特許第6226227号(P6226227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226227電気モータのロータにおけるコイルワイヤの構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226227
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電気モータのロータにおけるコイルワイヤの構成
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H02K3/52 G
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-134112(P2013-134112)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-11957(P2014-11957A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】1211566.3
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512271125
【氏名又は名称】ニデック モーターズ アンド アクチュエーターズ(ジャーマニー) ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NIDEC MOTORS & ACTUATORS (GERMANY) GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100111866
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュミット
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−298925(JP,A)
【文献】 実開平03−101146(JP,U)
【文献】 特開平11−332138(JP,A)
【文献】 特開2010−239726(JP,A)
【文献】 特開2004−064882(JP,A)
【文献】 特開2008−131720(JP,A)
【文献】 特開2009−60693(JP,A)
【文献】 特開2011−35989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00−3/52
H02K 1/00−1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータのためのアーマチュアであって、前記アーマチュアは、複数の歯と複数の空洞とを備え、前記空洞のそれぞれの空洞は、前記複数の歯のうちの2つの間に構成され、前記複数の空洞のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの空洞の壁部分に隣接したコイル巻線を受け取るように形成および構成され、前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つは渡り線レセプタを備え、前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つは半径方向の最も内側の壁部分を有し、前記渡り線レセプタは前記半径方向の最も内側の壁部分において構成される、アーマチュア。
【請求項2】
電気モータのためのアーマチュアであって、前記アーマチュアは、複数の歯と複数の空洞とを備え、前記空洞のそれぞれの空洞は、前記複数の歯のうちの2つの間に構成され、前記複数の空洞のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの空洞の壁部分に隣接したコイル巻線を受け取るように形成および構成され、前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つは渡り線レセプタを備え、前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つは半径方向の最も内側の壁部分を有し、前記渡り線レセプタは、前記半径方向の最も内側の壁部分であって該渡り線レセプタが前記複数の歯と接しない部分において構成される、アーマチュア。
【請求項3】
電気モータのためのアーマチュアであって、前記アーマチュアは、複数の歯と複数の空洞とを備え、前記空洞のそれぞれの空洞は、前記複数の歯のうちの2つの間に構成され、前記複数の空洞のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの空洞の壁部分に隣接したコイル巻線を受け取るように形成および構成され、前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つは渡り線レセプタを備え、前記渡り線レセプタは渡り線を受け取るために前記複数の空洞のうちの前記少なくとも1つの空洞の壁部分に凹所を備える、アーマチュア。
【請求項4】
前記渡り線レセプタは前記渡り線の直径と略同じ深さを有する、請求項3に記載のアーマチュア。
【請求項5】
前記渡り線レセプタは前記渡り線の直径よりも大きい深さを有する、請求項3に記載のアーマチュア。
【請求項6】
前記渡り線レセプタは少なくとも1つの渡り線のための誘導面を有する、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載のアーマチュア。
【請求項7】
前記少なくとも1つの空洞はコイルワイヤを巻くための2つの周方向に略対向する誘導壁部分を有する、請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載のアーマチュア。
【請求項8】
前記2つの周方向に略対向する誘導壁部分は径方向内側に向かって先細りにされた先細りの空洞を形成する、請求項7に記載のアーマチュア。
【請求項9】
前記渡り線レセプタは、周方向に略対向する第1の壁部分と第2の壁部分とを備え、前記第1の壁部分と第2の壁部分は径方向外側に向かって先細りにされた先細りのレセプタを形成する、請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載のアーマチュア。
【請求項10】
前記渡り線レセプタは、周方向に対向する第1の壁部分と第2の壁部分とを備え、前記第1の壁部分と第2の壁部分は互いに対して略平行に構成される、請求項1〜請求項8に記載のアーマチュア。
【請求項11】
前記渡り線は前記コイルワイヤの末端部分である、請求項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載のアーマチュア。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のうちのいずれか1項に記載のアーマチュアを備える電気モータ。
【請求項13】
電気モータのアーマチュア上にワイヤを配置するための方法であって、前記方法は、
a.前記アーマチュアの少なくとも1つの空洞に構成された渡り線レセプタに少なくとも1つの渡り線を配置することと、
b.前記少なくとも1つの空洞のコイル誘導壁部分上にコイルワイヤでコイルを形成することと、
を有し、前記渡り線レセプタは前記少なくとも1つの空洞の前記半径方向で最も内側の壁部分に作られる、方法。
【請求項14】
電気モータのアーマチュア上にワイヤを配置するための方法であって、前記方法は、
a.前記アーマチュアの少なくとも1つの空洞に構成された渡り線レセプタに少なくとも1つの渡り線を配置することと、
b.前記少なくとも1つの空洞のコイル誘導壁部分上にコイルワイヤでコイルを形成することと、
を有し、前記渡り線レセプタは前記少なくとも1つの空洞の前記半径方向で最も内側の壁部分であって該渡り線レセプタが前記複数の歯と接しない部分に作られる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気モータに関する。本開示は特に、電気モータのためのアーマチュアと、アーマチュア上の渡り線およびコイルワイヤの構成とに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシ付き電気モータのアーマチュアは、アーマチュアの歯に必要とされる磁化を提供するためにアーマチュアの歯の周りに巻かれたコイルを備える。歯の磁化はコイルを通る電流を加えることによって行われる。コイルはブラシとコミュテータとを介して一般的に公知の方法で電気的に接触させられる。電気モータは少なくとも2つのコイルと2つの歯とを有するが、現在の電気モータは例えば4つ以上の歯などの複数の歯を有する。コイルは、それぞれの歯または複数の歯の周りに巻かれ、コミュテータを介して個々に対処される。
【0003】
アーマチュアはシャフトの周りに構成された複数の歯を有すると考えられてもよいが、アーマチュアは、アーマチュアの歯の間に構成された複数の空洞を有すると考えられることも出来る。コイルワイヤに加えて、いわゆる渡り線が歯の間の空洞に構成される。渡り線は、コミュテータにコイルを接続すると共にコミュテータのシングルバーを電気的に均一にするために使用される。コイルワイヤおよび渡り線の互いに対する構成は製造方法または製造順序に依存する。渡り線およびコイルの構成は、渡り線がコイルの構成の前に配置されたか、またはコイルの構成後に配置されたかに依存して異なる。これにより、コイルワイヤおよびコイルの位置が正確に決定されることが出来ず、製造順序が考慮されなければならないという不利な点を有する。製造順序が考慮されなかった場合には、一部の空洞内で、渡り線は、コイルが構成されると考えられる位置に配置されるので、規則正しく歯にコイルを巻くことが困難であり、これにより、無秩序なワイヤの交差部、端の巻きの高さの増加、モータの不平衡や効率の低下などの負の影響をいくつか有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術の不利な点を克服することが本発明の目的である。
【0005】
本発明は、電気モータのためのアーマチュアと、こうしたアーマチュアを有する電気モータと、その製造のための方法とを提案する。アーマチュアは複数の歯と複数の空洞またはスロットとを備える。空洞のそれぞれは外周面に構成される。空洞が複数の歯のうちの2つの歯の間に構成されることにより、アーマチュアを形成する。複数の空洞のうちの少なくとも1つが少なくとも1つの空洞/歯の壁部分に隣接したコイル巻線を受け取るように形成および構成される。壁部分は複数の歯のうちの1つの壁であってもよい。複数の空洞のうちの少なくとも1つは渡り線レセプタを備える。渡り線レセプタは一本、もしくは複数のワイヤを受け取るための凹所によって作られる。
【0006】
空洞内または歯の間の渡り線レセプタは所定の位置に渡り線を配置し、誘導し、および/または支持するために使用されてもよい。これが、コイルワイヤだけでなく渡り線もさらに正確に配置することを可能にし、これにより、アーマチュアの不平衡質量を減少させ、コイルおよびアーマチュアの製造をより容易にする。渡り線は渡り線レセプタにおいて別々に構成されるので、ワイヤを交差させることなくコイルとアーマチュアとを構築することも可能であり、これが、サイズ、すなわちアーマチュアの半径を減少させることを可能にする。本発明はより小さくより軽量なモータの設計を助ける。
【0007】
渡り線レセプタは空洞の壁部分に凹所または溝の形態を有してもよい。凹所は半径方向の最も内側の面または空洞の底部に作られてもよい。渡り線レセプタは1つまたは複数の渡り線を巻き取ると共に渡り線を適切な場所で維持するために充分な大きさであり得る。従って、渡り線レセプタまたは溝の断面は渡り線または複数の渡り線の直径と同じ桁の大きさであり得る。
【0008】
渡り線レセプタはまた、例えば、空洞内に配置されたクランプまたはワイヤホルダなどの異なる形状を有してもよい。
【0009】
渡り線レセプタは円周方向に渡り線を維持し支持するための誘導面を有してもよい。1つまたは2つの渡り線レセプタが提供されてもよく、2つの渡り線が1つの渡り線レセプタに共に構成されてもよく、別々の渡り線レセプタが各渡り線に提供されてもよい。
【0010】
本開示はまた電気モータのためのロータまたはアーマチュアを製造するための方法に関する。方法は電気モータのアーマチュア上に電気ワイヤを構成することを包含する。方法はアーマチュアの空洞に構成された渡り線レセプタに少なくとも1つの渡り線を配置することを包含する。空洞はアーマチュアの2つの歯の間に作られる。方法はさらに少なくとも1つの空洞のコイル誘導面上にコイルワイヤを巻くことを包含する。コイル誘導面は空洞の壁部分であってもよく、複数の歯のうちの1つによって作られてもよい。
【0011】
アーマチュアの空洞において構成された渡り線レセプタに少なくとも1つの渡り線を配置することは、少なくとも1つの空洞のコイル誘導面上にコイルワイヤを巻く前、またはその後に行われてもよい。コイルワイヤの最終的な位置は両方の場合で同じままである。すなわち、製造順序は歯の上や空洞におけるコイルワイヤの位置には影響がなく、これにより、コイルが、歯の上で規則正しく巻かれたコイルワイヤで作られる。規則正しく巻かれたコイルワイヤはコイルの抵抗を下げることが出来、これがモータの効率を改善する。
【0012】
少なくとも1つの渡り線と巻線とを配置することが、結果を変えることなく任意の順序で行われることが出来る。少なくとも1つの渡り線の配置は第1の空洞にコイルワイヤのコイルを巻く前に行われてもよく、少なくとも1つの渡り線の配置は第1の空洞にコイルワイヤのコイルを巻く後に行われてもよい。製造順序は歯の上や空洞におけるコイルワイヤの位置には影響がないため、コイルワイヤの最終的な位置は両方の場合で同じままである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は図面に関して与えられる以下の詳細な説明を読んだ時により良く理解され得る。
【0014】
図1】アーマチュアを有する従来の電気モータの断面を示す。
【0015】
図2】従来のアーマチュアの断面の一部を示す。
【0016】
図3】本発明の第1の実施形態に従ったアーマチュアの断面の同じ部分を示す。
【0017】
図4】本発明の第2の実施形態に従ったアーマチュアの断面の同じ部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の例がここでさらに詳細に記載される。これらの例の全ての特徴が本発明を実行するために実装される必要なわけではないことと、当業者はアーマチュアおよび電気モータの用途に応じて特徴を改変、追加、または省略することとを留意されたい。
【0019】
図1は本発明が実装されてもよい電気モータ2を示す。電気モータは、従来の電気モータであってもよく、回転シャフト8上に構成されたアーマチュア10を有するロータ3を備える。複数の接触要素を有するコミュテータ6もまた通常の方法で回転シャフト8上に配置される。アーマチュア10はシャフト8の回転軸の周りに構成された複数の歯12を備える。歯12は、マッシュルームの様な形状を有してもよく、当該分野において公知の磁化可能な材料から作成され得る。本明細書において具体的には述べられていない電気モータの全部品は、当該分野において公知のあらゆる電気モータにあるようなものであり得る。
【0020】
図2は従来のアーマチュアの断面の一部を示す。コイルワイヤ30のうちの少なくとも1つのコイルが歯12の磁化可能な材料を磁化させるために各歯12の周りに巻かれる。コイルは被覆された歯12上に直接巻かれてもよく、またはコイルは歯12の表面上に構成された絶縁体上に巻かれてもよい。各歯12は(図2に示されるように)コイルワイヤを巻くための2つの略平行な誘導壁部分13を有する。これらの誘導壁部分13はまた円周方向で歯12の両側に構成された空洞の壁部分を作る。空洞はさらに半径方向の最も内側の壁部分14を含み、半径方向の最も内側の壁部分14は、誘導壁部分13の間に構成され、円周方向に延伸する。コイルワイヤ30は、ロータ3の回転の間に、所定の方法で、対応する歯を磁化させるように渡り線41、42によってコミュテータの選択された接点に接続される。
【0021】
渡り線41、42はコイルワイヤ30の末端部であってもよく、コイルワイヤと同じ材料から作られてもよい。渡り線41、42は、コイルワイヤ30と比較して同じ直径または異なる直径の断面を有してもよい。
【0022】
渡り線41、42はまた図2に示されるように2つの歯12の間の空洞20の中においていずれかの場所に構成される。空洞の中の渡り線41、42の位置は、製造ステップの順番または順序に依存する。コイルワイヤ30が渡り線41を配置する前に歯12の周りに巻かれた場合には、渡り線41は図2の左手側に示されるようにコイルワイヤの上部において構成される。渡り線42がコイルワイヤ30を巻く前に空洞内に配置される場合には、渡り線42は異なるように配置される。この場合、渡り線42は空洞20の誘導壁部分13に直接構成され、コイルワイヤ30は渡り線42の上部において巻かれる(図示せず)。この渡り線42の構成が図2における空洞20の右手側に示される。
【0023】
渡り線41、42の位置、従って、コイルワイヤ30の位置は、製造の順序、すなわち、渡り線41、42がコイルワイヤを巻く前、または巻いた後に配置されたかに依存する。製造順序はアーマチュアの製造を複雑にする製造においては考慮されなければならない。製造順序が考慮されなかった場合には、一部の空洞20においては、渡り線42が、コイルが構成されると考えられる位置で構成されるので、歯12上でコイルを規則正しく巻くことが困難であり、これにより、無秩序なワイヤ交差部、端の巻きの高さの増加、モータの不平衡や効率の低下などの負の影響をいくつか有する。製造順序が考慮された場合であっても、特にロータ3が回転している時には、渡り線41、42は容易に動き得るので、歯12上に規則正しくコイルを巻くことはまた困難である。無秩序に巻かれたコイルワイヤ30はコイルの抵抗を増やし、モータの効率を低下させる。
【0024】
図3はアーマチュア10に関する図2と同じ部分のアーマチュア100を示す。図2のアーマチュア10とは異なり、図3のアーマチュア100は空洞またはスロット200の半径方向で最も内側の壁部分140において溝または凹所を提供する。溝または凹所は、渡り線410および420が適切な場所に配置され、誘導され、そして維持されるチャネルの形態を有してもよい。渡り線レセプタ240は半径方向の最も内側の壁部分140において構成されるので、コイル30を巻く空間は影響を受けない。従って、渡り線410および420はコイルワイヤ30から充分に離され、そして、歯12の周りにコイル30を巻く前、または巻いた後に溝または凹所に配置されることが出来る。渡り線410および420とコイルワイヤ30とは、製造順序に関わらず、常に同じ場所に配置される。これが、コイルワイヤ30と渡り線410および420とのより正確な構成を可能にし、製造プロセスをより柔軟性のあるものにすることが出来る。アーマチュア100はより小型に設計されることが出来、より小さい直径のアーマチュアが達成され、より小さくより軽量なモータとすることとなり得る。歯12における磁場がより正確に発生させられることが出来、アーマチュア10の不均衡質量のフライウェイトを減少させることが出来る。さらに、コイルワイヤは歯の周りに規則正しく巻かれることが出来、これにより、コイルの抵抗を下げ、モータの効率を改善することが出来る。
【0025】
渡り線レセプタ240は渡り線410および420の直径に対応する深さを有する。渡り線レセプタ240は渡り線410および420の直径よりも大きい深さを有してもよく、または少なくとも渡り線410および420の直径の半分よりも大きい深さを有してもよい。渡り線410および420の直径に対応するか、またはそれよりも大きい深さを有する渡り線レセプタ240は、渡り線410および420が渡り線レセプタ240内で保持されることを確実にすることが出来る。渡り線レセプタの断面形状は径方向内側に位置する底部部分244と周方向に略対向する第1の壁部分241と第2の壁部分242とを備えてもよい。第1の壁部分241と第2の壁部分242とはアーマチュアの円周方向において渡り線410および420に対するサポートをそれぞれ提供してもよい。これが、第1の壁部分241に対する第1の渡り線410の正確で安定した配置を可能にし、第2の壁部分242に対する第2の渡り線420の正確で安定した配置を可能にする。渡り線レセプタ240は第1の壁部分241と第2の壁部分242の間に、2つの渡り線410および420を巻き取るために充分な幅を有してもよい。
【0026】
第1の壁241と第2の壁242とは底部部分244に対して略垂直に構成され、長方形の断面の渡り線レセプタ240としてもよい。図3に示されるように、先細りの断面の渡り線レセプタ240を提供することが有利である。渡り線レセプタの幅は、底部部分と比較して、空洞に対して開いている上部側において小さくてもよい。これが、底部部分244とそれぞれの壁241、242とによって作られる隅において渡り線410、420を固定してより良く支持することを可能にする。
【0027】
図3に示される例において、1つの渡り線レセプタ240が両方の渡り線410、420に対して使用されるが、各渡り線に別々の渡り線レセプタを提供すること、または、3つ以上の渡り線が必要とされる場合には、3つ以上の渡り線を渡り線レセプタに配置することも可能である。
【0028】
半径方向で最も内側の面である、空洞200の異なる位置に渡り線レセプタを配置することも可能である。
【0029】
上で記載された空洞200と渡り線レセプタ240とはあらゆる既存のアーマチュア10に実装されることが出来、既存のアーマチュアは改変されることが出来る。
【0030】
本開示は特定のアーマチュア100における渡り線レセプタ240を示すが、他のアーマチュアが使用されることが出来ることと、本開示は特定の幾何形状のアーマチュアに関する特定の数の歯12または空洞に限定されないこととが当業者には明らかである。
【0031】
図4は本発明の第2の実施形態に従ったアーマチュアの断面の部分拡大図を示す。第2の実施形態においては、渡り線レセプタ250は第1の実施形態と比較して異なる形状を有する断面を有する。
【0032】
第2の実施形態において、渡り線レセプタ250は底部部分254と第1の壁部分251と第2の壁部分252とを含む。第1の壁部分251と第2の壁部分252とは互いに対して略平行に構成され、第1の壁部分251と第2の壁部分252とは共に底部部分254に対して略垂直に配置され、略長方形の断面の渡り線レセプタ250となる。第1の壁部分251と第2の壁部分252とは互いに対して略平行であるので、アーマチュアを作り出すための鋳造金型の寿命がより長くなる。
【0033】
第1の壁部分251と第2の壁部分252との間の距離は渡り線411の直径の2倍よりも大きく、半径方向の渡り線レセプタ250の深さは、渡り線411の直径の2倍よりも大きい。この形状があるので、渡り線レセプタ250は少なくとも4つの渡り線411を保持するには充分な大きさである。第2の実施形態において、渡り線レセプタ250は3つの渡り線411、421、431を保持している。渡り線レセプタ250のサイズは渡り線を保持するために特定のモータに適合するように構成されてもよい。
【0034】
当業者は、アーマチュアを改変し、異なるロータおよび異なる電気モータにアーマチュアを適応させてもよい。例えば、上で記載された好適な実施形態はインナロータ式モータのロータコアであるが、本発明はアウタロータ式モータのロータまたはステータにも適合させることが出来る。従って、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ決定される。
図1
図2
図3
図4