特許第6226066号(P6226066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

特許6226066コモンモードチョークコイル及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226066
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】コモンモードチョークコイル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20171030BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20171030BHJP
   H01F 41/069 20160101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01F17/04 A
   H01F27/28 K
   H01F41/069
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-521019(P2016-521019)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(86)【国際出願番号】JP2015063106
(87)【国際公開番号】WO2015178194
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-103550(P2014-103550)
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山北 高之
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−508298(JP,A)
【文献】 特開2014−75533(JP,A)
【文献】 特開2014−199904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 27/28
H01F 41/069
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在し、第1の領域及び第2の領域を含む巻芯部を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回される第1の巻線と、
前記第1の巻線と並走するように前記巻芯部に巻き回される第2の巻線と、
を備え、
前記第1の領域は、前記第1の巻線が前記巻芯部に接している部分の一方側の第1の端部から前記巻芯部の中央手前に在る第1の位置までであり、
前記第2の領域は、前記第2の巻線が前記巻芯部に接している部分の他方側の第2の端部から前記巻芯部の中央手前に在る第2の位置までであり、
前記第1の巻線は、前記第1の領域において、該第1の巻線と同一周回の前記第2の巻線に対して前記一方側に位置し、かつ、前記第2の領域において、前記第2の巻線を挟み込むように前記巻芯部に巻き回され、
前記第2の巻線は、前記第2の領域において、該第2の巻線と同一周回の前記第1の巻線に対して前記他方側に位置し、かつ、前記第1の領域において、前記第1の巻線を挟み込むように前記巻芯部に巻き回され、
前記第1の巻線の巻回数と前記第2の巻線の巻回数とは同じであり、
前記第1の巻線が前記巻芯部に接するように巻き回される回数と、前記第2の巻線が該巻芯部に接するように巻き回される回数とは同じであること、
を特徴とするコモンモードチョークコイル。
【請求項2】
前記コアは、前記巻芯部の軸方向の両端に鍔部を有し、
前記鍔部には、前記軸方向に直交する方向のうちの第1の方向に位置する面上に電極が設けられ、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記電極に接続され、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線それぞれの巻き数が偶数であり、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線とは、前記第1の方向からみたとき、前記巻芯部における該第1の方向に位置する面上で交差していること、
を特徴とする請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項3】
前記コアは、前記巻芯部の軸方向の両端に鍔部を有し、
前記鍔部には、前記軸方向に直交する方向のうちの第1の方向に位置する面上に電極が設けられ、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記電極に接続され、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線それぞれの巻き数が奇数であり、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線とは、前記第1の方向と反対方向からみたとき、前記巻芯部における前記第1の方向と反対方向の第2の方向に位置する面上で交差していること、
を特徴とする請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項4】
巻芯部を有するコアを把持するチャックを回転させることにより第1の巻線及び第2の巻線を該巻芯部に巻回するコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第1の巻線のみを前記巻芯部に1巻分だけ巻回する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の巻線を間に介しながら前記巻芯部に前記第2の巻線が巻回されるように、該第1の巻線及び該第2の巻線を同時に巻回する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記第2の巻線のみを前記巻芯部に少なくとも1巻分巻回する第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第2の巻線を間に介しながら前記巻芯部に前記第1の巻線が巻回されるように、該第1の巻線及び該第2の巻線を同時に巻回する第4の工程と、
を備え
前記第2の工程における前記第1の巻線及び前記第2の巻線の巻回数と前記第4の工程における前記第1の巻線及び前記第2の巻線の巻回数とは等しいことを特徴とするコモンモードチョークコイルの製造方法。
【請求項5】
巻芯部を有するコアを把持するチャックを回転させることにより、第1のノズルから供給される第1の巻線、及び第2のノズルから供給される第2の巻線を該巻芯部に巻回するコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第1の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第1のノズルを配置し、かつ、前記第2の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第2のノズルを配置し、前記チャックを1回転させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の巻線を前記巻芯部に押しつけるように前記第1のノズルを配置し、かつ、前記第2の巻線が該第1の巻線を間に介して該巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、前記チャックを回転させつつ該第1のノズル及び該第2のノズルを該巻芯部の軸方向に移動させる第2の工程と、
前記第2の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、かつ、前記第1の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第1のノズルを配置し、前記チャックを1回転させる第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第2の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、かつ、前記第1の巻線が該第2の巻線を間に介して該巻芯部に押し付けるように前記第1のノズルを配置し、前記チャックを回転させつつ該第1のノズル及び該第2のノズルを該巻芯部の軸方向に移動させる第4の工程と、
を備え
前記第2の工程における前記チャックの回転数と前記第4の工程における前記チャックの回転数とは等しいことを特徴とするコモンモードチョークコイルの製造方法。
【請求項6】
前記第1の巻線及び前記第2の巻線それぞれの巻き数が偶数であるコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第3の工程の後かつ前記第4の工程の前に、前記第2の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、かつ、前記第1の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第1のノズルを配置し、前記チャックをさらに1回転させる第5の工程と、
前記第5の工程の後かつ前記第4の工程の前に、前記第1の巻線を前記巻芯部に押しつけるように前記第1のノズルを配置し、かつ、前記第2の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第2のノズルを配置し、前記チャックを1回転させる第6の工程と、
を更に備えること、
を特徴とする請求項5に記載のコモンモードチョークコイルの製造方法。
【請求項7】
前記第1の巻線及び前記第2の巻線それぞれの巻き数が奇数であるコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記巻芯部の軸方向の端部に位置する鍔部における該軸方向に直交する方向のうちの第1の方向に位置する面上の電極に接続する第7の工程を更に備え、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線を、前記直交方向からみたとき、前記巻芯部における前記第1の方向と反対方向の第2の方向に位置する面上で交差させていること、
を特徴とする請求項5に記載のコモンモードチョークコイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコモンモードチョークコイルとして、特許文献1に記載のコモンモードチョークコイルが知られている。この種のコモンモードチョークコイル(以下、従来のコモンモードチョークコイルと称す)では、図23に示すように、2つの導線をx軸方向に延在する巻芯部に並走するように巻いている。また、従来のコモンモードチョークコイルは、一方の導線を挟み込むように他方の導線が巻芯部に巻回される第1の領域と、他方の導線を挟み込むように一方の導線が巻芯部に巻回される第2の領域とを有している。これは、従来のコモンモードチョークコイルでは、第1の領域及び第2の領域における各導線の巻回数を同じにし、2本の導線の長さを揃えることで、ディファレンシャルモードの信号の一部が、該コモンモードチョークを通過する際に、コモンモードの信号に変換されてしまう、いわゆるモード変換を抑制するためである。
【0003】
しかし、従来のコモンモードチョークコイルでは、第1の領域におけるx軸方向の負方向側の端部δでの導線の巻き方と、第2の領域におけるx軸方向の正方向側の端部εでの導線の巻き方が異なる。従って、一方の巻線及び他方の巻線を区別せずに、巻芯部における第1の領域及び第2の領域の境界を軸Lxとして、x軸方向の負方向側と正方向側で巻線の位置関係を比較すると、負方向側と正方向側で巻線の位置関係が非対称になっている。その結果、従来のコモンモードチョークコイルでは、モード変換が発生してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−253888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、モード変換の発生を抑制することができるコモンモードチョークコイル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態に係るコモンモードチョークコイルは、
軸方向に延在し、第1の領域及び第2の領域を含む巻芯部を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回される第1の巻線と、
前記第1の巻線と並走するように前記巻芯部に巻き回される第2の巻線と、
を備え、
前記第1の領域は、前記第1の巻線が前記巻芯部に接している部分の一方側の第1の端部から前記巻芯部の中央手前に在る第1の位置までであり、
前記第2の領域は、前記第2の巻線が前記巻芯部に接している部分の他方側の第2の端部から前記巻芯部の中央手前に在る第2の位置までであり、
前記第1の巻線は、前記第1の領域において、該第1の巻線と同一周回の前記第2の巻線に対して前記一方側に位置し、かつ、前記第2の領域において、前記第2の巻線を挟み込むように前記巻芯部に巻き回され、
前記第2の巻線は、前記第2の領域において、該第2の巻線と同一周回の前記第1の巻線に対して前記他方側に位置し、かつ、前記第1の領域において、前記第1の巻線を挟み込むように前記巻芯部に巻き回され、
前記第1の巻線の巻回数と前記第2の巻線の巻回数とは同じであり、
前記第1の巻線が前記巻芯部に接するように巻き回される回数と、前記第2の巻線が該巻芯部に接するように巻き回される回数とは同じであること、
を特徴とする。
【0007】
本発明の第2の形態に係るコモンモードチョークコイルの製造方法は、
巻芯部を有するコアを把持するチャックを回転させることにより第1の巻線及び第2の巻線を該巻芯部に巻回するコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第1の巻線のみを前記巻芯部に1巻分だけ巻回する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の巻線を間に介しながら前記巻芯部に前記第2の巻線が巻回されるように、該第1の巻線及び該第2の巻線を同時に巻回する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記第2の巻線のみを前記巻芯部に少なくとも1巻分巻回する第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第2の巻線を間に介しながら前記巻芯部に前記第1の巻線が巻回されるように、該第1の巻線及び該第2の巻線を同時に巻回する第4の工程と、
を備え
前記第2の工程における前記第1の巻線及び前記第2の巻線の巻回数と前記第4の工程における前記第1の巻線及び前記第2の巻線の巻回数とは等しいことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の形態に係るコモンモードチョークコイルの製造方法は、
巻芯部を有するコアを把持するチャックを回転させることにより、第1のノズルから供給される第1の巻線、及び第2のノズルから供給される第2の巻線を該巻芯部に巻回するコモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記第1の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第1のノズルを配置し、かつ、前記第2の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第2のノズルを配置し、前記チャックを1回転させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の巻線を前記巻芯部に押しつけるように前記第1のノズルを配置し、かつ、前記第2の巻線が該第1の巻線を間に介して該巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、前記チャックを回転させつつ該第1のノズル及び該第2のノズルを該巻芯部の軸方向に移動させる第2の工程と、
前記第2の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、かつ、前記第1の巻線が該巻芯部に押し付けられないように前記第1のノズルを配置し、前記チャックを1回転させる第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記第2の巻線を前記巻芯部に押し付けるように前記第2のノズルを配置し、かつ、前記第1の巻線が該第2の巻線を間に介して該巻芯部に押し付けるように前記第1のノズルを配置し、前記チャックを回転させつつ該第1のノズル及び該第2のノズルを該巻芯部の軸方向に移動させる第4の工程と、
を備え
前記第2の工程における前記チャックの回転数と前記第4の工程における前記チャックの回転数とは等しいことを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の形態に係るコモンモードチョークコイルでは、第1の巻線は、第1の領域において、該第1の巻線と同一周回の第2の巻線に対して一方側に位置し、かつ、第2の領域において、第2の巻線を挟んで巻芯部に巻き回されている。また、第2の巻線は、第2の領域において、該第2の巻線と同一周回の第1の巻線に対して他方側に位置し、かつ、第1の領域において、第1の巻線を挟んで巻芯部に巻き回されている。従って、巻芯部における第1の領域及び第2の領域を結ぶ線分の中点を通り巻芯部と直交する直線を対称軸として、第1の巻線及び第2の巻線を区別せずに、巻芯部の一方側と他方側で巻線の位置関係を比較すると、一方側と他方側で巻線の位置関係が対称になっている。また、第1の巻線の巻回数と第2の巻線の巻回数とは同じであり、第1の巻線が巻芯部に接するように巻き回される回数と、第2の巻線が巻芯部に接するように巻き回される回数とは同じである。従って、第1の巻線の長さと第2の巻線の長さは同じである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モード変換の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施例であるコモンモードチョークコイルの外観図である。
図2】一実施例であるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図3】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程を示す図である。
図4】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程を示す図である。
図5】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第1の工程)を示す図である。
図6】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第1の工程)を示す図である。
図7】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第2の工程)を示す図である。
図8】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第2の工程)を示す図である。
図9】製造過程(第2の工程後)におけるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図10】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第3の工程)を示す図である。
図11】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第3の工程)を示す図である。
図12】製造過程(第5の工程後)におけるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図13】製造過程(第6の工程後)におけるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図14】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第4の工程)を示す図である。
図15】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程(第4の工程)を示す図である。
図16】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程を示す図である。
図17】一実施例であるコモンモードチョークコイルの製造過程を示す図である。
図18】本実施例に係る製造方法から巻線の巻回方法を変更した場合に発生する不具合を示す図である(比較例)。
図19】本実施例に係る製造方法における巻線の巻回方法の一部を変更した場合に得られるコモンモードチョークの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図20】変形例であるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図21】変形例であるコモンモードチョークコイルの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図22】本変形例に係る製造方法における巻線の巻回方法の一部を変更した場合に得られるコモンモードチョークの巻線の巻回状態を示す概略図である。
図23】従来のコモンモードチョークコイルの巻芯部に導線が巻き回されている様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(コモンモードチョークコイルの構成、図1及び図2参照)
一実施例に係るコモンモードチョークコイル1について図面を参照しながら説明する。以下で、巻芯部14の中心軸が延在している方向をx軸方向と定義する。また、x軸方向から見たとき、鍔部16の長辺に沿った方向をy軸方向と定義し、鍔部16の短辺に沿った方向をz軸方向と定義する。なお、x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0013】
コモンモードチョークコイル1は、図1に示すように、コア12、巻線20,21、及び外部電極22〜25を備えている。コモンモードチョークコイル1は、概ね、図2に示すように、巻線20,21の巻き始めとなる始線側領域α(第1の領域)、巻き終わりとなる終線側領域β(第2の領域)、始線側領域αと終線側領域βとの間にある中央領域γに分けられる。理解を容易にするため、図2では巻線20,21の横断面以外の部分の太さを実際よりも細く表している。
【0014】
コア12は、例えばフェライト、アルミナ等の磁性材料により構成され、巻芯部14及び鍔部16,18を含んでいる。
【0015】
巻芯部14は、x軸方向に延在している角柱状の部材である。ただし、巻芯部14は、角柱状に限らず、円柱状であってもよい。なお、図2では巻芯部14の太さを図1よりも細く表している。
【0016】
鍔部16,18は、図1に示すように、巻芯部14におけるx軸方向の両端に設けられている。具体的には、鍔部16は、巻芯部14のx軸方向の負方向側の一端に設けられている。鍔部18は、巻芯部14のx軸方向の正方向側の他端に設けられている。
【0017】
鍔部16は、略直方体状の形状を成している。また、鍔部16のx軸方向の正方向側の面S1とz軸方向の正方向側(第1の方向)の面S2とが成す角には、鍔部16の内部に向かって切り抜くような窪みが施されている。ただし、鍔部16のy軸方向の中央部には、該窪みは施されておらず、その代わりに、鍔部16の面S2から巻芯部14のz軸方向の正方向側の面S3に向かって伸びる斜面が設けられている。
【0018】
鍔部18は、略直方体状の形状を成している。また、鍔部18のx軸方向の負方向側の面S4とz軸方向の正方向側の面S5とが成す角には、鍔部18の内部に向かって切り抜くような窪みが施されている。ただし、鍔部18のy軸方向の中央部には、該窪みは施されておらず、その代わりに、鍔部18の面S5から巻芯部14の面S3に向かって伸びる斜面が設けられている。
【0019】
外部電極22〜25は、Ni−Cr、Ni−Cu,Ni等のNi系合金やAg、Cu、Sn等により構成されている。また、外部電極22〜25は、z軸方向の正方向側から見ると、略矩形状を成している。
【0020】
外部電極22,23は、y軸方向の正方向側から負方向側に向かってこの順に並ぶように鍔部16の面S2上に設けられている。このとき、外部電極22,23は、互いに接触しないように間隔をあけた状態で並んでいる。
【0021】
外部電極24,25は、y軸方向の正方向側から負方向側に向かってこの順に並ぶように鍔部18の面S5上に設けられている。このとき、外部電極24,25は、互いに接触しないように間隔をあけた状態で並んでいる。
【0022】
巻線20,21は、並走するように巻芯部14に巻き回されている導線であり、巻線20,21は、銅や銀といった導電性材料を主成分とする芯線がポリウレタン等の絶縁材料で被覆されることにより構成されている。また、巻線20,21それぞれは、図2に示すように、巻芯部14に12回巻き回されている。以下で、各巻線20,21について具体的に説明する。
【0023】
巻線20(第1の巻線)のx軸方向の負方向側の一端は、面S2において外部電極22と接続され、巻線20のx軸方向の正方向側の他端は、面S5において外部電極24と接続されている。
【0024】
また、巻線20は、該巻線20が巻芯部14に接しているx軸方向の負方向側の一方端部A(第1の端部)から巻芯部14の中央手前に在る巻き位置B(第1の位置)までの始線側領域α(第1の領域)において、同一周回の巻線21に対して、x軸方向の負方向側(一方側)に位置するように巻芯部14に巻き回されている。なお、始線側領域αにおける巻線20,21それぞれの周回数は、巻線20,21が巻芯部に巻き回されるx軸方向の負方向側の一方端部Aから数え始める。
【0025】
さらに、始線側領域αにおいて、巻線20が巻芯部14に直接接するように巻き回され、該巻線20上にさらに巻線21が巻き回されている。つまり、巻線21は、始線側領域αにおいて、巻線20を挟み込むように巻芯部14に巻き回されている。
【0026】
巻線21(第2の巻線)のx軸方向の負方向側の一端は、面S2において外部電極23と接続され、巻線21のx軸方向の正方向側の他端は、面S5において外部電極25と接続されている。
【0027】
また、巻線21は、該巻線21が巻芯部14に接しているx軸方向の正方向側の他方端部C(第2の端部)から巻芯部14の中央手前に在る巻き位置D(第2の位置)までの終線側領域β(第2の領域)において、同一周回の巻線20に対して、x軸方向の正方向側(他方側)に位置するように巻芯部14に巻き回されている。なお、終線側領域βにおける巻線20,21それぞれの周回数は、巻線20,21が巻芯部に巻き回されるx軸方向の正方向側の他方端部Cから数え始める。
【0028】
さらに、終線側領域βにおいて、巻線21が巻芯部14に直接接するように巻き回され、該巻線21上にさらに巻線20が巻き回されている。つまり、巻線20は、終線側領域βにおいて、巻線21を挟み込むように巻芯部14に巻き回されている。
【0029】
ところで、巻線20,21は、巻線20と巻線21とのx軸方向における相対的な位置関係が、始線側領域αと終線側領域βとで逆転している。従って、巻線20,21は、巻芯部14における位置Bから位置Dまでの中央領域γ内で交差する。このとき、巻線20,21は、巻芯部14の面S3上で交差している。また、巻線20,21は共に、巻芯部14に対して直接7回巻き回されている。
【0030】
(製造方法 図2図17参照)
以下に、一実施例であるコモンモードチョークコイル1の製造方法について説明する。製造方法の説明の際に用いられるx軸方向は、該製造方法で製造されるコモンモードチョークコイル1の巻芯部14の中心軸が延在している方向である。また、y軸方向は、チャックC1にコア12を固定した際の鍔部16の長辺に沿った方向であり、z軸方向は、チャックC1にコア12を固定した際の鍔部16の短辺に沿った方向である。
【0031】
コモンモードチョークコイル1の製造では、まず、コア12の材料となるフェライトを主成分とした粉末を準備する。そして、準備したフェライト粉末を、雌型に充填する。充填した粉末を雄型で加圧することによって、巻芯部14の形状及び鍔部16,18の形状を成形する。
【0032】
次に、巻芯部14及び鍔部16,18の成形終了後に焼成を行い、コア12が完成する。
【0033】
そして、外部電極22〜25を形成するために、鍔部16,18の面S2,S5のy軸方向の両端部に対してAgペーストを塗布する。次に、付着したAgペーストを乾燥させ、焼成することによって、外部電極22〜25の下地電極であるAg膜を形成する。更に、電気めっきなどにより、Ni系合金の金属膜をAg膜上に形成する。以上により、外部電極22〜25が形成される。
【0034】
次に、コア12の巻芯部14に巻線20,21を巻回する。巻線20,21を巻回する工程では、図3及び図4に示すように、まずコア12をチャックC1に固定する。コア12のチャックC1への固定は、コア12の鍔部16をチャックにより把持することで行われる。また、チャックC1は、図示しない回転駆動装置に接続され、コア12の巻芯部14の中心軸L2を回転軸として回転可能である。
【0035】
コア12をチャックC1に固定した後、ノズルN1から供給される巻線20の一端、及びノズルN2から供給される巻線21の一端をチャックC1に設けられたワイヤクランプP1で挟持する。ワイヤクランプP1は、コア12の巻芯部14の面S3と略平行なチャックC1の面S7に設けられ、コア12に対してx軸方向の負方向側かつy軸方向の正方向側に位置している。また、ノズルN1,N2は、図示しない駆動手段に接続され、3次元空間内を任意の方向へ移動可能である。
【0036】
次に、巻線20をチャックC1に設けられた棒状のフッキングピンH1に引っかける。具体的には、フッキングピンH1は、チャックC1の面S7に設けられ、x軸方向においてワイヤクランプP1とコア12との間に位置している。また、フッキングピンH1は、チャックC1に固定されたコア12の外部電極22の近傍、かつ、コア12に対してy軸方向の正方向側に位置している。このように配置されたフッキングピンH1のy軸方向の正方向側の側面に巻線20を当接させた状態で、巻線20を供給するノズルN1をコア12に対してy軸方向の負方向側、かつ、z軸方向の負方向側へ移動させる。これにより、巻線20が、巻芯部14に押し付けられつつ、フッキングピンH1に引っかかる。
【0037】
また、巻線20をフッキングピンH1に引っかける作業と並行して、巻線21をチャックC1に設けられた棒状のフッキングピンH2に引っかける。具体的には、フッキングピンH2は、チャックC1の面S7に設けられ、x軸方向においてワイヤクランプP1とコア12との間に位置している。また、フッキングピンH2は、コア12の巻芯部14の中心軸L2の延長線上近傍、つまりチャックC1の回転軸の近傍に位置している。このように配置されたフッキングピンH2のy軸方向の負方向側の側面に巻線21を当接させた状態で、ノズルN2をコア12に対してx軸方向の正方向側に移動させる。これにより、巻線21が、フッキングピンH2に引っかかる。ただし、ノズルN2の上記の移動は、コア12の中心軸L2と略平行に移動するものであり、巻線21が巻芯部14に押し付けられることはない。
【0038】
次に、チャックC1を1回転させる。この回転によって、図5及び図6に示すように、巻線20が巻芯部14に1巻分だけ巻きつけられる。このとき、ノズルN2は、コア12の巻芯部14の中心軸L2付近であって鍔部18よりもx軸方向の正方向側に位置するため、巻線21は、巻芯部14に巻きつけられることはない。従って、本工程では、巻線20が、巻線21に先行して巻芯部14に1巻分だけ巻きつけられる(第1の工程終了)。
【0039】
巻線20を巻芯部14に1巻分だけ巻きつけた後に、ノズルN1の位置を保持した状態で、ノズルN2を移動させる。具体的には、巻芯部14の中心軸L2付近から、y軸方向の負方向側かつz軸方向の負方向側に移動させる。これにより、ノズルN2はノズルN1の近傍まで移動し、巻線21が巻線20を間に介して巻芯部14に押し付けられる。
【0040】
そして、図7及び図8に示すように、ノズルN1,N2をx軸方向の正方向側に移動させつつ、チャックC1を5回ほど回転させる。これにより、図9に示すように、巻線20が巻芯部14に直接巻き回されるとともに、巻線21は、巻線20を挟み込むように巻芯部14に巻き回される。ここで、巻線20は本工程以前に1巻分だけ巻芯部14に巻回されているため、巻線20の巻芯部14に対する総巻回数は6である。一方、巻線21の巻芯部14に対する総巻回数は5である(第2の工程終了)。
【0041】
次に、図10及び図11に示すように、ノズルN2の位置を保持した状態で、ノズルN1を移動させる。具体的には、コア12に対して、ノズルN1をy軸方向の負方向側かつz軸方向の負方向側の位置から、コア12の巻芯部14の中心軸L2付近に移動させる。これにより、巻線21だけが巻芯部14に押し付けられた状態になる。
【0042】
ノズルN1を移動させた後、チャックC1をまず1回転させる。その後、さらにチャックC1を1回転させることによって、巻線21は、巻芯部14に2巻分だけ巻きつけられる。このとき、ノズルN1は、中心軸L2付近であって鍔部18よりもx軸方向の正方向側に位置するため、巻線20は、巻芯部14に巻きつけられることはない。また、本工程において、チャックC1を2回転させたことで、図12に示すように、巻線21の巻芯部14に対する総巻回数は7になる(第3の工程、第5の工程終了)。
【0043】
次に、ノズルN1の位置とノズルN2の位置を交代させる。具体的には、中心軸L2付近に位置していたノズルN1を、コア12に対してy軸方向の負方向側かつz軸方向の負方向側に移動させ、コア12に対して、y軸方向の負方向側かつz軸方向の負方向側の位置にしていたノズルN2を、中心軸L2付近に移動させる。これにより、巻線20だけが巻芯部14に押し付けられた状態になる。
【0044】
ノズルN1の位置とノズルN2の位置を交代させた後、チャックC1を1回転させる。この回転によって、巻線20は、巻芯部14に1巻分だけ巻きつけられる。このとき、ノズルN2は、中心軸L2付近であって鍔部18よりもx軸方向の正方向側に位置するため、巻線21は、巻芯部14に巻きつけられることはない。また、本工程において、チャックC1を1回転させたことで、図13に示すように、巻線20の巻芯部14に対する総巻回数は7になる(第6の工程終了)。
【0045】
次に、ノズルN2を移動させる。具体的には、図14及び図15に示すように、中心軸L2付近から、コア12に対して、y軸方向の負方向側に移動させる。このとき、ノズルN2は、ノズルN1に対してx軸方向の正方向側に位置する。これにより、巻線21が巻芯部14に押し付けられるとともに、巻線20が巻線21を間に介して巻芯部14に押し付けられる。
【0046】
そして、ノズルN1,N2をx軸方向の正方向側に移動させつつ、チャックC1を5回ほど回転させる。これにより、巻線21が巻芯部14に直接巻き回されるとともに、巻線20は、巻線21を挟み込むように巻芯部14に巻き回される。そして、本工程において、チャックC1を5回転させたことで、図2に示すような、巻線20,21が巻芯部14に12回巻回された状態になる(第4の工程終了)。
【0047】
次に、図16及び図17に示すように、巻線20を、コア12を挟んでチャックC1と反対側にあるガイド部材C2に設けられた棒状のフッキングピンH3に引っかける。具体的には、フッキングピンH3は、コア12に対してx軸方向の正方向側かつy軸方向の正方向側に配置されている。このように配置されたフッキングピンH3のy軸方向の正方向側の側面に巻線20を当接させて、巻線20を供給するノズルN1をx軸方向の正方向側、かつ、y軸方向の負方向側へ移動させる。そして、ガイド部材C2に設けられたワイヤクランプP2に巻線20を挟持させる。
【0048】
また、巻線20をフッキングピンH3に引っかける作業と並行して、巻線21をガイド部材C2に設けられた棒状のフッキングピンH4に引っかける。具体的には、フッキングピンH4は、コア12に対してx軸方向の正方向側かつy軸方向の負方向側に配置されている。このように配置されたフッキングピンH4のy軸方向の負方向側の側面に巻線21を当接させて、ノズルN2をx軸方向の正方向側、かつ、y軸方向の負方向側に移動させる。そして、ワイヤクランプP2に巻線21を挟持させる。以上により、コア12の巻芯部14に対する巻線20,21を巻回する工程は終了する。なお、上記の巻回工程において、巻線20と巻線21とのx軸方向における相対的な位置関係が逆転するため、巻線20と巻線21とが交差する。この交差は、巻線20,21が引き出されている外部電極側の巻芯部14の面、つまり、面S3上で行われる。
【0049】
巻線20,21を巻回終了後に、巻線20,21を外部電極22〜25に接続する。具体的には、巻線20,21を鍔部16上の外部電極22,23に当接させた状態で、鍔部16に向かってヒータチップを押し当てる。これにより、巻線20,21を外部電極22,23に圧着させる。さらに、鍔部16からコア12の外部に飛び出した巻線20,21の余剰部分をカットする。また、巻線20,21を鍔部18上の外部電極24,25に当接させ、鍔部18に向かってヒータチップを押し当てる。最後に、鍔部18からコア12の外部に飛び出した巻線20,21の余剰部分をカットすることにより、コモンモードチョークコイル1が完成する。
【0050】
(効果)
コモンモードチョークコイル1では、図2に示すように、巻線20は、始線側領域αにおいて該巻線20と同一周回の巻線21に対してx軸方向の負方向側に位置し、かつ、終線側領域βにおいて、巻線21を挟み込むように巻芯部14に巻き回されている。また、巻線21は、終線側領域βにおいて、巻線21と同一周回の巻線20に対してx軸方向の正方向側に位置し、かつ、始線側領域αにおいて、巻線20を挟み込むように巻芯部14に巻き回されている。従って、巻芯部14における始線側領域α及び終線側領域βを結ぶ線分の中点Mを通り巻芯部と直交する対称軸L1について、巻線20及び巻線21を区別せずに、始線側領域αと終線側領域βでそれらの巻線の位置関係を比較すると、始線側領域αと終線側領域βで巻線の位置関係が対称になっている。これにより、コモンモードチョークコイル1では、始線側領域αと終線側領域βで巻線の位置関係が異なることにより生ずるモード変換を抑制することができる。
【0051】
また、コモンモードチョークコイル1では、巻線20の巻回数と巻線21の巻回数とは同じ12回である。さらに、巻線20,21が巻芯部14に接するように巻き回される回数も同じ7回である。つまり、巻線20が巻芯部14に巻き回される長さと、巻線21が巻芯部14に巻き回される長さとは同じである。従って、コモンモードチョークコイル1では、巻芯部14に巻き回される巻線の長さが異なることにより発生するモード変換を抑制することができる。
【0052】
さらに、コモンモードチョークコイル1では、巻線20,21が巻芯部14の面S3上において交差している。ここで、巻線20,21それぞれの巻き数は12回で偶数である。このように、巻き数が偶数のときは、巻線20,21が引き出されている外部電極側の巻芯部の面上で交差させることにより、巻線20と巻線21とが巻芯部14に巻き回される長さを等しくすることができる。
【0053】
ところで、コモンモードチョークコイル1の製造において、仮に、巻線20を巻線21に先行して1巻分だけ巻芯部14に巻き回すことなく、巻線20,21を巻芯部14に同時に巻き回すと、図18に示すように、巻線20上に巻き回される巻線21が、巻線20上から脱落する(以下で、段落ちと称す)虞がある。一方、コモンモードチョークコイル1の実際の製造方法では、巻線20を1巻分だけ巻芯部14に巻き回してから、巻線20,21を巻芯部14に巻き回している。このように巻線20を巻線21に先行して1巻分だけ巻芯部14に巻き回すことによって、巻線21が、巻線20のn巻目及びn+1巻目により形成された溝に嵌めこまれるように巻回される。これによって、コモンモードチョークコイル1の製造方法では、巻線21の段落ちを防止することができる。
【0054】
また、コモンモードチョークコイル1の製造方法では、第2の工程の後に、巻線21を巻芯部14に対して直接2回巻きつけ、さらに、巻線20を巻芯部14に対して直接1回巻きつけ、第4の工程へ移る。これは、コモンモードチョークコイルの巻線の巻回数が偶数の場合に、巻線20,21が巻き回される領域のx軸方向の負方向側と正方向側とで巻線の位置関係を対称にするためである。巻線20,21の巻回数を本実施例と同様の12回として、仮に、第2の工程の後すぐに、第4の工程に移った場合、図19に示すように、x軸の負方向側又は正方向側のいずれか一方において二重に巻き回される巻回数が、他方において二重に巻き回される巻回数よりも多くなってしまう。しかし、コモンモードチョークコイル1の製造方法では、第2の工程の後に、巻線21を巻芯部14に対して直接2回巻きつけ、さらに、巻線20を巻芯部14に対して直接1回巻きつけてから第4の工程に移っているため、x軸の負方向側又は正方向側のいずれか一方において二重に巻き回される巻回数が、他方において二重に巻き回される巻回数よりも多くなってしまうという事態を回避できる。
【0055】
(第1変形例)
第1変形例であるコモンモードチョークコイル1Aとコモンモードチョークコイル1との相違点は、巻線20,21の巻回数及び交差位置である。以下で、具体的に説明する。
【0056】
コモンモードチョークコイル1Aでは、図20に示すように、巻線20,21それぞれの巻芯部14に対する総巻回数は13回である。また、巻線20,21はそれぞれ、巻芯部14に対して接するように7.5回巻き回されている。そして、巻線20,21は、巻芯部14における位置Bから位置Dまでの中央領域γ内で交差し、このとき、図21に示すように、巻芯部14のz軸方向の負方向側の面S6上で交差している。
【0057】
以上のように構成されたコモンモードチョークコイル1Aでは、図20に示すように、巻芯部14における始線側領域α及び終線側領域βを結ぶ線分の中点Mを通り巻芯部14と直交する対称軸L1について、始線側領域αと終線側領域βで巻線20及び巻線21を区別せずに巻線の位置関係を比較すると、始線側領域αと終線側領域βで巻線の位置関係が対称になっている。これにより、コモンモードチョークコイル1Aでは、始線側領域αと終線側領域βで巻線の位置関係が異なることにより生ずるモード変換を抑制することができる。
【0058】
また、コモンモードチョークコイル1Aでは、巻線20の巻回数と巻線21の巻回数とは同じ13回である。さらに、巻線20,21が巻芯部14に接するように巻き回される回数も同じ7.5回である。つまり、巻線20が巻芯部14に巻き回される長さと、巻線21が巻芯部14に巻き回される長さとは同じである。従って、コモンモードチョークコイル1Aでは、巻芯部に巻き回される巻線の長さが異なることにより発生するモード変換を抑制することができる。
【0059】
さらに、コモンモードチョークコイル1Aでは、巻線20,21が巻芯部14の面S6上において交差している。ここで、巻線20,21それぞれの巻き数は13回で奇数である。このように、巻き数が奇数のときは、巻線20,21が引き出されている外部電極側の巻芯部の面と反対側の面で交差させることにより、巻線20,21が巻芯部14に巻き回される長さを等しくすることができる。
【0060】
本変形例コモンモードチョークコイル1Aにおける他の構成や、例えば段落ちの防止といった作用効果は、第1実施例と同様である。
【0061】
(第2変形例)
第2変形例であるコモンモードチョークコイル1Bでは、図22に示すように、巻線20が巻線21を挟み込むように巻芯部14に巻回される領域、及び巻線21が巻線20を挟み込むように巻芯部14に巻回される領域が、第1変形例であるコモンモードチョークコイル1Aと比較して大きい。これは、コモンモードチョークコイルの製造方法において、第1の工程および第2の工程の後に、第3の工程で巻線21を巻芯部14に対して直接1回巻きつけ、第4の工程へ移ることによって可能となる。
【0062】
本変形例コモンモードチョークコイル1Bにおける他の構成や、作用効果は、第1変形例と同様である。
【0063】
(他の実施例)
本発明に係るコモンモードチョークコイル及びその製造方法は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、巻線の巻回数、コアにおける巻芯部や鍔部の形状、材料等は任意である。また、x軸方向における始線側領域αと終線側領域βとを結ぶ中点Mは、巻芯部14の中点と一致していなくてもよい。さらに、各実施例の構成を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明は、コモンモードチョークコイル及びその製造方法に有用であり、モード変換の発生を抑制することができる点で優れている。
【符号の説明】
【0065】
A 巻芯部に接している巻線の一方端部(第1の端部)
C 巻芯部に接している巻線の他方端部(第2の端部)
B 巻芯部に接している巻線のうち、第1の端部から見て巻芯部の中央手前に在る巻き位置(第1の位置)
D 巻芯部に接している巻線のうち、第2の端部から見て巻芯部の中央手前に在る巻き位置(第2の位置)
C1 チャック
M 中点
P1〜P4 フッキングピン
S1〜S5 面
α 始線側領域(第1の領域)
β 終線側領域(第2の領域)
γ 中央領域
1,1A コモンモードチョークコイル
12 コア
14 巻芯部
16,18 鍔部
20 巻線(第1の巻線)
21 巻線(第2の巻線)
22〜25 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23