特許第6225496号(P6225496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6225496カラーフィルター基板、液晶装置、固体受光素子、及びカラーフィルター基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225496
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】カラーフィルター基板、液晶装置、固体受光素子、及びカラーフィルター基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20171030BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G02F1/1335 505
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-121578(P2013-121578)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-238528(P2014-238528A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】矢野 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】米窪 政敏
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−507507(JP,A)
【文献】 特開平11−223798(JP,A)
【文献】 特表平10−501631(JP,A)
【文献】 特開平08−292428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の基板と、
入射光のうち第1の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第1の誘電体層と、
前記入射光のうち前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第2の誘電体層と、
前記入射光のうち前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第3の誘電体層と、を備え、
前記第2の誘電体層は、エッチングストップ層を含み、
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層とが積層された第1領域と、
前記第1の誘電体層と前記第3の誘電体層と前記第2の誘電体層の前記エッチングストップ層の少なくとも一部とが積層された第2領域とが、
前記基板上に配列され
前記エッチングストップ層は、
前記第1領域において、前記第2の誘電体層の最も前記第1の誘電体層側に位置し、かつ、
前記第2領域において、前記第1の誘電体層と前記第3の誘電体層との間に位置していることを特徴とするカラーフィルター基板。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域とに加え、前記第2の誘電体層と前記第3の誘電体層とが積層された第3領域とが、
前記基板上に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター基板。
【請求項3】
前記第2領域の前記エッチングストップ層は、前記第1領域の前記エッチングストップ層よりも膜厚が薄いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルター基板。
【請求項4】
前記エッチングストップ層は、酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のカラーフィルター基板。
【請求項5】
前記第2の誘電体層は、酸化チタンと酸化シリコンとの交互層を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のカラーフィルター基板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載のカラーフィルター基板と、
前記カラーフィルター基板に対して対向配置された素子基板と、
前記カラーフィルター基板と前記素子基板との間に保持された液晶層と、
を備えたことを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5に記載のカラーフィルター基板を備えたことを特徴とする固体受光素子。
【請求項8】
請求項1に記載のカラーフィルター基板を用いたカラーフィルター基板の製造方法であって、
前記透光性の基板上に前記第1の誘電体層を成膜する第1の成膜工程と、
前記第2の誘電体層を前記第1の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第2領域上の前記第2の誘電体層を前記第2の誘電体層の前記エッチングストップ層の少なくとも一部が残るように除去する第2の加工工程と、
前記第3の誘電体層を前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第1領域上の前記第3の誘電体層を除去する第3の加工工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルター基板の製造方法。
【請求項9】
請求項2に記載のカラーフィルター基板を用いたカラーフィルター基板の製造方法であって、
前記透光性の基板上に前記第1の誘電体層を成膜した後、少なくとも前記第3領域上の前記第1の誘電体層を除去する第1の加工工程と、
前記第2の誘電体層を前記第1の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第2領域上の前記第2の誘電体層を前記第2の誘電体層の前記エッチングストップ層の少なくとも一部が残るように除去する第2の加工工程と、
前記第3の誘電体層を前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第1領域上の前記第3の誘電体層を除去する第3の加工工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルター基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター基板、及び当該カラーフィルター基板を備えた液晶装置、特にプロジェクターに用いられる固体受光素子、及びカラーフィルター基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルター基板としては、吸収型の色素を、透光性の基板上の2次元に区切られた領域に塗布形成したものが用いられている。色素は、特定の波長範囲の光を選択的に透過し、遮断する波長範囲の光を吸収する特性であるため、プロジェクターや屋外の太陽光など強い光が入射する場合には吸収した光のエネルギーによる温度上昇や色素自身の光学特性劣化が問題となる。
【0003】
一方、特定の波長範囲の光を選択的に透過する特性は、光の干渉を利用した誘電体多層膜でも実現することができる。例えば、特許文献1に記載のように、遮断する波長範囲の光は反射するため、吸収による温度上昇を避けることができる。また、誘電体多層膜は、金属酸化物あるいはフッ化物であるため、熱や光に対して安定した光学特性とすることができる。さらに誘電体多層膜は、構成する層数と各層の屈折率、膜厚により透過や反射の波長分光特性を自由に設計することが可能である。したがって、誘電体多層膜を透光性の基板上の2次元に区切られた領域に形成することにより、強い光に耐えられるカラーフィルター基板とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−15420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、誘電体多層膜においてカラーフィルターに必要な分光透過率特性を得るためには、阻止する波長範囲において反射率を高めるために多くの層数、また合計した膜厚も大きい誘電体多層膜が必要となるため、10層以上(望ましくは30層以上)で総膜厚が2ミクロン(3ミクロン)以上必要であり、さらに各領域内で均一な膜厚の多層膜を精度良く作りこむ困難がある。
【0006】
具体的には、最初の膜は、平坦な基板上に均一に成膜し、ドライエッチングやリフトオフ法で精密にパターニングすることが可能であるが、2番目以降の膜は、先に膜をつけた領域の境界部で膜厚分の段差が生じ、成膜時の膜厚の不均一、すなわち、透過する光の分光透過率特性が乱れるなど色ムラ部分が生じてしまう。
【0007】
特に近年の固体撮像素子や透過型液晶ライトバルブにおいては、1画素(1領域)のピッチが10μm以下という高精細になってきており、膜厚分の段差の影響が大きく、画素間の間隔をひろげて開口率が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係るカラーフィルター基板は、透光性の基板と、入射光のうち第1の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第1の誘電体層と、前記入射光のうち前記第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第2の誘電体層と、前記入射光のうち前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲の光を反射させる誘電体多層膜からなる第3の誘電体層と、を備え、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層とが積層された第1領域と、前記第1の誘電体層と前記第3の誘電体層とが積層された第2領域とが、前記基板上に配列されていることを特徴とする。
【0010】
本適用例によれば、第1の誘電体層が共通で構成されるため、第2の誘電体層、第3の誘電体層の部分のみをそれぞれ第1領域および第2領域に作り分けることでカラーフィルター基板を形成できる。これにより、各領域において作り分ける成膜厚さを小さくすることができ、作り分け時に生じる各領域境界での段差を小さくすることができる。段差が小さい場合には次の工程での段差に起因する膜厚の不均一を低減することができ、第1領域、第2領域内での色ムラを低減できる。従って、高精細で隣接した各画素領域内において色ムラが少ないカラーフィルター基板を提供することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係るカラーフィルター基板において、前記第1領域と前記第2領域とに加え、前記第2の誘電体層と前記第3の誘電体層とが積層された第3領域とが、前記基板上に配列されていることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、第1領域と第2領域においては第1の誘電体層が共通であり、第1領域と第3領域においては第2の誘電体層が共通であり、第2領域と第3領域においては第3の誘電体層が共通となる構成のため、各領域は第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層の部分を3回作り分けることで形成できる。これにより、1回の作り分けにおける成膜厚さを小さく、1回の作り分けにおける各領域境界での段差を小さくすることができる。このため、次の成膜時に各領域境界の段差に起因する膜厚の不均一を小さくすることができ、第1領域、第2領域、第3領域内での色ムラを低減できる。従って、高精細で隣接した各画素領域内において色ムラが少ない3色に作り分けられたカラーフィルター基板を提供することができる。
【0013】
[適用例3]本適用例に係る液晶装置は、前記カラーフィルター基板に対して対向配置された素子基板と、前記カラーフィルター基板と前記素子基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、液晶装置に強い光が照射されるような条件下でも、カラーフィルターによる光吸収による発熱を少なくすることができる。したがって、プロジェクター等に単板で用いることが可能な液晶装置を実現できる。また、カラーフィルターで透過しない波長の光は反射して光源側に戻るため、光源側に光を再反射する光学部品を置くことで、光の再利用をすることができ、光源の光の利用効率を高めることも可能になる。
【0015】
[適用例4]本適用例に係る固体受光素子は、上記に記載のカラーフィルター基板を備えたことを特徴とする。
【0016】
本適用例によれば、強い光が照射されるような条件下でも、光吸収による発熱が少ないため、高精細で色ムラが少なく、耐光性に優れた固体受光素子を実現できる。
【0017】
[適用例5]本適用例に係るカラーフィルター基板の製造方法は、上記のカラーフィルター基板を用いたカラーフィルター基板の製造方法であって、前記透光性の基板上に前記第1の誘電体層を成膜する第1の成膜工程と、前記第2の誘電体層を前記第1の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第2領域上の前記第2の誘電体層を除去する第2の加工工程と、前記第3の誘電体層を前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第1領域上の前記第3の誘電体層を除去する第3の加工工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
本適用例によれば、第1の誘電体層は、第1領域と第2領域において共通となるため、1回成膜するだけで良く、第2及び第3の加工工程において除去する誘電体層の厚さが第1領域と第2領域に必要な総膜厚に比較して小さくてすむため、生産性に優れたカラーフィルター基板の製造方法とすることが出来る。
【0019】
[適用例6]本適用例に係るカラーフィルター基板の製造方法は、上記のカラーフィルター基板を用いたカラーフィルター基板の製造方法であって、前記透光性の基板上に前記第1の誘電体層を成膜した後、少なくとも前記第3領域上の前記第1の誘電体層を除去する第1の加工工程と、前記第2の誘電体層を前記第1の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第2領域上の前記第2の誘電体層を除去する第2の加工工程と、前記第3の誘電体層を前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層の上に成膜した後、少なくとも前記第1領域上の前記第3の誘電体層を除去する第3の加工工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本適用例によれば、第1の誘電体層、第2の誘電体層および第3の誘電体層は共通となるため、それぞれ1回成膜するだけで良く、第1の加工工程、第2の加工工程及び第3の加工工程において除去する誘電体層の厚さが小さくてすむため、生産性に優れたカラーフィルター基板の製造方法とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るカラーフィルター基板の製造方法を工程順に示す模式断面図。
図2】第2実施形態に係るカラーフィルター基板の製造方法を工程順に示す模式断面図。
図3】第2実施形態に係るカラーフィルター基板の分光透過率のグラフ。
図4】誘電体膜の層構成を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0023】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0024】
(第1実施形態)
<カラーフィルター基板の構成、及び製造方法>
図1は、第1実施形態に係るカラーフィルター基板の構成、及びカラーフィルター基板の製造方法を工程順に示す模式断面図である。図4は、誘電体膜の層構成を示す図表である。以下、カラーフィルター基板の製造方法、及び誘電体膜の層構成を、図1及び図4を参照しながら説明する。
【0025】
図1(a)に示すように、カラーフィルター基板1000は、基板100として、例えば、石英ガラスが用いられる。基板100の表面を洗浄した後、第1の誘電体層10をイオンアシスト蒸着法にて成膜する。その後、第1の誘電体層10の上面にレジストパターン20を形成する。
【0026】
図1(b)に示す工程では、レジストパターン20の開口部の第1の誘電体層10をエッチングして除去する。その後、レジストパターン20を剥離する。
【0027】
図1(c)に示す工程では、第2の誘電体層30、レジストパターン40を順に形成する。図1(d)に示す工程では、レジストパターン40の開口部の第2の誘電体層30をエッチング除去する。その後、レジストパターン40を剥離する。
【0028】
図1(e)に示す工程では、第3の誘電体層50、レジストパターン60を順に形成する。図1(f)に示す工程では、レジストパターン60の開口部の第3の誘電体層50をエッチング除去する。その後、レジストパターン60を除去する。
【0029】
第1の誘電体層10の膜構成は、図4の誘電体膜1に示すように、基板側第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる18層とした。
【0030】
第2の誘電体層30の膜構成は、図4の誘電体膜2に示すように、第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる20層とした。
【0031】
第3の誘電体層50の膜構成は、図4の誘電体膜3に示すように、第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる19層とした。
【0032】
エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)にて行った。得られた透過する光の波長が異なる微細な2領域を備えるカラーフィルター基板1000は、2色のカラーフィルターとして使用出来るとともに、さらに誘電体層が形成されていない領域に耐光性に優れた青透過色素を塗布して3色のカラーフィルターとすることが出来る。
【0033】
以上詳述したように、第1実施形態のカラーフィルター基板1000、及びカラーフィルター基板1000の製造方法によれば、以下に示す効果が得られる。
【0034】
(1)第1実施形態のカラーフィルター基板1000、及びカラーフィルター基板1000の製造方法によれば、誘電体多層膜の膜厚による段差に起因する、各画素領域内での色ムラを少なくすることができる。
【0035】
(第2実施形態)
<カラーフィルター基板の構成、及び製造方法>
図2は、第2実施形態に係る、カラーフィルター基板の構成、及びカラーフィルター基板の製造方法を工程順に示す模式断面図である。図3は、第2実施形態に係るカラーフィルター基板の分光透過率のグラフである。図4は、誘電体膜の層構成を示す図表である。以下、カラーフィルター基板の製造方法、光透過率、及び誘電体膜の層構成を、図2図4を参照しながら説明する。
【0036】
図2(a)に示すように、第2実施形態のカラーフィルター基板2000は、第1実施形態と同様に、基板100として、例えば、石英ガラスが用いられる。基板100の表面を洗浄した後、第1の誘電体層10をイオンアシスト蒸着法にて成膜する。その後、第1の誘電体層10の上面にレジストパターン20を形成する。
【0037】
図2(b)に示す工程では、レジストパターン20の開口部の第1の誘電体層10をエッチングして除去する。その後、レジストパターン20を剥離する。
【0038】
図2(c)に示す工程では、第2の誘電体層30、レジストパターン40を順に形成する。図2(d)に示す工程では、レジストパターン40の開口部の第2の誘電体層30をエッチング除去する。その後、レジストパターン40を剥離する。
【0039】
図2(e)に示す工程では、第3の誘電体層50、レジストパターン60を順に形成する。図2(f)に示す工程では、レジストパターン60の開口部の第3の誘電体層50をエッチング除去する。その後、レジストパターン60を除去する。
【0040】
第1の誘電体層10の膜構成は、図4の誘電体膜1に示すように、基板側第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる18層とした。
【0041】
第2の誘電体層30の膜構成は、図4の誘電体膜2に示すように、第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる20層とした。
【0042】
第3の誘電体層50の膜構成は、図4の誘電体膜3に示すように、第1層をエッチングストップ層となるAl23とし、その上にTiO2とSiO2の交互層からなる19層とした。エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)にて行った。
【0043】
図3に示す、カラーフィルター基板の分光透過率グラフは、第1領域の透過率曲線が70、第2領域の透過率曲線が80、第3領域の透過率曲線が90である。得られた透過する光の波長が異なる微細な3領域を備えるカラーフィルター基板2000は3色のカラーフィルターとして使用することが出来る。
【0044】
以上詳述したように、第2実施形態のカラーフィルター基板2000、及びカラーフィルター基板2000の製造方法によれば、以下に示す効果が得られる。
【0045】
(2)第2実施形態のカラーフィルター基板2000、及びカラーフィルター基板2000の製造方法によれば、第1実施形態の効果に加えて、すべての領域が誘電体多層膜で構成されたことにより、極めて耐光性に優れたものを、第1実施形態と同じ加工工程数で実現することが出来る。
【0046】
なお、本発明の態様は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の態様の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
【0047】
(変形例1)
上記したように、第1実施形態及び第2実施形態において反応性イオンエッチングにより誘電体層を除去したが、ウェットエッチングを適用することも出来る。誘電体膜の材料は使用する波長で透明なものであれば、例えば、MgF2、ZrO2、HfO2、Nb25、Ta25等の他の材料を選択することができる。領域の作り分けにおいては、誘電体層上面にレジストパターンを形成してエッチングする方法の変わりに、レジストパターンを除去したい誘電体層の下部に形成しておいてレジストとともに誘電体層を除去するリフトオフ法を使用しても良い。
【0048】
(変形例2)
上記したカラーフィルター基板1000,2000を、液晶装置に備えるようにしてもよい。また、プロジェクターに用いられる固体受光素子に、上記カラーフィルター基板1000,2000を搭載するようにしてもよい。これによれば、耐光性に優れ、表示品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10…第1の誘電体層、20,40,60…レジストパターン、30…第2の誘電体層、50…第3の誘電体層、70…第1領域の透過率曲線、80…第2領域の透過率曲線、90…第3領域の透過率曲線、100…基板、1000,2000…カラーフィルター基板。
図1
図2
図3
図4