化20】
【0096】
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオール(50.2mg、0.241mmol)のジクロロメタン溶液(0.24ml)に、DMN−AZADO(2.00mg、0.012mmol)とジアセトキシヨードベンゼン(117mg、0.362mmol)を加え、室温下、15分撹拌した。飽和重層水(1ml)とチオ硫酸ナトリウム溶液(1ml)を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタナール(49.2mg、92%)を得た。
【0097】
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタナール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.51 (s、 1H)、 7.36−7.17 (m、 5H)、 3.77 (d、 J = 9.7 Hz、 1H)、 2.96 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.7 Hz、 5.4 Hz、 1H)、 2.67 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.2 Hz、 7.3 Hz、 1H)、 2.29 (br s、 1H)、 1.83−1.64 (m、 2H)、 1.11 (s、 3H)、 1.04 (s、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 206.6、 141.6、 128.3、 125.8、 74.0、 50.3、 33.0、 32.5、 18.8、 16.3; IR (neat、 cm
−1): 3466、 2959、 2871、 1721、 1455、 1075、 1046、 700; MS m/z 188 (M
+−H
2O)、 72 (100%); HRMS (EI) calcd for C
13H
16O 188.1201 (M
+−H
2O)、 found 188.1189。
【0098】
(実施例6−2)
2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールの酸化
【化21】
【0099】
2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール(41.7mg、0.285mmol)を実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、3−ヒドロキシ−2,2,4−トリメチルペンタナール(32.8mg、80%)を得た。
【0100】
3−ヒドロキシ−2,2,4−トリメチルペンタナール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.63 (s、 1H)、 3.55 (dd、 J = 5.8 Hz、 3.9 Hz、 1H)、 1.96 (d、 J = 5.8 Hz、 1H)、 1.88 (sept d、 J = 6.8 Hz、 3.9 Hz、 1H)、 1.13 (s、 3H)、 1.12 (s、 3H)、 0.97 (d、 J = 6.8 Hz、 3H)、 0.91 (d、 J = 6.8 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 206.5、 80.3、 30.0、 21.8、 19.9、 18.7、 17.3; IR (neat、 cm
−1): 3483、 1713; MS m/z 145 (M
++H)、 127 (100%); HRMS (FAB) calcd for C
8H
17O
2 145.1229 (M
++H)、 found 145.1218。
【0101】
(実施例6−3)
2−エチルヘキサン−1、3−ジオールの酸化
【化22】
【0102】
2−エチルヘキサン−1,3−ジオール(51.7mg、0.354mmol)を、ジアセトキシヨードベンゼン(137mg、0.425mmol)を用いて実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(43.2mg、85%)を得た。
【0103】
2−エチル−3−ヒドロキシヘキサナール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ9.78 (d、 J = 2.4 Hz、 0.4H)、 9.76 (d、 J = 2.9 Hz、 0.6H)、 3.98 (dt、 J = 8.7 Hz、 4.4 Hz、 0.4H)、 3.88 (dt、 J = 5.8 Hz、 5.8 Hz、 0.6H)、 2.37−2.23 (m、 1H)、 2.06 (br s、 0.6H)、 1.86 (br s、 0.4H)、 1.84−1.73 (m、 1H)、 1.73−1.61 (m、 1H)、 1.58−1.42 (m、 3H)、 1.42−1.29 (m、 1H)、 1.05−0.89 (m、 6H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ major 205.9、 70.8、 58.7、 37.1、 19.3、 18.6、 13.8、 11.4、 minor 205.7、 70.5、 58.8、 36.5、 19.1、 17.4、 13.8、 12.1; IR (neat、 cm
−1): 3428、 2961、 2874、 1719、 1463、 1142、 978; MS m/z 145 (M
++H)、 72 (100%); HRMS (EI) calcd for C
8H
17O
2 145.1229 (M
++H)、 found 145.1215。
【0104】
(実施例6−4)
オクタデカン−1,12−ジオールの酸化
【化23】
【0105】
オクタデカン−1,12−ジオール(51.7mg、0.180mmol)を、実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(40.2mg、79%)を得た。
【0106】
12−ヒドロキシオクタデカナール:mp 53−54
oC (Et
2O−hexane);
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.76 (t、 J = 1.8 Hz、 1H)、 3.58 (brs、 1H)、 2.42 (td、 J = 7.2 Hz、 1.8 Hz、 2H)、 1.63 (quint、 J = 7.2 Hz、 2H)、 1.49−1.30 (m、 6H)、 1.42−1.20 (m、 21H)、 0.88 (t、 J = 6.5 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 202.9、 71.8、 43.8、 37.41、 37.38、 31.8、 29.6、 29.5、 29.4、 29.31、 29.25、 29.1、 25.6、 25.5、 22.5、 22.0、 14.0; IR (neat、 cm
−1): 3300、 3211、 2913、 2848、 1712、 1469、 1130、 1079、 719; MS m/z 283 (M
+−H)、 199 (100%); HRMS (EI) calcd for C
18H
35O
2 283.2637 (M
+−H)、 found 283.2622。
【0107】
(実施例6−5)
ベツリンの酸化
【化24】
【0108】
ベツリン(50.4mg、0.114mmol)を実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(46.0mg、92%)を得た。
【0109】
ベツリナール:mp 168−169
oC (CHCl
3−hexane);
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.68 (s、 1H)、 4.76 (s、 1H)、 4.63 (s、 1H)、 3.18 (dd、 J = 10.6 Hz、 4.4 Hz、 1H)、 2.86 (td、 J = 11.1 Hz、 5.8 Hz、 1H)、 2.12−2.04 (m、 1H)、 2.02 (td、 J = 12.1 Hz、 3.4 Hz、 1H)、 1.96−1.82 (m、 1H)、 1.82−0.84 (m、 35H)、 0.82 (s、 3H)、 0.75 (s、 3H)、 0.67 (d、 J = 9.1 Hz、 1H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 206.7、 149.7、 110.1、 78.9、 59.3、 55.3、 50.4、 48.0、 47.5、 42.5、 40.8、 38.8、 38.71、 38.67、 37.2、 34.3、 33.2、 29.8、 29.2、 28.8、 28.0、 27.4、 25.5、 20.7、 19.0、 18.2、 16.1、 15.9、 15.3、 14.2; IR (neat、 cm
−1): 3419、 2942、 2868、 1724、 1452、 1377、 910、 733; MS m/z 440 (M
+)、 440 (100%); HRMS (EI) calcd for C
30H
48O
2 440.3654 (M
+)、 found 440.3656。
【0110】
(実施例6−6)
オレアノ−12−エン−11−オキソ−3β,30−ジオールの酸化
【化25】
【0111】
オレアノ−12−エン−11−オキソ−3β,30−ジオール(43.4mg、0.095mmol)を実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(42.8mg、99%)を得た。
【0112】
オレアノ−12−エン−3β−ヒドロキシ−11−オキソ−30−アール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.42 (s、 1H)、 5.66 (s、 1H)、 3.23 (dd、 J = 10.6 Hz, 5.3 Hz、 1H)、 2.79 (dt、 J = 13.6 Hz、 3.4 Hz、 1H)、 2.34 (s、 1H)、 2.14−1.96 (m、 2H)、 1.96−1.77 (m、 3H)、 1.77−1.52 (m、 6H)、 1.52−1.34 (m、 7H)、 1.34−1.09 (m、 8H)、 1.09−0.90 (m、 8H)、 0.81 (s、 3H)、 0.80 (s、 3H)、 0.70 (d、 J = 10.6 Hz、 1H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 205.6、 200.0、 168.5、 128.6、 78.7、 61.8、 54.9、 47.6、 46.8、 45.4、 43.2、 39.13、 39.11、 38.4、 37.1、 32.7、 31.9、 28.5、 28.3、 28.1、 27.3、 26.4、 26.1、 24.0、 23.7、 18.7、 17.5、 16.3、 15.5; IR (neat、 cm
−1): 3461、 2927、 2864、 1728、 1655、 1456、 1387、 1209、 1075、 755; MS m/z 454 (M
+)、 287 (100%); HRMS (EI) calcd for C
30H
46O
3 454.3447 (M
+)、 found 454.3436。
【0113】
(実施例6−7)
エリスロジオールの酸化
【化26】
【0114】
エリスロジオール(44.0mg、 0.099mmol)を実施例6−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物(41.7mg、95%)を得た。
【0115】
オレアノアルデヒド:[a]
D22+68.7 (c 0.41、 CHCl
3); mp 184−185 ℃ (CHCl
3−hexane);
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.40 (s、 1H)、 5、34 (t、 J = 3.5 Hz、 1H)、 3.21 (dd、 J = 11.2 Hz、 4.4 Hz、 1H)、 2.63 (dd、 J = 13.7 Hz、 4.4 Hz、 1H)、 1.98 (td、 J = 13.6 Hz、 3.9 Hz、 1H)、 1.89 (t、 J = 3.9 Hz、 1H)、 1.87 (m、 1H)、 1.80−0.60 (m、 41H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 207.5、 142.9、 123.2、 78.9、 55.2、 49.1、 47.5、 45.6、 41.7、 40.4、 39.5、 38.7、 38.4、 37.0、 33.1、 33.0、 32.7、 30.6、 28.1、 27.7、 27.1、 26.7、 25.5、 23.40、 23.38、 22.1、 18.3、 17.0、 15.6、 15.3; IR (neat、 cm
−1): 3509、 2928、 2859、 1712、 1462、 1049、 1029、 997、 753; MS m/z 440 (M
+)、 203 (100%); HRMS (EI) calcd for C
30H
48O
2 440.3654 (M
+)、 found 440.3649。
【実施例7】
【0116】
触媒量の次亜塩素酸ナトリウム存在下、亜塩素酸ナトリウムを共酸化剤として第1級アルコールからカルボン酸へのワンポット酸化反応条件下、TEMPOとDMN−AZADOの触媒効率と第1級アルコール選択性を比較検討した。
【0117】
【表6】
【0118】
第1級アルコールからカルボン酸へのワンポット酸化反応においても、目的生成物の収率及び反応時間でTEMPOに対する優位性が明らかであった。
【0119】
(実施例7−1)
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオールの酸化
【化27】
【0120】
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオール(49.7mg、0.239mmol)とDMN−AZADO(3.97mg、0.024mmol)のアセトニトリル(1.2ml)−pH6.8リン酸緩衝液(1M、0.8ml)に室温下、亜塩素酸ナトリウム水溶液(81.0mg、0.717mmol in H
2O(0.4ml))と次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.0146M、0.16ml)を別々にゆっくりと滴下する。25
oCにて1時間撹拌の後、pH2.3リン酸緩衝液をpH4以下になるまで加え、食塩で水層を飽和させジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をジエチルエーテル溶液で溶解させた後、過剰のジアゾメタンジエチルエーテル溶液で処理し、メチルエステル体とした。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヒドロキシエステル体(51.0mg、90%)を得た。
【0121】
メチル 3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタネート:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 7.38−7.15 (m、 5H)、 3.69 (s、 3H)、 3.62 (ddd、 J = 10.4 Hz、 7.0 Hz、 1.7 Hz、 1H)、 2.95 (ddd、 J = 14.7 Hz、 9.8 Hz、 4.9 Hz、 1H)、 2.65 (ddd、 J = 13.6 Hz、 9.2 Hz、 6.8 Hz、 1H)、 2.57 (d、 J = 7.0 Hz、 1H)、 1.87−1.70 (m、 1H)、 1.70−1.50 (m、 1H)、 1.19 (s、 3H)、 1.16 (s、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 178.1、 142.0、 128.4、 128.3、 125.8、 76.0、 51.8、 47.1、 33.6、 32.8、 22.3、 20.3; IR (neat、 cm
−1): 3501、 2951、 1723、 1455、 1275、 1134、 1075、 701; MS m/z 236 (M
+)、 117 (100%); HRMS (EI) calcd for C
14H
20O
3 236.1413 (M
+)、 found 236.1401。
【0122】
(実施例7−2)
イソプロピル 2,3−デオキシ−α−D−グルコピラノシドの酸化
【化28】
【0123】
イソプロピル 2,3−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(50.0mg、0.263mmol)を実施例7−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物をメチルエステル体(55.6mg、97%)として得た。
【0124】
メチル (イソプロピル 2,3−デオキシ−α−D−グルコピラノシド)ウロナート:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 5.01 (t、 J = 2.4 Hz、 1H)、 4.19 (d、 J = 9.2 Hz、 1H)、 3.95 (sept、 J = 6.3H、 1H)、 3.83 (s、 3H)、 3.84−3.74 (d m、 J = 2.4 Hz、 1H)、 3.15 (s、 1H)、 1.98−1.81 (m、 2H)、 1.81−1.72 (m、 2H)、 1.23 (d、 J = 6.3 Hz、 3H)、 1.15 (d、 J = 6.3 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 172.3、 94.3、 72.2、 68.7、 67.4、 52.4、 28.9、 25.8、 23.2、 21.3; IR (neat、 cm
−1): MS m/z 175 (M
+−C
3H
7)、 129 (100%); HRMS (EI) calcd for C
7H
11O
5 175.0607 (M
+−C
3H
7)、 found 175.0607。
【0125】
(実施例7−3)
2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールの酸化
【化29】
2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール(44.4mg、0.304mmol)を実施例7−1に記載の方法と同様の方法により酸化し,目的化合物をメチルエステル(48.7mg、92%)として得た。
【0126】
メチル 3−ヒドロキシ−2,2,4−トリメチルペンタネート:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 3.69 (s、 3H)、 3.39 (dd、 J = 8.7 Hz、 3.6 Hz、 1H)、 2.81 (d、 J = 8.7 Hz、 1H)、 1.86 (sept d、 J = 6.9 Hz、 3.6 Hz、 1H)、 1.28 (s、 3H)、 1.19 (s、 3H)、 0.97 (d、 J = 6.9 Hz、 3H)、 0.81 (d、 J = 6.9 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 178.3、 81.2、 51.6、 45.8、 29.8、 23.0、 22.3、 21.3、 16.2; IR (neat、 cm
−1): 3506、 2961、 2878、 1729、 1472、 1264、 1143、 1030、 994; MS m/z 143 (M
+−CH
3O)、 102 (100%); HRMS (EI) calcd for C
8H
15O
2 143.1072 (M
+−CH
3O)、 found 143.1063。
【0127】
(実施例7−4)
メチル 2,3−ビス−O−(フェニルメチル)−β−D−グルコピラノシドの酸化
【化30】
【0128】
メチル 2,3−ビス−O−(フェニルメチル)−β−D−グルコピラノシド(41.8mg、0.112mmol)を実施例7−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物をメチルエステル(42.3mg、94%)として得た。
【0129】
メチル (メチル 2,3−ビス−O−(フェニルメチル)−β−D−グルコピラノシド)ウロナート:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 7.38−7.25 (m、 10H)、 4.90 (d、 J = 11.2 Hz、 1H)、 4.89 (d、 J = 11.2 Hz、 1H)、 4.80 (d、 J = 11.2 Hz、 1H)、 4.71 (d、 J = 11.2 Hz、 1H)、 4.37 (d、 J = 8.3 Hz、 1H)、 3.87−3.81 (m、 2H)、 3.83 (s、 3H)、 3.59 (s、 3H)、 3.52 (dd、 J = 8.3 Hz、 8.3 Hz、 1H)、 3.44 (dd、 J = 8.3 Hz、 8.3 Hz、 1H)、 2.80 (s、 1H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 169.7、 138.4、 138.3、 128.4、 128.3、 128.0、 127.9、 127.8、 127.7、 105.0、 83.0、 81.1、 75.3、 74.8、 74.2、 71.7、 57.4、 52.7; IR (neat、 cm
−1): 3490、 2909、 1749、 1454、 1210、 1069、 738、 698; MS m/z 402 (M
+)、 311 (100%); HRMS (EI) calcd for C
22H
26O
7 402.1679 (M
+)、 found 402.1642。
【0130】
(実施例7−5)
メチル 2−O−n−ブチル−α−D−リボフラノシドの酸化
【化31】
【0131】
メチル 2−O−n−ブチル−α−D−リボフラノシド(41.5mg、0.188mmol)を実施例7−1に記載の方法と同様の方法により酸化し、目的化合物をメチルエステル(38.8mg、83%)として得た。
【0132】
メチル (メチル 2−O−n−ブチル−α−D−リボフラノシド)ウロナート:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 5.11 (d、 J = 4.4 Hz、 1H)、 4.65 (d、 J = 2.0 Hz、 1H)、 4.29 (ddd、 J = 8.8 Hz、 5.9 Hz、 2.0 Hz、 1H)、 3.86 (dd、 J = 5.9 Hz、 4.4 Hz、 1H)、 3.79 (s、 3H)、 3.63 (dt、 J = 9.3 Hz、 6.8 Hz、 1H)、 3.56 (dt、 J = 9.3 Hz、 6.8 Hz、 1H)、 3.48 (s、 3H)、 3.21 (d、 J = 8.8 Hz、 1H)、 1.65 (dt、 J = 6.8 Hz、 6.8 Hz、 1H)、 1.63 (dt、 J = 6.8 Hz、 6.8 Hz、 1H)、 1.39 (dq、 J = 14.6 Hz、 7.3 Hz、 2H)、 0.93 (t、 J = 7.3 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 170.7、 102.6、 83.7、 78.2、 71.8、 70.6、 55.5、 52.4、 31.6、 19.0、 13.7; IR (neat、 cm
−1): 3528、 2957、 1753、 1439、 1208、 1090、 1055; MS m/z 247 (M
+−H)、 159 (100%); HRMS (EI) calcd for C
11H
19O
6 247.1182 (M
+−H)、 found 247.1179。
【実施例8】
【0133】
ジアセトキシヨードベンゼンを用いた、ジオールから中員環ラクトンへの酸化反応において、TEMPOとDMN−AZADOの触媒活性を比較した。
【0134】
【表7】
【0135】
DMN−AZADOは、TEMPOに比べ反応時間を優位に短縮できることが示された。
【0136】
(実施例8−1)
ドデカン−1,6−ジオールの酸化
【化32】
【0137】
ドデカン−1,6−ジオール(44.9mg、0.222mmol)のジクロロメタン溶液(2.2ml)に、DMN−AZADO(3.69mg、0.0222mmol)とジアセトキシヨードベンゼン(179mg、0.555mmol)を加え、室温下2時間撹拌した。その後、飽和重層水と飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を加え、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ラクトン体(36.5mg、83%)を得た。
【0138】
6−ヘキシル−ε−カプロラクトン:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 4.23 (ddt、 J = 7.8 Hz、 3.9 Hz、 3.9 Hz、1H)、 2.78−2.48 (m、 2H)、 2.06−1.81 (m、 3H)、 1.81−1.40 (m、 6H)、 1.40−1.18 (m、 7H)、 0.88 (t、 J = 6.4 Hz、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 175.8、 80.5、 36.3、 34.9、 34.5、 31.6、 29.0、 28.2、 25.3、 23.0、 22.5、 14.0; IR (neat、 cm
−1): 2931、 2859、 1730、 1448、 1175、 1013; MS m/z 199 (M
++H)、 85 (100%); HRMS (EI) calcd for C
12H
23O
2 199.1698 (M
++H)、 found 199.1688。
【0139】
【表8】
【0140】
基質を変えても、DMN−AZADOは、TEMPOに比べ反応時間を優位に短縮できることが示された。
【0141】
(実施例8−2)
(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−ヒドロキシプロピル)−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパンの酸化
【化33】
【0142】
(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−ヒドロキシプロピル)−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパン(44.5mg、0.258mmol)を、実施例8−1に記載と同様の方法により酸化し、目的化合物(32.7mg、75%)を得た。
【0143】
(1R,7S)−5,8,8−トリメチル−4−オキサビシクロ[5.1.0]オクタン−3−オン:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 4.68−4.58 (m、 0.5H)、 4.14 (dqd、 J = 12.0 Hz、 6.0 Hz、 3.0 Hz、 0.5H)、 3.17 (dd、 J = 15.5 Hz、 4.8 Hz、 0.5H)、 2.97 (dd、 J = 15.5 Hz、 4.1 Hz、 0.5H)、 2.77 (dd、 J = 14.5 Hz、 8.0 Hz、 0.5H)、 2.42 (dd、 J = 14.5 Hz、 10.1 Hz、 0.5H)、 2.20−2.02 (m、 1H)、 1.87 (dd、 J = 15.5 Hz、 1.9 Hz、 0.5H)、 1.80 (ddd、 J = 15.9 Hz、 10.6 Hz、 5.3 Hz、 0.5H)、 1.32 (d、 J = 6.0 Hz、 1.5H)、 1.31 (d、 J = 6.0 Hz、 1.5H)、 1.074 (s、 1.5H)、 1.067 (s、 1H)、 1.05 (s、 1.5H)、 1.04 (s、 1.5H)、 1.03−0.85 (m、 1H)、 0.78−0.65 (m、 1H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 173.8、 173.1、 76.9、 73.9、 33.0、 30.7、 30.6、 29.1、 29.0、 28.5、 22.1、 22.0、 21.7、 20.7、 19.9、 19.8、 18.7、 18.0、 14.8、 14.7; IR (neat、 cm
−1): 2980、 2938、 2868、 1734、 1277、 1193、 1069、 1057; MS m/z 168 (M
+)、 81 (100%); HRMS (EI) calcd for C
10H
16O
2 168.1150 (M
+)、 found 168.1143。
【実施例9】
【0144】
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオールを用いた、ジオールからの酸化反応において、TEMPOとDMN−AZADOの触媒活性を比較した。
【0145】
【表9】
【0146】
DMN−AZADOは、TEMPOに比べ反応時間を優位に短縮できることが示された。
【0147】
(実施例9−1)
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオールの酸化
【化34】
【0148】
2,2−ジメチル−5−フェニルペンタン−1,3−ジオール(39.6mg、0.190mmol)の酢酸溶液(380μl)に、DMN−AZADO(3.16mg、19μmol)及び亜硝酸ナトリウム(2.62mg、38μmol)を加え、室温(25℃)、大気圧下で18時間撹拌した。混合液は、ジエチルエーテルで希釈され、飽和炭酸水素ナトリウム及び20%チオ硫酸ナトリウムで急冷した。その後、ジエチルエーテルを用いて溶液を抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヒドロキシアルデヒド(35.4mg、90%)を得た。
【0149】
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−5−フェニルペンタナール:
1H−NMR (400MHz、 CDCl
3) δ 9.51 (s、 1H)、 7.36−7.17 (m、 5H)、 3.77 (d、 J = 9.7 Hz、 1H)、 2.96 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.7 Hz、 5.4 Hz、 1H)、 2.67 (ddd、 J = 14.0 Hz、 9.2 Hz、 7.3 Hz、 1H)、 2.29 (br s、 1H)、 1.83−1.64 (m、 2H)、 1.11 (s、 3H)、 1.04 (s、 3H);
13C−NMR (100MHz、 CDCl
3) δ 206.6、 141.6、 128.3、 125.8、 74.0、 50.3、 33.0、 32.5、 18.8、 16.3; IR (neat、 cm
−1): 3466、 2959、 2871、 1721、 1455、 1075、 1046、 700; MS m/z 188 (M
+−H
2O)、 72 (100%); HRMS (EI) calcd for C
13H
16O 188.1201 (M
+−H
2O)、 found 188.1189。