特許第6226317号(P6226317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226317インクジェット印刷機における印刷動作中の休止機能の実施方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226317
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷機における印刷動作中の休止機能の実施方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B41J2/01 305
   B41J2/01 401
   B41J2/01 451
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-153862(P2013-153862)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2014-31007(P2014-31007A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】10 2012 106 967.0
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513267899
【氏名又は名称】オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oce Printing Systems GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】メーラド ビグラリ
(72)【発明者】
【氏名】アドミル レラ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ティーマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ピルスル
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−091151(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/104845(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0182343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの印刷機(DR)を備えるインクジェット印刷システムの印刷動作中に休止機能を実施する方法であって、
印刷ヘッド(5)を有する印刷横バー(4)を備えた印刷ユニット(1)によって印刷材料ウェブ(3)を印刷し、
アウトレットドラム(9)によって、前記印刷材料ウェブ(3)は印刷動作中に、転写ゾーン(BA3)において、前記印刷横バー(4)を印刷速度で通過し、これによって、前記印刷材料ウェブ(3)上に印刷画像が形成され、
前記休止機能の開始とともに、前記印刷材料ウェブ(3)の伸張状態(D)を測定し、目標伸張状態(D_0)として記憶し、
前記休止の間に、選択可能な時点(t)での前記印刷材料ウェブ(3)の張状態を実際伸張状態(D_n)として測定して、前記目標伸張状態(D_0)と比較し、
前記実際伸張状態(D_n)が前記目標伸張状態(D_0)から偏差(ΔD)している場合には、前記印刷材料ウェブ(3)の張状態が、前記休止の開始(t=0)時の前記目標伸張状態(D_0)を取るように、前記時点(t)で前記アウトレットドラム(9)を制御し、
前記休止の終了後に、前記アウトレットドラム(9)は前記印刷材料ウェブ(3)を再び印刷速度で搬送する、
ことを特徴とする、少なくとも1つの印刷機(DR)を備えるインクジェット印刷システムの印刷動作中に休止機能を実施する方法。
【請求項2】
前記印刷材料ウェブ(3)によって駆動される、前記印刷機(DK)の前記転写ゾーン(BA3)の前と後に、前記印刷材料ウェブ(3)に配置された各エンコーダードラム(6、11)によって、当該各エンコーダードラム(6、11)の間の前記印刷材料ウェブ(3)の伸張状態(D)を求める、請求項1記載の方法。
【請求項3】
選択可能な時点(t)での前記各エンコーダードラム(6、11)の位置に相応する各計数値を求め、当該各エンコーダードラム(6、11)の計数値の差を、前記印刷材料ウェブ(3)の伸張状態(D)に対する尺度として求める、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記休止の開始(t=0)時の前記各エンコーダードラム(6、11)の計数値の差を
差の目標値としておよび前記印刷材料ウェブ(3)の目標伸張状態(D_0)に対する尺度として求め、
前記休止の間の前記選択可能な時点(t)における前記各エンコーダードラム(6、11)の計数値の差を、差の実際値(D_n)に対する尺度として、および、前記印刷材料ウェブ(3)の実際伸張状態(D_n)の尺度として求め、
前記印刷材料ウェブ(3)によって動かされる前記各エンコーダードラム(6、11)が、差が前記差の目標値(D_0)ひいては前記目標伸張状態をもたらす計数値を出力するように、差の目標値(D_0)からの前記差の実際値(D_n)の各差に依存して前記アウトレットドラム(9)を前記休止の間の前記選択可能な時点(t)において制御する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ウェブ張力センサ(10)によって、前記印刷材料ウェブ(3)のウェブ張力の際値を測定し、
印刷動作中に、前記ウェブ張力の実際値を、前記印刷材料ウェブ(3)の作張力の所定の動作目標値に閉ループ制御し、
前記休止機能の開始とともに、前記印刷材料ウェブ(3)のウェブ張力をさらに閉ループ制御する場合には、前記印刷材料ウェブ(3)が前記差の目標値(D_0)ひいては前記目標伸張状態を前記休止の間に取るように、前記印刷材料ウェブ(3)のウェブ張力の前記目標値を動作目標値から出発して変化させ、
前記休止の終了後に、前記印刷材料ウェブ(3)のウェブ張力の前記実際値を、再び、前記印刷材料ウェブ(3)のウェブ張力の前記動作目標値に閉ループ制御する、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記休止の開始時の前記各エンコーダードラム(6、11)の計数値の差を、差の目標値(D_0)として、および、前記目標伸張状態に対する尺度として求め、
前記休止の間の前記選択可能な時点(t)における前記各エンコーダードラム(6、11)の計数値の各差を、差の実際値(D_n)として求め、
前記差の目標値(D_0)からの前記差の実際値(D_n)の前記差(ΔD)に依存して、前記ウェブ張力の前記動作目標値を変え、
前記印刷材料ウェブ(3)によって動かされる前記各エンコーダードラム(6、11)が、差が前記差の目標値(D_0)ひいては前記目標伸張状態をもたらす計数値を出力するように、前記ウェブ張力の変えられた前記動作目標値によって、前記休止の間の前記印刷材料ウェブ(3)に対するアウトレットドラム(9)の転方向を閉ループ制御する、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種々の材料、たとえば紙からなるベルト状の記録担体等である印刷材料ウェブを1つまたは複数の色で印刷するためにインクジェット印刷機が使用される。このようなインクジェット印刷機の構造はたとえば欧州特許第0788882号から公知である。ドロップオンデマンド方式(DoD)で動作するインクジェット印刷機は、インクチャネルを含むノズルを備えた1つまたは複数の印刷ヘッドを有し、ノズルのアクチュエータが印刷制御部により制御され、インキ滴が印刷材料ウェブの方向に励振され、インキ滴が印刷材料ウェブの方向に向けられ、そこで印刷画像に対して圧点を加える。アクチュエータはインキ滴を熱的に(バブルジェット)または圧電的に形成することができる。
【背景技術】
【0002】
文献DE10027471には、搬送ドラムの回転速度を測定および比較することによって(すなわち印刷過程中に)、殊に搬送方向に対して横向きの印刷媒体の張力の変化を監視および修正することが記載されている。
【0003】
印刷材料ウェブを印刷する際には、印刷動作中に印刷材料ウェブを休止機能で保持することがしばしば必要である。これはたとえば印刷ジョブの校正後に見当品質をコントロールするため、または印刷材料ウェブの後処理後に問題を除去するためである。印刷材料ウェブの再始動後に、休止機能のスイッチオン後に印刷ヘッドの直下にあったウェブ区間に印刷画像障害が発生することがある。インクジェット印刷機、たとえばインクジェット印刷システムでは転写ゾーンが比較的大きいため、とくにカラー印刷では休止により発生した、この印刷画像障害が多くの刷り損じの原因となる。発生した印刷画像欠陥は、印刷画像歪みまたは色見当誤差を含んでいる。その原因は、印刷材料ウェブの膨張または収縮が休止中に生じ、これと結び付いた印刷材料ウェブの位置変化が印刷ヘッドの下に生じることである。これは殊に、長手方向で生じる。なぜならば、印刷材料ウェブは印刷ヘッドの下で、張られたままであるからである。
【0004】
図1に基づいてこれらの問題を説明する。図示されているのは印刷機DRのうち印刷ユニット1と印刷制御部2である。印刷材料ウェブ3に沿って印刷ユニット1が配置されており、この印刷ユニット1は、印刷材料ウェブ3の搬送方向PF0において見て、順次並んだ、印刷ヘッド5を備える印刷横バー4を有する。カラー印刷の場合には、たとえば印刷すべき色ごとにそれぞれ1つの印刷横バー4を設けることができる。印刷材料ウェブ3はアウトレットドラム9によって印刷横バー4を通過し、このとき印刷材料ウェブはサドル上で案内ドラム8と当接する。印刷ユニット1の入力端には回転数検出ドラムまたはエンコーダードラム6が配置されており、このエンコーダードラム6は印刷材料ウェブ3により駆動され、印刷材料ウェブ3の送り運動に依存して計数パルスを形成する。この計数パルスは印刷機制御部2に供給され、個々の印刷ヘッド5において印刷過程を開始する時点を設定するために印刷機制御部2によって使用される。印刷材料ウェブ3は、エンコーダードラム6の前に配置された駆動ドラム7によってエンコーダードラム6に供給される。
【0005】
図1には、たとえば印刷機DRの静止状態において印刷材料ウェブ3が、印刷機DRを通る個々のウェブ区間BAにおいて、印刷ユニット1または周囲の空気によってどのように影響を受け得るかが原則的に示されている。駆動ドラム7とエンコーダードラム6との間のウェブ区間BA1では印刷材料ウェブ3が周囲の空気に曝され、その結果、ここでは印刷材料ウェブ3の膨張が周囲の空気の湿気により発生し得る。しかしこれによる印刷材料ウェブ3の長さ変化は、エンコーダードラム6によっては補償されない。エンコーダードラム6の後方、印刷ユニット1までのウェブ区間BA2では周囲の空気により印刷材料ウェブ3の膨張が発生することがある。しかしこの膨張はエンコーダードラム6によって考慮されないままである。このことは印刷ユニット1の印刷ヘッド5の下方のウェブ区間BA3に対しても当てはまる。この転写ゾーンBA3では印刷材料ウェブ3が印刷ヘッド5の動作温度のため収縮することがある。しかし印刷材料ウェブ3も周囲の空気に曝され、そのためとりわけ印刷横バー4間の間隔が大きいとウェブ区間BA3が周囲の空気の湿気のため膨張することがある。両方の影響は重なり合う。これにより印刷材料ウェブ3は駆動ドラム7からアウトレットドラム9までに種々の周囲の影響に曝され、これらは印刷ウェブ3の収縮または膨張を引き起こし得る。印刷材料ウェブ3は引き続き、張った状態で、印刷横バー4を通過するように案内されるので、周囲の影響によって生じる、印刷材料ウェブ3の長さ変化は、印刷横バー4の下で、印刷材料ウェブ3のずれを生じさせる。このことは、印刷動作の休止後に、印刷過程が再始動されるときに、上述した印刷画像障害を引き起こし得る。
【0006】
特許出願DE102011054693A1(US2013/0100194A1号に相当)は、媒体の膨張または収縮を補償するための、印刷休止中の印刷媒体の張力の修正を記載している。このために、ウェブ張力センサが、ロータリーエンコーダードラムの近傍で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP0788882B1号
【特許文献2】DE10027471号
【特許文献3】DE102011054693A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の基礎とする課題は、休止機能の開始後の、温度および周囲の空気の印刷材料ウェブへの不所望の影響、とりわけ印刷休止終了後の印刷画像への不所望の影響を最小にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、印刷ヘッドを有する印刷横バーを備えた印刷ユニットによって印刷材料ウェブを印刷し、アウトレットドラムによって、前記印刷材料ウェブは印刷動作中に、転写ゾーンにおいて、前記印刷横バーを印刷速度で通過し、これによって、前記印刷材料ウェブ上に印刷画像が形成され、前記休止機能の開始とともに、前記印刷材料ウェブの伸張状態を測定し、目標伸張状態として記憶し、前記休止の間に、選択可能な時点での前記印刷材料ウェブの前記伸張状態を実際伸張状態として測定して、前記目標伸張状態と比較し、前記実際伸張状態が前記目標伸張状態から偏差している場合には、前記印刷材料ウェブの前記伸張状態が、前記休止の開始時の前記目標伸張状態を取るように、前記時点で前記アウトレットドラムを制御し、前記休止の終了後に、前記アウトレットドラムは前記印刷材料ウェブを再び印刷速度で搬送する、ことを特徴とする、少なくとも1つの印刷機を備えるインクジェット印刷システムの印刷動作中に休止機能を実施する方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インクジェット印刷機の印刷ユニットの基本図である(従来技術)。
図2】本発明によるインクジェット印刷機の印刷ユニットの基本図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
アウトレットドラムによって印刷動作中に印刷材料ウェブは、転写ゾーンにおいて張力がかけられて、印刷速度で、印刷横バーを通過する。これによって、印刷材料ウェブ上に印刷画像が形成される。休止機能の開始によって、休止の開始時に、印刷材料ウェブの伸張状態が測定され、目標伸張状態として記憶される。休止中に、選択可能な時点で印刷材料ウェブの伸張状態が、実際伸張状態として測定されて、この目標伸張状態と比較される。実際伸張状態が目標伸張状態から偏差している場合には、選択可能なこの時点で、アウトレットドラムは次のように制御され得る。すなわち、印刷材料ウェブの伸張状態が、休止開始時に目標伸張状態になるように制御され得る。この場合には、休止終了時に印刷材料ウェブは、印刷ヘッドに対して、休止の開始前に印刷材料ウェブが取っていた位置につく。休止終了後に、アウトレットドラムによって、印刷材料ウェブは再び、印刷速度で、印刷横バーを通過する。
【0012】
有利な実施例では、ウェブ張力センサによって印刷材料ウェブのウェブ張力の実際値が測定され、ウェブ張力のこの実際値が、印刷材料ウェブのウェブ張力の所定の目標値(以下、動作目標値とする)に閉ループ制御される。印刷材料ウェブのウェブ張力のこの閉ループ制御は、印刷休止中も行われる。休止機能を開始すると印刷材料ウェブのウェブ張力の目標値が、印刷材料ウェブが目標伸張状態を取り、休止終了後に休止開始前に取っていた、印刷ヘッドに対する位置を取るように、動作目標値から変化される。休止終了後、印刷材料ウェブのウェブ張力の実際値は再び、ウェブ張力の動作目標値に閉ループ制御される。
【0013】
印刷休止中に印刷材料ウェブの膨張が発生すると、たとえばウェブ張力の目標値が休止機能の開始後に下げられる。反対に、印刷休止中に印刷材料ウェブの収縮が発生すると、たとえばウェブ張力の目標値が休止機能の開始後に高くされる。
【0014】
本願発明の発展形態は従属請求項から明らかとなる。
印刷画像障害を回避するために、転写ゾーンにおける印刷材料ウェブの伸張状態を、2つのエンコーダードラムによって求めることができる。転写ゾーンの前後にはそれぞれ1つのエンコーダードラムが配置される。これらのエンコーダードラムは、印刷材料ウェブの運動によって駆動され、計数パルスを出力する。この計数パルスが計数されて、ここから、所定の時点で計数値が形成される。転写ゾーンにおける印刷材料ウェブの運動の尺度および印刷材料ウェブの伸張状態に対する尺度である、複数の計数値の差が求められる。休止機能が開始された後、アウトレットドラムは次のように制御される。すなわち、印刷材料ウェブが、少なくとも休止後に、休止開始時の印刷材料ウェブの伸張状態(目標伸張状態)に相応する伸張状態を取るように制御される。この閉ループ制御は、休止の間、常に行われる。
【0015】
本発明の方法の利点は、
・休止終了後に印刷横バー下に、休止前にこの印刷横バーの下にあった印刷材料ウェブのウェブ区間がある。この結果は、たとえば印刷材料ウェブのウェブ張力を閉ループ制御するために使用される印刷機制御部によって単独で達成される。
・印刷の質を、その時々の空調状態および印刷材料ウェブの特性に依存せずに保証することができる。これによって、コストがかかるおよびエラーを有し得る、印刷機および印刷材料ウェブの周囲に対する空調センサ装置を省くことができる。
・種々の紙の種類に対して、種々の湿気差の下で、必要なウェブ引っ張り変化に対する値を含んでいる、コストかかる特性マップが不必要になる。
【0016】
図示された実施例に基づき、本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0017】
本発明を図1および2に関連してさらに説明する。
【0018】
図1の印刷機DRは付加的にウェブ張力センサ10を有することができる。これは印刷材料ウェブ3に接して、たとえば駆動ドラム7とエンコーダードラム6との間に配置されている。ウェブ張力センサ10により検出された印刷材料ウェブ3のウェブ張力の実際値は、印刷動作中に、ウェブ張力の所定の目標値、すなわち動作目標値と比較され、実際値が目標値から偏差する場合には、たとえばアウトレットドラム9の回転数を調整することにより印刷材料ウェブ3のウェブ張力を再び動作目標値に閉ループ制御することができる。このために必要な閉ループ制御回路を印刷機制御部2内に配置することができる。
【0019】
本発明では、転写ゾーンBA3の入力側のエンコーダードラム6(第1のエンコーダードラム)の他に、第2のエンコーダードラム11(第2のエンコーダードラム)が転写ゾーンBA3の出力側に設けられる。これらのエンコーダードラム6、11は、印刷材料ウェブ3によって駆動され、印刷材料ウェブ3の運動に依存して回転し、印刷材料ウェブ3の運動に相応して計数パルスを出力する。2つのエンコーダードラム6、11によって、印刷休止中の印刷材料ウェブ3の長さ変化が測定される。このために、エンコーダードラム6、11によって出力された計数パルスがそれぞれ計数され、計数結果が計数値として、印刷材料ウェブ3の長さ変化を求めるために評価される。
【0020】
まずは、エンコーダードラム6、11の計数値が休止の開始時に定められ、2つのエンコーダードラム6、11の計数値の差が、差目標値として使用される。この差目標値は、休止開始時の、印刷材料ウェブ3の伸張状態D_0(=目標伸張状態)に対する尺度である。さらに、エンコーダードラム6、11の計数値が休止中に選択可能な時点tで求められ、時点tでこれらの計数値の差が形成される。この差実際値は、それぞれ、時点tでの印刷材料ウェブ3の実際伸張状態D_nの尺度である。差実際値D_nは、差目標値D_0と比較され、ここから、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDが求められる。
【0021】
印刷材料ウェブ3のウェブ張力を閉ループ制御するウェブ張力センサ10が設けられている場合には(図2)、印刷材料ウェブ3の伸張状態の求められたこの変化分ΔDが、ウェブ引っ張り調整の動作目標値を変えるために使用される。従って、たとえばアウトレットドラム9の回転を介して、ウェブ張力の動作目標値を変えることによって、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDを0に閉ループ制御することができる。これによって、印刷材料ウェブ3の目標伸張状態D_0が休止の開始時に得られる。
【0022】
印刷材料ウェブ3の伸張状態を調整するためにウェブ張力センサが使用されるべきでない場合には、印刷材料ウェブ3の伸張状態の求められたこの変化分ΔDが次のことのために使用される。すなわち、アウトレットドラム9の回転方向を制御して、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDが0に近似させるために使用される。この制御は、選択可能な時点tで求められたΔD値を介して常に行われる。
【0023】
従って、印刷休止開始時には、エンコーダードラム6、11の位置が開始位置の計数値として測定され、これらの計数値の差が計算される。この差の結果は、休止開始時(t=0)での、印刷材料ウェブ3の目標伸張状態D_0に対する尺度である。
D_0(D(t=0))=Enc.2−Enc.1 (1)
Enc.1=エンコーダードラム6の計数値
Enc.2=エンコーダードラム11の計数値
【0024】
この差結果D_0は、差目標値であり、これはたとえばウェブ張力目標値の変更のために使用される。
【0025】
休止中の所定の時点tにおいて、さらなる差の値D_nが、式(1)に従って、差の実際値として求められ、差の目標値D_0と比較され、これによって、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDが求められる。ここで閉ループ制御の目的は、たとえば、ウェブ張力を変えることによって、差の目標値とひいては目標伸張状態D_0を保持することである。
D_n−D_0=ΔD (2)
【0026】
印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDは、0に保たれるべきである。ウェブ張力の動作目標値BZ_Sollはたとえば変えられる
BZ_soll=BZ_soll+kΔD (3)
【0027】
kは、修正ファクターである。この修正ファクターは、印刷材料ウェブの長さ変化に対するウェブ引っ張り変化の比に依存し、たとえば、測定によって求められる。
【0028】
ウェブ張力センサが用いられるべきでない場合には、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDは、アウトレットドラム9の直接的な駆動制御に対して使用される。ΔDが正か負かに依存して、アウトレットドラム9は、ある方向または逆の方向に回転する。選択可能な時点tで制御が行われるので、アウトレットドラム9は次のように回転される。すなわち、印刷休止の間に、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDが0に近似する、ないしは印刷材料ウェブ3が、差の目標値D_0を取るように回転される。ある紙の種類に対して、印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化分ΔDに対してそれぞれ、アウトレットドラム9の回転の程度が既知である場合には、印刷材料ウェブ3での測定値によって、差の目標値D_0が調整される。
【0029】
以下では、ウェブ張力センサ10の使用時およびウェブ張力センサの不使用時の方法の流れを説明する
【0030】
a)ウェブ張力センサ10の使用
印刷動作が休止に移行すると、冒頭に述べた問題が生じる。たとえば、印刷材料ウェブ3は、湿気に曝される場合には休止中に膨張することがある。または印刷材料ウェブは熱に曝される場合には縮むことがある。
【0031】
・第1の場合、印刷休止中の印刷材料ウェブ3の膨張時には、ウェブ張力が減少する。閉ループ制御回路は活動し続けけるので、動作時の印刷休止中に本発明を適用しなければ、印刷材料ウェブ3のウェブ張力が再び動作目標値にされ、印刷材料ウェブ3はたとえばアウトレットドラム9により前方に送られる(図1および図2の矢印PF1)。
【0032】
・第2の場合、印刷休止中の印刷材料ウェブ3の収縮時にウェブ張力が増大する。ここでは本発明を使用しなければ、印刷休止中に閉ループ制御によって印刷材料ウェブ3のウェブ張力が、ウェブ張力の動作目標値に達するまで減少され、印刷材料ウェブ3がアウトレットドラム9によって逆方向に移動される(図1および図2における、矢印PF1とは反対の矢印PF2)。
【0033】
両方の場合とも休止中に印刷材料ウェブ3が移動され、その結果、休止の終了後には印刷ヘッド5に対する印刷材料ウェブ3の位置が、休止前の印刷材料ウェブ3の位置と比較して変化している。結果として、印刷ヘッド5により形成される印刷材料ウェブ3を休止後に印刷する圧点がこの圧点の目標位置に対してずらされ、印刷画像障害が発生するだろう。
【0034】
この印刷画像障害を回避するために本発明では、ウェブ張力を閉ループ制御する駆動ユニットにおいてウェブ張力の目標値を、動作目標状態から出発して変化させて、印刷材料ウェブの長さ変化(印刷材料ウェブ3の伸張状態の変化)によって、休止中に生じた、転写ゾーンBA3内で印刷材料ウェブ3のシフト分が逆行するようにされる。ここで、ウェブ張力の目標値の閉ループ制御は、印刷休止の間、常に行われる。
【0035】
第1の場合(印刷材料ウェブ3の膨張)には、本発明の閉ループ制御を用いることなく、ウェブ張力の動作目標値を調整することが試みられるのであれば、この結果、アウトレットドラム9は、矢印PF1の方向に動かされる。本発明による閉ループ制御時には、ウェブ張力の目標値の値は、閉ループ制御時に動作目標値から出発して低下され、アウトレットドラム9は、印刷材料ウェブ3を矢印方向PF2において、エンコーダードラム6、11が計数値を出力するまで動かす。これらの計数値の差は、印刷休止の開始時(t=0)の差の目標値(=目標伸張状態)D_0に相応する。こうして膨張によって形成された印刷材料ウェブ3の延長が、印刷ヘッド5下の休止終了後の印刷材料ウェブ3の位置のずれを引き起こさない。アウトレットドラム9は印刷材料ウェブ3を、膨張による延長が休止の経過後に補償されるよう引っ張る。
【0036】
温度上昇による印刷材料ウェブ3の収縮の際の関係がこれと相応に処理される。第2の場合(印刷材料ウェブ3の収縮)には、本発明の閉ループ制御を用いずに、ウェブ張力の動作目標値を調整することが試みられる場合には、この結果、アウトレットドラム9は、矢印PF2の方向に印刷材料ウェブ3を動かす。本発明による閉ループ制御時には、ウェブ張力の目標値の値は、動作目標値から出発して高められて、閉ループ制御が次のように行われる。すなわち、エンコーダードラム6、11の計数値の差が、差の目標値(目標_伸張状態)D_0になるまで、アウトレットドラム9が印刷材料ウェブ3を矢印PF1の方向に動かすように行われる。すなわち、ウェブ張力の目標値は、次のような値だけ変えられる。すなわち、印刷材料ウェブ3が、印刷材料ウェブ3のウェブ張力の閉ループ制御を介して、印刷過程の再始動時に、印刷ヘッド5に対して、休止開始前に存在していた位置を取るような値だけ変えられる。これによって印刷エラーが排除される。
【0037】
b)この方法が、ウェブ張力センサを用いずに行われる
【0038】
・第1の場合(印刷材料ウェブ3の膨張)には、アウトレットドラム9は次のように駆動制御される。すなわち、アウトレットドラム9が印刷材料ウェブ3を、エンコーダードラム6、11が計数値を出力するまで動かすように駆動制御される。これらの計数値の差は、印刷休止の開始時(t=0)の差の目標値D_0に相応する。こうして膨張によって形成された印刷材料ウェブ3の延長が、休止終了後の、印刷横バー4に対する印刷材料ウェブ3の位置のずれを引き起こさない。
【0039】
・第2の場合(印刷材料ウェブ3の収縮)時に、アウトレットドラム9は次のように制御される。すなわち、アウトレットドラム9が印刷材料ウェブ3を、エンコーダードラム6、11が計数値を出力するまで、矢印PF1の方向に動かすように制御される。これらの計数値の差は、差の目標値D_0に相応する。これによって、印刷材料ウェブ3は、印刷過程の再始動時に、休止開始前に存在していた位置を取る。
【0040】
本発明の方法を実施するのに必要な回路コンポーネントは、印刷制御部2内に組み込み可能である。これらによって機能が式(1)〜(3)に相応して実施されるので、これらは、当業者によく知られた既知のコンポーネントによって実現される。
【符号の説明】
【0041】
1 印刷ユニット
2 印刷機制御部
3 印刷材料ウェブ
4 印刷横バー
5 印刷ヘッド
6 エンコーダードラム
7 駆動ドラム
8 案内サドル
9 アウトレットドラム
10 ウェブ張力センサ
11 エンコーダードラム
DR 印刷機
DS 印刷システム
PF 印刷材料ウェブの運動方向
図1
図2