(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態としての噴流はんだ付け装置の実施の形態について説明する。なお、以下で上流側とは、図中の白抜き矢印で示す基板5を噴流はんだ付け装置に搬入する側を表し、下流側とは、基板5を噴流はんだ付け装置から搬出する側を表す。なお、本例においては、フラクサ、プリヒータ部、噴流はんだ槽、冷却機からなるはんだ付け処理装置に係る実施の形態を用いて説明するが、本例に限定されないことはいうまでもない。さらに、基板の搬送は、所定の角度、例えば5度程度の傾斜する仰角をもって行われる場合を例示とする。
【0021】
[噴流はんだ付け装置1の全体構成例]
図1に示す噴流はんだ付け装置1は、例えば、パワーデバイス等の表面実装部品を載置した基板5を、溶融したはんだを噴流させてはんだ付け処理する装置であって、本体部10と、基板5を図中の白抜き矢印方向に搬送する搬送レール13とを備える。本体部10は、筐体であり、その側方に基板5を搬入する搬入口11と、基板5を搬出する搬出口12とを有する。前記搬入口11側が、上述したように上流側となる。
【0022】
本体部10はその内部に、基板5にフラックスを塗布するフラクサ15と、フラックスを塗布された基板5を予備加熱するプリヒータ部16と、溶融したはんだを噴流して基板5に接触させる噴流はんだ槽20と、はんだ付けされた基板5を冷却する冷却機17とを、搬送レール13に沿って上流側からこの順で備える。搬送レール13は、基板5を搬出口12から排出すると、噴流はんだ付け装置1によるはんだ付け処理が完了となる。さらに、噴流はんだ付け装置1は、各部の動作を制御する
図5に示す制御部70を備える。
【0023】
フラクサ15は、搬送された基板5にフラックスを塗布する。フラックスには溶剤と活性剤等が使用される。フラクサ15は、複数の塗布装置を設けてもよい。その場合、鉛含有のはんだ用と鉛フリーはんだ用とで使い分けることや、基板5の品種によって使い分けること及びフラックスの種類によって使い分けることができる。
【0024】
プリヒータ部16は、基板5を加熱することで、基板5を均一に所定の温度まで上昇させる。このように基板5を加熱すると、基板5の所定の箇所にはんだが付着されやすくなる。プリヒータ部16は、例えば、ハロゲンヒータが用いられる。ハロゲンヒータは、基板5を設定した温度まで急速に加熱させることができる。また。ヒータによって加熱された気体(熱風)をファンによって基板5に吹き付けて、基板5を加熱することもできる。
【0025】
噴流はんだ槽20は、図示しないポンプによって圧送された溶融はんだSを基板5に噴流させ、基板5の所定の箇所にはんだを形成する。噴流はんだ槽20は、図示しないヒータで250℃程度の温度に溶融はんだを加熱する。噴流はんだ槽20の構成については、後で詳述する。
【0026】
冷却機17は、図示しない冷却ファンを有する。冷却機17は、噴流はんだ槽20ではんだ付け処理された基板5を冷却する。なお、本例では冷却ファンはONやOFFだけの制御であるが、冷却時間は製品に合わせて、作業者が任意に設定してもよい。また、基板5が所定の温度となるまで冷却するようにチラー等の手段を用いて温度管理するようにしてもよい。この場合でも、冷却温度を作業者が任意に設定できる。
【0027】
[噴流はんだ槽20の構成例]
図2に示すように、噴流はんだ槽20は、溶融はんだSを収容する筐体のはんだ槽本体21と、はんだ槽本体21の上方に設けられた第1の噴流ノズルとしての一次噴流ノズル30と、一次噴流ノズル30の下流側に配置される第2の噴流ノズルとしての二次噴流ノズル40とを備える。はんだ槽本体21は、図示しないヒータで加熱してはんだを溶融させた溶融はんだSを、所定の深さにわたり収容する。一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40との下部にはそれぞれ、図示しないダクトを介して噴流ポンプが設置される。噴流はんだ槽20内には、噴流はんだ槽20に堆積したはんだの酸化物(ドロス)を回収する、図示しない公知のドロス回収器を設けてもよい。
【0028】
一次噴流ノズル30は、上下が開口したノズル本体部30Aと、ノズル本体部30Aの上端の開口である噴流口31から溶融はんだSを噴流するためのはんだ流形成板32と、はんだ流形成板32をノズル本体部30Aに支持する支持機構32Aとを備える。二次噴流ノズル40には、既存の二次噴流ノズルが使用される。二次噴流ノズル40は、一次噴流ノズル30よりも広く開いた噴流口41と、ノズル内部に多数の孔が穿設された整流板45を有する。
【0029】
[一次噴流ノズル30の構成例]
ここで、
図2〜
図5を参照し、一次噴流ノズル30の構成例及び動作例をより詳しく説明する。
【0030】
図2に示すように、一次噴流ノズル30のノズル本体部30Aは、はんだ槽本体21の内部に取り付けられている。ノズル本体部30Aは、底面が矩形状の空洞部34を有する。本例の場合、ノズル本体部30Aの上端の噴流口31は、溶融はんだSの液面から上方に突出している。一次噴流ノズル30は、図示しない噴流ポンプで溶融はんだSを底部35からノズル本体部30A内に入らせて図中の矢印方向に上昇させ、噴流口31側から噴流させる。前記噴流口31は、突出することなく、平板上であっても良いし、他の従来用いられている形状であっても良い。
【0031】
本実施の形態において、
図4に示すように、ノズル本体部30Aは、底部35から鉛直上方向に伸びた矩形状の鉛直部30aと、鉛直部30aから所定の高さ位置において折曲して延在し、溶融はんだSが上昇するほど、その流路が狭くなる折曲部30bと、折曲部30bから鉛直上方向に延在する噴流部30cとを有する。鉛直部30aの上流側の壁と下流側の壁との幅Laは、例えば、76mmに設定される。折曲部30b上端の上流側の壁と下流側の壁との幅Lbは、例えば、60mmに設定される。噴流部30c上端の上流側の壁と下流側の壁との幅Lcは、例えば、50mmに設定される。
【0032】
はんだ流形成板32は、溶融はんだSを、噴流口31から勢い良く且つ所望の高さに安定して噴流させる。はんだ流形成板32は、ノズル本体部30Aの上端に、噴流口31を開閉する方向に移動可能に取り付けられる。本実施の形態では、はんだ流形成板32は、噴流部30cの上流側の上流端30dに、回動することで噴流口31を開閉可能に取り付けられる。
【0033】
支持機構32Aは、はんだ流形成板32が噴流口31を開けた状態で、はんだ流形成板32をノズル本体部30Aに支持する。本実施の形態では、はんだ流形成板32をノズル本体部30Aの上端に支持する支持機構32Aとして、はんだ流形成板32をノズル本体部30Aに回動可能に支持する軸となる回動軸32Bと、ノズル本体部30Aから外側に向かって延在する回動腕部32Cとを有する。
【0034】
はんだ流形成板32が噴流口31を閉じた状態で、はんだ流形成板32の噴流口31に対する上方への回動を規制するために、ノズル本体部30Aの上流端30dに向かい合う一端は、噴流口31側に折曲した規制部30eを有する。本実施の形態では、規制部30eは、噴流部30c上端の下流側の一端に設けられる。
【0035】
図3に示すように、はんだ流形成板32は、噴流口31と略同形状の平板に複数の噴流孔32bが設けられている。噴流孔32bは、はんだ流形成板32から上方に突出した円筒状をしていて、はんだ流形成板32に千鳥状に配置されている。
【0036】
図4に示すように、回動軸32Bは、はんだ流形成板32の一端に設けられる。本実施の形態では、回動軸32Bは、図中の白抜き矢印に示す基板5の搬送方向に対して、直交して延びる軸として、はんだ流形成板32の上流側の上流端32fに設けられ、噴流部30cの壁の上端である上流端30dに取り付けられる。
【0037】
本実施の形態では、回動腕部32Cは、回動軸32Bから、はんだ流形成板32に対して平行逆側に延在する。回動腕部32Cは、回動軸32Bに対してはんだ流形成板32の反対側の端部に設けられた把持部32dと、把持部32d近傍の凹部32eとを有する。把持部32dを作業者が持ち、回動軸32Bを支点として回動腕部32Cを回動させると、はんだ流形成板32が回動腕部32Cと一体となって回動し、噴流口31を開閉できる。本実施の形態では、一次噴流ノズル30が規制部30eを有しているため、はんだ流形成板32の噴流口31より上方向へ開く回動が規制される。
【0038】
図3に示すように、上流端30d側の折曲部30bの外壁には、はんだ流形成板32が所定の位置で噴流口31を閉じた状態に保持する保持部36が設けられる。保持部36は、凸部36aを有する平板部36Aと、
図4において平板部36Aを図示しない公知の手段で上下方向に移動可能にするとともに平板部36Aの取付位置をネジ36b及びネジ36cにより保持する支持部36Bと、支持部36Bを図示しないネジ等で取り付けて支える取付台36Cとを備える。取付台36Cは、折曲部30bに図示しないネジ等で取り付けられる。凸部36aと凹部32eの係合によって、はんだ流形成板32の位置は保持されて、噴流口31をはんだ流形成板32で閉じた状態とすることができる。また、支持部36Bに対する平板部36Aの取付位置を調整することで、凸部36aと凹部32eの係合によるはんだ流形成板32の保持状態を調整することができる。
【0039】
図4に示すように、凹部32eには、平板部36Aの凸部36aが入り込み、凸部36aと凹部32eの係合によって、はんだ流形成板32は、噴流口31を閉じる。凸部36aが凹部32eに入ると、はんだ流形成板32は噴流口31と平行となる。また、このとき、搬送レール13と、はんだ流形成板32も平行となる。凸部36aが凹部32eに入ることで、はんだ流形成板32がノズル本体部30A内に入ろうとする回動が規制され、規制部30eは、はんだ流形成板32の噴流口31から上方向に開こうとする回動を規制する。凸部36aが凹部32eから外れると、はんだ流形成板32が回動して噴流口31を開閉できるようになる。
【0040】
回動腕部32Cに凹部32eを設けて凹部32eに保持部36の凸部36aが入る構成としたことに加え、ノズル本体部30Aに規制部30eを設けたことにより、はんだ流形成板32が噴流口31を閉じた状態で固定されるため、安定した噴流高さで溶融はんだSを噴流することができる。
【0041】
続いて、
図5を参照して、噴流はんだ付け装置1の制御系の構成例について説明する。制御部70は、搬送レール13、フラクサ15、プリヒータ部16、噴流はんだ槽20、冷却機17、操作部71及びメモリ部72と接続する。操作部71は、液晶表示パネルやテンキー等が使用される。作業者が操作部71を操作することで、制御部70は、搬送レール13の搬送速度や基板5を搬送するタイミング、フラクサ15が有するフラックスの温度、フラックスの塗布量、プリヒータ部16の温度、噴流はんだ槽20の溶融はんだSの温度や溶融はんだSの噴流速度、冷却機17が有する図示しない冷却ファンのONやOFF、等を制御する。メモリ部72は、操作部71で入力された情報や、制御部70の指示、噴流はんだ付け装置1の稼働時間等を記憶する。
【0042】
[噴流はんだ付け装置1の動作例]
次に、噴流はんだ付け装置1の動作例について説明する。作業者が図示しない操作部71によって各種設定を行って、制御部70によって各部が動作していることを前提とする。
【0043】
図1に示すように、作業者が基板5を搬送レール13上に載せると、搬送レール13が図中の白抜き矢印の方向に基板5を搬送し、基板5が、搬入口11から本体部10内に搬入される。基板5がフラクサ15上に到達すると、フラクサ15が、基板5の所定の箇所にフラックスを塗布する。
【0044】
搬送レール13は、フラクサ15でフラックスが塗布された基板5をプリヒータ部16に搬送する。プリヒータ部16は、基板5を所定の温度まで加熱する。
【0045】
搬送レール13は、プリヒータ部16で所定の温度まで加熱された基板5を噴流はんだ槽20に搬送する。噴流はんだ槽20が、基板5の所定の箇所にはんだ付けを行う。図示しない噴流ポンプが駆動して、溶融はんだSが一次噴流ノズル30や二次噴流ノズル40から噴流する。
【0046】
基板5にはんだ付けする際、安定したはんだ流を得るために、一次噴流ノズル30のはんだ流形成板32は、
図4の実線で示すように、噴流口31を閉じた状態で固定されていることが好ましい。すなわち、凸部36aが凹部32eの中に入るとともに、規制部30eがはんだ流形成板32の下流端32gと接触した状態であることが好ましい。
【0047】
一次噴流ノズル30に接続された噴流ポンプの駆動により一次噴流ノズル30内を溶融はんだSが上昇すると、はんだ流形成板32の噴流孔32bから溶融はんだSが噴流する。噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5に接触して付着し、基板5がはんだ付けされる。一次噴流ノズル30から噴流した溶融はんだSは、基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する。一次噴流ノズル30から噴流し、基板5に付着しなかった溶融はんだSは、流れ落ちて、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0048】
一次噴流ノズル30内に溜まったドロスを取り除く際は、基板5の搬送を停止させる。このとき、はんだSが噴流しないように、噴流ポンプの駆動も停止させる。作業者は、把持部32dを把持して凸部36aを凹部32eが乗り越えるように弾性変形させ、凸部36aを凹部32eから外して、係合状態から非係合状態にする。作業者が把持部32dを把持して回動軸32Bを支点に上方へ回動させると、図中の点線矢印で示すように、はんだ流形成板32が回動し、噴流口31より下方向のノズル本体部30A内に向かって開く。
【0049】
噴流口31を開いた状態で、噴流ポンプを駆動させ、溶融はんだSを矢印方向へ上昇させることにより、溶融はんだSの流れの力によって、一次噴流ノズル30内に堆積したドロスを上昇させて一次噴流ノズル30の外に排出することができる。必要があれば、溶融はんだSを上昇させた状態で把持部32dを上下させてはんだ流形成板32の回動を繰り返すと、一次噴流ノズル30内の溶融はんだSが撹拌されて、ドロスの排出を効果的に行なうことができる。一次噴流ノズル30内から押し出されたドロスは、噴流はんだ槽20内の溶融はんだSの液面に落ちる。溶融はんだSの液面に落ちたドロスは、図示しないドロス回収器に回収されてもよい。
【0050】
ドロスの排出作業が終了したら、一旦、噴流ポンプの駆動を停止させた後、把持部32dを下げてはんだ流形成板32で噴流口31を閉じ、凹部32eに凸部36aを入れることで、はんだ流形成板32を固定する。
【0051】
図2に示すように、二次噴流ノズル40に接続された図示しない噴流ポンプが駆動すると、溶融はんだSは、二次噴流ノズル40内を上昇して、整流板45で整流された後、噴流口41から噴流する。噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5と接触して付着し、はんだ付けされる。一次噴流ノズル30によってはんだ付けされた基板5にはんだ付け不良が発生した場合、二次噴流ノズル40からの穏やかな溶融はんだSの流れが、そのはんだ付け不良を修正する。二次噴流ノズル40から噴流し、基板5に付着しなかった溶融はんだSは、流れ落ちて、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0052】
図1に示すように、搬送レール13は、はんだ付けされた基板5を冷却機17に搬送する。冷却機17の図示しない冷却ファンが、はんだ付け処理された基板5を所定の時間冷却する。基板5が冷却された後、搬送レール13は、基板5を搬出口12から排出すると、噴流はんだ付け装置1によるはんだ付け処理が完了となる。
【0053】
本実施の形態では、
図4に示すように、支持機構32Aが、噴流口31を開いた状態のはんだ流形成板32をノズル本体部30Aに支持するため、一次噴流ノズル30内に発生して堆積するドロスを、はんだ流形成板32を取り外すことなく排出できる。ドロスを排出しやすくなる。そのため、溶融はんだSの噴流高さが安定し、基板5に溶融はんだSを均一に塗布することができる。熱せられた溶融はんだSによって一次噴流ノズル30が熱い状態でも第1の噴流ノズル内に堆積したドロスを排出することができる。はんだ流形成板32が冷めるまで待たずともドロスの排出作業を行えるので、ドロスの排出のために噴流はんだ付け装置1を停止する時間を短くすることができる。噴流はんだ付け装置1の停止時間を短くできることにより、基板5へのはんだ付けに必要な時間を短縮することができる。
【0054】
一次噴流ノズル30の上方に基板5がある状態で、不用意にはんだ流形成板32が噴流口31より上方へ回動すると、はんだ流形成板32が基板に接触して基板が搬送レールから外れたり、溶融はんだSによって基板が異常に加熱する事故が発生する可能性があるため、一次噴流ノズル30の上方に基板5がある状態で、不用意にはんだ流形成板32が噴流口31より上方へ回動することを規制されることが好ましいが、これに限られない。すなわち、はんだ流形成板32の噴流口31より上方への回動を規制するために、一次噴流ノズル30は、保持部36と規制部30eとを設けることが好ましいが、これに限られない。一次噴流ノズル30は、保持部36または規制部30eを省略し、はんだ流形成板32を噴流口31から上方に回動出来る構成としてもよい。このような構成とした場合には、一次噴流ノズル30の上方に基板5の有無を検知するセンサーを設ける等の対策を施すことが好ましい。
【0055】
はんだ流形成板32を噴流口31から上方に回動出来る構成とする場合、規制部30eを省略し、溶融はんだSの流れに押されてもはんだ流形成板32の傾きを安定させるために、回動腕部32Cには、凹部32eでなく、
図6に示すように、挿通孔42eを設けてもよい。また、保持部36の代わりに、折曲部30bの上流側の外壁には、噴流口31に対してはんだ流形成板32の開く角度を調整する調整部46が設けられてもよい。
【0056】
調整部46は、凸部46a、46cを有する平板部46Aと、凸部46cが挿通される保持孔46bを有する支持部46Bと、支持部46Bを図示しないネジ等で取り付けて支える取付台46Cを備える。取付台46Cは、折曲部30bに図示しないネジ等で取り付けられる。凸部46a、46cは、列をなして突出している。本実施の形態では、取付台46Cに対する鉛直方向に上から順に凸部46aと、2つの凸部46cが並んでいる。保持孔46bは、2つの凸部46cと等しい間隔で並んでいる。
【0057】
図中の実線で示すように、凸部46aが挿通孔42eに入ると、はんだ流形成板32は噴流口31を閉じる。凸部46aが挿通孔42eに入ると、はんだ流形成板32は噴流口31と平行となる。また、このとき、搬送レール13と、はんだ流形成板32も平行となる。挿通孔42eに凸部46aが挿通されることにより、
図4で示したような規制部30eを省略してもはんだ流形成板32の回動が規制されるため、溶融はんだSに押されてもはんだ流形成板32は閉じた状態を保つことができる。もちろん、はんだ流形成板32をノズル本体部30Aの壁に図示しないネジ等でネジ止めしてもよい。
【0058】
作業者は、一次噴流ノズル30の上方に基板5が無いことをセンサー等で確認後、把持部32dを把持して凸部46aを挿通孔42eが乗り越えるように弾性変形させ、凸部46aを挿通孔42eから外す。凸部46aが挿通孔42eから外れると、はんだ流形成板32が回動して噴流口31を開閉できるようになる。作業者は、把持部32dを引き下げて回動軸32Bを支点としてはんだ流形成板32を回動させると、図中の点線で示すように、はんだ流形成板32が噴流口31に対して傾いて上方向に開く。凸部46aより下方にある凸部46cを保持孔46bに挿通させて、凸部46cが挿通孔42eに入ると、はんだ流形成板32が噴流口31に対して上方向に開いた状態で固定される。
図6に示すように、平板部46Aが凸部46aと2つの凸部46cを有する形態とすると、はんだ流形成板32の傾きは3段階に調整される。凸部46cの数は2つに限られず、あらゆる数に設定される。
【0059】
図7に示すように、本実施の形態のはんだ流形成板32の噴流孔32bは、はんだ流形成板32から直交する方向に突出した形状をするとともに、断面を長方形としたが、これに限られない。例えば、
図8(A)に示すように、はんだ流形成板301Aは、断面が台形の噴流孔301bを平板状のはんだ流形成板301Aに開けた形態であってもよい。すなわち、噴流孔301bは、上方に行くほど経口が小さくなる形状をしてもよい。
図8(B)に示すように、はんだ流形成板302Aの噴流孔302bは、はんだ流形成板302Aから突出した形状をするとともに、断面が台形であってもよい。
図8(C)に示すように、はんだ流形成板303Aの噴流孔303bは、はんだ流形成板303Aから突出した形状をするとともに、円錐形の斜面が湾曲した形状であってもよい。噴流孔301b、302bや噴流孔303bは、孔が先細りするため、溶融はんだSをより小さな力で勢い良く噴流することができる。
【0060】
本実施の形態において、均一に溶融はんだSを基板5に接触させるために噴流孔32bから溶融はんだSが噴流する構成としたが、これに限られない。基板5に対して平行な向きの噴流孔32bの断面形状は円形に限らず、多角形や星形、十字型などであってもよい。
【0061】
本実施の形態において、はんだ流形成板32に噴流孔32bを千鳥状に配置したことにより、搬送される基板5に塗り残しなくはんだ付けすることができるが、噴流孔32bは、千鳥状の配置に限られない。噴流孔32bは、基板5の搬送方向に沿う方向及び基板5の搬送方向に直交する方向に整列して配置されていてもよいし、複数列がずれて配置されていてもよいし、不規則に並べられていてもよい。
【0062】
本実施の形態において、はんだ流形成板32を移動可能に支持する支持機構32Aとして、はんだ流形成板32と回動腕部32Cの間に回動軸32Bを設けたが、これに限られない。
図9に示すように、はんだ流形成板32の、上流端32fと下流端32gとの中央近傍に、基板5の搬送方向に直
交して延びる回動軸52Bを設けてもよい。この場合、回動軸52Bを一次噴流ノズル30の側壁に設けた孔から突出する構成とし、回動軸52Bの延長した先端を把持部52dとして、作業者が把持部52dを回動させてはんだ流形成板32が回動する構成としてもよい。この構成によると、回動軸52Bが、
図4等に示した回動軸32B及び回動腕部32Cの役割を兼ね備えるため、回動軸52B及び把持部52dを省スペースで設けることができる。また、この構成によると、回動軸52Bを回動させることで、はんだ流形成板32の回動軸52Bに平行な上流端32fと下流端32gが、噴流口31に対して上方向に開く一端と下方向に開く他端とに分かれるので、ドロスを撹拌しながら一次噴流ノズル30から効果的に排出することができる。
【0063】
更に、はんだ流形成板32がノズル本体部30Aに取り付けられて、噴流口31を開閉可能であれば、はんだ流形成板32は、回動により噴流口31を開閉する構成に限られない。
【0064】
例えば、
図10に示すように、一次噴流ノズル30の変形例としての一次噴流ノズル300A、300Bは、はんだ流形成板32を、噴流口31に対して平行移動可能に支持する支持機構32Aとして、図示しないレールやリンク機構を備えていてもよい。一次噴流ノズル300Aは、図示しないレールによって、
図10(A)の一点鎖線に示すように、はんだ流形成板32を、はんだ流形成板32に対して鉛直方向に平行移動させることで、噴流口31を開閉してもよい。一次噴流ノズル300Bは、図示しないレールによって、
図10(B)の二点鎖線に示すように、はんだ流形成板32を、はんだ流形成板32に対して平行に移動させることで、噴流口31を開閉してもよい。
【0065】
また、例えば、
図11に示すように、一次噴流ノズル30の変形例としての一次噴流ノズル300Cは、はんだ流形成板32の変形例としてのはんだ流形成板320を、図示しないレール上を蛇腹状に折り畳むことで噴流口31を開閉してもよい。
【0066】
本実施の形態において、溶融はんだSをより小さな力で勢いよく噴流するために、一次噴流ノズル30を、鉛直部30a、折曲部30b、噴流部30cと溶融はんだSが流れる順に、溶融はんだSの流路の幅が狭くなる構成としたが、これに限られない。ノズル本体部30Aは、底部35から噴流口31まで鉛直な筒状であってもよいし、幅の変化しない筒状であってもよい。
【0067】
本実施の形態において、作業者がはんだ流形成板32を移動させる構成としたが、これに限られない。例えば、制御部70が、はんだ流形成板32を移動させる図示しないモータまたはレールに接続され、所定の時間毎に自動ではんだ流形成板32を移動させてもよい。この場合、制御部70がはんだ流形成板32を移動させるタイミングは、操作部71で作業者が選択できるようにしてもよい。制御部70がはんだ流形成板32を移動させる場合、作業者によるドロスを一次噴流ノズル30から排出する作業が不要となるため、はんだ付け作業の効率を向上することができる。更に、回動腕部32Cや把持部32dを省略することができるため、省スペースな噴流はんだ槽20を実現できる。
【0068】
なお、整流板45は、開閉可能に二次噴流ノズル40内に取り付けられ、整流板45の下方に溜まったドロスを排出できる構成としてもよい。
噴流はんだ槽は、第1の噴流ノズル30と、基板5の搬送方向に対して第1の噴流ノズル30の下流側に配置される第2の噴流ノズルとを備える。第1の噴流ノズル30は、ノズル本体部30Aと、複数の噴流孔32bを有するはんだ流形成板32と、ノズル本体部30Aの上端に、はんだ流形成板32を支持する支持機構32Aとを備える。支持機構32Aは、ノズル本体部30Aの噴流口31を開閉する方向へ移動可能に、はんだ流形成板32を支持する。