(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記疲労判定手段は、所定時間内における、前記比率が基準値以上の状態の時間の割合が、所定の割合以上になった場合に、疲労していると判定することを特徴とする請求項3に記載の疲労検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したLF/HF値を用いた疲労度の判定処理システムでは、自律神経(すなわち交感神経及び副交感神経)の状態が安定しているときに脈拍又は心拍等のデータを得る必要があるため、使用者は計測前に例えば5分間程度、安静座位姿勢にて休息することが必要とされる。そして、十分な休息をとった後、そのままの状態で例えば3分間以上(又は例えば100拍以上)、継続的に光電脈波又は心電図の計測を行う必要がある。
【0006】
そのため、上述した疲労度の判定処理システムでは、計測前に充分な休息を取ることができない場合や、計測中に安静状態を保てないときには、交感神経が優位になり、正しい疲労状態の評価を行うことができないおそれがあった。また、この疲労度の判定処理システムでは、疲労度の判定精度が、加速度脈波のa−a間隔を正確に取得できるか否かに直接的に影響されるため、ノイズに弱く、判定精度が低下しやすいという問題があった。そのため、特許文献1に記載の疲労度の判定処理システムでは、疲労しているか否かを安定的に、かつ精度よく検出することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、疲労している否かをより安定的に、かつ精度よく検出することが可能な疲労検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る疲労検出装置は、使用者の頸部の周方向に沿って装着可能な装着部材と、装着部材に取り付けられ、筋電信号を含む生体信号を取得する複数の生体用電極と、複数の生体用電極により取得された生体信号を周波数解析して周波数スペクトルを求める周波数解析手段と、周波数解析手段により求められた周波数スペクトルから筋電成分を取得する筋電成分取得手段と、筋電成分取得手段により取得された筋電成分が基準値以上である場合に、疲労していると判定する疲労判定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
ところで、頸部に力が入っている状態(すなわち頸部の筋電信号量が多い状態)が続く場合には、緊張・疲労している状態であると推測することができる。そこで、本発明に係る疲労検出装置によれば、使用者の頸部から筋電信号を含む生体信号が取得されて、周波数解析され、その周波数解析結果(周波数スペクトル)から筋電成分が取得される。そして、筋電成分と基準値とが比較されて、疲労しているか否かが判定される。このように、頸部から取得される筋電信号を利用し、かつ、その周波数解析結果(周波数スペクトル)に基づいて疲労しているか否かを判定するようにしたため、疲労している否かをより安定的に、かつ精度よく検出することが可能となる。
【0010】
本発明に係る疲労検出装置では、疲労判定手段が、所定時間内における、筋電成分が基準値以上の状態の時間の割合が、所定の割合以上になった場合に、疲労していると判定することが好ましい。
【0011】
この場合、筋電成分が基準値以上である状態の時間割合が所定割合以上になった場合に、疲労していると判定される。よって、例えば、一時的な緊張状態にあるような場合(一時的に頸部に力が入ったとき)に疲労していると判定してしまうことを防止することができ、疲労検出の精度を向上させることが可能となる。
【0012】
本発明に係る疲労検出装置では、疲労判定手段が、筋電成分が基準値以上の状態が、所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定することが好ましい。
【0013】
この場合、筋電成分が基準値以上の状態が所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定される。よって、例えば、一時的な緊張状態にあるような場合(一時的に頸部に力が入ったとき)に疲労していると判定してしまうことを防止することができ、疲労検出の精度を向上させることが可能となる。
【0014】
本発明に係る疲労検出装置は、使用者の頸部の周方向に沿って装着可能な装着部材と、装着部材に取り付けられ、筋電信号を含む生体信号を取得する複数の生体用電極と、複数の生体用電極により取得された生体信号を周波数解析して周波数スペクトルを求める周波数解析手段と、心電成分に対する筋電成分割合が低い第1の周波数帯域における第1の周波数スペクトルのパワー値に対する、第1の周波数帯域よりも筋電成分割合が高い第2の周波数帯域における第2の周波数スペクトルのパワー値の比率を取得する筋電成分取得手段と、筋電成分取得手段により取得された、第1の周波数スペクトルのパワー値に対する第2の周波数スペクトルのパワー値の比率が基準値以上である場合に、疲労していると判定する疲労判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る疲労検出装置によれば、使用者の頸部から、筋電信号を含む生体信号が取得されて、周波数解析され、その周波数解析結果(周波数スペクトル)から、心電成分に対する筋電成分の割合が低い(筋電成分に対して心電成分が多い)第1の周波数帯域における第1の周波数スペクトルのパワー値に対する、第1の周波数帯域よりも筋電成分の割合が高い(筋電成分に対して心電成分が少ない)第2の周波数帯域における第2の周波数スペクトルのパワー値の比率が取得される。そして、当該比率と基準値とが比較されて、疲労しているか否かが判定される。ここで、筋電成分が大きくなるほど、上記比率が大きくなるため、筋電成分を精度よく求めることができる。このように、頸部から取得される筋電信号を利用し、かつ、その周波数解析結果(周波数スペクトル)から求められた上記比率に基づいて疲労しているか否かを判定するようにしたため、ノイズに強く、疲労しているか否かをより安定的に、かつ精度よく検出することが可能となる。
【0016】
本発明に係る疲労検出装置では、疲労判定手段が、所定時間内における、上記比率が基準値以上の状態の時間の割合が、所定の割合以上になった場合に、疲労していると判定することが好ましい。
【0017】
この場合、上記比率が基準値以上である状態の時間割合が所定割合以上になった場合に、疲労していると判定される。よって、例えば、一時的な緊張状態にあるような場合(一時的に頸部に力が入ったとき)に疲労していると判定してしまうことを防止することができ、疲労検出の精度を向上させることが可能となる。
【0018】
本発明に係る疲労検出装置では、疲労判定手段が、上記比率が基準値以上の状態が、所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定することが好ましい。
【0019】
この場合、上記比率が基準値以上の状態が所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定される。よって、例えば、一時的な緊張状態にあるような場合(一時的に頸部に力が入ったとき)に疲労していると判定してしまうことを防止することができ、疲労検出の精度を向上させることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る疲労検出装置は、装着部材に取り付けられ、被験者の頸部の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、加速度センサにより検出された加速度が所定のしきい値を超えているときには、疲労判定手段が、疲労しているか否かの判定を停止することが好ましい。
【0021】
このようにすれば、例えば、頸部を動かしている場合(すなわち、頸部を動かしたことにより筋電量が一時的に大きくなった場合や体動ノイズが大きい場合)には、疲労判定が停止されるため、体動に起因する誤検出を防止でき、より精度よく疲労を検出することが可能となる。
【0022】
本発明に係る疲労検出装置では、複数の生体用電極が、一つの共通電極と、該共通電極とそれぞれに対を成す1以上の生体用電極とを有することが好ましい。
【0023】
例えば、3つ以上の生体用電極を有する場合には、生体用電極を組み合わせて使用することにより、複数の生体信号(筋電成分)のうち、処理により適した生体信号を選択して用いることができ、筋電成分の検出精度を上げることが可能となる。また、一方の生体用電極対を用いてバックグランドノイズを検出することにより、該バックグランドノイズを除去することもできる。よって、疲労判定の精度をより向上することが可能となる。
【0024】
本発明に係る疲労検出装置では、上記複数の生体用電極の内、少なくとも一対の生体用電極が、心電信号を含む生体信号を測定するための生体用電極であることが好ましい。
【0025】
このようにすれば、心電信号検出用の電極を専用に設けることなく、心電信号も同時に計測することができる。そのため、疲労の有無と併せて、例えば、心拍数や心拍間隔等の生体情報を同時に計測することが可能となる。
【0026】
本発明に係る疲労検出装置では、上記装着部材がネックバンドであることが好ましい。このようにすれば、ネックバンド型の疲労検出装置を頸部に装着するだけで、簡便に疲労を検出することができる。
【0027】
また、本発明に係る疲労検出装置では、上記装着部材が、柔軟性を有し略帯状に形成された装着本体部と、該装着本体部に取り付けられた粘着性を有する粘着部とを有し、該粘着部が、少なくとも一部が導電性を有し、上記生体用電極として機能することが好ましい。
【0028】
この場合には、柔軟性を有し略帯状に形成された装着本体部に粘着性を有する粘着部が取り付けられているため、粘着部の粘着性を利用して装着本体部(装着部材)を頸部に貼り付ける(装着する)ことができる。また、粘着部の少なくとも一部が導電性を有し生体用電極として機能するため、装着部材を頸部に貼り付ける(装着する)だけで、簡便に疲労を検出することができる。
【0029】
本発明に係る疲労検出装置は、疲労状態であると判定された場合に、使用者に疲労状態であることを提示する提示手段をさらに備えることが好ましい。
【0030】
このようにすれば、疲労していることを使用者に知らせることができ、使用者が過度の疲労状態になることを予防することが可能となる。
【0031】
本発明に係る疲労検出装置は、疲労状態であると判定された場合に、頸部を加温する加温手段をさらに備えることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、使用者が疲労しているときに、頸部を加温することにより、疲労を緩和・低減することが可能となる。
【0033】
本発明に係る疲労検出装置では、上記加温手段が、生体用電極の温度を上げることにより、頸部を加温することが好ましい。
【0034】
この場合、生体用電極を介して使用者の頸部を加温するため、別途加温部を設ける必要がない。また、生体用電極は使用者の頸部に接触しているため、確実に、かつ効率よく頸部を加温することが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、疲労している否かをより安定的に、かつ精度よく検出することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図5を併せて用いて、第1実施形態に係る疲労検出装置1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る疲労検出装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、疲労検出装置1を構成するセンサ部12の構成(枠体12bを開いた状態)を示す斜視図である。
図3は、センサ部12の構成(枠体12bを閉じた状態)を示す図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。また、
図5は、疲労検出装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0039】
疲労検出装置1は、頸部(首筋)に装着することにより疲労を検出するものであり(
図1参照)、使用者の頸部の後ろ側から頸部を挟むように弾性的に装着される概略U字形のネックバンド(装着部材)13と、ネックバンド13の両端に配設されることで使用者の頸部の両側に接触する一対のセンサ部11,12とを備えている。
【0040】
ネックバンド13は、使用者の頸部の周方向に沿って装着可能なものである。すなわち、ネックバンド13は、
図1に示されるように、使用者の一方の頸部側方から他方の頸部側方まで、使用者の頸部後方に沿って装着される。より具体的には、ネックバンド13は、例えば、帯状の板バネと、この板バネを覆うゴムチューブを有して構成されている。そのため、ネックバンド13は、内側に縮むように付勢されており、使用者がネックバンド13を装着した場合に、ネックバンド13(センサ部11,12)が使用者の頸部に接触した状態で保持される。
【0041】
なお、ゴムチューブとしては、生体適合性を有するものを用いることが好ましい。また、ゴムチューブに代えて例えばプラスチックからなるチューブを用いることもできる。ゴムチューブの中には、双方のセンサ部11,12を電気的に接続するケーブルも配線されている。ここで、ケーブルは、ノイズを低減するために、同軸とすることが望ましい。
【0042】
センサ部12(11)は、主として、矩形の平面状に形成された導電布15と、導電布15がセットされる本体部12aと、本体部12aとの間で導電布15の周縁を挟んで押さえる枠体12bと、枠体12bと対向する本体部12aの表面に設けられた入力端子14とを有している。本実施形態では、導電布15を、筋電信号や心電信号を含む生体信号を検出するための生体用電極として用いる。また、一方のセンサ部12は、上記構成に加えて、光電脈波センサ20を有している。なお、光電脈波センサ20に代えて又は加えて、圧電脈波センサ、酸素飽和度センサ、音センサ(マイク)、変位センサ、温度センサ、湿度センサなどを用いる構成としてもよい。
【0043】
また、ネックバンド13のセンサ部11(又はセンサ部12)には、被験者の頸部の加速度(すなわち、頸部を動かしているか否か)を検出する加速度センサ22が取り付けられている。なお、加速度センサに代えて、例えば、ジャイロセンサ等を用いてもよい。
【0044】
生体用電極となる導電布15は、導電性を有する導電糸からなる織物又は編物が用いられる。本実施形態では、導電布15を、矩形の平面状に形成した。ここで、導電糸としては、例えば、樹脂糸の表面をAgなどでめっきしたものや、カーボンナノチューブ・コーティングを施したもの、PEDOTなどの導電性高分子をコーティングしたものを用いることができる。また、導電性を有する導電性ポリマー糸を用いてもよい。なお、導電布15は、ほつれなどを防止するため、四辺を折り返してミシンで縫うなどの端処理や、レーザーや超音波を用いた裁断溶着処理を施すことが好ましい。
【0045】
本体部12aは、例えば樹脂などにより、薄い略かまぼこ型、すなわち、短手方向に沿った断面で見た場合に、頸部と接触する面が円弧を描くように形成されている。これにより、装着感が向上される。また、本体部12aは、枠体12bと対向する部分(枠体12bが嵌る領域)が、枠体12bの厚み分(又は厚み分よりも深く)凹んで形成されている。
【0046】
枠体12bは、矩形に形成されている。また、枠体12bは、その寸法(外縁)が、導電布15よりも若干大きくなるように形成されている。なお、導電布15の形状、および枠体12bの形状は矩形には限られない。
【0047】
本体部12aの一方の側面には、ヒンジ部が設けられており、このヒンジ部を支点として枠体12bが開閉可能とされている。一方、本体部12aの他方の側面には2つの溝部12cが形成されている。そして、この溝部12cに、枠体12bに形成された爪部(図示省略)が嵌ることにより枠体12bが本体部12aに固定(ロック)される。すなわち、
図2に示されるように、枠体12bを開いて、導電布15を本体部12aにセットした後、枠体12bを閉じてロックすることにより、簡易に導電布15をセット(又は交換)することができる。なお、枠体12bは、取り外しできるように構成されていてもよい。
【0048】
本体部12aの枠体12bと対向する位置には、入力端子14が配設されている。本体部12aと枠体12bとで導電布15が挟み込まれることにより、導電布15と入力端子14とが電気的に接続される。なお、導電布(生体用電極)15は、入力端子14を介して、後述する信号処理部31と接続される。
【0049】
上述したように、本体部12aは、枠体12bと対向する部分(枠体12bが嵌る領域)が、枠体12bの厚み分(又は厚み分よりも深く)凹んで形成されている。そのため、導電布15が本体部12aにセットされた状態では、枠体12bは、
図4に示されるように、その表面が、導電布15の中央部の表面と略同一か、又は導電布15の中央部よりも凹んだ(低い)位置で固定される。これにより、頸部に装着されたときに、頸部に導電布15を安定して接触させることができる。
【0050】
本体部12aの内面(頸部と接触する面)には、導電布(生体用電極)15の近傍に、発光素子201および受光素子202を有し、光電脈波信号を検出する光電脈波センサ20が配設されている。光電脈波センサ20は、血中ヘモグロビンの吸光特性を利用して、光電脈波信号を光学的に検出するセンサである。
【0051】
発光素子201は、後述する信号処理部31の駆動部350から出力されるパルス状の駆動信号に応じて発光する。発光素子201としては、例えば、LED、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)、又は共振器型LED等を用いることができる。なお、駆動部350は、発光素子201を駆動するパルス状の駆動信号を生成して出力する。
【0052】
受光素子202は、発光素子201から照射され、頸部を透過して、又は頸部に反射して入射される光の強さに応じた検出信号を出力する。受光素子202としては、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等が好適に用いられる。本実施形態では、受光素子202として、フォトダイオードを用いた。
【0053】
受光素子202は、信号処理部31に接続されており、受光素子202で得られた検出信号(光電脈波信号)は信号処理部31に出力される。
【0054】
また、一方のセンサ部11(本体部11a)の内部には、光電脈波センサ20や、信号処理部31、無線通信モジュール60などに電力を供給するバッテリ(図示省略)が収納されている。他方のセンサ部12(本体部12a)の内部には、信号処理部31、及び、疲労情報(疲労判定結果)や、計測した筋電信号、心電信号、光電脈波信号、脈波伝播時間などの生体情報を外部の機器に送信する無線通信モジュール60が収納されている。
【0055】
一対の生体用電極(導電布)15,15、及び光電脈波センサ20それぞれは、信号処理部31に接続されており、検出された生体信号(筋電信号、心電信号)、及び光電脈波信号が信号処理部31に入力される。また、加速度センサ22も、信号処理部31に接続されており、検出された加速度信号が信号処理部31に入力される。
【0056】
信号処理部31は、主として、筋電信号および心電信号を含む生体信号から筋電成分(又は筋電成分の大きさを示す指標値)を取得し、その筋電成分に応じて疲労状態の判定を行う(詳細は後述する)。また、信号処理部31は、入力された心電信号を処理して、心拍数や心拍間隔などを計測するとともに、入力された光電脈波信号を処理して、脈拍数や脈拍間隔などを計測する。さらに、信号処理部31は、検出した心電信号(心電波)のR波ピークと第1の光電脈波信号(脈波)のピークとの時間差から脈波伝播時間を計測する。
【0057】
信号処理部31は、生体信号増幅部311、脈波信号増幅部321、第1信号処理部310、第2信号処理部320、ピーク検出部316,326、ピーク補正部318,328、脈波伝播時間計測部330、周波数解析部331、筋電成分取得部332、及び疲労判定部333を有している。また、上記第1信号処理部310は、アナログフィルタ312、A/Dコンバータ313、ディジタルフィルタ314を有している。一方、第2信号処理部320は、アナログフィルタ322、A/Dコンバータ323、ディジタルフィルタ324、2階微分処理部325を有している。
【0058】
ここで、上述した各部の内、ディジタルフィルタ314,324、2階微分処理部325、ピーク検出部316,326、ピーク補正部318,328、脈波伝播時間計測部330、周波数解析部331、筋電成分取得部332、及び疲労判定部333は、演算処理を行うCPU、該CPUに各処理を実行させるためのプログラムやデータを記憶するROM、及び演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。すなわち、ROMに記憶されているプログラムがCPUによって実行されることにより、上記各部の機能が実現される。
【0059】
生体信号増幅部311は、例えばオペアンプ等を用いた増幅器により構成され、一対の生体用電極(導電布)15,15により検出された生体信号(筋電信号及び心電信号)を増幅する。生体信号増幅部311で増幅された生体信号(筋電信号及び心電信号)は、第1信号処理部310に出力される。同様に、脈波信号増幅部321は、例えばオペアンプ等を用いた増幅器により構成され、光電脈波センサ20により検出された光電脈波信号を増幅する。脈波信号増幅部321で増幅された光電脈波信号は、第2信号処理部320に出力される。
【0060】
第1信号処理部310は、上述したように、アナログフィルタ312、A/Dコンバータ313、ディジタルフィルタ314を有しており、生体信号増幅部311で増幅された生体信号(筋電信号及び心電信号)に対して、フィルタリング処理を施すことにより拍動成分(筋電成分を含む)を抽出する。
【0061】
また、第2信号処理部320は、上述したように、アナログフィルタ322、A/Dコンバータ323、ディジタルフィルタ324、2階微分処理部325を有しており、脈波信号増幅部321で増幅された光電脈波信号に対して、フィルタリング処理及び2階微分処理を施すことにより拍動成分を抽出する。
【0062】
アナログフィルタ312,322、及び、ディジタルフィルタ314,324は、心電信号(筋電信号を含む)、光電脈波信号を特徴づける周波数以外の成分(ノイズ)を除去し、S/Nを向上するためのフィルタリングを行う。より詳細には、心電信号(筋電信号を含む)は一般的に0.1から200Hzの周波数成分、光電脈波信号は0.1から数十Hz付近の周波数成分が支配的であるため、ローパスフィルタやバンドパスフィルタ等のアナログフィルタ312,322、及びディジタルフィルタ314,324を用いてフィルタリング処理を施し、上記周波数範囲の信号のみを選択的に通過させることによりS/Nを向上する。
【0063】
なお、拍動成分の抽出のみを目的とする場合には、ノイズ耐性を向上するために通過周波数範囲をより狭くして拍動成分以外の成分を遮断してもよい。また、アナログフィルタ312,322とディジタルフィルタ314,324は必ずしも両方備える必要はなく、アナログフィルタ312,322とディジタルフィルタ314,324のいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。なお、アナログフィルタ312、ディジタルフィルタ314によりフィルタリング処理が施された心電信号は、ピーク検出部316へ出力される。同様に、アナログフィルタ322、ディジタルフィルタ324によりフィルタリング処理が施された光電脈波信号は、2階微分処理部325へ出力される。
【0064】
2階微分処理部325は、光電脈波信号を2階微分することにより、2階微分脈波(加速度脈波)信号を取得する。取得された加速度脈波信号は、ピーク検出部326へ出力される。なお、光電脈波のピーク(立ち上がり点)は変化が明確でなく検出しにくいことがあるため、加速度脈波に変換してピーク検出を行うことが好ましいが、2階微分処理部325を設けることは必須ではなく、省略した構成としてもよい。
【0065】
ピーク検出部316は、第1信号処理部310により信号処理が施された(拍動成分が抽出された)心電信号のピーク(R波)を検出する。一方、ピーク検出部326は、第2信号処理部320によりフィルタリング処理が施された光電脈波信号(加速度脈波)のピークを検出する。なお、ピーク検出部316、及びピーク検出部326それぞれは、心拍間隔、及び脈拍間隔の正常範囲内においてピーク検出を行い、検出したすべてのピークについて、ピーク時間、ピーク振幅等の情報をRAM等に保存する。
【0066】
ピーク補正部318は、第1信号処理部310(アナログフィルタ312、ディジタルフィルタ314)における心電信号の遅延時間を求める。ピーク補正部318は、求めた心電信号の遅延時間に基づいて、ピーク検出部316により検出された心電信号のピークを補正する。同様に、ピーク補正部328は、第2信号処理部320(アナログフィルタ322、ディジタルフィルタ324、2階微分処理部325)における光電脈波信号の遅延時間を求める。ピーク補正部328は、求めた光電脈波信号の遅延時間に基づいて、ピーク検出部326により検出された光電脈波信号(加速度脈波信号)のピークを補正する。補正後の心電信号のピーク、及び補正後の光電脈波信号(加速度脈波)のピークは、脈波伝播時間計測部330に出力される。なお、ピーク補正部318を設けることは必須ではなく、省略した構成としてもよい。
【0067】
脈波伝播時間計測部330は、ピーク補正部318により補正された心電信号のR波ピークと、ピーク補正部328により補正された光電脈波信号(加速度脈波)のピークとの間隔(時間差)から脈波伝播時間を求める。
【0068】
脈波伝播時間計測部330は、脈波伝播時間に加えて、例えば、心電信号から心拍数、心拍間隔、心拍間隔変化率等も算出する。同様に、脈波伝播時間計測部330は、光電脈波信号(加速度脈波)から脈拍数、脈拍間隔、脈拍間隔変化率等も算出する。
【0069】
周波数解析部331は、一対の生体用電極15,15により取得され、信号処理部310によりフィルタリング処理が施された生体信号(筋電信号および心電信号を含む)を周波数解析して周波数スペクトルを取得する。すなわち、周波数解析部331は、請求の範囲に記載の周波数解析手段として機能する。なお、周波数解析の手法としては、例えば、高速フーリエ変換法(FFT法)、最大エントロピー法(MEM法)、ウェーブレット法等が挙げられる。
【0070】
ここで、筋電信号を含む場合と、含まない場合それぞれの生体信号の周波数スペクトルの一例を
図6に示す。
図6の横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は信号強度である。また、
図6では、筋電信号を含まない生体信号(すなわち心電信号のみ)の周波数スペクトルを実線で、筋電信号を含む生体信号の周波数スペクトルを破線で、それぞれ示した。
【0071】
図6に実線で示されるように、心電の周波数成分が特に多いのは0.25から30Hzである。心電波形の周波数成分は心拍数に対応する周波数成分があるため、心拍数(40から240拍/分)に対応する0.25から1.5Hzの範囲にあるピークとその高調波のピークをもつ。また波形自体の周波数成分もあるが、それも30Hz以下の成分が多い。なお、光電脈波の周波数成分が特に多い周波数帯も心電と同様であるが、心電よりさらに高周波側が少ない。一方、筋電信号は広い周波数成分を持っており、100Hz以上の信号の割合も多い。なお、
図6において、筋電信号を含む生体信号の周波数スペクトルが、40Hz以上でなだらかに減衰しているのは、LPFの影響によるものである。
【0072】
なお、周波数解析部331は、加速度センサ22により検出された頸部の加速度が所定のしきい値以上の場合(すなわち、頸部が動き、体動ノイズが大きくなると予想される場合)には、上述した生体信号(筋電信号及び心電信号)の周波数解析を停止する。すなわち、体動がある場合、ノイズがのりやすく、求められる筋電成分の精度が低下するおそれが有ることと、体を動かしている場合には疲労とは関係なく頸部(首)に力が入ることがあるため、加速度センサ22で使用者の動きが少ない状態を判定し、そのような状態が所定の時間継続したときにのみ、生体信号の周波数解析を行い、その周波数解析結果(周波数スペクトル)を用いて疲労状態の判定を行う。なお、周波数解析部331により取得された周波数解析結果(周波数スペクトル)は、筋電成分取得部332に出力される。
【0073】
上述したように、筋電信号は広い周波数成分を持っているのに対し、心電信号は30Hz以下の成分が多い(
図6参照)。そのため、筋電成分取得部332は、心電成分に対する筋電成分の割合が低い(筋電成分に対して心電成分が多い)第1の周波数帯域(例えば10から20Hz)における第1の周波数スペクトルのパワー値、及び、第1の周波数帯域よりも筋電成分の割合が高い(筋電成分に対して心電成分が少ない)第2の周波数帯域(例えば30から50Hz)における第2の周波数スペクトルのパワー値を求める。そして、筋電成分取得部332は、第1の周波数スペクトルのパワー値に対する、第2の周波数スペクトルのパワー値の比率(以下「筋電成分比率」ともいう)を取得する。すなわち、筋電成分取得部332は、請求の範囲に記載の筋電成分取得手段として機能する。
【0074】
なお、筋電成分取得部332は、加速度センサ22により検出された頸部の加速度が所定のしきい値以上の場合(すなわち、頸部が動き、体動ノイズが大きくなると予想される場合)には、上述した筋電成分比率の取得を停止する。筋電成分取得部332により取得された筋電成分比率は、疲労判定部333に出力される。
【0075】
疲労判定部333は、筋電成分取得部332により取得された、筋電成分比率が予め定められた所定の基準値(疲労基準値)以上である場合に、疲労していると判定する。すなわち、疲労判定部333は、請求の範囲に記載の疲労判定手段として機能する。その際に、疲労判定部333は、所定時間内における、筋電成分比率が基準値以上の状態の時間の割合が、所定の割合以上になった場合、又は(及び)、筋電成分比率が基準値以上の状態が、所定時間(例えば数分)以上継続した場合に、疲労していると判定する。すなわち、一次的に頸部に力が入ることは疲労状態でなくても起こり得るため、測定時間が短い(例えば数分)と、筋電成分比率が高くても疲労ではない場合が有り得る。そのため、筋電成分比率データを累積させて疲労判定することで、疲労判定精度を向上させる。なお、疲労判定部333は、加速度センサ22により検出された頸部の加速度が所定のしきい値以上である場合(すなわち、頸部が動き、体動ノイズが大きくなると予想される場合)には、疲労判定を停止する。
【0076】
疲労判定部333により疲労状態であると判定された場合に、疲労検出装置1は、使用者に対して疲労状態であることを、スピーカ(又はブザー)70を通して、アラーム音や音声で知らせる(警告する)。すなわち、スピーカ(又はブザー)70は、請求の範囲に記載の提示手段として機能する。また、疲労検出装置1は、疲労状態であると判定された場合に、無線通信モジュール60を介して、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)や、ディスプレイを有する携帯型音楽プレーヤ、又はスマートフォン等に、疲労情報(疲労判定結果)を送信し、表示する機能を有している。なお、取得された疲労情報(疲労判定結果)等のデータは、例えば、上述したRAMなどに蓄積して記憶しておき、計測が終了した後に、PC等に出力して確認するようにしてもよい。さらに、疲労判定を、無線で接続されたPCやスマートフォン等で行う構成とすることもできる。
【0077】
頸部加温部80は、疲労判定部333により使用者が疲労していると判定された場合に、頸部(首周り)を温めることにより、頸部の温度を上げる。すなわち、頸部加温部80は、請求の範囲に記載の加温手段として機能する。
【0078】
より具体的には、頸部加温部80は、使用者が疲労していると判定された場合に、頸部を温める。その際に、頸部加温部80は、筋電成分比率と上記基準値との偏差が大きくなるほど、頸部の温度が高くなるように出力を調節する。一方、頸部加温部80は、使用者が疲労していないと判定されたときには、そのときの状態を保持するか、又は加温の程度を弱くする。
【0079】
頸部加温部80による加温方法としては、例えば、電気ヒータ等を利用する方法を挙げることができる。より詳細には、例えば、生体用電極15、絶縁層、電気ヒータの高抵抗層が順番に積層された構成とすることが好ましい。この場合、電気ヒータの高抵抗層に電流が流されることによって発生した熱が、絶縁層、生体用電極15を介して、使用者の頸部に伝えられる。なお、加温は、使用者が不快に感じないよう、温度調節に制限を設けたり、又は、温度センサを設けてフィードバックをかけるようにすることが好ましい。
【0080】
次に、
図7を参照しつつ、疲労検出装置1の動作について説明する。
図7は、疲労検出装置1による疲労検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示される処理は、主として信号処理ユニット31によって、所定のタイミングで繰り返して実行される。
【0081】
疲労検出装置1が頸部に装着され、センサ部11,12(生体用電極15,15及び光電脈波センサ20)が頸部に接触すると、ステップS100では、一対の生体用電極15,15により検出された生体信号(筋電信号、心電信号)、及び光電脈波センサ20により検出された光電脈波信号が読み込まれる。続くステップS102では、ステップS100で読み込まれた生体信号(筋電信号、心電信号)、及び光電脈波信号に対してフィルタリング処理が施される。また、光電脈波信号が2階微分されることにより加速度脈波が取得される。
【0082】
続いて、ステップS104では、例えば、光電脈波センサ20の受光量(光電脈波信号の振幅)に基づいて、疲労検出装置1の装着状態の判定が行われる。すなわち、光電脈波センサ22では、発光素子201から照射され、生体を透過して/生体で反射されて戻ってきた光を受光素子202で受けて、その光量の変動を光電脈波信号として検出するため、装置が適切に装着されていない状態では信号光の受光量が減少する。そこで、ステップS104では、光電脈波信号の振幅が所定値以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、光電脈波信号の振幅が所定値以上である場合には、ステップS108に処理が移行する。一方、光電脈波信号の振幅が所定値未満のときには、装着エラーと判定され、ステップS106において、装着エラー情報(ワーニング情報)が出力される。その後、本処理から一旦抜ける。なお、上述した光電脈波センサ20の受光量(光電脈波信号の振幅)を用いる方法に代えて、例えば、心電波形のベースラインの安定度やノイズ周波数成分比率を用いる方法等を採用することもできる。
【0083】
ステップS108では、心電信号、光電脈波信号(加速度脈波信号)のピークが検出される。そして、検出された心電信号のR波ピークと、光電脈波信号(加速度脈波)のピークとの時間差(ピーク時間差)が算出される。
【0084】
次に、ステップS110では、心電信号のR波ピーク及び光電脈波信号(加速度脈波)のピークそれぞれの遅延時間(ずれ量)が求められるとともに、求められた遅延時間に基づいて、心電信号のR波ピークと光電脈波信号(加速度脈波)のピークとの時間差(ピーク時間差)が補正される。
【0085】
続いて、ステップS112では、ステップS110で補正されたピーク時間差が所定時間(例えば0.01sec.)以上か否かについての判断が行われる。ここで、ピーク時間差が所定時間以上の場合には、ステップS116に処理が移行する。一方、ピーク時間差が所定未満のときには、ステップS114においてエラー情報(ノイズ判定)が出力された後、本処理から一旦抜ける。
【0086】
ステップS116では、ステップS108で算出されたピーク時間差が脈波伝播時間として確定されるとともに、脈波間隔が取得される。
【0087】
次に、ステップS118では、加速度センサ22により検出された頸部の加速度が所定のしきい値以上であるか否か(すなわち、頸部が動き、体動ノイズが大きくなるか否か)についての判断が行われる。ここで、頸部の加速度が所定のしきい値未満の場合には、ステップS122に処理が移行する。一方、頸部の加速度が所定のしきい値以上のときには、ステップS120において、体動エラー情報が出力された後、本処理から一旦抜ける。
【0088】
ステップS122では、筋電信号および心電信号を含む生体信号が周波数解析されて周波数スペクトルが取得される。続いて、ステップS124では、心電成分に対する筋電成分の割合が低い(筋電成分に対して心電成分が多い)第1の周波数帯域(例えば10Hz以上20Hz以下)における第1の周波数スペクトルのパワー値に対する、筋電成分割合が高い(筋電成分に対して心電成分が少ない)第2の周波数帯域(例えば30Hz以上50Hz以下)における第2の周波数スペクトルのパワー値の比率(筋電成分比率)が取得される。そして、ステップS126では、ステップS124で取得された筋電成分比率が時系列的に記憶される。
【0089】
ステップS128では、取得された筋電成分比率が基準値以上であり、かつその状態の時間割合が所定の割合以上であるか否か、又は(及び)、筋電成分比率が基準値以上の状態が所定時間以上継続したか否かについての判断が行われる。ここで、当該条件が満足された場合には、疲労していると判定され、ステップS130に処理が移行する。一方、当該条件が満足されないときには、疲労していないと判定され、ステップS132に処理が移行する。
【0090】
疲労していると判定された場合、ステップS130では、アラーム音や音声によって、使用者に対して疲労状態であることが知らされる(警告される)。また、頸部加温部80が駆動されて頸部が温められることにより、使用者の疲労が緩和・低減される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0091】
一方、疲労していないと判定された場合、ステップS132では、頸部加温部80の稼働状態が変更されることなく維持される(又は稼働状態が緩和される)。その後、本処理から一旦抜ける。
【0092】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、使用者の頸部から、筋電信号を含む生体信号が取得されて、周波数解析され、その周波数解析結果(周波数スペクトル)から、筋電成分割合が低い(筋電成分に対して心電成分が多い)第1の周波数帯域(例えば10Hz以上20Hz以下)における第1の周波数スペクトルのパワー値に対する、筋電成分割合が高い(筋電成分に対して心電成分が少ない)第2の周波数帯域(例えば30Hz以上50Hz以下)における第2の周波数スペクトルのパワー値の比率(筋電成分比率)が取得される。そして、筋電成分比率と基準値とが比較されて、疲労しているか否かが判定される。ここで、筋電成分が大きくなるほど、筋電成分比率が大きくなるため、筋電成分を精度よく求めることができる。このように、頸部から取得される筋電信号を利用し、かつ、その周波数解析結果(周波数スペクトル)から求められた筋電成分比率に基づいて疲労しているか否かを判定するようにしたため、ノイズに強く、疲労している否かをより安定的に、かつ精度よく検出することが可能となる。また、この場合、ネックバンド型の疲労検出装置1を頸部に装着するだけで、簡便に疲労を評価することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、筋電成分比率が基準値以上である状態の時間割合が所定割合以上になった場合、又は(及び)、筋電成分比率が基準値以上の状態が所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定される。よって、例えば、一時的な緊張状態にあるような場合(一時的に頸部に力が入ったとき)に疲労していると判定してしまうことを防止することができ、疲労検出の精度を向上させることが可能となる。
【0094】
本実施形態によれば、例えば、頸部を動かしている場合(すなわち、頸部を動かしたことにより筋電量が一時的に大きくなった場合や体動ノイズが大きい場合)には、疲労判定が停止されるため、体動に起因する誤検出を防止でき、より精度よく疲労を検出することが可能となる。
【0095】
本実施形態によれば、心電信号検出用の電極を専用に設けることなく、心電信号も同時に計測することができる。そのため、疲労の有無と併せて、例えば、心拍数や心拍間隔等の生体情報を同時に計測することが可能となる。
【0096】
本実施形態によれば、疲労状態であると判定された場合に、使用者に対して、疲労状態であることが、アラーム音や音声で知らされる(警告される)。そのため、使用者に疲労していることを知らせることができ、使用者が過度の疲労状態になることを予防することが可能となる。
【0097】
本実施形態によれば、使用者が疲労しているときに、頸部(首筋)が加温されるため、疲労を緩和/低減することが可能となる。また、その際に、本実施形態によれば、生体用電極15を介して使用者の頸部が加温されるため、別途、加温部を設ける必要がない。また、生体用電極15は使用者の頸部に接触しているため、確実に、かつ効率よく頸部を加温することが可能となる。
【0098】
(第2実施形態)
ところで、頸部で測定される生体信号(心電信号、筋電信号)の振幅には個人差がある。ここで、上述した第1実施形態に係る疲労検出装置1では、2つの(一対の)生体用電極15を有する構成としたが、判定精度をより向上させるために、3つ(二対)以上の生体用電極15を有する構成とすることも好ましい。
【0099】
そこで、次に、
図8を用いて、第2実施形態に係る疲労検出装置2について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同一・同様な構成については説明を簡略化又は省略し、異なる点を主に説明する。
図8は、疲労検出装置2の機能構成を示すブロック図である。なお、
図8において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0100】
疲労検出装置2は、3つの生体用電極15A,15B,15C、並びに生体信号増幅部311、信号処理部310を有している点、及び、周波数解析部331に代えて周波数解析部331Bを備えている点で、上述した第1実施形態に係る疲労検出装置1と異なっている。その他の構成は、上述した疲労検出装置1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0101】
3つの生体用電極15A,15B,15Cは、一つの共通電極15Aと、該共通電極15Aとそれぞれに対を成す2つの生体用電極15B,15Cとから構成されている。ここで、生体用電極15Bは、生体用電極15Cの近傍に配設することが好ましい。そして、共通電極15Aと生体用電極15Bとの組み合わせ、及び、共通電極15Aと生体用電極15Cとの組み合わせそれぞれにより、生体信号(筋電信号及び心電信号)が検出される。
【0102】
周波数解析部331Bは、共通電極15Aと生体用電極15Bとの組み合わせで検出された生体信号(筋電信号及び心電信号)と、共通電極15Aと生体用電極15Cとの組み合わせで検出された生体信号(筋電信号及び心電信号)とを比較し、より疲労判定処理に適した方(例えば振幅が大きい方)の生体信号(筋電信号及び心電信号)を選択して周波数解析を行う。筋電成分取得部332、疲労判定部333は、上述したものと同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0103】
本実施形態によれば、3つの生体用電極15A,15B,15Cを設けているため、生体用電極15A,15B,15Cを組み合わせて使用することにより、2つの生体信号のうち、処理により適した生体信号を選択して用いることができ、筋電成分の検出精度を向上させることが可能となる。また、一方の生体用電極対を用いてバックグランドノイズを検出し、該バックグランドノイズを除去することもできる。よって、疲労判定の精度をより向上することが可能となる。
【0104】
上記実施形態では、装着部材として、使用者の頸部の後ろ側から頸部を挟むように装着する略U字形のネックバンド13を用いたが、ネックバンド以外の形態を採用してもよい。
【0105】
そこで、次に、
図9及び
図10を併せて用いて、第3実施形態に係る疲労検出装置3について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同一・同様な構成については説明を簡略化又は省略し、異なる点を主に説明する。
図9は、疲労検出装置3の外観を示す斜視図である。また、
図10(a)は疲労検出装置の外観を示す上面図であり、(b)は疲労検出装置3の外観を示す底面図である。なお、
図9、
図10において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0106】
疲労検出装置3は、装着部材として、柔軟性を有し、略帯状に形成された装着本体部16と、該装着本体部16の裏面側の両端部に取り付けられた、粘着性を有する2つの粘着部17,17とを有している。
【0107】
各粘着部17は、粘着性に加えて導電性を有し、上述した生体用電極としても機能する(以下、粘着部17を「生体用電極17」ということもある)。粘着部(生体用電極)17としては、例えば生体用ゲル電極等が好適に用いられる。なお、粘着部17は、その一部のみが導電性を有する構成としてもよい。
【0108】
装着本体部16の表面側の中央部には、光電脈波センサ20、信号処理部31、無線通信モジュール60、及びバッテリ等が収納された検出本体部18が取り付けられている。ここで、一対の生体用電極17,17は、検出本体部18(信号処理部31)と電気的に接続されている。また、装着本体部16には、光電脈波センサ20と対応する位置に孔が形成されており、その孔に光電脈波センサ20が嵌め込まれるようにして取り付けられている。すなわち、装着本体部16(疲労検出装置3)が頸部に装着されたときに、光電脈波センサ20(発光素子201、受光素子202)が頸部皮膚に当接されるように取り付けられている。
【0109】
なお、本実施形態では、光電脈波センサ20を、粘着部17が取り付けられている領域外に配設した(
図10(b)参照)が、光電脈波センサ20を、粘着部17の取付領域内に配設してもよい。その際には、粘着部17に孔を形成し、その孔から光電脈波センサ20を突出させるように配設してもよいし、粘着部17に孔を形成する代わりに、粘着部17に光を透過する透明な粘着材を用い、その透明な粘着材を通して光電脈波信号を取得するようにしてもよい。なお、光電脈波センサ20、信号処理部31、無線通信モジュール60等の詳細については、上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0110】
本実施形態によれば、柔軟性を有し略帯状に形成された装着本体部16に粘着性を有する粘着部17が取り付けられているため、粘着部17の粘着性を利用して装着本体部16を頸部に貼り付ける(装着する)ことができる。また、粘着部17が導電性を有し生体用電極として機能するため、装着本体部16を頸部に貼り付ける(装着する)だけで、簡便に疲労を検出することができる。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、疲労検出装置1,2が、光電脈波センサ20を備えていたが、光電脈波センサ20を備えていない構成としてもよい。
【0112】
上記実施形態では、ネックバンド13の両端に一対のセンサ部11,12を取り付けたが、センサ部11,12は、必ずしもネックバンドの両端に取り付ける必要はない。また、ネックバンド13は、アジャスト機構などによってその長さを調節できるように構成してもよい。
【0113】
上記実施形態では、生体用電極15として導電布を用いたが、導電布に代えて、例えば、さびにくく、かつアレルギーの少ない金属(ステンレス、Au等)や、銀−塩化銀、導電ゴム等を用いてもよい。その際には、皮膚に接触する生体用電極の面積が大きくなるよう設計することが好ましい。
【0114】
上記実施形態では、生体用電極15の数が2つ又は3つの場合を例にして説明したが、生体用電極15の数は、4つ以上であってもよい。
【0115】
上記実施形態では、生体信号から取得された筋電成分比率に基づいて疲労状態を判定したが、筋電成分量に基づいて疲労状態を判定する構成とすることもできる。より具体的には、筋電成分取得部332が、周波数解析部331による周波数解析結果(周波数スペクトル)に対して、例えば30Hz以上50Hz以下の周波数帯域(すなわち、心電成分が少なく筋電成分が多い周波数帯域)の周波数スペクトルを積分して筋電成分量を求め、疲労判定部333が、求められた筋電成分量が基準値以上である場合に、疲労していると判定する構成としてもよい。なお、その際に、所定時間内における、筋電成分量が基準値以上の状態の時間の割合が、所定の割合以上になった場合、又は(及び)、筋電成分量が基準値以上の状態が、所定時間以上継続した場合に、疲労していると判定することが好ましい。このように、周波数解析結果(周波数スペクトル)から求められる筋電成分量に基づいて疲労状態を判定するようにしても、疲労している否かをより安定的に、かつ精度よく検出することができる。
【0116】
上記第3実施形態では、使用者の一方の頸部側方から他方の頸部側方まで、使用者の頸部後方に沿って疲労検出装置3を貼り付ける(装着する)構成としたが、例えば、一対の生体用電極17,17を近接して配置し、頸部の一方の側方又は後方のみに貼り付ける(装着する)構成としてもよい。
【0117】
上記実施形態では、使用者が疲労していると判定された場合に、頸部加温部80を用いて頸部(首周り)を温め、疲労を緩和/低減する構成としたが、頸部を温める頸部加温部80に代えて、例えば、頸部を冷やす頸部冷却手段や、頸部を押圧する(例えば、内蔵した袋をポンプで膨らませることで断続的に押圧を加える)頸部押圧手段等を用いて、疲労を緩和/低減する構成としてもよい。