特許第6225853号(P6225853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧
<>
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000002
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000003
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000004
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000005
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000006
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000007
  • 特許6225853-回転電機のステータおよび電動圧縮機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225853
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】回転電機のステータおよび電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20171030BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H02K3/50 Z
   H02K3/34 D
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-161173(P2014-161173)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-39692(P2016-39692A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深作 博史
(72)【発明者】
【氏名】米良 実
(72)【発明者】
【氏名】堀場 達也
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰三
(72)【発明者】
【氏名】奥山 進一
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−160927(JP,A)
【文献】 実開平06−070458(JP,U)
【文献】 特開平10−285886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに装着されたコイルとを備える、回転電機のステータであって、
前記ステータコアは、円筒状のヨーク部と、前記ヨーク部の周方向に間隔を隔てて前記ヨーク部から前記ヨーク部の径方向内方に向けて突出する複数のティース部とを有し、前記ティース部の間には前記ヨーク部の軸方向に延びるスロットが形成されており、
前記コイルは、第1相巻線と、第2相巻線と、第3相巻線とを有し、
前記第1相巻線、前記第2相巻線、および前記第3相巻線は、各々、前記スロット内に配置されるスロット導体部と、前記ステータコアにおける前記ヨーク部の軸方向一端から突出し、前記ヨーク部の軸方向一端側に配置される第1渡り導体部と、前記ステータコアにおける前記ヨーク部の軸方向他端から突出し、前記ヨーク部の軸方向他端側に配置される第2渡り導体部と、を有し、
前記第1相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部と、前記第2相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部と、前記第3相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部とは、コイルエンドを構成し、
前記第1渡り導体部における前記ヨーク部の周方向両端部のうち、一方の端部は、前記第2渡り導体部における前記ヨーク部の周方向一端部と前記スロット導体部によって接続され、他方の端部は、前記一方の端部に前記スロット導体部を介して接続される前記第2の渡り導体部に対し前記ヨーク部の周方向に間隔を隔てて設けられる前記第2渡り導体部における前記ヨーク部の周方向一端部と前記スロット導体部によって接続され、
さらに、前記第1相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部と前記第2相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部との間に介在する第1相間絶縁シートと、
前記第2相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部と前記第3相巻線の前記第1渡り導体部および前記第2渡り導体部との間に介在する第2相間絶縁シートと、
前記コイルエンドに巻きつけられるレーシング糸と、
を備え、
前記第1相間絶縁シートは、前記コイルエンドに対し前記ヨーク部の径方向外側に露出する保持部を有し、
前記保持部における前記ヨーク部の周方向一端部に前記レーシング糸の縫い始め部が設けられ、前記保持部における前記ヨーク部の周方向他端部に前記レーシング糸の縫い終わり部が設けられている、回転電機のステータ。
【請求項2】
前記第2相巻線から引き出された第2相リード線を有し、前記第2相リード線は、前記コイルエンドと前記保持部との間に保持される、請求項1に記載の回転電機のステータ。
【請求項3】
前記ヨーク部は、軸方向端面と、前記軸方向端面から前記ヨーク部の軸方向に突出する凸部とを有し、
前記凸部は、前記ヨーク部の周方向において前記保持部と同じ位置に形成されている、請求項1または請求項2に記載の回転電機のステータ。
【請求項4】
前記ステータコアは、複数の電磁鋼板が積層されて構成され、
前記複数の電磁鋼板は、前記凸部においてかしめられている、請求項3に記載の回転電機のステータ。
【請求項5】
前記第1相巻線から引き出された第1相リード線と、
前記第3相巻線から引き出された第3相リード線とをさらに備え、
前記縫い始め部は前記第1相リード線と前記コイルエンドとを束ね、前記縫い終わり部は前記第3相リード線と前記コイルエンドとを束ねる、請求項1から4のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
【請求項6】
前記第1相巻線から引き出された第1相リード線、前記第2相巻線から引き出された第2相リード線、および前記第3相巻線から引き出された第3相リード線に電気的に接続される接続端子を内包したクラスタブロックをさらに備える、請求項5に記載の回転電機のステータ。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の回転電機のステータを備える、電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のステータおよび電動圧縮機に関し、特に、コイルがステータコアに波巻で組みつけられた回転電機のステータと、その回転電機のステータを備える電動圧縮機とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2009−148002号公報(特許文献1)には、コイルエンド上に立ち上げて束ねられたリード線の根元の一方側をレーシング糸によりコイルエンドに押さえつけた状態から、コイルエンドに対するレーシングを開始して、ステータ周方向に連続的に縫い進めていき、束ねられたリード線の根元の他方側に到達したところで縫い終わる、ステータのレーシング方法が開示されている。
【0003】
特開2005−80361号公報(特許文献2)には、縫い始め糸をコイルエンドに縫い込むとともに、レーシングの最後に形成されるループとその1つ前に形成されるループとの両方に縫い終わり糸を通して縫い終わり糸を処理する、ステータのコイルエンド固定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148002号公報
【特許文献2】特開2005−80361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステータコアの軸方向両端から突出するコイルエンドに対してレーシングを行なう際には、レーシング糸を案内するニードルを、コイル間の隙間を通してステータコアの径方向に移動させる必要がある。レーシング糸の縫い始めと縫い終わりにおいては、コイルエンドの同じ位置に重ねてレーシング糸を巻回する多重縫いを行ない、この多重縫いされた部分でレーシング糸を保持して、レーシング糸がほどけないようにする。
【0006】
レーシング糸の材料の削減、およびレーシングに要する工数の削減のためには、レーシング糸を用いて固定する部位を少なくするのが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、レーシング糸を用いて固定する部位を少なくできる、回転電機のステータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転電機のステータは、ステータコアと、ステータコアに装着されたコイルとを備えている。ステータコアは、円筒状のヨーク部と、ヨーク部の周方向に間隔を隔ててヨーク部からヨーク部の径方向内方に向けて突出する複数のティース部とを有している。ステータコアのティース部の間には、ヨーク部の軸方向に延びるスロットが形成されている。コイルは、第1相巻線と、第2相巻線と、第3相巻線とを有している。第1相巻線、第2相巻線、および第3相巻線は、各々、スロット内に配置されるスロット導体部と、ステータコアにおけるヨーク部の軸方向一端から突出し、ヨーク部の軸方向一端側に配置される第1渡り導体部と、ステータコアにおけるヨーク部の軸方向他端から突出し、ヨーク部の軸方向他端側に配置される第2渡り導体部と、を有している。第1相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部と、第2相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部と、第3相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部とは、コイルエンドを構成している。第1渡り導体部におけるヨーク部の周方向両端部のうち、一方の端部は、第2渡り導体部におけるヨーク部の周方向一端部と、スロット導体部によって接続されている。他方の端部は、一方の端部にスロット導体部を介して接続される第2の渡り導体部に対しヨーク部の周方向に間隔を隔てて設けられる、第2渡り導体部におけるヨーク部の周方向一端部と、スロット導体部によって接続されている。ステータはさらに、第1相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部と第2相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部との間に介在する第1相間絶縁シートと、第2相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部と第3相巻線の第1渡り導体部および第2渡り導体部との間に介在する第2相間絶縁シートと、コイルエンドに巻きつけられるレーシング糸とを備えている。第1相間絶縁シートは、コイルエンドに対しヨーク部の径方向外側に露出する保持部を有している。保持部におけるヨーク部の周方向一端部に、レーシング糸の縫い始め部が設けられている。保持部におけるヨーク部の周方向他端部に、レーシング糸の縫い終わり部が設けられている。
【0009】
上記ステータにおいて好ましくは、第2相巻線から引き出された第2相リード線を有している。第2相リード線は、コイルエンドと保持部との間に保持されている。
【0010】
上記ステータにおいて好ましくは、ヨーク部は、軸方向端面と、軸方向端面から軸方向に突出する凸部とを有している。凸部は、ヨーク部の周方向において保持部と同じ位置に形成されている。
【0011】
上記ステータにおいて好ましくは、ステータコアは、複数の電磁鋼板が積層されて形成されている。複数の電磁鋼板は、凸部においてかしめられている。
【0012】
上記ステータにおいて好ましくは、第1相巻線から引き出された第1相リード線と、第3相巻線から引き出された第3相リード線とをさらに備えている。縫い始め部は、第1相リード線とコイルエンドとを束ねている。縫い終わり部は、第3相リード線とコイルエンドとを束ねている。
【0013】
上記ステータにおいて好ましくは、クラスタブロックをさらに備えている。クラスタブロックは、第1相リード線、第2相リード線、および第3相リード線に電気的に接続される接続端子を内包している。
【0014】
本発明に係る電動圧縮機は、上記のいずれかの局面の回転電機のステータを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の回転電機のステータによると、レーシング糸を用いて固定する部位を少なくできるので、レーシング糸の材料の削減、およびレーシングに要する工数の削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に従った回転電機のステータを備える電動圧縮機の概略構成を示す部分断面図である。
図2】ステータコアの斜視図である。
図3】ステータコアのティース部付近を拡大して示す断面図である。
図4】ステータコアの径方向外側から見たコイルの模式的側面図である。
図5】コイルエンドの模式的平面図である。
図6】クラスタブロックの構成を示す模式図である。
図7】ステータコアの径方向外側から見たコイルエンドの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本実施の形態に従った回転電機のステータ4を備える電動圧縮機110の概略構成を示す部分断面図である。図1を参照して、電動圧縮機110は、ハウジングと、圧縮部115と、電動モータ1と、インバータユニット140とを備えている。ハウジングは、有底筒状をなす吸入ハウジング112と蓋状の吐出ハウジング111とを接合して形成されている。電動圧縮機110の外郭は、ハウジングと、インバータユニット140のインバータカバー144とにより構成されている。
【0019】
吸入ハウジング112の周壁底部側には、図示しない吸入ポートが形成されている。吸入ポートに、図示しない外部冷媒回路が接続されている。吐出ハウジング111の底部には、吐出ポート114が形成されている。吐出ポート114は、外部冷媒回路に接続されている。
【0020】
冷媒を圧縮するための圧縮部115と、圧縮部115を駆動するための電動モータ1とは、吸入ハウジング112内に収容されている。図示しないが、たとえば圧縮部115は、吸入ハウジング112内に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向配置された可動スクロールとを含んで構成されている。
【0021】
本実施の形態に係る回転電機の一例としての電動モータ1は、ロータ(回転子)3と、ステータ(固定子)4とを備えている。ロータ3は、回転軸2に固定されている。回転軸2は、ステータ4内に挿通された状態で、吸入ハウジング112内に回転可能に支持されている。ステータ4は、ステータコア10とコイル20とを含んで構成されている。ステータコア10は、吸入ハウジング112の内周面に固定されている。コイル20は、後述するステータコア10のティース部に巻回されている。
【0022】
インバータユニット140は、吸入ハウジング112における、吐出ハウジング111側とは反対側の外面(吸入ハウジング112の底部)に取り付けられている。インバータユニット140は、インバータカバー144を含んでいる。インバータカバー144は、吸入ハウジング112に固定されている。インバータカバー144には、外部から直流電源電圧が供給される筒状の電源入力ポートが形成されている。インバータカバー144内には、電動モータ1の駆動制御回路(インバータ回路)が収容されている。
【0023】
インバータユニット140によって制御された電力が電動モータ1に供給されることにより、制御された回転速度でロータ3および回転軸2が回転し、この回転によって圧縮部115が駆動される。圧縮部115が駆動されることにより、外部冷媒回路から吸入ポートを介した吸入ハウジング112内への冷媒の吸入、吸入ハウジング112内に吸入された冷媒の圧縮部115による圧縮、および圧縮された冷媒の吐出ポート114を介した外部冷媒回路への吐出が行なわれる。
【0024】
図2は、ステータコア10の斜視図である。図2に示すように、ステータコア10は中空円筒状の外形を有しており、一方の軸方向端部11aと他方の軸方向端部11bとを有している。ステータコア10は、中空円筒状のヨーク部12と、複数のティース部16とを有している。ヨーク部12は、ステータコア10の外周部分を構成している。ティース部16は、ヨーク部12の内周面から、ヨーク部12の径方向内方に向けて突出している。
【0025】
複数のティース部16は、ヨーク部12の周方向に間隔を隔てて設けられており、詳述すると、30個のティース部16がヨーク部12の周方向に間隔を隔てて設けられている。ティース部16は、直方体形状であり、ティース部16の長手方向がヨーク部12の軸方向(ステータコア10の軸方向)に延びるように設けられている。ティース部16は、ステータコア10の軸方向の交わる方向に延びる2面を有している。当該2面のうち、ステータコア10の一方の軸方向端部11a側の面を一方端面とし、ステータコア10の他方の軸方向端部11b側の面を他方端面として、以降の説明を行なう。
【0026】
ティース部16の間にはスロット18が形成されている。スロット18は、ヨーク部12の軸方向に延びている。スロット18は、ステータコア10の内周に開口している。ステータコア10における隣り合うスロット18間がティース部16となっている。
【0027】
ステータコア10は、複数の電磁鋼板をステータコア10の軸方向に積層し、各電磁鋼板を一体に結合することで形成されている。各電磁鋼板には、電磁鋼板の主表面から突き出る突起が形成されている。電磁鋼板の主表面と対向する裏面には、主表面に突起を形成することで形成される凹みが形成されている。突起を、積層される電磁鋼板における凹みに入り込ませてかしめることにより、ステータコア10が形成されている。ヨーク部12は、ステータコア10の軸方向と交わる方向に延びる平面状の軸方向端面13と、軸方向端面13からステータコア10の軸方向に突出する凸部14とを有している。凸部14は、電磁鋼板に形成された突起に相当し、凸部14の位置において隣り合う電磁鋼板同士がかしめられている。ステータコア10の周方向に等しい間隔を隔てて、複数の凸部14が設けられている。
【0028】
図3は、ステータコア10のティース部16付近を拡大して示す断面図である。ステータコア10の周方向において隣り合うティース部16間には、スロット18が形成されている。ティース部16に巻回されるコイル20は、その一部がスロット18内に収容されている。コイル20は、断面が円形の導体である丸線を複数本整列させた状態で、ティース部16に巻き付けられている。コイル20は、丸線に限られず、断面長方形の角形導体が使用されてもよい。
【0029】
コイル20は、U相コイル30と、V相コイル40と、W相コイル50とを有している。U相コイル30を収容するスロット18と、V相コイル40を収容するスロット18と、W相コイル50を収容するスロット18とは、ステータコア10の周方向においてこの順に並べられている。V相コイル40を収容しているスロット18に対し、ステータコア10の周方向において隣り合うスロット18の一方はU相コイル30を収容しており、他方はW相コイル50を収容している。
【0030】
スロット18内に収容されたV相コイル40とヨーク部12との間に、U相コイル30とV相コイル40とを絶縁するためのUV相間絶縁紙60が配置されている。UV相間絶縁紙60は、V相コイル40を収容するスロット18内に収容されるブリッジ部と、スロット18の外部に配置される一対の帯状部とを有している。UV相間絶縁紙60のブリッジ部は、V相コイル40に対しステータコア10の径方向外側に配置されており、ステータコア10の軸方向に延びている。
【0031】
スロット18内に収容されたW相コイル50とヨーク部12との間に、V相コイル40とW相コイル50とを絶縁するためのVW相間絶縁紙70が配置されている。VW相間絶縁紙70は、W相コイル50を収容するスロット18内に収容されるブリッジ部と、スロット18の外部に配置される一対の帯状部とを有している。VW相間絶縁紙70のブリッジ部は、W相コイル50に対しステータコア10の径方向外側に配置されており、ステータコア10の軸方向に延びている。
【0032】
U相コイル30は、本実施の形態の第1相巻線としての機能を有している。V相コイル40は、本実施の形態の第2相巻線としての機能を有している。W相コイル50は、本実施の形態の第3相巻線としての機能を有している。UV相間絶縁紙60は、本実施の形態の第1相間絶縁シートとしての機能を有している。VW相間絶縁紙70は、本実施の形態の第2相間絶縁シートとしての機能を有している。
【0033】
図4は、ステータコア10の径方向外側から見たコイル20の模式的側面図である。なお、コイル20は、実際には図3に示すように丸線を複数本整列させて構成されているが、図4および後続する図5〜7においては、複数本の丸線を整列させて束ねた状態のU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の外形のみが、模式的に図示されている。
【0034】
図4に示すように、U相コイル30は、スロット18内に配置されるスロット導体部32と、スロット18の外部に配置される渡り導体部34とを有している。渡り導体部34は、第1渡り導体部35と、第2渡り導体部36とを含んでいる。第1渡り導体部35は、ステータコア10における一方の軸方向端部(軸方向一端)11a(図2参照)に対して突出して、一方の軸方向端部11a側のスロット18の外部に配置されている。第2渡り導体部36は、ステータコア10における他方の軸方向端部(軸方向他端)11b(図2参照)に対して突出して、他方の軸方向端部11b側のスロット18の外部に配置されている。
【0035】
第1渡り導体部35は、ステータコア10の一方の軸方向端部11a側(ステータコア10の軸方向における一端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の一方端面上方に配置されている。第2渡り導体部36は、ステータコア10の他方の軸方向端部11b側(ステータコア10の軸方向における他端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の他方端面上方に配置されている。
【0036】
U相コイル30は、第1渡り導体部35と、一のスロット導体部32と、第2渡り導体部36と、一のスロット導体部32とは異なる他のスロット導体部32とを順に繋いで構成されている。U相コイル30は、ティース部16に波巻で巻回されている。ティース部16に波巻で巻回されたU相コイル30は、複数の第1渡り導体部35と複数の第2渡り導体部36とが全て異なるティース部16上方に配置されるとともに、ステータコア10の周方向に第1渡り導体部35と第2渡り導体部36とが交互に配置されている。
【0037】
第1渡り導体部35は、ヨーク部12の周方向における一方の端部と他方の端部とを有している。当該一方の端部は、第2渡り導体部36におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部32によって接続されている。また他方の端部は、一方の端部にスロット導体部32を介して接続される第2渡り導体部36に対しヨーク部12の周方向に間隔を隔てて設けられる、第2渡り導体部36におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部32によって接続されている。
【0038】
第1渡り導体部35と第2渡り導体部36とは、スロット18内を通っているスロット導体部32により接続されている。第1渡り導体部35は、第1のスロット導体部32と、第1のスロット導体部32に対しステータコア10の周方向においてV相コイル40およびW相コイル50を介在させて隣り合う第2のスロット導体部32とを、接続している。第2渡り導体部36は、第2のスロット導体部32と、第2のスロット導体部32に対しステータコア10の周方向においてV相コイル40およびW相コイル50を介在させて隣り合う第3のスロット導体部32とを、接続している。
【0039】
V相コイル40は、スロット18内に配置されるスロット導体部42と、スロット18の外部に配置される渡り導体部44とを有している。渡り導体部44は、第1渡り導体部45と、第2渡り導体部46とを含んでいる。第1渡り導体部45は、ステータコア10における一方の軸方向端部(軸方向一端)11a(図2参照)に対して突出して、軸方向端部11a側のスロット18の外部に配置されている。第2渡り導体部46は、ステータコア10における他方の軸方向端部(軸方向他端)11b(図2参照)に対して突出して、軸方向端部11b側のスロット18の外部に配置されている。
【0040】
第1渡り導体部45は、ステータコア10の一方の軸方向端部11a側(ステータコア10の軸方向における一端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の一方端面上方に配置されている。第2渡り導体部46は、ステータコア10の他方の軸方向端部11b側(ステータコア10の軸方向における他端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の他方端面上方に配置されている。
【0041】
V相コイル40は、第1渡り導体部45と、一のスロット導体部42と、第2渡り導体部46と、一のスロット導体部42とは異なる他のスロット導体部42とを順に繋いで構成されている。V相コイル40は、ティース部16に波巻で巻回されている。ティース部16に波巻で巻回されたV相コイル40は、複数の第1渡り導体部45と複数の第2渡り導体部46とが全て異なるティース部16上方に配置されるとともに、ステータコア10の周方向に第1渡り導体部45と第2渡り導体部46とが交互に配置されている。
【0042】
第1渡り導体部45は、ヨーク部12の周方向における一方の端部と他方の端部とを有している。当該一方の端部は、第2渡り導体部46におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部42によって接続されている。また他方の端部は、一方の端部にスロット導体部42を介して接続される第2渡り導体部46に対しヨーク部12の周方向に間隔を隔てて設けられる、第2渡り導体部46におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部42によって接続されている。
【0043】
第1渡り導体部45と第2渡り導体部46とは、スロット18内を通っているスロット導体部42により接続されている。第1渡り導体部45は、第1のスロット導体部42と、第1のスロット導体部42に対しステータコア10の周方向においてW相コイル50およびU相コイル30を介在させて隣り合う第2のスロット導体部42とを、接続している。第2渡り導体部46は、第2のスロット導体部42と、第2のスロット導体部42に対しステータコア10の周方向においてW相コイル50およびU相コイル30を介在させて隣り合う第3のスロット導体部42とを、接続している。
【0044】
W相コイル50は、スロット18内に配置されるスロット導体部52と、スロット18の外部に配置される渡り導体部54とを有している。渡り導体部54は、第1渡り導体部55と、第2渡り導体部56とを含んでいる。第1渡り導体部55は、ステータコア10における一方の軸方向端部(軸方向一端)11a(図2参照)に対して突出して、軸方向端部11a側のスロット18の外部に配置されている。第2渡り導体部56は、ステータコア10における他方の軸方向端部(軸方向他端)11b(図2参照)に対して突出して、軸方向端部11b側のスロット18の外部に配置されている。
【0045】
第1渡り導体部55は、ステータコア10の一方の軸方向端部11a側(ステータコア10の軸方向における一端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の一方端面上方に配置されている。第2渡り導体部56は、ステータコア10の他方の軸方向端部11b側(ステータコア10の軸方向における他端側)において、スロット18の外に突出するとともにティース部16の他方端面上方に配置されている。
【0046】
W相コイル50は、第1渡り導体部55と、一のスロット導体部52と、第2渡り導体部56と、一のスロット導体部52とは異なる他のスロット導体部52とを順に繋いで構成されている。W相コイル50は、ティース部16に波巻で巻回されている。ティース部16に波巻で巻回されたW相コイル50は、複数の第1渡り導体部55と複数の第2渡り導体部56とが全て異なるティース部16上方に配置されるとともに、ステータコア10の周方向に第1渡り導体部55と第2渡り導体部56とが交互に配置されている。
【0047】
第1渡り導体部55は、ヨーク部12の周方向における一方の端部と他方の端部とを有している。当該一方の端部は、第2渡り導体部56におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部52によって接続されている。また他方の端部は、一方の端部にスロット導体部52を介して接続される第2渡り導体部56に対しヨーク部12の周方向に間隔を隔てて設けられる、第2渡り導体部56におけるヨーク部12の周方向一端部と、スロット導体部52によって接続されている。
【0048】
第1渡り導体部55と第2渡り導体部56とは、スロット18内を通っているスロット導体部52により接続されている。第1渡り導体部55は、第1のスロット導体部52と、第1のスロット導体部52に対しステータコア10の周方向においてU相コイル30およびV相コイル40を介在させて隣り合う第2のスロット導体部52とを、接続している。第2渡り導体部56は、第2のスロット導体部52と、第2のスロット導体部52に対しステータコア10の周方向においてU相コイル30およびV相コイル40を介在させて隣り合う第3のスロット導体部52とを、接続している。
【0049】
図5は、コイルエンド24の模式的平面図である。図5には、U相コイル30の第1渡り導体部35、V相コイル40の第1渡り導体部45、およびW相コイル50の第1渡り導体部55を、ステータコア10の一方の軸方向端部11a側から見た状態が図示されている。U相コイル30の第1渡り導体部35、V相コイル40の第1渡り導体部45、およびW相コイル50の第1渡り導体部55は、ステータコア10の軸方向における一端側のコイルエンド24を構成している。なお、U相コイル30の第2渡り導体部36、V相コイル40の第2渡り導体部46、およびW相コイル50の第2渡り導体部56は、図示しないステータコア10の軸方向における他端側のコイルエンド24を構成している。
【0050】
ステータコア10の径方向において外側から内側へ、U相コイル30の第1渡り導体部35、V相コイル40の第1渡り導体部45、およびW相コイル50の第1渡り導体部55が順に配置されている。図5に示すように、V相コイル40の第1渡り導体部45は、U相コイル30の第1渡り導体部35に対して径方向内側、かつW相コイル50の第1渡り導体部55に対して径方向外側に配置されるので、ステータコア10の周方向に対して湾曲している。
【0051】
U相コイル30の第1渡り導体部35と、V相コイル40の第1渡り導体部45との間には、ステータコア10の周方向の全周に亘ってUV相間絶縁紙60が介在されている。V相コイル40の第1渡り導体部45と、W相コイル50の第1渡り導体部55との間には、ステータコア10の周方向の全周に亘ってVW相間絶縁紙70が介在されている。UV相間絶縁紙60およびVW相間絶縁紙70は、いずれも合成樹脂製であって、図3を参照して上述した通り、一対の帯状部とブリッジ部とを有している。図5には、UV相間絶縁紙60およびVW相間絶縁紙70の帯状部が図示されている。
【0052】
帯状部は、帯状のシートの両端部をつなぎ合わせることにより、図5に示すように、輪状に形成されている。UV相間絶縁紙60の帯状部は、コイルエンド24内を一周するように配置されており、U相コイル30の渡り導体部34とV相コイル40の渡り導体部44(図4参照)とを絶縁している。VW相間絶縁紙70の帯状部は、コイルエンド24内を一周するように配置されており、V相コイル40の渡り導体部44とW相コイル50の渡り導体部54(図4参照)とを絶縁している。ブリッジ部は、ステータコア10の軸方向に延び、一対の帯状部を連結している。
【0053】
コイル20をステータコア10へ組み付けるときには、U相コイル30のスロット導体部32、UV相間絶縁紙60のブリッジ部、V相コイル40のスロット導体部42、VW相間絶縁紙70のブリッジ部、W相コイル50のスロット導体部52の順に、ステータコア10のスロット18内に挿入される。これにより、U相コイル30の第1渡り導体部35、UV相間絶縁紙60、V相コイル40の第1渡り導体部45、VW相間絶縁紙70、およびW相コイル50の第1渡り導体部55が、ステータコア10の径方向において外側から内側へ順に配置された、図5に示すコイルエンド24が形成される。
【0054】
コイルエンド24は、レーシング糸80を用いて束ねられている。レーシング糸80は、コイルエンド24に巻きつけられている。ステータコア10に波巻状に装着されたU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、ステータコア10の軸方向両端においてレーシング糸80によって縛られている。これにより、ステータ4の振動発生時にも、コイルエンド24の移動が防止されている。コイルエンド24が固定されることにより、電動モータ1とその周辺の他の部品との空間絶縁距離が保たれ、電動モータ1の絶縁能力が確保されている。
【0055】
レーシング糸80は、縫い始め部82と、縫い終わり部84とを有している。縫い始め部82は、レーシング糸80のコイルエンド24への縫い付けを開始する位置である。縫い終わり部84は、レーシング糸80のコイルエンド24への縫い付けを終了する位置である。縫い始め部82において縫い付けを開始し、時計回り方向にコイルエンド24を縫い進め、縫い終わり部84において縫い付けを終了することにより、レーシング糸80は図5に示すようにコイルエンド24に取り付けられる。縫い始め部82と縫い終わり部84とにおいて、レーシング糸80は結び玉をつくることで固定されている。
【0056】
縫い始め部82と縫い終わり部84部とは、ステータコア10の周方向において離れた、互いに異なる位置に設けられている。ステータコア10の周方向において、縫い始め部82と縫い終わり部84とは、少なくとも1つのティース部16の幅寸法(ティース部16におけるステータコア10の周方向に沿う方向の寸法)以上の間隔を空けて配置されている。レーシング糸80のコイルエンド24への縫い付けは時計回り方向に行われ、ステータコア10の周方向において縫い終わり部84は縫い始め部82に対して反時計回り方向の位置にある。縫い始め部82と縫い終わり部84との間に、レーシング糸80の存在しない箇所が存在している。
【0057】
U相コイル30の端部がコイルエンド24から引き出されて、外部接続用のU相リード線38を構成している。V相コイル40の端部がコイルエンド24から引き出されて、外部接続用のV相リード線48を構成している。W相コイル50の端部がコイルエンド24から引き出されて、外部接続用のW相リード線58を構成している。U相リード線38は、本実施の形態の第1相リード線としての機能を有している。V相リード線48は、本実施の形態の第2相リード線としての機能を有している。W相リード線58は、本実施の形態の第3相リード線としての機能を有している。
【0058】
U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58は、クラスタブロック90に接続されている。クラスタブロック90は、ステータコア10の周方向において、縫い始め部82と縫い終わり部84との間のコイルエンド24がレーシングされていない箇所に重なって配置されている。図5にはクラスタブロック90がステータコア10の外周面に取り付けられた状態が示されているが、ステータコア10に対するクラスタブロック90の取付位置は変更可能とされている。クラスタブロック90は、ステータコア10の外周面から取り外し可能とされている。
【0059】
図6は、クラスタブロック90の構成を示す模式図である。図6に示すように、U相リード線38およびW相リード線58は、V相リード線48を中心に捻られて、互いに組み合わされている。U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58は、互いに交差することによって、互いの姿勢を拘束している。
【0060】
U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58の端部は、クラスタブロック90に装着されている。クラスタブロック90は、3つの接続端子98を内包している。U相リード線38は、第1の接続端子98に電気的に接続されている。V相リード線48は、第2の接続端子98に電気的に接続されている。W相リード線58は、第3の接続端子98に電気的に接続されている。
【0061】
図7は、ステータコア10の径方向外側から見たコイルエンド24の模式的斜視図である。UV相間絶縁紙60は、全周に亘って、V相コイル40に対して径方向外側に配置されている。そのため、V相コイル40よりも径方向外側にU相コイル30が存在していない位置において、コイルエンド24におけるヨーク部12の径方向外側に、UV相間絶縁紙60が露出することになる。図7に示すように、レーシング糸80の縫い始め部82と縫い終わり部84との間において、UV相間絶縁紙60がコイルエンド24に対してステータコア10の径方向外側へ露出している。
【0062】
V相コイル40から引き出されたV相リード線48は、コイルエンド24と、UV相間絶縁紙60との間に挟まれて保持されている。UV相間絶縁紙60は、コイルエンド24との間にV相リード線48を挟み保持する保持部66を有している。保持部66は、ステータコア10の周方向において、少なくとも1つのスロット18を跨いで設けられている。保持部66は、ステータコア10の周方向における一方の端部である周方向一端部67と、ステータコア10の周方向における他方の端部である周方向他端部68とを有している。
【0063】
レーシング糸80の縫い始め部82は、保持部66の周方向一端部67に設けられている。レーシング糸80の縫い終わり部84は、保持部66の周方向他端部68に設けられている。縫い始め部82および縫い終わり部84において、レーシング糸80がコイルエンド24の同じ位置に重ねて複数回巻回されており、コイルエンド24は多重縫いされている。
【0064】
UV相間絶縁紙60の保持部66は、周方向一端部67および周方向他端部68において、レーシング糸80によって縛られ、コイルエンド24に固定されている。周方向一端部67と周方向他端部68とにおいて保持部66をコイルエンド24に縛り付け固定することにより、保持部66のコイルエンド24に対する相対移動が規制されている。UV相間絶縁紙60の保持部66とコイルエンド24とによって、V相リード線48は固定されている。保持部66は、V相リード線48をステータコア10の径方向外側から覆い、V相リード線48の露出を抑制している。
【0065】
レーシング糸80の縫い始め部82は、U相コイル30から引き出されたU相リード線38とコイルエンド24とを束ね、U相リード線38の根元部を保持する機能を有している。レーシング糸80の縫い終わり部84は、W相コイル50から引き出されたW相リード線58とコイルエンド24とを束ね、W相リード線58の根元部を保持する機能を有している。
【0066】
レーシング糸80の縫い始め部82と縫い終わり部84とは、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイルの終端を結線した中性点を保護するための、図示しない保護キャップの両端を保持している。縫い始め部82と縫い終わり部84とが間隔を空けて配置されているために、保護キャップの保持力が高められている。
【0067】
図2を参照して説明した、ステータコア10のヨーク部12の軸方向端面13に対し突出する複数の凸部14のうちの一つは、図7に示すように、ステータコア10の周方向において、保持部66と同じ位置に形成されている。図7に示す凸部14は、ステータコア10の周方向において、縫い始め部82と縫い終わり部84との間のコイルエンド24がレーシングされていない箇所に重なって配置されている。
【0068】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の電動モータ1のステータ4によれば、図7に示すように、UV相間絶縁紙60は、保持部66を有している。保持部66は、コイルエンド24に対しヨーク部12の径方向外側に露出している。保持部66の周方向一端部67にレーシング糸80の縫い始め部82が設けられ、保持部66の周方向他端部68にレーシング糸80の縫い終わり部84が設けられている。
【0069】
電動モータ1の特性向上または小型化などを目的としてステータコア10のティース部16の個数を増加させると、ティース部16間の寸法を減少する必要があるが、その場合、レーシング糸80をコイルエンド24へ縫い付けるときにレーシング糸80を移動させるためのニードルが移動可能な空間は小さくなる。本実施の形態のように、レーシング糸80の縫い始め部82と縫い終わり部84との位置を異ならせることで、ティース部16の周方向寸法を小さくしたステータ4においても、多重縫いによるレーシング糸80の端末処理が可能になる。
【0070】
縫い始め部82と縫い終わり部84との間のコイルエンド24は、レーシング糸80で縫われておらず、コイルエンド24はその全周がレーシング糸80で固定されていない。コイルエンド24の、縫い始め部82から反時計回り方向に縫い終わり部84へ向かって縫い終わり部84に至るまでの領域は、レーシング糸80で縫い付けられていない。ステータコア10の周方向において、縫い始め部82と縫い終わり部84との間に、レーシング糸80が存在していない部分が存在している。これにより、コイルエンド24の、レーシング糸80を用いて固定される部位を少なくできるので、コイルエンド24がその全周に亘ってレーシング糸80で固定される従来の構成と比較して、レーシング糸80の材料を削減でき、またレーシング糸80の縫い付けに要する工数を削減することができる。
【0071】
また図7に示すように、V相コイル40から引き出されたV相リード線48は、UV相間絶縁紙60の保持部66と、コイルエンド24との間に挟まれて、保持されている。保持部66およびコイルエンド24によってV相リード線48が固定されているので、各相のコイル間の絶縁距離を確保することができる。加えて、V相リード線48を固定するために、レーシング糸80で縛る必要はないため、レーシング糸80を用いて固定される部位が、より少なくなっている。したがって、レーシング糸80の材料、およびレーシング糸80の縫い付けに要する工数を、より削減することができる。
【0072】
また図7に示すように、ステータコア10をかしめ成形するために電磁鋼板に形成された凸部14は、ヨーク部12の周方向において、UV相間絶縁紙60の保持部66と同じ位置に形成されている。レーシング糸80が凸部14に引っ掛かると、レーシング糸80の切れる原因となるが、縫い始め部82と縫い終わり部84との間のレーシング糸80が設けられていない位置に凸部14を配置すれば、当該凸部14にレーシング糸80が引っ掛かる事態を防止できる。したがって、レーシング糸80の切断をより確実に回避することができる。
【0073】
また図7に示すように、レーシング糸80の縫い始め部82は、U相コイル30から引き出されたU相リード線38とコイルエンド24とを束ねている。レーシング糸80の縫い終わり部84は、W相コイル50から引き出されたW相リード線58とコイルエンド24とを束ねている。このようにすれば、U相リード線38を縫い始め部82で多重縫いして保持し、W相リード線58を縫い終わり部84で多重縫いして保持することができるので、レーシング糸80によるU相リード線38およびW相リード線58の保持力を向上することができる。
【0074】
また図5,6に示すように、ステータ4は、クラスタブロック90をさらに備えている。クラスタブロック90は、U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58に電気的に接続される接続端子98を内包している。電動モータ1を小型化するためにステータコア10の軸方向寸法を小さくすると、U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58の長さも短くなる。この場合、U相リード線38、V相リード線48およびW相リード線58の先端に取り付けられているクラスタブロック90と、レーシング糸80の縫い付けに使用される治具とが干渉する虞がある。本実施の形態のように、レーシング糸80の縫い始め部82と縫い終わり部84との位置を異ならせることで、縫い終わり部84の位置をクラスタブロック90から離すことができるので、上記治具とクラスタブロック90との干渉を防止することができる。
【0075】
なお、これまでの実施の形態の説明においては、回転電機の一例としての電動モータ1に適用されるステータ4について説明した。本発明は、電動モータ1に適用されるステータ4に限られず、電気を発電する発電機の固定子に適用されてもよい。
【0076】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 電動モータ、2 回転軸、3 ロータ、4 ステータ、10 ステータコア、11a,11b 軸方向端部、12 ヨーク部、13 軸方向端面、14 凸部、16 ティース部、18 スロット、20 コイル、24 コイルエンド、30 U相コイル、32,42,52 スロット導体部、34,44,54 渡り導体部、35,45,55 第1渡り導体部、36,46,56 第2渡り導体部、38 U相リード線、40 V相コイル、48 V相リード線、50 W相コイル、58 W相リード線、60 UV相間絶縁紙、66 保持部、67 周方向一端部、68 周方向他端部、70 VW相間絶縁紙、80 レーシング糸、82 縫い始め部、84 縫い終わり部、90 クラスタブロック、98 接続端子、110 電動圧縮機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7