特許第6225350号(P6225350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6225350
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】燃料液化システムおよび熱機関システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 31/16 20060101AFI20171030BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20171030BHJP
   F02M 37/22 20060101ALI20171030BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F02M31/16 D
   F02M37/00 P
   F02M37/22 D
   F01N5/02 H
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-87071(P2017-87071)
(22)【出願日】2017年4月26日
【審査請求日】2017年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516202176
【氏名又は名称】株式会社G−Bioイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 隆
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−083742(JP,A)
【文献】 特開2000−160171(JP,A)
【文献】 特開2012−233467(JP,A)
【文献】 実開平04−093750(JP,U)
【文献】 特開昭63−085250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 31/16
F01N 5/02
F02M 37/00
F02M 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で少なくとも一部が固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムであって、
常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンクに着脱可能に取り付けられて、前記輸送タンク内の燃料に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を回収する輸送タンク取り付け部と、
前記輸送タンク取り付け部に接続されて、前記輸送タンク取り付け部に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を前記輸送タンク取り付け部から回収する燃料循環配管と、
前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱して前記融点よりも高温に加熱された液体状の燃料を生成する燃料加熱器と、
前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を貯留するサブタンクと、
を有すること、を特徴とする燃料液化システム。
【請求項2】
前記輸送タンク取り付け部は、前記高温の液体状の燃料を加速して前記輸送タンク内に噴射する噴射ノズルを備えていること、を特徴とする請求項1に記載の燃料液化システム。
【請求項3】
前記燃料加熱器は、熱機関の排熱を利用して前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱するものであること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料液化システム。
【請求項4】
前記燃料加熱器は、熱機関の冷却水の排熱を利用して前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱するものであること、を特徴とする請求項3に記載の燃料液化システム。
【請求項5】
前記燃料加熱器は、熱機関の排ガスの排熱を利用して前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱するものであること、を特徴とする請求項3または請求項4に記載の燃料液化システム。
【請求項6】
前記サブタンク内に貯留された前記液体状の燃料を加熱するサブタンク加熱器をさらに有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の燃料液化システム。
【請求項7】
前記輸送タンク取り付け部は、
前記燃料循環配管から供給される液体状の燃料と前記輸送タンク内の液体状の燃料とを撹拌させる撹拌機を備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の燃料液化システム。
【請求項8】
前記燃料はパームオイルであって、
前記熱機関はディーゼルエンジンであること、
を特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の燃料液化システム。
【請求項9】
常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンク内に貯蔵された燃料を加熱して液化する燃料液化システムと、
前記燃料液化システムにより液体状になった前記輸送タンク内の燃料を回収して貯留するストレージタンクと、
前記ストレージタンク内に貯留された液体状の燃料を燃焼させる熱機関と、
を備えた熱機関システムであって、
前記燃料液化システムは、
常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンクに着脱可能に取り付けられて、前記輸送タンク内の燃料に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を回収する輸送タンク取り付け部と、
前記輸送タンク取り付け部に接続されて、前記輸送タンク取り付け部に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を前記輸送タンク取り付け部から回収する燃料循環配管と、
前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱して前記融点よりも高温に加熱された液体状の燃料を生成する燃料加熱器と、
前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を貯留するサブタンクと、
を有すること、を特徴とする熱機関システム。
【請求項10】
前記燃料加熱器は、前記熱機関の排熱を利用して、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱するものであること、を特徴とする請求項9に記載の熱機関システム。
【請求項11】
前記ストレージタンク内に貯留された前記液体状の燃料を前記熱機関の排熱を利用して加熱するストレージタンク加熱器をさらに有すること、を特徴とする請求項10に記載の熱機関システム。
【請求項12】
前記ストレージタンク内に貯留された液化された燃料を前記熱機関に燃料として供給する燃料供給ポンプをさらに有すること、を特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の熱機関システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムおよびそれを利用した熱機関システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、パーム油などのバイオ燃料をディーゼルエンジンなどの熱機関の燃料として利用して発電を行うことが検討されている。ここで、パーム油などは、輸送タンクに入れられて輸送され、熱機関などの燃料として利用される。パーム油などは、輸送タンクに入れられるときは加熱されて液体状態であるが、輸送中に放熱し、ほぼ常温になると、ほぼ固体状態になる。このため、熱機関などの燃料として利用するに際して、固体状態の燃料を加熱して液化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−234512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸送タンクに入れられて固体状になっているパーム油などの燃料を加熱して液化するにあたり、輸送タンクの外側から加熱する場合、伝熱面積を大きくとることが困難であり、伝熱効率がよくない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムおよびそれを利用した熱機関システムにおける効率向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料液化システムは、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムであって、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンクに着脱可能に取り付けられて、前記輸送タンク内の燃料に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を回収する輸送タンク取り付け部と、前記輸送タンク取り付け部に接続されて、前記輸送タンク取り付け部に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を前記輸送タンク取り付け部から回収する燃料循環配管と、前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱して前記融点よりも高温に加熱された液体状の燃料を生成する燃料加熱器と、前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を貯留するサブタンクと、を有すること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る熱機関システムは、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンク内に貯蔵された燃料を加熱して液化する燃料液化システムと、前記燃料液化システムにより液体状になった前記輸送タンク内の燃料を回収して貯留するストレージタンクと、前記ストレージタンク内に貯留された液体状の燃料を燃焼させる熱機関と、を備えた熱機関システムであって、前記燃料液化システムは、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンクに着脱可能に取り付けられて、前記輸送タンク内の燃料に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を回収する輸送タンク取り付け部と、前記輸送タンク取り付け部に接続されて、前記輸送タンク取り付け部に融点よりも高温に加熱され液体状の燃料を供給し、前記輸送タンク内の液体状の燃料の一部を前記輸送タンク取り付け部から回収する燃料循環配管と、前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を加熱して前記融点よりも高温に加熱された液体状の燃料を生成する燃料加熱器と、前記燃料循環配管に接続されて、前記燃料循環配管を循環する液体状の燃料を貯留するサブタンクと、を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、常温で少なくとも一部が固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムおよびそれを利用した熱機関システムにおいて効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。
図2】第1の実施形態に係る燃料液化システムにおける輸送タンク取り付け部を模式的に示す縦断面図であり、図3のII−II線矢視図である。
図3】第1の実施形態に係る燃料液化システムにおける輸送タンク取り付け部を模式的に示す横断面図であり、図2のIII−III線矢視図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムについて説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、第1の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。
【0012】
ここでは、たとえば、発電用のディーゼルエンジン(熱機関)11の燃料としてパーム油を用いる場合について説明する。パーム油は常温でほぼ固体であって、輸送タンク12に収容されて搬送され、ディーゼルエンジン11の近傍に配置された輸送タンク設置台70に着脱可能に設置される。輸送タンク12は、たとえば、国際基準(ISO規格)に基づくISOタンクである。
【0013】
ディーゼルエンジン11の冷却のための冷却水を循環する冷却水循環配管13が設けられている。冷却水循環配管13には、熱交換器(燃料加熱器)14、放熱器15、冷却水循環ポンプ16が接続されている。ディーゼルエンジン11を出た高温の冷却水は、熱交換器14、放熱器15で順次放熱し、低温になった冷却水は冷却水循環ポンプ16で昇圧されてディーゼルエンジン11に戻されるように構成されている。
【0014】
燃料液化システムは、燃料循環配管20と、輸送タンク取り付け部21と、サブタンク22と、燃料循環ポンプ23とを備えている。
【0015】
輸送タンク取り付け部21は、輸送タンク設置台70に設置された輸送タンク12に着脱可能に取り付けられるものであり、その詳細については、図2および図3を参照して後述する。燃料循環配管20は、液化した燃料を循環するものである。
【0016】
液化した燃料は、熱交換器14でディーゼルエンジン11の冷却水からの排熱によって加熱されて高温になり、燃料循環配管20を経て輸送タンク取り付け部21に送られる。輸送タンク取り付け部21で、高温の燃料により、輸送タンク12内の固体状態または液体状態の燃料に熱が加えられ、輸送タンク12内の燃料の液化が進められる。輸送タンク12内の比較的低温の液体状態の燃料は、燃料循環配管20を経てサブタンク22に送られてサブタンク22に貯留し、さらに、燃料循環配管20を経て燃料循環ポンプ23に送られて昇圧され、熱交換器14に戻される。
【0017】
輸送タンク設置台70に設置された輸送タンク12の下部には、燃料回収配管30を介してストレージタンク24が接続されている。燃料回収配管30には燃料回収弁30aおよび燃料回収ポンプ75が設けられている。ストレージタンク24は、燃料供給配管32を経てディーゼルエンジン11に接続されて、ストレージタンク24内の燃料がディーゼルエンジン11の燃料として供給できるようになっている。燃料供給配管32には燃料供給ポンプ33が接続されている。
【0018】
図1において、燃料が流れる配管は実線で示し、冷却水が流れる配管は破線で示している。
【0019】
図1において、放熱器15は、大気や海水などを冷熱源として冷却水の熱を放出して冷却水の温度を低下させるためのものである。
【0020】
つぎに、図2および図3を参照しながら、第1の実施形態に係る燃料液化システムにおける輸送タンク取り付け部21の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る燃料液化システムにおける輸送タンク取り付け部を模式的に示す縦断面図であり、図3のII−II線矢視図である。図3は、第1の実施形態に係る燃料液化システムにおける輸送タンク取り付け部を模式的に示す横断面図であり、図2のIII−III線矢視図である。なお、図2および図3において、矢印38は燃料の流れの方向を示している。
【0021】
輸送タンク取り付け部21は、輸送タンク12の頂部に形成された開口部から輸送タンク12内に上方から挿入されるものである。輸送タンク取り付け部21は、攪拌機48と、2本の燃料吐出管41と、2本の燃料吸込み管42とを有する。
【0022】
攪拌機48は、上下方向に延びる攪拌機駆動ロッド40と、電動機45と、攪拌体46とを有する。電動機45は、攪拌機駆動ロッド40の上端に取り付けられ、攪拌機駆動ロッド40を回転駆動する。攪拌体46は、上下方向を軸とするほぼ円柱状であって、攪拌機駆動ロッド40の下端に取り付けられ、攪拌機駆動ロッド40によって回転駆動される。攪拌体46の下端中央には吸込み口50が形成され、攪拌体46の周囲に沿って複数の吐出口51が形成され、吸込み口50と吐出口51は攪拌体46内で連通している。攪拌体46が攪拌機駆動ロッド40によって回転駆動されると、攪拌体46内の液体燃料が遠心力を受けることにより、吐出口51から吐出され、外部の液体燃料が吸込み口50から攪拌体46内に流入し、攪拌体46の周りの液体燃料が撹拌されるように構成されている。
【0023】
2本の燃料吐出管41は、攪拌機駆動ロッド40をはさんで攪拌機駆動ロッド40に平行に延び、2本の燃料吸込み管42は、攪拌機駆動ロッド40をはさんで攪拌機駆動ロッド40に平行に延びている。
【0024】
燃料吐出管41の上端は燃料循環配管20の熱交換器14下流側に接続され、燃料吸込み管42の上端は燃料循環配管20のサブタンク22上流側に接続されている。2本の燃料吐出管41それぞれの下端には、流速を増すための噴射ノズル43が取り付けられていて、2個の噴射ノズル43は互いに反対側に向けられている。2本の燃料吸込み管42それぞれの下端には、吸込みノズル44が取り付けられていて、2個の吸込みノズル44は互いに反対側に向けられ、各噴射ノズル43と各吸込みノズル44は互いに直角方向に向けられている。
【0025】
(運用)
上記構成の燃料液化システムを含めた熱機関システムの運用について説明する。輸送タンク12内に燃料を充填した状態で、輸送タンク12を、ディーゼルエンジン11の近くに設置された輸送タンク設置台70に設置する。輸送タンク12内の燃料は、通常、燃料の産地で輸送タンク12内に充填したときは液体状態であるが、燃料液化システムの位置まで輸送される間に放熱されてほぼ固体状態になっている。ただし、輸送タンク12内の燃料の一部が液体状態のままであってもよい。
【0026】
輸送タンク12を輸送タンク設置台70に設置した後に、輸送タンク12上部の開口から輸送タンク取り付け部21を上方から挿入して、これを仮に固定する。また、輸送タンク12の下部に燃料回収配管30を接続する。そのとき、燃料回収弁30aは閉じておく。その後、ディーゼルエンジン11の冷却水の熱を熱源として、熱交換器14で燃料を加熱し、高温の液体状の燃料を燃料吐出管41から輸送タンク12内に送り込む。輸送タンク12内の比較的低温の液体状の燃料は、燃料吸込み管42からサブタンク22に送られ、燃料循環ポンプ23で昇圧されて熱交換器14に戻る。
【0027】
燃料吐出管41の先端に噴射ノズル43が取り付けられていることから、燃料吐出管41から供給される高温の液体状の燃料が輸送タンク12内で勢いよく流れ、輸送タンク12内の液体燃料の混合が促進され、固体燃料の液化が促進される。また、輸送タンク取り付け部21に攪拌機48が含まれていることから、この攪拌機48によっても輸送タンク12内の液体燃料の混合が促進され、固体燃料の液化が促進される。
【0028】
輸送タンク12内の燃料全体が液化したとき、燃料回収弁30aを開き、燃料回収ポンプ75を動作させて、輸送タンク12内の燃料をストレージタンク24に移送する。
【0029】
輸送タンク12内が空になった後に、その空の輸送タンク12を輸送タンク設置台70から撤去し、固体燃料が充填された別の輸送タンク12を輸送タンク設置台70に設置する。その後は、上記固体燃料の液化の手順を繰り返す。
【0030】
ストレージタンク24内に液体状の燃料を常時貯留することにより、輸送タンク12の交換時も含めて、連続的にディーゼルエンジン11に燃料を供給することができる。
【0031】
また、サブタンク22内に液体状の燃料を常時貯留することにより、輸送タンク12の交換後直ちに高温の液体状の燃料を燃料吐出管41に供給することができる。
【0032】
放熱器15が設けられていることから、燃料液化に必要な熱の量の変動によらず、ディーゼルエンジン11の冷却水の温度を、ディーゼルエンジン11を冷却するために必要な温度範囲に制御することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。この実施形態では、サブタンク22内にサブタンク加熱器61が配置され、ストレージタンク24内にストレージタンク加熱器62が配置されている。熱交換器14を通った冷却水が、放熱器15へ送られる前に、サブタンク加熱器61に導かれ、さらに、ストレージタンク加熱器62に導かれ、その後に放熱器15へ送られるように構成されている。
【0034】
上記以外の構成は第1の実施形態と同様である。
【0035】
この実施形態によれば、サブタンク22内の燃料およびストレージタンク24内の燃料が、ディーゼルエンジン11の冷却水の排熱によって加熱され、サブタンク22およびストレージタンク24内に貯蔵された燃料が放熱によって固化するのを防ぐことができる。
【0036】
また、この実施形態によれば、第1の実施形態の作用・効果を得ることができるのはもちろんである。
【0037】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る燃料液化システムを含めた熱機関システムを示す全体系統図である。この実施形態は第1の実施形態の変形であって、燃料循環配管20を循環する燃料の加熱源として、ディーゼルエンジン11の冷却水の排熱を用いる代わりに、ディーゼルエンジン11の排ガスを熱源とする。
【0038】
図5に示すように、ディーゼルエンジン11の排ガスダクト80内に排ガス熱回収ボイラ81が設置されている。排ガス熱回収ボイラ81で得られた蒸気は、水/蒸気配管82を循環し、熱交換器(燃料加熱器)83で、燃料循環配管20内を循環する燃料を加熱する。熱交換器83で蒸気の全部または一部は凝縮し、放熱器84でさらに放熱して低温の水になる。放熱器84を出た水は循環ポンプ85で昇圧されて排ガス熱回収ボイラ81に戻される。図5で、排ガス熱回収ボイラ81に供給される水およびそこで得られる蒸気の流れる水/蒸気配管82を一点鎖線で示す。
【0039】
上記以外の構成は第1の実施形態と同様である。なお、この第3の実施形態において、ディーゼルエンジン11を冷却するために、冷却水循環配管13に放熱器15(図1参照)などが接続されているが、図5では冷却水循環配管13の系統の図示は省略している。
【0040】
この第3の実施形態によれば、ディーゼルエンジン11の排ガスを熱源として固体燃料の液化を行うことができる。この場合は、ディーゼルエンジン11の冷却水を熱源とする第1および第2の実施形態よりも高温の熱源として利用することができる。
【0041】
(他の実施形態)
上記説明では、燃料吐出管41と燃料吸込み管42がそれぞれ2本あるとしたが、それぞれ、1本または3本以上あってもよい。また、燃料吐出管41と燃料吸込み管42をそれぞれ1本として、それぞれの下端で分岐させて、噴射ノズル43および吸込みノズル44をそれぞれ複数個としてもよい。
【0042】
また、上記説明では、輸送タンク取り付け部21が攪拌機48を有するものとしたが、輸送タンク取り付け部21が攪拌機48を持たず、燃料吐出管41と燃料吸込み管42を通じて燃料を循環し攪拌するだけのものであってもよい。
【0043】
上記説明では、1個の輸送タンク12に1個の輸送タンク取り付け部21を取り付けるものとしたが、1個の輸送タンク12に2個以上の輸送タンク取り付け部21を取り付けてもよい。それにより、より短時間で輸送タンク12内の燃料の液化を行うことができる。
【0044】
上記説明では、熱機関としてディーゼルエンジン11を例にとったが、ディーゼルエンジンに限らず、ガスタービンや蒸気タービンを用いた熱機関に適用することもできる。
【0045】
上記第3の実施形態では、第1の実施形態の熱源をディーゼルエンジン11の排ガスに置き換えるものとしたが、第2の実施形態の熱源をディーゼルエンジン11の排ガスに置き換えることもできる。
【0046】
さらに、第1または第2の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴との組合せ、すなわち、ディーゼルエンジン11の冷却水から得る熱とディーゼルエンジン11の排ガスから得る熱の両方を、燃料循環配管20を循環する燃料の加熱源として利用するシステムとすることもできる。
【0047】
上記実施形態の説明では、燃料加熱器14、83として、熱機関の排熱を利用するものを例示したが、熱機関の排熱を利用するものに限定されることはなく、たとえば、熱機関とは別の熱源として燃焼器を備えたボイラや電気ヒータを用いてもよい。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
11…ディーゼルエンジン(熱機関)、 12…輸送タンク、 13…冷却水循環配管、 14…熱交換器(燃料加熱器)、 15…放熱器、 16…冷却水循環ポンプ、 20…燃料循環配管、 21…輸送タンク取り付け部、 22…サブタンク、 23…燃料循環ポンプ、 24…ストレージタンク、 30…燃料回収配管、 30a…燃料回収弁、 32…燃料供給配管、 33…燃料供給ポンプ、 40…攪拌機駆動ロッド、 41…燃料吐出管、 42…燃料吸込み管、 43…噴射ノズル、 44…吸込みノズル、 45…電動機、 46…攪拌体、 48…攪拌機、 50…吸込み口、 51…吐出口、 61…サブタンク加熱器、 62…ストレージタンク加熱器、 70…輸送タンク設置台、 75…燃料回収ポンプ、 80…排ガスダクト、 81…排ガス熱回収ボイラ、 82…水/蒸気配管、 83…熱交換器、 84…放熱器、 85…循環ポンプ
【要約】
【課題】固体状の燃料を加熱して液化する燃料液化システムおよびそれを利用した熱機関システムにおける効率向上を図る。
【解決手段】燃料液化システムは、固体状の燃料を貯蔵して輸送する輸送タンク12に取り付けられて輸送タンク12内の燃料に高温の液体状の燃料を供給し輸送タンク12内の液体状の燃料の一部を回収する輸送タンク取り付け部21と、輸送タンク取り付け部21に接続されて輸送タンク取り付け部21に高温の液体状の燃料を供給し輸送タンク12内の液体状の燃料を輸送タンク取り付け部21から回収する燃料循環配管20と、燃料循環配管20に接続されて液体状の燃料を加熱する燃料加熱器14と、燃料循環配管20を循環する液体状の燃料を貯留するサブタンク22と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5