(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記締付機構は、前記タンクの前記支持機構と反対側で前記アッパーフレーム上に設けられた取付具と、前記取付具と前記支持機構とに掛け渡されることにより前記タンクをアッパーフレーム側及び前記支持機構側に締め付けるための少なくとも1つの締付部材とを備え、
前記2つの位置決め面は、上に向けて互いに締付直交方向に広がるように配置されている、請求項3に記載の上部旋回体。
前記支持機構は、前記締付直交方向における前記補給口の両側位置で前記タンク本体の側面を支持するために前記アッパーフレーム上に立設された一対の支持部材をさらに備え、
前記位置決め部材は、前記一対の支持部材同士を連結する、請求項3〜5の何れか1項に記載の上部旋回体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の建設機械では、支持機構の平坦面(平板状の前面板)、及び、アッパーフレームの平坦面(燃料タンク載置板の上面)に対してタンクが押し付けられた状態で当該タンクがアッパーフレーム上に取り付けられている。
【0008】
前記のような建設機械では、例えば、次のようにタンクをアッパーフレーム上に組み付けることができる。
【0009】
まず、タンクが予め設定された取付位置となるように、支持機構及びアッパーフレームの平坦面に沿って目測でタンクをアッパーフレームに配置し、この状態で、締付部材を支持機構と取付具との間に架け渡す。
【0010】
しかし、上記のようにタンクを取り付ける場合、タンクの配置を目測で行っているため、タンクがアッパーフレームに対して取付位置から外れた位置に配置された状態で締付部材が架け渡されてしまうおそれがある。
【0011】
また、タンクの取付後の状態においては、タンクが支持機構及びアッパーフレームの平坦面に対して締め付けられているため、建設機械の振動等に応じてタンクが支持機構及びアッパーフレームに対して移動するおそれがある。具体的に、平面視においてタンクが支持機構に締め付けられる方向と直交する方向(以下、締付直交方向という)にタンクが移動するおそれがある。
【0012】
したがって、前記のようにタンクが取付位置から外れた状態で組み付けられた後、タンクが締付直交方向に移動すると、締付部材の必要長さが変化する結果、締付部材が緩み、タンクの拘束が不十分になるおそれがある。特に、タンクの外側面に凹凸が形成されている場合、前記締付部材の緩みは顕著となる。
【0013】
本発明の目的は、タンクの組み付け時に締付直交方向にタンクを位置決めすることができる上部旋回体及びこれを備えた建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、建設機械の下部走行体上に設けられ、タンク本体とタンク本体から突出する補給口とを有するタンクが取り付けられる上部旋回体であって、前記下部走行体上に設けられたアッパーフレームと、前記アッパーフレーム上に設けられ、前記アッパーフレーム上に予め設定された取付位置に配置された前記タンク本体の側面を支持するための支持機構と、前記タンクを前記支持機構に締め付けることにより当該タンクを前記アッパーフレーム上に取り付けるための締付機構とを備え、前記タンクの補給口は、前記支持機構により支持される前記タンク本体の側面から当該支持機構側に突出し、前記支持機構は、前記取付位置に配置された前記タンクの補給口に対し、平面視において前記タンクが前記支持機構に締め付けられる方向と直交する締付直交方向に接触可能な少なくとも1つの位置決め面を備えている、上部旋回体を提供する。
【0015】
本発明によれば、支持機構が位置決め面を有しているため、タンクの補給口が支持機構の位置決め面に対して締付直交方向に接触するようにタンクを支持機構に対して組み付けることにより、タンクが取付位置に配置されるようにタンクを締付直交方向に位置決めすることができる。
【0016】
また、本発明によれば、位置決め面が取付位置に配置されたタンクの補給口に接触するため、締付部材によりタンクが締め付けられた後においてもタンクと位置決め面とが接触した状態を維持する。したがって、タンクの締付後において建設機械の振動等に応じてタンクが支持機構に対して締付直交方向に移動することも抑制することができる。
【0017】
なお、本発明において『締付直交方向に接触する』とは、タンクの補給口に対して支持機構が直接接触する場合に限らず、これらの間に緩衝材を設ける場合には、補給口と支持機構とが緩衝材を介して間接的に接触する場合も含む。
【0018】
位置決め面は少なくとも1つ設けられていればよいが、前記支持機構は、前記補給口の前記締付直交方向の両側面に接触可能な2つの位置決め面を備えていることが好ましい。
【0019】
この態様によれば、タンクの組み付け時及びタンクの組み付け後の何れの状況においてもタンクを締付直交方向に固定することができる。
【0020】
したがって、タンクの組み付け時においては締付部材を掛け渡す際にタンクを保持する手間が軽減されるとともに、タンクの組み付け後においては建設機械の振動等によるタンクの移動を規制することができる。
【0021】
ここで、2つの位置決め面を有する部材として、例えば、補給口の突出方向に貫通する貫通穴を有する部材を用いてもよいが、この場合、タンクの組み付け時にアッパーフレーム上にタンクを載置しつつ貫通穴に対して側方から補給口を挿入することが必要となり、作業が煩雑となる。
【0022】
そこで、前記支持機構は、前記補給口が上から挿入されるのを許容するように前記補給口の突出方向に貫通するとともに上向きに開く切欠部が形成された位置決め部材を有し、前記切欠部の内側面は、前記2つの位置決め面を含むことが好ましい。
【0023】
この態様によれば、タンクの組み付け時に、アッパーフレーム上にタンクを載置するのと同時に当該タンクの補給口を上から切欠部に挿入することにより、タンクを締付直交方向に位置決めすることができる。
【0024】
したがって、前記態様によれば、効率よくタンクの位置決めを行うことができる。
【0025】
また、前記態様では、切欠部が位置決め部材を補給口の突出方向に貫通しているため、作業員は、位置決め部材のタンクと反対側の位置から容易に補給作業を行うことができる。
【0026】
ここで、締付機構は、支持機構に接続された両端部と当該両端部間でタンクの周囲に掛け回された中間部とを有する締付部材を備えていてもよいが、この場合、アッパーフレームに対してタンクを拘束するための構成を別途設ける必要がある。
【0027】
そこで、前記締付機構は、前記タンクの前記支持機構と反対側で前記アッパーフレーム上に設けられた取付具と、前記取付具と前記支持機構とに掛け渡されることにより前記タンクをアッパーフレーム側及び前記支持機構側に締め付けるための少なくとも1つの締付部材とを備えていてもよい。
【0028】
この場合、前記2つの位置決め面を上に向けて互いに締付直交方向に広がるように配置すると、締付部材によるアッパーフレーム側への締付力を利用して補給口と支持機構とを強く接触させることができ、タンクに対する締付直交方向の大きな拘束力を得ることができる。
【0029】
一方、前記締付力が大きすぎると、タンク及び支持機構の少なくとも一方に対する負荷が大きくなり好ましくない。
【0030】
そこで、2つの位置決め面が上に向けて互いに締付直交方向に広がるように配置されている場合に、前記切欠部の内側面は、前記タンクが予め設定された高さ位置に配置された状態で前記補給口に下から接触可能な支持面をさらに含むことが好ましい。
【0031】
この態様によれば、締付部材によってタンクが予め設定された高さ位置まで締め付けられた状態で補給口が支持面に接触して、タンクが必要以上にアッパーフレーム側に締め付けられるのを防止することができる。
【0032】
これにより、締付部材による締付力を利用してタンクに対する締付直交方向の大きな拘束力を確保しつつ、タンク及び支持機構に対する負荷を抑えることができる。
【0033】
前記上部旋回体において、前記支持機構は、前記締付直交方向における前記補給口の両側位置で前記タンク本体の側面を支持するために前記アッパーフレーム上に立設された一対の支持部材をさらに備え、前記位置決め部材は、前記一対の支持部材同士を連結することが好ましい。
【0034】
この態様によれば、一対の支持部材が締付直交方向における補給口の両側位置に設けられているため、補給作業の効率を維持しつつタンク本体の側面を支持することができる。
【0035】
さらに、前記態様によれば、位置決め部材を一対の支持部材を補強するための梁として利用することができるので、タンク本体の側面の支持をより確実に行うことができる。
【0036】
また、本発明は、建設機械であって、下部走行体と、前記下部走行体上に設けられた前記上部旋回体と、前記上部旋回体のアッパーフレーム上に予め設定された取付位置に取り付けられたタンク本体と前記支持機構により支持される前記タンク本体の側面から当該支持機構側に突出する補給口とを有するタンクとを備えている、建設機械を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、タンクの組み付け時に締付直交方向にタンクを位置決めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0040】
<第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る建設機械の一例である油圧ショベル1は、一対のクローラ2aを有する下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に対して変位可能に取り付けられた作業アタッチメント4とを備えている。
【0041】
作業アタッチメント4は、上部旋回体3に取り付けられた基端部を有するブーム5と、ブーム5の先端部に取り付けられた基端部を有するアーム6と、アーム6の先端部に取り付けられたバケット7とを備えている。
【0042】
また、作業アタッチメント4は、上部旋回体3に対してブーム5の先端部を上げ下げ駆動するブームシリンダ8と、ブーム5に対してアーム6を回転駆動するアームシリンダ9と、アーム6に対してバケット7を回転駆動するバケットシリンダ10とを備えている。
【0043】
図1及び
図2を参照して、上部旋回体3は、下部走行体2上に設けられたアッパーフレーム11と、それぞれアッパーフレーム11上に設けられた、キャブ12、燃料タンク14、還元剤タンク(タンクの一例)15、エンジン16、及び固定機構17とを備えている。なお、キャブ12内の運転席に着座したオペレータから見た方向を用いて以下説明する。
【0044】
アッパーフレーム11は、下部走行体2に対して旋回可能に取り付けられた底板11aと、底板11a上に立設された一対の縦板11bとを備えている。縦板11bは、左右方向に対向するとともに前後方向に延びる。縦板11bの前端部には、ブーム5の基端部が取り付けられている。
【0045】
キャブ12は、アッパーフレーム11の前部における左の縦板11bの左側に配置されている。
【0046】
燃料タンク14は、両縦板11bのキャブ12と反対側に設けられている。具体的に、燃料タンク14は、右の縦板11bの右側に設けられた燃料タンク本体14aと、燃料タンク本体14a上に設けられた給油口14bとを備えている。燃料タンク本体14aは、底板11aの右の外縁部に沿って前後方向に延びている。
【0047】
還元剤タンク15は、エンジン16からの排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元するための液体還元剤(例えば、尿素水)を収納する。また、還元剤タンク15は、前後方向に延びる燃料タンク本体14aの上面(以下、載置面14cという)に設けられている。
【0048】
エンジン16は、キャブ12、燃料タンク14及び還元剤タンク15の後ろの位置で両縦板11b上に設けられている。
【0049】
図3〜
図6を参照して、還元剤タンク15は、載置面14c上に載置された樹脂製の還元剤タンク本体18と、還元剤タンク本体18に液体還元剤を補給するための補給口19と、還元剤タンク本体18内の液体還元剤を加熱するためのヒータユニット20とを備えている。
【0050】
還元剤タンク本体18は、燃料タンク14(載置面14c)に沿って前後方向に延びている。また、還元剤タンク本体18は、当該還元剤タンク本体18の前後方向の両端部に設けられた一対のバンド挿入溝18aを備えている。
【0051】
バンド挿入溝18aは、後述するバンド23aを挿入するために還元剤タンク本体18の右側面及び上面を窪ませることにより形成されている。具体的に、バンド挿入溝18aは、当該バンド挿入溝22の底面として、左側に向く左側面と、上に向く上面とを備えている。
【0052】
補給口19は、還元剤タンク本体18の左側面18b(後述する支持機構21により支持される側面)から左側(支持機構21側)に突出する。具体的に、補給口19は、還元剤タンク本体18の左側面18bの上部から左に向かうに従い上向きに傾斜するように延びる。また、補給口19は、
図5に示すように、左側面視において、上に向かうに従い互いに前後方向に離間するように配置された一対の側面19aと、両側面19aの下端部同士を連結する下面19bとを備えている。
【0053】
図3〜
図6を参照して、固定機構17は、載置面14c上に予め設定された取付位置に還元剤タンク15を固定するためのものである。なお、取付位置は、還元剤タンク15を確実に固定するために固定機構17に対する還元剤タンク15の位置として予め設定されたものである。具体的に、第1実施形態において、取付位置は、平面視において、後述する取付板26の係止穴26aと取付具22の係止穴22aとを結ぶ直線上に還元剤タンク15のバンド挿入溝18aが配置された位置(
図4に示す位置)である。
【0054】
固定機構17は、取付位置に配置された還元剤タンク15に隣接して載置面14c上に設けられた支持機構21と、還元剤タンク15(取付位置)の支持機構21と反対側で載置面14c上に設けられた前後一対の取付具(締付機構)22と、取付具22と支持機構21とに掛け渡されていることにより還元剤タンク15を載置面14c側(アッパーフレーム側)及び支持機構21側に締め付ける前後一対の締付部材(締付機構)23と、還元剤タンク15の底面と載置面14cとの間に設けられた前後一対の底面緩衝材24(
図3で1つのみ示す)とを備えている。
【0055】
支持機構21は、取付位置に配置された還元剤タンク本体18の左側面18bを支持するためのものである。具体的に、支持機構21は、前後方向に互いに離れた位置で載置面14c上に立設された前後一対の支持部材25と、各支持部材25の上端部に設けられた一対の取付板26と、支持部材25同士を連結する位置決め部材27及び補強梁28と、位置決め部材27及び補強梁28の右側面に取り付けられた側面緩衝材29a〜29c(
図3において位置決め部材27及び補強梁28と分離した状態を示す)とを備えている。
【0056】
支持部材25は、還元剤タンク15の補給口19の前後方向の両側位置で還元剤タンク本体18の左側面18bを支持するためのものである。具体的に、両支持部材25は、取付位置に配置された還元剤タンク15の補給口19の前後方向の両側に設けられている。
【0057】
取付板26は、支持部材25の上端面に取り付けられ、締付部材23のフック23bを係止するための係止穴26aを有する。
【0058】
位置決め部材27は、還元剤タンク15の組み付け時に当該還元剤タンク15が取付位置に配置されるように当該還元剤タンク15を前後方向に位置決めするためのものである。具体的に、位置決め部材27は、支持部材25同士を連結する連結板27aと、連結板27aに取り付けられた緩衝材27bとを備えている。
【0059】
連結板27aの前後方向の両端部は、それぞれ支持部材25の右側面に固定されている。また、連結板27aの両支持部材25の間の部分には、還元剤タンク15の補給口19が上から挿入されるのを許容する切欠部27cが形成されている。切欠部27cは、還元剤タンク本体18から補給口19が突出する方向(右から左に向かう方向)に連結板27aを貫通するとともに上向きに開く。切欠部27cの内側面は、前後方向に対向する2つの位置決め面27dと、位置決め面27dの下部同士を連結する円弧状の支持面27eとを含んでいる。
【0060】
両位置決め面27dは、取付位置に配置された還元剤タンク15の補給口19の両側面19aに対して前後方向に接触可能である。具体的に、両位置決め面27dは、上に向けて前後方向に広がるように配置されているとともに、切欠部27c内に上から挿入された補給口19の両側面19aに前後方向に接触可能な間隔で設けられている。
【0061】
支持面27eは、還元剤タンク15が予め設定された高さ位置まで下がったときに、補給口19の下面19bに接触する位置に設けられている。ここで、前記高さ位置は、例えば、後述する締付部材23によって還元剤タンク15が適切に締め付けられたときに、当該還元剤タンク15が配置される高さ位置である。
【0062】
なお、両位置決め面27d及び支持面27eは、緩衝材27bを介して間接的に補給口19に接触する。
【0063】
緩衝材27bは、金属製の連結板27aと樹脂製の補給口19とが直接接触して当該補給口19が破損するのを防止するためのものであり、切欠部27cの内側面に沿って設けられた弾性部材である。
【0064】
補強梁28は、位置決め部材27の下で両支持部材25を連結する。
【0065】
側面緩衝材29a及び29bは、両支持部材25に固定された位置決め部材27の前後の端部の右側面に取り付けられた弾性部材である。一方、側面緩衝材29cは、補強梁28の右側面に取り付けられた弾性部材である。これら側面緩衝材29a〜29cによって、金属製の位置決め部材27及び補強梁28と樹脂製の還元剤タンク本体18とが直接接触するのを防止することにより、当該還元剤タンク18の破損を抑制することができる。
【0066】
同様に、底面緩衝材24も、金属製の燃料タンク14と樹脂製の還元剤タンク本体18とが直接接触するのを防止するために、還元剤タンク本体18の底面と載置面14cとの間に設けられたものである。
【0067】
取付具22は、締付部材23のフック23bを係止するための係止穴22aを有する。
【0068】
締付部材23は、還元剤タンク15のバンド挿入溝18a内の上面及び右側面に沿って配置されるバンド23aと、バンド23aの両端部に設けられたフック23bとを備えている。締付部材23が還元剤タンク15の上面及び右側面に沿って配置された状態で取付板26と取付具22との間に掛け渡されることにより、還元剤タンク15は載置面14c側及び支持機構21側に締め付けられる。
【0069】
そして、前記上部旋回体3では、還元剤タンク15を組み付ける際に、平面視において還元剤タンク15が支持機構21に締め付けられる方向(右から左に向かう方向)と直交する締付直交方向(前後方向)に還元剤タンク15を位置決めすることができる。以下、還元剤タンク15の組み付け手順について説明する。
【0070】
まず、補給口19を支持機構21の切欠部27cに上から挿入しつつ載置面14c(底面緩衝材24)上に還元剤タンク本体18を載置する。これにより、補給口19の両側面19aが切欠部27cの両位置決め面27dに前後方向に接触するため、還元剤タンク15が取付位置に配置されるように、当該還元剤タンク15は前後方向(締付直交方向)に位置決めされる。
【0071】
この状態で、取付板26と取付具22との間に締付部材23を掛け渡すことにより、還元剤タンク15は、アッパーフレーム11側(載置面14c側)及び支持機構21側に締め付けられる。
【0072】
両位置決め面27dは、上に向けて前後方向に広がるように配置されているため、前記の締め付けに応じて、還元剤タンク15に対する前後方向の拘束力が増加する。一方、前記の締付により還元剤タンク15が予め設定された高さ位置まで下がると、補給口19の下面19bに対して切欠部27cの支持面27eが下から接触することにより、前記拘束力の必要以上の増加が抑制される。
【0073】
以上説明したように、支持機構21が位置決め面27dを有している。そのため、還元剤タンク15の補給口19が支持機構21の位置決め面27dに対して締付直交方向(前後方向)に接触するように還元剤タンク15を支持機構21に対して組み付けることにより、還元剤タンク15が取付位置に配置されるように還元剤タンク15を締付直交方向に位置決めすることができる。
【0074】
また、位置決め面27dが取付位置に配置された還元剤タンク15の補給口19に接触するため、締付部材23により還元剤タンク15が締め付けられた後においても還元剤タンク15と位置決め面27dとが接触した状態を維持する。したがって、還元剤タンク15の締付後において油圧ショベル1の振動等に応じて還元剤タンク15が支持機構21に対して締付直交方向に移動することも抑制することができる。
【0075】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0076】
第1実施形態によれば、補給口19の両側面19aに接触する2つの位置決め面27dを有するため、還元剤タンク15の組み付け時及び還元剤タンク15の組み付け後の何れの状況においても還元剤タンク15を締付直交方向に固定することができる。
【0077】
したがって、還元剤タンク15の組み付け時においては締付部材23を掛け渡す際に還元剤タンク15を保持する手間が軽減されるとともに、還元剤タンク15の組み付け後においては油圧ショベル1の振動等による還元剤タンク15の移動を規制することができる。
【0078】
第1実施形態によれば、還元剤タンク15の組み付け時に、アッパーフレーム11上に還元剤タンク15を載置するのと同時に当該還元剤タンク15の補給口19を上から切欠部27cに挿入することにより、還元剤タンク15を締付直交方向に位置決めすることができる。
【0079】
したがって、効率よく還元剤タンク15の位置決めを行うことができる。
【0080】
第1実施形態によれば、締付部材23によって還元剤タンク15が予め設定された高さ位置まで締め付けられた状態で補給口19が支持面27eに接触して、還元剤タンク15が必要以上にアッパーフレーム11側に締め付けられるのを防止することができる。
【0081】
これにより、締付部材23による締付力を利用して還元剤タンク15に対する締付直交方向の大きな拘束力を確保しつつ、還元剤タンク15及び支持機構21に対する負荷を抑えることができる。
【0082】
第1実施形態によれば、一対の支持部材25が締付直交方向における補給口19の両側位置に設けられているため、補給作業の効率を維持しつつ還元剤タンク本体18の側面を支持することができる。
【0083】
さらに、位置決め部材27を一対の支持部材25を補強するための梁として利用することができるので、還元剤タンク本体18の側面の支持をより確実に行うことができる。
【0084】
<第2実施形態>
第1実施形態では、一対の支持部材25を連結する位置決め部材27に位置決め面27dを形成しているが、位置決め面27dは、支持機構21に設けられていればよい。
【0085】
図7に示す第2実施形態では、還元剤タンク15の左側面を支持する支持部材32に対して切欠部32aを形成し、この切欠部32aの内側面は、補給口19の側面19aに接触する位置決め面を含んでいる。
【0086】
また、第1実施形態では、一対の位置決め面27dが設けられているが、位置決め面は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0087】
第2実施形態の切欠部32aは、還元剤タンク15の補給口19の後ろ向きの側面19aのみに接触する位置決め面を有する。つまり、切欠部32aは、上方及び前方に開くように形成されている。
【0088】
第2実施形態においても、還元剤タンク15の組み付け時に、補給口19が切欠部32aの内側面に接触するように、還元剤タンク15を載置面14c上に載置することにより、還元剤タンク15を前後方向(締付直交方向)に位置決めすることができる。
【0089】
さらに、第1実施形態では、2つの締付部材23が設けられているが、締付部材は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0090】
第2実施形態では、補給口19が還元剤タンク本体18の前端部に設けられており、補給口19の後ろ側で還元剤タンク本体18を締め付ける1つの締付部材34が設けられている。
【0091】
締付部材34は、第1実施形態のバンド23aよりも広い幅を持つバンド34aと、バンド34aの端部のそれぞれに設けられた一対のフック34bとを備えている。前記支持部材32には、一対のフック34bを係止するための係止穴が形成された一対の取付板33が設けられている。
【0092】
支持部材32に切欠部32aを設ける点、1つの位置決め面を有する点、及び1つの締付部材34を設ける点は、個別に適用することもできる。
【0093】
なお、切欠部32aの内側面と補給口19との間に緩衝材を設けてもよい。
<第3実施形態>
前記実施形態では、上方に開く切欠部27c、32aの内側面を位置決め面として利用しているが、
図8に示す第3実施形態のように、貫通穴30aの内側面を位置決め面として利用することもできる。
【0094】
第3実施形態では、還元剤タンク本体18の側面を支持する支持部材30に貫通穴30aが設けられている。また、支持部材30には、締付部材を係止するための係止穴が形成された取付板31が設けられている。
【0095】
貫通穴30aの内側面は、補給口19の両側面に対し前後方向に接触可能な2つの位置決め面を含んでいる。そのため、補給口19を貫通穴30a内に挿入しつつ還元剤タンク15を載置面14c上に載置することにより、当該還元剤タンク15を前後方向に位置決めすることができる。
【0096】
なお、貫通穴30aは、支持機構21に設けられていればよく、例えば、第1実施形態の位置決め部材27に貫通穴を設けることもできる。
【0097】
また、貫通穴30aの内側面と補給口19との間に緩衝材を設けてもよい。
【0098】
上述した第1〜第3実施形態を組み合わせることもできる。
【0099】
なお、燃料タンク14(載置面14c)上に設けられた還元剤タンク15及び固定機構17について説明したが、還元剤タンク15及び固定機構17の設置位置は、アッパーフレーム上であれば、特に限定されない。
【0100】
補給口19に下から接触する支持面27eを有する支持機構21について説明したが、支持面27eを省略することもできる。
【0101】
締付直交方向の一例として前後方向を挙げているが、締付直交方向は、還元剤タンク15を載置面14cに締め付ける方向及び還元剤タンク15を支持機構21に締め付ける方向と直交する方向であれば、特に限定されない。
【0102】
位置決め面を有するタンクは、還元剤タンク15に限定されない。例えば、燃料タンク14及び作動油タンク(図示せず)等に位置決め面を形成して、そのタンクを固定機構17によって固定することもできる。