【実施例】
【0039】
ラボプラストミルミキサ(東洋精機製)あるいはラボプラストミル二軸混練押出機(東洋精機製)を用いて窒素ガス雰囲気下で熱可塑性樹脂と酸素欠陥のある酸化セリウム(一般式CeO
2−xのxが1.5程度)粒子とを混練した。
【0040】
表1に示すように、混練機の種類、熱可塑性樹脂(東ソー製 低密度ポリエチレンであるペトロセンシリーズ)の種類及び配合量、並びに酸化セリウムの配合量を変えて各種樹脂組成物を作製した(実施例1〜14及び比較例1〜5)。
【0041】
なお、表1中に記載した混練方法1は、ラボプラストミルミキサを用いた方法、混練方法2は、ラボプラストミル二軸混練押出機を用いた方法である。
【0042】
【表1】
【0043】
得られた樹脂組成物のメルトフローレート(表中ではMFRと表記する。)はJISK7210に規定される条件のもとで、(株)テクノ・セブン製メルトインデクサを用いて、温度190℃で測定した。
【0044】
製膜性は以下の手順により評価した。
【0045】
得られた樹脂組成物(実施例1〜14及び比較例1〜5の樹脂組成物)を中間層とし、内層及び外層に熱可塑性樹脂層を設けた三層構造の酸素吸収性フィルムを成形した。
成形は、多層インフレーション機を用いて窒素ガスをフローさせながら、内層/酸素吸収層/外層を、10/30/10μm、総厚50μmのフィルムを作製した。
なお、内層、外層に用いた熱可塑性樹脂は、東ソー製のペトロセン180(メルトフローレート2.0)である。
【0046】
多層インフレーション機を用いて三層構造の酸素吸収性フィルムを成形する工程で、問題なく製膜できた場合を「○」にした。一方、押出し量が安定しない、ちぎれる、機械のトルク負荷が高く、停止するなど、安定して製膜できなかった場合を「×」とした。結果を表1に併せて示すともに、
図3に樹脂組成物のメルトフローレートと熱可塑性樹脂のメルトフローレートの関係をグラフにして示す。
なお、内層/酸素吸収層/外層を、10/10/10μm、総厚30μmのフィルムも安定して製膜することができた。
【0047】
表1及び
図3からから以下のことがわかる。
(1)酸素欠陥のある酸化セリウムを51重量%〜82重量%含有し、メルトフローレートが1.81〜17.27g/10minの範囲にあれば、樹脂組成物は製膜性が良好であること。
(2)熱可塑性樹脂のメルトフローレートが8.0g/10minを超えていても、85重量%の酸素欠陥のある酸化セリウムは、製膜が困難であったこと。
【0048】
(酸素吸収量の測定)
酸素吸収性フィルムと酸素吸収性積層体の酸素吸収量を測定した例を示す(実施例15,16及び比較例6,7)。
【0049】
(実施例15)
実施例10のフィルムを用いて酸素吸収量を以下の方法で測定した。
PET/アルミ箔/PE製の袋に25cm
2の酸素吸収性フィルムを投入し、容積15mLとなるよう、すなわち、15mLの空気が入るようにテトラパック型にシールした。常温で30日経過後の、パックマスターRO−103(飯島電子工業製隔膜型ガルバニ電池式酸素センサ)の測定針をテトラパックに刺して袋内酸素濃度を測定し、酸素吸収性フィルムの酸素吸収量を算出した。
【0050】
(実施例16)
12μm厚PETフィルム(東洋紡績製E5100)に9μm厚アルミ箔(住軽アルミ箔製合金アルミ)をドライラミネートした。アルミ箔面と、実施例10の酸素吸収性フィルムをドライラミネートして、酸素吸収性積層体を作製した。
実施例15に記載の方法で酸素吸収性積層体の酸素吸収量を測定した。
【0051】
(比較例6,7)
酸素吸収層中の酸素欠陥を有する酸化セリウムの割合が20,40重量%である酸素吸収性フィルム(酸素吸収層の熱可塑性樹脂東ソー製ペトロセン180、両面の樹脂層もペトロセン180、混練方法1、各層の厚み(10/30/10μm)、製膜条件は、実施例1と同様)について、酸素吸収量を実施例15と同様にして測定した。
【0052】
実施例15,16及び比較例6,7の酸素吸収量の結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
酸素吸収層中の酸素欠陥を有する酸化セリウムの含有量が多いほど、酸素吸収量が増している。
【0055】
(酸素吸収性包材の酸素吸収量測定)
酸素吸収性積層体を袋にした包材の、酸素吸収量を測定した例を示す。
【0056】
(実施例17)
酸素吸収性包材は、実施例16の酸素吸収性積層体(PET12//AL9//実施例10のフィルム)の酸素吸収性フィルム面を内側にして、容積35mLとなるように、すなわち、35mLの空気が入るように、内寸125mmX65mmの4方シール袋を作製した。
シール袋を30日間放置後、パックマスターRO−103(飯島電子工業製隔膜型ガルバニ電池式酸素センサ)の測定針を4方シール袋に刺して袋内の酸素濃度を測定した。その結果、酸素濃度は0.20%であった。
【0057】
(比較例8)
(樹脂製造メーカが推奨する製膜に適したメルトフローレートの熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物の製膜)
製膜に適するとされているメルトフローレートが4.0g/10min及び8.0g/10minにある熱可塑性樹脂をベースにして、酸素欠陥を有する酸化セリウムを50重量%含有する樹脂組成物を作製し、製膜を試みたが、いずれも安定した製膜が実現できず、フィルムを得ることができなかった。