(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態に係るプロジェクターは、スクリーン(被投射面)上にカラー映像(画像)を表示する投射型画像表示装置である。本実施形態に係るプロジェクターは、照明装置の光源として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザー(LD)などのレーザー光源を用いている。
【0017】
(プロジェクター)
プロジェクターの構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
【0018】
図1に示すように、プロジェクター1は、光源ユニット100と、光変調装置200と、投射光学系300と、を備える。プロジェクター1において、光源ユニット100、光変調装置200、及び投射光学系300が配置されている軸を光軸axとする。なお、以下の説明においてXYZ直交座標系を用いて説明する場合もある。この場合において、Y方向とはプロジェクターの上下方向に相当するものであり、X方向とは光軸axと平行な方向である。
【0019】
光変調装置200は、例えば1枚のカラー液晶表示パネルを用いた単板式の液晶光変調装置である。このような単板式の液晶光変調装置を採用することによって、プロジェクター1の小型化が図られている。そして、光変調装置200は、光源ユニット100からの照明光を画像情報に応じて変調して画像光を形成する。
【0020】
光変調装置200の光源ユニット100と対向する面側には、光入射側偏光板201aが設けられている。また、光変調装置200の投射光学系300と対向する面側には、光出射側偏光板201bが設けられている。光入射側偏光板201a及び光出射側偏光板201bは、互いの偏光軸が直交している。
【0021】
投射光学系300は、投射レンズからなり、光変調装置200により変調された画像光をスクリーンSCRに向かって拡大投射する。なお、この投射光学系を構成するレンズの枚数については、1枚であっても複数枚であってもよい。
【0022】
(光源ユニット)
続いて、光源ユニット100の具体的な構成について説明する。
図2は、光源ユニット100の概略構成を示す図であり、
図2(a)は光源ユニット100を側面(X方向)から図であり、
図2(b)は光源ユニット100を上面(Y方向)から視た図である。
【0023】
光源ユニット100は、
図2(a)、(b)に示すように、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置12と、遮光部材(規制部材)13と、重畳光学系14と、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16と、を備えている。
【0024】
光源ユニット100では、同一面内の互いに直交する光軸ax1及び光軸ax2のうち、一方の光軸ax1において、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置12と、遮光部材13と、重畳光学系14と、色分離素子15とが、この順に並んで配置されている。また、他方の光軸ax2上において、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16とが、この順に並んで配置されている。なお、光軸ax2は光軸axと一致している。
【0025】
本実施形態において、光源装置10には、例えば白色光を発する発光ダイオード(LED)が用いられている。また、このLEDには、ランバート発光タイプのものを用いている。なお、光源装置10には、LEDの他にもレーザーダイオード(LD)などの固体発光素子を用いることができる。また、光源装置10には、このような固体発光素子を単独若しくは複数組み合わせたものを用いることができる。
【0026】
コリメーター光学系11は、光源装置10から射出された光を平行光に変換するものであり、例えば2枚のコリメーターレンズ11a、コリメーターレンズ11bにより構成されている。なお、コリメーター光学系11を構成するレンズの枚数については、1枚であっても複数枚であってもよい。
【0027】
なお、ここで言う平行光とは、光束が完全に平行化された光のことを意味するものではなく、コリメーター光学系11を通過することによって光束が略平行となるように調整された光のことを意味する。したがって、コリメーター光学系11を通過した光束の一部が光軸ax1と平行とならない場合も含む。
【0028】
本実施形態において、光束整形装置12は、レンズインテグレーターユニット12Aと、偏光ビームスプリッター(偏光変換素子)12Bと、を含む。
【0029】
レンズインテグレーターユニット12Aは、第1レンズアレイ12A1と、第2レンズアレイ12A2と、を含む。第1レンズアレイ12A1は、例えば、複数のレンズを平面的に配列して構成される。第1レンズアレイ12A1は、コリメーター光学系11からのほぼ平行な単一光束を各レンズによって複数の小光束に分割してそれぞれを集光させる。
【0030】
第2レンズアレイ12A2は、例えば、第1レンズアレイ12A1の各レンズに対応して平面的に配列された複数のレンズを有している。本実施形態において、第2レンズアレイ12A2の各レンズは、
図2(b)に示すように、第1レンズアレイ12A1の各レンズに対して光軸がX方向において偏心している。一方、第2レンズアレイ12A2の各レンズは、
図2(a)に示すように、X方向においては、第1レンズアレイ12A1の各レンズに対して光軸が偏心していない(一致している)。
そのため、コリメーター光学系11から射出された光束は、レンズインテグレーターユニット12AによってX方向に圧縮されるようになっている。本実施形態では、コリメーター光学系11から射出された光束をX方向に半分に圧縮している。
【0031】
偏光ビームスプリッター12Bは、光入射面SAと、光射出面SBと、偏光分離膜21と、反射膜22と、位相差板23とを備えている。光射出面SBは、下段光射出面SB1と、上段光射出面SB2とを含む。下段光射出面SB1、及び上段光射出面SB2は、+Y方向に沿って順に配置されている。光入射面SAは、光軸ax1と平行なZ方向から視て下段光射出面SB1と重なる位置に配置されている。また、位相差板23は、下段光射出面SB1に設けられている。
【0032】
偏光分離膜21は、光入射面SAに対して約45°の角度をなすように、光入射面SAと対向配置されている。偏光分離膜21は、光入射面SAを透過した複数の光束Lを偏光成分に基づいて分離する機能を有する。
【0033】
偏光分離膜21は、光入射面SAを透過した光束Lのうち、S偏光成分の光束Lsを反射させる。一方、偏光分離膜21は、光入射面SAを透過した光束Lのうち、P偏光成分の光束Lpを透過させる。偏光分離膜21を透過した光(P偏光成分の光束Lp)は、下段光射出面SB1に配置された位相差板23に入射する。
【0034】
位相差板23は、λ/2板から構成される。位相差板23は、偏光分離膜21を透過したP偏光成分の光束LpをS偏光成分の光束Lsに変換する。
【0035】
反射膜22は、表面が偏光分離膜21と平行となるように、上段光射出面SB2と対峙して配置されている。反射膜22は、偏光分離膜21で反射された光束LのS偏光成分の光束Lsを上段光射出面SB2に向けて反射する。
【0036】
位相差板23が配置されない上段光射出面SB2においては、反射膜22で反射されたS偏光成分の光束Lsは偏光方向が変換されることが無く、S偏光のままとなる。
このように、偏光ビームスプリッター12Bの光入射面SAに入射した光は、下段光射出面SB1および上段光射出面SB2からS偏光の光束Lsとして出射される。そのため、レンズインテグレーターユニット12Aからの光は、偏光ビームスプリッター12Bを通過することでY方向に2倍に拡大する。
【0037】
以上のように、光束整形装置12は、レンズインテグレーターユニット12Aにより光源ユニット100からの光をX方向に1/2に圧縮するとともに、偏光ビームスプリッター12BによりY方向に2倍に拡大する。光束整形装置12は、光源ユニット100からの光を、アスペクト比(X方向における長さに対するY方向における長さの比)が1:4となるように整形する。すなわち、光束整形装置12は、光源ユニット100からの光の断面形状を後述する遮光部材13の形状(サブ画素の形状)と略相似になるように整形している。
【0038】
本実施形態において、偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面SBには、遮光部材13が設けられている。遮光部材13は、光束整形装置12からの光の一部を遮光することによって、光束整形装置12からの光の少なくとも一方向の幅を規制するものである。なお、
図2(a)、(b)においては、図を見易くするため、遮光部材13と光射出面SBとを離間させた状態としている。
【0039】
重畳光学系14は、例えば、凸レンズから構成されるものであり、遮光部材13を通過した光を光変調装置200に対して重畳して入射させるためのものである。
【0040】
色分離素子15は、3つのダイクロイックミラー15R、ダイクロイックミラー15G、及びダイクロイックミラー15B(以下、ダイクロイックミラー15R、15G、及び15Bと表記する場合もある)から構成される。これらダイクロイックミラー15R、15G、及び15Bは、互いに微小角をなすように配置されており、遮光部材13を通過した光を約90°の角度で反射してR光(赤色光)、G光(緑色光)、B光(青色光)の3色光に色分離する機能を有する。ダイクロイックミラー15R、15G、及び15Bは、R,G,B各色の光をマイクロレンズアレイ16に対してそれぞれ異なる角度で入射させる。本実施形態では、例えば、ダイクロイックミラー15R、15G、及び15Bで分離されたG光がマイクロレンズアレイ16に対して垂直に入射し、R光およびB光がG光に対してそれぞれ+θ、−θの角度をもってマイクロレンズアレイ16に対して入射するように配置されている。なお、マイクロレンズアレイ16に対して垂直に入射する光がG光またはB光であり、マイクロレンズアレイ16に対して所定角度をもって入射する光がR光と、G光またはB光のいずれかであるように配置しても良い。
【0041】
マイクロレンズアレイ16は、光変調装置200の光入射側に設けられている。マイクロレンズアレイ16は、複数のマイクロレンズ16aを有しており、マイクロレンズアレイ16に入射した光から複数の微小光束を形成する。具体的には、マイクロレンズアレイ16に入射したR光は、複数のマイクロレンズ16aによって複数の微小光束Rrに分割される。同様に、G光とB光各々は、複数のマイクロレンズ16aによって、複数の微小光束Ggと複数の微小光束Bbに分割される。各マイクロレンズ16aは、後述する光変調装置200の各画素201と1対1で対応するように配置されている。これにより、微小光束Rr,Gg,Bbはそれぞれ、サブ画素201R、201G、201Bに入射する。
【0042】
ここで、光変調装置200の画素構造について説明する。
図3は、光変調装置200の画素構造を示す図であり、
図3(a)は光変調装置200の平面構成を示す図であり、
図3(b)は1つの画素の構造を示す図である。
【0043】
図3(a)に示すように、光変調装置200は、複数の画素201を有している。各画素201は、複数のサブ画素201R、サブ画素201G、及びサブ画素201B(以下、サブ画素201R、201G、及び201Bと簡略して示すこともある)から構成される。サブ画素201Rは、R光に対応するものである。すなわち、サブ画素201Rには、微小光束Rrが入射する。また、サブ画素201Gは、G光に対応するものであり、微小光束Ggが入射する。また、サブ画素201Bは、B光に対応するものであり、微小光束Bbが入射する。
【0044】
光変調装置200において、複数の画素201は、第一方向(
図3(a)中における左右方向)において、サブ画素201R、201G、及び201Bがこの順に並ぶように配置されている。また、複数の画素201は、上記第一方向と直交する第二方向(
図3(a)中における上下方向)において、同じ色のサブ画素同士が並ぶように配置されている。
【0045】
各サブ画素201R、201G、及び201Bは、ブラックマトリクスBMにより区画されている。本実施形態において、各サブ画素201R、201G、及び201Bと、遮光部材13が配置される偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面SBとは、光学的に共役の関係となっている。
【0046】
画素201において、サブ画素201R、201G、及び201Bは、例えば12μmのピッチで形成されている。また、
図3(b)に示すように、矩形状を呈する各サブ画素201R、201G、及び201Bは、例えば、短辺方向の長さL1と長辺方向の長さL2との比で規定されるアスペクト比が1:4〜1:3程度に設定されている。本実施形態では、上記アスペクト比を、例えば、1:4に設定している。
本実施形態において、画素201は、アスペクト比が1:4の3色に対応したサブ画素201R、201G、及び201を有する事で全体として略正方形状となっている。そのため、各画素201はそれぞれが均一な輝度を有することとなるので、光変調装置200はムラがなく品質の良い画像光を生成することができる。
【0047】
ところで、光変調装置200において良好な画像光を生成するためには、各サブ画素201R、201G、及び201Bに対して対応する色の光を適切に入射させることが重要である。そのため、光束整形装置12によって光源ユニット100からの光を精度良く整形する必要がある。
【0048】
従来のように、光束整形装置12のみによって光源ユニット100からの光をサブ画素に完全に一致させた形状に整形することは非常に難しい。
図4(a)は、従来技術による微小光束とサブ画素との関係を示す図である。
図4(a)に示すように、微小光束Rr0,Gg0,Bb0の断面形状は各サブ画素201R、201G、及び201Bの形状よりも大きい。この場合、たとえば、微小光束Gg0は、一の画素内で互いに隣り合っているサブ画素間の領域を跨いでいる。そのため、微小光束Gg0は、サブ画素201Gだけでなく、サブ画素201Gに隣り合っているサブ画素201R及びサブ画素201Bにも入射する。これによって、画像光ににじみが生じてしまい、スクリーンSCRに投射される画像光の品質が低下してしまう。
【0049】
これに対し、本実施形態に係るプロジェクター1では、光束整形装置12により整形された光の一部を、偏光ビームスプリッター12Bの光射出面SBに設けられた遮光部材13によって遮光している(
図2(a)、(b)参照)。
【0050】
図5は、遮光部材13の概略構成を示す平面図である。本実施形態に係る遮光部材13は、
図5に示すように、例えばX方向の幅が、偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面SBよりも小さい開口13aを有する。遮光部材13は、例えば、カーボンブラック等を印刷することで構成された遮光性部材から構成されている。遮光部材13において、開口13aは、光変調装置200の各サブ画素201R、201G、及び201Bと相似形状となっている。
【0051】
遮光部材13は、遮光部材13を通過した光の形状が各サブ画素201R、201G、及び201Bの形状に対応するように、光束整形装置12から射出された光の一部を規制する。より具体的には、遮光部材13は、光束整形装置12から射出された光の一部を遮光することによって、光束整形装置12から射出された光の幅を規制する。
これによれば、
図4(b)に示したように、各微小光束は各画素201において互いに隣接するサブ画素201R、201G、201Bの間の領域を跨がない。つまり、例えば、微小光束Ggはサブ画素201Gに入射するが、サブ画素201Gと隣り合っているサブ画素201Rおよびサブ画素201Bのいずれにも入射しない。
【0052】
遮光部材13の開口13aは、
図5に示すX方向に短辺を有し、
図5に示すY方向に長辺を有する矩形状を呈している。開口13aは、短辺方向の長さと長辺方向の長さとの比で規定されるアスペクト比が例えば、1:4に設定されている。
【0053】
本実施形態において、開口13aのX方向がサブ画素201R、201G、201Bの短辺方向に対応し、開口13aのY方向がサブ画素201R、201G、201Bの長辺方向に対応している。そして、本実施形態において、遮光部材13は、その形状がサブ画素201R、201G、201Bの形状と相似となっている。
【0054】
また、本実施形態において、光束整形装置12は、光源ユニット100からの光の断面形状が遮光部材13の形状と略相似になるように光を整形している。つまり、光束整形装置12は、光束整形装置12からの光のうち遮光部材13によって遮光される成分が少なくなるように、光束整形装置12からの光を圧縮する。
これにより、光源ユニット100からの光は、遮光部材13によって規制(遮光)される量が低減されるので、遮光部材13の開口13aを効率良く通過することができる。よって、遮光部材13による熱の発生が抑えられる。また、光源ユニット100からの光を効率良く利用することができる。
【0055】
このように本実施形態によれば、微小光束Rr,Gg,Bbをそれぞれ対応するサブ画素201R、201G、及び201Bに確実に入射させることができる。したがって、光源ユニット100からの光の利用効率を向上させつつ、互いに隣り合うサブ画素201R、201G、及び201Bに同じ色の光が入射することによる混色の発生を防止することができる。よって、プロジェクター1は、にじみが低減された品質の高い画像光をスクリーンSCRに投射することができる。
【0056】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る光源装置について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、偏光ビームスプリッターの構成であり、それ以外の構成は同じである。そのため、第1実施形態と同一の部材については同じ符号を付し、その詳細については省略する。
【0057】
図6は、第2実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図であり、
図6(a)は光源ユニット101を側面(X方向)から図であり、
図6(b)は光源ユニット101を上面(Y方向)から視た図である。
【0058】
光源ユニット101は、
図6(a)、(b)に示すように、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置112と、遮光部材13と、重畳光学系14と、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16と、を備えている。
本実施形態において、光束整形装置112は、レンズインテグレーターユニット12Aと、偏光ビームスプリッター52と、を含む。
【0059】
偏光ビームスプリッター52は、第1偏光ビームスプリッター部52Aと、第2偏光ビームスプリッター部52Bと、を含む。第1偏光ビームスプリッター部52A及び第2偏光ビームスプリッター部52Bは、光軸ax1を基準としてY方向において互いが対称となるように配置されている。
【0060】
第1偏光ビームスプリッター部52Aは、光入射面SA1と、光射出面SB3、SB4と、偏光分離膜21aと、反射膜22aと、位相差板23とを備えている。光射出面SB3、SB4は、−Y方向に沿って順に配置されている。光入射面SA1は、光軸ax1と平行なZ方向から視て光射出面SB3と重なる位置に配置されている。また、位相差板23は、光射出面SB3に設けられている。
【0061】
第2偏光ビームスプリッター部52Bは、光入射面SA2と、光射出面SB3、SB4と、偏光分離膜21aと、反射膜22aと、位相差板23とを備えている。光射出面SB3、SB4は、+Y方向に沿って順に配置されている。光入射面SA2は、光軸ax1と平行なZ方向から視て光射出面SB3と重なる位置に配置されている。また、位相差板23は、光射出面SB3に設けられている。
【0062】
偏光分離膜21aは、光入射面SA1、SA2に対して約45°の角度をなすように、光入射面SA1、SA2と対向配置されている。偏光分離膜21aは、光入射面SA1、SA2を透過した複数の光束Lを偏光成分に基づいて分離する機能を有する。
【0063】
偏光分離膜21aは、光入射面SA1,SA2をそれぞれ透過した光束Lのうち、S偏光成分の光束Lsを反射させる。一方、偏光分離膜21aは、光入射面SA1,SA2をそれぞれ透過した光束Lのうち、P偏光成分の光束Lpを透過させる。偏光分離膜21aを透過した光(P偏光成分の光束Lp)は、光射出面SB3に配置された位相差板23に入射する。位相差板23は、偏光分離膜21aを透過したP偏光成分の光束LpをS偏光成分の光束Lsに変換する。
【0064】
反射膜22aは、表面が偏光分離膜21aと平行となるように、光射出面SB4と対向配置されている。反射膜22aは、偏光分離膜21aで反射された光束LのS偏光成分の光束Lsを光射出面SB4に向けて反射する。
【0065】
位相差板23が配置されない光射出面SB4においては、反射膜22aで反射されたS偏光成分の光束Lsは偏光方向が変換されることが無く、S偏光のままとなる。
このように、第1偏光ビームスプリッター部52Aの光入射面SA1、及び第2偏光ビームスプリッター部52Bの光入射面SA2に入射した光は、光射出面SB3、SB4からS偏光の光束Lsとして出射される。そのため、レンズインテグレーターユニット12Aからの光は、偏光ビームスプリッター52を通過することでY方向に2倍に拡大される。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る光束整形装置112は、レンズインテグレーターユニット12Aにより光源ユニット100からの光をX方向に1/2に圧縮するとともに、偏光ビームスプリッター52によりY方向に2倍に拡大することができる。
【0067】
本実施形態においても、偏光ビームスプリッター52における光射出面側に遮光部材13が設けられている。なお、
図6(a)、(b)においては、図を見易くするため、遮光部材13と偏光ビームスプリッター52とを離間させた状態としている。
【0068】
以上述べたように、本実施形態に係る光源ユニット101においても、微小光束Rr,Gg,Bbを対応する各サブ画素201R、201G、及び201Bに確実に入射させることができるので、にじみが低減された品質の高い画像光を投射することができる。
【0069】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る光源装置について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、光束整形装置の構成であり、それ以外の構成は同じである。そのため、第1実施形態と同一の部材については同じ符号を付し、その詳細については省略する。
【0070】
図7は、第3実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図であり、
図7(a)は光源ユニット102を側面(X方向)から図であり、
図7(b)は光源ユニット102を上面(Y方向)から視た図である。
【0071】
光源ユニット102は、
図7(a)、(b)に示すように、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置113と、遮光部材13と、重畳光学系14と、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16と、を備えている。
本実施形態において、光束整形装置113は、シリンドリカルレンズユニット30と、レンズインテグレーターユニット112Aと、偏光ビームスプリッター12Bと、を含む。なお、レンズインテグレーターユニット112Aは、光束整形装置113の構成要素の一部でなくても良い。
【0072】
シリンドリカルレンズユニット30は、第1シリンドリカルレンズ30aと、第2シリンドリカルレンズ30bと、を含む。第1シリンドリカルレンズ30aは、
図7(a)、(b)に示すように、X方向においてのみコリメーター光学系11からの光を集光させ、Y方向においてはコリメーター光学系11からの光を集光させない。
【0073】
また、第2シリンドリカルレンズ30bは、
図7(a)、(b)に示すように、X方向においてレンズとして機能する事で、第1シリンドリカルレンズ30aにより集光された光を平行光とし、Y方向においてはレンズとして機能することがなく、そのまま光を透過させる。
これにより、シリンドリカルレンズユニット30を通過した光は、X方向に半分(1/2)に圧縮されることとなる。
【0074】
本実施形態において、レンズインテグレーターユニット112Aは、第1レンズアレイ112A1と、第2レンズアレイ112A2と、を含む。第1レンズアレイ112A1は、例えば、複数のレンズを平面的に配列して構成される。第1レンズアレイ112A1は、シリンドリカルレンズユニット30からのほぼ平行な単一光束を各レンズによって複数の小光束に分割してそれぞれを集光させる。
【0075】
本実施形態において、第2レンズアレイ112A2は、例えば、第1レンズアレイ112A1の各レンズに対応して平面的に配列された複数のレンズを有している。本実施形態において、第2レンズアレイ112A2の各レンズは、第1実施形態と異なり、第1レンズアレイ112A1の各レンズと光軸が一致している(偏心していない)。
【0076】
本実施形態において、レンズインテグレーターユニット112Aからの光は、
図7(a)に示すように、偏光ビームスプリッター12Bを通過することでY方向に2倍に拡大される。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る光束整形装置113は、シリンドリカルレンズユニット30により光源ユニット100からの光をX方向に1/2に圧縮するとともに、偏光ビームスプリッター12BによりY方向に2倍に拡大することができる。
【0078】
本実施形態においても、偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面側に遮光部材13が設けられている。なお、
図7(a)、(b)においては、図を見易くするため、遮光部材13と偏光ビームスプリッター12Bとを離間させた状態としている。
【0079】
以上述べたように、本実施形態に係る光源ユニット102においても、上記実施形態と同様、微小光束Rr,Gg,Bbを対応する各サブ画素201R、201G、及び201Bに確実に入射させることができるので、にじみが低減された品質の高い画像光を投射することができる。
【0080】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る光源装置について説明する。本実施形態と第3実施形態との違いは、偏光ビームスプリッターの構成であり、それ以外の構成は同じである。すなわち、本実施形態は、第2実施形態に係る偏光ビームスプリッターを第3実施形態に係る光源装置に組み合わせた構造に関するものである。そのため、上記実施形態と同一の部材については同じ符号を付し、その詳細については省略する。
【0081】
図8は、第4実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図であり、
図8(a)は光源ユニット103を側面(X方向)から図であり、
図8(b)は光源ユニット103を上面(Y方向)から視た図である。
【0082】
光源ユニット103は、
図8(a)、(b)に示すように、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置114と、遮光部材13と、重畳光学系14と、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16と、を備えている。
本実施形態において、光束整形装置114は、シリンドリカルレンズユニット30と、レンズインテグレーターユニット112Aと、偏光ビームスプリッター52と、を含む。なお、レンズインテグレーターユニット112Aは、光束整形装置114の構成要素の一部でなくても良い。
【0083】
本実施形態においても、偏光ビームスプリッター52における光射出面側に遮光部材13が設けられている。なお、
図8(a)、(b)においては、図を見易くするため、遮光部材13と偏光ビームスプリッター52とを離間させた状態としている。
【0084】
本実施形態に係る光束整形装置114は、シリンドリカルレンズユニット30により光源ユニット100からの光をX方向に1/2に圧縮するとともに、偏光ビームスプリッター52によりY方向に2倍に拡大することができる。
したがって、上記実施形態と同様、微小光束Rr,Gg,Bbを対応する各サブ画素201R、201G、及び201Bに確実に入射させることができるので、にじみが低減された品質の高い画像光を投射することができる。
【0085】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る光源装置について説明する。本実施形態と上記第1乃至第4実施形態との違いは、光束整形装置の構成であり、それ以外の構成は同じである。そのため、上記実施形態と同一の部材については同じ符号を付し、その詳細については省略する。
【0086】
図9は、第5実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図であり、
図9(a)は光源ユニット104を側面(X方向)から図であり、
図9(b)は光源ユニット104を上面(Y方向)から視た図である。
【0087】
光源ユニット104は、
図9(a)、(b)に示すように、光源装置10と、コリメーター光学系11と、光束整形装置115と、レンズインテグレーターユニット70と、遮光部材13と、重畳光学系14と、色分離素子15と、マイクロレンズアレイ16と、を備えている。
本実施形態において、光束整形装置115は、ハーフプリズム部62と、偏光ビームスプリッター12Bと、を含む。
【0088】
ハーフプリズム部62は、光入射面61と、光射出面63と、反射膜65と、ハーフミラー66とを備えている。光射出面63は、下段光射出面63aと、上段光射出面63bとを含む。下段光射出面63a及び上段光射出面63bは、+Y方向に沿って順に配置されている。光入射面61は、光軸ax1と平行なZ方向から視て下段光射出面63aと重なる位置に配置されている。
【0089】
ハーフミラー66は、光入射面61に対して約45°の角度をなすように、光入射面61と対向配置されている。ハーフミラー66は、光入射面61を透過した光の半分を透過させつつ、残り半分を反射する機能を有する。
【0090】
反射膜65は、ハーフミラー66により反射された光を反射させる。ハーフミラー66で反射された光は、上段光射出面63bから射出される。
このように、ハーフプリズム部62の光入射面61に入射した光は、下段光射出面63aおよび上段光射出面63bから出射される。そのため、コリメーター光学系11からの光は、ハーフプリズム部62を通過することでY方向に2倍に拡大する。
【0091】
すなわち、本実施形態に係る光束整形装置115は、ハーフプリズム部62により光源ユニット100からの光をY方向に2倍に拡大するとともに、偏光ビームスプリッター12BによりY方向に2倍に拡大することができる。結果的に、光源ユニット100からの光は、Y方向に4倍に拡大される。
【0092】
本実施形態においても、偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面側に遮光部材13が設けられている。なお、
図9(a)、(b)においては、図を見易くするため、遮光部材13と偏光ビームスプリッター12Bとを離間させた状態としている。
【0093】
本実施形態において、レンズインテグレーターユニット70は、第1レンズアレイ70aと、第2レンズアレイ70bと、を含む。第1レンズアレイ70aは、例えば、複数のレンズを平面的に配列して構成される。第1レンズアレイ70aは、光束整形装置115からのほぼ平行な単一光束を各レンズによって複数の小光束に分割してそれぞれを集光させる。
【0094】
本実施形態において、第2レンズアレイ70bは、例えば、第1レンズアレイ70aの各レンズに対応して平面的に配列された複数のレンズを有している。本実施形態において、第2レンズアレイ70bの各レンズは、第1実施形態と異なり、第1レンズアレイ70aの各レンズと光軸が一致している(偏心していない)。
【0095】
以上述べたように、本実施形態に係る光源ユニット104においても、上記実施形態と同様、微小光束Rr,Gg,Bbを対応する各サブ画素201R、201G、及び201Bに確実に入射させることができるので、にじみが低減された品質の高い画像光を投射することができる。
【0096】
なお、本発明の一実施形態を例示して説明したが、本発明は上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、遮光部材13として開口13aを有するものを例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。
図10に示すように、遮光部材213として、サブ画素201R、201G、201Bの短辺方向、すなわちサブ画素の配列方向の幅L1に対応する幅のスリットを形成するように、一対のストライプ状の遮光板213a、213bを設置するようにしてもよい。
【0098】
この場合、遮光部材213と色分離素子15とマイクロレンズアレイ16とを通過することによって形成された微小光束Rr,Gg,Bbは、サブ画素201R、201G、201Bの長辺方向の幅L2よりも大きくなることがある。この場合、例えば微小光束Rrは、
図11に示すように、上下方向において互いに隣り合う2つのサブ画素201Rに入射する可能性がある。しかし、上下方向に配置されたサブ画素同士は、
図11に示すように同じ色に対応するサブ画素であるため、混色の問題が生じることはない。
【0099】
すなわち、遮光部材13は開口13aを有する形状に限らず、一の画素201において互いに隣接するサブ画素201R、201G、201B間の領域を一の微小光束が跨がないように、光束整形装置12からの光の幅を規制できる形状であればよい。そのため、例えば、光束整形装置12で整形された光が、サブ画素が有する2つの長辺のうち一方側のみではみ出す場合においては、
図10に示した遮光板213a、213bの一方のみを偏光ビームスプリッター12Bにおける光射出面SBに設ければよい。この場合、遮光部材は、1本のストライプ状の遮光板から構成されることになる。
【0100】
また、上記実施形態では、光源ユニット100が光源装置10として発光ダイオードやレーザーダイオードを用いる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ等の白色ランプを用いても良い。