特許第6225762号(P6225762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225762
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ターボ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20171030BHJP
   F16C 25/08 20060101ALI20171030BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F04D29/056 B
   F16C25/08 Z
   F16C19/26
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-48610(P2014-48610)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172352(P2015-172352A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鏡味 雅直
(72)【発明者】
【氏名】楳山 亮
(72)【発明者】
【氏名】福山 了介
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−246001(JP,A)
【文献】 特開2009−281213(JP,A)
【文献】 実公昭36−031010(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/056
F16C 19/26
F16C 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の一端側に連結され、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸の他端側に連結されて前記回転軸の回転に伴って回転する圧縮機と、前記回転軸において前記モータと前記圧縮機との間に、前記回転軸を回転可能に支持する支持部と、を備えたターボ圧縮機であって、
前記支持部は、前記回転軸上に設けられる少なくとも3個のローラと、それぞれの前記ローラに形成された軸支部と、前記軸支部を前記ハウジングに回転可能に支持するローラ軸受部と、前記少なくとも3個のローラを前記回転軸に押し付けるように、前記少なくとも3個のローラを締め付ける締付リングとを備え、
前記ローラにおける前記回転軸との駆動伝達部の直径は、前記回転軸における前記ローラとの駆動伝達部の直径よりも大きいことを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記圧縮機を収容する圧縮機ハウジングと、前記モータを収容するモータハウジングと、前記圧縮機ハウジングと前記モータハウジングとの間に配置され、前記支持部を収容する軸受ハウジングとを備え、
前記軸受ハウジングには、前記ローラ軸受部を収容するローラ軸受収容部が形成され、前記軸受ハウジングにより、前記少なくとも3個のローラが回転可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載のターボ圧縮機。
【請求項3】
前記回転軸には、前記回転軸に加えられるスラスト荷重を受け止める一対の鍔部を備え、前記一対の鍔部の間に前記少なくとも3個のローラが配置されていることを特徴とする
請求項1又は2に記載のターボ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータによって圧縮機を駆動させることにより、空気等を圧縮するターボ圧縮機が様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1には、回転軸の一端にモータが取り付けられ、他端に圧縮機のインペラが取り付けられて、モータの回転力が回転軸を介してインペラに直接伝達される構成が開示されている。そして、特許文献1に開示の構成では、回転軸は、スラスト方向については磁気軸受機構によって浮上された状態で軸受されているとともに、ラジアル方向についてはフォイル軸受機構によって回転軸と軸受フォイルとの間に引き込まれた空気によって軸受されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−281213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成に備えられる磁気軸受機構は、磁気発生装置や磁力制御装置が必要となるため、装置全体が大型化するとともにコスト面で不利である。また、低速回転時においては、回転軸の軸振れが生じやすいため、圧縮機の性能の低下を招くおそれがある。また、低速回転時や起動初期には当該軸ブレにより回転軸と軸受機構とが接触して両者が摩耗するおそれがある。そのため、低速回転を行う場合には改善の余地がある。
【0005】
高速回転する回転軸の軸受機構として、磁気軸受機構やフォイル軸受機構に替えて、ボール軸受機構を採用することも考えられる。しかし、この場合には当該軸受機構にスラスト方向への予圧を付与する必要がある。当該予圧によって摩擦損失が発生することから圧縮機の性能の低下を招く。また、当該予圧によって軸受機構に摩耗が生じやすいため、耐久性の面で不利になる。また、高耐久性の軸受部材を使用して耐久性を改善することは可能であるが、この場合には高コストとなる。また、予圧の大きさやバランスの調整が難しいという問題もある。
【0006】
また、上記の軸受機構に替えて、油フローティング軸受機構を採用することも考えられる。しかし、この場合には、低速回転時における軸振れが生じやすく、摩擦損失が大きくなるため、低速回転を行う場合には改善の余地がある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、高速回転を行うターボ圧縮機の小型化ができるとともに、低速回転時におけるターボ圧縮機の性能低下が抑制され、コスト面で有利となるターボ圧縮機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ハウジングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の一端側に連結され、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸の他端側に連結されて前記回転軸の回転に伴って回転する圧縮機と、前記回転軸において前記モータと前記圧縮機との間に、前記回転軸を回転可能に支持する支持部と、を備えたターボ圧縮機であって、
前記支持部は、前記回転軸上に設けられる少なくとも3個のローラと、それぞれの前記ローラに形成された軸支部と、前記軸支部を前記ハウジングに回転可能に支持するローラ軸受部と、前記少なくとも3個のローラを前記回転軸に押し付けるように、前記少なくとも3個のローラを締め付ける締付リングとを備え、
前記ローラにおける前記回転軸との駆動伝達部の直径は、前記回転軸における前記ローラとの駆動伝達部の直径よりも大きいことを特徴とするターボ圧縮機にある。
【発明の効果】
【0009】
上記ターボ圧縮機においては、回転軸を回転可能に支持する支持部は、回転軸上に少なくとも3個のローラを備えている。各ローラには軸支部が備えられており、各ローラは軸支部を介してローラ軸受部によってハウジングに回転可能に支持されている。そのため、各ローラは回転軸の回転に伴って回転することとなる。そして、ローラにおける回転軸との駆動伝達部の直径は、回転軸におけるローラとの駆動伝達部の直径よりも大きいため、ローラの回転数は、回転軸の回転数よりも小さくなる。これにより、回転軸が各ローラを介してローラ軸受部によって軸受されていない場合に比べると、ローラ軸受部に対して必要とされる耐久性を低くすることができる。その結果、ローラ軸受部を高価な高耐久性の材料によって形成する必要がなく、より安価にローラ軸受部を構成することができるため、コスト面で有利となる。また、各ローラは回転軸の回転に伴って回転するため、両者の間の摩擦の発生が大幅に低減されている。これにより、ローラに必要とされる耐久性を低くすることができるため、より安価にローラを構成することができ、これによってもコスト面で有利となる。
【0010】
また、回転軸の軸受機構として磁気軸受機構を採用する場合に比べて、磁気発生装置や磁力制御装置を要しないため、回転軸を支持する支持部を小さくすることができる。これにより、装置全体を小型化することができる。
【0011】
また、各ローラは回転軸上に設けられているため、低速回転から高速回転のいずれにおいても、回転軸に接触して支持していることから、低速回転時における軸振れの発生が抑制される。そのため、低速回転時におけるターボ圧縮機の性能低下を抑制することができる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、高速回転を行うターボ圧縮機の小型化ができるとともに、低速回転時におけるターボ圧縮機の性能低下が抑制され、コスト面で有利となるターボ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1参考例における、ターボ圧縮機の断面図。
図2図1における、II−II線位置断面図。
図3図1における、ローラ周辺の一部拡大図。
図4参考例の変形例における、ターボ圧縮機の断面一部拡大図。
図5参考例のさらなる変形例における、ターボ圧縮機の断面一部拡大図。
図6】実施例における、ターボ圧縮機の断面図。
図7図6における、VII−VII線位置断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のターボ圧縮機は、例えば、燃料電池装置や空調装置に圧縮流体を供給する用途等に使用することができる。また、本発明のターボ圧縮機に備えられる圧縮機としては、遠心圧縮機や軸流圧縮機を採用することができる。
【0015】
本発明のターボ圧縮機において、「ローラにおける回転軸との駆動伝達部」とは、ローラにおいて回転軸が接するように構成されている部分をいうものとする。また、「回転軸におけるローラとの駆動伝達部」とは、回転軸においてローラが接するように構成されている部分をいうものとする。両者の駆動伝達部が互いに接することにより、回転軸の回転力がローラに伝達されて、回転軸の回転に伴ってローラが回転することとなる。
【0016】
前記ハウジングは、前記圧縮機を収容する圧縮機ハウジングと、前記モータを収容するモータハウジングと、前記圧縮機ハウジングと前記モータハウジングとの間に配置され、前記支持部を収容する軸受ハウジングとを備え、前記軸受ハウジングには、前記ローラ軸受部を収容するローラ軸受収容部が形成され、前記軸受ハウジングにより、前記少なくとも3個のローラが回転可能に支持されることが好ましい。この場合には、ローラ軸受部を保持するための保持部材を別途用意する必要がないため、部品点数の削減に寄与する。
【0017】
前記支持部は、前記少なくとも3個のローラを前記回転軸に押し付けるように、前記少なくとも3個のローラを締め付ける締付リングを備える。これにより、ローラの加工公差を吸収して各ローラを回転軸の周面に確実に接触させることができる。また、ローラ軸受部の成形精度が低い場合でも各ローラを回転軸の周面に確実に接触させることができるため、ローラ軸受部の成形精度を低くすることにより製造コストの低減を図ることができる。また、締付リングにより、各ローラが回転軸に押し付けられるため、各ローラを軸受するローラ軸受部に対する負荷が軽減される。これにより、ローラ軸受部の寿命を延ばすことができる。
【0018】
前記回転軸には、前記回転軸に加えられるスラスト荷重を受け止める一対の鍔部を備え、前記一対の鍔部の間に前記少なくとも3個のローラが配置されていることが好ましい。この場合には、各ローラは当該一対の鍔部によってスラスト方向の位置決めがなされる。さらに、当該一対の鍔部は回転軸と一体となって回転する。そして、各ローラは回転軸に接触して回転軸と同期して自転するため、各ローラの周速と回転軸の周速とを一致させることができる。その結果、各ローラと一対の鍔部との間に生じる摩擦を低減することができる。これにより、各ローラの寿命を延ばすことができる。
【実施例】
【0019】
参考例
参考例に係る圧縮機につき、図1図3を用いて説明する。
本例のターボ圧縮機1は、図1に示すように、ハウジング2に回転可能に支持された回転軸20と、回転軸20の一端側20aに連結され、回転軸20を回転させるモータ10と、回転軸20の他端側20bに連結されて回転軸20の回転に伴って回転する圧縮機3と、回転軸20においてモータ10と圧縮機3との間に、回転軸20を回転可能に支持する支持部40とを備えている。
支持部40は、回転軸20上に設けられる少なくとも3個のローラ41と、それぞれのローラ41に形成された軸支部43a、43bと、軸支部43a、43bをハウジング2に回転可能に支持するローラ軸受部42とを備える。
図3に示すように、ローラ41における回転軸20との駆動伝達部41aの直径d2は、回転軸20におけるローラ41との駆動伝達部20cの直径d1よりも大きい。
【0020】
以下、本例のターボ圧縮機1について、詳述する。
図1に示すように、回転軸20の一端側20aにはモータ10の回転子12に固定されており、他端側20cには、圧縮機3のインペラ30が固定されている。回転軸20は、鋼材の棒状部材である。回転軸20の軸方向(スラスト方向)をXとする。回転軸20において、モータ10と圧縮機3との間に位置する中央部の周面は、ローラ41の周面に当接して、ローラ41に回転軸20の回転力を伝達する駆動伝達部20cを形成している。
【0021】
圧縮機3は遠心圧縮機であって、インペラ30、吸気口31及びスクロール室32を備えており、圧縮機ハウジング33に収容されている。モータ10は固定子11と回転子12とを備え、モータハウジング13内に収容されている。固定子11は回転子12を囲むように環状に形成されており、モータハウジング13内に固定されている。回転子12は固定子11に囲まれて回転可能となっている。
【0022】
図1に示すように、支持部40は、ローラ41、軸支部43a、43b及びローラ軸受部42を備える。ローラ41は、鋼材などの耐摩耗性を有する材料により形成されている。図2に示すように、本例では、ローラ41は3個備えられており、回転軸20を中心に回転軸20の径方向外側に等間隔に配設されている。ローラ41はいずれも円柱状を成している。ローラ41の周面は回転軸20の周面(駆動伝達部20c)に当接して、回転軸20の回転力が伝達される駆動伝達部41aを形成している。ローラ41の軸方向Xの両側面の中央には、それぞれ軸方向Xに突出する軸支部43a、43bが形成されている。
【0023】
支持部40は、軸受ハウジング50内に収容されている。軸受ハウジング50は、インペラ30側を形成するインペラ側軸受ハウジング51と、モータ10側を形成するモータ側軸受ハウジング52とからなる。図3に示すように、インペラ側軸受ハウジング51には、後述するローラ軸受部42aの外側レース421aの外縁に沿って凹状に形成されたローラ軸受収容部51aが設けられている。また、モータ側軸受ハウジング52には、後述するローラ軸受部42bの外側レース421bの外縁に沿ってローラ軸受収容部52aが形成されている。インペラ側軸受ハウジング51には、回転軸20が挿通される貫通孔51bが形成されている。貫通孔51bにはインペラ側軸受ハウジング51と回転軸20との隙間をシールするオイルシール53が設けられている。また、モータ側軸受ハウジング52には回転軸20が挿通される貫通孔52bが形成されている。なお、貫通孔52bにはオイルシールは設けられていない。
【0024】
図1に示すように、各ローラ41は軸支部43a、43bを介してローラ軸受部42によって回転可能に支持されている。ローラ軸受部42として、インペラ30側に配設されているローラ軸受部42aと、モータ側に配設されているローラ軸受部42bとが備えられている。図3に示すように、ローラ軸受部42a、42bはいずれもボールベアリングであって、リング状の外側レース421a(421b)及び内側レース422a(422b)と備える。そして、図示しない保持器により両者の間にボール423a(423b)が保持されている。
【0025】
ローラ軸受部42aは、その外側レース421aはインペラ側軸受ハウジング51のローラ軸受収容部51aに嵌入されて、インペラ側軸受ハウジング51に取り付けられている。そして、ローラ軸受部42aの内側レース422aの内側に、ローラ41においてインペラ30側に突出する軸支部43aが嵌入されている。また、ローラ軸受部42bは、その外側レース421bがモータ側軸受ハウジング52のローラ軸受収容部52aに嵌入されてモータ側軸受ハウジング52に取り付けられている。そして、ローラ軸受部42bの内側レース422bの内側に、ローラ41においてモータ10側に突出する軸支部43bが嵌入されている。これにより、各ローラ41は、ローラ軸受部42a、42bによって軸方向Xから挟まれるように軸受ハウジング50に保持されており、軸方向Xを軸心として自転可能に設けられている。なお、軸受ハウジング50内において、各ローラ41の駆動伝達部41aと回転軸20の駆動伝達部20cとの間には、軸受ハウジング50に設けられた図示しないオイル吐出口からモータオイルが供給されている。
【0026】
図1図3に示すように、回転軸20には一対の鍔部21が形成されている。一対の鍔部21は、回転軸20の周面において径方向外側に環状に突出したリブ状を呈している。一対の鍔部21の間隔は、ローラ41の軸方向Xの長さ(幅)と略同一となっている。そして、一対の鍔部21の間にローラ41が位置している。これにより、各ローラ41は一対の鍔部21によって軸方向Xから挟まれている。そして、回転軸20における一対の鍔部21の間における周面が各ローラ41の周面(駆動伝達部41a)に当接しており、回転軸20の駆動伝達部20cを形成している。さらに、各ローラ41の軸方向Xの側面のうち一対の鍔部21に対向する部分41bは、一対の鍔部21の側面(ローラ41に対向する面)と摺接することとなる。
【0027】
図3に示すように、各ローラ41の駆動伝達部41aの直径d2は、回転軸20における各ローラ41が接している部分(すなわち、回転軸20の駆動伝達部20c)の直径d1よりも大きくなっている。各ローラ41の駆動伝達部41aの直径d2は、回転軸20の駆動伝達部20cの直径d1よりも大きく、当該直径d1の20倍以下の大きさとすることができ、本例では、各ローラ41の駆動伝達部41aの直径d2は回転軸20の駆動伝達部20cの直径d1の5倍の大きさである。但し、本例では、ローラ41が3個備えられていることから、この場合は、各ローラ41の駆動伝達部41aの直径d2は、回転軸20の駆動伝達部20cの直径d1より大きく、回転軸20の駆動伝達部20cの直径d1の12.7倍以下の大きさとすることができる。
【0028】
本例のターボ圧縮機1は、燃料電池装置において圧縮流体を供給する用途に用いられる。ターボ圧縮機1は、モータ10の回転数が1,000〜250,000rpmの範囲で使用される。
【0029】
次に、本例の圧縮機における作用効果について、詳述する。
本例のターボ圧縮機1によれば、回転軸20を回転可能に支持する支持部40は、回転軸20上に少なくとも3個のローラ41を備えている。各ローラ41には軸支部43a、43bが備えられており、各ローラ41は軸支部43a、43bを介してローラ軸受部42によってハウジング2に回転可能に支持されている。そのため、各ローラ41は回転軸20の回転に伴って回転することとなる。そして、ローラ41における回転軸20との駆動伝達部41aの直径d2は、回転軸20におけるローラ41との駆動伝達部20cの直径d1よりも大きいため、ローラ41の回転数は、回転軸20の回転数よりも小さくなる。これにより、回転軸20が各ローラ41を介してローラ軸受部42によって軸受されていない場合に比べると、ローラ軸受部42に対して必要とされる耐久性を低くすることができる。その結果、ローラ軸受部42を高価な高耐久性の材料によって形成する必要がなく、より安価にローラ軸受部42を構成することができるため、コスト面で有利となる。また、各ローラ41は回転軸20の回転に伴って回転するため、両者の間の摩擦の発生が大幅に低減されている。これにより、ローラ41に必要とされる耐久性を低くすることができるため、より安価にローラ41を構成することができ、これによってもコスト面で有利となる。
【0030】
また、回転軸20の軸受機構として磁気軸受機構を採用する場合に比べて、磁気発生装置や磁力制御装置を要しないため、回転軸20を支持する支持部40を小さくすることができる。これにより、装置全体を小型化することができる。
【0031】
各ローラ41は回転軸20上に設けられているため、低速回転から高速回転のいずれにおいても、回転軸20に接触して支持していることから、低速回転時における軸振れの発生が抑制される。そのため、低速回転時におけるターボ圧縮機1の性能低下が抑制される。本例では、ターボ圧縮機1は燃料電池装置において圧縮流体を供給する用途に用いられるため、モータ10の回転数が1,000〜250,000rpmの広い範囲で使用される。そして、燃料電池装置では、1,000〜50,000rpm程度の低速回転時におけるターボ圧縮機1の性能が、その燃費に大きく影響する。上述のように、本例のターボ圧縮機1は、低速回転時の性能低下が抑制されるため、燃料電池装置用のターボ圧縮機として好適に使用することができる。
【0032】
また、本例では、ハウジング2は、圧縮機3を収容する圧縮機ハウジング33と、モータ10を収容するモータハウジング13と、圧縮機ハウジング33とモータハウジング13との間に配置され、支持部40を収容する軸受ハウジング50とを備え、軸受ハウジング50には、ローラ軸受部42を収容するローラ軸受収容部51a、52aが形成され、軸受ハウジング50により、ローラ41が回転可能に支持されている。これにより、ローラ軸受部42を保持するための保持部材を別途用意する必要がないため、部品点数の削減に寄与する。
【0033】
また、本例では、回転軸20には、回転軸20に加えられるスラスト荷重を受け止める一対の鍔部21を備え、一対の鍔部21の間に3個のローラ41が配置されている。これにより、各ローラ41は当該一対の鍔部21によってスラスト方向(軸方向X)の位置決めがなされる。さらに、当該一対の鍔部21は回転軸20と一体となって回転する。そして、各ローラ41は回転軸20に接触して回転軸20と同期して自転するため、各ローラ41の周速と回転軸20の周速とを一致させることができる。その結果、各ローラ41と一対の鍔部21との間に生じる摩擦を低減することができる。これにより、各ローラ41の寿命を延ばすことができる。
【0034】
モータ10に対して軸方向Xの両方側に回転軸20を取り付けたいわゆる両持ち構成の場合には回転軸20に生じるスラスト力はある程度相殺されるため、回転軸20には大きなスラスト力は生じにくい。しかし、本例ではモータ10に対して軸方向Xの一方側にのみ回転軸20を取り付けたいわゆる片持ち構成を採用しているため、スラスト力が相殺されにくいことから、両持ち構成の場合に比べて回転軸20に大きなスラスト力が生じやすい。しかし、上述の通り、各ローラ41と一対の鍔部21との間における摩擦の発生を低減することができることにより、回転軸20に比較的大きなスラスト力が生じても各ローラ41への影響を低減できる。
【0035】
また、図1図3に示すように、支持部40において、ローラ41は軸方向Xに延びる円柱状であって、ローラ41の周面である駆動伝達部41aと、回転軸20の周面である駆動伝達部20cとは軸方向Xに線接触している。そのため、両者の接触範囲を軸方向Xに広く確保することができる。これにより、支持部40において回転軸20が十分に支持されるため、回転軸20に対して高い保持力が得られる。その結果、回転軸20がモータ10における軸方向Xの一方側にのみ接続されたいわゆる片持ち構成を採用した場合においても、当該回転軸20を介して重量が比較的大きいモータ10を支えることができる。そして、本例のターボ圧縮機1はかかる片持ち構成を採用することにより、回転軸がモータ10における軸方向Xの両側に接続されたいわゆる両持ち構成の場合に比べて、装置全体が小型化されている。
なお、軸方向Xに小型化することを要しない場合には、モータ10の軸方向Xの両方に回転軸20を備える両持ち構造としてもよい。
【0036】
本例では、3個のローラ41を備えることとしたが、これに限らず、4個以上のローラ41を備えていてもよい。また、本例では、3個のローラ41はすべて同一の直径を有することとしたが、これに限らず、一部のローラの直径が他のローラの直径と異なっていてもよい。
【0037】
また、本例では、ローラ軸受部42として、ボールベアリングを採用したが、これに限らず、公知の軸受機構を採用することができる。例えば、図4に示すようにローラ軸受部42として、プレーンベアリングを採用してもよい。具体的には、図4に示すように、ローラ41の軸支部43a、43b(図3参照)の直径を大きくした軸支部431a、431bを形成するとともに、軸支部431aをインペラ側軸受ハウジング51のローラ軸受収容部51aに嵌め込み、軸支部431bをモータ側軸受ハウジング52のローラ軸受収容部52aに嵌め込むことでプレーンベアリングによるローラ軸受部420が形成されている。この変形例においても、参考例の場合と同等の作用効果を奏する。
【0038】
また、本例では、一対の鍔部21をリブ状に形成したが、これに限らず、図5に示すように、回転軸20の周面に環状の溝210を形成してその軸方向Xの両方の壁面を一対の鍔部210a、210bとしてもよい。溝210の軸方向Xの長さ(幅)はローラ41の軸方向Xの長さ(幅)と一致している。ローラ41が溝210に嵌め込まれることにより、ローラ41は軸方向(スラスト方向)Xにおいて位置決めされることとなる。この変形例においても、参考例の場合と同等の作用効果を奏する。
【0039】
以上のごとく、本例によれば、高速回転を行うターボ圧縮機1の小型化ができるとともに、低速回転時におけるターボ圧縮機1の性能低下が抑制され、コスト面で有利となるターボ圧縮機1を提供することができる。
【0040】
(実施例
本例のターボ圧縮機1は、参考例におけるモータ側軸受ハウジング52(図1参照)に替えて、図6に示すモータ側軸受ハウジング520を備えるとともに、保持部材54及び締付リング60を備える。その他の構成要素は参考例の場合と同様であり、本例においても参考例の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、モータ側軸受ハウジング520には、ローラ軸受収容部52a(図3参照)は形成されておらず、ローラ41のモータ10側に保持部材54が設けられている。保持部材54は略円形の板状部材であって、インペラ側軸受ハウジング51に立設された柱状の脚部55を介して、3個のローラ41のモータ10側に取り付けられている。保持部材54のローラ41に対向する部分には、ローラ軸受部42bに沿うローラ軸受収容部54aが形成されている。また、保持部材54の中央には回転軸20が挿通される貫通孔54bが形成されている。
【0042】
保持部材54の貫通孔54bに回転軸20が挿通された状態で、保持部材54は長ネジ56を介して、脚部55に締結固定されることにより、当該ローラ軸受収容部54aにローラ軸受部42bが嵌入される。これにより、ローラ軸受部42bが保持部材54に保持されることとなる。そして、参考例の場合と同様に、支持部40において、ローラ軸受部42a、42bによって各ローラ41が回転可能に設けられる。
【0043】
支持部40は、図6図7に示すように、3個のローラ41を一括して回転軸20の周面(駆動伝達部20c)に押し付けるように、3個のローラ41を締め付ける締付リング60を備える。締付リング60は帯状に形成されたリング部材であって、その幅(軸方向Xの長さ)はローラ41の幅よりも若干小さい。そして、図7に示すように、締付リング60は回転軸20と同心円となるように配設されており、締付リング60の内径d3は、回転軸20一個分の直径とローラ41二個分の直径とを合わせた長さとなっている。これにより、締付リング60の内面60aには、3個のローラ41のそれぞれの周面(駆動伝達部41a)が接することとなっている。なお、脚部55は、隣り合うローラ41の間に位置して、締付リング60の内面60aよりも回転軸20側に位置している。そのため、脚部55は締付リング60の内面60aに接していない。
【0044】
図6に示すように、軸受ハウジング50内において、各ローラ41の周面である駆動伝達部41aと回転軸20の周面である駆動伝達部20cとが接している。そして、両者の間には、図示しないオイル吐出口からトラクションオイルが供給されている。モータ側軸受ハウジング520には、回転軸20が挿通されている貫通孔520bが形成されている。貫通孔520bには、モータ側軸受ハウジング520と回転軸20との隙間をシールするオイルシール531が設けられている。
【0045】
次に、本例のターボ圧縮機1における作用効果について、詳述する。
本例では、支持部40が、締付リング60を備えることにより、ローラ41の加工公差を吸収して各ローラ41を回転軸20の周面(駆動伝達部20c)に確実に接触させることができる。また、ローラ軸受部42の成形精度が低い場合でも各ローラ41を回転軸20の周面(駆動伝達部20c)に確実に接触させることができるため、ローラ軸受部42の成形精度を低くすることにより製造コストの低減を図ることができる。また、締付リング60により、各ローラ41が回転軸20に押し付けられるため、各ローラ41を軸受するローラ軸受部42に対する負荷が軽減される。これにより、ローラ軸受部42の寿命を延ばすことができる。
【0046】
また、本例では、支持部40において、潤滑油として供給されているトラクションオイルが供給されている。そして、締付リング60によって各ローラ41が回転軸20に常に押し付けられている。これにより、ローラ41の周面(駆動伝達部41a)と回転軸20の周面(駆動伝達部20c)との間に入り込んだトラクションオイルが大きな圧縮力で圧縮されることにより当該トラクションオイルが瞬間的にガラス化する。これにより、ローラ41の駆動伝達部41aと回転軸20の駆動伝達部20cとの間の摩擦力が大きく上昇して、ローラ41の回転軸20に対する滑りが防止され、ローラ41は回転軸20の回転に確実に同期して自転することとなる。これにより、ローラ41の摩耗が防止されて、ローラ41の寿命を延ばすことができる。なお、トラクションオイルは導電性を有したり、高い粘度を有することから、モータ側軸受ハウジング520の貫通孔520bからモータ10側に漏えいすることを確実に防止するために、貫通孔520bに設けられたオイルシール531により、モータ側軸受ハウジング520と回転軸20との隙間がシールされている。
【0047】
本例では、参考例の場合と比較して、モータ側軸受ハウジング520にはローラ軸受部42bが嵌入されるローラ軸受収容部52a(図3参照)が形成されておらず、モータ10側にローラ軸受部42bが嵌入されるローラ軸受収容部54aを有する保持部材54が設けられている。すなわち、ローラ軸受部42bはモータ側軸受ハウジング520によって保持されておらず、保持部材54によって保持されている。一方、インペラ30側のローラ軸受部42aは、インペラ側軸受ハウジング51のローラ軸受収容部51aに嵌入されて保持されている。これに替えて、インペラ側軸受ハウジング51にローラ軸受収容部51aを形成しないとともに、インペラ30側にローラ軸受部42aが嵌入されるローラ軸受収容部を有する保持部材54が設けられていることとしてもよい。
【0048】
なお、本例のターボ圧縮機1は、参考例においてローラ軸受部42がモータ側軸受ハウジング52のローラ軸受収容部52aを介して軸受ハウジング50に保持されていることによる作用効果を除いて、参考例の場合と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
1 ターボ圧縮機
2 ハウジング
3 圧縮機
10 モータ
20 回転軸
20c、41a 駆動伝達部
30 インペラ
40 支持部
41 ローラ
42、42a、42b ローラ軸受部
43a、43b、431a、431b 軸支部
50 軸受ハウジング
51a、52a、54a ローラ軸受収容部
54 保持部材
60 締付リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7