(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
本実施形態は、封止樹脂組成物の梱包方法に特徴を有する。そして、当該特徴により、封止樹脂組成物を包装資材に収容後、使用するために包装資材から取出すまでの間(以下、「保管時」という)に、一部の封止樹脂組成物同士が固結する不都合を抑制する。
【0016】
<<第1の実施形態>>
<本実施形態の概念>
まず、本実施形態の概念について説明する。
【0017】
本発明者は、封止樹脂組成物同士が所定以上の力で押しつけられ合った状態で保管された場合、封止樹脂組成物同士が固結し得ると考えた。
【0018】
そして、包装資材内の下方側に収容された封止樹脂組成物には、上方側に収容された封止樹脂組成物の重さに起因した力が加わることに着目した。例えば、1つの内側包装資材(袋)内に、高さ方向に積み重なるように多量の封止樹脂組成物を収容した場合、当該包装資材内の下方側に位置する封止樹脂組成物には、当該包装資材内の上方側に位置する封止樹脂組成物の重さに起因した力が加わる。また、1つの外側包装資材(段ボールなど)内に複数の内側包装資材を積み重ねて収容した場合、下方側に位置する内側包装資材内に収容された封止樹脂組成物には、上方側に位置する内側包装資材内に収容された封止樹脂組成物の重さに起因した力が加わる。
【0019】
本発明者は、このような包装資材内の上方側に収容された封止樹脂組成物の重さに起因して下方側に収容された封止樹脂組成物に加わる力(以下、「自重力」という)が、上記所定以上の力を超える場合があるため、保管時に、一部の封止樹脂組成物同士が固結する不都合が発生し得ると考えた。そして、保管時に封止樹脂組成物に加わる自重力の最大値、具体的には、下方側に位置する封止樹脂組成物に加わる自重力の最大値を制御することで、保管時に一部の封止樹脂組成物同士が固結する不都合を抑制できることを見出した。
【0020】
<本実施形態の概要>
次に、上記概念に基づいて実現される本実施形態の概要について説明する。
【0021】
図1に、本実施形態の梱包方法で梱包された状態の封止樹脂組成物の断面模式図の一例を示す。
図1に示すように、本実施形態では、封止樹脂組成物30を内側包装資材20に収容し、封緘した後、当該内側包装資材20を外側包装資材10に収容する。そして、封止樹脂組成物30の嵩密度をM(g/cc)、包装資材内に収容された状態における封止樹脂組成物30による堆積物の高さをL(cm)とすると、M×L≦19を満たす。本発明者は、当該条件を満たすように、以下で説明する封止樹脂組成物30を梱包した場合、保管時に一部の封止樹脂組成物30同士が固結する不都合を抑制することを見出した。
【0022】
なお、外側包装資材10内に収容された状態における内側包装資材20の高さをH(cm)とした場合、M×H≦19を満たしてもよい。L≦Hの関係を必ず満たすので、M×H≦19を満たす場合、M×L≦19も必ず満たすこととなる。
【0023】
さらに、外側包装資材10により形成される内側包装資材20を収容する空間の高さをN(cm)とした場合、N×H≦19を満たしてもよい。L≦Nの関係を必ず満たすので、M×N≦19を満たす場合、M×L≦19も必ず満たすこととなる。
【0024】
本実施形態では、当該状態で封止樹脂組成物30を保管し、運送する。なお、
図1に示す例では、1つの外側包装資材10に1つの内側包装資材20を収容している。1つの外側包装資材10に複数の内側包装資材20を収容することもできるが、当該例は以下で説明する。
【0025】
<本実施形態の構成>
以下、本実施形態の構成について詳細に説明する。
【0026】
<封止樹脂組成物30>
封止樹脂組成物30は、半導体素子、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、コンデンサ、抵抗、LEDなどの電子部品を封止するために使用される。封止樹脂組成物30は、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)無機フィラー、(d)硬化促進剤、(e)カップリング剤の中の一つ以上を含んでもよい。そして、封止樹脂組成物30は顆粒状である。嵩密度は製造方法や製造条件などによりその分布の態様が異なるが、例えば0.70g/cc以上0.95g/cc以下、又は、1.0g/cc以上1.3g/cc以下にコントロールすることができる。本実施形態の封止樹脂組成物30の粒径は、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、2mm以上の粒子の割合が3質量%以下であり、粒径106μm未満の微粉を封止樹脂組成物の5質量%以下の割合で含むことが好ましい。
【0027】
なお、ここでの嵩密度は以下の方法で測定した値である。
パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、内径50.46mm、深さ50mm、容積100cm
3の測定容器の上部に円筒を取り付けたものに封止樹脂組成物30の試料をゆるやかに入れた後、180回のタッピングを行い、その後、上部円筒を取り除き、測定容器上部に堆積した試料をブレードですりきり、測定容器に充填された試料の重量を測定することにより求めた。
【0028】
次に、封止樹脂組成物30が含有できる各成分について詳述し、その後、封止樹脂組成物30の製造方法の一例を説明する。
【0029】
[(a)エポキシ樹脂]
(a)エポキシ樹脂の例は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アルコキシナフタレン骨格含有フェノールアラルキルエポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、分子構造にビフェニル骨格を持ちエポキシ当量が180以上であるものを用いることが好ましい。
【0030】
エポキシ樹脂全体の配合割合の下限値については、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。配合割合の下限値が上記範囲内であると、流動性の低下等を引き起こす恐れが少ない。また、エポキシ樹脂全体の配合割合の上限値についても、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、13質量%以下であることがより好ましい。配合割合の上限値が上記範囲内であると、耐半田性の低下等を引き起こす恐れが少ない。また、固結を生じにくくするため、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて配合割合を適宜調整することが望ましい。
【0031】
[(b)硬化剤]
(b)硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミン類;アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類が例示される。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの内、半導体封止材料に用いる硬化剤としては、耐湿性、信頼性等の点から、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂、トリスフェノールメタンノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等が例示される。また、分子構造にフェニレン及び/又はビフェニル骨格を持ち水酸基当量が160以上であるものを用いることが好ましい。
【0032】
硬化剤全体の配合割合の下限値については、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、1.5質量%以上であることが好ましく3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。配合割合の下限値が上記範囲内であると、充分な流動性を得ることができる。また、硬化剤全体の配合割合の上限値についても、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。配合割合の上限値が上記範囲内であると、良好な耐半田性を得ることができる。また、固結を生じにくくするため、用いる硬化剤の種類に応じて配合割合を適宜調整することが望ましい。
【0033】
また、硬化剤としてフェノール樹脂系硬化剤を用いる場合においては、エポキシ樹脂全体とフェノール樹脂系硬化剤全体との配合比率としては、エポキシ樹脂全体のエポキシ基数(EP)とフェノール樹脂系硬化剤全体のフェノール性水酸基数(OH)との当量比(EP)/(OH)が0.8以上、1.3以下であることが好ましい。当量比がこの範囲内であると、樹脂組成物の成形時に充分な硬化性を得ることができる。また、当量比がこの範囲内であると、樹脂硬化物における良好な物性を得ることができる。また、エリア表面実装型の半導体装置における反りの低減という点を考慮すると、樹脂組成物の硬化性及び樹脂硬化物のガラス転移温度又は熱時弾性率を高めることができるように、用いる硬化促進剤の種類に応じてエポキシ樹脂全体のエポキシ基数(Ep)と硬化剤全体のフェノール性水酸基数(Ph)との当量比(Ep/Ph)を調整することが望ましい。また、融け性を向上させるため、用いるエポキシ樹脂、フェノール樹脂系硬化剤の種類に応じて当量比を適宜調整することが望ましい。
【0034】
またエポキシ樹脂全体とフェノール樹脂系硬化剤全体の封止樹脂組成物における配合割合の下限値は3.5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。上限値は45質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、21質量%以下がさらに好ましい。前記範囲内とすることで良好な耐半田性などの電子部品の信頼性や流動性、充填性などの成形性等を良好にすることができ、固結を生じにくくすることができる。
【0035】
[(c)無機フィラー]
(c)無機フィラーとしては、封止樹脂組成物30としたとき固結性が良好であれば特に制限はなく、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタンホワイト、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、特にシリカが好ましく、溶融球状シリカがより好ましい。また、粒子形状は限りなく真球状であることが好ましく、また、粒子の大きさの異なるものを混合することにより充填量を多くすることができる。また、樹脂組成物の融け性を向上させるため、溶融球状シリカを用いるのが好ましい。
【0036】
(c)無機フィラーは1種または2種以上のフィラーを混合していてもよく、その全体の比表面積(SSA)は、5m
2/g以下であると好ましく、下限は、0.1m
2/g以上が好ましく、2m
2/g以上がさらに好ましい。また、(c)無機フィラー全体の平均粒径(D
50)は、1μm以上30μm以下であると好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下がさらに好ましい。
【0037】
無機フィラーとしては、比表面積(SSA)及び/又は平均粒径(D
50)が異なる2種以上の無機フィラーを用いることもできる。
【0038】
平均粒径(D
50)が相対的に大きい無機フィラーの例として、平均粒径(D
50)が好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の球状シリカが挙げられる。このような平均粒径(D
50)が相対的に大きい無機フィラーの含有量は、(c)無機フィラー全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とすることができる。
【0039】
平均粒径(D
50)が相対的に大きい無機フィラーの好ましい例として、平均粒径(D
50)が5μm以上35μm以下であり、かつ、下記(i)乃至(v)をいずれも満たす粒子径分布を備えた溶融球状シリカ(c1)が挙げられる。
【0040】
(i)粒子径が1μm以下の粒子を(c1)溶融球状シリカ全体を基準として、1〜4.5質量%含む、
(ii)粒子径が2μm以下の粒子を7質量%以上11質量%以下含む、
(iii)粒子径が3μm以下の粒子を13質量%以上17質量%以下含む、
(iv)粒子径が48μmを超える粒子を2質量%以上7質量%以下含む、
(v)粒子径が24μmを超える粒子を33質量%以上40質量%以下含む。
【0041】
このような(c1)溶融球状シリカの含有量は、(c)無機フィラー中に好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とすることができる。こうすることで、融け性をより優れたものとすることができる。
【0042】
平均粒径(D
50)が相対的に大きい無機フィラーとして、比表面積が好ましくは0.1m
2/g以上5.0m
2/g以下、より好ましくは1.5m
2/g以上5.0m
2/g以下の球状シリカを用いることが好ましい。このような球状シリカの含有量は、(c)無機フィラー全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とすることができる。
【0043】
また、平均粒径(D
50)が相対的に小さい無機フィラーの例として、平均粒径(D
50)が好ましくは0.1μm以上5μm未満の球状シリカが挙げられる。このような平均粒径(D
50)が相対的に小さい無機フィラーの含有量は、無機フィラー全体に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下とすることができる。
【0044】
平均粒径(D
50)が相対的に小さい無機フィラーの好ましい例として、平均粒径(D
50)が0.1μm以上5μm未満の溶融球状シリカ(c2)、より好ましい例として平均粒径(D
50)が0.1μm以上1μm以下の溶融球状シリカ(c3)、および平均粒径(D
50)が1μm以上5μm未満の溶融球状シリカ(c4)を各々単独または組合わせて用いる例が挙げられる。
【0045】
また、平均粒径(D
50)が相対的に小さい無機フィラーとして、比表面積が3.0m
2/g以上10.0m
2/g以下、より好ましくは3.5m
2/g以上8m
2/g以下の球状シリカが挙げられる。このような球状シリカの含有量は、(c)無機フィラー全体に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下とすることができる。
【0046】
比表面積(SSA)及び/又は平均粒径(D
50)が異なる(c)無機フィラーを組み合せる場合のより好ましい態様としては、(c)無機フィラー中に、(c1)溶融球状シリカを70質量%以上94質量%以下含み、かつ、(c2)溶融球状シリカを6質量%以上30質量%以下含むことが好ましい。さらに好ましい態様としては、(c)無機フィラー中に、(c1)溶融球状シリカを70質量%以上94質量%以下含み、平均粒径(D
50)が0.1μm以上1μm以下の溶融球状シリカ(c3)を1質量%以上29質量%以下、および平均粒径(D
50)が1μm以上5μm以下の溶融球状シリカ(c4)を1質量%以上29質量%以下含み、かつ前記(c3)および(c4)の合計量が6質量%以上30質量%以下含むものとすることができる。こうすることで、よりいっそう優れた融け性が発現し好ましい。
【0047】
なお、本実施形態において、無機フィラーの比表面積(SSA)は、市販の比表面積計(例えば、(株)マウンテック製MACSORB HM−MODEL−1201等)で測定して求めたものをいう。また、無機フィラーの平均粒径(D
50)及び粒子径は、市販のレーザー式粒度分布計(例えば、(株)島津製作所製、SALD−7000等)で測定して求めたものをいう。
【0048】
(c)無機フィラーの含有割合の下限値としては、本実施形態の封止樹脂組成物30全体を基準として60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。無機充填剤の含有割合の下限値が上記範囲内であると、樹脂組成物の硬化物物性として、吸湿量が増加したり、強度が低下したりすることがなく、良好な耐半田クラック性を得ることができ、固結を生じにくいものとなる。また、無機フィラーの含有割合の上限値としては、樹脂組成物全体の95質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。無機充填剤の含有割合の上限値が上記範囲内であると、流動性が損なわれることがなく、良好な成形性を得ることができる。また、良好な耐半田性が得られる範囲内で、無機フィラーの含有量を低く設定することが好ましい。
【0049】
[(d)硬化促進剤]
(d)硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用するものを用いることができる。具体例としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、イミダゾールなどのアミジン系化合物、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンや前記化合物の4級オニウム塩であるアミジニウム塩、アンモニウム塩などに代表される窒素原子含有化合物が挙げられる。これらのうち、硬化性の観点からはリン原子含有化合物が好ましく、流動性と硬化性のバランスの観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有する硬化促進剤がより好ましい。流動性という点を考慮するとテトラ置換ホスホニウム化合物が特に好ましく、また耐半田性の観点では、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が特に好ましく、また潜伏的硬化性という点を考慮すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が特に好ましい。また、連続成形性の観点では、テトラ置換ホスホニウム化合物が好ましい。また、コスト面を考えると、有機ホスフィン、窒素原子含有化合物も好適に用いられる。
【0050】
本実施形態に係る封止樹脂組成物30で用いることができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
【0051】
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で用いることができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0053】
一般式(1)において、Pはリン原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して芳香族基又はアルキル基を表し、Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表し、AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表し、x及びyは1〜3の数であり、zは0〜3の数であり、かつx=yである。
【0054】
一般式(1)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるが、これに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで、水を加えると、一般式(1)で表される化合物を沈殿させることができる。一般式(1)で表される化合物において、合成時の収得率と硬化促進効果のバランスに優れるという観点では、リン原子に結合するR1、R2、R3及びR4がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール化合物であり、かつAは該フェノール化合物のアニオンであるのが好ましい。なお、フェノール化合物とは、単環のフェノール、クレゾール、カテコール、レゾルシンや縮合多環式のナフトール、ジヒドロキシナフタレン、複数の芳香環を備える(多環式の)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、フェニルフェノール、フェノールノボラックなどを概念に含むものであり、中でも水酸基を2個有するフェノール化合物が好ましく用いられる。
【0055】
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で用いることができるホスホベタイン化合物としては、例えば下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【0057】
一般式(2)において、X1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Y1はヒドロキシル基を表し、aは0〜5の整数であり、bは0〜4の整数である。
【0058】
一般式(2)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
【0059】
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で用いることができるホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば下記一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。
【0061】
一般式(3)において、Pはリン原子を表し、R5、R6及びR7は、互いに独立して、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R8、R9及びR10は、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、R8とR9は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0062】
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換又はアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基等の置換基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0063】
またホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
【0064】
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
【0065】
一般式(3)で表される化合物において、リン原子に結合するR5、R6及びR7がフェニル基であり、かつR8、R9及びR10が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が硬化したエポキシ樹脂組成物の熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
【0066】
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で用いることができるホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、例えば下記式(4)で表される化合物等が挙げられる。
【0068】
一般式(4)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R11、R12、R13及びR14は、互いに独立して、芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、X2は、基Y2及びY3と結合する有機基である。X3は、基Y4及びY5と結合する有機基である。Y2及びY3は、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y2及びY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。Y4及びY5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y4及びY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。X2、及びX3は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y2、Y3、Y4、及びY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。Z1は芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。
【0069】
一般式(4)において、R11、R12、R13及びR14としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等の置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
【0070】
また、一般式(4)において、X2は、Y2及びY3と結合する有機基である。同様に、X3は、基Y4及びY5と結合する有機基である。Y2及びY3はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y2及びY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にY4及びY5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y4及びY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基X2及びX3は互いに同一であっても異なっていてもよく、基Y2、Y3、Y4、及びY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。このような一般式(4)中の−Y2−X2−Y3−、及び−Y4−X3−Y5−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、好ましくは分子内にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する有機酸が好ましく、さらに芳香環を構成する炭素上にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物が好ましく、さらには芳香環を構成する隣接する炭素上に水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物がより好ましい。例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール及びグリセリン等が挙げられる。これらの中でも、原料入手の容易さと硬化促進効果のバランスという観点では、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
【0071】
また、一般式(4)中のZ1は、芳香環又は複素環を有する有機基又は脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基及びビニル基等の反応性置換基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。
【0072】
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
【0073】
硬化促進剤全体の配合割合の下限値は、全樹脂組成物中0.1質量%以上であることが好ましい。硬化促進剤全体の配合割合の下限値が上記範囲内であると、充分な硬化性を得ることができる。また、硬化促進剤全体の配合割合の上限値は、全樹脂組成物中1質量%以下であることが好ましい。硬化促進剤全体の配合割合の上限値が上記範囲内であると、充分な流動性を得ることができる。また、融け性を向上させるため、用いる硬化促進剤の種類に応じて配合割合を適宜調整することが望ましい。
【0074】
[(e)カップリング剤]
(e)カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシリル−N−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
(e)カップリング剤の配合量は、(c)無機フィラーに対して0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下がより好ましい。0.05質量%以上とすることで、フレームを良好に接着することができ、3質量%以下とすることで、成形性を向上させることができる。
【0076】
[その他]
本実施形態の封止樹脂組成物30には、上記の成分以外に、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0077】
[封止樹脂組成物のガラス転移温度]
以上述べてきた好ましい成分等を適宜使用し、後述する製造方法等で得た本実施形態の封止樹脂組成物のガラス転移温度(つまり硬化させる前の組成物のガラス転移温度)は15℃以上30℃以下が好ましい。前記範囲内とすることで固結しづらく、また金型上ですばやく溶融するという好ましい態様を有することができる。
【0078】
なお、封止樹脂組成物のガラス転移温度は温度変調示差走査熱量計(以下モジュレイテッドDSCまたはMDSCと記載する)を使用し、5℃/min、大気下で測定し、JISK7121に従って値を求めた。
【0079】
[製造方法]
次に、封止樹脂組成物30の製造方法の一例を説明する。
【0080】
本実施形態の封止樹脂組成物30は、上記成分を混合混練した後、粉砕,造粒,押出切断,篩分等の各種の手法を単独または組み合わせることにより、顆粒状にすることができる。例えば、各原料成分をミキサーで予備混合後、ロール、ニーダー又は押出機等の混練機により加熱混練後、複数の小孔を有する円筒状外周部と円盤状の底面から構成される回転子の内側に、溶融混練された樹脂組成物を供給し、その樹脂組成物を、回転子を回転させて得られる遠心力によって小孔を通過させて得る方法(遠心製粉法);前記と同様の混練後、冷却、粉砕工程を経て粉砕物としたものを、篩を用いて粗粒と微紛の除去を行って得る方法(粉砕篩分法);各原料成分をミキサーで予備混合後、スクリュー先端部に小径を複数配置したダイを設置した押出機を用いて、加熱混練を行うとともに、ダイに配置された小孔からストランド状に押し出されてくる溶融樹脂をダイ面に略平行に摺動回転するカッターで切断して得る方法(以下、「ホットカット法」とも言う。)等が挙げられる。いずれの方法でも混練条件、遠心条件、篩分条件、切断条件等を選ぶことにより、所望の粒度分布や嵩密度を得ることができる。なお、遠心製粉法は、例えば、特開2010−159400号公報に記載されている。
【0081】
<内側包装資材20>
内側包装資材20には、直接、封止樹脂組成物30が収容される。内側包装資材20は、例えば、プラスチック袋(例:ポリエチレン袋)、紙袋等の袋であってもよいし、または、所定の強度を有するプラスチック容器、金属容器等であってもよい。封止樹脂組成物30を収容後、内側包装資材20は封緘される。封緘の手段は特段制限されず、従来のあらゆる手段を利用できる。
【0082】
<外側包装資材10>
外側包装資材10には、封止樹脂組成物30を収容して封緘された内側包装資材20が収容される。また、外側包装資材10内に、直接、封止樹脂組成物30が収容されてもよい。外側包装資材10は、例えば、金属缶や段ボール箱等、所定の強度を有する容器とすることができる。なお、外側包装資材10の使用態様として、複数の外側包装資材10を多段に積み重ねたり、また、外側包装資材10の上に他の物品等を積み重ねたりする場合が考えられる。このような使用態様を想定し、外側包装資材10は、所定の重さ(設計的事項)の物品が積層されても大きく変形せず、当該物品の重さが当該外側包装資材10の内部に収容された封止樹脂組成物30にかからない程度の強度を有するのが好ましい。
【0083】
<梱包方法>
図1に示すように、本実施形態では、封止樹脂組成物30を内側包装資材20に収容し、封緘した後、当該内側包装資材20を外側包装資材10に収容する。そして、封止樹脂組成物30の嵩密度をM(g/cc)、包装資材内に収容された状態における封止樹脂組成物30による堆積物の高さをL(cm)とすると、M×L≦19を満たすようにする。なお、封止樹脂組成物30の嵩密度Mは、封止樹脂組成物30の要求性能などにより決定される値であるので、本実施形態の効果を実現するために当該値を調整(変更)することは困難な場合が多い。そこで、本実施形態では、要求性能などにより決定された封止樹脂組成物30の嵩密度Mに基づいて、堆積物の高さL(cm)をコントロールする。具体的には、M×L≦19を満たすように、堆積物の高さL(cm)の上限をコントロールする。例えば、封止樹脂組成物30の嵩密度Mが0.70g/cc以上0.95g/cc以下である場合、高さLが25cm以下、好ましくは23cm以下、より好ましくは20cm以下、さらに好ましくは15cm以下とする。また、封止樹脂組成物30の嵩密度Mが1.0g/cc以上1.3g/cc以下である場合、高さLが14.6cm以下、好ましくは13cm以下とする。
【0084】
顆粒状の封止樹脂組成物30の高さL(cm)の上限のコントロールは、封止樹脂組成物30を収容するスペースの形状、大きさ、収容する量等を調整することで実現できる。その他、例えば、内側包装資材20の高さH(cm)の上限をコントロールすることで、実現してもよい(L≦H)。例えば、封止樹脂組成物30の嵩密度Mが0.70g/cc以上0.95g/cc以下である場合、高さHが25cm以下、好ましくは23cm以下、より好ましくは20cm以下、さらに好ましくは15cm以下になるように調整する。同様に、封止樹脂組成物30の嵩密度Mが1.0g/cc以上1.3g/cc以下である場合、高さHが14.6cm以下、好ましくは13cm以下になるように調整する。または、外側包装資材10により形成される内側包装資材20を収容する空間の高さN(cm)の上限をコントロールすることで、実現してもよい(L≦H≦N)。
【0085】
本発明者は、M×L≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包し、自重力を制御(上限を制限)した場合、保管時に一部の封止樹脂組成物30同士が固結する不都合を抑制することを見出した。
【0086】
ここで、高さH、Nは、通常の慣習に従い内側包装資材20及び/又は外側包装資材10の所定の面を底面として地面に載置した状態における高さを意味する(以下も同様)。例えば、包装資材に天地を特定する情報(文字、記号など)が付されている場合、当該情報に従い包装資材を地面に載置した状態における高さを意味する。また、包装資材の側面に文字、図形などからなる模様が付されている場合、当該模様の上下が正しくなるように包装資材を地面に載置した状態における高さを意味する。しかし、本実施形態では外側包装資材に如何なる向きに印字されていても、その物流、保管過程で本実施形態の作用効果に鑑みて、重力方向を下方向、その反対方向を上方向とした場合にその包装資材の下端から上方向に高さを測定し、M×H≦19なる関係を満たす場合、本実施形態の範囲内となる。
【0087】
なお、前記梱包方法等の本実施形態の梱包方法の内側包装資材内、または外側包装資材と内側包装資材の間の空間に乾燥や酸素吸収の作用のある薬剤を有した容器を本実施形態の効果を損なわない方法で備えることもできる。
【0088】
<変形例1>
図1に示した実施形態では、1つの外側包装資材10に1つの内側包装資材20を収容していた。しかし、1つの外側包装資材10に複数の内側包装資材20を収容することもできる。
【0089】
例えば、
図2に示すように、外側包装資材10の高さ方向に伸びる仕切り11で、外側包装資材10の内部を複数の部屋に区分けしてもよい。そして、複数の内側包装資材20(不図示)を個別に、複数の部屋各々に収容してもよい。
図2では、外側包装資材10の内部を4つの部屋に区分けしているが、その数は特段制限されない。また、
図2では、各部屋の形状は四角柱となっているが、これに制限されず、その他、三角柱等であってもよい。
【0090】
当該変形例においても、M×L≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包する。なお、M×H≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。また、M×N≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。
【0091】
その他の変形例として、例えば、
図3に示すように、外側包装資材10の高さ方向と略垂直な方向に伸びる仕切り12で、外側包装資材10の内部を複数の部屋に区分け(上下に区分け)してもよい。そして、複数の内側包装資材20(不図示)を個別に、複数の部屋各々に収容してもよい。
図3では、外側包装資材10の内部を2つの部屋に区分けしているが、その数は特段制限されない。
【0092】
なお、
図3に示すように複数の部屋を、外側包装資材10の高さ方向に積層した多段構成とする場合、上段側の部屋に収容された内側包装資材20の重さが、下段側の部屋に収容された内側包装資材20内の封止樹脂組成物30にかからないようにする上段支持手段を備えるのが好ましい。上段支持手段の構成は特段制限されないが、例えば、
図3に示すように、外側包装資材10の4隅に設けられた所定高さの土台13で上段支持手段を実現してもよい。仕切り12は土台13の上に載置されることで、支持される。そして、仕切り12及び土台13を、上段に収容される封止樹脂組成物30を収容した内側包装資材20の重さに耐えうる強度に構成しておく。なお、土台13は、外側包装資材10の4隅以外の位置に設けてもよい。
【0093】
本変形例において、上段側の部屋に収容された内側包装資材20の重さが、下段側の部屋に収容された内側包装資材20内の封止樹脂組成物30にかからない場合、封止樹脂組成物30による堆積物の高さL(cm)は、各部屋に収容された内側包装資材20内の封止樹脂組成物30各々の堆積物の高さとなる。
【0094】
そして、本変形例においても、M×L≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包する。なお、M×H≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。また、M×N≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。本変形例の場合、外側包装資材10により形成される内側包装資材20を収容する空間の高さNは、内側包装資材20を収容する各部屋の高さを意味する。
【0095】
その他の変形例として、例えば、
図4に示すように、外側包装資材10の高さ方向に伸びる仕切り11と、高さ方向と垂直な方向に伸びる仕切り12とで、外側包装資材10の内部を複数の部屋に区分けしてもよい。そして、複数の部屋各々に、内側包装資材20(不図示)を収容してもよい。
図4では、外側包装資材10の内部を8つの部屋に区分けしているが、その数は特段制限されない。当該変形例においても、上段支持手段を備えるのが好ましいが、
図4においては省略している。
【0096】
当該変形例においても、M×L≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包する。なお、M×H≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。また、M×N≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。本変形例の場合、外側包装資材10により形成される内側包装資材20を収容する空間の高さNは、内側包装資材20を収容する各部屋の高さを意味する。
【0097】
本変形例においても、
図1を用いて説明した実施形態と同様の作用効果を実現できる。
【0098】
<変形例2>
図1に示した例及び変形例1では、通常の慣習に従い外側包装資材10の所定の面を底面として地面に載置した状態における高さ(L、HまたはN)を調整(変更)することで、自重力の最大値を所望の範囲に制限する構成を説明した。しかし、保管スペースなどの制限により、通常の慣習に従わず、外側包装資材10のその他の面を底面として地面に載置する使用形態も考えられる。
【0099】
そこで、本変形例では、外側包装資材10が有する複数の外面のいずれの面を底面として地面に載置しても、自重力の最大値を所望の範囲に制限できる構成とする。
【0100】
例えば、通常の慣習に従った外側包装資材10の底面と異なる面各々を底面として地面に載置した状態における内側包装資材20の高さをH´とすると、M×H´≦19を満たすように設計する。または、通常の慣習に従った外側包装資材10の底面と異なる面各々を底面として地面に載置した状態における、外側包装資材10により形成される内側包装資材20を収容する空間の高さをN´とすると、M×N´≦19を満たすように設計する。これらは、内側包装資材20の形状、または、外側包装資材10の形状、内部空間の仕切り方等を調整することで、実現することができる。
【0101】
なお、その他の構成は、
図1に示した実施形態及び変形例1と同様である。当該変形例においても、
図1を用いて説明した実施形態と同様の作用効果を実現できる。
【0102】
<変形例3>
図1に示した例及び変形例1及び2では、封止樹脂組成物30を内側包装資材20に収容し、当該内側包装資材20を外側包装資材10に収容していた。本変形例では、外側包装資材10に直接封止樹脂組成物30を梱包する。その他の構成は、
図1に示した例及び変形例1及び2と同様である。
【0103】
例えば、密閉性がよく、内部に1つ又は複数の部屋を有する外側包装資材10の各部屋に、封止樹脂組成物30を直接収容する。当該変形例においても、M×L≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包する。また、M×N≦19を満たすように封止樹脂組成物30を梱包してもよい。各部屋の高さN(cm)は、M×N≦19を満たすよう調整されている。なお、外側包装資材10が有する複数の外面のいずれを底面として地面に載置した場合にも、各部屋の高さをN(cm)は、M×N≦19を満たすよう調整されていてもよい。また、外側包装資材10の内部は多段になるように複数の部屋に区分けされていてもよい。かかる場合、ある部屋に収容された封止樹脂組成物30の重さが、他の部屋に収容された封止樹脂組成物30にかからないように、外側包装資材10は構成されているのが好ましい。このような構成は、上記説明した例(上段支持手段を利用する例)等を利用して実現できる。
【0104】
次に、顆粒状の封止樹脂組成物を用いて圧縮成形により半導体素子を封止してなる本実施形態の半導体装置について説明する。まず、本実施形態の顆粒状の封止樹脂組成物を用いて圧縮成形により半導体素子を封止して半導体装置を得る方法を説明する。
【0105】
顆粒状の封止樹脂組成物の秤量及び金型キャビティへの供給方法の概略図を
図5及び6に示す。封止樹脂組成物30を瞬時に下型キャビティ104内に供給することができるシャッター等の樹脂材料供給機構を備えた樹脂材料供給容器102上に、振動フィーダー101等の搬送手段を用いて顆粒状の封止樹脂組成物30を一定量搬送し、顆粒状の封止樹脂組成物30が入れられた樹脂材料供給容器102を準備する(
図5参照)。この際、樹脂材料供給容器102における顆粒状の封止樹脂組成物30の計量は、樹脂材料供給容器102の下に設置した計量手段により行うことができる。本実施形態で重要な固結により生じる塊状物の問題は本工程で生じる場合が多い。つまり、固結しやすい状態だと、成形機投入時に既に塊状物が生じていたり、前記振動フィーダー101等での搬送中や、樹脂材料供給容器上でダマとなり塊状物が生じてしまうなどの問題が生じる。次に圧縮成形金型の上型と下型の間に、顆粒状の封止樹脂組成物30が入れられた樹脂材料供給容器102を設置するとともに、半導体素子を搭載したリードフレーム又は回路基板を、クランプ、吸着等の固定手段により圧縮成形金型の上型に、半導体素子搭載面が下側になるようにして固定する(図示せず)。尚、リードフレーム又は回路基板が貫通する部分のある構造の場合は、半導体素子搭載面の反対側の面にフィルム等を用いて裏打ちをする。
【0106】
次いで、樹脂材料供給容器102の底面を構成するシャッター等の樹脂材料供給機構により、秤量された顆粒状の封止樹脂組成物30を下型キャビティ104内へ供給すると(
図6参照)、顆粒状の封止樹脂組成物30は下型キャビティ104内で所定温度にて溶融される。さらに、樹脂材料供給容器102を金型外へ搬出したのち、必要に応じてキャビティ内を減圧下にしながら、圧縮成形機により型締めを行って、溶融した封止樹脂組成物が半導体素子を取り囲むようにキャビティ内に充填させ、さらに所定時間、封止樹脂組成物を硬化させることにより、半導体素子を封止成形する。この際、前記塊状物が存在すると、熱回りが不均一となり、十分に溶融しない部分でワイヤー変形が増大する。所定時間経過後、金型を開き、半導体装置の取り出しを行う。なお、キャビティ内を減圧下にして脱気成形することは必須ではないが、封止樹脂組成物の硬化物中のボイドを低減できるため好ましい。また、リードフレーム又は回路基板に搭載される半導体素子は、複数であってもよく、かつ積層又は並列して搭載されていてもよい。
【0107】
本実施形態の半導体装置で封止される半導体素子としては、特に限定されるものではなく、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられる。
【0108】
本実施形態の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、MAPタイプのBGA等が挙げられる。又、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、クワッド・フラット・ノンリーデッド・パッケージ(QFN)、スモールアウトライン・ノンリーデッド・パッケージ(SON)、リードフレーム・BGA(LF−BGA)等にも適用可能である。
【0109】
圧縮成形で封止樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止した本実施形態の半導体装置は、そのまま、或いは80℃から200℃程度の温度で、10分から10時間程度の時間をかけて完全硬化させた後、電子機器等に搭載される。
【0110】
以下に、リードフレーム又は回路基板と、リードフレーム又は回路基板上に積層又は並列して搭載された1以上の半導体素子と、リードフレーム又は回路基板と半導体素子とを電気的に接続するボンディングワイヤと、半導体素子とボンディングワイヤを封止する封止材とを備えた半導体装置について、図を用いて詳細に説明するが、本実施形態はボンディングワイヤを用いたものに限定されるものではない。
【0111】
図7は、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を用いて、リードフレームに搭載した半導体素子を封止して得られる半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。ダイパッド403上に、ダイボンド材硬化体402を介して半導体素子401が固定されている。半導体素子401の電極パッドとリードフレーム405との間はワイヤー404によって接続されている。半導体素子401は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化体で構成される封止材406によって封止されている。
【0112】
図8は、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を用いて、回路基板に搭載した半導体素子を封止して得られる半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。回路基板408上にダイボンド材硬化体402を介して半導体素子401が固定されている。半導体素子401の電極パッドと回路基板408上の電極パッドとの間はワイヤー404によって接続されている。本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化体で構成される封止材406によって、回路基板408の半導体素子401が搭載された片面側のみが封止されている。回路基板408上の電極パッド407は回路基板408上の非封止面側の半田ボール409と内部で接合されている。
【0113】
なお、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、集積回路、大規模集積回路などの半導体素子に限定されず、種々の素子、例えば、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、コンデンサ、抵抗、LEDなどを封止することができる。
【0114】
<<第2の実施形態>>
本発明者は封止用エポキシ樹脂粒子同士の互着防止について鋭意検討し、温度変調示差走査熱量計を用いて測定したエポキシ樹脂組成物の粉粒体ガラス転移温度という尺度がこうした設計指針として有効であることをさらに見出した。以下、本実施形態について説明する。
【0115】
本実施形態に係る顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物は、温度変調示差走査熱量計(Modulated Differential Scanning Calorimetry:MDSC)を用いて測定した粉粒体ガラス転移温度が12℃以上35℃以下である。この粉粒体ガラス転移温度が、かかる範囲にあることによって、当該封止用エポキシ樹脂組成物粒子同士による互着を効果的に抑制することができる。
【0116】
温度変調示差走査熱量計を用いて測定した粉粒体ガラス転移温度とは、顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物の互着防止性を示す尺度である。この温度変調示差走査熱量計は、定速昇温と同時にサイン波状温度変調を加えて昇温する測定法である。このため、従来の示差走査熱量計とは異なり、比熱変化に対応したヒートフローを測定することができるようになり、より精密に樹脂組成物の互着防止性を評価することが可能となる。
【0117】
また、温度変調示差走査熱量計を用いて測定した粉粒体ガラス転移温度は、12℃以上35℃以下であることが好ましく、14℃以上30℃以下であるとさらに好ましい。この範囲にあることによって、顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物の互着防止性がより一層向上する。
【0118】
ここで、温度変調示差走査熱量計を用いて測定した粉粒体ガラス転移温度は、具体的に、以下のように測定することができる。粉粒体ガラス転移温度は、5℃/min、大気気流下で温度変調示差走査熱量計を用いて測定し、JIS K7121に従って値を求めた。
【0119】
なお、本実施形態に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、特定の大きさの粒子の含有量を制御すると、封止用エポキシ樹脂組成物の互着防止性をより一層向上させることができる。
【0120】
9meshのJIS標準篩を用いて篩分により測定した封止用エポキシ樹脂組成物の粒度分布における、粒径2mm以上の粒子の含有量が、本実施形態に係る封止用エポキシ樹脂組成物に対して3質量%以下であることが好ましい。この範囲に制御することによって、互着防止性をより一層向上させることができる。なお、上記粒径2mm以上の粒子の含有量が1質量%以下であるとさらに好ましい。
【0121】
150meshのJIS標準篩を用いて篩分により測定した封止用エポキシ樹脂組成物の粒度分布における、粒径106μm未満の微粉の含有量についても、本実施形態に係る封止用エポキシ樹脂組成物に対して5質量%以下であることが好ましい。この範囲に制御することによって、互着防止性をより一層向上させることができる。なお、上記粒径106μm未満の微粉の含有量が3質量%以下であるとさらに好ましい。
【0122】
<封止樹脂組成物30>
本実施形態の封止樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤と、(c)無機フィラーとを必須成分として含むが、(d)硬化促進剤、(e)カップリング剤をさらに含んでいてもよい。以下、各成分について具体的に説明する。
【0123】
[(a)エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、配合割合を除くその他の構成は、第1の実施形態と同様とすることができる。
【0124】
エポキシ樹脂全体の配合割合の下限値については、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。配合割合の下限値が上記範囲内であると、流動性の低下等を引き起こす恐れが少ない。また、エポキシ樹脂全体の配合割合の上限値についても、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、22質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。配合割合の上限値が上記範囲内であると、粉粒体ガラス転移温度の低下が少なく、互着を適正に抑制することができ、耐半田性の低下等を引き起こす恐れが少ない。また、融け性を向上させるため、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて配合割合を適宜調整することが望ましい。
【0125】
[(b)硬化剤]
硬化剤は、配合割合を除くその他の構成は、第1の実施形態と同様とすることができる。
【0126】
硬化剤全体の配合割合の下限値については、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、2質量%以上であることが好ましく3質量%以上であることがより好ましい。配合割合の下限値が上記範囲内であると、充分な流動性を得ることができる。また、硬化剤全体の配合割合の上限値についても、特に限定されないが、全樹脂組成物中に、16質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。配合割合の上限値が上記範囲内であると、粉粒体ガラス転移温度の低下が少なく、互着を適正に抑制することができ、良好な耐半田性を得ることができる。また、融け性を向上させるため、用いる硬化剤の種類に応じて配合割合を適宜調整することが望ましい。
【0127】
また、硬化剤としてフェノール樹脂系硬化剤を用いる場合において、エポキシ樹脂全体とフェノール樹脂系硬化剤全体との配合比率として、エポキシ樹脂全体のエポキシ基数(EP)とフェノール樹脂系硬化剤全体のフェノール性水酸基数(OH)との当量比(EP)/(OH)が0.8以上、1.3以下であることが好ましい。当量比がこの範囲内であると、樹脂組成物の成形時に充分な硬化性を得ることができる。また、当量比がこの範囲内であると、樹脂硬化物における良好な物性を得ることができる。また、エリア表面実装型の半導体装置における反りの低減という点を考慮すると、樹脂組成物の硬化性及び樹脂硬化物のガラス転移温度又は熱時弾性率を高めることができるように、用いる硬化促進剤の種類に応じてエポキシ樹脂全体のエポキシ基数(Ep)と硬化剤全体のフェノール性水酸基数(Ph)との当量比(Ep/Ph)を調整することが望ましい。また、融け性を向上させるため、用いるエポキシ樹脂、フェノール樹脂系硬化剤の種類に応じて当量比を適宜調整することが望ましい。
【0128】
[(c)無機フィラー]
無機フィラーは、含有割合を除くその他の構成は、第1の実施形態と同様とすることができる。
【0129】
(c)無機フィラーの含有割合の下限値としては、本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物全体を基準として61質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。無機充填剤の含有割合の下限値が上記範囲内であると、粉粒体ガラス転移温度の低下が少なく、互着を適正に抑制することができ、樹脂組成物の硬化物物性として、吸湿量が増加したり、強度が低下したりすることがなく、良好な耐半田クラック性を得ることができる。また、無機フィラーの含有割合の上限値としては、樹脂組成物全体の95質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。無機充填剤の含有割合の上限値が上記範囲内であると、流動性が損なわれることがなく、良好な成形性を得ることができる。また、良好な耐半田性が得られる範囲内で、無機フィラーの含有量を低く設定することが好ましい。
また、前記(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、および(c)無機フィラーの含有量が、前記封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、(a)2質量%以上22質量%以下、(b)2質量%以上16質量%以下、(c)61質量%以上、95質量%以下である時、特に互着を適正に抑制することができ、かつ優れた耐半田性等の信頼性や成形性を得ることができる。前記互着との関係は明らかではないが、封止用エポキシ樹脂組成物を一定期間保存静置した際に、粒子極表面近傍の樹脂成分がわずかずつ塑性変形を生じると隣接粒子同士が融着するが、前記範囲であると、該塑性変形が生じにくくなるのではないかと考えられる。
【0130】
[(d)硬化促進剤]
硬化促進剤の構成は第1の実施形態と同様とすることができる。
【0131】
[(e)カップリング剤]
カップリング剤の構成は第1の実施形態と同様とすることができる。
【0132】
[その他]
本実施形態の封止樹脂組成物30には、上記の成分以外に、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0133】
なお、封止樹脂組成物30の製造方法、包装資材(内側包装資材20及び/又は外側包装資材10)の構成、梱包方法、封止樹脂組成物30を用いた半導体素子の封止方法及び封止された半導体装置の構成は第1の実施形態と同様である。
【0134】
以上説明した第1及び第2の実施形態によれば、封止樹脂組成物30を包装資材(内側包装資材20及び/又は外側包装資材10)内に収容した梱包物、及び、封止樹脂組成物30を包装資材(内側包装資材20及び/又は外側包装資材10)内に収容した状態で運搬する運搬方法の発明の説明もなされている。
【0135】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0136】
実施例、比較例で用いた成分について下記に示す。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1::ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)
エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX4000H)
【0137】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851SS)
フェノール樹脂2:フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、XLC−4L)
【0138】
(無機フィラー)
球状無機フィラー1:球状溶融シリカ(平均粒径16μm、比表面積2.1m
2/g)
球状無機フィラー2:球状溶融シリカ(平均粒径10μm、比表面積4.7m
2/g)
球状無機フィラー3:球状溶融シリカ(平均粒径32μm、比表面積1.5m
2/g)
【0139】
球状無機フィラー1〜3中の粒子径の分布を表1に示す。
【0140】
【表1】
【0141】
微球無機フィラー1:球状溶融シリカ(平均粒径0.5μm、比表面積6.1m
2/g)
微球無機フィラー2:球状溶融シリカ(平均粒径1.5μm、比表面積4.0m
2/g)
【0142】
(その他の成分)
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン
カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
カーボンブラック
ワックス:カルナバワックス
【0143】
<実施例1>
表2で示す配合のエポキシ樹脂組成物の原材料をスーパーミキサーにより5分間粉砕混合したのち、この混合原料を直径65mmのシリンダー内径を持つ同方向回転二軸押出機にてスクリュー回転数30RPM、100℃の樹脂温度で溶融混練し、次に、直径20cmの回転子の上方より溶融混練された樹脂組成物を2kg/hrの割合で供給して、回転子を3000RPMで回転させて得られる遠心力によって、115℃に加熱された円筒状外周部の複数の小孔(孔径2.5mm)を通過させることで、顆粒状の封止樹脂組成物30を得た。この封止樹脂組成物30の樹脂組成物の性状は表2に示す。
【0144】
次に上段支持手段を備えた
図4に準じた梱包方法で上下段合わせて8部屋を備えた縦横32cm、高さ28cmの段ボールケース(外側包装資材10)に内側包装資材20としてポリ袋を用いて前記で得た封止樹脂組成物30を各々内側包装資材20の高さが表2に示す値となるように収納、封緘し、段ボールケースをガムテープで閉じた(この梱包方法をAと呼ぶ、表2においても同様の手法で表記)。このような梱包後、1週間、−5℃の冷凍庫に保存した。なお、本実施例での内側包装資材の高さHは、梱包された封止樹脂組成物が内側包装資材の上面に接する状態で測定したものであり、実質、内側包装資材の高さHと封止樹脂組成物の高さLは同等とみなすことができる。ちなみに、内側包装資材の厚みは数百ミクロンであったので、当該厚みを考慮した場合の封止樹脂組成物の高さLと内側包装資材20の高さHの誤差は数ミリであった。以下の実施例、比較例はすべて同様の厚みの内側包装資材を使用し、内側包装資材20の高さの測定も同様に行った。
【0145】
その後開封しないまま25℃の部屋で3時間常温戻しを行った後、圧縮成形機(TOWA株式会社製、PMC1040)の所定の位置に封止樹脂組成物30を投入したが、塊状物は全く見られなかった。さらに振動フィーダー上、樹脂材料供給容器上、金型上にそれぞれ搬送、散布された封止樹脂組成物30にも全く塊状物は見られなかった。
【0146】
<実施例3>
表2で示す配合のエポキシ樹脂組成物の原材料をスーパーミキサーにより5分間粉砕混合したのち、この混合原料を直径65mmのシリンダー内径を持つ同方向回転二軸押出機にてスクリュー回転数30RPM、100℃の樹脂温度で溶融混練し、冷却、粉砕工程を経て粉砕物としたものを、篩を用いて粗粒と微紛の除去を行って粉粒状の封止樹脂組成物30を得た。封止樹脂組成物30の性状は表2に示す。
【0147】
次に
図2に準じた梱包方法で4部屋を備えた縦横32cm、高さ20cmの段ボールケース(外側包装資材10)に内側包装資材20としてポリ袋を用いて前記で得た封止樹脂組成物30を各々内側包装資材20の高さが表2に示す値となるように収納、封緘し、段ボールケースをガムテープで閉じた(本実施例の梱包方法をBと呼ぶ、表2においても同様の手法で表記)。このような梱包後、1週間、−5℃の冷凍庫に保存した。
【0148】
その後開封しないまま25℃の部屋で3時間常温戻しを行った後、圧縮成形機(TOWA株式会社製、PMC1040)の所定の位置に封止樹脂組成物30を投入したが、塊状物は全く見られなかった。さらに振動フィーダー上、樹脂材料供給容器上、金型上にそれぞれ搬送、散布された封止樹脂組成物30にも全く塊状物は見られなかった。
【0149】
<実施例2及び4>
表2に示す配合で実施例1と同様に封止樹脂組成物30を得て、梱包方法A(ただし内側包装資材の高さは表2に示す)で実施例1と同様に保存、成形したが、全く塊状物は見られなかった。
【0150】
<比較例1乃至4>
表2に示す配合で比較例1、2、4は実施例1と同様に、比較例3は実施例3と同様に封止樹脂組成物を得た。
【0151】
次に、ポリ袋の中に前記で得た封止樹脂組成物を収納した後、当該ポリ袋を、縦横32cm、高さ35cmの段ボールケースであって、
図2と同様に内部が4部屋に区切られたものの中に、各ポリ袋の高さが表2に示す値となるように収納、封緘し(比較例の梱包方法をCと呼ぶ、表2においても同様の手法で表記)、実施例1と同様に保存、成形を行った。その結果いずれも塊状物が成形機投入時、または搬送、計量時等で見出された。
【0152】
【表2】
【0153】
<評価方法>
実施例及び比較例における粉粒状の封止樹脂組成物を下記の方法で評価した。
【0154】
1.比表面積(SSA)
(株)マウンテック製MACSORB HM−MODEL−1201を使用し、BET流動法により評価した。
【0155】
2.平均粒径(D
50)
(株)島津製作所製、SALD−7000を使用し、レーザー回折式粒度分布測定法にて評価した。D
50はメジアン径である。
【0156】
3.106μm未満の微粉量及び2mm以上の粗粒量
ロータップ振動機に備え付けた目開き2.00mm及び0.106mmのJIS標準篩を用いて決定した。これらの篩を20分間に亘って振動させながら40gの試料を篩に通して分級して各篩に残る粒状体や粒体の重量を計測した。このように計測した重量を分級前の試料の重量を基準にして粒径が106μm未満の微粉量及び2mm以上の粗粒量の重量比を算出した。
【0157】
4.真比重
得られた封止樹脂組成物を一旦所定の寸法のタブレットに打錠し、トランスファー成形機を用い、金型温度175±5℃、注入圧力7MPa、硬化時間120秒で、直径50mm×厚さ3mmの円盤を成形し、質量、体積を求め硬化物比重を計算した。
【0158】
5.嵩比重
パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、内径50.46mm、深さ50mm、容積100cm
3の測定容器の上部に円筒を取り付けたものに封止樹脂組成物の試料をゆるやかに入れた後、180回のタッピングを行い、その後、上部円筒を取り除き、測定容器上部に堆積した試料をブレードですりきり、測定容器に充填された試料の重量を測定することにより求めた。
【0159】
6.スパイラルフロー
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−15」)を用いて、ANSI/ASTM D 3123−72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で、各実施例および各比較例の封止樹脂組成物を注入し、流動長を測定し、これをスパイラルフロー(cm)とした。
【0160】
7.MDSCによる封止樹脂組成物ガラス転移温度(Tg)
温度変調示差走査熱量計(以下モジュレイテッドDSCまたはMDSCと記載する)を使用し、本発明の封止樹脂組成物(硬化前のもの)を5℃/min、大気下で測定し、JIS K7121に従って値を求めた。
【0161】
8.ワイヤー変形
厚み0.5mm、幅50mm、長さ210mmの回路基板上に、厚み0.3mm、9mm角の半導体素子を銀ペーストにて接着し、径25μm、長さ約5mmの金線ワイヤーをピッチ間隔60μmで半導体素子と回路基板に接合したものを、圧縮成形機(TOWA株式会社製、PMC1040)により一括で封止成形し、MAP成形品を得た。この際の成形条件は、金型温度175℃、成形圧力3.9MPa、硬化時間120秒で行った。次いで、得られたMAP成形品をダイシングにより個片化し、模擬半導体装置を得た。得られた模擬半導体装置におけるワイヤー流れ量を、軟X線装置(ソフテックス株式会社製、PRO−TEST−100)を用いてパッケージの対角線上にある最も長い金ワイヤー4本(長さ5mm)の平均の流れ率を測定し、ワイヤー流れ率(ワイヤー流れ量/ワイヤー長×100(%))を算出した。
【0162】
評価結果は、表2に示す。
実施例では封止樹脂組成物に塊状物は存在せず、ワイヤー変形量が小さかった。一方比較例の封止樹脂組成物では成形機に投入する際、塊状物が散見され、金型上で塊状物が十分に溶融せず、ワイヤー変形が大きくなった。
【0163】
なお、本発明者は、上記実施例1乃至4と同様の手法で、嵩密度Mが1.0g/cc以上1.3g/cc以下の封止樹脂組成物30を、Hが14.6cm以下となる条件で梱包した場合も、実施例1乃至4と同様の結果が得られることを確認した。
【0164】
この出願は、2012年2月29日に出願された日本特許出願特願2012−44268号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
顆粒状の封止樹脂組成物の梱包方法であって、
前記封止樹脂組成物の嵩密度をM(g/cc)、
包装資材内に収容された状態における、前記封止樹脂組成物による堆積物の高さをL(cm)とすると、
M×L≦19を満たす封止樹脂組成物の梱包方法。
<2>
<1>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記包装資材は、前記封止樹脂組成物が直接収容される内側包装資材と、前記内側包装資材が収容される1つまたは複数の部屋を内部に有する外側包装資材とを含み、
前記外側包装資材内に収容された状態における1つの前記内側包装資材の高さをH(cm)とすると、
M×H≦19を満たす封止樹脂組成物の梱包方法。
<3>
<2>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記Mは0.70(g/cc)以上0.95(g/cc)以下であり、前記Hは20cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<4>
<2>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記Mは1.0(g/cc)以上1.3(g/cc)以下であり、前記Hは14.6cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<5>
<1>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記包装資材は、前記封止樹脂組成物が直接収容される1つまたは複数の部屋を内部に有する外側包装資材を含み、
前記外側包装資材の底面を地面に載置した状態における前記部屋の高さをN(cm)とすると、
M×N≦19を満たす封止樹脂組成物の梱包方法。
<6>
<5>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記Mは0.70(g/cc)以上0.95(g/cc)以下であり、前記Nは20cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<7>
<5>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記Mは1.0(g/cc)以上1.3(g/cc)以下であり、前記Nは14.6cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<8>
<6>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記外側包装資材は複数の外面を有し、いずれの外面を底面として地面に載置しても、前記Nは20cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<9>
<7>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記外側包装資材は複数の外面を有し、いずれの外面を底面として地面に載置しても、前記Nは14.6cm以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<10>
<2>から<9>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記外側包装資材の内部は、多段構成となった複数の前記部屋に区分けされている封止樹脂組成物の梱包方法。
<11>
<10>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記外側包装資材の内部は、ある前記部屋に収容された前記封止樹脂組成物の重さが、他の前記部屋に収容された前記封止樹脂組成物にかからないように区分けされている封止樹脂組成物の梱包方法。
<12>
<1>から<11>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記封止樹脂組成物は、無機フィラーを含む封止樹脂組成物の梱包方法。
<13>
<12>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記無機フィラーはシリカである封止樹脂組成物の梱包方法。
<14>
<1>から<13>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む封止樹脂組成物の梱包方法。
<15>
<1>から<14>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記封止樹脂組成物は、フェノール樹脂を含む封止樹脂組成物の梱包方法。
<16>
<1>から<11>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記封止樹脂組成物は、圧縮成形により素子を封止するために用いられる顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物であって、
(a)エポキシ樹脂と、(b)硬化剤と、(c)無機フィラーとを必須成分として含み、
温度変調示差走査熱量計を用いて測定した前記封止用エポキシ樹脂組成物の粉粒体ガラス転移温度が12℃以上35℃以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<17>
<16>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物における粒子径が2mm以上の粒子の含有量が、前記封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して3質量%以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<18>
<16>又は<17>に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記顆粒状の封止用エポキシ樹脂組成物における粒子径が106μm未満の粒子の含有量が、前記封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して5質量%以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<19>
<16>から<18>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記(a)エポキシ樹脂、前記(b)硬化剤、および前記(c)無機フィラーの含有量が、前記封止用エポキシ樹脂組成物の総量に対して、(a)2質量%以上22質量%以下、(b)2質量%以上16質量%以下、(c)61質量%以上、95質量%以下である封止樹脂組成物の梱包方法。
<20>
<16>から<19>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記(b)硬化剤がフェノール樹脂である封止樹脂組成物の梱包方法。
<21>
<16>から<20>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
(d)硬化促進剤をさらに含み、前記(d)硬化促進剤がテトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、及び、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物からなる群から選択されるリン原子含有化合物である封止樹脂組成物の梱包方法。
<22>
<16>から<21>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
(e)カップリング剤をさらに含み、前記カップリング剤が2級アミノ基を有するシランカップリング剤である封止樹脂組成物の梱包方法。
<23>
<16>から<22>のいずれか一に記載の封止樹脂組成物の梱包方法において、
前記素子が半導体素子である封止樹脂組成物の梱包方法。
<24>
包装資材と、
前記包装資材内に収容されており、嵩密度がM(g/cc)である顆粒状の封止樹脂組成物と、を含み、
前記包装資材内に収容された状態における、前記封止樹脂組成物による堆積物の高さをL(cm)とすると、M×L≦19を満たす梱包物。
<25>
顆粒状の封止樹脂組成物を包装資材内に収容した状態で運搬する運搬方法であって、
前記封止樹脂組成物の嵩密度をM(g/cc)、
前記包装資材内に収容された状態における、前記封止樹脂組成物による堆積物の高さをL(cm)とすると、
M×L≦19を満たす封止樹脂組成物の運搬方法。