特許第6225346号(P6225346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225346
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ヘッドランプ用LED光源
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   F21S8/12 263
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-205415(P2015-205415)
(22)【出願日】2015年10月19日
(62)【分割の表示】特願2014-528848(P2014-528848)の分割
【原出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2016-12574(P2016-12574A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】201210206706.4
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514057488
【氏名又は名称】グオ,ティンリン
(73)【特許権者】
【識別番号】514057499
【氏名又は名称】リウ,デルン
(74)【代理人】
【識別番号】100200528
【弁理士】
【氏名又は名称】水村 香穂里
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ティンリン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,デルン
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−266620(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/126250(WO,A1)
【文献】 特開2004−214144(JP,A)
【文献】 特開2010−067417(JP,A)
【文献】 特開平07−302931(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201748302(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各発光ポイントの発光密度がA×E1×F=E2×Lの公式となるように、LED光源が面光源である光バンドとして設計され、イメージングレンズを介して投射されるヘッドランプ用LED光源であって、
前記光バンドは、曲面形状の光バンドからなる下向きビームと、平面形状の光バンドからなる上向きビームとの組み合わせ光源であり、
前記上向きビーム光源は、前記下向きビーム光源の中心に配設されている、
ここで、Aは、イメージングレンズの集光係数であり、Fは、イメージングレンズの焦点距離であり、Lは、投射距離であり、E1は、光バンドの発光ポイントの発光密度であり、E2は、E1の発光点が検出スクリーン上のイメージポイント要求標準に対応する照度であり、光バンド上の発光ポイントの座標公式は、X、Y=実際のイメージポイントの座標/拡大倍率であり、拡大倍率=照明距離/イメージングレンズの焦点距離である、ことを特徴するヘッドランプ用LED光源。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドランプ用LED光源であって、
前記上向きビーム光源として作動する場合に、当該上向きビーム光源に合わせて発光ポイントの発光照度を制御し、
前記下向きビーム光源として作動する場合に、当該下向きビーム光源の中心に配設された前記上向きビーム光源が前記下向きビーム光源の発光照度に合わせて作動するように制御する、
ヘッドランプ用LED光源。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のヘッドランプ用LED光源であって、
前記下向きビームは、複数の前記光バンドを繋いで構成されており、繋ぎ部位に発光死角地帯がなく形成されている、
ヘッドランプ用LED光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種の光源に係り、さらに詳しくは、一種の車両のヘッドランプ用LED光源に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の技術によれば、世界的に開発されたLED車両ヘッドランプのうち、比較的に先進的であり、且つ、実用価値のある構造は、下記のように帰納することができる。
【0003】
1.マルチレンズグループ型
一つの集光レンズと一つのLEDから一つのレンズグループを構成したものであり、一つの光束を投射すれば、スクリーンに一つの光点が照明される。上向きビーム若しくは下向きビームの要求標準によって、要求される照度分布に見合うように多数のレンズグループを通じて生成された光点を結んで光バンドを形成するが、このような構造は体積が大きく、コストが高く、しかも、工程の難易度が高い。
【0004】
2.自由面透光レンズ型
ヘッドランプを一つの集光レンズと一つのLEDから構成するが、光束の投射によって形成された光点が照度の要求標準に見合うように集光レンズの屈折光面をそれ以上回転曲面ではなく、自由曲面に設計したものである。このような構造は非常に高いLED発光密度が求められ、発光密度は、すなわち、発光面上のLm/mm値であって、下向きビームには使用可能であるが、上向きビームには使用し難い。
【0005】
3.半反射鏡−透光レンズ型
このような構造は、透光レンズ型HIDランプと同様であるが、LEDを軸線に沿って切り取った片方のHIDランプとしてのみ使用しないため、下向きビームにしか適用できない。
【0006】
以上の構造は設計概念にLEDが点光源であるという考え方が含まれているため、HIDランプを使用し続ける場合に、結果的に満足のいく結果が得られないことを示唆している。
【0007】
LED光源は典型的な面光源であり、これまで単一のLEDの最高発光密度は100Lm/mmであって、200Lm/mm以上に達することはほとんど不可能である。HIDの発光密度は1000Lm/mm以上であり、ハロゲンランプの発光密度もまた400Lm/mm以上である。
【0008】
このため、前記構造はLEDを光源として使用する構造において、構造が複雑であり、光エネルギーの利用率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した問題点を解決するために本発明は一種のヘッドランプ用LED光源を提供するものであり、省エネ性能に優れており、コストを節減することができ、しかも、光エネルギーの利用率を向上させるところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明のヘッドランプ用LED光源において、前記LED光源は、連続して発光する光バンドであることを特徴とする。
【0011】
光バンドの各ポイント当たりの発光密度の公式は、A×E1×F=E2×Lであり、ここで、Aは、イメージングレンズの集光係数であり、Fは、イメージングレンズの焦点距離であり、Lは、投射距離であり、E1は、光バンド発光ポイントの発光密度であり、E2は、E1の発光店が検出スクリーン上のイメージポイント標準要求に対応する照度である。光バンド上の発光ポイントの座標公式は、X,Y=実際のイメージポイントの座標/拡大倍率であり、拡大倍率=照明距離/集光レンズの焦点距離である。
【0012】
光バンドが下向きビーム光源であるとき、光バンドは曲面である。
【0013】
光バンドは一体型である。
【0014】
光バンドは分離型であり、繋ぎ部位に発光死角地帯がない。
【0015】
光バンドの発散角は60°よりも小さく、且つ、0°よりも大きい。
【0016】
光バンドが上向きビーム光源であるとき、光バンドは平面である。
【0017】
光バンドが下向きビームと上向きビームとの組み合わせ光源であるとき、上向きビーム光源は下向きビーム光源の中心に配設される。
【0018】
下向きビームと上向きビームとの組み合わせ光源であるとき、上向きビーム光源として作動する必要がある場合に上向きビーム光源に合わせて発光ポイントの発光照度を制御し、且つ、下向きビーム光源であるとき、中心の上向きビーム光源が下向きビーム光源の発光照度に合わせて作動するように制御する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、図1に示すように、イメージング原理を用いて光源を面光源である光バンドとして設計することから、構造が簡単であり、ヘッドランプの部品点数が減少してコストが低く、実施し易く、照明効果も良好である。たとえ発光密度が低く、安価であるとしても、容易に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明をヘッドランプ照明に応用した構成図である。
図2】国家標準GB21259−2007規定による下向きビーム照明領域の照度要求図である。
図3】本発明を展開した後、図2に対応付けた照度要求図である。
図4】本発明の形状説明図である。
図5】本発明の分離型説明図である。
図6】国家標準GB21259−2007規定による上向きビーム照明領域の照度要求図である。
図7】本発明の上向きビーム照明を図6に対応付けた光バンドの照度要求図である。
図8】本発明の下向きビームと上向きビームの一体図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例と添付図面を結び付けて本発明の技術方案についてより詳細に説明する。
【0022】
実施例1
本発明によるヘッドランプ用LED光源は、LED光源が連続して発光する光バンドであり、光バンドの各ポイント当たりの発光密度の公式はA×E1×F=E2×Lであり、ここで、Aは、イメージングレンズの集光係数であり、Fは、イメージングレンズの焦点距離であり、Lは、投射距離であり、E1は、光バンド発光ポイントの発光密度であり、E2は、E1の発光点が検出スクリーン上のイメージポイント要求標準に対応する照度である。光バンド上の発光ポイントの座標公式は、X,Y=実際のイメージポイントの座標/拡大倍率であり、拡大倍率=照明距離/イメージングレンズの焦点距離であり、光バンドが下向きビーム光源であるとき、光バンドは曲面であり、光バンドは一体形であり、光バンドの発散角は45°である。照明領域P2部分の照度E2(単位Lx)は光バンド上の共役点P1部分の発光密度E1(単位Lm/mm)と対応する。
【0023】
図2は、25メートル離れている照明領域の検出スクリーンにおいてテストしたものであり、国家標準テストによる各ポイントの照度要求は、表1の通りである。
【0024】
【表1】
【0025】
図2における寸法単位はcmであり、h−hとv−v線は、下向きビームの基準軸線を通過する水平及び垂直面と互いに交差し、各H3−HV−hは、45°である。h−HV−H3−H4は、下向きビーム照明のカットオフラインである。h−hは、上向きビーム照明領域の水平中心線である。aは、図示の寸法が比率に準拠していないことを示すものである。国家標準GB21259−2007規定によれば、表1中のHVのイメージポイントの照度は1Lx未満であり、テストポイント4のイメージポイントの照度は20Lx未満であり、テストポイント5のイメージポイント照度は30Lx未満であり、表1中の残りのテストポイントはいずれも表1の各数値よりも小さくない。
【0026】
イメージングレンズF=40mmを例に取ると、図2に示す照明領域上の検出ポイントを光バンドに対応付けた発光ポイント座標は、図3に示す通りである。
【0027】
図2における検出ポイント3の座標は(50,25)であり、図3に示すように、公式による光バンド上の発光ポイントの座標公式は、X,Y=実際のイメージポイントの座標/拡大倍率、拡大倍率=照明距離/集光レンズの焦点距離である。図3において、v−vとh−hとの交差点の座標を(0,0)としたが、v−v線は光バンドの垂直中心線であり、h−hは水平中心線である。そうすれば、光バンド上の発光ポイント3の座標は、下記の通りである。拡大倍率=25000/40=625、X,Y=(50,−25)/625=(0.8,−0.4)であり、単位はmmである。
【0028】
このように類推すれば、発光ポイント4の座標はX,Y=(−2.4,−0.6)であり、発光ポイント5の座標はX,Y=(−2.4,−1.2)である。発光ポイント6の座標はX,Y=(0,−0.6)である。発光ポイント7の座標はX,Y=(1.2,−0.6)である。発光ポイント8の座標はX,Y=(−6.336,−1.2)である。発光ポイント9の座標はX,Y=(6.336,−1.2)である。発光ポイント10の座標はX,Y=(−10.72,−1.2)である。発光ポイント11の座標はX,Y=(10.72、−1.2)である。発光ポイント12の座標はX,Y=(−14.56,−2)である。発光ポイント13の座標はX,Y=(14.56,−2)である。全体の光バンドの投影長さは29.12mmであり、幅は3.5mmである。
【0029】
光バンド上の各発光ポイントの発光密度は、公式によれば、各ポイント当たりの発光密度の公式は、A×E1×F=E2×Lであって、表2に示す数値を取得することができる。単位はLm/mmであり、イメージングレンズの集光係数Aは0.45である。
【0030】
【表2】
【0031】
取得された発光ポイントは、下記の条件を満たさなければ、国家要求標準を通過することができない。表2における数値は臨界値であり、発光ポイントhvの発光密度は0.86Lm/mm未満であり、発光ポイント4の発光密度は17.4Lm/mm未満であり、発光ポイント5の発光密度は26Lm/mm未満であり、表2中の残りの発光ポイントは、表2中の各数値よりも小さくない。
【0032】
実施例2
実施例1における光バンドは分離型であり、図4及び図5に示すように、8本の光バンドを繋ぎ、且つ、繋ぎ部位に発光死角地帯がなく、光バンドの発散角は55°である。その他は、実施例1と同様である。
【0033】
実施例3
実施例1における光バンドの発散角は、5°である。その他は、実施例1と同様である。
【0034】
実施例4
実施例1における光バンドの発散角は、30°である。その他は、実施例1と同様である。
【0035】
実施例5
実施例1の光バンドが上向きビーム光源であるとき、光バンドは平面であり、国家標準に従い、25メートル離れた照明領域においてテストした。図6中の寸法単位はcmであり、h−hとv−v線は水平中心線と垂直中心線であり、HVは中心であり、HV各側の2つの検出ポイントは、HVとの間隔がそれぞれ112.5cmと225cmである。光バンドの発散角は、50°である。
【0036】
図7に示すように、イメージングレンズF=56mmを例に取ると、図6中の5つの検出ポイントが上向きビーム光バンド上の5つの発光ポイントに対応する座標はそれぞれ(0,0)、(2.5,0)、(5,0)、(−2.5,0)、(−5,0)である。国家標準による5つの検出ポイントの照度は、HVが70−180Lxであり、HV左右両側は40Lxよりも大きく、最外側の両ポイントは10Lxよりも大きい。公式によれば、光バンド上の5つの発光ポイントに対応する発光密度は、下記の通りである。上向きビーム光バンドの発光ポイント(0,0)は31−−80Lm/mmであり、発光ポイント(2.5,0)と(−2.5,0)は18Lm/mmであり、(5,0)と(−5,0)は4.5Lm/mmである。図7における寸法単位はmmである。
【0037】
実施例6
図8に示すように、光バンドが下向きビームと上向きビームとの組み合わせ光源であるとき、上向きビームの光バンドは下向きビーム光バンドの中心に配設される。下向きビームと上向きビームとの組み合わせ光源であるとき、上向きビーム光源として作動する必要がある場合、上向きビーム光源に合わせて発光ポイントの発光照度を制御し、且つ、下向きビーム光源として作動する場合、中心の上向きビーム光源が下向きビーム光源の発光照度に応じて作動するように制御する。h、HV、H3、H4は下向きビームのカットオフラインであり、h、HV、H3、H4の下部領域が下向きビーム照明光源であり、下向きビーム光源要求に合わせて製作する。A、B、C、D以内は、上向きビーム照明領域である。A、B、J、H3、HV、Gは、上向きビーム照明光源と下向きビーム照明光源との重合領域である。カットオフライン、上向きビーム照明領域、下向きビーム照明領域の3つの部分を一緒にパッケージングする。下向きビームをオンにした途端にカットオフラインが現れ、上向きビームをオンにすれば上向きビームと下向きビームが同時に照明される。
【符号の説明】
【0038】
1:光バンド
2:イメージングレンズ
3:照明領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8