特許第6225863号(P6225863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225863
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】クロック調整機構
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/04 20060101AFI20171030BHJP
   G06F 1/14 20060101ALI20171030BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171030BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G06F1/04 510
   G06F1/14 512
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 510
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-196729(P2014-196729)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-71413(P2016-71413A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 友浩
【審査官】 征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−066950(JP,A)
【文献】 特開2011−150310(JP,A)
【文献】 特開平04−050793(JP,A)
【文献】 特開平11−016467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/04
G03G21/00
B41J29/00−29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1処理部および第2処理部を備え、
前記第1処理部は、画像形成装置に搭載される処理部であり、
前記画像形成装置は、電力供給を受けて駆動する複数の被電力供給部と、前記複数の被電力供給部に供給される電力を生成する電源部と、を備え、
前記複数の被電力供給部への電力供給のオンオフの制御が前記第1処理部により行われ、
前記第1処理部は、
第1クロックを生成する第1クロック生成部と、
前記第1クロックを用いて、予め定められた第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する第1クロック出力部と、
前記第1クロックを用いて、前記第1処理部に入力される信号の周期を測定する第1クロック測定部と、
前記第1クロックの周期を補正する補正部と、を含み、
前記第2処理部は、
第2クロックを生成する第2クロック生成部と、
前記第2クロックを用いて、前記第1処理部から出力される前記基準信号の周期を測定する第2クロック測定部と、
前記基準信号の周期を測定したときの前記第2クロック測定部の実カウント数と、前記基準信号の周期に相当する前記第2クロックのカウント数として予め定められた第2カウント数とを比較する比較部と、
前記第2クロック測定部の実カウント数が前記第2カウント数より多いときには前記基準信号より短い周期の補正用信号を前記第1処理部に出力し、前記第2クロック測定部の実カウント数が前記第2カウント数より少ないときには前記基準信号より長い周期の前記補正用信号を前記第1処理部に出力する第2クロック出力部と、を含み、
前記第2処理部から前記第1処理部に前記補正用信号が出力されたとき、
前記第1クロック測定部は、前記第1クロックを用いて前記補正用信号の周期を測定し、
前記補正部は、前記補正用信号の周期の間にカウントされる前記第1クロックのカウント数が前記第1カウント数となるように、前記第1クロックの周期を補正し、
前記第1クロック出力部は、補正後の前記第1クロックを用いて、前記第1カウント数に相当する周期の前記基準信号を生成して出力し、
前記第2クロック測定部の実カウント数と前記第2カウント数とが一致したとき、
前記第2処理部は、前記第1クロックの周期の補正を終了するよう前記第1処理部に指示することを特徴とするクロック調整機構。
【請求項2】
前記第2クロック出力部は、前記第2クロック測定部の実カウント数が前記第2カウント数と一致するまで、前記第1処理部に出力する前記補正用信号の周期を所定値ずつ増減させることを特徴とする請求項1に記載のクロック調整機構。
【請求項3】
前記第2処理部は、補正用治具であり、前記第1クロックの周期の補正時に、前記第1処理部に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のクロック調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理部のクロック補正を行うためのクロック調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置には、メインCPUおよびサブCPUを含む複数のCPU(処理部)が設けられる。たとえば、メインCPUは、装置全体を制御するための処理を実行する。サブCPUは、メインCPUから指示を受け、通信制御や電源制御など特定の処理を実行する(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
各CPUは、動作クロックを生成するクロック生成部を含み、そのクロック生成部が生成した動作クロックに基づき処理を実行する。たとえば、各CPUは、クロック生成部が生成した動作クロックを用いて時間を計測し、実行する処理のタイミングを計る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−244606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
時間を計測して処理のタイミングを計るCPUを備えた画像形成装置において、CPUの計時が正確に行われなければ(すなわち、クロック生成部で生成されるクロックの周波数精度が低ければ)、CPUで実行される処理のタイミングが所望のタイミングに対してずれてしまう(処理を行うべき時間帯から外れた時点で処理が行われる)。したがって、CPUによる計時は精度良く行われる必要がある。
【0006】
ここで、たとえば、水晶を振動子として用いるクロック生成部が内蔵または外付けされたCPUでは、正確に計時を行える。このため、CPUで実行される処理のタイミングのずれを低減するには、正確に計時を行える高精度なクロック生成部をCPUに内蔵または外付けすればよい。
【0007】
しかし、正確に計時を行える高精度なクロック生成部は、一般的に高価である。このため、複数のCPUが設けられた画像形成装置においては、複数のCPUの全てのクロック生成部を正確で高精度なものとすると、コスト的に問題がある。このため、サブCPUのクロック生成部は、コストアップを避けるため、安価な発振回路(たとえば、CR発振回路など)が用いられる。その結果、サブCPUの計時精度が低くなるという不都合が生じる。すなわち、サブCPUが実行する処理のタイミングがずれる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、時間を計測して処理のタイミングを計る処理部の計時精度を向上させることが可能なクロック調整機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のクロック調整機構は、第1処理部および第2処理部を備える。第1処理部は、第1クロックを生成する第1クロック生成部と、第1クロックを用いて、予め定められた第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する第1クロック出力部と、第1クロックを用いて、第1処理部に入力される信号の周期を測定する第1クロック測定部と、第1クロックの周期を補正する補正部と、を含む。第2処理部は、第2クロックを生成する第2クロック生成部と、第2クロックを用いて、第1処理部から出力される基準信号の周期を測定する第2クロック測定部と、基準信号の周期を測定したときの第2クロック測定部の実カウント数と、基準信号の周期に相当する第2クロックのカウント数として予め定められた第2カウント数とを比較する比較部と、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より多いときには基準信号より短い周期の補正用信号を第1処理部に出力し、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より少ないときには基準信号より長い周期の補正用信号を第1処理部に出力する第2クロック出力部と、を含む。第2処理部から第1処理部に補正用信号が出力されたとき、第1クロック測定部は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定し、補正部は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるように、第1クロックの周期を補正し、第1クロック出力部は、補正後の第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する。そして、第2クロック測定部の実カウント数と第2カウント数とが一致したとき、第2処理部は、第1クロックの周期の補正を終了するよう第1処理部に指示する。
【0010】
本発明の構成では、第1カウント数に相当する周期の基準信号が第1処理部から第2処理部に送信され、その基準信号の周期の測定が第2処理部で行われる。ここで、第1クロックの周波数精度が低いと、第2クロック測定部の実カウント数と第2カウント数とにずれが生じる。具体的には、第1クロックの周期が理想値に対して長くなっていると、基準信号の周期が長くなるので、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より多くなる。一方で、第1クロックの周期が理想値に対して短くなっていると、基準信号の周期が短くなるので、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より少なくなる。そこで、第2クロック出力部は、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より多いときには基準信号より短い周期の補正用信号を第1処理部に出力し、第2クロック測定部の実カウント数が第2カウント数より少ないときには基準信号より長い周期の補正用信号を第1処理部に出力する。このような補正用信号が第1処理部に出力されたとき、第1クロック測定部は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定する。補正部は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるように、第1クロックの周期を補正する。第1クロック出力部は、補正後の第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する。そして、第2クロック測定部の実カウント数と第2カウント数とが一致したとき、第2処理部は、第1クロックの周期の補正を終了するよう第1処理部に指示する。すなわち、補正部は、第1クロックの周期の補正を終了する。これにより、第1クロックの周波数精度が高くなり、第1処理部の計時精度が向上する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の構成では、処理部の計時精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による複合機の一例を示した概略図
図2】本発明の一実施形態による複合機のハードウェア構成の一例を示したブロック図
図3】本発明の一実施形態による複合機の電力供給系統を説明するための図
図4】本発明の一実施形態による複合機の電源CPUのクロック補正について説明するための図
図5】本発明の一実施形態による複合機の電源CPUのクロック補正の流れ(治具CPUが行う処理の流れ)を説明するための図
図6】本発明の一実施形態による複合機の電源CPUのクロック補正の流れ(電源CPUが行う処理の流れ)を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について、複合機を例にとって説明する。
【0014】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、複合機100(本発明の「画像形成装置」に相当)は、画像読取部1および印刷部2を備える。画像読取部1は、原稿を読み取って画像データを生成する。印刷部2は、用紙搬送路21に沿って用紙Pを搬送するとともに、画像データに基づきトナー像を形成する。そして、印刷部2は、搬送中の用紙Pにトナー像を印刷し、印刷済みの用紙Pを排出トレイ22に排出する。
【0015】
印刷部2は、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6で構成される。給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを用紙搬送路21に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、用紙搬送路21に沿って用紙Pを搬送する。
【0016】
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56を含む。そして、画像形成部5は、画像データに基づくトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。定着部6は、加熱ローラー61および加圧ローラー62を含み、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0017】
また、複合機100は、操作パネル7を備える。操作パネル7は、タッチパネル付きの液晶表示パネル71を含む。この液晶表示パネル71は、各種設定を受け付けるためのソフトキーやメッセージなどを表示する。さらに、操作パネル7には、テンキーやスタートキーなどのハードキー72も設けられる。
【0018】
<複合機のハードウェア構成>
図2に示すように、複合機100は、主制御部110を備える。主制御部110は、メインCPU111、画像処理部112および記憶部113を含む。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。記憶部113は、ROMおよびRAMなどからなり、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。
【0019】
そして、メインCPU111は、記憶部113に記憶された制御用のプログラムおよびデータに基づき、複合機100の全体制御を行う。具体的には、メインCPU111は、画像読取部1の読取動作および印刷部2の印刷動作を制御する。また、メインCPU111は、操作パネル7の表示動作を制御したり、操作パネル7に対して行われた操作を検知したりする。
【0020】
また、複合機100は、電源部120および電源制御部130を備える。電源部120は、商用電源と接続され、複数の被電力供給部10(電力供給を受けて動作する部分)を動作させるのに必要な電圧を生成する。電源制御部130は、電源CPU131および電源記憶部132を含み、複数の被電力供給部10への電力供給を制御する。なお、電源CPU131は、本発明の「第1処理部」に相当する。
【0021】
ここで、複合機100において被電力供給部10に相当する部分は、画像読取部1、印刷部2(給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6)、操作パネル7および主制御部110である。具体的には、画像読取部1および印刷部2の各部を構成する回転体を駆動するためのモーターなどが被電力供給部10相当する。また、操作パネル7では、液晶表示パネル71(タッチパネル)が被電力供給部10に相当する。さらに、主制御部110では、メインCPU111、画像処理部112および記憶部113が被電力供給部10に相当する。
【0022】
<被電力供給部への電力供給>
図3に示すように、電源制御部130には、複数の被電力供給部10にそれぞれ対応する複数のスイッチ部SWが接続される。スイッチ部SWがオンしているときには、対応する被電力供給部10への電力供給が行われ、スイッチ部SWがオフしているときには、対応する被電力供給部10への電力供給が停止される。そして、電源CPU131は、スイッチ部SWのオンオフを切り替えることにより、被電力供給部10への電力の供給および供給停止を制御する。
【0023】
具体的には、電源CPU131は、複合機100に対する電源投入時に、複数の被電力供給部10への電力供給を予め定められた順番で開始する。すなわち、電源CPU131は、複数のスイッチ部SWを予め定められた順番でオフからオンに切り替える。たとえば、電源CPU131は、メインCPU111への電力供給を最初に開始した後、他の被電力供給部10への電力供給を順番に開始する。
【0024】
また、電源CPU131は、メインCPU111に対する電力供給時にも、メインCPU111を構成する各要素への電力供給を予め定められた順番で開始する。たとえば、電源CPU131は、CPU全体の管理や演算を行うCPUコアへの電力供給を最初に開始してから、CPUコア以外の構成要素への電力供給を順次開始する。
【0025】
<CPUのクロック補正>
図4に示すように、電源CPU131は、コア部133、バスインターフェイス部134、キャッシュメモリー135、および、第1クロック生成部136を含む。コア部133は、CPU全体の管理や各種処理を行う。バスインターフェイス部134は、他のCPUとの間で信号を送受信し、処理対象のデータを読み込んだり、処理済みのデータを出力したりする。キャッシュメモリー135は、データを記憶する。第1クロック生成部136は、電源CPU131の動作クロック(本発明の「第1クロック」に相当)を生成する。この第1クロック生成部136は、コストアップを避けるため、周波数精度が低い安価な発振回路(たとえば、CR発振回路など)で構成される。以下、第1クロック生成部136で生成される電源CPU131の動作クロックを第1クロックと称する。
【0026】
そして、電源CPU131は、複数の被電力供給部10に対する電力供給を順番に開始するとき、第1クロックを用いて時間を計測し、電力供給の開始タイミング(スイッチ部SWのオンオフを切り替えるタイミング)を計る。しかし、第1クロックの周波数精度が低いと、スイッチ部SWのオンオフの切り替えタイミングが理想的なタイミングからずれる可能性がある。
【0027】
このため、電源CPU131は、複合機100とは別体の補正用治具200との間で信号を送受信し、補正用治具200から送信される補正用信号に基づき第1クロックの周期の補正(クロック補正)を行う。たとえば、補正用治具200は、電源CPU131を搭載する制御基板の着脱が可能となっている。そして、その制御基板を補正用治具200に装着することにより、制御基板の端子(電源CPU131のバスインターフェイス部134に繋がる端子)を補正用治具200に通信可能に接続することができる。このような補正用治具200を用いてクロック補正を行う場合、電源CPU131を搭載する制御基板を補正用治具200に装着する必要があるため、クロック補正は装置出荷前の調整時に行われる。
【0028】
電源CPU131には、クロック補正を行うため、第1クロック出力部137、第1クロック測定部138および補正部139が設けられる。第1クロック出力部137は、第1クロックを用いてクロック信号を生成して電源CPU131の外部に出力する。第1クロック測定部138は、第1クロックを用いて、電源CPU131に入力されるクロック信号の周期を測定する。補正部139は、第1クロックの周期を補正する。
【0029】
また、補正用治具200は、たとえば、治具CPU210、治具記憶部220および治具操作部230を備える。治具CPU210は、クロック補正に必要な処理を行う。治具記憶部220は、治具CPU210を動作させるプログラムやデータを記憶する。治具操作部230は、クロック補正を行うための各種操作を受け付ける。
【0030】
治具CPU210は、CPU全体の管理や各種処理を行うコア部211、他のCPUとの間で信号を送受信するバスインターフェイス部212、データを記憶するキャッシュメモリー213、および、治具CPU210の動作クロック(本発明の「第2クロック」に相当)を生成する第2クロック生成部214を含む。以下、第2クロック生成部214で生成される治具CPU210の動作クロックを第2クロックと称する。
【0031】
なお、第2クロック生成部214は、たとえば、水晶振動子を発振源とする水晶発振回路を用いて構成される。このため、第2クロック生成部214で生成される第2クロックは、第1クロック生成部136で生成される第1クロックより周波数精度が高い。また、第2クロックは第1クロックよりも高周波であり、補正用CPU210は電源CPU131よりも高速で動作する。
【0032】
この治具CPU210には、クロック補正を行うため、第2クロック出力部215、第2クロック測定部216および比較部217が設けられる。第2クロック出力部215は、第2クロックを用いてクロック信号を生成して治具CPU210の外部に出力する。第2クロック測定部216は、第2クロックを用いて、治具CPU210に入力されるクロック信号の周期を測定する。比較部217は、2つのクロック信号の各周期の大小関係を比較する。
【0033】
クロック補正では、まず、クロック補正の開始指示が治具CPU210から電源CPU131に対して行われる。たとえば、治具CPU210は、クロック補正を開始するための操作が治具操作部230に対して行われたとき、電源CPU131にクロック補正の開始を指示する。クロック補正の開始指示を電源CPU131が受けると、第1クロック出力部137は、第1クロックを用いて、予め定められた第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成し、治具CPU210に出力する。なお、第1カウント数を示すデータは、たとえば、電源記憶部132に予め記憶され、クロック補正時に電源記憶部132からキャッシュメモリー135に読み出される。
【0034】
基準信号が治具CPU210に入力されると、第2クロック測定部216は、第2クロックを用いて、基準信号の周期を測定する。そして、比較部217は、基準信号の周期を測定したときの第2クロック測定部216の実カウント数と、基準信号の周期に相当する第2クロックのカウント数として予め定められた第2カウント数と、を比較する。なお、第2カウント数を示すデータは、たとえば、治具記憶部220に予め記憶され、クロック補正時に治具記憶部220からキャッシュメモリー213に読み出される。
【0035】
ここで、第1クロックの周期が理論値からずれている場合には、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致しない。具体的には、第1クロックの周期が理想値に対して長くなっていると、第1クロックを第1カウント数に達するまでカウントするのに要する時間が長くなり、第1クロックの周期が理想値に対して短くなっていると、第1クロックを第1カウント数に達するまでカウントするのに要する時間が短くなる。したがって、治具CPU210に入力される基準信号の周期(第2クロック測定部216により測定される周期)は、第1クロックの周期が長くなっている場合には長くなり、第1クロックの周期が短くなっている場合には短くなる。これにより、第1クロックの周期が理想値に対して長くなっている場合には、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多くなり、第1クロックの周期が理想値に対して短くなっている場合には、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より少なくなる。
【0036】
比較部217による比較の結果、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致していなければ、第2クロック出力部215は、第1クロックの周期を補正するための補正用信号を生成する。このときに第2クロック出力部215により生成される補正用信号は、治具CPU210に入力される基準信号(電源CPU131が出力した基準信号)の周期に基づき設定される。具体的には、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多ければ、第2クロック測定部216が測定した基準信号の周期より所定値だけ短い周期の補正用信号が生成され、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より少なければ、第2クロック測定部216が測定した基準信号の周期より所定値だけ長い周期の補正用信号が生成される。なお、所定値は予め定められており、たとえば、第1クロックの一周期分の長さに相当する。そして、第2クロック出力部215は、補正用信号を電源CPU131に出力する。
【0037】
治具CPU210から電源CPU131に補正用信号が出力されると、第1クロック測定部138は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定する。なお、補正用信号の周期が第1クロックの周期より短く設定されていると、補正用信号の周期の測定が行えない。したがって、補正用信号の周期は、第1クロックの周期より長く設定される。
【0038】
第1クロック測定部138により補正用信号の周期が測定されると、補正部139は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるように(第1クロックを第1カウント数に達するまでカウントするのに要する時間が補正用信号の周期となるように)、第1クロックの周期を補正する。なお、このような補正を行うため、第1クロック生成部136で生成される第1クロックの周期は可変となっている。そして、第1クロック出力部137は、補正後の第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する。
【0039】
補正後の第1クロックに基づく基準信号が電源CPU131から治具CPU210に出力されて以降、引き続き、第2クロック測定部216は、第2クロックを用いて基準信号の周期を測定し、比較部217は、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とを比較する。そして、第2クロック出力部215は、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致するまで、補正用信号を所定値ずつ増減させて電源CPU131に出力する(クロック補正を続ける)。なお、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数との差が予め定められた許容範囲に入ったとき、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致したと見做してもよい。
【0040】
このようなクロック補正により、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致すると、治具CPU210は、クロック補正の終了を電源CPU131に指示し、クロック補正を終了させる。これにより、クロック補正が終了したときには、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるよう第1クロックの周期が補正された状態となる。このため、電源CPU131は、クロック補正の終了指示を受けたときの第1クロックの周期を電源記憶部132に保持する。そして、電源CPU131は、クロック補正が終了して以降、周期が補正された第1クロックに基づき動作する。
【0041】
<クロック補正の流れ>
まず、図5を参照して、クロック補正時の治具CPU210の処理の流れについて説明する。なお、図5のフローチャートのスタートは、クロック補正を開始するための操作が治具操作部230に対して行われたときである。
【0042】
ステップS1において、治具CPU210は、クロック補正の開始を電源CPU131に指示する。その後、ステップS2において、治具CPU210は、電源CPU131からの基準信号を入力したか否かを判断する。その結果、基準信号を入力していれば、ステップS3に移行し、基準信号を入力していなければ、ステップS2の判断を繰り返す。
【0043】
ステップS3に移行すると、第2クロック測定部216は、第2クロックを用いて基準信号の周期を測定する。そして、ステップS4において、比較部217は、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とを比較する。その結果、第2測定部216の実カウント数と第2カウント数とが異なっていれば、ステップS5に移行する。
【0044】
ステップS5に移行すると、比較部217は、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多いか少ないかを判断する。その結果、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多ければ、ステップS6に移行し、第2測定部216の実カウント数が第2カウント数より少なければ、ステップS7に移行する。ステップS6に移行した場合、第2クロック出力部215は、基準信号の周期より所定値短い周期の補正用信号を生成して電源CPU131に出力する。一方で、ステップS7に移行した場合、第2クロック出力部215は、基準信号の周期より所定値長い周期の補正用信号を生成して電源CPU131に出力する。
【0045】
補正用信号を電源CPU131に出力した後、ステップS2において、治具CPU210は、電源CPU131からの基準信号を入力したか否かの判断を繰り返す。その結果、基準信号が入力されると、ステップS3に移行し、第2クロック測定部216は、第2クロックを用いて基準信号の周期を測定する。
【0046】
ステップS4において、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが同じであると比較部217が判定すると、ステップS8に移行する。ステップS8に移行すると、治具CPU210は、クロック補正の終了を電源CPU131に指示する。
【0047】
次に、図6を参照して、クロック補正時の電源CPU131の処理の流れについて説明する。なお、図6のフローチャートのスタートは、クロック補正の開始指示を補正用治具200から受けたときである。
【0048】
ステップS21において、第1クロック出力部137は、第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して治具CPU210に出力する。そして、ステップS22において、電源CPU131は、治具CPU210からの補正用信号を入力したか否かを判断する。その結果、補正用信号を入力していれば、ステップ23に移行する。
【0049】
ステップS23に移行すると、第1クロック測定部138は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定する。そして、ステップS24において、補正部139は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるよう第1クロックの周期を補正する。その後、ステップS21に移行し、第1クロック出力部137は、第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して治具CPU210に出力する。なお、このときにカウントする第1クロックの周期は、ステップS24において補正されている。
【0050】
ステップS22において、補正用信号が入力されていないと電源CPU131が判断すると、ステップS25に移行する。ステップS25に移行すると、電源CPU131は、クロック補正の終了指示を治具CPU210から受けたか否かを判断する。その結果、クロック補正の終了指示が有れば、ステップS26に移行し、クロック補正の終了指示が無ければ、ステップS22に戻る。ステップS26に移行すると、電源CPU131は、クロック補正の終了指示を受けたときの第1クロックの周期(補正後の周期)を電源記憶部132に保持する。
【0051】
本実施形態のクロック調整機構は、上記のように、電源CPU131(第1処理部)および治具CPU210(第2処理部)を備える。電源CPU131は、第1クロックを生成する第1クロック生成部136と、第1クロックを用いて、予め定められた第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する第1クロック出力部137と、第1クロックを用いて、電源CPU131に入力される信号の周期を測定する第1クロック測定部138と、第1クロックの周期を補正する補正部139と、を含む。治具CPU210は、第2クロックを生成する第2クロック生成部214と、第2クロックを用いて、電源CPU131から出力される基準信号の周期を測定する第2クロック測定部216と、基準信号の周期を測定したときの第2クロック測定部216の実カウント数と、基準信号の周期に相当する第2クロックのカウント数として予め定められた第2カウント数とを比較する比較部217と、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多いときには基準信号より短い周期の補正用信号を電源CPU131に出力し、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より少ないときには基準信号より長い周期の補正用信号を電源CPU131に出力する第2クロック出力部215と、を含む。治具CPU210から電源CPU131に補正用信号が出力されたとき、第1クロック測定部138は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定し、補正部139は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるように、第1クロックの周期を補正し、第1クロック出力部137は、補正後の第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する。そして、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致したとき、治具CPU210、第1クロックの周期の補正を終了するよう電源CPU131に指示する。
【0052】
本実施形態の構成では、第1カウント数に相当する周期の基準信号が電源CPU131から治具CPU210に送信され、その基準信号の周期の測定が治具CPU210で行われる。ここで、第1クロックの周波数精度が低いと、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とにずれが生じる。具体的には、第1クロックの周期が理想値に対して長くなっていると、基準信号の周期が長くなるので、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多くなる。一方で、第1クロックの周期が理想値に対して短くなっていると、基準信号の周期が短くなるので、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より少なくなる。そこで、第2クロック出力部215は、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より多いときには基準信号より短い周期の補正用信号を電源CPU131に出力し、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数より少ないときには基準信号より長い周期の補正用信号を電源CPU131に出力する。このような補正用信号が電源CPU131に出力されたとき、第1クロック測定部138は、第1クロックを用いて補正用信号の周期を測定する。補正部139は、補正用信号の周期の間にカウントされる第1クロックのカウント数が第1カウント数となるように、第1クロックの周期を補正する。第1クロック出力部137は、補正後の第1クロックを用いて、第1カウント数に相当する周期の基準信号を生成して出力する。そして、第2クロック測定部216の実カウント数と第2カウント数とが一致したとき、治具CPU210、第1クロックの周期の補正を終了するよう電源CPU131に指示する。すなわち、補正部139は、第1クロックの周期の補正を終了する。これにより、第1クロックの周波数精度が高くなり、電源CPU131の計時精度が向上する。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、第2クロック出力部215は、第2クロック測定部216の実カウント数が第2カウント数と一致するまで、電源CPU131に出力する補正用信号の周期を所定値ずつ増減させる。このように構成すれば、第1クロックの周波数精度がより向上する。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、電源CPU131(第1クロック生成部136)のクロック補正が行われるので、複数の被電力供給部10への電力供給のオンオフの切り替えタイミングがずれるのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、補正用治具200を用いてクロック補正を行うので、クロック補正を行うための処理部を予め複合機100に搭載しておく必要はない。
【0056】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、補正用治具200を用いてクロック補正を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、補正用治具200の機能をメインCPU111に持たせてもよい。すなわち、本発明の「第2クロック出力部」、「第2クロック測定部」および「比較部」の各部がメインCPU111に搭載されてもよい。これにより、クロック補正を行うときに、補正用治具を別途準備する必要が無くなる。
【符号の説明】
【0058】
10 被電力供給部
100 複合機(画像形成装置)
120 電源部
131 電源CPU(第1処理部)
136 第1クロック生成部
137 第1クロック出力部
138 第1クロック測定部
139 補正部
200 補正用治具
210 治具CPU(第2処理部)
214 第2クロック生成部
215 第2クロック出力部
216 第2クロック測定部
217 比較部
図1
図2
図3
図4
図5
図6