(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の領域の厚さ及び前記第3の領域の厚さが前記第1の領域の厚さよりも小さく、かつ、前記第4の領域の厚さ及び前記第5の領域の厚さが該第1の領域の厚さよりも小さいこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の水晶片。
前記水晶片の厚さは、前記主面の中央から前記長辺方向に離れるにしたがって小さくなり、かつ、前記主面の中央から前記短辺方向に離れるにしたがって小さくなっていること、
を特徴とする請求項5に記載の水晶片。
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域の長辺方向の長さがLであり、前記第1の領域の長辺方向の長さがRLである場合に、0.62≦RL/L≦0.95が成立し、
前記第1の領域の短辺方向の長さがRWである場合に、0.67≦RW/W≦0.95が成立していること、
を特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の水晶片。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(水晶振動子の構造)
以下に、本発明の電子部品の一実施形態に係る水晶片を備えた水晶振動子について図面を参照しながら説明する。
図1は、水晶振動子10の外観斜視図である。
図2は、水晶振動子10の分解斜視図である。
図3は、
図1のA−Aにおける断面構造図である。
【0011】
以下では、水晶振動子10の主面に対する法線方向を上下方向と定義し、上側から見たときに、水晶振動子10の長辺が延在する方向を長辺方向と定義し、水晶振動子10の短辺が延在する方向を短辺方向と定義する。また、以下では、水晶片17のATカットの軸方向を基準として各構成を説明することもある。
【0012】
水晶振動子10は、
図1ないし
図3に示すように、基板12、金属キャップ14、水晶振動片16及びろう材50を備えている。水晶振動子10の短辺の幅が1.6mmであり、水晶振動子10の長辺の長さが2.0mmである。
【0013】
基板12(回路基板の一例)は、基板本体21、外部電極22,26,40,42,44,46、ビアホール導体25,28,54,56及びメタライズ膜30を含んでいる。
【0014】
基板本体21は、板状をなしており、上側から見たときに、矩形状をなしている。基板本体21は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス系絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン等により作製されている。本実施形態では、基板本体21は、セラミック材料により作製された複数の絶縁体層が積層されて構成されている。基板本体21は、上下に2つの主面を有している。基板本体21の上側の主面(+Y’側の主面)を表面と呼び、基板本体21の下側の主面(−Y’側の主面)を裏面と呼ぶ。
【0015】
外部電極22,26は、基板本体21の表面において、長辺方向の一方端側で短辺方向に並んで設けられている。具体的には、外部電極22は、基板本体21の表面の−Z’及び+X側の角近傍に設けられている矩形状の導体層である。外部電極26は、基板本体21の表面の−Z’及び−X側の角近傍に設けられている矩形状の導体層である。
【0016】
外部電極40,42,44,46は、基板本体21の裏面の各角近傍に設けられている。外部電極40は、基板本体21の裏面の−Z’及び−X側の角近傍に設けられている正方形状の導体層であり、上側から見たときに、外部電極26と重なっている。外部電極42は、基板本体21の裏面の−Z’及び+X側の角近傍に設けられている正方形状の導体層であり、上側から見たときに、外部電極22と重なっている。外部電極44は、基板本体21の裏面の+Z’及び−X側の角近傍に設けられている正方形状の導体層である。外部電極46は、基板本体21の裏面の+Z’及び+X側の角近傍に設けられている正方形状の導体層である。
【0017】
ビアホール導体25は、基板本体21を上下方向に貫通しており、外部電極22と外部電極42とを接続している。ビアホール導体28は、基板本体21を上下方向に貫通しており、外部電極26と外部電極40とを接続している。
【0018】
メタライズ膜30は、基板本体21の表面上に設けられている線状の金属膜であり、上側(表面に対する法線方向)から見たときに、長方形状の環状をなしている。外部電極22,26は、上側から見たときに、メタライズ膜30に囲まれた領域内に設けられている。
【0019】
ビアホール導体54は、基板本体21を上下方向に貫通しており、メタライズ膜30と外部電極46とを接続している。ビアホール導体56は、基板本体21を上下方向に貫通しており、メタライズ膜30と外部電極44とを接続している。
【0020】
外部電極22,26,40,42,44,46及びメタライズ膜30は、3層構造をなしており、具体的には、下層側から上層側へとモリブデン層、ニッケル層及び金層が積層されることにより構成されている。ビアホール導体25,28,54,56は、基板本体21に形成されたビアホールに対してモリブデン等の導体が埋め込まれて作製される。
【0021】
水晶振動片16は、水晶片17、外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103を含んでいる。水晶片17は、板状をなしており、上側から見たときに、矩形状をなしている。水晶片17の上側の主面を表面と呼び、水晶片17の下側の主面を裏面と呼ぶ。
【0022】
水晶片17は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型の水晶片である。また、水晶片17の表面及び裏面の長辺は、水晶片17のZ'軸と実質的に平行である。水晶片17の表面及び裏面の短辺は、水晶片17のX軸と実質的に平行である。実質的に平行とは、Z'軸、X軸に対し、およそ±1度の範囲内のものをいう。なお、水晶片17には、べベル加工が施されているが、詳細については後述する。また、
図2,3では、べベル加工が施されている点については表現されていない。
【0023】
水晶振動子のサイズは、長辺方向の長さが2.0mm、短辺方向の幅が1.6mmの範囲に収めるため、パッケージの壁厚さ、封止材のにじみ、素子のマウント精度等を考慮して、水晶片17のサイズは、長辺方向の長さが1.500mm以下となり、水晶片17の短辺方向の幅が1.00mm以下となるように水晶片17が設計される。
【0024】
外部電極97は、水晶片17の−Z’及び+X側の角及びその近傍に設けられている導体層である。外部電極97は、水晶片17の表面から裏面に跨って形成されており、水晶片17の+X側及び−Z’側の各側面にも形成されている。外部電極98は、水晶片17の裏面の−Z’及び−X側の角及びその近傍に設けられている導体層である。外部電極98は、水晶片17の表面から裏面に跨って形成されており、水晶片17の−X側及び−Z’側の各側面にも形成されている。これにより、外部電極97,98は、水晶片17の短辺に沿って並んでいる。
【0025】
励振電極100は、水晶片17の表面の中央に設けられており、上側から見たときに矩形状をなしている。励振電極101は、水晶片17の裏面の中央に設けられており、上側から見たときに矩形状をなしている。励振電極100と励振電極101とは、上側から見たときに、一致した状態で重なっている。
【0026】
引き出し導体102は、水晶片17の表面に設けられており、外部電極97と励振電極100とを接続している。引き出し導体103は、水晶片17の裏面に設けられており、外部電極98と励振電極101とを接続している。外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103は、例えば、クロムの下地層上に金が積層されることにより作製される。
【0027】
水晶振動片16は、基板12の表面に実装される。具体的には、外部電極22と外部電極97とが導電性接着剤210により電気的に接続された状態で固定され、外部電極26と外部電極98とが導電性接着剤212により電気的に接続された状態で固定される。
【0028】
金属キャップ14は、矩形状の開口を有する筺体であり、例えば、鉄ニッケル合金又はコバルトニッケル合金の母材にニッケルめっき及び金めっきが施されることにより作製されている。本実施形態では、金属キャップ14は、下側が開口した直方体状の箱であり、鉄ニッケル合金の母材の表面にニッケルめっき及び金めっきが施されることにより作製されている。
【0029】
ろう材50は、メタライズ膜30上に配置される。ろう材50は、メタライズ膜30と実質的に同じ形状を有しており、長方形状の環状をなしている。ろう材50は、メタライズ膜30よりも低い融点を有しており、例えば、金−すず合金により作製されている。ろう材50は、例えば、印刷等によりメタライズ膜30上に形成される。そして、金属キャップ14の開口の外縁がろう材50に接触した状態で、メタライズ膜30が溶融及び固化させられる。これにより、金属キャップ14は、開口の外縁の全長においてメタライズ膜30にろう材50を介して接合する。その結果、基板本体21の表面及び金属キャップ14により、密閉空間Spが形成されている。よって、水晶振動片16は、密閉空間Sp内に収容されている。また、密閉空間Spは、金属キャップ14がメタライズ膜30及びろう材50を介して基板本体21に密着することによって、真空状態に保たれている。ただし、大気状態でもよい。なお、ろう材50の代わりに、例えば、低融点ガラス、樹脂等の接着剤が用いられてもよく、このとき、メタライズ膜30は必ずしも必要ではない。
【0030】
(水晶片の詳細について)
以下に、水晶片17の詳細について図面を参照しながら説明する。
図4は、
図2のB−Bにおける断面構造図である。
図5は、
図2のC−Cにおける断面構造図である。
図6は、水晶片17を上側から見た図である。
図7は、領域A1の拡大図である。
【0031】
本実施形態に係る水晶片17は、CI値を低減するために、以下に説明する条件を満足している。
【0032】
条件1:水晶片17の主振動の周波数が30.5MHz以上37.0MHz以下である。
条件2:水晶片17の表面及び裏面の長辺が水晶片17のZ'軸と実質的に平行である。
条件3:水晶片17の表面及び裏面の短辺が水晶片17のX軸と実質的に平行である。
条件4:べベル加工が施されることにより、
図4及び
図5に示すように、水晶片17の表面及び裏面の外縁近傍の厚さが水晶片17の表面及び裏面の中央近傍の厚さより薄くなっている。
条件5:水晶片17の領域A1,A4,A5の短辺方向の長さがWであり、水晶片17の領域A1の厚さがTである場合に、16.21≦W/T≦17.71が成立している。領域A1,A4,A5については後述する。
【0033】
<条件1について>
水晶片17の主振動の周波数は、水晶片17の厚さTに依存している。したがって、水晶片17の厚さTは、0.0451mm以上0.0548mm以下の範囲に設定されている。
【0034】
<条件2及び条件3について>
水晶片は、その短辺近傍において導電性接着剤で基板に固定されることが一般的であり、また、ATカットの水晶片は、厚みすべり振動の振動方向がX軸方向であることが知られている。したがって、従来の長辺がX軸方向と平行となる水晶片は、短辺側の導電性接着剤を介して基板に振動漏れの影響を受けやすい。これに対して本実施形態に係るATカット型の水晶片17は、長辺がZ’軸方向と平行であるため、Z'軸領域への振動漏れが少なく、水晶片17の短辺近傍において導電性接着剤210,212で基板12に固定した場合であっても、基板への振動漏れの影響が少ない。したがって、本実施形態に係るATカット型の水晶片によれば、長辺がX軸方向と平行である水晶片より、振動漏れの影響が少なく、CI値が良い。
【0035】
<条件4について>
水晶片17は、
図6に示すように、上側から見たときに、領域A1〜A5を含んでいる。領域A1は、上側から見たときに、表面の中央を含む長方形状の領域である。ただし、領域A1は、上側から見たときに、長方形状以外の形状であってもよく、例えば、楕円形状であってもよい。領域A2は、+Z’側において領域A1に隣接する長方形状の領域である。領域A2は、表面の+Z’側の短辺全体、表面の−X側及び+X側の長辺の+Z’側の端部近傍に接している。すなわち、領域A2は、水晶片17において+Z’側の端部に位置している。領域A3は、−Z’側において領域A1に隣接する長方形状の領域である。領域A3は、表面の−Z’側の短辺全体、表面の−X側及び+X側の長辺の−Z’側の端部近傍に接している。すなわち、領域A3は、水晶片17において−Z’側の端部に位置している。
【0036】
領域A4は、−X側において領域A1に隣接すると共に、領域A2,A3に左右から挟まれている長方形状の領域である。領域A4は、表面の−X側の長辺の両端を除く部分に接している。すなわち、領域A4は、水晶片17において−X側の端部に位置している。領域A5は、+X側において領域A1に隣接すると共に、領域A2,A3に左右から挟まれている長方形状の領域である。領域A5は、表面の+X側の長辺の両端を除く部分に接している。すなわち、領域A5は、水晶片17において+X側の端部に位置している。
【0037】
領域A1の厚さTは、
図4及び
図5に示すように、実質的に均一である。ただし、領域A1の表面及び裏面は、わずかに湾曲している。したがって、実質的に均一である領域A1とは、
図7に示すように、領域A1における水晶片の厚さの最大値がTmaxである場合に、Tmax−2μm以上Tmax以下の厚さを有する領域である。ただし、領域A1は、表面の中央を含んでいると共に、連続した領域である。また、領域A1の厚さTは、実質的に均一であり、Tmaxをその値とする。
【0038】
領域A2〜A5の厚さは、
図4及び
図5に示すように、領域A1の厚さTよりも小さい。本実施形態では、領域A2〜A5の厚さは、領域A1から離れるにしたがって連続的に小さくなっている。本実施形態では、領域A2〜A5における表面及び裏面は、凸面をなしている。
【0039】
<条件5について>
水晶片17の領域A1,A4,A5の短辺方向の長さがWであり、水晶片17の領域A1の厚さがTである場合に、16.21≦W/T≦17.71が成立している。また、16.58≦W/T≦17.25が成立していることがより好ましい。更に、17.12≦W/T≦17.22が成立していることがより好ましい。
【0040】
<その他の条件について>
上記条件1〜条件5に加えて、領域A1〜A3の長辺方向の長さがLであり、領域A1の長辺方向の長さがRLである場合に、0.62≦RL/L≦0.95が成立し、かつ、領域A1の短辺方向の長さがRWである場合に、0.67≦RW/W≦0.95が成立していることが好ましい。更に、領域A1〜A3の長辺方向の長さがLであり、領域A1の長辺方向の長さがRLである場合に、0.62≦RL/L≦0.74が成立し、かつ、領域A1の短辺方向の長さがRWである場合に、0.67≦RW/W≦0.79が成立していることがより好ましい。更に、0.66≦RL/L≦0.73が成立し、かつ、0.70≦RW/W≦0.78が成立していることがより好ましい。ここで、長さRLは、領域A1において厚さがTmaxとなる点を通過し、長辺方向における領域A1の長さである。長さRWは、領域A1において厚さがTmaxとなる点を通過し、短辺方向における領域A1の長さである。
【0041】
(水晶振動子の製造方法)
以下に、水晶振動子10の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0042】
まず、基板12の製造方法について説明する。複数の基板本体21がマトリクス状に配列されたマザー基板を準備する。マザー基板は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス系絶縁性材料、水晶、ガラス、シリコン等により作製されている。
【0043】
次に、マザー基板において、基板本体21のビアホール導体25,28,54,56が形成される位置にビームを照射して、貫通孔を形成する。更に、貫通孔にモリブデン等の導電性材料を充填し、乾燥させる。その後、導電性材料を焼結することにより、ビアホール導体25,28,54,56を形成する。
【0044】
次に、外部電極40,42,44,46の下地電極をマザー基板の裏面に形成する。具体的には、モリブデン層をマザー基板の裏面上に印刷し、乾燥させる。その後、モリブデン層を焼結する。これにより、外部電極40,42,44,46の下地電極が形成される。
【0045】
次に、外部電極22,26及びメタライズ膜30の下地電極をマザー基板の表面に形成する。具体的には、モリブデン層をマザー基板の表面上に印刷し、乾燥させる。その後、モリブデン層を焼結する。これにより、外部電極22,26及びメタライズ膜30の下地電極が形成される。
【0046】
次に、外部電極40,42,44,46,22,26及びメタライズ膜30の下地電極に、ニッケルめっき及び金めっきをこの順に施す。これにより、外部電極40,42,44,46,22,26及びメタライズ膜30が形成される。
【0047】
ここで、貫通孔への導電性材料の充填とマザー基板への外部電極等の印刷は真空印刷などを用いることで、同時に形成することができる。このとき、導電性材料と外部電極等を同時に焼成する。
【0048】
また、マザー基板がセラミックス系焼結体絶縁性材料の場合は、焼成前のシート状態で、貫通孔の形成、導電性材料の充填、外部電極22,26,40,42,44,46及びメタライズ膜30の印刷、乾燥を行い、その後、複数枚積層した状態で加圧密着し積層シートとし、これを焼成して、ビアホール導体、外部電極22,26,40,42,44,46及びメタライズ膜30及び基板本体21を同時に完成させることができる。この後、前記同様のめっきを施す。
【0049】
次に、ダイサーにより、マザー基板を複数の基板本体21に分割する。なお、レーザビームを照射してマザー基板に分割溝を形成した後、マザー基板を複数の基板本体21に分割してもよい。
【0050】
次に、水晶振動片16の製造方法について説明する。水晶の原石をATカットにより切り出して、矩形状の板状の水晶片17を得る。この際、水晶片17の表面及び裏面の長辺が水晶片17のZ'軸と実質的に平行となり、水晶片17の表面及び裏面の短辺が水晶片17のX軸と実質的に平行となるように、水晶の原石をカットする。
【0051】
次に、水晶片17に対してバレル加工装置を用いてべベル加工を施す。これにより、水晶片17の稜線付近が削り取られて、
図4及び
図5に示すように、表面の中央から離れるにしたがって厚さが小さくなる断面形状を水晶片17が有するようになる。
【0052】
次に、水晶片17に外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103を形成する。なお、外部電極97,98、励振電極100,101及び引き出し導体102,103の形成については、一般的な工程であるので説明を省略する。
【0053】
次に、基板本体21の表面に水晶振動片16を実装する。具体的には、
図2及び
図3に示すように、外部電極22と外部電極97とを導電性接着剤210により接着するとともに、外部電極26と外部電極98とを導電性接着剤212により接着する。
【0054】
次に、金属キャップ14をろう材50により基板12に取り付ける。以上の工程を経て、水晶振動子10が完成する。
【0055】
(効果)
本実施形態に係る水晶片17及び水晶振動子10によれば、CI値を低減できる。より詳細には、
図4及び
図5に示すように、表面の中央から離れるにしたがって厚さが小さくなる断面形状を水晶片17が有している。これにより、水晶片17の主振動の振動エネルギーが、領域A1に閉じ込められるようになる。領域A1には励振電極100,101が設けられている。その結果、主振動が効率よく電気信号に変換され、励振電極100,101から電気信号が出力されるようになる。よって、水晶片17及び水晶振動子10によれば、CI値を低減できる。
【0056】
また、水晶片17及び水晶振動子10によれば、以下に説明する理由によっても、CI値を低減できる。
図8は、主振動の周波数が30.5MHzである水晶片17において、主振動及び副振動の周波数とW/Tとの関係を示したグラフである。
図9は、主振動の周波数が31.25MHzである水晶片17において、主振動及び副振動の周波数とW/Tとの関係を示したグラフである。
図10は、主振動の周波数が37.0MHzである水晶片17において、主振動及び副振動の周波数とW/Tとの関係を示したグラフである。なお、
図8ないし10において、△は主振動を示し、□及び◇は副振動を示す。
【0057】
水晶片17及び水晶振動子10では、主振動の他に副振動が発生する。主振動は、厚み滑りにより発生する振動である。主振動の周波数は、水晶片17の厚さTに依存している。一方、副振動は、主振動以外の振動であり、水晶片17の短辺方向の伸縮や長辺方向の伸縮、水晶片17の撓み等により生じる振動である。副振動の周波数は、長さLや幅W等に依存している。このような副振動は、所謂スプリアスである。なお、水晶片17の長辺方向の長さLを一定にした場合においてW/Tを変動させた後述のシミュレーション結果からわかるとおり、水晶片17及び水晶振動子10に生じ得る副振動は、W/Tを調整することにより抑制することができる。
【0058】
ここで、水晶片17及び水晶振動子10のCI値を低減するためには、主振動の周波数と副振動の周波数とが離れるように、水晶片17及び水晶振動片16を設計すればよい。そこで、本願発明者は、コンピュータシミュレーションによりW/Tと主振動及び副振動の周波数との関係を調べた。コンピュータシミュレーションでは、30.5MHz、31.25MHz及び37.0MHzの3種類の主振動の周波数を有する水晶片17について、厚さTを一定に保って、幅Wを変化させた。以下に、シミュレーション条件を記載する。
【0059】
(1)30.5MHz
厚さT:0.0548mm
長さL:1.345mm
長さRL:0.940mm
RW/W:0.74
(2)31.25MHz
厚さT:0.0534mm
長さL:1.345mm
長さRL:0.940mm
RW/W:0.74
(3)37.0MHz
厚さT:0.0451mm
長さL:1.345mm
長さRL:0.940mm
RW/W:0.74
【0060】
以上の条件でシミュレーションを行ったところ、
図8ないし
図10に示す結果が得られた。そして、本願発明者は、シミュレーション結果に基づいて、好ましいW/Tを求めた。
【0061】
図8によれば、主振動の周波数が30.5MHzである場合には、W/Tが16.21以上17.71以下であれば、主振動と副振動1,2とが交差しない。すなわち、W/Tが16.21以上17.71以下(すなわち、Tが0.0548mm、Wが0.888mm以上0.970mm以下)であれば、主振動の周波数と副振動の周波数とが離れる。
【0062】
図9によれば、主振動の周波数が31.25MHzである場合には、W/Tが16.21以上17.71以下であれば、主振動と副振動1,2とが交差しない。すなわち、W/Tが16.21以上17.71以下(すなわち、Tが0.0534mm、Wが0.866mm以上0.947mm以下)であれば、主振動の周波数と副振動の周波数とが離れる。
【0063】
図10によれば、主振動の周波数が37.0MHzである場合には、W/Tが16.21以上17.71以下であれば、主振動と副振動1,2とが交差しない。すなわち、W/Tが16.21以上17.71以下(すなわち、Tが0.0451mm、Wが0.732mm以上0.799mm以下)であれば、主振動の周波数と副振動の周波数とが離れる。
【0064】
以上より、水晶片17の主振動の周波数が30.5MHz以上37.0MHz以下である場合には、16.21≦W/T≦17.71であれば、主振動の周波数と副振動の周波数とが離れることが分かった。以上より、主振動の周波数が30.5MHz以上37.0MHz以下である水晶片17において、16.21≦W/T≦17.71とすれば、CI値を低減できる。
【0065】
ところで、シミュレーションを用いれば主振動と副振動とを個別に解析できるため、30.5MHz以上37.0MHz以下の主振動における、主振動に与える副振動の影響が小さい範囲をCI値によって求められる利点がある。しかし、実際のサンプルのCI値の測定では、主振動と副振動とが重ね合わされたCI値しか得られないものの、寸法、形状、材料特性など実際の変動が反映された詳細な測定結果が得られる。そこで、本願発明者は、以下に説明する実際に制作したサンプルを用いた実験を行って、シミュレーションで求めた、30.5MHz以上37.0MHz以下の周波数範囲内においてより好ましいW/Tの範囲を求めた。より詳細には、本願発明者は、水晶振動子10の第1のサンプルないし第7のサンプルをそれぞれ40個ずつ作製した。以下に、第1のサンプルないし第7のサンプルの条件を記載する。
【0066】
第1のサンプルないし第3のサンプル(主振動の周波数:31.25MHz)
第4のサンプルないし第7のサンプル(主振動の周波数:32.0MHz)
【0068】
以上の第1のサンプルないし第7のサンプルにおいて、CI値を測定した。実験では、周囲の温度を−30℃から85℃まで変化させた。CI値は、各サンプルにおいて−30℃から85℃まで変化させたときの最大値を用いた。
【0069】
図11Aは、第1のサンプルないし第3のサンプル(主振動の周波数:31.25MHz)の実験結果を示したグラフである。
図11Bは、第4のサンプルないし第7のサンプル(主振動の周波数:32.0MHz)の実験結果を示したグラフである。
図11A及び
図11Bにおいて、縦軸はCI値を示し、横軸は幅Wを示す。
【0070】
図11Aに、主振動の周波数が31.25MHzである場合に、CI値が50Ω以下となったWが0.915mm以上0.920mm以下のCI値を示す。水晶片17の厚さTは0.0534mmであるので、W/Tが17.12以上17.21以下となる。この範囲内であれば、各CI値において最大値が35Ω以下となり、平均値が30Ω以下となり50Ωの70%以下の範囲であり十分に低い値となる。
【0071】
図11Bによれば、主振動の周波数が32.0MHzである場合にCI値が50Ω以下となるのは、Wが0.865mm以上0.900mm以下であることを示す。水晶片17の厚さTは0.0522mmであるので、W/Tが16.57以上17.24以下となる。この範囲内であれば、各CI値において最大値が50Ω以下となり、平均値が40Ω以下となり十分に低い値となる。
【0072】
以上より、16.58≦W/T≦17.25が成立していることがより好ましく、各CI値の平均値が35Ω以下となった17.12≦W/T≦17.22が成立していることがより好ましい。
【0073】
次に、本願発明者は、以下に説明する実験を行って、好ましいRL/L及びRW/Wの範囲を求めた。より詳細には、第8のサンプルないし第14のサンプルをそれぞれ40個ずつ作成した。以下に、第8のサンプルないし第14のサンプルの条件を記載する。
【0074】
第8のサンプルないし第10のサンプル(主振動の周波数:31.25MHz)
第11のサンプルないし第14のサンプル(主振動の周波数:32.0MHz)
【0076】
以上の第8のサンプルないし第14のサンプルにおいて、CI値を測定した。実験では、周囲の温度を−30℃から85℃まで変化させた。CI値は、各サンプルにおいて−30℃から85℃まで変化させたときの最大値を用いた。
【0077】
図12Aは、第8のサンプルないし第10のサンプル(主振動の周波数:31.25MHz)の実験結果を示したグラフである。
図12Bは、第11のサンプルないし第14のサンプル(主振動の周波数:32.0MHz)の実験結果を示したグラフである。
図12A及び
図12Bにおいて、縦軸はCI値を示し、横軸はRL/L及びRW/Wを示す。
【0078】
図12Aに、主振動の周波数が31.25MHzである場合にCI値が50Ω以下となるのは、RW/Wが0.70以上0.78以下であって、かつ、RL/Lが0.66以上0.74以下であることを示す。
【0079】
図12Bによれば、主振動の周波数が32.0MHzである場合にCI値が50Ω以下となるのは、RW/Wが0.67以上0.79以下であって、かつ、RL/Lが0.62以上0.73以下であることを示す。
【0080】
以上より、0.62≦RL/L≦0.74が成立し、かつ、0.67≦RW/W≦0.79が成立していることがより好ましく、0.66≦RL/L≦0.73が成立し、かつ、0.70≦RW/W≦0.78が成立していることがより好ましい。
【0081】
ただし、
図12A及び
図12Bによれば、RW/Wが0.79より大きく、かつ、RL/Lが0.74よりも大きくても、CI値を十分に低減できると考えられる。そこで、水晶片17の主振動の周波数が31.25MHz又は32.0MHzである場合には、0.62≦RL/L≦0.95であって、かつ、0.67≦RW/W≦0.95であれば、CI値を低減できる。RL/L及びRW/Wの上限を0.95としているのは、RL/L及びRW/Wが0.95より大きくなると、水晶片17の主振動の振動エネルギーの領域A1への閉じ込めが十分でなくなるためである。
【0082】
(変形例)
以下に変形例に係る水晶振動子10aについて図面を参照しながら説明する。
図13は、変形例に係る水晶振動子10aの断面構造図である。
【0083】
図13に示すように、本変形例に係る水晶振動子10aは水晶片17を含む水晶振動片16を備えており、上記実施形態で説明した水晶振動子10とは、基板12の裏面にサーミスタ60が設けられている点で異なっている。なお、水晶片17は、上記実施形態で説明した構成を適用することができる。
【0084】
(水晶発振器)
以下に水晶片17を備えた水晶発振器300について図面を参照しながら説明する。
図14は、水晶発振器300の断面構造図である。
【0085】
図14に示すように、水晶発振器300は、水晶片17を含む水晶振動片16を備えており、
図3の水晶振動子10とは、基板12の裏面にIC302が実装されている点で異なっている。なお、水晶片17は、上記実施形態で説明した構成を適用することができる。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明に係る水晶片及び水晶振動子は、水晶片17及び水晶振動子10に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0087】
なお、水晶片17は、表面の中央から短辺方向及び長辺方向の両方に離れるにしたがって、厚さが薄くなる形状を有している。しかしながら、水晶片17の厚さは、表面の中央から短辺方向に離れるにしたがって、小さくなっていてもよいし、表面の中央から長辺方向に離れるにしたがって、小さくなっていてもよい。すなわち、領域A2の厚さ及び領域A3の厚さが領域A1の厚さよりも小さく、及び/又は、領域A4の厚さ及び領域A5の厚さが領域A1の厚さよりも小さければよい。
【0088】
図15及び
図16は、その他の実施形態に係る水晶片17a,17bの断面構造図である。
図15に示すように、領域A2よりも+Z’側に領域A2よりも大きな厚さを有する領域が設けられていてもよいし、領域A3よりも−Z’側に領域A3よりも大きな厚さを有する領域が設けられていてもよい。同様に、領域A4よりも−X側に領域A4よりも大きな厚さを有する領域が設けられていてもよいし、領域A5よりも+X側に領域A5よりも大きな厚さを有する領域が設けられていてもよい。すなわち、領域A1よりも小さな厚さを有する領域A2〜A5が領域A1の周囲に設けられていれば、主振動の振動エネルギーが領域A1に閉じ込められるので、領域A2〜A5の周囲に更なる領域が存在していても存在しなくてもよい。
【0089】
また、領域A2〜A5は、連続的に変化する凸面をなしているが、凹面をなしていてもよいし、不連続に変化する面であってもよい。すなわち、
図16に示すように、領域A2〜A5は、階段状をなしていてもよい。