特許第6225230号(P6225230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225230
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20171023BHJP
   H04W 16/30 20090101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04W8/26 110
   H04W16/30
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-198281(P2016-198281)
(22)【出願日】2016年10月6日
(62)【分割の表示】特願2012-188677(P2012-188677)の分割
【原出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2017-28741(P2017-28741A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】内野 徹
(72)【発明者】
【氏名】安部田 貞行
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓之
【審査官】 相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 NTT DOCOMO, INC.,Requirements, Candidate Solutions & Technology Roadmap for LTE Rel-12 Onward,3GPP Workshop on Release 12 and onwards RWS-120010,2012年 6月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスモールセルを連結して形成されたセルを管理するように構成されている無線基地局であって、
前記セル内で、所定距離以上離れている複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されている割当部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記セルのカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するマクロセルが存在する場合に、前記割当部は、前記所定距離として、該マクロセルのカバレッジエリアの半径以上離れている複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記セルのカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するマクロセルが存在する場合に、前記割当部は、前記所定距離として、該セルを構成する前記スモールセルのカバレッジエリアの半径以上離れている複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記セルのカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有する複数のマクロセルが存在する場合に、前記割当部は、異なる該マクロセルに接続している複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記セルのカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するマクロセルが存在する場合に、前記割当部は、該マクロセルを管理している異なる無線基地局に接続している複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記セルのカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有する複数のマクロセルが存在する場合に、前記割当部は、接続している該マクロセルが異なるセクタである複数の移動局に対して、同一の識別子を割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式において、図4に示すように、無線基地局eNBは、配下のセルにおいて通信を行う移動局UEに対して、C-RNTI(Cell- Radio Netowork Temporary Identity)を割り当てて、データの送受信を行うように構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
C-RNTIは、セルごとに割り当てられるように構成されており、LTE方式では、図4に示すように、同一のセル#Aにおいて通信を行う移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、同一のC-RNTIを割り当てることができず、異なるセル#A/#Bにおいて通信を行う移動局UE#1(又は、移動局UE#2)及び移動局UE#3に対して、同一のC-RNTIを割り当てることができる。
【0004】
なお、C-RNTIは、「Contention based RA(Random Access)手順」やハンドオーバ手順において割り当てられるように構成されている。
【0005】
また、無線基地局eNBは、移動局UEに割り当てられたC-RNTIを用いて、下りリンクデータの送信や上りリンクデータの送信用リソースの割り当てを行うように構成されている。
【0006】
また、3GPPの「Rel-12ワークショップ」において、FRA(Future Radio Access)のトピックとして、「Small cell enhancement」に関する提案が多く寄せられた。
【0007】
かかる提案の中で、「ファントムセル(Phantom cell)」に係るコンセプトが検討されている。
【0008】
図5に示すように、従来のマクロセル(Macro cell)とは異なり、ファントムセルは、多数の「スモールセル(Small cell)」を連結することで、1つの大きなセルを形成し、広いエリアをカバーすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS36.300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図6に示すように、各セル(マクロセル及びファントムセル)では、65535個のC-RNTIを管理しており、各移動局UEに対して1個のC-RNTIを割り当てる必要がある。
【0011】
ここで、ファントムセルのカバレッジエリアが広くなると、ファントムセル内で通信を行う移動局UEの数が増えるため、ファントムセル内で移動局UEに割り当てるC-RNTIが枯渇するケースが生じ得るという問題点が想定される。
【0012】
かかる問題点を解決するために、図7に示すように、マクロセルでは、各移動局UEに対して、1個のC-RNTIを割り当てる一方、ファントムセルでは、複数の移動局UEに対して、1個のC-RNTIを割り当てる(すなわち、1個のC-RNTIを複数の移動局UEで共有する)という運用が行われることが想定される。
【0013】
しかしながら、かかる運用を行った場合、同じセル内で同一のC-RNTIが割り当てられた移動局UE同士の衝突が発生する可能性があるという問題点があった。ここで、かかる衝突が発生すると、無線基地局eNBによって意図されていない移動局UEが、正しい移動局UEに対する割り当て情報を誤って受信してしまう可能性がある。
【0014】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ファントムセル内で複数の移動局に対して同一のC-RNTIを割り当てた場合であっても、同一のC-RNTIが割り当てられた移動局UE同士の衝突を回避することができる無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の特徴は、複数のスモールセルを連結して形成されたファントムセルを管理するように構成されている無線基地局であって、前記ファントムセル内で、所定距離以上離れている複数の移動局に対して、同一のセル固有識別子を割り当てるように構成されている割当部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、ファントムセル内で複数の移動局に対して同一のC-RNTIを割り当てた場合であっても、同一のC-RNTIが割り当てられた移動局UE同士の衝突を回避することができる無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。
図4】従来技術を説明するための図である。
図5】従来技術を説明するための図である。
図6】従来技術を説明するための図である。
図7】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、セル#10を管理する無線基地局PhNB#10と、セル#1を管理する無線基地局eNB#1と、セル#2を管理する無線基地局eNB#2と、セル#3を管理する無線基地局eNB#3とを具備している。
【0020】
ここで、セル#10は、複数のスモールセルを連結して形成されたファントムセルであり、セル#1〜#3は、マクロセルである。
【0021】
図1に示すように、セル#10のカバレッジエリア及びセル#1〜#3のカバレッジエリアは、少なくとも一部で重なるように配置されている。
【0022】
図2に示すように、無線基地局PhNB#10は、割当部11と、受信部12と、送信部13とを具備している。
【0023】
割当部11は、セル#10内の移動局UE#1〜UE#3に対して、C-RNTIphを割り当てるように構成されている。
【0024】
例えば、割当部11は、セル#10内で、所定距離以上離れている複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIph(=A)を割り当てるように構成されている。
【0025】
ここで、図1に示すように、割当部11が、セル#10内で、移動局UE#1/UE#2に対して、同一のC-RNTIph(=A)を割り当てると、移動局UE#1と移動局UE#2との間で衝突が発生する。
【0026】
したがって、割当部11は、セル#10内で、移動局UE#1/UE#2に対して、異なるC-RNTIphを割り当てるように構成されている。
【0027】
同様に、割当部11が、セル#10内で、移動局UE#2/UE#3に対して、同一のC-RNTIph(=A)を割り当てると、移動局UE#2と移動局UE#3との間で衝突が発生する。
【0028】
したがって、割当部11は、セル#10内で、移動局UE#2/UE#3に対して、異なるC-RNTIphを割り当てるように構成されている。
【0029】
一方、移動局UE#1及び移動局UE#3は、所定距離以上離れているため、割当部11が、セル#10内で、移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIph(=A)を割り当てた場合であっても、移動局UE#1と移動局UE#3との間で衝突は発生しない。
【0030】
なお、割当部11は、セル#10内の移動局UEの位置情報を把握するように構成されている。
【0031】
また、例えば、割当部11は、上述の所定距離として、所定セル(例えば、セル#2)のカバレッジエリアの半径を用いるように構成されていてもよいし、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3のうちの所定数のセルのカバレッジエリアの半径の平均値や最小値や最大値を用いるように構成されていてもよいし、固定値を用いるように構成されていてもよいし、セル#10を構成するスモールセルのカバレッジエリアの半径の平均値や最小値や最大値を用いるように構成されていてもよい。
【0032】
或いは、割当部11は、各移動局UEが接続しているセル間において、カバレッジエリアを有するセル(セル#10を構成するスモールセルでもよい)の数やセクタの数や無線基地局eNBの数を参照して、上述の割り当てを行うように構成されていてもよい。
【0033】
さらに、割当部11は、移動局UE間の物理的な距離に限らず、各移動局UEの受信特性や能力、或いは、セルのトラヒック状況や無線基地局eNBの状態(例えば、輻輳度合い)を加味して、上述の割り当てを行うように構成されていてもよい。
【0034】
或いは、割当部11は、各移動局UEが接続しているマクロセル(或いは、ファントムセルを構成するスモールセル)が異なるセクタであるか否か、或いは、接続している無線基地局eNBが異なる無線基地局であるか否かにより、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0035】
受信部12は、セル#10内の移動局UEや無線基地局eNB#1〜eNB#3から各種信号を受信するように構成されており、送信部13は、セル#10内の移動局UEや無線基地局eNB#1〜eNB#3に対して各種信号を送信するように構成されている。
【0036】
例えば、送信部13は、セル#10内の移動局UEに対して、割当部11によって割り当てられたC-RNTIphを通知するように構成されている。
【0037】
以下、図3を参照して、本実施形態に係る無線基地局PhNB#10の動作について説明する。
【0038】
図3に示すように、無線基地局PhNB#10は、ステップS101において、セル#10内で、移動局UEに対してC-RNTIphを割り当てるトリガの発生を検出した場合、ステップS102において、セル#10内で、所定距離以上離れている複数の移動局UEに対して同一のC-RNTIphを割り当てる。
【0039】
なお、ステップS102において、無線基地局PhNB#10は、セル#10内で、所定距離以上離れていない複数の移動局UEに対しては異なるC-RNTIphを割り当てる。
【0040】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0041】
本実施形態の第1の特徴は、複数のスモールセルを連結して形成されたセル#10(ファントムセル)を管理するように構成されている無線基地局PhNB#10であって、セル#10内で、所定距離以上離れている複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIph(セル固有識別子)を割り当てるように構成されている割当部11を具備することを要旨とする。
【0042】
かかる構成によれば、セル#10内で、所定距離以上離れている複数の移動局UE#1/UE#3に対してのみ、同一のC-RNTIphを割り当てることによって、移動局UE#1と移動局UE#3との間における衝突の発生を回避することができる。
【0043】
本実施形態の第1の特徴において、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3(マクロセル)が存在する場合に、割当部11は、上述の所定距離として、セル#2のカバレッジエリアの半径以上離れている複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0044】
かかる構成によれば、上述の所定距離として、マクロセルのカバレッジエリアの半径を用いることによって、より確実に、同一のC-RNTIphが割り当てられた複数の移動局UEの衝突を回避することができる。
【0045】
なお、マクロセルとファントムセルとの間では、同じC-RNTIが割り当てられてもよい。その際、セル#1〜#3(マクロセル)のC-RNTImacroとセル#10(ファントムセル)のC-RNTIphの割り当て情報が、セル#1〜#3を管理する無線基地局eNB#1〜#3とセル#10を管理する無線基地局phNB#10との間で(例えば、X2やS1インターフェースを介して)、やりとりされてもよい。
【0046】
本実施形態の第1の特徴において、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3(マクロセル)が存在する場合に、割当部11は、上述の所定距離として、セル#10を構成するスモールセルのカバレッジエリアの半径以上離れている複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0047】
本実施形態の第1の特徴において、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3(マクロセル)が存在する場合に、割当部11は、上述の所定距離として、異なるマクロセルに接続している複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0048】
本実施形態の第1の特徴において、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3(マクロセル)が存在する場合に、割当部11は、セル#1〜#3を管理している異なる無線基地局eNB#1〜#3に接続している複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0049】
本実施形態の第1の特徴において、セル#10のカバレッジエリアに重なるカバレッジエリアを有するセル#1〜#3(マクロセル)が存在する場合に、割当部11は、接続しているマクロセル#1〜#3が異なるセクタである複数の移動局UE#1/UE#3に対して、同一のC-RNTIphを割り当てるように構成されていてもよい。
【0050】
なお、上述の移動局UE#1/UE#2/UE#3や無線基地局eNB#1/PhNB#10の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0051】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0052】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UE#1/UE#2/UE#3や無線基地局eNB#1/PhNB#10内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UE#1/UE#2/UE#3や無線基地局eNB#1/PhNB#10内に設けられていてもよい。
【0053】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0054】
eNB#1、PhNB#10…無線基地局
11…割当部
12…受信部
13…送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7