特許第6226208号(P6226208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6226208-四塩化チタンの精製処理方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226208
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】四塩化チタンの精製処理方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/02 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   C01G23/02 E
【請求項の数】42
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-507080(P2015-507080)
(86)(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公表番号】特表2015-514671(P2015-514671A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013036544
(87)【国際公開番号】WO2013158525
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】61/636,156
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510055149
【氏名又は名称】クリスタル ユーエスエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デレツキ、ベラ
(72)【発明者】
【氏名】ファインズ、アレクサンドル、ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンタイン、アラステア
【審査官】 延平 修一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−264327(JP,A)
【文献】 米国特許第02207597(US,A)
【文献】 特開昭48−078092(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0179427(US,A1)
【文献】 特開平04−029794(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0228292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 1/00 − 23/08
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アルミノケイ酸塩吸着剤材料を、液体の無水四塩化チタンおよび少なくとも1つの不純物を含む原材料に接触させることにより生成物流を形成する段階と、
b)前記少なくとも1つの不純物が吸着された前記吸着剤材料から前記生成物流を回収する段階と、
を備え、
前記アルミノケイ酸塩はフォージャサイト型ゼオライトであり、
前記少なくとも1つの不純物は、スズ、ヒ素、アンチモン、ジルコニウムの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を含む、四塩化チタンの精製処理方法
【請求項2】
前記少なくとも1つの不純物は、0.1から10,000ppmwまでの範囲で前記原材料中に存在する請求項1に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項3】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の80重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項4】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の50重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項5】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の20重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項6】
前記少なくとも1つの不純物は、5ら1000ppmwまでの範囲で前記原材料中に存在する請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項7】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の80重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項8】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の50重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項9】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記少なくとも1つの不純物の20重量%未満を含む請求項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項10】
前記少なくとも1つの不純物は、スズの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1から請求項のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項11】
前記原材料は、結合したスズの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、1ら500ppmwまでの範囲で含む請求項10に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項12】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記スズの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の20重量%未満を含む請求項11に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項13】
前記原材料は、結合したスズの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、1ら200ppmwまでの範囲で含む請求項11に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項14】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記スズの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の10重量%未満を含む請求項13に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項15】
前記少なくとも1つの不純物は、ヒ素の塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項16】
前記原材料は、結合したヒ素の塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から200ppmwまでの範囲で含む請求項15に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項17】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記ヒ素の塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の20重量%未満を含む請求項16に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項18】
前記原材料は、結合したヒ素の塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から20ppmwまでの範囲で含む請求項16に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項19】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記ヒ素の塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の10重量%未満を含む請求項18に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項20】
前記少なくとも1つの不純物は、アンチモンの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項21】
前記原材料は、結合したアンチモンの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から200ppmwまでの範囲で含む請求項20に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項22】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記アンチモンの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の20重量%未満を含む請求項21に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項23】
前記原材料は、結合したアンチモンの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から20ppmwまでの範囲で含む請求項21に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項24】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記アンチモンの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の10重量%未満を含む請求項23に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項25】
前記少なくとも1つの不純物は、ジルコニウムの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項26】
前記原材料は、結合したジルコニウムの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から100ppmwまでの範囲で含む請求項25に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項27】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記ジルコニウムの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の20重量%未満を含む請求項26に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項28】
前記原材料は、結合したジルコニウムの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方を、0.1から10ppmwまでの範囲で含む請求項26に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項29】
前記生成物流は、前記原材料中に含有される前記ジルコニウムの塩化物および酸塩化物の少なくとも一方の10重量%未満を含む請求項28に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項30】
前記アルミノケイ酸塩は、200m/gよりも大きな表面積を有する請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項31】
前記アルミノケイ酸塩は、600m/gよりも大きな表面積を有する請求項30に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項32】
前記アルミノケイ酸塩は、4.5から9.5Åまでの範囲の平均チャネルサイズを有する請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項33】
前記アルミノケイ酸塩は、6.5から7.5Åまでの範囲の平均チャネルサイズを有する請求項32に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項34】
前記アルミノケイ酸塩は、0.02から0.2重量%までの範囲のアルカリ含有量を有する請求項1から請求項33のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項35】
前記アルミノケイ酸塩は、0.025から0.04重量%までの範囲のアルカリ含有量を有する請求項34に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項36】
前記アルミノケイ酸塩は、30から100までの範囲のアルミナに対するシリカの比率を有する請求項1から請求項35のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項37】
前記アルミノケイ酸塩は、60から85までの範囲のアルミナに対するシリカの比率を有する請求項36に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項38】
前記原材料は、単独の容器中で前記アルミノケイ酸塩と接触され、前記アルミノケイ酸塩は、消費されると前記容器から除去されて処分される請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項39】
前記原材料は、前記アルミノケイ酸塩が消費されて消費されたアルミノケイ酸塩を形成するまで単独の容器中で前記アルミノケイ酸塩と接触され、消費されると直ちに、前記消費されたアルミノケイ酸塩が再生されてその後前記原材料と接触される再生アルミノケイ酸塩を形成する間、前記生成物流を形成する段階における前記原材料の前記接触が停止される請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項40】
前記原材料は、複数の容器を有するシステム中にて前記アルミノケイ酸塩と接触され、消費されると前記複数の容器のそれぞれにおいて前記アルミノケイ酸塩が再生される前記複数の容器へと、前記原材料が順次充填される請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項41】
前記原材料は、酸化チタン、酸化鉄、および前記少なくとも1つの不純物を少なくとも3重量%含むチタン鉱の塩素化により得られる請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【請求項42】
i)前記不純物または複数の不純物の幾何学的サイズ、ii)前記アルミノケイ酸塩の材料のチャネルサイズ、および、iii)極性、表面積、アルカリ含有量、アルミナに対するシリカの比率、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される前記アルミノケイ酸塩の材料の少なくとも1つの特性に基づいて、前記複数の不純物の特定の1つまたは前記複数の不純物の特定の群を除去するために、前記アルミノケイ酸塩の材料が選択される請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の四塩化チタンの精製処理方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、四塩化チタンを精製するための処理およびシステムに関する。より具体的に言うと、本発明は、アルミノケイ酸塩吸着剤を用いて四塩化チタンから塩化物または酸塩化物金属汚染物質を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
四塩化チタン(TiCl)は、チタンを含む鉱石の塩素化により生成される。高純度のTiClを製造することは、高純度チタン鉱の供給量が限定されており、その結果コストが高いため、ますます困難だがやりがいのあることになってきている。より低コスト且つより豊富に存在する、よりグレードの低い鉱石を使用することが好ましいであろうが、そのようなもので同じ純度のTiClを製造するためには、より大規模な蒸留のように、追加の段階またはユニット操作が必要となるであろう。この精製処理を、単純で低コストに維持することが一般的に望ましい。
【0003】
よりグレードの低い鉱石から生成される、よりグレードの低い(商用の)TiClの精製に対しては、SnClおよびSnCl(塩化スズ)のような腐食性の金属塩化物または酸塩化物を除去する必要もある。
【0004】
一般的な技術は、汚染物質を除去するために活性炭のような高表面積の吸着剤を使用することを教示している。しかし、活性炭を用いても塩化スズは効果的には除去されないことがわかってきた。
【0005】
従って、金属塩化物および酸塩化物汚染物質を除去するための、グレードの高い、あるいは商用グレードのTiClの精製用であり、また、懸念される特定の汚染物質の除去用に調整されることのできる、改良された処理およびシステムに対する必要性は残っている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によれば、次の段階を備える四塩化チタンの精製処理が提供される。
a)四塩化チタンと少なくとも1つの不純物を含む原材料をアルミノケイ酸塩の材料と接触させることにより、生成物流を形成する段階。ここで、少なくとも1つの不純物は、硫化カルボニル、二酸化硫黄、ホスゲン、硫化水素、二硫化炭素、および、ポスト遷移金属、半金属、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、クロム、銅、炭素、マンガン、バナジウム、ニッケルの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を含む。
b)生成物流を回収する段階。任意で、アルミノケイ酸塩の材料は、消費されると、原材料からの不純物の除去にさらに使用するために再生されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】様々なゼオライトおよび不純物に対する、TiClからの不純物除去%を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において有用なチタンを含む鉱石は、塩素化されて十分な量のTiClを生成することのできる任意のチタンを含む鉱石であってよい。
【0009】
四塩化チタンと少なくとも1つの不純物とを含む原材料が、好ましくは接触用容器内において、アルミノケイ酸塩の材料と接触され、これにより、生成物流を形成することができる。少なくとも1つの不純物は、チタンを含む鉱石の塩素化から得られる四塩化チタン流中に一般に存在する任意の不純物であってよい。より具体的に言えば、少なくとも1つの不純物は、硫化カルボニル、二酸化硫黄、ホスゲン、硫化水素、二硫化炭素、および、ポスト遷移金属、半金属、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、クロム、銅、炭素、マンガン、バナジウム、ニッケル、トリウム、ウランの塩化物および酸塩化物、および、これらの組み合わせから成る群から選択される化合物を含む。次いで生成物流が接触用容器から回収される。
【0010】
原材料は、蒸気、または液体、あるいはこれら2つの混合物であってよい。1つの実施形態によれば、アルミノケイ酸塩と接触される際に、四塩化チタンは無水物である。別の実施形態によれば、アルミノケイ酸塩と接触される際に、四塩化チタンは水溶液中にある。
【0011】
ポスト遷移金属は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛、ビスマス、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてよい。また、半金属は、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてよい。
【0012】
そのような不純物は、約0.1から約10,000ppmwまで、または、約5から約1000ppmwまでの範囲で原材料中に存在してよい。
【0013】
その結果生じる生成物流は、原材料中に含有される不純物の約80重量%未満、または約50重量%未満、または約20重量%未満を含んでよい。
【0014】
より具体的に言えば、少なくとも1つの不純物は、スズ、ヒ素、アンチモン、ジルコニウムの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてよい。
【0015】
原材料は、約1から約500ppmwまで、または約1から約200ppmwまでの範囲で、結合したスズの塩化物および/または酸塩化物を含んでよい。生成物流は、原材料中に含有されるスズの塩化物および/または酸塩化物の約20重量%未満、または約10重量%未満を含んでよい。
【0016】
原材料は、約0.1から約200ppmwまで、または約0.1から約20ppmwまでの範囲で、結合したヒ素の塩化物および/または酸塩化物を含んでよい。生成物流は、原材料中に含有されるヒ素の塩化物および/または酸塩化物の約20重量%未満、または約10重量%未満を含んでよい。
【0017】
原材料は、約0.1から約200ppmwまで、または約0.1から約20ppmwまでの範囲で、結合したアンチモンの塩化物および/または酸塩化物を含んでよい。生成物流は、原材料中に含有されるアンチモンの塩化物および/または酸塩化物の約20重量%未満、または約10重量%未満を含んでよい。
【0018】
原材料は、約0.1から約100ppmwまで、または約0.1から約10ppmwまでの範囲で、結合したジルコニウムの塩化物および/または酸塩化物を含んでよい。生成物流は、原材料中に含有されるジルコニウムの塩化物および/または酸塩化物の約20重量%未満、または約10重量%未満を含んでよい。
【0019】
本発明において有用なアルミノケイ酸塩は、約200m/gよりも大きな、または約600m/gよりも大きな表面積を有してよい。また、アルミノケイ酸塩は、約4.5から約9.5Åまでの範囲、または約6.5から約7.5Åまでの範囲の平均チャネルサイズを有してよく、また、約0.02から約0.2重量%までの範囲、または約0.025から約0.04重量%までの範囲のアルカリ含有量を有してよい。
【0020】
さらに、アルミノケイ酸塩におけるアルミナに対するシリカの比率は、約30から約100まで、または約60から約85までの範囲であってよい。より具体的に言えば、アルミノケイ酸塩は、ゼオライト材料、好ましくはフォージャサイト型ゼオライトである。
【0021】
原材料は単独の容器中でアルミノケイ酸塩と接触されてよい。消費されると、消費されたアルミノケイ酸塩は、次いでそのような容器から処分のために除去されてよい。また、ひとたびアルミノケイ酸塩が消費されると、消費されたアルミノケイ酸塩が再生されて再生アルミノケイ酸塩を形成する間、消費されたアルミノケイ酸塩との原材料の接触は停止されてよい。再生アルミノケイ酸塩は、その後原材料と接触される。その後、このサイクルが繰り返されてよい。高められた温度において、不活性ガスかあるいはTiCl、もしくはそれらの混合物のいずれかの流れに消費されたアルミノケイ酸塩を接触させることにより、再生が達成され得る。
【0022】
原材料はまた、複数(少なくとも2つ)の容器を含むシステム中にてアルミノケイ酸塩と接触されてもよい。そうしたシステムにおいては、消費されると、複数の容器のそれぞれにおいてアルミノケイ酸塩を再生させるような複数の容器へと、原材料が順次充填されてよい。
【0023】
原材料は、これに限定されるものではないが、酸化チタン、酸化鉄、および、少なくとも1つの不純物を少なくとも3重量%または少なくとも4重量%含むチタン鉱のように、比較的グレードの低いチタン鉱の塩素化によって得ることができる。
【0024】
生成物流は、顔料グレードのチタン化合物(TiO)を形成するために、または、金属グレードのチタン化合物を形成するために、あるいは電子グレードのチタン金属化合物を形成するために使用することができる。
【0025】
i)1つの不純物または複数の不純物の幾何学的サイズ、ii)アルミノケイ酸塩の材料のチャネルサイズ、および、iii)極性、表面積、アルカリ含有量、アルミナに対するシリカの比率、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、アルミノケイ酸塩の材料の少なくとも1つの特性に基づいて、複数の不純物のうちの特定の1つまたは複数の不純物の特定の群を除去するために、アルミノケイ酸塩の材料を選択することができる。例えば表1は、様々な不純物、四塩化チタンのおおよその分子直径、および、フォージャサイト型ゼオライト(FAU)のおおよその平均チャネルサイズをリスト化したものである。
【表1】
実施例
【0026】
複数量の四塩化チタンに、それぞれ個別に不純物をドープした。次に、ドープされた複数のサンプルを、以下に記載されるZeolyst Internationalから得たフォージャサイト型ゼオライトと、それぞれ個別に接触させた。
ゼオライト1−製品番号CP811C−300。
ゼオライト2−製品番号CP814C。
ゼオライト3−製品番号CBV−901。
【0027】
複数のサンプルを、無水物液体形態のゼオライトと接触させた。不純物の初期濃度および最終濃度を測定した。そのような試験の結果を表2に示す。
【表2】
【0028】
表2に示される結果からわかるように、金属塩化物によって汚染された四塩化チタンを本発明の方法に従って吸着体と接触させると、そのような不純物の濃度に著しい減少が生じる。また、図1においてより明らかに示されるように、異なる複数の不純物にわたっていくつかのゼオライトを選択することによる除去効率のプロットは、広い変動性、および、特定の不純物に対して目標とする除去効率を達成するために、特定のゼオライトまたは複数のゼオライトの混合を利用してシステム/処理を調整する機会があることを明らかにしている。
【0029】
さらに、そうでないということが明確に述べられていない限り"または"とは、"包括的なまたは"について言及するものであって、"排他的なまたは"について言及するものではない。例えば、AまたはBという条件は、次のいずれによっても満たされている。すなわち、Aが真であり(または存在し)且つBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)且つBが真である(または存在する)、および、AとBの両者が真である(または存在する)、のいずれによっても満たされる。
【0030】
さらに、そうでないということが明確に述べられていない限り、ここで使用される"約"という用語は、製造公差および/またはプロセス制御のばらつきによる変動を含むことおよび考慮することが意図されている。
【0031】
以下の請求項において定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ここに記載される構造、および様々な成分、要素、並びに集合の操作における変更が成されてよく、また、ここに記載される方法の複数の段階または一連の段階において変更が成されてよい。上記の実施形態によれば、以下の構成もまた開示される。
(項目1)
a)四塩化チタンおよび少なくとも1つの不純物を含む原材料を、アルミノケイ酸塩、活性アルミナ、超微細TiOの材料に接触させることにより生成物流を形成する段階と、
b)前記生成物流を回収する段階と、
を備え、
前記少なくとも1つの不純物は、硫化カルボニル、二酸化硫黄、ホスゲン、硫化水素、二硫化炭素、および、ポスト遷移金属、半金属、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、クロム、銅、炭素、マンガン、バナジウム、ニッケル、トリウム、ウランの塩化物および酸塩化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を含む、四塩化チタンの精製処理。
図1