特許第6225698号(P6225698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6225698-記録装置 図000002
  • 特許6225698-記録装置 図000003
  • 特許6225698-記録装置 図000004
  • 特許6225698-記録装置 図000005
  • 特許6225698-記録装置 図000006
  • 特許6225698-記録装置 図000007
  • 特許6225698-記録装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225698
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B41J2/01 127
   B41J2/01 121
   B41J2/01 451
   B41J2/01 303
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268719(P2013-268719)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123638(P2015-123638A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】宮下 大輔
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−007119(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0085892(US,A1)
【文献】 特開2011−110788(JP,A)
【文献】 特開2005−131922(JP,A)
【文献】 特開2001−328265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に記録する記録部と、
前記被記録媒体を除電する除電部と、
前記除電部を移動させる移動部と、
前記被記録媒体と前記記録部との距離を検出する検出部を備え、
前記移動部は、前記検出部が検出した前記距離に応じて、前記被記録媒体と接近する方向または離間する方向に前記除電部を移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記被記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記移動部は、前記被記録媒体の搬送方向に沿って前記除電部を移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録装置において、
前記被記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記記録部は、
インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動するキャリッジと、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項に記載の記録装置において、
前記記録部は、
インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動するキャリッジと、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項又はに記載の記録装置において、
前記除電部は、前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項に記載の記録装置において、
前記除電部は、前記交差方向において前記記録ヘッドの両側に搭載されていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の記録装置において、
前記除電部の駆動を制御する制御部を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記被記録媒体の種類、前記記録装置の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つの情報に基づいて前記除電部の駆動を制御することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被記録媒体に記録する記録装置が使用されている。このような記録装置においては、被記録媒体が帯電することによりゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して、前記被記録媒体を汚す場合があった。そこで、例えば、特許文献1には、被記録媒体が帯電することにより浮遊したインクミストが被記録媒体に付着することを抑制するために、除電部としてのイオナイザーを備える記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−107330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、被記録媒体として、様々な厚みのものが使用されており、特許文献1に開示されるような従来の記録装置においては、使用する被記録媒体によっては、該被記録媒体と除電部との距離が適切な距離とはならない場合があった。このような場合、被記録媒体が帯電してゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して前記被記録媒体を汚すことを、前記除電部によって効果的に抑制することはできなかった。例えば、除電部としてイオナイザーを用いた場合、被記録媒体と除電部との距離が遠すぎると該被記録媒体にイオンが十分に届きにくくなり、被記録媒体と除電部との距離が近すぎるとイオンが該被記録媒体全体に拡散せず除電効果の強い部分と弱い部分のムラができる場合がある。
また、被記録媒体の種類によって、被記録媒体の搬送方向における記録部と除電部との適切な距離が変わる場合がある。
なお、特許文献1に開示される記録装置においては、イオナイザーの移動機構が設けられておらず、イオナイザーの位置は固定されているため、被記録媒体を適切に除電することが困難な場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、被記録媒体が帯電することによりゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体に記録する記録部と、前記被記録媒体を除電する除電部と、前記除電部を前記記録部に対して移動させる移動部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記除電部を前記記録部に対して移動させる移動部を備えている。このため、前記被記録媒体の厚みや除電させたい部分の位置に対応して前記除電部を移動可能である。したがって、被記録媒体が帯電することによりゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0008】
本発明の第2の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記被記録媒体と前記記録部との距離を検出する検出部を備え、前記移動部は、前記検出部が検出した前記距離に応じて、前記被記録媒体と接近する方向及び離間する方向に前記除電部を移動させることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記移動部は、前記検出部が検出した前記距離に応じて、前記被記録媒体と接近する方向及び離間する方向に前記除電部を移動させる。このため、厚みの異なる様々な被記録媒体を使用する場合であっても、夫々の被記録媒体の厚みに応じて、前記被記録媒体と接近する方向及び離間する方向に前記除電部を移動させることで、前記被記録媒体と前記除電部との距離を適切な距離とすることができる。
なお、「前記被記録媒体と前記記録部との距離」とは、前記被記録媒体の記録がなされる面と、例えばインクジェット記録ヘッドのノズル面のような前記記録部の記録を行う部分と、の距離を意味する。
【0010】
本発明の第3の態様の記録装置は、前記第1又は第2の態様において、前記被記録媒体を搬送する搬送部を備え、前記移動部は、前記被記録媒体の搬送方向に沿って前記除電部を移動させることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記移動部は、前記被記録媒体の搬送方向に沿って前記除電部を移動させる。このため、前記搬送方向に沿う方向において適切な位置に前記除電部を移動させることができる。
【0012】
本発明の第4の態様の記録装置は、前記第1又は第2の態様において、前記被記録媒体を搬送する搬送部を備え、前記記録部は、インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動するキャリッジと、を有することを特徴とする。
【0013】
インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドを搭載して前記交差方向に往復移動して記録するインクジェット記録装置では、被記録媒体が帯電することにより浮遊したインクミストが被記録媒体に付着しやすい。
しかしながら、本態様によれば、このような構成の記録装置であっても、効果的に被記録媒体を除電することができるため、インクミストが付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の第5の態様の記録装置は、前記第3の態様において、前記記録部は、インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動するキャリッジと、を有することを特徴とする。
【0015】
インクを吐出するノズルが設けられるノズル面を有する記録ヘッドを搭載して前記交差方向に往復移動して記録するインクジェット記録装置では、被記録媒体が帯電することにより浮遊したインクミストが被記録媒体に付着しやすい。
しかしながら、本態様によれば、このような構成の記録装置であっても、効果的に被記録媒体を除電することができるため、インクミストが付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の第6の態様の記録装置は、前記第4又は第5の態様において、前記除電部は、前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記除電部は、前記キャリッジに搭載されている。このため、前記記録ヘッドからインクを吐出する直前に、効果的に被記録媒体を除電することができるため、インクミストが付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の第7の態様の記録装置は、前記第6の態様において、前記除電部は、前記交差方向において前記記録ヘッドの両側に搭載されていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記除電部は、前記交差方向において前記記録ヘッドの両側に搭載されている。このため、前記除電部は、前記交差方向におけるどちらの方向に移動する際においても、前記記録ヘッドからインクを吐出する直前に、前記搬送方向において前記記録部に対して適切な位置において、効果的に被記録媒体を除電することができる。したがって、インクミストが付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の第8の態様の記録装置は、前記第1から第7のいずれか1つの態様において、前記除電部の駆動を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0021】
ここで、「前記除電部の駆動を制御する」とは、前記除電部のオンとオフの制御のほか、前記除電部の駆動の強弱の制御など前記除電部のオンとオフの制御以外の制御も含む意味である。
本態様によれば、前記除電部の駆動を制御する制御部を備える。このため、効果的に被記録媒体を除電しつつ、前記被記録媒体が帯電しにくく不必要なときには前記除電部をオフするなどにより電気代を抑制することができる。また、前記除電部をオンにし続けていると前記除電部にゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して汚れやすくなるが、不必要なときに前記除電部をオフするなどにより前記除電部が汚れやすくなることを抑制できる。
【0022】
本発明の第9の態様の記録装置は、前記第8の態様において、前記制御部は、前記被記録媒体の種類、前記記録装置の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つの情報に基づいて前記除電部の駆動を制御することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記制御部は、前記被記録媒体の種類、前記記録装置の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つの情報に基づいて前記除電部の駆動を制御する。このため、前記被記録媒体が帯電しにくく不必要なときを前記被記録媒体の種類、前記記録装置の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つから簡単に認識することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る記録装置を表す概略側面図。
図2】本発明の実施例1に係る記録装置における除電部の移動部を表す概略背面図。
図3】本発明の実施例1に係る記録装置のブロック図。
図4】本発明の実施例2に係る記録装置における除電部の移動部を表す概略背面図。
図5】本発明の実施例3に係る記録装置において記録部に対する除電部の位置及び移動方向を表す概略平面図。
図6】本発明の実施例4に係る記録装置において記録部に対する除電部の位置及び移動方向を表す概略平面図。
図7】本発明の実施例5に係る記録装置を表す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施例に係る記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[実施例1](図1図3
最初に、本発明の実施例1に係る記録装置について説明する。
図1は本実施例に係る記録装置1の概略側面図を表している。
【0026】
本実施例の記録装置1は、記録を行うためのロール状の被記録媒体PのロールR1を支持する支持軸2を備えている。そして、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する際、支持軸2は回転方向Cに回転する。なお、本実施例では被記録面が外側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用しているが、被記録面が内側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用する場合は、支持軸2の回転方向Cとは逆回転してロールR1を送り出すことが可能である。
また、本実施例の記録装置1は被記録媒体Pとしてロール式の被記録媒体を使用しているが、このようなロール式の被記録媒体を使用する記録装置に限定されない。例えば、単票式の被記録媒体を用いてもよい。
【0027】
また、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送するための、不図示の複数の搬送ローラーを備える搬送機構11を備えている。該搬送機構11には、プラテン3に支持された被記録媒体Pを加熱可能なプラテンヒーター5が設けられている。
なお、本実施例のプラテンヒーター5はプラテン3と対向する位置に設けられ、被記録媒体Pの表面を35℃から50℃に加熱可能な赤外線ヒーターであるが、このようなヒーターに限定されず、プラテン3側から被記録媒体Pを加熱可能なヒーターを用いてもよい。ここで、好ましい赤外線の波長は0.76〜1000μmである。一般的に、赤外線は波長によってさらに、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に区分され、区分の定義は様々であるが、おおよそ波長域は、0.78〜2.5μm、2.5〜4.0μm、4.0〜1000μmとなる。なかでも中赤外線を用いることが好ましい。
【0028】
また、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する方向Bに記録部としての記録ヘッド4を不図示のキャリッジに搭載して往復走査させつつ、複数のノズルが設けられたノズル面Fの該ノズルからインクを吐出して記録する記録機構12を備えている。なお、本実施例の記録装置1は、記録ヘッド4を往復走査させて記録する記録機構12を備えているが、後述の実施例5のように、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する方向Bに複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。
ここで、「ラインヘッド」とは、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する方向Bに形成されたノズルの領域が、方向B全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッド又は被記録媒体の一方を固定し他方を移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの方向Bのノズルの領域は、記録装置が対応している全ての被記録媒体Pの方向B全体をカバー可能でなくてもよい。
また、記録ヘッドのノズル領域を、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する方向B全体をカバー可能なように設け、記録ヘッド又は被記録媒体の両方を移動させて画像を形成してもよい。
【0029】
また、本実施例の記録装置1には、被記録媒体Pを除電する除電部8と、除電部8を記録ヘッド4に対して方向Dに移動させる移動部9と、が前記キャリッジに搭載されている。なお、本実施例において方向Dは鉛直上方向Zに沿う方向であり、プラテン3上における被記録媒体Pの搬送方向Aは水平方向のうちの記録装置1の背面側から正面側に向かう方向Yであり、記録ヘッド4の往復移動する方向Bは鉛直上方向Z及び方向Yと直交する方向Xに沿う方向である。ただし、このような構成に限定されない。
【0030】
このように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pに記録する記録ヘッド4と、被記録媒体Pを除電する除電部8と、除電部8を記録ヘッド4に対して移動させる移動部9と、を備えている。すなわち、このような構成によって、移動部9により、除電部8と記録ヘッド4との相対的な位置関係を変更することができる。このため、被記録媒体Pの厚みや除電させたい部分の位置に対応して除電部8を移動可能である。したがって、被記録媒体Pが帯電することによりゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して被記録媒体Pを汚すことを効果的に抑制することができる構成になっている。
【0031】
また、方向Bにおける記録ヘッド4の端部には、被記録媒体Pと記録ヘッド4との距離を検出する検出部としての光学センサー14が設けられている。そして、移動部9は、後述の制御部20(図3参照)の制御により、光学センサー14が検出した前記距離に応じて、被記録媒体Pと接近する方向及び離間する方向Dに除電部8を記録ヘッド4に対して移動させることが可能な構成になっている。
このため、厚みの異なる様々な被記録媒体Pを使用する場合であっても、夫々の被記録媒体Pの厚みに応じて、被記録媒体Pと接近する方向及び離間する方向Dに除電部8を記録ヘッド4に対して移動させることで、被記録媒体Pと除電部8との距離を適切な距離にすることができる。
なお、本実施例において被記録媒体Pと記録ヘッド4との距離とは、ノズル面Fと被記録媒体Pの被記録面との間隔を意味する。
【0032】
また、上記のように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを搬送する搬送部としての搬送機構11を備え、記録ヘッド4は、インクを吐出するノズルが設けられるノズル面Fを有する。そして、本実施例の記録装置1は、記録ヘッド4を搭載して被記録媒体Pの搬送方向と交差する交差方向である方向Bに往復移動するキャリッジを有している。
インクを吐出するノズルが設けられるノズル面Fを有する記録ヘッド4を搭載して方向Bに往復移動して記録するインクジェット記録装置では、被記録媒体Pが帯電することにより浮遊したインクミストが被記録媒体Pに付着しやすい。
しかしながら、本実施例の記録装置1は、インクジェット記録装置であっても、効果的に被記録媒体を除電することができるため、インクミストが付着して前記被記録媒体を汚すことを効果的に抑制することができる。
【0033】
また、上記のように、除電部8は、前記キャリッジに搭載されているため、記録ヘッド4からインクを吐出する直前に、効果的に被記録媒体Pを除電することができるため、インクミストが付着して被記録媒体Pを汚すことを効果的に抑制することができる。
【0034】
搬送機構11及び記録機構12の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、乾燥部としての赤外線ヒーターで構成されるアフターヒーター7により媒体支持部6に搬送された被記録媒体Pを乾燥させる乾燥機構13を備えている。アフターヒーター7は、本実施例の記録装置1で用いられるインクを乾燥させるため、被記録媒体Pの表面を60℃から120℃に加熱可能な赤外線ヒーターであるが、このようなヒーターに限定されない。また、乾燥部としては、赤外線ヒーター等の加熱装置のほか、ファン等の送風装置等であってもよい。
【0035】
また、乾燥機構13の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、被記録媒体PをロールR2として巻き取り可能な巻取軸10が備えられている。なお、本実施例では被記録面が外側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用しているので、被記録媒体Pを巻き取る際、巻取軸10は回転方向Cに回転する。一方、被記録面が内側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用する場合は、回転方向Cとは逆回転してロールR1を巻き取ることが可能である。
【0036】
次に、本実施例の記録装置1における除電部8の移動部9の構成について説明する。
図2は、本実施例の記録装置1における除電部8の移動部9を表す概略背面図である。
なお、移動部9の構成を容易に理解できるようにするため、除電部8は破線で表している。
【0037】
図2において、除電部8にはラックネジ19が取り付けられている。そして、ラックネジ19は、ウォームネジ18に螺合している。ここで、ウォームネジ18は、支持部17とともに記録ヘッド4(詳細にはキャリッジ)に取り付けられた除電部移動モーター16の回転軸と接合されており、正方向及び逆方向に回転可能である。すなわち、ウォームネジ18は、記録ヘッド4に対して回転可能に固定されている。そして、除電部移動モーター16を駆動させてウォームネジ18を正方向及び逆方向に回転させることにより、除電部8は記録ヘッド4に対して方向Dに移動する。
なお、除電部移動モーター16には、ウォームネジ18の正方向及び逆方向の回転量を検出するロータリーエンコーダー15が設けられている。
【0038】
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図3は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部20には、記録装置1の全体の制御を司るCPU21が設けられている。CPU21は、システムバス22を介して、CPU21が実行する各種制御プログラム等を格納したROM23と、データを一時的に格納可能なRAM24と接続されている。
【0039】
また、CPU21は、システムバス22を介して、記録ヘッド4を駆動するためのヘッド駆動部25と接続されている。
また、CPU21は、システムバス22を介して、プラテンヒーター5及びアフターヒーター7を駆動するためのヒーター駆動部26と接続されている。
【0040】
また、CPU21は、システムバス22を介して、キャリッジモーター28、搬送モーター29、繰出モーター30、巻取モーター31及び除電部移動モーター16を駆動させるためのモーター駆動部27と接続されている。
ここで、キャリッジモーター28は、記録ヘッド4を搭載したキャリッジを移動させるためのモーターである。また、搬送モーター29は、搬送機構11に設けられた複数の搬送ローラーを駆動するためのモーターである。また、繰出モーター30は、支持軸2の回転機構であり、被記録媒体Pを搬送機構11に繰り出すために支持軸2を駆動するモーターである。また、巻取モーター31は、巻取軸10を回転させるための駆動モーターである。そして、除電部移動モーター16は、除電部8を記録ヘッド4に対して方向Dに移動するためのウォームネジ18を回転させるためのモーターである。
さらに、CPU21は、システムバス22を介して、記録データ等のデータ及び信号の送受信を行うためのPC33及び光学センサー14と接続される、入出力部32と接続されている。
【0041】
そして、CPU21は、システムバス22を介して、除電部8を駆動するための除電部駆動部40と接続されており、制御部20は、除電部駆動部40を制御することにより除電部8の駆動を制御する。
ここで、「除電部8の駆動を制御する」とは、除電部8のオンとオフの制御のほか、例えば、PC33からユーザーの指示を入力し該指示に従って除電部8の駆動の強弱の制御をするなど、除電部8のオンとオフの制御以外の制御も含む意味である。
本実施例の記録装置1において制御部20は除電部8の駆動を制御するため、効果的に被記録媒体Pを除電しつつ、被記録媒体Pが帯電しにくく不必要なときには除電部8をオフするなどにより電気代を抑制している。また、除電部8をオンにし続けていると除電部8にゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して汚れやすくなるが、不必要なときに除電部8をオフするなどにより除電部8が汚れやすくなることを抑制している。
【0042】
なお、制御部20は、PC33から、被記録媒体Pの種類、記録装置1の設置場所、日時及び環境湿度に関する情報の入力を受付け、被記録媒体Pの種類、記録装置1の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つの情報に基づいて除電部8の駆動を制御することができる。このため、被記録媒体Pが帯電しにくく不必要なときを、被記録媒体Pの種類、記録装置1の設置場所、日時及び環境湿度の少なくともいずれか1つから簡単に認識することができる。
【0043】
[実施例2](図4
次に、実施例2の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本実施例の記録装置における除電部8の移動部9を表す概略背面図である。なお、上記実施例と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、移動部9の構成以外は実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0044】
図4で表されるように、本実施例の移動部9では、除電部8にラック34が構成されている。そして、ラック34には、ピニオン35に噛合している。ここで、ピニオン35は、記録ヘッド4(詳細にはキャリッジ)に取り付けられた除電部移動モーター16の回転軸36に取り付けられており、正方向及び逆方向に回転可能である。すなわち、ピニオン35は、記録ヘッド4に対して回転可能に固定されている。そして、除電部移動モーター16を駆動させてピニオン35を正方向及び逆方向に回転させることにより、除電部8は記録ヘッド4に対して方向Dに移動する。
なお、除電部移動モーター16には、ウォームネジ18の正方向及び逆方向の回転量を検出するロータリーエンコーダー15が設けられている。
【0045】
[実施例3](図5
次に、実施例3の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図5は、本実施例の記録装置において記録ヘッド4に対する除電部8の位置及び移動方向を表す概略平面図である。なお、上記実施例と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、記録ヘッド4に対する除電部8の位置、移動部9の配置及び移動方向以外は実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0046】
図5で表されるように、本実施例の記録装置1では、除電部8は記録ヘッド4の往復移動方向である方向Bにおいて記録ヘッド4の方側端部に設けられている。そして、実施例1と同様の構成の移動部9を90度傾けて配置された移動部9によって、搬送方向Aに沿う方向Eに、除電部8を記録ヘッド4に対して移動可能である。
【0047】
すなわち、上記について別の表現をすると、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pを搬送する搬送機構11を備えており、移動部9は、被記録媒体Pの搬送方向Aに沿って除電部8を記録ヘッド4に対して移動させることが可能な構成である。このため、搬送方向Aに沿う方向Eにおいて適切な位置に除電部8を記録ヘッド4に対して移動させることができる。
【0048】
[実施例4](図6
次に、実施例4の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本実施例の記録装置において記録ヘッド4に対する除電部8の位置及び移動方向を表す概略平面図である。なお、上記実施例と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、除電部8及び移動部9を方向Bにおいて記録ヘッド4の両側端部に設けていること以外は実施例3の記録装置1と同様の構成である。
【0049】
図6で表されるように、本実施例の記録装置1は、除電部8及び移動部9が方向Bにおいて記録ヘッド4の両側端部に設けられている。そして、何れの除電部8も搬送方向Aに沿う方向Eに、除電部8を記録ヘッド4に対して移動可能である。
【0050】
すなわち、上記について別の表現をすると、本実施例の記録装置1では、除電部8は、方向Bにおいて記録ヘッド4の両側に搭載されている。このため、除電部8は、方向Bにおけるどちらの方向(図6において左側へ進む方向及び右側に進む方向)に移動する際においても、記録ヘッド4からインクを吐出する直前に、搬送方向Aにおいて記録ヘッド4に対して適切な位置において、効果的に被記録媒体Pを除電することができる。したがって、インクミストが付着して被記録媒体Pを汚すことを効果的に抑制することができる。
【0051】
[実施例5](図7
次に、実施例5の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図7は、本実施例の記録装置を表す概略平面図である。なお、上記実施例と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、記録部としてラインヘッド37を備え、搬送方向Aと交差する方向に延びる除電部38を備えること以外は実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0052】
図7で表されるように、本実施例の記録装置1は、記録部としてラインヘッド37を備え、搬送方向Aと交差する方向に延びる除電部38を備えている。なお、2つの移動部39によって除電部38はラインヘッド37に対して方向Dに移動可能な構成となっているが、移動部39は実施例1の記録装置1における移動部9と同様の構成である。
このような構成の記録装置1によっても、被記録媒体Pが帯電することによりゴミ、埃、インクミストなどの浮遊物が付着して被記録媒体Pを汚すことを効果的に抑制することができる。
【0053】
[その他の実施例]
上記実施例1、2及び5の記録装置は、被記録媒体Pの搬送方向Aにおいて記録ヘッドの上流側に除電部8を備える構成であった。しかしながら、例えば、被記録媒体Pのセット位置が搬送方向Aにおいて記録ヘッドの下流側にあり、被記録媒体Pをセットした後に、一度、搬送方向Aにおいて記録ヘッドの上流側に被記録媒体Pを移動させてから該被記録媒体Pを搬送する構成の記録装置においては、搬送方向Aにおいて記録ヘッドの下流側に除電部8を備える構成としてもよい。
また、上記実施例の記録装置は方向D及び方向Eのうちのいずれかに除電部が記録部に対して移動可能な構成になっていたが、方向D及び方向Eの両方に移動可能な構成としてもよく、別の方向に移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 記録装置、2 支持軸、3 プラテン、4 記録ヘッド(記録部)、
5 プラテンヒーター、6 媒体支持部、7 アフターヒーター、8 除電部、
9 移動部、10 巻取軸、11 搬送機構、12 記録機構、13 乾燥機構、
14 光学センサー(検出部)、15 ロータリーエンコーダー、
16 除電部移動モーター、17 支持部、18 ウォームネジ、19 ラックネジ、
20 制御部、21 CPU、22 システムバス、23 ROM、24 RAM、
25 ヘッド駆動部、26 ヒーター駆動部、27 モーター駆動部、
28 キャリッジモーター、29 搬送モーター、30 繰出モーター、
31 巻取モーター、32 入出力部、33 PC、34 ラック、35 ピニオン、
36 回転軸、37 ラインヘッド、38 除電部、39 移動部、F ノズル面、
P 被記録媒体、R1 被記録媒体のロール、R2 被記録媒体のロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7