(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下方向に間隔をおいて対向する上翼板(22)及び下翼板(23)と、前記上翼板(22)及び前記下翼板(23)の前部同士を左右方向中間部において連結する案内柱(24)と、前記上翼板(22)及び前記下翼板(23)及び前記案内柱(24)により形成されたY字状の第1のエレメント案内通路(2a)とを備えたスライダー胴体(21)を含むスライダー(2)に装着される、スライドファスナーのスライダーカバー(3)であって、
前記上翼板(22)に装着する上板(4)と、
前記下翼板(23)に装着する下板(5)と、
前記上板(4)及び前記下板(5)を上下に連結する連結柱(6)であってスライドファスナー(F)の一対のエレメント列(12、12)の噛合部側をそれぞれ案内する一対の内壁部(61、61)を含む前記連結柱(6)と、
一対の前記エレメント列(12、12)の噛合部側とは反対側をそれぞれ案内する一対の外壁部(7、7)であって前記上板(4)と前記下板(5)のうち少なくとも一方から前記上板(4)と前記下板(5)の間隔を狭めるように突出する一対の前記外壁部(7、7)と、
前記上板(4)と前記下板(5)と一対の前記外壁部(7、7)と一対の前記内壁部(61、61)との間に形成される一対の第2のエレメント案内通路(3c、3c)であって分離している一対の前記エレメント列(12、12)を前記第1のエレメント案内通路(2a)へ案内する一対の前記第2のエレメント案内通路(3c、3c)とを備え、
前記上板(4)と前記下板(5)と前記連結柱(6)は、前記スライダー(2)の移動方向のうち噛合方向を向く面に、前記スライダー(2)の移動方向のうち分離方向へ窪む凹面(3e)を備え、
一対の前記第2のエレメント案内通路(3c、3c)は、一対の前記内壁部(61、61)における前記噛合方向の先端を、一対の前記外壁部(7、7)における前記噛合方向の先端に対して、同じ位置か、それよりも前記噛合方向側に位置することを特徴とするスライドファスナーのスライダーカバー。
一対の前記第2のエレメント案内通路(3c、3c)は、対向する前記外壁部(7)と前記内壁部(61)の間隔に関して、前記噛合方向の先部側を、前記分離方向側に対して幅狭にしてあることを特徴とする請求項1記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記上翼板(22)及び前記下翼板(23)及び前記案内柱(24)及び前記第1のエレメント案内通路(2a)の他に、前記上翼板(22)の上面側に突出する引手取付部(26)を備えた前記スライダー胴体(21)を含む前記スライダー(2)に装着される、スライドファスナーのスライダーカバーであって、
前記上被覆部(44)は、前記上板(4)における一対の前記第2のエレメント案内通路(3c、3c)側から前記上孔(4a)を狭めるように張り出す一対の上張出部(45、45)を備え、
一対の前記上張出部(45、45)の間隔は、前記上翼板(22)の上面側の前記引手取付部(26)を挟む寸法に設定してあることを特徴とする請求項5に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記上翼板(22)及び前記下翼板(23)及び前記案内柱(24)及び前記第1のエレメント案内通路(2a)の他に、前記下翼板(23)の下面側に突出する引手取付部(27)を備えた前記スライダー胴体(21)を含む前記スライダー(2)に装着される、スライドファスナーのスライダーカバーであって、
前記下被覆部(54)は、一対の前記第2のエレメント案内通路(3c、3c)から前記下孔(5a)を狭めるように張り出す一対の下張出部(55、55)を備え、
一対の前記下張出部(55、55)の間隔は、前記下翼板(23)の下面の前記引手取付部(27)を挟む寸法に設定してあることを特徴とする請求項7に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記上板(4)は、一対の前記エレメント列(12、12)の上面側を案内する一対の上案内部(41、41)と、一対の前記上案内部(41、41)を接合する上接合部(40)と、一対の前記上案内部(41、41)及び前記上接合部(40)と協同して形成されると共に前記上板(4)を前記上翼板(22)に装着する上装着部(42)とを備え、
前記上装着部(42)は、一対の前記上案内部(41、41)及び前記上接合部(40)の他に、一対の上案内部(41、41)から前記分離方向側へ突出すると共に前記上翼板(22)を挟む一対の上脚部(43a、43a)を備え、
前記下板(5)は、一対の前記エレメント列(12、12)の下面側を案内する一対の下案内部(51、51)と、一対の前記下案内部(51、51)を接合する下接合部(50)と、一対の前記下案内部(51、51)及び前記下接合部(50)と協同して形成されると共に前記下板(5)を前記下翼板(23)に装着する下装着部(52)とを備え、
前記下装着部(52)は、一対の前記下案内部(51、51)及び前記下接合部(50)の他に、一対の前記下案内部(51、51)から前記分離方向側へ突出すると共に前記下翼板(23)を挟む一対の下脚部(53a、53a)を備え、
一対の前記上脚部(43a、43a)及び一対の前記下脚部(53a、53a)は、各々の間に前記上翼板(22)及び前記下翼板(23)をスナップ式に装着する弾性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載されたスライダーでは、V字状等の凹面の両端が一対のエレメント列よりも外側に位置するようになっている。より詳しく言えば、凹面の左右を側板が形成しており、一対の側板は一対のエレメント列の外側を案内するようになっている。そうすると、例えば生地が一対のエレメント列の下側から一対のエレメント列の間を経て一対のエレメント列の上側に覆い被さっているような場合に、スライダーを噛合方向に移動させると、一対のエレメント列の外側に位置する生地がエレメント列とその外側の側板との間に導かれて、生地が噛み込まれるおそれがある。
またV字状等の凹面の左右端部は、スライダー胴体の左右端部を形成すると共に、鋭角に前方に張り出しているので、破損したり、その部分が人の肌に当たると怪我をする恐れがある。
【0007】
また特許文献2に記載されたスライダーカバーでは、スライダーの前面の先端に逆V字状の凸面の頂部が位置するようになっている。そうすると、例えば生地が一対のエレメント列の間にある場合に、スライダーを噛合方向に移動させると、各エレメント列の内側に位置する生地が、エレメント列とその内側の連結柱との間に導かれて、生地が噛み込まれるおそれがある。
【0008】
また生地の噛み込みではないが、噛合している一対のエレメント列を分離するために、一対のエレメント列を離れるように引っ張ったり、一方のエレメント列とスライダーの引手を摘まんでその一方のエレメント列を引っ張ったりすることがある。
【0009】
しかしながら特許文献1に記載されたスライダーでは、スライダーの噛合方向の先端を構成する部分が、スライダーの左右の側板であるので、一対のエレメント列を離れる方向に引くときに、一対のエレメント列が横方向に移動するのを左右の側板が阻止するように作用し、一対のエレメント列の分離性、つまりスライドファスナーを開くときのスライダーの摺動性(以下、「スライダーの摺動性」と言う。)を悪くする。
【0010】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は生地の噛み込み難さと、スライダーの摺動性を兼ね備えたスライダーカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスライドファスナーのスライダーカバーは、上下方向に間隔をおいて対向する上翼板及び下翼板と、上翼板及び下翼板の前部同士を左右方向中間部において連結する案内柱と、上翼板及び下翼板及び案内柱により形成されたY字状の第1のエレメント案内通路とを備えたスライダー胴体を含むスライダーに装着されるものである。
そして本発明のスライダーカバーは、上翼板に装着する上板と、下翼板に装着する下板と、上板及び下板を上下に連結する連結柱であってスライドファスナーの一対のエレメント列の噛合部側をそれぞれ案内する一対の内壁部を含む連結柱と、一対のエレメント列の噛合部側とは反対側をそれぞれ案内する一対の外壁部であって上板と前記下板のうち少なくとも一方から上板と下板の間隔を狭めるように突出する一対の外壁部と、上板と下板と一対の外壁部と一対の内壁部との間に形成される一対の第2のエレメント案内通路であって分離している一対のエレメント列を第1のエレメント案内通路へ案内する一対の第2のエレメント案内通路とを備える。そして上板と下板と連結柱は、スライダーの移動方向のうち噛合方向を向く面に、スライダーの移動方向のうち分離方向へ窪む凹面を備えるものとする。また一対の第2の案内エレメント通路は、一対の内壁部における前記噛合方向の先端を、一対の外壁部における前記噛合方向の先端に対して、同じ位置か、それよりも前記噛合方向側に位置するものである。
【0012】
一対の第2のエレメント案内通路は、対向する外壁部と内壁部の間隔に関しては問わず、例えばその間隔を第2のエレメント案内通路自身の延長方向において一定にするものであっても良いが、生地を噛み込み難くしつつ各エレメントをスライダーに導き易くするには次のようにすることが望ましい。
すなわち、一対の第2のエレメント案内通路は、対向する外壁部と内壁部の間隔に関して、前記噛合方向の先部側を、前記分離方向側に対して幅狭にしてあることである。
【0013】
対向する外壁部と内壁部の間隔に関して、外壁部及び内壁部の形状は、次のものが望ましい。
すなわち、上下方向に視て、外壁部の内面形状は1本の直線形状であり、内壁部の内面形状は、前記噛合方向側に配置される第1の直線部と、前記分離方向側に配置される第2の直線部とを含む屈曲形状であり、第2の直線部は、外壁部の内面形状と平行な形状であり、第1の直線部は、外壁部の内面形状に対して傾斜すると共に前記噛合方向の先部側へ向かうにつれて接近する形状であることである。
【0014】
また上板と下板との連結強度を向上するには、次のようにすることが望ましい。
すなわち上板と下板とは別体であるものとする。そして連結柱は、凹面を形成する部分の凹壁部と、凹壁部よりも前記分離方向側において上板と下板を上下に連結する連結部を備えるものとする。また凹壁部は、凹面の上側を構成する上凹壁部であって上板から下方に突出する上凹壁部と、凹面の下側を構成する下凹壁部であって下板から上方に突出する下凹壁部とを備えるものとする。そして上凹壁部と下凹壁部は、上下に重なり合うと共に、互いの重なり合う面側に、第1の溝部と、第1の溝部に嵌合する第1の突部とを別々に備え、第1の溝部と第1の突部は、連結部よりも前記噛合方向側に位置することである。
【0015】
上板は、上翼板に装着するものであれば良いが、生地の噛み込みを防止する観点からは、一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置されることが望ましく、それには次のようにすることが望ましい。
すなわち、上板は、上翼板に装着する上装着部を備え、上装着部は、上翼板の外周の一部を包囲する上包囲部と、上翼板の上面の少なくとも一部を覆う上被覆部とを備えるものとする。そして上包囲部は、上板を貫通する上孔の外側を構成することである。
【0016】
また一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置されるようにするには、スライダーの形状を利用するようにして、次のようにすることが望ましい。
すなわち、この場合のスライダーは、上翼板及び下翼板及び案内柱及び第1のエレメント案内通路の他に、上翼板の上面側に突出する引手取付部を備えたスライダー胴体を含むものである。そしてこのスライダーに装着されるスライダーカバーは、上被覆部が、上板における一対の第2のエレメント案内通路側から上孔を狭めるように張り出す一対の上張出部を備えるものとする。そして一対の上張出部の間隔は、上翼板の上面側の引手取付部を挟む寸法に設定してあることである。
【0017】
下板は、下翼板に装着するものであれば良いが、生地の噛み込みを防止する観点からは、一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置されることが望ましく、それには次のようにすることが望ましい。
すなわち、下板は、下翼板に装着する下装着部を備え、下装着部は、下翼板の外周の一部を包囲する下包囲部と、下翼板の下面の少なくとも一部を覆う下被覆部とを備えるものとする。そして下包囲部は、下板を貫通する下孔の外側を構成することである。
【0018】
また一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置されるようにするには、スライダーの形状を利用するようにして、次のようにすることが望ましい。
すなわち、この場合のスライダーは、上翼板及び下翼板及び案内柱及び第1のエレメント案内通路の他に、下翼板の下面側に突出する引手取付部を備えたスライダー胴体を含むものである。そしてこのスライダーに装着されるスライダーカバーは、下被覆部が、一対の第2のエレメント案内通路から下孔を狭めるように張り出す一対の下張出部を備え、一対の下張出部の間隔は、下翼板の下面の引手取付部を挟む寸法に設定してあることである。
【0019】
さらに上板及び下板は、上翼板及び下翼板に対する装着作業を容易にするには次のようにすることが望ましい。
すなわち、上板は、一対のエレメント列の上面側を案内する一対の上案内部と、一対の上案内部を接合する上接合部と、一対の上案内部及び上接合部と協同して形成されると共に上板を上翼板に装着する上装着部とを備えるものとする。そして上装着部は、一対の上案内部及び上接合部の他に、一対の上案内部から前記分離方向側へ突出すると共に上翼板を挟む一対の上脚部を備えるものとする。下板は、一対のエレメント列の下面側を案内する一対の下案内部と、一対の下案内部を接合する下接合部と、一対の下案内部及び下接合部と協同して形成されると共に下板を下翼板に装着する下装着部とを備えるものとする。下装着部は、一対の下案内部及び下接合部の他に、一対の下案内部から前記分離方向側へ突出すると共に下翼板を挟む一対の下脚部を備えるものとする。そして一対の上脚部及び一対の下脚部は、各々の間に上翼板及び下翼板をスナップ式に装着する弾性を有することである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スライダーの移動方向のうち噛合方向を向く面にスライダーの移動方向のうち分離方向へ窪む凹面を備えるので、スライダーを噛合方向に移動させれば、一対のエレメント列の間に位置する生地が凹面に向かって移動することになり、その結果、生地が噛み込み難くなる。しかも本発明によれば、一対の内壁部における噛合方向の先端を、一対の外壁部における噛合方向の先端に対して、同じ位置か、それよりも噛合方向側に位置することにより、一対の外壁部が凹面の一部を形成しないようにしてあるので、一対の外壁部が凹面の一部を形成するものに比べて、生地が噛み込み難くなる。また本発明によれば、一対の内壁部における噛合方向の先端を、一対の外壁部における噛合方向の先端に対して分離方向側に位置してある場合に比べれば、エレメント列が固定された一対のテープを両側に引っ張ってファスナーを開く場合のスライダーの摺動性が良い。
【0021】
また一対の第2のエレメント案内通路における対向する外壁部と内壁部の間隔に関して、噛合方向の先部側を、分離方向側に対して幅狭にしてあるスライダーカバーであれば、生地を噛み込み難くしつつ、各エレメント列をスライダーに導き易くすることができる。
【0022】
さらに上板と下板を別体とし、連結柱が凹面を形成する部分の凹壁部と、上板及び下板を上下に連結する連結部とを備えるものとしたスライダーカバーであれば、凹壁部を構成する上凹壁部と下凹壁部に備わる第1の溝部と第1の突部を、連結部よりも噛合方向側に位置させているので、上板と下板を分解しようとして、上板と下板の分離方向側の端部から上板と下板を上下に離す力を加えても、第1の溝部の底面(噛合方向を向く面)と第1の突部とが接触していることから、上凹壁部と下凹壁部とは、離れ難くなり、その結果、上板と下板との連結強度が向上する。
【0023】
また上板が上装着部を備え、上装着部が上包囲部と上被覆部とを備えるスライダーカバーによれば、上被覆部によってスライダーに対する上方向の位置決めがなされ、一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置され、生地の噛み込みを防止することができる。
【0024】
さらに上被覆部が一対の上張出部を備えるスライダーカバーによれば、上翼板の上面に引手取付部を備えるスライダーに装着する場合に、一対の上張出部の間隔によって引手取付部に対する位置決めがなされることから、一対のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置され、生地の噛み込みを防止することができる。
【0025】
また下板が下装着部を備え、下装着部が下包囲部と下被覆部とを備えるスライダーカバーによれば、下被覆部によってスライダーに対する下方向の位置決めがなされ、一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置され、生地の噛み込みを防止することができる。
【0026】
さらに下被覆部が一対の下張出部を備えるスライダーカバーによれば、下翼板の下面に引手取付部を備えるスライダーに装着する場合に、一対の下張出部の間隔によって引手取付部に対する位置決めがなされることから、一対の第2のエレメント案内通路がスライダーに対して所望の位置に配置され、生地の噛み込みを防止することができる。
【0027】
また上翼板を挟む一対の上脚部と、下翼板を挟む一対の下脚部とを備えるスライダーカバーによれば、一対の上脚部と一対の下脚部の弾性により、上翼板及び下翼板をスナップ式に装着することができるので、スライダーカバーの装着作業が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を適用するスライドファスナーFは、
図1に示すように、平行に延長する一対のファスナーストリンガー1、1と、一対のファスナーストリンガー1、1の対向する側縁部に沿って移動可能なスライダー2と、スライダー2に装着するスライダーカバー3と、一対のファスナーストリンガー1、1が延長する長手方向の両端部においてスライダー2の移動範囲を定める第1及び第2の止具8、9とを備える。
【0030】
そしてスライダー2を前記長手方向のうち一方向へ移動させることによって、一対のファスナーストリンガー1、1を開くことができ、移動範囲の一方の限界位置に達すると、スライダー2が第1の止具8に衝突する。またスライダー2を前記長手方向のうち他方向へ移動させることによって、一対のファスナーストリンガー1、1を閉じることができ、移動範囲の他方の限界位置に達すると、スライダー2が第2の止具9に衝突する。
【0031】
以後の方向性を説明するに際して、長手方向のことを前後方向とも言い、前方向とは、
図1の上方向であって、スライダー2が一対のファスナーストリンガー1、1を閉じる方向であって、後方向とは、
図1の下側であって、スライダー2が一対のファスナーストリンガー1、1を開く方向である。また一対のファスナーストリンガー1、1が閉じる場合、後述の一対のエレメント列12、12が噛合するので、前方向とは、噛合方向とも言う。また一対のファスナーストリンガー1、1が開く場合、一対のエレメント列12、12が分離するので、後方向とは、分離方向とも言う。また左右方向とは、長手方向(前後方向)と直交し且つ一対のファスナーストリンガー1、1を並べる方向のことであり、幅方向とも言う。左側とは、
図1の左側であって、右側とは、
図1の右側である。また一対のエレメント列12、12の対向面とは、一対のエレメント列12、12の噛合部側とも言い、左側のエレメント列12であれば、右側面、右側のエレメント列12であれば左側面である。また一対のエレメント列12、12の対向面とは反対面とは、一対のエレメント列12、12の噛合部側とは反対側とも言い、左側のエレメント列12であれば左側面、右側のエレメント列12であれば右側面である。さらに前後方向及び左右方向に直交する方向を上下方向(厚み方向)と言う。上側とは、
図1の紙面に対して直交する方向、すなわち前後方向及び左右方向に直交する方向のうち手前側であって、下側とは、
図1の紙面に対して直交する方向のうち奥側である。
【0032】
一対のファスナーストリンガー1、1は、前後に延長すると共に左右に並べる一対のテープ11、11と、一対のテープ11、11における対向する左右の側縁部に沿って固定された一対のエレメント列12、12とを備えている。
【0033】
各テープ11は、前後に長い帯状であって、その厚み方向は上下方向である。
【0034】
各エレメント列12は、テープ11の対向する側縁部に沿って前後に間隔をあけて固定された多数のエレメント13によって形成される。なお本実施形態では各エレメント列12は、モノフィラメントをコイル状にしたコイルエレメントによって形成されており、エレメント列12の噛合部12aがテープ11の幅方向の外側に、噛合部12aの反対側にあるエレメント列12のコイル反転部12bがテープ11の幅方向の中央側に配置されるようにして、テープ11の上面に縫着されている。なおコイルエレメントは多数のエレメント13を連続させたものであり、本実施形態ではエレメント列12はコイルエレメントを用いているが、これに限らずエレメント列12は多数の独立したエレメントを一列に配置するものであっても良い。
一対のファスナーストリンガー1、1を閉じる為にスライダー2を前方へ移動させると、一対のエレメント列12、12のエレメント13、13同士が噛合し、スライダー2が第1の止具8に衝突することによって、スライダー2の更なる前方への移動が阻止される。また一対のファスナーストリンガー1、1を開く為にスライダー2を後方へ移動させると、一対のエレメント列12、12のエレメント13、13同士が左右に分離し、スライダー2が第2の止具9に衝突することによって、スライダー2の更なる後方への移動が阻止される。
【0035】
スライダー2は、一対のエレメント列12、12に係合すると共に前後に移動可能なスライダー胴体21と、スライダー胴体21に対して連結される上側及び下側の引手29、29と、を備える。
【0036】
スライダー胴体21は、上下方向に間隔をおいて対向する上翼板22及び下翼板23と、上翼板22及び下翼板23の前部同士の対向する間を互いの左右方向中間部において連結する案内柱24と、上翼板22及び下翼板23の少なくとも一方(本実施形態では両方)の左右端部から対向する上下間隔を狭める方向に突出するフランジ25、25、25、25と、上翼板22の上面側に突出する引手取付部26と、下翼板23の下面側に突出する引手取付部27とを備えている。
【0037】
またスライダー胴体21はその内部空間として、前後方向に貫通するY字状のエレメント案内通路2aであって前側が二又に分岐したエレメント案内通路2aと、エレメント案内通路2aに連通すると共に左右に開口する一対のテープ溝2d、2dが形成される。なおエレメント案内通路2aの前側には2つの開口2b、2bが形成されており、この開口2bを肩口と言い、エレメント案内通路2aの後側には1つの開口2cが形成されており、この開口2cを後口と言う。なお、スライダー胴体21のエレメント案内通路2aは第1のエレメント案内通路2aとも言う。第1のエレメント案内通路2aには一対のエレメント列12、12が通され、各テープ溝2dには対応する側のテープ11が通される。
【0038】
またスライダー胴体21は、一対の肩口2b、2bを含む前面が円弧状に膨らむ形状になっており、一対の肩口2b、2b側に比べて後口2c側を幅狭にする形状となっている。より詳しく言えばエレメント案内通路2aの形状に合わせて、上翼板22及び下翼板23の両側縁の形状も肩口2b側が幅広く、後口2c側が幅狭くなるように形成されている。すなわち、上翼板22及び下翼板23の両側縁のうち、肩口2bよりも後口2c側には、幅方向の中央側に向けて窪んだ窪み部22a、23aが形成されている。より詳しくは、上下の窪み部22a、23aの形状は、前端から後方へ向かうにつれて徐々に幅方向内側に向かい、その後、前後方向に平行に延長する形状となっている。また、上翼板22及び下翼板23の両側縁に沿って突出する4つのフランジ25の両側縁も、上翼板22及び下翼板23の両側縁の形状と一致するように窪んでおり、窪み部22a、23aを形成する。
【0039】
また
図2、
図7に示すようにスライダー胴体21にはその一部として上側及び下側の引手取付部26、27が設けられる。上側の引手取付部26は、上翼板22の上面から上方に突出する突出部26aと、突出部26aの先部から後方に向けて屈曲した屈曲部26bを備え、屈曲部26bの先端はさらに下方に屈曲し、上翼板22の方を向いている。一方、下側の引手取付部27も同様に、下翼板23の下面から下向に突出する突出部27aと、突出部27aから後方に向けて屈曲した屈曲部27bを備え、屈曲部27bの先端はさらに屈曲し、下翼板23を向いている。上側及び下側の引手取付部26、27には左右方向に貫通する貫通穴26h、27hが形成されている。そしてこの貫通穴26h、27hに上側及び下側の引手29、29の一部を挿通することにより、各引手29はスライダー胴体21に連結される。
【0040】
第1の止具8は
図1に示すように、各テープ11の前端部に固定されており、より詳しくはエレメント列12よりも前方に間隔をおいて固定されている。また第1の止具8は、エレメント13よりも上下方向の厚みが厚いもので、スライダー2の前面に衝突するようになっている。
【0041】
第2の止具9は、2つのテープ11、11の後端部に固定されており、より詳しくは双方のエレメント列12、12よりも後方に間隔をおいて固定されている。また第2の止具9は、本実施形態では開離嵌挿具と称されるもので、2つのテープ11、11のうち一方に固定された蝶棒9aと、他方に固定された箱9bとから構成される。箱9bは、蝶棒9aの後部が挿入される蝶棒穴(図示略)を備える。この箱9bがエレメント13よりも上下方向の厚みが厚く、スライダー2の後面に衝突するようになっている。
【0042】
本発明の第一実施形態のスライダーカバー3は
図1、
図2に示すように、上下に配置される上部材3a及び下部材3bとから構成され、上部材3aと下部材3bを互いの前部であって左右中央部において連結したものである。またスライダーカバー3は
図2、
図8、
図9に示すように、上部材3aと下部材3bの連結部分には連結柱6を備え、連結柱6の左右には分離した一対のエレメント列12、12を通す一対のエレメント案内通路3c、3cを内部空間として備えると共に、連結柱6の後方にはスライダー2に装着する装着部3dを備えるものである。なお、スライダーカバー3のエレメント案内通路3cは第2のエレメント案内通路3cとも言う。
【0043】
上部材3aは
図2、
図3、
図5に示すように、上板4を備えている。一方、下部材3bは
図2、
図4に示すように下板5を備えている。
【0044】
上板4及び下板5は、左右の幅寸法及び前後寸法をスライダー2の幅寸法及び前後寸法よりも長く形成してある。また左右の幅寸法に関して、上板4及び下板5は、前側を後側に比べて長く形成してある。しかも上板4及び下板5は、左右対称形状であるので、左右側面の形状が後方へ向かうにつれて左右中央部に向かう形状となっている。またスライダーカバー3をスライダー2に装着した状態において、スライダー2に対する前後の突出長に関して、上板4及び下板5は、前側を後側に比べて長く形成してある(
図10参照)。
【0045】
上板4は、一対のエレメント列12、12の上面側を案内する一対の上案内部41、41と、一対の上案内部41、41を幅方向に接合する上接合部40と、一対の上案内部41、41及び上接合部40と協同して形成されると共に上板4を上翼板22に装着する上装着部42の上部とを備えている。そして一対の上案内部41、41は上板4の主に前部の左右側部を構成し、上接合部40は上板4の主に前部の左右中間部を構成し、上装着部42の上部は上板4の後部を構成する。
【0046】
そして上部材3aは、上板4の他に、一対のエレメント列12、12の噛合部側とは反対側(幅方向の外側)を案内する一対の上外壁部7a、7aと、連結柱6の上部を構成する上柱6aと、スライダー2の上側の一対のフランジ25、25の幅方向外側を覆う一対の上外壁延長部7a1とを備える。一対の上外壁部7a、7aは上板4の左右端部(一対の上案内部41、41の幅方向の両外側端部)から下方に突出し、上柱6aは上接合部40から下方に突出する。また一対の上外壁延長部7a1は、上装着部42の下部であり、一対の上外壁部7a、7aの幅方向の両外側端部から後方に延長する。
【0047】
下板5は、一対のエレメント列12、12の下面側(より詳しくは、本実施形態では、一対のエレメント列12、12の下方に配置された一対のテープ11、11の下面側)を案内する一対の下案内部51、51と、一対の下案内部51、51を幅方向に接合する下接合部50と、一対の下案内部51、51及び下接合部50と協同して形成されると共に下板5を下翼板23に装着する下装着部52の下部とを備えている。そして一対の下案内部51、51は下板5の主に前部の左右側部を構成し、下接合部50は下板5の主に前部の左右中間部を構成し、下装着部52の下部は下板5の後部を構成する。
【0048】
そして下部材3bは、下板5の他に、一対のエレメント列12、12の噛合部側とは反対側(幅方向の外側)を案内する一対の下外壁部7b、7bと、連結柱6の下部を構成する下柱6bと、スライダー2の下側の一対のフランジ25、25の幅方向外側を覆う一対の下外壁延長部7b1、7b1とを備える。一対の下外壁部7b、7bは下板5の左右端部(一対の下案内部51、51の幅方向の両外側端部)から上方に突出し、下柱6bは下接合部50から上方に突出する。また一対の下外壁延長部7b1、7b1は下装着部52の上部であり、一対の下外壁部7b、7bの幅方向の両外側端部から後方に延長する。
【0049】
前記した上外壁部7aと下外壁部7bとは、スライダーカバー3の左右において、上下に隙間をあけて対向しており、対向する上外壁部7aと下外壁部7bとによって外壁部7が形成される。また外壁部7は、上外壁部7aの下面と下外壁部7bの上面の間には、テープ11が通過する隙間が形成される。
【0050】
各外壁部7の内面は、各エレメント列12の噛合部側とは反対側を案内する。
図4に示すように、下板5の上面側を上下方向に視ると、各下外壁部7bの内面形状(幅方向の内側形状)は、後方へ向かうにつれて幅方向内側に向かう1本の傾斜した直線形状となっている。また
図3に示すように、上板4の下面側を上下方向に視ると、各上外壁部7aの内面形状は、下外壁部7bと上下対称形状となっている。従って上下方向に視て、各外壁部7の内面形状は1本の直線形状となっている。
【0051】
前記した上柱6aと下柱6bとが連結することによって連結柱6が形成される。連結柱6は、上板4の上接合部40と下板5の下接合部50との間に架設され、それによって上部材3aと下部材3bは一体化される。また上柱6aと下柱6bとは前後左右において上下に隙間なく重なり合っている。連結柱6の左右側部は、一対のエレメント列12、12の噛合部側(幅方向の内側)をそれぞれ案内する一対の内壁部61、61である。そして一対の内壁部61、61は、上柱6aの左右側部を構成する一対の上内壁部61a、61aと、下柱6bの左右側部を構成する一対の下内壁部61b、61bによって形成される。
【0052】
各内壁部61は、その内面(幅方向の外側面)により、エレメント列12を案内する。そして
図4に示すように、下板5の上面側を上下方向に視ると、下内壁部61bの内面形状(幅方向の外側形状)は、全体的には後方へ向かうにつれて幅方向内側に向かう形状であり、下外壁部7bの内面形状に対して、前側(噛合方向の先部側)を、後側(分離方向側)に対して接近させた形状としてある。より詳しく言えば、上下方向に視て、下内壁部61bの内面形状は、前側(噛合方向側)に配置される第1の直線部61b1と、後側(分離方向側)に配置される第2の直線部61b2と、第1及び第2の直線部61b1、61b2を滑らかに接続する円弧状の曲線部61b3と含む屈曲形状である。そして
図4に示すように第1の直線部61b1は、傾斜している下外壁部7bの内面形状に比べて、水平になっており(後方へ向かうにつれて一段と幅方向内側に向かうように傾斜しており)、第2の直線部61b2は下外壁部7bの内面形状と平行な形状としてある。それゆえ下内壁部61bの内面形状と下外壁部7bの内面形状との間隔W1に関して、前側(噛合方向の先部側)は、後側に対して幅狭に形成されている。なおここでの「間隔」とは、上下方向に視て、下外壁部7bの内面形状の延長方向に対して直交する方向の間隔である。また
図3に示すように、上板4の下面側を上下方向に視ると、上外壁部7aの内面形状は、下外壁部7bの内面形状と上下対称形状となっている。従って各第2のエレメント案内通路3cは、対向する外壁部7と内壁部61の間隔W1に関して、前側(噛合方向の先部側)を、後側(分離方向側)に対して幅狭にしてある。
【0053】
また各内壁部61の前端(噛合方向の先端)は、外壁部7の前端よりも前側に位置するものとなっている。従って各第2のエレメント案内通路3cの前側は、幅方向外側に向かって開口する形状となっている。
【0054】
一対のエレメント案内通路3c、3cは、一対の上案内部41、41と、一対の下案内部51、51と、一対の内壁部61、61と、一対の外壁部7、7とによって囲まれた内部空間である。そして一対のエレメント案内通路3c、3cは、スライダー2が噛合方向へ移動する場合は、分離している一対のエレメント列12、12をスライダー2へ案内し、スライダー2が分離方向へ移動する場合は、スライダー2において分離した一対のエレメント列12、12をそのまま分離する方向へ案内する。
【0055】
連結柱6は、前記したように、上柱6aと下柱6bとを備えている。そして上柱6aと下柱6bとが一体化することによって、連結柱6は、その左右側面を構成する一対の内壁部61、61と、その前面を構成する前壁部62と、その後面を構成する後壁部63と、その前後左右の中央部を構成する連結部64とを形成する。
【0056】
連結部64は、その上側を構成する上連結部65と、その下側を構成する下連結部66とを備える。
上連結部65は、上板4の左右中央部であって且つ前部(一対の上案内部41、41を接合する上接合部40)において上下に貫通して形成された連結孔65aと、連結孔65aの下部の左右からその幅方向の間隔を狭める方向に突出する左右の係止片65b、65bとから構成される。連結孔65aは、上下方向から視て矩形状となっている。また各係止片65bは、上面が水平面で、下面が幅方向外側へ向かうにつれて下方へ向かう斜面となっている。
下連結部66は下板5の下接合部50から上方に突出するもので、
図2、
図4、
図9に示すように、一対の下内壁部61b、61bの間に架設するベース66aと、ベース66aから幅方向に離れて上方に突出する一対の係止柱66b、66bから構成される。ベース66aの上面は、一対の下内壁部61b、61bの上面と高さを揃えてある。また各係止柱66bは、その上下方向の中間部には、対応する側の係止片65bに嵌合する被係止片66cを備えている。そして左右の係止柱66b、66bを連結孔65aの下方から差し込むと、各係止柱66bの被係止片66cと係止片65bとが嵌合し、上連結部65と下連結部66とが連結する。
【0057】
上板4と下板5と、連結柱6の前壁部62とは、その前面(スライダー2の移動方向のうち噛合方向を向く面)に、後方(スライダー2の移動方向のうち分離方向)へ窪む凹面3eを備えている。凹面3eは、連結柱6の一対の内壁部61、61の前端(噛合方向の先端)よりも後側へ窪んだ底面と、一対の内壁部61、61の幅方向に対向する一対の側面とを備える。また凹面3eの底面、両側面は上下方向に連続する鉛直面でもある。また凹面3eの一対の側面は、凹面3eの底面の幅方向両側から延設されている。より詳しく言えば凹面3eの一対の側面は、入口側である前端(内壁部61、61の先端)から、奥側である後端に向かって徐々に幅方向の内側へ向かう斜面となっている。したがって凹面3eの幅方向の寸法W2は後方(分離方向)へ向かうにつれて徐々に狭くなっている。また、
図10に示すとおり、凹面3eの最大幅寸法は、スライダー2の最大幅寸法と同じか、それ以上に形成されているので生地を誘い込むのに好適である。
しかも凹面3eの底面(前面)は、幅方向に平行な面となっており、その位置は、外壁部7、7の前端よりも前側であり、一対の内壁部61、61の前端よりも後側である。また外壁部7、7の前端は、連結柱6の後壁部63よりも前側に位置している。このような構成とすることで、スライダーカバー3はその前端から凹面3eの底面までの寸法を短くすることができる。本実施形態では、前壁部62の前面と上板4(上接合部40)の前面と下板5(下接合部50)の前面、すなわちスライダーカバー3の前面によって凹面3eを形成していることから、この凹面3eを形成する部分のうち連結柱6の部分(前壁部62)を、以後、凹壁部62と称する。凹壁部62は、その上側を構成する上凹壁部62aと、その下側を構成する下凹壁部62bとを備える。
【0058】
上凹壁部62aは、一対の上内壁部61a、61aの前端部の間に架設する上凹壁本体62a1を備え、上凹壁本体62a1の下面を一対の上内壁部61a、61aの下面に揃えてある。一方、下凹壁部62bは、ベース66aの前側において一対の下内壁部61b、61bの間に架設する下凹壁本体62b1を備え、下凹壁本体62b1の上面を一対の下内壁部61b、61bの上面に揃えてある。また上凹壁部62aの下面と下凹壁部62bの上面とは、重なり合うものであり、下凹壁部62bと上凹壁部62aとに、上下方向に嵌合する第1の突部62cと第1の溝部62dを別々に備えている。より詳しくは、上凹壁部62aは、上凹壁本体62a1の他に、2つの第1の突部62cを備えている。2つの第1の突部62cは、上凹壁本体62a1の下面から下方に突出すると共に、左右に間隔をあけて形成されている。しかも2つの第1の突部62cは、その幅方向の外端が、下板5に形成された連結孔65aの幅方向の両端よりも外側に位置し、その幅方向の内端が連結孔65aの幅方向の両端よりも内側に位置するようになっている。一方、下凹壁部62bは、下凹壁本体62b1の他に、後方(分離方向)へ窪む2つの第1の溝部62dを備えている。2つの第1の溝部62dは、下凹壁本体62b1の上面から下方に窪むもので、下凹壁本体62b1の前面の左右に間隔をあけて形成されている。なお第1の溝部62dの後方は、下凹壁部62bの後側に位置するベース66aによって塞がれている。
【0059】
後壁部63は、その上側を構成する上後壁部63aと、その下側を構成する下後壁部63bとを備えている。上後壁部63aは、一対の上内壁部61a、61aの後端部の間に架設する上後壁本体63a1を備え、上後壁本体63a1の下面を一対の上内壁部61a、61aの下面に揃えてある。一方、下後壁部63bは、ベース66aの前側において一対の下内壁部61b、61bの間に架設する下後壁本体63b1を備え、下後壁本体63b1の上面を一対の下内壁部61b、61bの上面に揃えてある。また上後壁部63aの下面と下後壁部63bの上面とは、重なり合うものであり、下後壁部63bと上後壁部63aとに、上下方向に嵌合する第2の突部63cと第2の溝部63dを別々に備えている。より詳しくは、上後壁部63aは、上後壁本体63a1の他に、1つの第2の突部63cを備えている。第1の突部62cは、上後壁本体63a1の下面から下方に突出している。下後壁部63bは、下後壁本体63b1の他に、後方(分離方向)へ窪む1つの第2の溝部63dを備えている。第2の溝部63dは、下後壁本体63b1の上面から下方に窪むもので、下後壁本体63b1の後面に形成されている。なお第2の溝部63dの前方は、下後壁部63bの前側に位置するベース66aによって塞がれている。このような後壁部63(連結柱6)の後方には、前述したようにスライダー2に装着する装着部3dが備わっている。
【0060】
装着部3dは、スライダー胴体21を収容するもので、スライダーカバー3を上翼板22に装着する上装着部42と、スライダーカバー3を下翼板23に装着する下装着部52とから構成される。上装着部42と下装着部52は上下対称的な構成である。
【0061】
下装着部52は、下翼板23の外周及び下側の一対のフランジ25の外周を包囲する下包囲部53と、下包囲部53から張り出すと共に下翼板23の下面を覆う下被覆部54とを備えている。
【0062】
下包囲部53は、下翼板23の外周の一部(後部以外)及び下側の一対のフランジ25の外周(幅方向の外側)を包囲する部分である。そして下包囲部53は、下板5に形成された下孔5aの外側を構成する部分(以下、「下孔構成部」と言う。)と、下孔構成部の幅方向の両側から上方に突出すると共に一対の下外壁部7b、7bから後方に突出する一対の下外壁延長部7b1、7b1とを備えている。
【0063】
一対の下外壁延長部7b1、7b1は、下装着部52の上部(下包囲部53の上部)を構成するものであり、下側の一対のフランジ25,25の外周(幅方向の外側)を包囲するものである。
【0064】
下孔構成部と、その下側の下被覆部54とは、協同して下装着部52の下部(下包囲部53の下部を含む。)を構成するものである。また下孔構成部は、下板5の一部であって、下翼板23の外周の一部(後部以外)を包囲するもので、一対の下案内部51、51の後端部と、下接合部50の後端部と、一対の下案内部51、51の幅方向の両外側端部から後方に延長する一対の下脚部53a、53aとから構成される。なお一対の下脚部53a、53aと、その上側に突出する一対の下外壁延長部7b1、7b1とは、上下方向から視て同一形状をしている。
【0065】
そして下孔構成部の内面を形成する下孔5aは、連結柱6よりも後側において下板5の幅方向の中央部に上下方向に貫通するようにして形成されている。また下孔5aの形状(下孔構成部の内面形状)は図面上では、上部と下部とで相違しているが、上部の形状を基本的形状としている。したがって以後、下孔5aの形状と言う場合は、下孔5aの上部の形状についてのことである。下孔5aの形状は、下翼板23の輪郭(外周)とほぼ同じ輪郭を呈し、下翼板23の輪郭よりも僅かに大きくなっている。より詳しくは下孔5aの形状は、その前部については、下翼板23の前面の円弧形状とほぼ同じ円弧形状をしている。ただしその前部の幅方向の両端は、スライダー2の一対の肩口2b、2bの後端(下側の一対のフランジ25、25の前端)に相当する部分よりも後側に位置し、下側の一対のフランジ25、25の幅方向両端よりも、幅方向の外側に位置するものとなっている。そして下孔5aの形状は、その後部については、前部の幅方向の両端から後方へ向かうにつれて徐々に幅方向内側に向かうように傾斜し、さらに前後方向に平行に延長するようになっている。つまり下孔5aの後方は開口している。そして下孔5aの後部の開口幅は、下翼板23の後部の幅寸法とほぼ同じになっている。したがって下孔5aは、下翼板23の外周のうち後面以外を包囲するものであり、後方に開口するC字状になっていると共に、下翼板23の後部を幅方向に挟むものである。言い換えれば一対の下脚部53a、53aの間は、後方に開口しており、一対の下脚部53a、53aの幅方向の間隔は前部に比べて後部が狭くなっており、一対の下脚部53a、53aの後部の間に下翼板23の後部(一対の窪み部23a、23a)を挟むものである。また一対の下外壁延長部7b1、7b1の間も、後方に開口しており、一対の下外壁延長部7b1、7b1の後部の間に下側の一対のフランジ25、25を挟むものである。なお一対の下脚部53a、53aの後部における幅方向の間隔及び一対の下外壁延長部7b1、7b1の後部における幅方向の間隔は、スライダー2(下翼板23)の幅方向の最大寸法よりも狭くなっている。
【0066】
また下孔5aの下部から下被覆部54が下孔5aを狭めると共に後方の開口を塞ぐように突出している。下被覆部54は、一対の下案内部51、51から下孔5aを狭めるように張り出す一対の下張出部55、55と、下孔5aの後方の開口を塞ぐように張り出す下桟部56を備えている。より詳しくは、一対の下張出部55、55は、一対の下案内部51、51の後面下部と下接合部50の後面下部から幅方向に間隔をあけたまま後方へ張り出すものである。一対の下張出部55、55の幅方向の間隔は、下翼板23の下面側に突出する引手取付部27(突出部27a)を挟む寸法に設定してある。各下張出部55は、その幅方向の内面は、前後方向に延長する平面であり、その後面は幅方向に延長する平面である。また各下張出部55の形状は、その幅方向の内面の前端と後面の幅方向外端とを円弧状に膨らむように結んだ略三角形状である。
【0067】
また、下桟部56は一対の下脚部53a、53aの下部の後部間において幅方向に架設されている。したがって下板5は、上下方向に視て、下孔5aの後方を下桟部56によって塞ぐようになっている。そして下桟部56は、下側の引手取付部27(屈曲部27bの後端)の後方において、下翼板23の後端部の下方を幅方向に跨って覆ってある。また下桟部56の下面に下側の引手29が載るようになっている。
【0068】
上装着部42は、下装着部52と上下対称的な構成であり、下装着部52を構成する各部の名称のうち、「下」を「上」に、「上」を「下」に置換した各部によって構成される。つまり上装着部42は、上翼板22の外周の一部及び上側の一対のフランジ25の外周を包囲する上包囲部43と、上包囲部43から張り出すと共に上翼板22の上面を覆う上被覆部44とを備えている。
【0069】
上包囲部43は、上翼板22の外周の一部(後部以外)及び上側の一対のフランジ25の外周(幅方向の外側)を包囲する部分である。そして上包囲部43は、上板4に形成された上孔4aの外側を構成する部分(以下、「上孔構成部」と言う。)と、上孔構成部の幅方向の両側から下方に突出すると共に一対の上外壁部7a、7aから後方に突出する一対の上外壁延長部7a1、7a1とを備えている。
【0070】
一対の上外壁延長部7a1、7a1は、上装着部42の下部(上包囲部43の下部)を構成するものであり、上側の一対のフランジ25,25の外周(幅方向の外側)を包囲するものである。
【0071】
上孔構成部と、その上側の上被覆部44とは、協同して上装着部42の上部(上包囲部43の上部を含む。)を構成するものである。また上孔構成部は、上板4の一部であって、上翼板22の外周の一部(後部以外)を包囲するもので、一対の上案内部41、41の後端部と、上接合部40の後端部と、一対の上案内部41、41の幅方向の両外側端部から後方に延長する一対の上脚部43a、43aとから構成される。なお一対の上脚部43a、43aと、その下側に突出する一対の上外壁延長部7a1、7a1とは、上下方向から視て同一形状をしている。なお一対の上脚部43a、43aの後部における幅方向の間隔及び一対の上外壁延長部7a1、7a1の後部における幅方向の間隔は、スライダー2(上翼板22)の幅方向の最大寸法よりも狭くなっている。
【0072】
そして上孔構成部の内面を形成する上孔4aは、連結柱6よりも後側において上板4の幅方向の中央部に上下方向に貫通するようにして形成されている。また上孔4aの形状(上孔構成部の内面形状)は図面上では、上部と下部とで相違しているが、下部の形状を基本的形状としている。したがって以後、上孔4aの形状と言う場合は、上孔4aの下部の形状についてのことである。上孔4aの形状は、上翼板22の輪郭(外周)とほぼ同じ輪郭を呈し、上翼板22の輪郭よりも僅かに大きくなっている。より詳しくは上孔4aの形状は、その前部については、上翼板22の前面の円弧形状とほぼ同じ円弧形状をしている。ただしその前部の幅方向の両端は、スライダー2の一対の肩口2b、2bの後端(上側の一対のフランジ25、25の前端)に相当する部分よりも後側に位置し、上側の一対のフランジ25、25の幅方向両端よりも、幅方向の外側に位置するものとなっている。そして上孔4aの形状は、その後部については、前部の幅方向の両端から後方へ向かうにつれて徐々に幅方向内側に向かうように傾斜し、さらに前後方向に平行に延長するようになっている。つまり上孔4aの後方は開口している。そして上孔4aの後部の開口幅は、上翼板22の後部の幅寸法とほぼ同じになっている。したがって上孔4aは、上翼板22の外周のうち後面以外を包囲するものであり、後方に開口するC字状になっていると共に、上翼板22の後部を幅方向に挟むものである。言い換えれば一対の上脚部43a、43aの間は、後方に開口しており、一対の上脚部43a、43aの幅方向の間隔は前部に比べて後部が狭くなっており、一対の上脚部43a、43aの後部の間に上翼板22の後部(一対の窪み部22a、22a)を挟むものである。また一対の上外壁延長部7a1、7a1の間も、後方に開口しており、一対の上外壁延長部7a1、7a1の後部の間に下側の一対のフランジ25、25を挟むものである。
【0073】
また上孔4aの上部から上被覆部44が上孔4aを狭めると共に後方の開口を塞ぐように突出している。上被覆部44は、一対の上案内部41、41から上孔4aを狭めるように張り出す一対の上張出部45、45と、上孔4aの後方を塞ぐように張り出す上桟部46を備えている。より詳しくは、一対の上張出部45、45は、一対の上案内部41、41の後面上部と上接合部40の後面上部から幅方向に間隔をあけたまま後方へ張り出すものである。一対の上張出部45、45の幅方向の間隔は、上翼板22の上面側に突出する引手取付部26(突出部26a)を挟む寸法に設定してある。各上張出部45は、その幅方向の内面は、前後方向に延長する平面であり、その後面は幅方向に延長する平面である。また各上張出部45の形状は、その幅方向の内面の前端と後面の幅方向外端とを円弧状に膨らむように結んだ略三角形状である。
【0074】
また、上桟部46は一対の上脚部43a、43aの上部の後部間において幅方向に架設されている。したがって上板4は、上下方向に視て、上孔4aの後方を下桟部56によって塞ぐようになっている。そして上桟部46は、上側の引手取付部26(屈曲部26bの後端)の後方において、上翼板22の後端部の上方を幅方向に跨って覆ってある。また上桟部46の上面に上側の引手26が載るようになっている。
【0075】
上記した第一実施形態のスライダーカバー3は、
図7に示すように、スライダー2の上下に上部材3aと下部材3bをそれぞれ配置し、上部材3aの上柱6aと下柱6bを連結することによって一体化される。また連結柱6は、連結部64によって連結されるだけでなく、連結部64の前側に位置する第1の溝部62dと第1の突部62cと、連結部64の後側に位置する第2の溝部63dと第2の突部63cとを備えている。そして第1及び第2の溝部62d、63dの底側がベース66aによって塞がれていることから、上板4と下板5を分解しようとして、上板4と下板5の後側(分離方向側)の端部から上板4と下板5を上下に離す力を加えても、各溝部62d、63dの底面(噛合方向を向く面)と各突部62c、63cとが接触していることから、上凹壁部62aと下凹壁部62bとは、離れ難くなり、その結果、上板4と下板5との連結強度が向上する。
【0076】
また連結されたスライダーカバー3の中にはスライダー2が収容され、上装着部42に上板4が装着され、下装着部52に下板5が装着される。より詳しくは、スライダーカバー3の上包囲部43に上翼板22が収容され、下包囲部53に下翼板23が収容される。そして上翼板22の上面が上被覆部44と上桟部46によって覆われ、下翼板23の下面が下被覆部54と下桟部56によって覆われ、スライダー胴体21が上下に挟まれた状態になる。また上包囲部43と下包囲部53により、上翼板22と下翼板23とは、互いの後方以外が覆われ、上翼板22と下翼板23の前面と後部の左右側面が、上包囲部43と下包囲部53に接した状態になる。また上翼板22及び上側の一対のフランジ25、25の窪み部22aは、一対の上脚部43a、43a及び上側の一対の上外壁延長部7a1、7a1によって挟まれ、下翼板23及び下側の一対のフランジ25、25の窪み部23aは、一対の下脚部53a、53a及び下側の一対の下外壁延長部7b1、7b1によって挟まれる。しかも一対の上張出部45、45の間に上側の引手取付部26の一部(突出部26a)が挟まれ、一対の下張出部55、55の間に下側の引手取付部27の一部(突出部27a)が挟まれ、スライダー2に対するスライダーカバー3の位置決めがなされる。位置決めされることによって、一対の肩口2b、2bと一対の第2のエレメント案内通路3c、3cの位置が定まり、一対のエレメント列12、12をスライダー2のエレメント案内通路2aに案内し易くなる。この実施形態では
図10に示すように、スライダー2の案内柱24の左右端よりも外側に、一対の内壁部61、61(一対の下内壁部61b、61b)の内面の後端が位置することになり、また、スライダー2の下側の一対のフランジ25、25の前端よりも上側に、一対の外壁部7、7(下外壁部7b)の内面の後端が位置することになり、これによって一対のエレメント列12、12をスライダー2へ案内し易くしてある。
【0077】
また各第2のエレメント案内通路3cにおける対向する外壁部7と内壁部61の間隔に関して、噛合方向の先部側を、分離方向側に対して幅狭にしてあるので、スライドファスナーFの周辺の生地を噛み込み難くしつつ、各エレメント列12をスライダー2に導き易くすることができる。
【0078】
さらに連結柱6は、前面に後方へ窪む凹面3eを備えるので、スライダー2を噛合方向に移動させれば、一対のエレメント列12、12の間に生地がある場合に、その生地は凹面3eに向かって移動することになり、その結果、生地が噛み込み難くなる。しかも一対の内壁部61、61の内面における噛合方向の先端を、一対の外壁部7、7の内面における噛合方向の先端に対して、同じ位置か、それよりも噛合方向側に位置してあるので、一対のテープ11、11を幅方向の両側に引っ張ってスライドファスナーFを開く場合のスライダー2の摺動性が良い。しかも一対の外壁部7、7は、凹面3eを形成しておらず、一対の上案内部41、41の前面及び一対の下案内部51、51の後面は左右方向に平行に形成されているので、破損しづらく、怪我しづらい。
【0079】
本発明の第二実施形態のスライダーカバー3は、
図11〜
図15に示すように、上装着部42及び下装着部52の形状について、第1実施形態と相違する。
【0080】
第二実施形態では、上装着部42を構成する上孔4aは、その下部(上翼板22の外周のうち後部以外を覆う部分及び上側の一対のフランジ25、25の幅方向の外側を覆う部分)だけでなく、その上部においても塞がれることなく後方に開口している。したがって第二実施形態では、第一実施形態の上桟部46が存在しない。ただし第二実施形態では、上被覆部44は、一対の上張出部45、45と、上翼板22の上面の後端部の左右を覆う一対の上凸部47、47を備えている。一対の上凸部47、47は、後方に開口する一対の上脚部43a、43aの上部の後部から幅方向内側に突出している。そして一対の上凸部47、47は、幅方向に離れている。したがって上板4は、上下方向に視て、上孔4aを後方(分離方向)に開口する上開口部48を備えている。そしてこの上開口部48により、一対の上脚部43a、43aと、その下側の一対の上外壁延長部7a1、7a1は、互いの後部においては幅方向に分離した状態になっている。
【0081】
また下装着部52は、上装着部42と上下対称形状である。それゆえに第二実施形態では、下装着部52を構成する下孔5aは、その上部(下翼板23の外周のうち後部以外を覆う部分及び下側の一対のフランジ25、25の幅方向の外側を覆う部分)だけでなく、その下部においても塞がれることなく後方に開口している。したがって第二実施形態では、第一実施形態の下桟部56が存在しない。ただし第二実施形態では、下被覆部54は、一対の下張出部55、55と、下翼板23の下面の後端部の左右を覆う一対の下凸部57、57を備えている。一対の下凸部57、57は、後方に開口する一対の下脚部53a、53aの下部の後部から幅方向内側に突出している。そして一対の下凸部57、57は、幅方向に離れている。したがって下板5は、上下方向に視て、下孔5aを後方(分離方向)に開口する下開口部58を備えている。そしてこの下開口部58により、一対の下脚部53a、53aと、その上側の一対の下外壁延長部7b1、7b1は、互いの後部においては幅方向に分離した状態になっている。
【0082】
第二実施形態のスライダーカバー3は、たとえば合成樹脂製または金属製であり、その樹脂又は金属の弾性を有する。そして一対の上脚部43a、43aと、一対の下脚部53a、53aは、上開口部48及び下開口部58を備えることから、樹脂又は金属の弾性により、外力が加わった場合に幅方向の間隔を広げ、外力を除去した場合に元の形状に復元することができる。それゆえスライダーカバー3の後方からスライダー2を押し込むと、上開口部48と下開口部58の幅が一時的に広がって、一対の上脚部43a、43aの間及び一対の下脚部53a、53aの間にスライダー2が差し込まれる。また復元力によって上開口部48の幅が元通りになり、窪み部22aにおいて、上翼板22を一対の上脚部43a、43aの間に挟み、一対の上脚部43a、43aの下側では、一対の上外壁延長部7a1、7a1が、その間に上側の一対のフランジ25、25を挟む。同様に復元力によって下開口部58の幅が元通りになり、窪み部23aにおいて、下翼板23を一対の下脚部53a、53aの間に挟み、一対の下脚部53a、53aの下側では、一対の下外壁延長部7b1、7b1が、その間に下側の一対のフランジ25、25を挟む。したがって一対の上脚部43a、43aは、互いの間に上翼板22をスナップ式に装着する弾性を有し、一対の下脚部53a、53aは、互いの間に下翼板23をスナップ式に装着する弾性を有することになる。同様に、一対の上外壁延長部7a1、7a1、及び一対の下外壁延長部7b1、7b1は、上側及び下側の一対のフランジ25、25をスナップ式に装着する弾性を有することになる。また装着されたスライダー2をスライダーカバー3に対して後方に移動させると、弾性により一対の上脚部43a、43a及び一対の下脚部53a、53aの幅が一時的に広がって、スライダーカバー3が外れる。
【0083】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば前記実施形態では、連結部64の前側には第1の溝部62dと第1の突部62cとを備え、連結部64の後側には第2の溝部63dと第2の突部63cとを備えているが、本発明はこれに限らず、第1の溝部62dと第1の突部62cが無いもの、或いは第2の溝部63dと第2の突部63cが無いものであっても良い。
また前記実施形態では、一対の外壁部7、7を、一対の上外壁部7a、7aと、一対の下外壁部7b、7bとによって構成していたが、本発明はこれに限らず、一対の上外壁部7a、7aと、一対の下外壁部7b、7bとのうち一方のみで構成するものであっても良い。
【0084】
また前記実施形態では、上装着部42(上包囲部43)は、上外壁延長部7a1を備えるものであったが、本発明はこれに限らず、上外壁延長部7a1を備えないものであっても良い。この場合、上側の一対のフランジ25、25は覆われないことになり、上装着部42は、上板4のみで構成される。同様に、前記実施形態では、下装着部52(下包囲部53)は、下外壁延長部7b1を備えるものであったが、本発明はこれに限らず、下外壁延長部7b1を備えないものであっても良い。