(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体層の上部から前記半導体基板に亘って設けられ、かつ基準電位が印加される第2導電型の分離領域を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体集積回路。
前記第1ウエル領域には前記基準電位とは異なる第1電位が印加され、前記第2ウエル領域には前記基準電位及び前記第1電位とは異なる第2電位が印加されることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の半導体集積回路。
前記第1電位及び前記第2電位は、前記第1ウエル領域と前記第2ウエル領域との間のpn接合界面部が通常動作で逆バイアスされる電位であることを特徴とする請求項5に記載の半導体集積回路。
前記第1ウエル領域と前記電流抑制層との間の距離は、前記第1ウエル領域に第1電位を印加し、前記第2ウエル領域に前記第1電位とは異なる第2電位を印加したときに、前記半導体基板と前記第1ウエル領域とのpn接合界面部から広がる空乏層が前記電流抑制層から離間する距離になっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
前記第1及び第2能動素子の各々の第2主電極領域が接続されており、前記第1能動素子の第1主電極領域に前記第1電位が印加され、前記第2能動素子の第1主電極領域に前記第2電位が印加されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の半導体集積回路。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1乃至第4の実施形態に係る半導体集積回路について、図面を参照して詳細に説明する。
本明細書において、「第1主電極領域」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)においてはエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる半導体領域を、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)においてはアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。「第2主電極領域」とは、FETやSITにおいては上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を、IGBTにおいては上記第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる領域を、SIサイリスタやGTOにおいては上記第1主電極領域とはならないアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる領域を意味する。即ち、第1主電極領域がソース領域であれば、第2主電極領域はドレイン領域を意味し、第1主電極領域がエミッタ領域であれば、第2主電極領域はコレクタ領域を意味し、第1主電極領域がアノード領域であれば、第2主電極領域はカソード領域を意味する。以下の第1乃至第4の実施形態では、絶縁ゲート型電界効果トランジスタを用いたパワーICに着目して説明するので、ソース領域を「第1主電極領域」、ドレイン領域を「第2主電極領域」と呼ぶ。
【0012】
以下の第1乃至第4の実施形態の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。また、本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに上付き文字で付す+および−は、+および−の付記されていない半導体領域に比してそれぞれ相対的に不純物濃度が高いまたは低い半導体領域であることを意味する。更に、以下の説明において「上面」「下面」などの「上」「下」の定義は、図示した断面図上の単なる表現上の問題であって、例えば、半導体集積回路の方位を90°変えて観察すれば「上」「下」の呼称は、「左」「右」になり、180°変えて観察すれば「上」「下」の呼称の関係は逆になることは勿論である。
【0013】
なお、以下の第1乃至第4の実施形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、第1乃至第4の実施形態で説明される添付図面は、見易くまたは理解し易くするために正確なスケール、寸法比で描かれていない。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する第1乃至第4の実施形態の記載に限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、制御回路31、レベルシフト回路32、ハイサイド駆動回路33及びローサイド駆動回路(図示せず)などを備えたパワーICである。また、第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、駆動対象として、例えば電力変換用ブリッジ回路の一相分である電力変換部50を駆動する高耐圧のパワーICである。この第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、入力端子41から入力された信号に応じて、電力変換部50を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフして駆動する駆動信号を出力端子42から出力する。
【0015】
図1に示すように、電力変換部50は、高圧側スイッチング素子S1と、低圧側スイッチング素子S2とを直列に接続してハイサイド回路を構成している。高圧側スイッチング素子S1及び低圧側スイッチング素子S2は例えばIGBTなどの能動素子で構成されている。高圧側及び低圧側スイッチング素子S1,S2の各々には、還流ダイオードFWD1,FWD2が並列に逆接続されている。
【0016】
高圧側スイッチング素子S1及び低圧側スイッチング素子S2は、正極側である高圧の主電源HVと、この主電源HVの負極側であるグランド(GND)電位との間に直列で接続されている。第2電位としてのVS電位が印加されるVS端子43は、高圧側スイッチング素子S1と低圧側スイッチング素子S2との接続点51に接続される。この接続点51は、電力変換用ブリッジ回路の一相分である電力変換部50の出力点である。接続点51とGND電位との間には、低圧側スイッチング素子S2が接続される。接続点51には負荷57として例えばモータなどが接続される。
【0017】
半導体集積回路40の動作中、VS端子43に印加されるVS電位は、ハイサイド回路を構成する高圧側スイッチング素子S1と低圧側スイッチング素子S2とが相補にオン・オフされることによって、主電源HVの高電位側電位(例えば400V程度)と低電位側電位(GND電位)との間で上昇及び下降を繰り返し、0Vから数百Vまでの間で変動する。
【0018】
ハイサイド駆動回路33は、ゲート駆動回路34を備えている。ゲート駆動回路34は、能動素子である第1導電型チャネルの第1電界効果トランジスタとして例えばnチャネルMOSFET(以下、nMOSと呼ぶ)36と、能動素子である第2導電型チャネルの第2電界効果トランジスタとして例えばpチャネルMOSFET(以下、pMOSと呼ぶ)35とが相補うように直列に接続されたCMOS回路で構成されている。具体的には、pMOS35のソースはVB端子44に接続され、pMOS35のドレインはnMOS36のドレインに接続されている。nMOS36のソースはVS端子43に接続されている。
【0019】
ゲート駆動回路34は、VS端子43に印加されるVS電位を基準電位とし、VB端子44に印加される第1電位としてのVB電位を電源電位として動作し、レベルシフト回路32から受け取った信号を元に出力端子42から駆動信号を出力して高圧側スイッチング素子S1を駆動する。
制御回路31は、GND(グランド)端子46に印加されるGND電位を基準電位とし、VCC端子45に印加されるVCC電位を電源電位として動作し、高圧側スイッチング素子S1をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号、及び低圧側スイッチング素子をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号を生成する。GND電位は共通電位である。
【0020】
レベルシフト回路32は、制御回路31によって生成されたローサイドレベルのオン・オフ信号を、ハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換する。
第1の実施形態に係る半導体集積回路40では、高圧側スイッチング素子S1を駆動する場合、制御回路31によって高圧側スイッチング素子S1をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号が生成される。このローサイドレベルのオン・オフ信号は、レベルシフト回路32によりハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換された後、ハイサイド駆動回路33に入力される。
【0021】
制御回路31からハイサイド駆動回路33に入力されたオン・オフ信号は、ゲート駆動回路34を介して高圧側スイッチング素子S1のゲートに入力される。高圧側スイッチング素子S1は、制御回路31からのオン・オフ信号に基づいてオン・オフされる。
VCC端子45とVB端子44との間には外付け素子としてのブートストラップダイオード55が接続される。また、VB端子44とVS端子43との間には外付け素子としてのブートストラップコンデンサ56が接続される。これらのブートストラップダイオード55及びブートストラップコンデンサ56は、高圧側スイッチング素子S1の駆動電源を生成する。
【0022】
VB電位は半導体集積回路40に印加される最高電位であり、ノイズの影響を受けていない通常状態では、ブートストラップコンデンサ56でVS電位よりも15V程度高く保たれている。VS電位は、電力変換用ブリッジ回路の高圧側スイッチング素子S1と低圧側スイッチング素子S2との接続点(出力ノード部)51の電位であり、電力変換の過程で0Vから数百Vの間で変化し、マイナスの電位になる場合もある。
【0023】
次に、第1の実施形態に係る半導体集積回路40の具体的な構造について説明する。
図2及び
図3に示すように、第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、第2導電型(p
−型)の半導体基板1に自己分離型ICプロセスによって作製された素子分離構造によってパワーICを構成している。半導体基板1は例えば比抵抗が100Ωcm程度以上の単結晶シリコン基板で構成されている。
【0024】
図3に示すように、半導体基板1の主面側である上面側の上部(表層部)には第1導電型(n型)の第1ウエル領域2が選択的に設けられ、この第1ウエル領域2の上部には第2導電型(p
−型)の第2ウエル領域3が選択的に設けられている。また、半導体基板1の上部には第1導電型(n
−型)の耐圧領域(ウエル領域)4及び第2導電型(p
−型)の分離領域(ウエル領域)5が選択的に設けられている。第1及び第2ウエル領域2,3の各々は、半導体基板1のハイサイド駆動回路形成領域1Aに設けられている。第1ウエル領域2は、例えば1×10
14〜1×10
17/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。第2ウエル領域3は、例えば1×10
14〜1×10
18/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、第1ウエル領域2は、耐圧領域4で周囲を囲まれ、かつ耐圧領域4と接している。耐圧領域4は、分離領域5で周囲を囲まれ、かつ分離領域5と接している。すなわち、耐圧領域4は、第1ウエル領域2と分離領域5との間に設けられ、第1ウエル領域2及び分離領域5の各々と接している。耐圧領域4は、第1ウエル領域2よりも低い不純物濃度で形成されている。分離領域5は、半導体基板1よりも高い不純物濃度で形成されている。
【0026】
図3に示すように、pMOS35は、第1ウエル領域2の上部に構成された能動素子である。nMOS36は、第2ウエル領域3の上部に構成された能動素子である。第1ウエル領域2は半導体基板1からpMOS35を電気的に分離する分離領域であり、第2ウエル領域3は第1ウエル領域2からnMOS36を電気的に分離する分離領域である。
pMOS35は、第1ウエル領域2からなるチャネル形成領域と、半導体基板1の上面であって第1ウエル領域2の表面に選択的に設けられたゲート絶縁膜16と、チャネル形成領域上にゲート絶縁膜16を介して設けられたゲート電極18とを有している。また、pMOS35は、第1ウエル領域2の上部に選択的に設けられた第2導電型(p
+型)の第1主電極領域(ソース領域)12と、第1ウエル領域2の上部にチャネル形成領域を挟んで第1主電極領域12から離間するように選択的に設けられた第2導電型(p
+型)の第2主電極領域(ドレイン領域)13とを有している。
【0027】
nMOS36は、第2ウエル領域3からなるチャネル形成領域と、半導体基板1の上面であって第2ウエル領域3の表面に選択的に設けられたゲート絶縁膜15と、チャネル形成領域上にゲート絶縁膜15を介して設けられたゲート電極17とを有している。また、nMOS36は、第2ウエル領域3の上部に選択的に設けられた第1導電型(n
+型)の第1主電極領域(ソース領域)6と、第2ウエル領域3の上部にチャネル形成領域を挟んで第1主電極領域6から離間するように選択的に設けられた第1導電型(n
+型)の第2主電極領域(ドレイン領域)7とを有している。
【0028】
ゲート絶縁膜15及び16の各々は、例えば二酸化シリコン膜で形成されている。ゲート電極17及び18の各々は、例えば抵抗値を低減する不純物が導入された多結晶シリコン膜で形成されている。pMOS35の第1及び第2主電極領域12,13の各々は、第1ウエル領域2よりも高い不純物濃度で形成されている。nMOS36の第1及び第2主電極領域6,7の各々は、第2ウエル領域3よりも高い不純物濃度で形成されている。
【0029】
なお、二酸化シリコン膜としては、熱酸化法で形成する熱酸化膜や化学的気相堆積(CVD)法で形成する堆積酸化膜があるが、MOSFETにおいては緻密にすぐれた熱酸化膜をゲート絶縁膜15,16として用いることが好ましい。第1の実施形態では、ゲート絶縁膜15,16が二酸化シリコン膜からなるMOSFETを用いた場合で説明しているが、トランジスタとしては、ゲート絶縁膜が窒化シリコン膜、或いは窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜などの積層膜で形成されたMISFETでも構わない。
【0030】
図3に示すように、第1ウエル領域2の上部には、この第1ウエル領域2よりも不純物濃度が高い第1導電型(n
+型)の第1コンタクト領域8が選択的に設けられている。第1ウエル領域2及び耐圧領域4の上部には、この第1ウエル領域2及び耐圧領域4に亘って第1導電型(n
+型)の第3コンタクト領域9が選択的に設けられている。この第3コンタクト領域9は第1ウエル領域2及び耐圧領域4よりも高い不純物濃度で形成されている。第2ウエル領域3の上部には、この第2ウエル領域3よりも不純物濃度が高い第2導電型(p
+型)の第2コンタクト領域14が選択的に設けられている。
【0031】
図3に示すように、半導体基板1の上面上には、ゲート電極17及び18を覆うようにして層間絶縁膜20が設けられている。この層間絶縁膜20上には、接地電極5a,ソース電極6a,ドレイン電極7a,第1コンタクト電極8a,第3コンタクト電極9a,ソース電極12a,ドレイン電極13a,第2コンタクト電極14aの各々が設けられている。これらの電極5a,6a,7a,8a,9a,12a,13a及び14aは、例えばアルミニウム膜で形成されている。
【0032】
図3に示すように、接地電極5aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ5bを介して分離領域5と電気的に接続されている。ソース電極6aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ6bを介して第1主電極領域(ソース領域)6と電気的に接続されている。ドレイン電極7aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ7bを介して第2主電極領域(ドレイン領域)7と電気的に接続されている。
【0033】
図3に示すように、第1コンタクト電極8aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ8bを介して第1コンタクト領域8と電気的に接続されている。第3コンタクト電極9aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ9bを介して第3コンタクト領域9と電気的に接続されている。
図3に示すように、ソース電極12aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ12bを介して第1主電極領域(ソース領域)12と電気的に接続されている。ドレイン電極13aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ13bを介して第2主電極領域(ドレイン領域)13と電気的に接続されている。第2コンタクト電極14aは、層間絶縁膜20に埋め込まれた導電性プラグ14bを介して第2コンタクト領域14と電気的に接続されている。
【0034】
図1及び
図3から分かるように、接地電極5aは、
図1に示すGND端子46と電気的に接続され、このGND端子46を介してGND電位が印加される。ソース電極6a及び第2コンタクト電極14aは、
図1に示すVS端子43と電気的に接続され、このVS端子43を介してVS電位が印加される。第1コンタクト電極8a、第3コンタクト電極9a、ソース電極12aは、
図1に示すVB端子44と電気的に接続され、このVB端子44を介してVB電位が印加される。
【0035】
すなわち、分離領域5には基準電位としてのGND電位が印加される。また、第1ウエル領域2及び耐圧領域4には、第1ウエル領域2及び耐圧領域4に亘って設けられた第3コンタクト領域9、及び第1ウエル領域2の内部に設けられた第1コンタクト領域8を介して、GND電位とは異なる第1電位としてのVB電位が印加される。また、第2ウエル領域3には、第2コンタクト領域14を介して、GND電位及びVB電位とは異なる第2電位としてのVS電位が印加される。また、pMOS35の第1主電極領域12にはVB電位が印加され、nMOS36の第1主電極領域6にはVS電位が印加される。
【0036】
図2に示すように、第1コンタクト領域8は、平面形状がL字形で形成され、pMOS35のゲート幅方向(ゲート電極18の長手方向)に沿って伸びる第1部分がpMOS35の第1主電極領域(ソース領域)12と接触し、この第1部分からpMOS35のゲート長方向(ゲート電極18の幅方向)に沿って伸びる第2部分がpMOS35の第1主電極領域12及び第2主電極領域13から離間するようにして配置されている。
【0037】
図2に示すように、第2コンタクト領域14は、平面形状がコの字形で形成され、nMOS36を囲むようにして配置されている。第2コンタクト領域14は、nMOS36のゲート幅方向(ゲート電極17の長手方向)に沿って伸びる第1部分がnMOS36の第1主電極領域(ソース領域)6と接触し、この第1部分からnMOS36のゲート長方向(ゲート電極17の幅方向)に沿って伸びる第2部分及びこの第2部分からnMOS36のゲート幅方向に沿って伸びる第3部分がnMOS36の第1主電極領域6及び第2主電極領域7から離間するようにして配置されている。
【0038】
第3コンタクト領域9は、pMOS35及びnMOS36の周囲を囲むようにして環状に延伸するリング状平面パターンで構成されている。
図3に示すように、半導体基板1の主面とは反対側の裏面である下面側の下部には、第1ウエル領域2から離間して第1導電型(n
+型)の電流抑制層21が設けられている。この電流抑制層21は、詳細に図示していないが、半導体基板1の下面の全面に設けられており、第1ウエル領域2の底面全体と対向している。すなわち、第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、第1ウエル領域2の直下の半導体基板1の下部に第1ウエル領域2から離間して設けられた電流抑制層21を備えている。したがって、第1ウエル領域2と半導体基板1の下面との間には半導体基板1と電流抑制層21とのpn接合界面部の電位差による電位障壁が存在している。また、このpn接合界面部には拡散電位があり、バイアスを掛けていない状態でも電流抑制層21が第1ウエル領域2と電流抑制層21との間の領域(半導体基板1)の基板電位よりも0.6V(シリコンのpn接合界面の拡散電位)程度高い電位になっている。電流抑制層21は、半導体基板1よりも高い不純物濃度で形成され、例えば1×10
14〜1×10
21/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。電流抑制層21は、耐圧領域4及び分離領域5からも離間している。
【0039】
第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、
図6に示すように、半導体チップ30として配線基板70に実装される。配線基板70は、例えばセラミックスなどの絶縁性材料からなるコア材71の上面に導電性の金属材料からなるダイパッド72及びワイヤ接続部73が配置されている。ダイパッド72及びワイヤ接続部73は互いに一体に形成され、電気的に接続されている。また、コア材71の上面には絶縁性の材料からなる保護膜74が設けられており、この保護膜74に設けられた開口部からダイパッド72及びワイヤ接続部73がそれぞれ露出している。
【0040】
半導体チップ30は、半導体基板1の下面とダイパッド72の上面との間に例えば導電性の銀ペーストからなる接着材80を介してダイパッド72に接着固定される。半導体チップ30の上面にはGND端子46が設けられており、このGND端子46はボンディングワイヤ81を介してワイヤ接続部73と電気的に接続される。
図6には図示していないが、ダイパッド72及びワイヤ接続部73にはGND電位が印加される。この場合、半導体基板1の下面にはGND電位が印加されるので、電流抑制層21もGND電位が印加される。この基板下面のGND電位印加は、配線基板70に半導体チップ30を実装した後、半導体チップ30が浮遊容量として他の半導体チップや回路に影響しないようにすることや、半導体チップ30での電源電位を安定化させるなどの目的で実施される。
【0041】
第1電位であるVB電位及び第2電位であるVS電位は、第1ウエル領域2と第2ウエル領域3との間のpn接合界面部が半導体集積回路40の通常動作で逆方向にバイアスされる電位である。
第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、自己分離型ICプロセスが用いられている。自己分離型ICプロセスによって作製された半導体集積回路40では、
図3に示すように、ハイサイド駆動回路形成領域1Aに、p
−型の第2ウエル領域3、n型の第1ウエル領域2、p
−型の半導体基板1からなる寄生pnpバイポーラトランジスタ29が形成される。この寄生pnpバイポーラトランジスタ29のベース、エミッタ、コレクタは、VB端子44、VS端子43、GND端子46に夫々接続された状態となる。
【0042】
半導体集積回路40の通常動作では、電源電位であるVB電位は中間電位であるVS電位よりも高いため、寄生pnpバイポーラトランジスタ29は動作しない。しかしながら、負電圧サージによりVB電位がVS電位よりもシリコンのpn接合界面部の拡散電位である0.6V以上低下した場合、すなわちVB電位<(VS電位−0.6[V])の電位関係になった場合、寄生pnpバイポーラトランジスタ29がオン状態となる。このとき、
図3を参照して説明すると、従来の半導体集積回路(高耐圧IC)では、半導体基板1の下面がGND電位の印加により電位固定された場合、ハイサイド回路側の高電圧(HVの高電位側電位)が印加されたVS端子43とGND端子46との間、すなわち第2ウエル領域3から半導体基板1の下面に至る電流経路に大電流が流れるため、大電流による発熱によって半導体集積回路40に誤動作や動作不良が生じ、信頼性低下の要因となる。
【0043】
ここで、第2ウエル領域3から半導体基板1の下面に至る電流経路に大電流が流れる理由を詳しく説明すると、基板縦方向の寄生pnpバイポーラトランジスタ29は面積が大きく、第2ウエル領域3から半導体基板1の下面に至る電流経路の面積も大きいため大電流が流れる。
また、VB電位<(VS電位−0.6[V])の電位関係になる理由を詳しく説明すると、
図1に示すように、半導体集積回路40で電力変換部50を駆動する場合、例えばVB端子44とVS端子43との間に外付素子としてのブートストラップコンデンサ56が接続される。このブートストラップコンデンサ56に充電された電荷でVB端子44に印加されるVB電位とVS端子43に印加されるVS電位との電位差(VB−VS間電圧)を保っている。VB端子44には、ブートストラップダイオード55、その他の配線などが接続される。また、VS端子43には、負荷57、その他の配線などが接続される。
【0044】
VB端子44とVS端子43とでは接続される物が異なり、VB端子44とVS端子43とでは付加される寄生容量が異なるため、VB電位が変動した場合にVS電位が十分に追従できない場合がある。そのため、負電圧サージによりVB電位が変動した際、VB電位とVS電位との電位差を保持できない場合がある。したがって、VB電位とVS電位の変動の違いが大きい場合にVB電位<(VS電位−0.6[V])となることがある。
【0045】
これに対し、第1の実施形態に係る半導体集積回路40は、
図3に示すように、第1ウエル領域2の直下の半導体基板1の下部に、第1ウエル領域2から離間して設けられた電流抑制層21を備えている。したがって、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の基板縦方向の電流経路(第2ウエル領域3から半導体基板1の下面に至る電流経路)に電流抑制層21による電位障壁が存在し、寄生pnpバイポーラトランジスタ29のコレクタが半導体基板1の下面に直接つながらないので、基板縦方向の電流経路を流れる電流、換言すればキャリアの移動を抑制することができる。このため、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の電流増幅率H
FEを下げることができるので、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。この結果、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作に起因して大電流が流れることによる発熱によって半導体集積回路40に生じる誤動作や動作不良を防止することができるので、第1の実施形態に係る半導体集積回路の信頼性向上を図ることができる。
【0046】
半導体集積回路40の通常動作では、
図4に示すように、p
−型の半導体基板1及びp
−型の分離領域5と、n型の第1ウエル領域2及びn
−型の耐圧領域4とのpn接合界面部で空乏層10が生じる。この空乏層10が電流抑制層21に接触すると耐圧劣化の要因となる。したがって、第1の実施形態に係る半導体集積回路40において、半導体基板1の厚さd
subは、空乏層10が電流抑制層21に接触しない厚さ、換言すれば空乏層10が電流抑制層21から離間する厚さになっている。
【0047】
図5は、第1の実施形態に係る半導体集積回路40の空乏層シミュレーション結果の一例を示す図である。
図5のデータは、
図4を参照すると、第1ウエル領域2と半導体基板1とのpn接合界面部が逆方向にバイアスされるように電位を印加した際、その第1ウエル領域2と半導体基板1とのpn接合界面部から半導体基板1側に広がる(伸びる)空乏層の長さd
depを計算したデータである。また、データの計算では、半導体基板1の比抵抗として例えば350Ωcmの値を使用し、第1ウエル領域2の不純物濃度として例えば2×10
16cm
3の値を使用した。
【0048】
半導体集積回路40では、耐圧仕様として主に600V仕様と1200V仕様とがある。
図5に示すように、VS電位が600Vでの空乏層10の長さd
depは約150μm程度であり、VS電位が1200Vでの空乏層10の長さd
depは約200μm程度である。また、電流抑制層21の深さは約0.5μm程度から約20μm程度である。第1ウエル領域2の深さは約10μm程度であるので、この第1ウエル領域2の深さを考慮し、空乏層10が電流抑制層21から離間するように半導体基板1の上面から電流抑制層21までの厚さd
subを設定する。600V仕様の場合は半導体基板1の厚さd
subを160μm程度以上とすることが好ましい。また、1200V仕様の場合は半導体基板1の厚さd
subを210μm程度以上とすることが好ましい。
【0049】
また、別な表現をすると、第1ウエル領域2の底面と電流抑制層21との間の距離L
1を、600V仕様の場合は約150μm程度以上とし、1200V仕様の場合は約200μm程度以上とすることが好ましい。
負電圧サージによりVB電位がVS電位よりも0.6V以上低下した場合、寄生pnpバイポーラトランジスタ29のコレクタ電流は、第1ウエル領域2の底面から半導体基板1を介して分離領域5に至る電流経路を流れ、GND電位が印加される接地電極5aに引き抜かれる。この電流経路は、第1ウエル領域2と分離領域5との間の耐圧領域4の幅W
nを広くすることで抵抗成分を高くすることができるので、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の電流増幅率H
FEを下げることが可能となり、寄生pnpバイポーラトランジスタの動作を抑制することができる。耐圧領域4の幅W
nは、耐圧を確保するため、通常、600V仕様で約100μm程度、1200V仕様で約200μm程度になっている。この耐圧領域4の幅W
nであれば、第1ウエル領域2の底面から半導体基板1を介して耐圧領域4に至る電流経路の抵抗成分が高いため、接地電極5aに寄生pnpバイポーラトランジスタ29のコレクタ電流が大電流となって流れることはない。
【0050】
なお、第1の実施形態では、半導体基板1の下面の全面に電流抑制層21を設けた場合について説明したが、電流抑制層21は、半導体基板1の下面に、少なくとも第1ウエル領域2と対向するようにして選択的に設けてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aは、第1の実施形態に係る半導体集積回路40とほぼ同様の構成になっているが、半導体基板の構成が異なっている。
すなわち、第1の実施形態に係る半導体集積回路40では、
図3に示すように、p
−型の半導体基板1を用いた。これに対し、第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aでは、
図7に示すように、第2導電型(p
−型)の半導体基板1a上に例えばエピタキシャル成長により第1導電型(n
−型)の半導体層1bが設けられた半導体基体23を用いている。この半導体基体23のハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、半導体基板1aと半導体層1bとの間には、半導体基板1a及び半導体層1bよりも不純物濃度が高い第1導電型(n
+型)の埋込領域22が設けられている。
【0052】
第1ウエル領域2及び分離領域5は、半導体層1bに設けられている。第1ウエル領域2は、埋込領域22上の半導体層1bにこの埋込領域22と接するようにして設けられている。分離領域5は半導体基板1aに到達する深さで形成されている。また、電流抑制層21は、第1ウエル領域2の直下の半導体基板1aの下部に、第1ウエル領域2及び埋込領域22から離間して設けられている。第1の実施形態では、
図3に示すように、第1ウエル領域2と分離領域5との間に耐圧領域4を設けた構成になっているが、第2の実施形態では、
図7に示すように、第1ウエル領域2と分離領域5との間に
図3の耐圧領域4に代えて半導体層1bを設けた構成になっている。したがって、n
+型の第3コンタクト領域9は、第1ウエル領域2及び半導体層1bの各々の上部に、この第1ウエル領域2及び半導体層1bに亘って設けられている。この他の構成は、第1の実施形態と同様になっている。
【0053】
第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aは、ハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、第1ウエル領域2と接するようにして半導体基板1aと半導体層1bとの間に設けられた高濃度の埋込領域22を備えている。したがって、寄生pnpバイポーラトランジスタ29のベース濃度が高くなり、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の電流増幅率H
FEを下げることができるので、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。
【0054】
更に、第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aは、第1の実施形態と同様に、ハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、第1ウエル領域2の直下の半導体基板1aの下部に第1ウエル領域2及び埋込領域22から離間して設けられた電流抑制層21を備えている。したがって、第1の実施形態と同様に、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。この結果、第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aは、第1の実施形態と比較して、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を更に抑制することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路40Bは、第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aとほぼ同様の構成になっているが、半導体基体の構成が異なっている。
すなわち、第2の実施形態に係る半導体集積回路40Aでは、
図7に示すように、p
−型の半導体基板1a上にn
−型の半導体層1bが設けられた半導体基体23を用いた。これに対し、第3の実施形態に係る半導体集積回路40Bでは、
図8に示すように、第2導電型(p
−型)の半導体基板1a上に第2導電型(p
−型)の半導体層1cが設けられた半導体基体24を用いている。この半導体基体24のハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、半導体基板1aと半導体層1cとの間には、半導体基板1a及び半導体層1cよりも不純物濃度が高い第1導電型(n
+型)の埋込領域22が設けられている。
【0056】
分離領域5は半導体基板1aに到達する深さで半導体層1cに設けられている。半導体層1cには第1導電型(n
−型)の第3ウエル領域25が設けられている。第1ウエル領域2は、第3ウエル領域25の内部に設けられている。また、第1ウエル領域2は、第3ウエル領域25の内部において、埋込領域22上にこの埋込領域22と接するようにして設けられている。第2の実施形態では、
図7に示すように、第1ウエル領域2と分離領域5との間に半導体層1bを設けた構成になっているが、第3の実施形態では、
図8に示すように、第1ウエル領域2と分離領域5との間に
図7に示す半導体層1bに代えて第3ウエル領域25を設けた構成になっている。したがって、n
+型の第3コンタクト領域9は、第1ウエル領域2及び第3ウエル領域25の各々の上部にこの第1ウエル領域2及び第3ウエル領域25に亘って設けられている。この他の構成は、第2の実施形態と同様になっている。
【0057】
第3の実施形態に係る半導体集積回路40Bは、ハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、第1ウエル領域2と接するようにして半導体基板1aと半導体層1cとの間に設けられた高濃度の埋込領域22を備えている。したがって、寄生pnpバイポーラトランジスタ29のベース濃度が高くなり、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の電流増幅率H
FEを下げることができるので、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。
【0058】
更に、第3の実施形態に係る半導体集積回路40Bは、第1の実施形態と同様に、ハイサイド駆動回路形成領域1Aにおいて、第1ウエル領域2の直下の半導体基板1aの下部に第1ウエル領域2及び埋込領域22から離間して設けられた電流抑制層21を備えている。したがって、第1の実施形態と同様に、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。この結果、第3の実施形態に係る半導体集積回路40Bは、第2実施形態と同様に第1の実施形態と比較して、寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を更に抑制することができる。
(第4の実施形態)
図9に示すように、本発明の第4の実施形態に係る半導体集積回路40Cは、制御回路31、レベルシフト回路32、駆動回路33a等を備えたパワーICである。この半導体集積回路40Cは、
図9に示すように、駆動対象として、例えば降圧コンバータ60のスイッチング素子S3を駆動する。降圧コンバータ60は、
図10に示すように、ダイオード61、キャパシタ62、コイル63及びスイッチング素子S3等で構成されている。スイッチング素子S3は例えばIGBT等の能動素子で構成されている。
【0059】
駆動回路33aは、ゲート駆動回路34aを備えている。このゲート駆動回路34aは、第1の実施形態のゲート駆動回路34と同様の構成になっている。具体的には、pMOS35のソースはVB端子44に接続され、pMOS35のドレインはnMOS36のドレインに接続されている。nMOS36のソースはVS端子43に接続されている。pMOS35とnMOS36との接続点には、降圧コンバータ60を構成するスイッチング素子S3のゲートが接続される。
【0060】
ゲート駆動回路34aは、VS端子43に印加される第2電位としてのVS電位を基準電位とし、VB端子44に印加される第1電位としてのVB電位を電源電位として動作し、レベルシフト回路32から受け取った信号を元に出力端子42から駆動信号を出力して降圧コンバータ60のスイッチング素子S3を駆動する。
このように降圧コンバータ60のスイッチング素子S3を駆動する第4の実施形態4に係る半導体集積回路40Cにおいても、第1の実施形態と同様に、
図3を参照して説明すれば、p
−型の第2ウエル領域3、n
−型の第1ウエル領域2、p
−型の半導体基板1からなる寄生pnpバイポーラトランジスタ29の動作を抑制することができる。
【0061】
なお、第4の実施形態では、降圧コンバータ60のスイッチング素子S3を駆動する半導体集積回路について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、昇降コンバータ、フライバックコンバータ、フォワードコンバータなどのスイッチング素子を駆動する半導体集積回路に適用できる。
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0062】
以上のように、本発明に係る半導体集積回路は、信頼性向上を図ることができ、スイッチング素子を駆動する駆動回路を備えた電力用集積回路装置(パワーIC)に有用である。