(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0015】
<実施形態1>
図1はこの発明の実施の形態1による交流信号(電流)測定装置を示す構成図である。
図1の交流信号(電流)測定装置は、例えば、電源1、センサ2及び負荷3からなる電力系統における交流信号の信号値(電流値)を測定する装置である。
図1において、電流電圧変換部12は例えば抵抗器、増幅器などから構成されており、電力系統における交流信号(電流)を電圧波形に変換し、その電圧波形を示す検出信号を出力する。
【0016】
ゼロ点検知部11は例えば公知のゼロクロス点検知回路から構成されており、電力系統における交流信号の信号波形のゼロクロス点(交流信号のゼロ点)を検知する。なお、ゼロ点検知部11はゼロ点検知手段を構成している。 電流電圧変換部12はセンサ2から出力された交流電流信号を交流電圧信号に変換し、交流電圧変換後の検出信号をV/F変換器13に出力する。 V/F変換器13は電流電圧変換部12から出力された交流電圧変換後の検出信号の電圧値に比例する周波数でパルスを発振するパルス発振手段を構成している。 即ち、V/F変換器13は検出信号の電圧値が高い程、短い間隔でパルスをパルス計数部15に出力する。
【0017】
計数期間管理部14は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知された時点毎に、パルス計数部15でカウントしたパルスカウント数をパルス計数値記憶部16に出力するとともに、パルス計数部15のパルスカウント値をクリアする指令をパルス計数部15に出力する処理を実施する。 パルス計数部15は計数期間管理部14から出力される命令にしたがって交流信号のゼロクロス点から次のゼロクロス点までの半サイクル(以後、単に半サイクルという)の期間中、V/F変換器13により発振されたパルスの数をカウントし、その交流信号の半サイクルでのパルス数(以後、単にパルス計数値という)をパルス計数値記憶部16に出力するとともに、パルス計数部15のパルスカウント値をクリアする。 なお、計数期間管理部14及びパルス計数部15からパルス数カウント手段が構成されている。
【0018】
パルス計数値記憶部16は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、パルス計数部15によりカウントされたパルス計数値を記憶する。なお、パルス計数値記憶部16はパルス数記憶手段を構成している。
【0019】
デジタル値算出部17は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ゼロ点検知部11がゼロ点を検知する毎に、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tをパルス計数値記憶部16に記憶するとともに、既にパルス計数値記憶部16に記憶されている最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値である|P
T−1−P
T|を算出する処理により、交流信号(電流)に比例するデジタル値を算出する。 なお、計数期間管理部14、パルス計数部15、パルス計数値記憶部16、及びデジタル値算出部17から交流信号比例値算出手段101が構成されている。
【0020】
図1の例では、交流信号(電流)測定装置の構成要素であるゼロ点検知部11、電流電圧変換部12、V/F変換器13、計数期間管理部14、パルス計数部15、パルス計数値記憶部16、デジタル値算出部17のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、交流信号(電流)測定装置の一部がマイクロコンピュータで構成されていてもよい。 交流信号(電流)測定装置の一部(例えば、計数期間管理部14、パルス計数部15、パルス計数値記憶部16、デジタル値算出部17)をマイクロコンピュータで構成する場合、パルス計数値記憶部16をマイクロコンピュータのメモリ上に構成するとともに、計数期間管理部14、パルス計数部15、デジタル値算出部17の処理内容を記述しているプログラムを当該マイクロコンピュータのメモリに格納し、当該マイクロコンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
【0021】
次に動作について説明する。 ゼロ点検知部11は、電力系統(電源1)における交流信号波形を監視し、その信号波形がゼロクロス点を通過したとき、交流信号のゼロ点を検知する。 センサ2は、電力系統における交流信号の電流波形を検出し、その電流波形を示す検出信号を電流電圧変換部12に出力する。
【0022】
電流電圧変換部12は、センサ2から交流電流を受けると、その交流電流を所定の交流電圧に変換し、変換した交流電圧をV/F変換器13に出力する。 V/F変換器13は、電流電圧変換部12から交流電圧を受けると、その交流電圧値に比例する周波数でパルスを発振する。 即ち、V/F変換器13は、交流電圧値が高い程、短い間隔でパルスを発振して、そのパルスをパルス計数部15に出力する。
【0023】
計数期間管理部14は、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知されると、そのゼロ点が検知された時点のパルス計数値をパルス計数値記憶部16に出力する指令を出すとともに、パルス計数部15のパルス計数値をクリアする指令をパルス計数部15に出力する。 パルス計数部15は計数期間管理部14から出力される指令にしたがって、交流信号の半サイクルの期間中、V/F変換器13により発振されたパルスの数(パルス計数値)をカウントするとともに、ゼロ点が検知される毎にパルス計数値記憶部16にパルス計数値を出力する。 パルス計数値記憶部16は、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1とを記憶する。
【0024】
デジタル値算出部17は、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知される毎に、パルス計数値記憶部16に記憶された交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、パルス計数値記憶部16に記憶されている最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値|P
T−1−P
T|を交流信号の信号値に比例するデジタル値として算出する。 なお、計数期間管理部14、パルス計数部15、パルス計数値記憶部16、及びデジタル値算出部17から交流信号比例値算出手段101が構成されている。
【0025】
ここで、
図2はデジタル値算出部17による交流信号の信号値(実効値、平均値、ピーク値)に比例するデジタル値の算出原理を示す説明図である。 以下、
図2を参照しながら、交流信号の信号値に比例するデジタル値の算出原理を説明する。
図2において、V
offsetは電力系統の交流信号に重畳されている直流成分を示し、aは電力系統の交流信号の振幅(ピーク値)を示している。
【0026】
この場合、交流信号の半サイクルの期間(位相nπから位相(nπ+π)の期間)における「交流信号+V
offset」の積分値は、交流信号が正極性の場合と負極性の場合の2種類の場合があるので、交流信号が正極性の場合の積分値を積分値A
+バー(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上に“−”記号を付することができないので、「A
+バー」のように表記している)とし、交流信号が負極性の場合の積分値を積分値A
−バー(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上に“−”記号を付することができないので、「A
−バー」のように表記している)とする。積分値A
+バー及び積分値A
−バーは、下記の式(1)(2)で表すことができる。ただし、nは任意の整数である。 なお、交流信号の半サイクルの期間における「交流信号+V
offset」の積分値A
+バー及び積分値A
−バーは、交流信号の半サイクルの期間中、パルス計数部15によりカウントされるパルスの数に比例する。
【0027】
積分値A
+バーはnが偶数の場合に相当し、積分値A
+バーは下記の式(1)で表すことが出来る。
【0028】
【数1】
積分値A
−バーはnが奇数の場合に相当し、積分値A
−バーは下記の式(2)で表すことが出来る。
【0030】
交流信号の半サイクルの期間における「交流信号+V
offset」の積分値A
+バーと積分値A
−バーとの差分の絶対値|A
+バー−A
−バー|及び|A
−バー−A
+バー|は下記の式(3)(4)のようになる。
【0033】
積分値A
+バーと積分値A
−バーとの差分の絶対値|A
+バー−A
−バー|及び|A
−バー−A
+バー|は、式(3)(4)より明らかであるように、何れも4aになり、交流信号のピーク電圧aの4倍の値になる。
【0034】
また、連続する半サイクルの交流信号は、交互に正極性、負極性となる。(
図2(a)(c)を参照)。このため、連続する半サイクルの「交流信号+V
offset」の積分値の差分の絶対値は、すべての場合において4aになり、交流信号のピーク電圧aの4倍の値になる。(
図2(b)(e)を参照)。
【0035】
また、デジタル値算出部17により算出される最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値|P
T−1−P
T|は、上記の連続する半サイクルの「交流信号+V
offset」の積分値の差分の絶対値に比例する値である。
【0036】
以上より、デジタル値算出部17により算出される最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値|P
T−1−P
T|(=4aに比例)を算出することで、これに基づいて交流信号のピーク電圧aを算出することができる。 また、交流信号のピーク電圧aを1/√2倍することで、下記の式(5)に示すように、交流信号の実効電圧V
rmsを算出することができる。
【0038】
さらに、デジタル値算出部17は、交流信号のピーク電圧aを2/π倍することで、下記の式(6)に示すように、交流信号の平均電圧V
aveを算出することができる。
【0040】
よって、あらかじめ既知の交流信号(ピーク電圧、実効電圧、平均電圧)と|P
T−1−P
T|との関係(比例係数)を確認し記憶しておけば、その記憶した比例係数とデジタル値算出部17で算出した|P
T−1−P
T|から、任意の交流信号(ピーク電圧、実効電圧、平均電圧)の値を算出することができる。
【0041】
以上で明らかなように、この実施形態1によれば、交流信号のゼロ点を検知するゼロ点検知部11と、交流信号の信号値に比例する周波数でパルスを発振するV/F変換器13と、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知された時点から、次のゼロ点が検知されるまでの交流信号の半サイクルの期間中、V/F変換器13により発振されたパルスの数をカウントするパルス計数部15とを設け、デジタル値算出部17が、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値|P
T−1−P
T|を算出するように構成したので、交流信号の信号値を高精度に測定することができる効果を奏する。
【0042】
即ち、この実施形態1によれば、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との差分の絶対値|P
T−1−P
T|を算出しているが、この|P
T−1−P
T|は、直流成分V
offsetが消去されているため、V/F変換器13の入力電圧にドリフトが生じて直流成分が変化しても、当該変動した直流成の影響を受けない交流信号に比例する信号が得られる(オフセット量の変動による誤差の影響を除去することができる)。そのため、交流信号の信号値を高精度に測定することができる効果を奏する。
【0043】
図4には実施形態1を、マイクロコンピュータを使用して実現する場合の処理フローの概略を示している。なお、カウンタはマイクロコンピュータに内蔵されているカウンタ機能を使用するものとし、このカウンタ機能はV/F変換器からのパルスを自動的にカウントする機能を有していて、マイクロコンピュータの命令により任意のタイミングでカウンタの値Cを読み出すことと、カウンタの値Cをリセットすることができるものとする。
【0044】
マイクロコンピュータで実現される交流信号比例値算出部101は、一連の計算を開始する前の処理として計算に使用するレジスタA、X、Yのクリアを行う(S501)。次に、ゼロ点検知部11からの信号を監視し、交流信号のゼロ点を示す信号(以下、単に「ゼロ点信号」という)の有無を判別し、ゼロ点信号が来るまでループ処理を繰り返し、ゼロ点信号を検知したら次の処理に移る(S502)。
【0045】
次に、S503の処理で最新の半サイクルのカウント値を記憶するレジスタXにカウンタの値Cを書き込む。続いて、S504の処理でカウンタの値Cをリセットする。さらに続いて、レジスタAの値に1を加算する。
【0046】
次に、レジスタAの値を確認し、レジスタAの値が2以下の場合は、XまたはYの値が不確定であるためS507の処理を飛ばしてS508の処理を行い、レジスタAの値が2を超える値である場合は、S507の処理を実行する(S506)。
【0047】
S507の処理では、最新の半サイクルのカウント値を記憶しているレジスタXと、前回の半サイクルのカウント値を記憶しているレジスタYの値の差分の絶対値を算出する処理を行う。
【0048】
また、S508の処理では、最新の半サイクルのカウント値を記憶しているレジスタXの値で、前回の半サイクルのカウント値を記憶するレジスタYの値を書き換える処理を行い、S502の処理に戻る。
【0049】
交流信号比例値算出部101は、S502〜S508の処理を、ゼロ点検知部11からゼロ点検知信号が送られてくるたびに繰り返すことにより、ゼロ点検知信号が送られてくるたびに交流信号に比例したデジタル値を出力する。
【0050】
<実施形態2>
実施の形態2の交流信号測定装置の構成は、実施の形態1(
図1)の構成と同様であるため、構成についての説明は省力する。
【0051】
次に動作について説明する。 ゼロ点検知部11は、電力系統(電源1)における交流信号波形を監視し、その信号波形がゼロクロス点を通過したとき、交流信号のゼロ点を検知する。 センサ2は、電力系統における交流信号の電流波形を検出し、その電流波形を示す検出信号を電流電圧変換部12に出力する。(実施形態1と同じ)
【0052】
電流電圧変換部12は、センサ2から交流電流を受けると、その交流電流を所定の交流電圧に変換し、変換した交流電圧をV/F変換器13に出力する。 V/F変換器13は、電流電圧変換部12から交流電圧を受けると、その交流電圧値に比例する周波数でパルスを発振する。 即ち、V/F変換器13は、交流電圧値が高い程、短い間隔でパルスを発振して、そのパルスをパルス計数部15に出力する。(実施形態1と同じ)
【0053】
計数期間管理部14は、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知されると、そのゼロ点が検知された時点のパルス計数値をパルス計数値記憶部16に出力する指令を出すとともに、パルス計数部15のパルス計数値をクリアする指令をパルス計数部15に出力する。 パルス計数部15は計数期間管理部14から出力される指令にしたがって、交流信号の半サイクルの期間中、V/F変換器13により発振されたパルスの数(パルス計数値)をカウントするとともに、ゼロ点が検知される毎にパルス計数値記憶部16にパルス計数値を出力する。 パルス計数値記憶部16は、パルス計数部15によりカウントされた交流信号の半サイクルでのパルス数(パルス計数値)を記憶する。(実施形態1と同じ)
【0054】
デジタル値算出部17は、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知される毎に、パルス計数値記憶部16に記憶された交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、同様にパルス計数値記憶部16に記憶されている最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との平均値P
aveを算出し、交流信号の信号値に比例するデジタル値として、最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと平均値P
aveとの差分の絶対値である|P
T−P
ave|を算出する処理により、交流信号(電流)に比例するデジタル値を算出する。 なお、計数期間管理部14、パルス計数部15、パルス計数値記憶部16、及びデジタル値算出部17から交流信号比例値算出手段101が構成されている。
【0055】
ここで、
図3はデジタル値算出部17による交流信号の信号値(実効値、平均値、ピーク値)に比例するデジタル値の算出原理を示す説明図である。 以下、
図3を参照しながら、交流信号の信号値に比例するデジタル値の算出原理を説明する。
図3において、V
offsetは電力系統の交流信号に重畳されている直流成分を示し、aは電力系統の交流信号の振幅(ピーク値)を示している。
【0056】
この場合、交流信号の連続する半サイクルの期間(位相nπから位相(nπ+π)と位相(nπ+π)から位相(nπ+2π)の期間)における「交流信号+V
offset」のそれぞれの積分値の平均値A
aveバーは、下記の式(7)で表すことができる。ただし、nは任意の整数である。
【0058】
交流信号の連続する半サイクルの期間(位相nπから位相(nπ+π)と位相(nπ+π)から位相(nπ+2π)の期間)における「交流信号+V
offset」のそれぞれの積分値の平均値A
aveバーは、式(7)より明らかであるように、交流信号の半サイクルの期間における直流成分V
offsetの積分値と等しくなる(
図3(a)(b)を参照)。
【0059】
また、交流信号の半サイクルの期間(位相nπから位相(nπ+π)の期間)における「交流信号+V
offset」の積分値Aチルダ(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上に“〜”記号を付することができないので、「Aチルダ」のように表記している)は、下記の式(8)で表すことができる。 なお、交流信号の半サイクルの期間における「交流信号+V
offset」の積分値Aチルダは、交流信号の半サイクルの期間中、パルス計数部15によりカウントされるパルスの数に比例する。
【0061】
式(7)及び式(8)より、交流信号の半サイクルの期間における「交流信号+V
offset」の積分値Aチルダから、積分値A
aveバーを減算した値の絶対値は、下記の式(9)のようになる。
【0063】
以上より、積分値Aチルダから、積分値A
aveバーを減算した値の絶対値は2aになり、交流信号のピーク電圧aの2倍の値になる(即ち、交流信号の半サイクルの期間における積分値。
図3(c)、(d)を参照)。 上記の減算結果の絶対値は、デジタル値算出部17により算出される最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、平均値P
ave(最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との平均値)との差分の絶対値|P
T−P
ave|に比例する。
【0064】
実施形態1と同様に、交流信号の実効電圧V
rmsと、平均電圧V
aveを算出することができる。
【0065】
以上で明らかなように、この実施形態2によれば、交流信号のゼロ点を検知するゼロ点検知部11と、交流信号の信号値に比例する周波数でパルスを発振するV/F変換器13と、ゼロ点検知部11によりゼロ点が検知された時点から、次のゼロ点が検知されるまでの交流信号の半サイクルの期間中、V/F変換器13により発振されたパルスの数をカウントするパルス計数部15とを設け、デジタル値算出部17が、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との平均値P
aveを算出し、交流信号の信号値に比例するデジタル値として、最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと平均値P
aveとの差分の絶対値|P
T−P
ave|を算出するように構成したので、交流信号の信号値を高精度に測定することができる効果を奏する。
【0066】
即ち、この実施形態2によれば、パルス計数部15によりカウントされた交流信号における最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tと、最新の半サイクルより1つ前の半サイクルでのパルス計数値P
T−1との平均値P
aveを算出し、最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tから平均値P
aveを減算しているが、この平均値P
aveは、最新の半サイクルの期間における直流成分の積算値V
offset×πに相当するため、V/F変換器13の入力電圧にドリフトが生じて直流成分が変化しても、最新の半サイクルでのパルス計数値P
Tから当該変動した直流成分を除去することができる(オフセット量の変動による誤差の影響を除去することができる)。そのため、交流信号の信号値を高精度に測定することができる効果を奏する。
【0067】
<実施形態3>
実施形態1〜2では半サイクルの「交流信号+V
offset」の積分値の相当するデジタル値を得る方法として、V/F変換器とカウンタで実現されているものを例として説明したが、実施形態3では、A/D変換器とマイクロコンピュータの演算機能で実施するものを例として説明する。 なお、基本的な概念自体は実施形態1〜2と同様であり、実施形態1〜2と同様の構成要素については同一の符号を使用し、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
【0068】
図5はこの発明の実施の形態3による交流信号(電流)測定装置を示す構成図である。同図に示されるように、交流信号測定装置100には、センサ2、ゼロ点検知部11、電流電圧変換部12、A/D変換器20、マイクロコンピュータで実現される交流信号比例値算出部101(積算期間管理部21、A/D変換値積算部22、A/D変換積算値記憶部23、デジタル値算出部17を含む)が備えられる。
【0069】
図5の交流信号(電流)測定装置は、実施形態1〜2と同様に、電源1、センサ2及び負荷3からなる電力系統における交流信号の信号値(電流値)を測定する装置である。
図5において、電流電圧変換部12は例えば抵抗器、増幅器などから構成されており、電力系統における交流信号(電流)を電圧波形に変換し、その電圧波形を示す検出信号をA/D変換器20に出力する。なお、電流電圧変換部12の出力は、電流電圧変換部12において増幅器のオフセット電圧等の直流分が印加され「交流信号+V
offset」の電圧になっている。
【0070】
A/D変換器20は、「交流信号+V
offset」の電圧をA/D変換(アナログ信号を所定間隔でサンプリング)するものである。 マイクロコンピュータで実現される交流信号比例値算出部101は、ゼロ点検知部11からの信号(交流信号のゼロ点を示す信号)や、A/D変換器20から入力される信号に基づいて以下で説明する各種の処理を行うものであり、マイクロコンピュータに備えられる汎用の演算部、記憶部等により、積算期間管理部21、A/D変換値積算部22、A/D変換積算値記憶部23、デジタル値算出部17として機能するものである。
【0071】
次に、
図6を参照しつつ、交流信号測定装置100の本発明に係る処理動作の概略を説明する。
【0072】
マイクロコンピュータで実現される交流信号比例値算出部101は、一連の計算を開始する前の処理として計算に使用するレジスタA、Xのクリアを行う(S601)。次に、ゼロ点検知部11からの信号を監視し、交流信号のゼロ点を示す信号(以下、単に「ゼロ点信号」という)の有無を判別し、ゼロ点信号が来るまでループ処理を繰り返す(S602)。
【0073】
続くS603のループ処理では、あらかじめ決めてあるA/D変換周期ごとにA/D変換を実行し、A/D変換値を積算するために、A/D変換周期になるまで待機し、A/D変換周期になったら次のS604の処理に進むタイミングを管理する。
【0074】
続くS604の処理でA/D変換実行指示をだし、A/D変換器13からA/D変換値を読み出し、次のS605の処理で読み出したA/D変換値を積算するレジスタXにA/D変換値をA/D変換周期毎に加算する。
【0075】
続くS606のループ処理では、ゼロ点検知部11から次のゼロ点信号が得られるまで、S603〜S605の処理が繰り返し実行することにより、半サイクル間のA/D変換値の積算値を算出し、次のゼロ点信号が得られた場合にはS607の処理を実行し、交流信号比例値算出処理を開始してからのゼロ点の回数を確認するレジスタAに1を加算する。
【0076】
続くS608の判断では、交流信号比例値算出処理を開始してから初めてのゼロ点であり、前回の積算値(レジスタYの値)が不定のため最新の半サイクルの積算値と、前回の半サイクルの積算値の差分の絶対値を算出し出力するS609の処理を飛ばして、S610の処理で最新の半サイクルの積算値(レジスタXの値)をレジスタYに書き込む処理を行う。一方、2回目以降のゼロ点の場合には、最新の半サイクルの積算値と、前回の半サイクルの積算値の差分の絶対値(交流信号に比例するデジタル値)を算出し出力するS609の処理を実施した後に、S610の処理で最新の半サイクルの積算値(レジスタXの値)をレジスタYに書き込む処理を行う。
【0077】
続くS611の処理では、次の半サイクル間のA/D変換値の積算値を算出するために、レジスタXをクリアして、S603の処理に戻り、以降は以上の処理を繰り返すことにより、最新の半サイクルの積算値と、前回の半サイクルの積算値の差分の絶対値(交流信号に比例するデジタル値)を算出し出力する。
【0078】
上記のごとく、実施形態1はV/F変換器とカウンタの組み合わせで半サイクル毎の積算値を算出していたものを、実施形態3ではA/D変換器とマイクロコンピュータの演算機能を組み合わせて半サイクル毎の積算値を算出する形式で、実施形態1で説明したのと同様に、
図2(b)(e)のごとく、交流信号に比例するデジタル値を出力するものである(当該出力は他の処理において(例えば各種制御のパラメータ等として)使用される)。
【0079】
温度ドリフト等により、V
offsetの値が変動しても、当該影響をキャンセルして交流信号の値を測定できる効果が得られる点は、実施形態1と同様である。