(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない
図1は本発明に係る側溝施工用治具の第一の実施形態を示す模式図であり、
図2(a)は本発明に係る側溝施工用治具の第二の実施形態を示す模式図であり、
図3(a)は本発明に係る側溝施工用治具の第三の実施形態を示す模式図であり、
図4(a)は本発明に係る側溝施工用治具の第四の実施形態を示す模式図であり、
図5(a)は本発明に係る側溝施工用治具の第五の実施形態を示す模式図である。
【0025】
まず、本発明にかかる側溝施工用治具1の基本構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すとおり、本発明に係る側溝施工用治具1は、横長状の主部材2と、主部材2に連結したガイド部材3と、主部材2および/またはガイド部材3に連結した傾倒防止部材4を主要部品として構成されている。なお、傾倒防止部材4については、
図1〜4に示す第一〜第四の実施形態では主部材2に連結した形態となっており、
図5に示す第五の実施形態ではガイド部材
20に連結した(一体化した)形態となっている。
次に、各構成要件について実施形態毎に説明する。
【0026】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る側溝施工用治具1aは、
図1に示すとおり、主部材2と傾倒防止部材4によってT字型の形状をしている構造体であり、ガイド部材3と傾倒防止部材4が主部材2に連結されている構造となっている。
【0027】
(主部材)
主部材2は、本発明に係る側溝施工用治具1を用いて新たな側溝を施工(配置、据置)する際に側溝施工用治具1が側溝の幅方向にずれることを防止するためのものであり、本発明に係る側溝施工用治具1のいわば「背骨」の役目を果たすものである。
主部材2は、横長の板状となっており、両端部5に下方に向けて突設したフランジ部6を備えたコの字形状の構造となっている。なお、主部材2の形状としては側溝の幅方向を横断する形状であれば特に限定されるものではなく、棒状など各種の形状を採用することができる。
そして、主部材2は、後記するように側溝施工用治具1の使用の際(具体的には既に施工が終了している側溝の上面に配置する際)に側溝の幅方向を横断し、かつフランジ部6が側溝の側面を挟み込むように位置することになる(
図6などを参照)。
また、第一の実施形態のフランジ部6は、
図1に示すように主部材2の両端部5に下方に向けて突設していることに加えて、新たな側溝を施工(配置、据置)する方向に張り出した構造となっている。従って、第一の実施形態のフランジ部6の張り出し部分7は後記するように使用時にはガイド部材3としての機能も果たすことになる。
【0028】
また、主部材2は、
図1に示すように、施工する側溝の幅に合わせてフランジ部6a、6b間の幅(距離)を調整するための調整手段8を設けることもできる。
なお、調整手段の形態については特に限定されるものではなくレール部材とスライド部材などから構成されるスライド構造やパンタグラフなどの伸縮構造など、各種の手段を用いることができる。そしてその中でも、構造が簡単でありながら主部材2の強度を確保することができる点から、
図1に示すように、ガイド部材3を連結した主部材2aと傾倒防止部材4を連結した主部材2bに分割し、主部材2aには雄ネジ(図示せず)を加工した突起部9を設けるとともに主部材2bには突起部9が貫通する貫通孔10を複数箇所設け、突起部9を適宜選択した貫通孔10に貫通させた後にボルト11を用いて連結することによってフランジ部6a、6b間の幅(距離)を調整する構造を採用することが好ましい。
【0029】
主部材2の材質については特に限定されるものではないが、使用時(新たな側溝を施工位置に誘導する時)に新たな側溝がガイド部材3に当たった場合でも主部材2が変形することなく側溝施工用治具1が側溝の幅方向にずれることを防止しなければならないことから、金属材料を用いることが好ましい。
【0030】
(ガイド部材)
ガイド部材3は、新たな側溝を施工(配置、据置)位置に誘導するためのものであり、先端に向かって拡がるように傾斜した構造となっている。
なお、
図1に示す第一の実施形態のガイド部材3は、主部材2の両端部5およびフランジ部6に連結しており、上方に向けて設置されている構造となっている。このような構造となっていることによって、新たな側溝をクレーンなどで移動した際に、新たな側溝の下面や側面がガイド部材3に当たりながら降下し、施工(配置、据置)位置に誘導されていくことになるのである。
【0031】
なお、傾斜の形状としては、
図1に示すガイド部材3のように直線状の傾斜に限定されるものではなく、先端に向かって拡がっているものであればJ字状、逆J字状、円弧状などの曲線状の傾斜や、直線と曲線を組み合せた傾斜など各種の形状を採用することができる。
【0032】
ガイド部材3の数については少なくとも1つ設けられている必要があるが、より安全に側溝を誘導することができることから複数設けることが好ましく、その中でも主部材2の両端部に一対以上設けるようにすることがより好ましい。
【0033】
ガイド部材3の材質については特に限定されるものではないが、使用時(新たな側溝を施工位置に誘導する時)に新たな側溝がガイド部材3に当たった場合でもガイド部材3が変形することなく新たな側溝を誘導しなければならないことから、金属材料を用いることが好ましい。
【0034】
(傾倒防止部材)
傾倒防止部材4は、新たな側溝を施工(配置、据置)位置に誘導する際、新たな側溝がガイド部材3に当接した場合でも側溝施工用治具1が当接点を支点として浮き上がったり、転倒したりすることを防止するためのものであり、主部材2に連結した構造となっている。
【0035】
なお、
図1に示す第一の実施形態の傾倒防止部材4は、角柱状となっており、主部材2の中央部にT字状に連結した構造となっている。また、側溝施工方向とは反対方向に向けて延設するように連結している構造となっている。さらに、先端部に既に施工が終了した側溝の上面に設けられた開口に係止するための係止部12が設けられている構造となっている。
このような構造となっていることによって、後記する使用の際(具体的には新たな側溝を施工(配置、据置)位置に誘導する際)に新たな側溝がガイド部材3に当接した場合でも、係止部12が開口を係止することで側溝施工用治具1が当接点を支点として浮き上がったり、転倒したりすることを防止することができるのである。
【0036】
なお、
図1には図示しないが、係止部12を確実に開口13に係止するために傾倒防止部材4には傾倒防止部材4の長さを調整するための調整手段を設けることもできる。
【0037】
傾倒防止部材4の数については少なくとも1つ設ける必要があるが、特に限定されるものではなく、複数設けることもできる。また、主部材2に対する連結位置についても、側溝施工方向とは反対方向に向けて延設するものであれば特に限定されるものではなく、主部材2の端部に連結させることもできる。
【0038】
傾倒防止部材4の材質については特に限定されるものではないが、使用時(新たな側溝を施工(配置、据置)位置に誘導する際)に新たな側溝がガイド部材3に当たった場合にガイド部材3および主部材2が受ける荷重を受け止めて、側溝施工用治具1が当接点を支点として浮き上がったり、転倒したりすることを防止しなければならないことから、金属材料を用いることが好ましい。
【0039】
(第二の実施形態)
なお、第一の実施形態に側溝施工用治具1aについては、
図2に示すとおり、主部材2の前端部14に左右一対のピン15を下方に向けて設置することもできる(第二の実施形態)。
ここで側溝には側溝の前後の端部に目地16が設けられているものがあり、側溝を施工する際には既に施工が終了している側溝の先に新たな側溝を配置・据付し、その後この目地16にモルタルを充填して止水を行うことによって施工を完了するものがある。また、この目地16の間隔は側溝の種類によって略決まった寸法となっている。
そこで、第二の実施形態に係る側溝施工用治具1bは、係る目地16に嵌まるようにピン15が主部材2の前端部14に下方に向けて設置されている構造となっている。そして、このような構造となっていることから
図2(b)に示すとおり、使用の際にピン15を既に施工が終了している側溝の目地16に挿入することによって既に施工が終了している側溝の上面の所望する位置に第二の実施形態に係る側溝施工用治具1bを容易に配置することができることになるのである。
【0040】
また、第二の実施形態に係る側溝施工用治具1bにおいては、ピン15も傾倒防止部材としての役目を果たすことになる。すなわち、使用の際に新たな側溝の下面や側面がガイド部材3に当接して側溝施工用治具1bが当接点を支点として浮き上がろうとした場合でもピン15が障害となることから、側溝施工用治具1bが当接点を支点として浮き上がったり、転倒したりすることを防止することができるのである。従って、第二の実施形態に係る側溝施工用治具1bについては、第一の実施形態に係る側溝施工用治具1aにおける傾倒防止部材4(係止部12も含む)を省略することもできる。
【0041】
なお、ピン15の形状については、目地16に嵌まる形状であれば特に限定されるものではなく、円柱状や角柱状など各種の棒形状のものを採用することができる。
【0042】
また、ピン15の数については、傾倒防止部材として設ける場合には
図2(a)に示すように左右一対以上設けることが好ましいが、側溝施工用治具を設置する際の位置決めとしてのみ用いる場合には一箇所のみに設置することもできる。
【0043】
(第三の実施形態)
第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cは、基本構造については第一の実施形態に係る側溝施工用治具1aと同じであるが、
図3に示すとおり、フランジ部6の前方にさらにガイド部材17が突設(連結)されている点において異なる構造となっている。
そして、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cはこのような構造となっていることによって、新たな側溝を上方から降ろすことができないような立地条件下においても、側溝を横方向(具体的には
図3(b)における矢印方向)に移動させることによって、安全かつ正確に側溝を施工(配置、据置)することができるのである。
【0044】
なお、ガイド部材17の傾斜の形状については、第一の実施形態のガイド部材3と同様に特に限定されるものではなく各種の形状を採用することができる。
【0045】
また、材質については特に限定されるものではないが、第一の実施形態のガイド部材3と同様に金属を用いることが好ましい。
【0046】
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dは、基本構造については第一の実施形態に係る側溝施工用治具1aと同じであるが、
図4に示すとおり、主部材2の前端部14にさらにガイド部材18が上方に向けて設置されている点において異なる構造となっている。また、係るガイド部材18は傾斜が側溝施工方向とは反対方向に向けて突設されている構造となっている。
そして、第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dはこのような構造となっていることから、新たな側溝を上方から降ろす場合にガイド部材3とガイド部材18の両方の傾斜を利用することによって、より安全かつ正確に側溝を施工(配置、据置)することができるのである。
また、第三の実施形態のように新たな側溝を上方向から降ろすことができないような立地条件下においても、新たな側溝を横方向(具体的には
図4における矢印方向)に移動させて、まずガイド部材18の傾斜を利用して前後方向における位置を誘導(修正)し、その後ガイド部材3の傾斜を利用して横方向における位置を誘導(修正)するようにすれば、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1
cよりもさらに安全かつ正確に側溝を施工(配置、据置)することができるのである。
さらに、第三の実施形態に用いられるガイド部材17を併用すれば、上方、前方、斜め方向など、どの方向から新たな側溝を移動させる場合においても安全かつ正確に側溝を施工(配置、据置)することができることになる。
【0047】
なお、ガイド部材18の傾斜の形状については、第一の実施形態のガイド部材3と同様に特に限定されるものではなく各種の形状を採用することができる。
【0048】
また、材質については特に限定されるものではないが、第一の実施形態のガイド部材3と同様に金属を用いることが好ましい。
【0049】
(第五の実施形態)
第五の実施形態に係る側溝施工用治具1eは、
図5(a)、(b)、(c)、(d)に示すとおり、主部材2と傾倒防止部材19によってコの字型の形状をしている構造体であり、傾倒防止部材19は主部材2および主部材2のフランジ部6に連結されている構造となっている。
また、ガイド部材20は傾倒防止部材19に連結されている(一体化されている)構造となっている。
【0050】
(主部材)
第五の実施形態における主部材2は、その形態自体は第一の実施形態の主部材2と同じであり、横長の板状となっており、両端部5に下方に向けて突設したフランジ部6を備えたコの字形状の構造となっている。また、第一の実施形態の主部材2と同じように調整手段を設けることもできる。
なお、材質については特に限定されるものではないが、第一の実施形態の主部材2と同様に金属を用いることが好ましい。
【0051】
(ガイド部材)
第五の実施形態におけるガイド部材20は、その形態自体は第一の実施形態の
ガイド部材3と同じであり、主部材2の両端部5およびフランジ部6に連結しており、上方に向けて設置されている構造となっている。また、上記したとおり、ガイド部材20は傾倒防止部材19にも連結されている(一体化されている)構造となっている。
【0052】
なお、ガイド部材20の材質については特に限定されるものではないが、第一の実施形態のガイド部材3と同様に金属を用いることが好ましい。
【0053】
(傾倒防止部材)
第五の実施形態における傾倒防止部材19は、第一の実施形態の傾倒防止部材4とは異なり、主部材2の両端部5およびフランジ部6に連結しており、側溝の高さ方向に下方に向けて延設される構造となっている。具体的には、縦長の板状となっており、主部材2の両端部5およびフランジ部6の前方の位置に連結され、かつ側溝の高さ方向に下方に向けて延設される構造となっている。また、傾倒防止部材19の下端部21には外側に向けて張り出した板状の脚部22が設けられている。さらに、上記にも記載したとおり、傾倒防止部材19とガイド部材20とは一体化されている構造となっている。すなわち、第五の実施形態における傾倒防止部材19は、上部にはガイド部材20が形成されている構造となっているのである。
このように、第五の実施形態に係る側溝施工用治具1eは、下端部21に板状の脚部22が設けられた傾倒防止部材19がガイド部材20の下部に形成されている構造となっていることから、
図5(b)に示す使用時において、新たな側溝の下面や側面がガイド部材20に当接した場合でもその下部に位置する傾倒防止部材19および脚部22がその荷重を受け止めることになり、側溝施工用治具1eが当接点を支点として浮き上がったり、転倒したりすることを防止することができるのである。
また、第五の実施形態における傾倒防止部材19については、後記するように使用の際にフランジ部の役目(具体的には段落[0027]に記載したようなガイド部材としての機能)も果たすことになる。
【0054】
なお、第五の実施形態における傾倒防止部材19の形状については、側溝の高さ方向に下方に向けて延設される形状であれば特に限定されるものではなく、棒状など各種の形状を採用することができる。
【0055】
また、材質については特に限定されるものではないが、第一の実施形態のガイド部材3と同様に金属を用いることが好ましい。
【0056】
次に、上記のように構成された側溝施工用治具1の動作および作用を次に説明する。
【0057】
(第一、第二の実施形態
の動作および作用)
まず、第一、第二の実施形態に係る側溝施工用治具1(1a、1b)の動作および作用を説明する。
図6は
図1の側溝施工用治具を側溝にセットした状態を示す模式図であり、
図7は
図1の側溝施工用治具を用いて側溝の施工(配置、据置)作業を行っている状態を示す模式図であり、
図8は
図1の側溝施工用治具を用いた側溝の施工(配置、据置)作業が終了した状態を示す模式図であり、
図9は
図8の状態を別の方向から見た模式図である。
また、
図2(b)は本発明に係る側溝施工用治具の第二の実施形態の使用態様を示す図である。
【0058】
まず、第一、第二の実施形態に係る側溝施工用治具1(1a、1b)の取っ手23を持ち、前方(主部材2)を持ち上げるようにして傾倒防止部材4の係止部12を既に施工が終了している側溝S1の開口13に引っ掛ける。
次に、その状態で側溝施工用治具1を前方に倒しながら、主部材2のフランジ部6が側溝の側面を挟み込む状態(
図2(b)、
図6に示す状態)となるように、側溝施工用治具1を既に施工が終了している側溝S1の上面の位置に配置する。なおその際、フランジ部6a、6b間の幅(距離)が施工する側溝の幅よりも狭い場合や広すぎる場合には、調整手段8を用いてフランジ部6a、6b間の幅を施工する側溝の幅に合わせて調整し、さらに必要に応じて傾倒防止部材4に設けた調整手段(図示せず)を用いて傾倒防止部材4の長さを調整することによって係止部12を開口13に係止する。
【0059】
次に、
図7に示すように、クレーンなどで吊り上げた新たな側溝S2を上方からゆっくり降下させる。そうすると降下するにしたがって、側溝の下面や側面がガイド部材3に当たること(
図7の一点破線の状態)になり、ガイド部材3の傾斜によって左右方向のズレが解消されていくことになる。
次に、ガイド部材3によって左右方向のズレがなくなった新たな側溝S2はさらに降下されることになる。そうすると新たな側溝S2はガイド部材3の下部に位置するフランジ部6に当たること(
図7の点線の状態)になり、フランジ部6によって所望する位置に誘導されていくことになる。
次に、新たな側溝S2が地面近くまで降ろされた状態で微調整を行うことで、
図8、9に示すように既に施工が終了している側溝S1に新たな側溝S2を接触させる。
最後に、側溝施工用治具1を取り外すことによって、新たな側溝S2の施工(配置、据置)作業を完了する。
【0060】
従って、
図10に示すように、作業中は誘導作業者が絶えず既に施工が終了している側溝の上などに乗ってクレーン作業者と連携して行わなければならない従前の作業とは異なり、簡素な構成でありながら、作業者が指詰めなどの事故を起こすことなく安全かつ正確に新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うことができることになる。
なお、クレーン作業者が慣れれば、本発明に係る側溝施工用治具を配置した後は誘導作業者を必要とぜずに一人で新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うこともできることになる。
【0061】
(第三の実施形態の動作および作用)
次に、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cの動作および作用を説明する。
図3(b)は本発明に係る側溝施工用治具の第三の実施形態の使用態様を示す図である。
【0062】
まず、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cの取っ手23を持ち、前方(主部材2)を持ち上げるようにして傾倒防止部材4の係止部12を既に施工が終了している側溝S1の開口13に引っ掛ける。
次に、その状態で側溝施工用治具1を前方に倒しながら、主部材2のフランジ部6が側溝の側面を挟み込む状態(
図3(b)に示す状態)となるように、側溝施工用治具1を既に施工が終了している側溝S1の上面の位置に配置する。なおその際、フランジ部6a、6b間の幅(距離)が施工する側溝の幅よりも狭い場合や広すぎる場合には、調整手段8を用いてフランジ部6a、6b間の幅を施工する側溝の幅に合わせて調整し、さらに必要に応じて傾倒防止部材4に設けた調整手段(図示せず)を用いて傾倒防止部材4の長さを調整することによって係止部12を開口13に係止する。
【0063】
次に、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cにおいては、新たな側溝S2を略横方向から移動(
図3(b)における矢印方向に移動)させる。そうすると移動するにしたがって側溝の前面がガイド部材17に当たることになり、ガイド部材17の傾斜によって左右方向のズレが解消されていくことになる。
次に、ガイド部材17によって左右方向のズレがなくなった新たな側溝S2はさらに横方向に移動されることになる。そうすると新たな側溝S2はガイド部材17に連結するフランジ部6に当たることになり、フランジ部6によって所望する位置に誘導されていくことになる。
次に、微調整を行うことで既に施工が終了している側溝S1に新たな側溝S2を接触させる。
最後に、側溝施工用治具1cを取り外すことによって、新たな側溝S2の施工(配置、据置)作業を完了する。
【0064】
従って、第三の実施形態に係る側溝施工用治具1cは、新たな側溝を上方から降ろすことができないような立地条件下においても、作業者が指詰めなどの事故を起こすことなく安全かつ正確に新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うことができることになる。
【0065】
(第四の実施形態の動作および作用)
次に、第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dの動作および作用を説明する。
図4(b)は本発明に係る側溝施工用治具の第四の実施形態の使用態様を示す図である。
【0066】
まず、第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dの取っ手23を持ち、前方(主部材2)を持ち上げるようにして傾倒防止部材4の係止部12を既に施工が終了している側溝S1の開口13に引っ掛ける。
次に、その状態で側溝施工用治具1を前方に倒しながら、主部材2のフランジ部6が側溝の側面を挟み込む状態(
図4(b)に示す状態)となるように、側溝施工用治具1を既に施工が終了している側溝S1の上面の位置に配置する。なおその際、フランジ部6a、6b間の幅(距離)が施工する側溝の幅よりも狭い場合や広すぎる場合には、調整手段8を用いてフランジ部6a、6b間の幅を施工する側溝の幅に合わせて調整し、さらに必要に応じて傾倒防止部材4に設けた調整手段(図示せず)を用いて傾倒防止部材4の長さを調整することによって係止部12を開口13に係止する。
【0067】
次に、第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dにおいては、新たな側溝S2を斜め前方方向から移動(
図4(b)における矢印方向に移動)させる。そうすると移動するにしたがって側溝の前面がガイド部材18に当たることになり、ガイド部材18の傾斜によって前後方向のズレが解消されていくことになる。
次に、ガイド部材18によって前後方向のズレがなくなった新たな側溝S2は下方向に移動、すなわち降下されることになる。そうすると新たな側溝S2はガイド部材3(場合によってはフランジ部6)に当たることになり、ガイド部材3(またはフランジ部6)によって所望する位置に誘導されていくことになる。
次に、微調整を行うことで既に施工が終了している側溝S1に新たな側溝S2を接触させる。
最後に、側溝施工用治具1dを取り外すことによって、新たな側溝S2の施工(配置、据置)作業を完了する。
【0068】
従って、第四の実施形態に係る側溝施工用治具1dは、新たな側溝を上方から降ろす場合にガイド部材3とガイド部材18の両方の傾斜を利用することによって、より安全かつ正確に側溝を施工(配置、据置)することができることになる。
また、新たな側溝を真上方向から降ろすことができないような立地条件下においても、作業者が指詰めなどの事故を起こすことなく安全かつ正確に新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うことができることになる。
【0069】
(第五の実施形態の動作および作用)
次に、第五の実施形態に係る側溝施工用治具1eの説明を行う。
図5(b)は本発明に係る側溝施工用治具の第五の実施形態の使用態様を示す図である。
【0070】
まず、第五の実施形態に係る側溝施工用治具1(1e)の取っ手23を持ち、主部材2のフランジ部6が側溝の側面を挟み込む状態(
図5(b)に示す状態)となるように、側溝施工用治具1を既に施工が終了した側溝S1の上面の位置に配置する。なおその際、フランジ部6a、6b間の幅(距離)が施工する側溝の幅よりも狭い場合や広すぎる場合には、第一〜第四の実施形態と同様に調整手段(図示せず)を用いてフランジ部6a、6b間の幅を施工する側溝の幅に合わせて調整する。
【0071】
次に、クレーンなどで吊り上げた新たな側溝S2を上方からゆっくり降下させる。そうすると降下するにしたがって、側溝の下面や側面がガイド部材20に当たることになり、ガイド部材20の傾斜によって左右方向へのズレが解消されていくことになる。
次に、ガイド部材20によって左右方向のズレがなくなった新たな側溝S2はさらに降ろされることになる。そうすると新たな側溝S2はガイド部材20の下部に位置する傾倒防止部材19に当たることになり、傾倒防止部材19がフランジ部の役目(具体的には段落[0027]に記載したようなガイド部材としての機能)を果たすことによって所望する位置に誘導されていくことになる。
次に、新たな側溝S2が地面近くまで降ろされた状態で微調整を行うことで、
図5(b)に示すように既に施工が終了している側溝S1に新たな側溝S2を接触させる。
最後に、側溝施工用治具1を取り外すことによって、新たな側溝S2の施工(配置、据置)作業を完了する。
【0072】
従って、第五の実施形態に係る側溝施工用治具1eにおいても、作業中は誘導作業者が絶えず既に施工が終了している側溝の上などに乗ってクレーン作業者と連携して行わなければならない従前の作業とは異なり、簡素な構成でありながら、作業者が指詰めなどの事故を起こすことなく安全かつ正確に新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うことができることになる。
なお、クレーン作業者が慣れれば、本発明に係る側溝施工用治具を配置した後は誘導作業者を必要とぜずに一人で新たな側溝の施工(配置、据置)作業を行うこともできることになる。