特許第6226274号(P6226274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226274クレーン船の吊り位置検出装置及び吊り位置検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226274
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】クレーン船の吊り位置検出装置及び吊り位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20171030BHJP
   B66C 23/52 20060101ALI20171030BHJP
   E02D 15/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B66C13/46 D
   B66C23/52
   E02D15/10
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-28515(P2014-28515)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-91729(P2015-91729A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-203427(P2013-203427)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】守屋 典昭
(72)【発明者】
【氏名】帯田 俊司
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−029279(JP,A)
【文献】 特開2007−276996(JP,A)
【文献】 特開2002−340556(JP,A)
【文献】 特開2004−189460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00 − 13/56
B66C 23/00 − 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船にあって、前記ジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するようにしたクレーン船の吊り位置検出装置において、
前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、
該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位測定手段と、
前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、
前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段と、
前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位、前記ジブ仰角計測手段より得られるジブの仰角、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離に基づいて前記ジブ先端部の位置を算出する演算手段とを備え、
前記旋回基準検出手段は、前記クレーン旋回部又は台船の何れか一方に固定された近接センサを備え、該近接センサは、前記クレーン旋回部又は前記台船の何れか他方に固定され、前記クレーン旋回部の旋回に伴って前記近接センサに対し旋回方向で相対移動する検出対象体の接近を検出するようにし、
前記演算手段は、前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出するようにしたことを特徴としてなるクレーン船の吊り位置検出装置。
【請求項2】
前記位置方位計測手段に前記GPSアンテナを一体に備え、該位置方位計測手段を前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定するようにした請求項1に記載のクレーン船の吊り位置検出装置。
【請求項3】
前記台船に船倉部を備え、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を前記旋回基準検出手段で検出するようにした請求項1に記載のクレーン船の吊り位置検出装置。
【請求項4】
台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船にあって、前記ジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するようにしたクレーン船の吊り位置検出装置において、
前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、
該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位測定手段と、
前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、
受信した電波に基づき前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測する台船位置計測手段と、
前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位、前記ジブ仰角計測手段より得られるジブの仰角、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離に基づいて前記ジブ先端部の位置を算出する演算手段とを備え、
前記演算手段は、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、
該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出するようにしたことを特徴とするクレーン船の吊り位置検出装置。
【請求項5】
台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船のジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するクレーン船の吊り位置検出方法において、
前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段とを備え、該旋回基準検出手段が前記クレーン旋回部又は台船の何れか一方に固定された近接センサを備え、該近接センサは、前記クレーン旋回部又は前記台船の何れか他方に固定され、前記クレーン旋回部の旋回に伴って前記近接センサに対し旋回方向で相対移動する検出対象体の接近を検出するようにした吊り位置検出装置を使用し、前記GPSアンテナの位置及び方位を計測するとともに、前記ジブの仰角を計測し、
前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記ジブの仰角と、事前に設定された前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置と、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度と、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離とに基づいて前記ジブ先端部の位置を算出し、
且つ、前記旋回基準検出手段で検出された前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出することを特徴としてなるクレーン船の吊り位置検出方法。
【請求項6】
前記台船に船倉部を備えるとともに、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を前記旋回基準検出手段で検出し、前記ジブが船倉部上に移動する毎に前記台船の位置及び方位を算出する請求項5に記載のクレーン船の吊り位置検出方法。
【請求項7】
台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船のジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するクレーン船の吊り位置検出方法において、
前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナとを備えた吊り位置検出装置を使用し、前記GPSアンテナの位置及び方位を計測するとともに、前記ジブの仰角を計測し、
前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記ジブの仰角と、事前に設定された前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置と、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度と、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離とに基づいて前記ジブ先端部の位置を算出するとともに、
受信した電波に基づいて前記台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測し、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、
該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出することを特徴とするクレーン船の吊り位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガット船等のクレーン船のクレーン操作支援及び操船支援に用いられるクレーン船の吊り位置検出装置及び吊り位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中構造物の基礎となる捨石マウンドの造成に際しては、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、ジブ先端より繰り出されるワイヤーとを備えたガット船等のクレーン船を使用し、クレーンによりワイヤーの先端に吊り持ちさせたグラブバケットを操作し、捨石を投入する作業が行われている。
【0003】
従来、この捨石投入作業においては、捨石を投入する位置に旗等の目印を設置し、その目印を目安にして操作者がクレーンを操作する方法が一般的であったが、この方法においては、潮流等により旗等の目印が移動してしまう虞や目視に頼るクレーン操作には熟練を要する等の問題があった。
【0004】
一方、近年においては、ジブの先端部にGPSアンテナを固定し、そのGPSアンテナの位置を計測することによりジブ先端部の正確な位置を特定し、そのジブ先端部より垂下された位置にあるグラブバケットの位置を検出する吊り位置検出装置が開発され、その吊り位置検出装置による検出データに基づいて効率的且つ容易に捨石投入作業等を行えるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
尚、このクレーン船の吊り位置検出装置では、グラブバケット等の吊り体の位置を正確に検出するためにジブ先端部の正確な位置を測定する必要があり、その為、海上を移動する台船の位置に影響されずにジブ先端部の位置を計測できるように位置計測手段を構成するGPSアンテナをジブ先端部に直接固定するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−24400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の位置計測手段を構成するGPSアンテナをジブ先端部に固定する作業は、高所での危険な作業を伴うとともに、作業が煩雑で多大な時間を要するという問題があった。
【0008】
また、捨石投入作業に使用できるガット船は、稼働スケジュールによって日毎に異なるという特殊な事情があり、そのため、吊り位置検出装置を使用毎に設置及び撤去する必要が生じ、その度に危険且つ煩雑なジブ先端部に対するGPSアンテナの固定作業を行うため、非常に効率が悪いとう問題があった。
【0009】
更に、このような吊り位置検出装置では、台船の姿勢を検出することはできず、台船の操船に関しては、別個に台船専用の位置検出装置を必要とするものであった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、GPSアンテナをガット船等のクレーン船に容易に取り付けられ、且つ、ジブ先端部の正確な位置を計測可能なクレーン船の吊り位置検出装置及び吊り位置検出方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船にあって、前記ジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するようにしたクレーン船の吊り位置検出装置において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位測定手段と、
前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段と、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位、前記ジブ仰角計測手段より得られるジブの仰角、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離に基づいて前記ジブ先端部の位置を算出する演算手段とを備え、前記旋回基準検出手段は、前記クレーン旋回部又は台船の何れか一方に固定された近接センサを備え、該近接センサは、前記クレーン旋回部又は前記台船の何れか他方に固定され、前記クレーン旋回部の旋回に伴って前記近接センサに対し旋回方向で相対移動する検出対象体の接近を検出するようにし、前記演算手段は、前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出するようにしたことにあります。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記位置方位計測手段に前記GPSアンテナを一体に備え、該位置方位計測手段を前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定するようにしたことにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記台船に船倉部を備え、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を前記旋回基準検出手段で検出するようにしたことにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船にあって、前記ジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するようにしたクレーン船の吊り位置検出装置において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位測定手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、受信した電波に基づき前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測する台船位置計測手段と、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位、前記ジブ仰角計測手段より得られるジブの仰角、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離に基づいて前記ジブ先端部の位置を算出する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出するようにしたことにある。
【0015】
請求項5に記載の発明の特徴は、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船のジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するクレーン船の吊り位置検出方法において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段とを備え、該旋回基準検出手段が前記クレーン旋回部又は台船の何れか一方に固定された近接センサを備え、該近接センサは、前記クレーン旋回部又は前記台船の何れか他方に固定され、前記クレーン旋回部の旋回に伴って前記近接センサに対し旋回方向で相対移動する検出対象体の接近を検出するようにした吊り位置検出装置を使用し、前記GPSアンテナの位置及び方位を計測するとともに、前記ジブの仰角を計測し、前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記ジブの仰角と、事前に設定された前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置と、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度と、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離とに基づいて前記ジブ先端部の位置を算出し、且つ、前記旋回基準検出手段で検出された前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出することにある。
【0016】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項5の特徴に加え、前記台船に船倉部を備えるとともに、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を前記旋回基準検出手段で検出し、前記ジブが船倉部上に移動する毎に前記台船の位置及び方位を算出することにある。
【0017】
請求項7に記載の発明の特徴は、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船のジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するクレーン船の吊り位置検出方法において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナとを備えた吊り位置検出装置を使用し、前記GPSアンテナの位置及び方位を計測するとともに、前記ジブの仰角を計測し、前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記ジブの仰角と、事前に設定された前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置と、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度と、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離とに基づいて前記ジブ先端部の位置を算出するとともに、受信した電波に基づいて前記台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測し、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るクレーン船の吊り位置検出装置は、上述したように、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船にあって、前記ジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するようにしたクレーン船の吊り位置検出装置において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段と、前記位置方位計測手段より得
られる前記GPSアンテナの位置及び方位、前記ジブ仰角計測手段より得られるジブの仰角、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離に基づいて前記ジブ先端部の位置を算出する演算手段とを備えたことにより、取付けが容易なクレーン旋回部に固定されたGPSアンテナを用いてジブ先端部の位置を正確に検出することができ、危険且つ煩雑なジブ先端部へのGPSアンテナの取付けを必要とせず、装置をクレーン船間で容易に載せ替えることができる。
【0019】
また、本発明において、前記位置方位計測手段を前記GPSアンテナと一体に備え、該位置方位計測手段を前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定することにより、装置をクレーン船間で容易に載せ替えることができる。
【0020】
更に、本発明において、前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段を備え、前記演算手段は、前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出するようにしたことにより、台船専用の位置検出装置を用いずに台船の姿勢を検出でき、装置を簡略化できる。
【0021】
また、本発明において、前記台船に船倉部を備え、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を旋回基準検出手段で検出するようにしたことにより、台船移動時でも台船専用の位置検出装置を用いずに台船の姿勢を検出することができる。
【0022】
また、本発明において、前記旋回基準検出手段は、前記クレーン旋回部又は台船の何れか一方に固定された近接センサを備え、該近接センサは、前記クレーン旋回部又は前記台船の何れか他方に固定され、前記クレーン旋回部の旋回に伴って前記近接センサに対し旋回方向で相対移動する検出対象体の接近を検出するようにしたことにより、旋回基準検出手段を簡素化することができる。
【0023】
また、本発明において、受信した電波に基づき前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測する台船位置計測手段を備え、前記演算手段は、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出するようにしたことにより、簡素な装置で台船の姿勢を検出できる。
【0024】
本発明に係るクレーン船の吊り位置検出方法は、上述したように、台船上に旋回可能に設置されたクレーン旋回部と、該クレーン旋回部に上下に回動可能に支持されたジブと、該ジブの先端より繰り出されるワイヤーとを備えたクレーン船のジブ先端部の位置に基づいて前記ワイヤーの先端に吊り持ちさせた吊り体の位置を検出するクレーン船の吊り位置検出方法において、前記クレーン旋回部の任意の位置に着脱可能に固定されるGPSアンテナと、該GPSアンテナの方位を測定するとともに前記GPSアンテナが受信した電波に基づき該GPSアンテナの位置を測定する位置方位計測手段と、前記ジブの仰角を計測するジブ仰角計測手段とを備えた吊り位置検出装置を使用し、前記GPSアンテナの位置及び方位を計測するとともに、前記ジブの仰角を計測し、前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記ジブの仰角と、事前に設定された前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置と、前記GPSアンテナの前記ジブに対する取付け角度と、前記ジブの長さ及び前記ジブの基端と前記旋回中心との間の水平方向距離とに基づいて前記ジブ先端部の位置を算出することにより、ジブ先端部にGPSアンテナを設置せずとも、取付けが容易なクレーン旋回部に固定されたGPSアンテナを用いてジブ先端部の位置を正確に検出し、ジブ先端部下に垂下されたグラブバケット等の吊り体の位置を
検出することができる。
【0025】
また、本発明において、前記クレーン旋回部の前記台船に対する所望の旋回位置を旋回基準検出手段により検出し、前記所望の旋回位置における前記GPSアンテナの位置及び方位に基づいて前記台船の位置及び方位を算出することにより、台船専用の位置検出手段を用いずに台船の位置及び方位を検出することができる。
【0026】
更に、本発明において、前記台船に船倉部を備えるとともに、該船倉部上に前記ジブが位置する際の前記クレーン旋回部の台船に対する旋回位置を前記旋回基準検出手段で検出し、前記ジブが船倉部上に移動する毎に前記台船の位置及び方位を算出することにより、随時台船の位置及び方位を検出することができる。
【0027】
また、本発明において、受信した電波に基づき前記台船上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナの位置を計測し、前記位置方位計測手段より得られる前記GPSアンテナの位置及び方位と、前記GPSアンテナの前記クレーン旋回部の旋回中心に対する相対位置とに基づき前記クレーン旋回部の旋回中心位置を算出するとともに、該旋回中心位置と、前記計測された台船位置計測用GPSアンテナの位置と、該台船位置計測用GPSアンテナと台船との相対位置に基づいて前記台船の方位を算出することにより、簡素な装置で台船の姿勢を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るクレーン船の吊り位置検出装置を備えたクレーン船の概略を示す平面図である。
図2】同正面図である。
図3】本発明に係る本発明に係るクレーン船の吊り位置検出装置の概要を示す概略図である。
図4】(a)は図3中の旋回基準検出手段の一例を示す部分拡大正面図、(b)は同a−a線断面図である。
図5】本発明に係るクレーン船の吊り位置検出方法の原理を説明する為のクレーン部分の概略図である。
図6】本発明に係るクレーン船の吊り位置検出装置を備えたクレーン船の他の実施例の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明に係るクレーン船の吊り位置検出装置及び吊り位置検出方法の実施の態様を図1図6に示した実施例に基づいて説明する。
【0030】
ここで、図中に示す座標系は、直角座標で位置を表示する場合のために策定された平面直角座標系であって、所定の経緯度が示す点を座標系原点とし、この座標系原点における子午線に一致する軸をx軸、当該x軸と直交する軸をy軸とし、それぞれ真北に向かう方向、真東に向かう方向を正とする。
【0031】
図中符号1は、捨石マウンド造成時の捨石投入に使用されるガット船等のクレーン船であって、本発明に係る吊り位置検出装置10は、このようなクレーン船1にあって、ジブ先端部4aの位置P(x,y,z)を算出し、その結果に基づいてジブ先端部4aより垂下された位置にあるグラブバケット6等の吊り体の位置を検出するようになっている。
【0032】
クレーン船1は、図1図2に示すように、台船2上の端部中央に旋回可能に支持されたクレーン旋回部3と、クレーン旋回部3に上下に回動可能に支持されたジブ4と、ジブ4の先端より繰り出されるワイヤー5とを備え、ワイヤー5の先端に吊り体としてグラブバケット6が吊り持ちされている。
【0033】
クレーン旋回部3は、台船2上面より突出した旋回台部7を介して台船2に支持され、旋回台部7上で旋回するようになっている。また、クレーン旋回部3には、クレーン操作のための操作室8を備えている。
【0034】
尚、この操作室8上及びジブ4の基端部へは、作業者が梯子やリフト装置等からなる昇降手段によって安全に昇降できるようになっている。
【0035】
台船2は、船幅方向に一定の幅を有する平面視矩形状の船倉部9を備え、クレーン旋回部3の旋回動作及びジブ4の回動動作によりジブ先端部4aが船倉部9上の任意の位置に移動でき、ワイヤー5の繰り出し動作によりグラブバケット6が船倉部9内の任意の位置に吊り下ろされて捨石等の積載物を掴めるようになっている。
【0036】
また、ジブ4の長手方向が船倉部9の側縁と平行となる際には、ジブ先端部4aが船倉部9幅方向中央、即ち、台船2の中心軸SC線上に位置するようになっている(クレーン原位置)。
【0037】
吊り位置検出装置10は、GPSアンテナ11,12と、GPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(x軸を基準とし、時計回り方向を正とする方位角α)を計測する位置方位計測手段13と、ジブ4の仰角βを計測するジブ仰角計測手段14と、位置方位計測手段13及びジブ仰角計測手段14による計測データに基づいてジブ先端部4aの位置P(x,y,z)を算出する演算手段15とを備え、稼働スケジュールによって日毎に使用できるクレーン船1が異なるという特殊な事情を鑑み、クレーン船1に対し着脱可能に設置されている。
【0038】
また、この吊り位置検出装置10は、クレーン旋回部3の台船2に対する所望の旋回位置を検出する旋回基準検出手段16を備え、演算手段15は、当該所望の旋回位置におけるGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)に基づいて台船2の位置及び方位を算出するようになっている。
【0039】
GPSアンテナ11,12は、固定用部材17を介してクレーン旋回部3の任意の位置、例えば、昇降手段を用いてアクセスし易い操作室8の上面部等に互いに所望の間隔を置いて着脱可能に固定される。
【0040】
固定用部材17の態様は、特に限定されないが、例えば、固定用部材17の下面部に磁石を備え、クレーン旋回部3上の鉄板部分に磁力により固定できるようしたものや、クレーン旋回部3上に設置された手摺等の固定物に着脱可能なアタッチメントを備えたもの等がある。また、固定用部材17をGPSアンテナ11,12の本体に対し着脱可能とし、複数種の固定用部材17を状況に応じて交換できるようにしてもよい。
【0041】
この両GPSアンテナ11,12の相対位置関係については、ジブ4に対する取付け角度γ、即ち、ジブ4の長手方向を基準とし、時計回りを正とする両GPSアンテナ11,12方向とジブ4長手方向とが成す水平方向角度を実際の計測等により求め、演算手段15に設定する。
【0042】
尚、両GPSアンテナ11,12は、両GPSアンテナ11,12間方向がジブ4長手方向と平行(γ=0)となるように固定すれば、取付け角度γの計測を省くことができる。
【0043】
一方、GPSアンテナ11と旋回中心Cとの相対位置は、それぞれGPSアンテナ11と旋回中心Cとを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形の互いに直交する各辺の距離d1,d2で表され、距離d1,d2を実際に計測する等して求め、それを演算手段15に設定する。尚、当該直角三角形の直交する各辺は、ジブ4に対しそれぞれ平行又は直交するように設定することが望ましいが、GPSアンテナ11と旋回中心Cとを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形であれば、その向きは限定されず、例えば、何れか一辺をx軸方向と平行に設定したものであってもよい。
【0044】
位置方位計測手段13は、両GPSアンテナ11,12が有線で接続されたGPS受信処理機本体18を備え、このGPS受信処理機本体18においてGPSアンテナ11,12で受信した電波に基づく各GPSアンテナ11の位置座標を計測するとともに、両GPSアンテナ11,12の位置関係に基づいて両GPSアンテナ11,12間方向、即ち、一方のGPSアンテナ11を基点とした方位(方位角α)を計測し、そのGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)の計測データをGPS受信処理機本体18より有線又は無線により演算手段15に出力するようになっている。
【0045】
尚、GPS受信処理機本体18は、両GPSアンテナ11,12と別体である場合、クレーン操作室8内に着脱可能に設置してもよく、GPSアンテナ11,12とともに操作室8上面部等のクレーン旋回部3の任意の位置に着脱可能に固定するようにしてもよい。
【0046】
また、位置方位計測手段13の態様は、上述の実施例に限定されず、方位計測にジャイロコンパス等の真方位計を使用するものであってもよく、両GPSアンテナ11,12を用いた方位計測とジャイロコンパス等の真方位計とを併用するものであってもよい。
【0047】
更に、位置方位計測手段13は、GPSアンテナ11を一体に備えたもの、例えば、両GPSアンテナ11,12とGPS受信処理機本体18とをユニット化したものを使用してもよく、その場合、GPSアンテナ11,12とGPS受信処理機本体18とが一体化された位置方位計測手段13をクレーン旋回部3の任意の位置に着脱可能に固定する。
【0048】
ジブ仰角計測手段14は、昇降手段によりアクセスし易いジブ4の基端部に着脱可能に固定される傾斜計19を備え、その計測値を有線又は無線で演算手段15に出力する。
【0049】
旋回基準検出手段16は、図4に示すように、クレーン旋回部3の下面に着脱可能に固定された近接センサ20を備え、この近接センサ20によって、台船2の旋回台部7外周部に固定されてクレーン旋回部3の旋回に伴って近接センサ20に対し旋回方向で相対移動する鉄板等の検出対象体21の接近を検出し、その検出情報を有線又は無線により演算手段15に出力する。
【0050】
近接センサ20及び検出対象体21は、船倉部9上にジブ4が位置する際、望ましくは、ジブ先端部4aがクレーン原位置、即ち、台船2の中心軸SC線上に位置する際を検出するように取り付ける。例えば、近接センサ20をクレーン旋回部3下面のジブ4の基端位置に固定し、検出対象体21を旋回台部7の台船中心軸SC線上に位置するように固定する。
【0051】
尚、ジブ4の長手方向と台船2の中心軸SCとが平行となる旋回位置を検出できるように旋回基準検出手段を設置し、ジブ4の長手方向とGPSアンテナ11の方位とが平行となるようにGPSアンテナ11をクレーン旋回部の任意の位置に取り付けることにより、台船2の方位とGPSアンテナ11の方位(方位角α)とが一致するので、台船2の方位をGPSアンテナ11の方位(方位角α)のみに基づいて検出することができる。
【0052】
演算手段15には、例えば、モニターM等の表示手段を備えたノートパソコンやタブレットPC等の持ち運び可能なコンピュータ端末を使用し、位置方位計測手段13及びジブ仰角計測手段14から送られた計測情報及び予め演算手段15に設定されたGPSアンテナ11のクレーン旋回部3の旋回中心Cに対する相対位置を示す長さd1,d2、GPSアンテナ11のジブ4に対する取付け角度γ、ジブ4の長さL、ジブ4の基端と旋回中心Cとの間の水平方向距離A及びジブ4基端とGPSアンテナ11との間の鉛直方向距離Bとに基づいてジブ先端部4aの位置P(x,y,z)を算出できるようになっている。
【0053】
また、演算手段15は、算出されたジブ先端部4aの位置P(x,y,z)とワイヤー5の繰り出し量等に基づいてグラブバケット6等の吊り体の位置を検出できるようになっている。
【0054】
ジブ4の長さL、ジブ4の基端と旋回中心Cとの間の水平方向距離A、ジブ4の基端とGPSアンテナ11との間の鉛直方向距離Bの情報については、一定値であるので、クレーン船1の設計図等から取得して或いは実際に計測して演算手段15に設定し、GPSアンテナ11のクレーン旋回部3の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2及びジブ4に対するGPSアンテナ11の取付け角度γについては、GPSアンテナ11,12の取り付け後に計測等により設定する。
【0055】
また、演算手段15は、台船2に対する旋回中心Cの位置及び当該所望の旋回位置におけるGPSアンテナ11と台船2の相対位置関係は常に一定であるので、演算手段15に台船の寸法及び台船2と旋回中心Cとの位置関係を入力することにより、所望の旋回位置を検知した際のGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1、z1)及び方位(方位角α)に基づいて台船2の位置及び方位を算出できるようになっている。
【0056】
このように構成された吊り位置検出装置10は、クレーン旋回部3の任意の位置に固定されたGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)と、ジブ仰角βとを計測し、その計測結果に基づいてジブ先端部4aの位置P(x,y,z)を正確に算出できるので、危険且つ煩雑なジブ先端部4aへのGPSアンテナ11の取付けを回避でき、安全且つ効率的にグラブバケット6等の吊り体の位置を検出することができる。
【0057】
また、このように構成された吊り位置検出装置10は、GPSアンテナ11、位置方位計測手段13、ジブ仰角計測手段14及び演算手段15がそれぞれ高所や危険個所での取付け作業を必要とせず、クレーン船1に対して容易に着脱できるので、装置全体のクレーン船間の載せ替えを容易に行うことができる。
【0058】
尚、上述の実施例では、ジブ仰角計測手段14にジブ4基端部に着脱可能に固定する傾斜計19を使用した例について説明したが、ジブ仰角計測手段14には、ジブ4の台船2に対する傾斜角度を計測する角度計等を使用してもよい。
【0059】
尚、ジブ仰角計測手段14に角度計を用いる場合には、台船2の水面に対する傾斜角を計測する船体傾斜計を併せて使用し、角度計と船体傾斜計とによりジブ4の正確な仰角を計測することが好ましい。
【0060】
また、上述の実施例では、旋回基準検出手段16に近接センサ20を使用した例について説明したが、角度センサ等を用いて台船2に対するクレーン旋回部3の相対角度を計測するようにし、当該計測値よりクレーン旋回部3の台船2に対する所望の旋回位置を検出するものであってもよい。また、旋回基準検出手段16は、検出する所望の旋回位置を複数設定するようにしてもよい。
【0061】
次に、上述の吊り位置検出装置10を使用したクレーン船の吊り位置検出方法について図5に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
まず、事前準備として、クレーン船1に吊り位置検出装置10を設置する。即ち、GPSアンテナ11,12をクレーン旋回部3の任意の位置、例えば、作業者が梯子やリフト装置等の昇降手段を用いて操作室8上に昇り、操作室8の上面部に固定するとともに、作業者が梯子やリフト装置等の昇降手段を用いてジブ4の基端部に昇りジブ仰角計測手段14を構成する傾斜計19をジブ4の基端部に固定する。
【0063】
また、GPS受信処理機本体18及びコンピュータからなる演算手段15をそれぞれ操作室8等に設置し、GPS受信処理機本体18に接続ケーブルを介して両GPSアンテナ11,12を接続する。
【0064】
そして、GPSアンテナ11の固定を終えたら、GPSアンテナ11の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2及びジブ4に対する取付け角度γを計測し、GPSアンテナ11の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2及び取付け角度γを演算
手段15に入力設定するとともに、クレーン船1の設計図等から知得したジブ4の長さL、ジブ4基端から旋回中心Cまでの水平方向距離A及びジブ4基端からGPSアンテナ11(クレーン旋回部上面)までの鉛直方向距離Bを演算手段15に入力設定する。
【0065】
尚、ジブ4の長さL、ジブ4基端から旋回中心Cまでの水平方向距離A、GPSアンテナ11の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2の設定は、手動入力により設定してもよく、特別な方法を用いて自動で設定してもよい。
【0066】
次に、実際にグラブバケット6等の吊り体の位置の検出を開始すると、位置方位計測手段13によりGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)が計測されるとともに、ジブ仰角計測手段14によりジブ仰角βが計測され、それぞれ随時演算手段15に出力され、演算手段15の記憶部に記憶される。
【0067】
そして、GPSアンテナ11の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2は既知であるので、演算手段15は、旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)と入力されたGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)との関係から、GPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)に基づき例えば、以下の式より旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)を算出する。
【0068】
【数1】
【0069】
よって、演算手段15は、ジブ4の長さL、ジブ4基端から旋回中心Cまでの水平方向距離Aは既知であるので、ジブ4の旋回半径をRとすると、ジブ先端部位置P(x,y,z)と旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)との関係よりジブ先端部位置P(x,y,z)を入力されたGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)とジブ仰角βとに基づいて、例えば、以下の式より随時算出し、その結果をモニターM等の表示手段に表示する。
【0070】
【数2】
【0071】
そして、演算手段15は、このジブ先端部4aの位置P(x,y,z)とワイヤー5の繰り出し量等に基づいて、ジブ先端部4aより垂下された位置にあるグラブバケット6等の吊り体の位置を演算により検出し、その結果をモニターM等の表示手段に表示するとともに記憶部に記憶する。
【0072】
また、演算手段15は、クレーン旋回部3の台船2に対する所望の旋回位置を旋回基準検出手段16により検出し、所望の旋回位置におけるGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)に基づいて台船2の位置及び方位を算出し、その結果を算出する毎にモニターM等の表示手段に表示するとともに記憶部に記憶する。
【0073】
即ち、台船2の真方位は、所望の旋回位置における台船2の中心軸SCとGPSアンテナ11の方位との相対関係により算出され、例えば、所望の旋回位置をジブ4が中心軸SC上にある位置とすると、台船2の方位角はα−γとなる。
【0074】
従って、演算手段15は、台船2の姿勢をクレーン旋回部3の旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)及び台船2の方位と、演算手段15に入力された台船2の寸法とに基づいて検出でき、その結果をモニターMに表示するとともに記憶部に記憶する。
【0075】
尚、船倉部9の台船中心軸線SC上にジブ先端部4aが位置する際のクレーン旋回部3の台船2に対する旋回位置を旋回基準検出手段16で検出し、ジブ先端部4aが当該船倉部9上に移動する毎に台船2の位置及び方位を算出するようにすれば、船倉部9内の積荷をグラブバケット6で掴み、その状態からクレーン旋回部3を旋回するとともにジブ4を回動させ、ジブ先端部4aを投石位置に移動させて投石作業を行い、然る後、再度クレーン旋回部3及びジブ4を動作させて原位置に復帰する一連のクレーン作業をする毎に台船2の位置及び方位が検出でき、その結果に基づいて効率的に操船及びクレーン操作を行うことができる。
【0076】
また、台船2を移動させる際、ジブ4を台船2の中心軸SC上に位置するように収納した状態とし、或いは、船倉部9内の積荷を投石作業の際にグラブバケット6で掴み易くするための均し作業等を行うようにすれば、台船専用の位置検出装置を用いずとも、操船に必要な台船2の姿勢、即ち、旋回中心位置Cと台船の方位が随時得られる。
【0077】
尚、上述の実施例では、捨石マウンド造成時の捨石投入作業等に使用されるガット船を例に説明したが、クレーン船1はガット船に限定されず、グラブ浚渫船等にも適用できる。
【0078】
更に、上述の実施例では、吊り体としてグラブバケットを挙げたが、吊り体の態様はグラブバケットに限定されず、オレンジピールバケット等の他のバケットでもよく、バケット以外の物であってもよい。
【0079】
また、本発明においては、上述した旋回基準検出手段16に換えて図6に示す如き台船位置計測手段を備えるようにしてもよい。尚、本実施例では、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
台船位置計測手段には、例えばDGPSやRTK−GPSが使用され、台船2上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナ30の位置座標P3(x3,y3,z3)を計測するようになっている。
【0081】
また、演算手段15は、位置方位計測手段13より得られるGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)と、GPSアンテナ11のクレーン旋回部3の旋回中心Cに対する相対位置関係を示す長さd1,d2とに基づいてクレーン旋回部3の旋回中心位置P2(x2,y2,z2)を算出するとともに、旋回中心位置P2(x2,y2,z2)と計測された台船位置計測用GPSアンテナ30の位置P3(x3,y3,z3)とに基づいて台船2の位置及び絶対方位(方位角φ)を算出するようになっている。
【0082】
尚、台船位置計測用GPSアンテナ30と旋回中心Cとの相対位置関係は、それぞれ台船位置計測用GPSアンテナ30と旋回中心Cとを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形の互いに直交する各辺の距離d3,d4で表され、距離d3,d4を実際に計測する等して求め、それを演算手段15に設定する。尚、当該直角三角形の直交する各辺は、台船2の全長方向に対しそれぞれ平行又は直交するように設定することが望ましい。
【0083】
この台船位置計測手段を用いて台船2の位置及び方位を算出するには、まず、事前準備として、台船2上の任意の位置に台船位置計測用GPSアンテナ30を取り付け、台船位置計測用GPSアンテナ30と旋回中心Cとの相対位置関係を示す距離d3,d4を実際に測量し、その結果を演算手段15に入力する。
【0084】
次に、実際にグラブバケット6等の吊り体の位置の検出を開始すると、位置方位計測手段13によりGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)が計測されるとともに、ジブ仰角計測手段14によりジブ仰角βが計測され、それぞれ随時演算手段15に出力され、演算手段15の記憶部に記憶される。
【0085】
そして、GPSアンテナ11の旋回中心Cに対する相対位置を示す距離d1,d2は既知であるので、演算手段15は、図5に示すように、入力されたGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)との関係から、例えば、上述の数式1により旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)を算出する。
【0086】
更に、演算手段15は、ジブ4の長さL、ジブ4基端から旋回中心Cまでの水平方向距離Aは既知であるので、ジブ4の旋回半径をRとすると、ジブ先端部位置P(x,y,z)と旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)との関係よりジブ先端部位置P(x,y,z)を入力されたGPSアンテナ11の位置P1(x1,y1,z1)及び方位(方位角α)とジブ仰角βとに基づいて、例えば、上述の数式1より随時算出し、その結果をモニターM等の表示手段に表示する。
【0087】
一方、台船2上の任意の位置に設置された台船位置計測用GPSアンテナ30の位置座標P3(x3,y3,z3)が台船位置計測手段により計測され、その計測データが随時演算手段15に出力され、演算手段15の記憶部に記憶される。
【0088】
ここで、台船位置計測用GPSアンテナ30と旋回中心Cとの相対位置関係を示す距離d3,d4は既知であり、旋回中心位置P2は上述のジブ先端位置P(x,y,z)を算出する過程で随時算出されるので、旋回中心Cの位置座標P2(x2,y2,z2)と入力された台船位置計測用GPSアンテナ30の位置座標P3(x3,y3,z3)との関係から、例えば、次式により台船2の絶対方位(方位角φ)を算出する。
【0089】
【数3】
【0090】
また、台船2全体の状態は、旋回中心位置P2又は台船位置計測用GPSアンテナ30の位置座標P3と、算出された台船2の絶対方位(方位角φ)と、予め演算手段15に入力された台船2の寸法とに基づいて検出でき、その結果をモニターMに表示するとともに記憶部に記憶する。
【0091】
尚、上述の各位置計測に使用する座標系は、上述の実施例に示す直角平面座標系に限定されず、その他の位置計測用に策定された座標系を用いてもよく、独自に設定した座標系を用いてもよい。
【0092】
また、ジブ先端部4aの位置P(x,y,z)、旋回中心Cの位置P2(x2,y2,z2)、台船2の絶対方位角φ等の算出に使用する各計算式は、上述の実施例に示した各計算式に限定されず、他の数学的手法に基づく計算式を適用してもよい。
【符号の説明】
【0093】
L ジブ長さ
A ジブ基端と旋回中心との間の水平方向距離
B ジブ基端とGPSアンテナとの間の鉛直方向距離
C 旋回中心
α GPSアンテナの方位角
β ジブの仰角
γ ジブに対するGPSアンテナの取付け角度
φ 台船の方位角
R ジブの旋回半径
1 クレーン船
2 台船
3 クレーン旋回部
4 ジブ
5 ワイヤー
6 グラブバケット
7 旋回台部
8 操作室
9 船倉部
10 吊り位置検出装置
11,12 GPSアンテナ
13 位置方位計測手段
14 ジブ仰角計測手段
15 演算手段
16 旋回基準検出手段
17 固定用部材
18 GPS受信処理機本体
19 傾斜計
20 近接センサ
21 検出対象体
30 台船位置計測用GPSアンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6