特許第6226330号(P6226330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226330
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】散薬供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20171030BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   A61J3/00 310E
   B65B1/30 B
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-230848(P2014-230848)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-93283(P2016-93283A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−226086(JP,A)
【文献】 特開2007−097667(JP,A)
【文献】 特開2008−149036(JP,A)
【文献】 特開2005−272081(JP,A)
【文献】 特開2014−088193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
B65B 37/18
G01G 19/14
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬カセットから散薬を少しずつ落下排出させる散薬連続送出部と、その落下散薬を受け入れて一時貯留する開閉弁付き計量ホッパと、前記計量ホッパを支承しうる第1支承部材と、前記計量ホッパを支承しうる第2支承部材と、前記第1支承部材と前記第2支承部材との何れか一方または双方を昇降させて相対距離を拡縮することで何れか一方にだけ前記計量ホッパを支承させる支承部材切替手段と、前記第1支承部材を測定対象とすることにより前記第1支承部材とそれに支承されているものとの総重量を測定する重量計測手段と、前記計量ホッパを叩く叩打機構と、前記開閉弁を開閉させるホッパ開閉駆動機構とを備えた散薬供給装置であって、前記ホッパ開閉駆動機構にて前記開閉弁を閉状態にするとともに前記支承部材切替手段にて前記第1支承部材に前記計量ホッパを支承させてから前記散薬連続送出部に散薬排出を行わせつつ前記重量計測手段にて重量測定を行い、その重量測定結果に基づいて指定の一分割量の散薬排出の完了を検知すると前記散薬連続送出部に散薬排出を停止させるとともに前記支承部材切替手段にて前記第2支承部材に前記計量ホッパを支承させてから前記ホッパ開閉駆動機構にて前記開閉弁を開状態にするとともに前記叩打機構にて前記計量ホッパを叩くようになっており、更に、前記叩打機構が前記重量計測手段の測定対象から外れた所に設けられていることを特徴とする散薬供給装置。
【請求項2】
前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが着脱可能なものであり、前記計量ホッパが前記第1支承部材に支承されている状態では前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが離脱し、前記計量ホッパが前記第2支承部材に支承されている状態では前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが係合するようになっていることを特徴とする請求項1記載の散薬供給装置。
【請求項3】
前記散薬カセットの口から排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段を備え、前記重量計測手段の重量測定結果と前記撮像計測手段の算出結果とに基づいて一分割量の散薬排出の完了を検知するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された散薬供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、散薬カセットから散薬を少しずつ送り出しながら送出量を計測することで必要量だけ供給する謂わば計量分割式の散薬供給装置に関し、詳しくは、散薬を分割供給の度に一時貯留する散薬供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
散薬供給装置の典型的な利用は散薬分包機への組込や付設であり、その散薬分包機は、処方総量以上の薬剤を一包分(一回服用分,一回施用分)ずつに分割して逐次供給する散薬供給装置と、分包紙(分包帯)を区画しながら各区画室に散薬を封入する包装装置とを具備していて、散薬供給装置から包装装置の投入ホッパへ粉状や顆粒状の散薬を一包分ずつ送り込んで分包するようになっている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、そのような散薬供給装置の一般的な構成例として配分分割式が挙げられるが、配分分割式は、さらに、散薬配分域に分割マスを一直線状に配した比較的簡素で人手配分向きの直線配分式と、円環状の散薬配分域に配した部材を循環回転させる自動配分向きの回転配分式とに大別される。
後者の回転配分式の散薬供給装置は(例えば特許文献1,2参照)、散薬を定量で又は可変量で少しずつ逐次供給する散薬フィーダと、散薬フィーダから供給された散薬を回転しながら受けることにより散薬を均等に分布させて保持する回転式環状受部材と、回転式環状受部材から一包分ずつ分割して包装装置へ送り込む分割機構とを備えている。
【0004】
回転式環状受部材としては、多数の分割マス体を環状に配列した散剤分割器や、環状の平坦な載置面を有するターンテーブル、R溝などと呼ばれる凹形弧状溝を環状にした環状受皿を有するターンテーブル(例えば特許文献1,2参照)などが用いられる。予め多数の分割マス体に区画されている散剤分割器を回転式環状受部材に用いた場合、散剤分割器に散薬を配分するのに随伴して分割がなされ、個々の分割マス体が底面を開くことで排出引き渡しがなされるので、分割精度を高め易い。これに対し、予め区画されていない環状載置面や環状受皿を回転式環状受部材に用いた場合(例えば特許文献1,2参照)、環状載置面や環状受皿の上に配分された散薬を切出装置にて環状載置面や環状受皿から任意の角度分ずつ切り出すことで分割がなされるので、分割数の変更が容易である。
【0005】
散薬供給装置の他の構成例として、散薬カセットから散薬を定量で又は可変量で少しずつ送り出しながら送出量を計測することで必要量だけ供給する計量分割式が挙げられ、その計量方式には、スクリュー回転数などから送出量を算出する容積計測方式や、送出側か受取側で重量を測定する重量計測方式(例えば特許文献1,2参照)、落下中の散薬を撮った画像から送出量を算出する謂わば撮像計測方式がある(例えば特許文献3参照)。
容積計測方式や重量計測方式は、それだけで微量の散薬を精度良く測定しようとすると時間とコストが嵩むため、一包分ずつの散薬分割でなく、一患者分ずつの散薬分割に用いられてきたが(例えば特許文献1,2参照)、撮像計測方式や、それと重量計測方式との組合せ方式は、一包分ずつの微少な散薬の分割まで実用に適うものとなっている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
散薬供給装置に着脱される散薬カセットは、二種類に大別され、その一つは、散薬を収容する容器部に対して散薬逐次送出用の散薬排出部が固定的・一体的に組み付けられている散薬カセットであり(例えば特許文献1,2や特許文献3図1参照)、スクリューやドラムといった散薬逐次送出用の可動部材が散薬排出部や容器部に内装されている。
そして、このような散薬カセットを用いる散薬供給装置は、散薬カセットが装着されると、容器部を固定した状態で可動部材を軸回転させることによって散薬カセットから散薬を逐次排出させ、軸回転を止めることで散薬逐次排出を停止させるようになっている。
【0007】
もう一つの散薬カセットは、そのような内装の可動部材を持たない簡素な散薬カセットである(例えば特許文献3図6(b)参照)。この散薬カセットは、散薬を収容する容器部が有底円筒状の容器であり、その筒状部の両端のうち底側の端面は閉じているが反対側の端面は開口しており、その開口を開閉する蓋が脱着されるようになっている。
そして、このような散薬カセットを用いる散薬供給装置は、散薬カセットが縦向きでなく横向きで装着されるようになっており、散薬カセットが装着されると、円筒状の散薬カセットを円筒軸方向横向き状態で保持しながら、蓋を少しだけ開けて容器部を軸回転させることにより、可動部材が内装されていなくても散薬を少しずつ落下排出させるとともにその際には開口の縁に沿って排出散薬を薄く広げて落下させるものとなっている。
【0008】
さらに、排出薬剤を落下させているときの処理に関しては、薬剤落下部材や薬剤収集機構などの薬剤落下経路に対してその経路を開閉する部材を設けることで薬剤を分割供給の度に一時貯留するようになった薬剤分包機が知られている(例えば特許文献4参照)。
また、散薬を排出し終えたときの処理に関しては、散薬収容器の内壁面に付着して残留しようとする散薬までも強制的に下方へ落下させるために叩打子にて散薬収容器を繰り返し軽く叩打するようになった散薬フィーダが知られている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−080043号公報
【特許文献2】特開平11−114021号公報
【特許文献3】特開2013−48899号公報
【特許文献4】特開2001−087353号公報
【特許文献5】特開2005−272081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、計量分割式の散薬供給装置には回転式環状受部材等が不要で小形化しやすいという利点があるところ、最近開発された横置き円筒カセット回転方式の散薬供給装置は(例えば特許文献3図6(b)参照)、計量分割式なのでその利点を引き継いでいるうえ、一包分ずつの微量な散薬であっても自動で可変量の分割と明確な計量が行えるとともにその繰り返しによって一処方分や一患者分ずつの散薬分割まで自動化できるものとなっている。
【0011】
また、そのような横置き円筒カセット回転方式の散薬供給装置では、重量計測方式を採用するに際しては、落下した散薬を受け入れて一時貯留する下流側の受入部材を含んだ機械部分の重量を測定する方が上流側のカセット等の重量測定より微小重量測定に適しているので、下流側の受入部材等の重量を測定するようになっている。
さらに、撮像計測方式も採用したうえで、散薬カセットから排出される散薬がカセット口のところで恰も薄く且つ幅広く引き伸ばされたかのような展開状態になってから落下することに受入部材を適合させるために、断面V字形の長い樋状部材を受入部材に採用するとともに、それを旋回させて薬剤を包装紙に投入するようになっている。
【0012】
しかしながら、このような長尺形状や旋回動作の受入部材を包装装置に採用したのでは、小形の投入ホッパを昇降させることで散薬の舞い上がりを抑えながら短時間で小さな分包を作れるように改良を重ねてきた既存の投入ホッパ方式の利点が失われてしまい、高速包装の実現が難しい。また、他の計量分割式の散薬供給装置については、例え一包分ずつの散薬分割に適う微少流で散薬を排出できるようになったとしても、直接の散薬供給先が包装装置でなく散薬フィーダや転動式カップ等であったことから、下流側の受入部材等の重量測定等に基づく散薬分割を小刻みに素早く行うことまでは考慮されなかった。
【0013】
そのため、小流量散薬の小刻みな分割を短周期で速やかに行うべく、落下散薬を受け入れて分割量だけ一時貯留しうる開閉式のホッパを重量測定対象の受入部材に採用することが考えられるが、散薬分割量・散薬貯留量が微量になることから、ホッパ閉時には微小重量の測定精度を上げるとともに、ホッパ開時には貯留散薬・分割散薬を迅速に而もホッパに付着して残留する散薬がほとんど無くなるように落下させることが求められる。
そこで、散薬カセットから少しずつ排出された散薬を開閉式ホッパにて迅速かつ正確に微量分割しうる計量分割式の散薬供給装置を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の散薬供給装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、散薬カセットから散薬を少しずつ落下排出させる散薬連続送出部と、その落下散薬を受け入れて一時貯留する開閉弁付き計量ホッパと、前記計量ホッパを支承し(即ち取り外し可能に受けて支え)うる第1支承部材と、前記計量ホッパを支承しうる第2支承部材と、前記第1支承部材と前記第2支承部材との何れか一方または双方を昇降させて相対距離を拡縮することで何れか一方にだけ前記計量ホッパを支承させる支承部材切替手段と、前記第1支承部材を測定対象とする重量計測手段と、前記計量ホッパを叩く叩打機構と、前記開閉弁を開閉させるホッパ開閉駆動機構とを備えた散薬供給装置であって、前記ホッパ開閉駆動機構にて前記開閉弁を閉状態にするとともに前記支承部材切替手段にて前記第1支承部材に前記計量ホッパを支承させてから前記散薬連続送出部に散薬排出を行わせつつ前記重量計測手段にて重量測定を行い、その重量測定結果に基づいて一分割量の散薬排出の完了を検知すると前記散薬連続送出部に散薬排出を停止させるとともに前記支承部材切替手段にて前記第2支承部材に前記計量ホッパを支承させてから前記ホッパ開閉駆動機構にて前記開閉弁を開状態にするとともに前記叩打機構にて前記計量ホッパを(直に又は前記第2支承部材等を介して間接的に)叩くようになっていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の散薬供給装置は(解決手段2)、上記解決手段1の散薬供給装置であって、前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが着脱可能なものであり、前記計量ホッパが前記第1支承部材に支承されている状態では前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが離脱し、前記計量ホッパが前記第2支承部材に支承されている状態では前記ホッパ開閉駆動機構と前記開閉弁とが係合するようになっていることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の散薬供給装置は(解決手段3)、上記解決手段1,2の散薬供給装置であって、前記叩打機構が前記重量計測手段の測定対象から外れた所に設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の散薬供給装置は(解決手段4)、上記解決手段1〜3の散薬供給装置であって、前記散薬カセットの口から排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段を備え、前記重量計測手段の重量測定結果と前記撮像計測手段の算出結果とに基づいて一分割量の散薬排出の完了を検知するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段1)、上流側の散薬連続送出部から落下散薬を受け入れて一時貯留する下流側の受入部材として軽量化や高速化に適した開閉式の計量ホッパを採用したうえで、その計量ホッパに散薬連続送出部から散薬を受け入れるときには、計量ホッパを重量測定対象の第1支承部材にて支承してから行うようにしたことにより、重くなりがちな上流側の機械部分でなく下流側の機械部分に一時貯留散薬を加えた重量が測定されるので、測定レンジが小さめで高精度の機器が使えるため、ホッパ閉時の重量測定に際して散薬が微量であっても高い精度で測定することができる。
【0019】
しかも、計量ホッパの開閉弁を開けて計量ホッパから貯留散薬を落下排出させるときには計量ホッパを第2支承部材にて支承してから叩くようにしたことにより、ホッパ開時には極微量の散薬まで付着させないで漏れなく而も速やかに計量ホッパから落下放出させることができるうえ、重量計測手段には、叩打の影響が及ばないことから、叩打に耐える堅牢性が要らないので、測定精度を優先させて精度の良いものを採用することができる。また、その処理に必要な計量ホッパの持ち替えが、逆さ錐台状・漏斗状のホッパ形状に適合した二つの支承部材と支承部材切替手段とによる昇降にて簡便に具現化されている。
従って、この発明によれば、散薬カセットから少しずつ排出された散薬を開閉式ホッパにて迅速かつ正確に微量分割しうる計量分割式の散薬供給装置が簡便に実現される。
【0020】
また、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段2)、計量ホッパの開閉に用いられるホッパ開閉機構のうち開閉弁等の受動部材は計量ホッパに常設されているが、それを駆動するホッパ開閉駆動機構は、開閉弁の開閉が必要なときに係合し、開閉不要な重量測定時には開閉弁から離脱するようにしたことにより、開閉弁付きであっても計量ホッパが軽量化されるので、微量散薬をより高い精度で測定することができる。
しかも、そのように開閉弁ひいては計量ホッパがホッパ開閉駆動機構に対して着脱可能になっていることと、上述したように計量ホッパが第1,第2支承部材に対しても取り外し可能になっていることとが相まって、計量ホッパは、受動部材だけからなり而も散薬供給装置に対して着脱可能なものとなっているので、計量ホッパを散薬供給装置から取り外して行う洗浄等の作業が遣りやすいものとなっている。
【0021】
さらに、本発明の散薬供給装置にあっては(解決手段3)、叩打機構が重量測定対象から外れているので、計量ホッパ等の重量ひいてはホッパ内の微量散薬を高い精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1について、散薬供給装置の構造を示し、(a)が散薬供給動作可能状態の概要右側面図、(b)が散薬連続送出部を跳ね上げた状態の概要右側面図、(c)が散薬受入姿勢の計量ホッパとその保持部等の右側面図、(d)が散薬放出姿勢の計量ホッパとその保持部等の右側面図である。
図2】(a)が散薬供給装置の外観斜視図、(b)が散薬カセットを保持した状態の内部機構等の右側面図である。
図3】(a)が蓋を閉めた散薬カセットの斜視図、(b)が蓋を外した散薬カセットの斜視図、(c)が有底円筒状容器の底面図、(d)が有底円筒状容器の立面図である。
図4】(a)が散薬カセットから散薬を少しずつ落下排出しているところの右側面図、(b)が計量ホッパから一時貯留散薬を素早く落下放出しているところの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
このような本発明の散薬供給装置について、その実施に好適な具体的形態を幾つか挙げる。既述したように、最近開発された横置き円筒カセット回転方式の散薬供給装置は、一包分ずつ自動で可変量の分割と明確な計量が行われるとともにその繰り返しによって一処方分や一患者分ずつの散薬分割まで自動化されるうえ回転式環状受部材等が不要で小形化しやすいという計量分割式の利点を引き継いでいるのに加え、着脱される散薬カセットにスクリュー等の可動部材を内装する必要がなくて散薬カセットの構造まで簡素になるので、カセット内を容易かつ迅速に清掃することができるうえ、多数の散薬カセットを散薬棚等に揃えておいてもコストが比較的低く抑えられるので多種類の散薬を取り扱うことができる。しかも、散薬カセットが可動部材を内装していなくても、散薬排出時に円筒状容器が軸回転するのに随伴して収容散薬が容器内周面から次々に崩落して混じり合う態様で全体的に無理なく撹拌されるので、散薬の塊を優しくほぐせるばかりか、予め混合しておいた予製剤なども混合比を変化させたり分離させたりせずに送り出すことができる。
【0024】
[第1実施形態]
しかしながら、初期に開発された円筒カセット回転方式の散薬供給装置は(例えば特許文献3図6(b)参照)、装着された散薬カセットをほぼ水平な状態で保持するようになっていた。このため、散薬カセットに収容されている散薬が少なくなると、散薬の排出速度が下がって、散薬供給や散薬分包の能率が低下する、という不都合があった。
そこで、散薬カセットの収容散薬量が減っても散薬の排出速度がさほど下がらない円筒カセット回転方式の散薬供給装置を実現することが求められる。
【0025】
第1実施形態の散薬供給装置は、このような要請にも応えるべく創案されたものであり、上述した解決手段の散薬供給装置であって、前記散薬連続送出部が、有底円筒状容器の口に蓋をした散薬カセットを着脱可能に保持するカセット保持機構と、前記カセット保持機構に保持されている散薬カセットを軸回転させる回転駆動機構と、前記散薬カセットの蓋に作用して前記散薬カセットの口を開け閉めするカセット開閉機構とを具備したものであり、
更に、前記散薬カセットの口から排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段(第4解決手段では前記撮像計測手段)を備え、前記計量ホッパの上部開口が、前記散薬カセットの前記口より幅広になっており、前記カセット保持機構が、前記散薬カセットを底側より口側の低い傾斜状態で保持するようになっていることを特徴とする。
【0026】
このような散薬供給装置にあっては、横置き円筒カセット回転方式を継承しつつも、散薬カセットが水平保持されるのでなく、口側が底側より低くなるよう傾けた状態で散薬カセットが保持されるようにしたことにより、傾きに応じた重力分力が収容散薬に対して口側への推進力として作用するため、散薬カセットに収容されている散薬が少なくなっても、その割には散薬の排出速度が下がらないので、傾きを適度に設定や調整しておけば散薬供給や散薬分包の能率を必要レベルに維持することができる。
従って、第1実施形態によれば、散薬カセットの収容散薬量が減っても散薬の排出速度がさほど下がらない円筒カセット回転方式の散薬供給装置を実現することができる。
【0027】
[第2実施形態]
また、初期に開発された円筒カセット回転方式の散薬供給装置は(例えば特許文献3図6(b)参照)、ほぼ水平な散薬カセットの円筒後端部を回転輪に載せて回転輪外周面と散薬カセット外周面との接触摩擦にて回転駆動を行うようになっていた。このため、回転駆動状態が散薬カセットの円筒端部の外周面の状態や散薬カセットの収容散薬量の変化に影響され、それによっても散薬の排出速度が不所望に変化することがあった。
そこで、散薬カセットの回転速度が変動しにくい円筒カセット回転方式の散薬供給装置を実現することも求められる。
【0028】
第2実施形態の散薬供給装置は、このような要請にも応えるべく創案されたものであり、上述した解決手段であって、前記散薬連続送出部が、有底円筒状容器の口に蓋をした散薬カセットを着脱可能に保持するカセット保持機構と、前記カセット保持機構に保持されている前記散薬カセットを軸回転させる回転駆動機構と、前記散薬カセットの蓋に作用して前記散薬カセットの口を開け閉めするカセット開閉機構とを具備したものであり、
更に、前記散薬カセットの口から排出されて落下している散薬を撮像装置で撮ってその画像から散薬送出量を算出する撮像計測手段(第4解決手段では前記撮像計測手段)を備えており、前記計量ホッパの上部開口が、前記散薬カセットの前記口より幅広になっており、前記回転駆動機構が、前記散薬カセットの底面中央に形成されている穴に駆動軸の先端部を軸方向遊嵌状態かつ回転方向係止状態で嵌合させて前記散薬カセットを軸回転させるようになっていることを特徴とする。
又は上述した第1実施形態の散薬供給装置であって、前記回転駆動機構が、前記散薬カセットの底面中央に形成されている穴に駆動軸の先端部を軸方向遊嵌状態かつ回転方向係止状態で嵌合させて前記散薬カセットを軸回転させるようになっていることを特徴とする。
【0029】
このような散薬供給装置にあっては、回転伝動が散薬カセット底面中央の穴と駆動軸の先端部との嵌合にてなされるようにしたことにより、散薬カセットと駆動軸とが回転方向には機械的係止状態になることから、散薬カセットが駆動軸に従って軸回転するので、散薬カセットの回転状態が安定する。また、散薬カセット側の回転伝動手段がカセット底面に在っても突出しない穴であるため、装置から外した散薬カセットを縦置きできるので、多数の散薬カセットを散薬棚等に並べておくのに好都合である。特に、底側が口側より高くなるよう傾けた状態で散薬カセットが保持されるようにした第1実施形態の副作用として、散薬カセットの底側である円筒後端部と回転輪との摩擦力が弱まって、これが上述した収容散薬量の変化等による散薬の排出速度の不所望な変化に拍車をかけることにもなりかねないが、そのような不都合が回避できて、散薬カセットの回転状態が安定する。
従って、第2実施形態によれば、散薬カセットの回転速度が変動しにくい円筒カセット回転方式の散薬供給装置を実現することができる。
【0030】
[第3実施形態]
第3実施形態の散薬供給装置は、上記第1,第2の実施形態の散薬供給装置であって、前記カセット開閉機構が、前記散薬カセットの蓋の最上部を前記散薬カセットの口に当接させつつ前記散薬カセットの蓋の下部を前記散薬カセットの口から離隔させることにより前記散薬カセットの口を開けるようになっていることを特徴とする。
【0031】
このような第3実施形態の散薬供給装置にあっては、口側が底側より低くなるよう傾けた状態で散薬カセットが保持されるようにした第1実施形態の副作用や、散薬カセットの底面に後方から駆動軸の先端部を遊嵌とはいえ嵌入する第2実施形態2の副作用として、散薬カセットが前に位置ずれし易くなりかねないが、散薬カセットの蓋の最上部が散薬カセットの口に当接するようにもしたことにより、散薬カセットの前方に専用の複雑なカセット位置ずれ防止機構などを設けるまでもなく、元より散薬カセットの前方に設けられているカセット開閉機構によって、簡便かつ的確に、散薬カセットの前向き位置ずれが防止される。
【0032】
しかも、散薬カセットの口を開けるときには、散薬カセットの蓋の最上部が散薬カセットの口に当接した状態のまま、散薬カセットの蓋の下部が散薬カセットの口から離れるようにしたことにより、更なる利点まで享受できることになった。すなわち、開時に蓋を口から全周一様に離すと、散薬カセットの口から排出される散薬が下方だけでなく左右の横方向へも向かうところ、散薬収容量が多くて満杯に近いほど、更に散薬カセットの傾斜が急で収容散薬が口側に集中するほど、横方向へ大きく広がる傾向が強いうえ、その量や範囲が不所望に変動しやすいが、上側を閉じたまま下側を開けるようにしたことにより、不所望な変動が抑制されて、散薬の落下排出状態が安定するので、撮像計測や重量計測が正確になるとともに、閉動作時の散薬分割状態が安定して分割精度も向上する。
【0033】
[第4実施形態]
第4実施形態の散薬供給装置は、上記第3実施形態の散薬供給装置であって、前記カセット保持機構が、(保持している)前記散薬カセットの軸回転を許容しつつ前記散薬カセットを下から支える支承部材を具備しており、前記支承部材が、前記散薬カセットの外周面に形成されている(環状溝や鍔状張出などの)環状係合部に上端部を(遊挿や遊嵌などで)係合しうるものであって、係合時に前記散薬カセットの落下と前進を阻止するようになっていることを特徴とする。
【0034】
このような第4実施形態の散薬供給装置にあっては、カセット保持機構において散薬カセットを下から軸回転可能に支える支承部材として、散薬カセットの外周面の環状係合部に上端部を係合しうるものを採用し、係合時には散薬カセットの落下だけでなく前進までも支承部材によって阻止されるようにしたことで、散薬カセットの前方に専用の複雑なカセット位置ずれ防止機構などを設けるまでもなく、簡便かつ的確に、散薬カセットの前向き位置ずれが防止される。そして、そのようなカセット保持機構による散薬カセット前向き位置ずれ防止機能と第3実施形態のカセット開閉機構による散薬カセット前向き位置ずれ防止機能とが同時に発揮されることによって、散薬カセットの前進力が両機構に分散されるので、散薬カセットの蓋が開時に散薬カセットの口に当接するのが蓋の最上部に限られる状態で使用されても、更に蓋が薄くても、蓋の不所望な変形や破損を回避することができる。
【0035】
このような本発明の散薬供給装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜4に示した実施例1は、上述した解決手段1〜4(出願当初の請求項1〜4)及び第1〜第4の実施形態を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0036】
この実施例1では、散薬供給装置10の説明に先立って、それに使用される散薬カセット90を説明する。図3は、(a)が蓋95を閉めた散薬カセット90の斜視図、(b)が蓋95を外した散薬カセット90の斜視図、(c)が有底円筒状容器91の底面図、(d)が有底円筒状容器91の立面図である。
【0037】
散薬カセット90は(図3参照)、例えばガラス製の円筒に対して縦置き時の下端部かつ横置き時の後端部のところに例えば金属製の底板が接着や嵌め込み等で固定的に装着された有底円筒状容器91を主体にしたものであり、その有底円筒状容器91の開口端である上端・前端には口金(92+93)がやはり接着や嵌め込み等で固定的に装着されている。口金(92+93)は、例えば金属製のリング状部材からなり、その先端部の内周側には、有底円筒状容器91の開口をテーパ状に拡径する口92(口唇部)が形成され、外周面には、一周に亘る環状溝93(環状係合部)が彫り込み形成され、その縁部が凸状に張り出していてやはり一周に亘る鍔状張出93aとなっている。
【0038】
また、蓋95は、例えば金属製の薄い円板97に掛止部96,96を装着したものであり、円板97の縁を全周に亘って口92に密着させることで散薬カセット90の口を閉め、掛止部96,96の先端を環状溝93に入れて鍔状張出93aに引っ掛けることで閉状態を維持し、掛止部96,96を環状溝93から抜いて円板97を口92(口唇部)から引き離すことで散薬カセット90の口(開口)を開けるようになっている。
さらに、散薬カセット90の底面の中央には穴94が形成されている(図3(c),(d)参照)。図示した穴94は断面が六角形のものであるが、後述する駆動軸32を軸方向遊嵌状態で挿抜できて挿入時には回転方向係止状態で回転運動を伝達できるようになっていれば、十字状や内歯状など他の形状のものであっても良い。
【0039】
本発明の散薬供給装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が散薬供給動作可能な散薬供給装置10の概要右側面図、(b)が散薬連続送出部20〜52を跳ね上げて計量ホッパ60を取出可能にした散薬供給装置10の概要右側面図、(c)が散薬受入姿勢の計量ホッパ60とホッパ保持部70等の右側面図、(d)が散薬放出姿勢の計量ホッパ60とホッパ保持部70等の右側面図である。また、図2は、(a)が散薬供給装置10の外観斜視図、(b)が散薬カセット90を保持した状態の内部機構(20〜52,60〜86)等の右側面図である。
【0040】
散薬供給装置10は(図1(a),(b)参照)、装着された上述の散薬カセット90から散薬を少しずつ落下排出させる散薬連続送出部20〜52と、その落下散薬を一時貯留することで分割する散薬貯留分割部60〜86と、それらを下から支持するための底板11,前側支持部12,及び後側支持部13とを具えたものであり、散薬連続送出部20〜52の前端部を散薬貯留分割部60〜86の直上に下げた状態が散薬カセット90を装着しうる散薬供給動作可能状態・定常状態であり(図1(a)参照)、散薬連続送出部20〜52の前端を散薬貯留分割部60〜86から離して跳ね上げた状態が計量ホッパ60を出し入れしうる清掃可能状態・保守状態である(図1(b)参照)。
【0041】
散薬貯留分割部60〜86は(図1(c),(d)参照)、散薬連続送出部20〜52から排出された落下散薬を受け入れて一時貯留する計量ホッパ60と、計量ホッパ60を支承するホッパ保持部70と、計量ホッパ60を叩く叩打機構80とを具えている。
ホッパ保持部70は、計量ホッパ60を支承する部材として支承位置・支承時高度を異にする二つの第1支承部材71及び第2支承部材72と、第1支承部材71を支持してその重量を測定する重量計測部材74(重量計測手段)と、第2支承部材72を支持するとともにそれを昇降させて両支承部材71,72の相対距離を拡縮することで両支承部材71,72の何れか一方にだけ計量ホッパ60を支承させる昇降機構73(支承部材切替手段)と、第1支承部材71を支持するとともにそれを重量測定対象とする重量計測部材74(重量計測手段)とを具備している。
【0042】
散薬連続送出部20〜52は(図2参照)、上述した散薬カセット90を着脱可能に保持するためのカセット保持機構20と、散薬カセット90を軸回転させるための回転駆動機構30と、散薬カセット90の口を開け閉めするためのカセット開閉機構40と、各機構の動作制御を行うとともに撮像計測手段と重量計測手段の演算処理を担うコントローラ50と、散薬カセット90の口から排出されて落下している散薬を撮るための撮像装置51(撮像計測手段)とを具えたものであり、定常状態では(図1(a),図2参照)、カセット保持機構20と回転駆動機構30とを搭載した傾斜板21を、背の低い前側支持部12と背の高い後側支持部13にて、傾斜角θの前下がり状態で、支持するようになっている。
【0043】
以下、各部の構成を順に詳述する。
カセット保持機構20は(図2参照)、散薬カセット90を載せられるとそれを傾斜角θの前下がり姿勢で軸回転可能に保持するために、後側支持部13と前側支持部12とによって底板11の上方に傾斜角θの前下がり姿勢で保持されている傾斜板21と、傾斜板21の上面の前寄り部位に立設された前側支承部材22と、傾斜板21の上面の後寄り部位に立設された後側支承部材23とを具えている。前側支承部材22も、後側支承部材23も、滑らかな上端面を散薬カセット90の外周面に下から当接させることで、散薬カセット90の軸回転を許容しつつ散薬カセット90を下から支えるようになっている。そのうち前側支承部材22は、上端部の厚みが散薬カセット90の外周面の環状溝93(環状係合部)の幅より薄いので、上端部を環状溝93に遊挿(係合)しうるものとなっており、上端部を環状溝93に挿入(係合)した状態では上端面を溝底面に当てて、散薬カセット90の軸回転を妨げることなく散薬カセット90の落下を阻止することに加え、上端部側面を溝壁面に当てて散薬カセット90の前進を阻止するようになっている。
【0044】
カセット保持機構20に装着された散薬カセット90が口92を少し下げた傾斜姿勢をとることから、散薬カセット90の口が開いていると、有底円筒状容器91の中の散薬が口から零れてしまうので、有底円筒状容器91の口92を蓋95で閉めた散薬カセット90を着脱することができるように、カセット保持機構20の前後に分かれて配置された回転駆動機構30とカセット開閉機構40と間に十分な空間が確保されるとともに、干渉のおそれのある部材たとえば後述する駆動軸32やアーム43が手動で簡便に移動させられるようになっている。さらに、傾斜角θが図示の例では5゜強に固定されているが、散薬の排出速度が安定する程度に散薬カセット90を前下がり姿勢で即ち底側より口側の低い横置き傾斜状態で保持するようになっていれば良いので、例えば3゜〜20゜の範囲で傾斜角θを可変調整しうるようになっていても良く、その傾斜角調整がコントローラ50の制御等にて散薬情報に応じて自動的に実行されるようになっていても良い。
【0045】
回転駆動機構30は、カセット保持機構20に保持されている散薬カセット90をコントローラ50の制御に従って軸回転させるために、カセット保持機構20の後方に設けられたモータ31と、モータ31から前方のカセット保持機構20に向けて突き出た駆動軸32と、必須ではないがモータ31と駆動軸32とに介在する図示しない減速機構とを具えている。駆動軸32は、少なくとも先端部が散薬カセット90の穴94に対応していて本例では穴94より少しだけ細い六角柱状になっているため、先端部を軸方向相対移動によって穴94に遊嵌状態で挿入することができるうえ、そのようにして嵌合させると周方向については先端部の長径部と穴94の短径部とが干渉して回転方向係止状態になるので、モータ駆動にて散薬カセット90を軸回転させることができるものとなっている。
【0046】
カセット開閉機構40は、散薬カセット90の蓋95に作用して散薬カセット90の口(開口)を開け閉めするために、カセット保持機構20の前方で前側支持部12の上に固定された揺動駆動部41と、その上部に装備された蓋保持具42と、その上部に装備されたアーム43とを具えている。揺動駆動部41は、モータや減速ギヤ等の駆動部材を具備していて、コントローラ50の制御に従って蓋保持具42を蓋着脱に必要なだけ前後方向に直線移動させるとともに蓋開閉に必要なだけ前後方向に揺動させるようになっている。蓋保持具42は、後進して蓋95に当接すると図示しない係止部等で蓋95を保持するとともに蓋95の掛止部96,96を押し開いて環状溝93から外すようになっている。散薬カセット90の口を閉めるときは逆のことを行うようになっている。なお、アーム43は、蓋保持具42の補助のため蓋保持具42にて揺動可能に支持されており、先端の爪部を手で摘まんで散薬カセット90の環状溝93に上から入れることができるようになっている。
【0047】
そして、カセット開閉機構40は、口92を閉じた散薬カセット90が環状溝93の下側部分に前側支承部材22を挿入させた状態で後ろ側を後側支承部材23に載せられるとともに穴94に駆動軸32を差し込まれ、さらにアーム43の先端の爪部が散薬カセット90の環状溝93の上側部分に挿入されると、コントローラ50の制御に従って、掛止部96が散薬排出の邪魔にならない横位置に来るまで一時的に散薬カセット90が軸回転された後、蓋保持具42が後進して蓋95を保持し、それから蓋保持具42が単に又は僅かに前進しながら揺動することにより、蓋95の円板97の最上部を散薬カセット90の口92に当接させつつ散薬カセット90の蓋95の円板97の下部を散薬カセット90の口92から離隔させる態様で散薬カセット90の口(開口)を開け、散薬カセット90の口(開口)を閉めるときは逆のことを行うようになっている
【0048】
コントローラ50は、一ブロックで簡略図示したが、制御機能を発揮できれば単体のコンピュータやシーケンサーでも良く分散型の電子制御回路でも良く専用品でも良く組み込み先の薬剤分包機のコントローラとの兼用品でも良い。ここでは、プログラマブルなコンピュータが採用されて、図示しない制御プログラムと撮像計測プログラムと重量計測プログラムと支承部材切替プログラムとが予めインストールされているものとする。
制御プログラムの実行によってコントローラ50は、図示しない付属の操作表示ユニットや上位の調剤管理装置などから分包量や分包数などの調剤指示データを取得して、そのデータに基づき散薬連続送出部20〜52と散薬貯留分割部60〜86とが的確に協動するよう更に包装装置が連結されている場合はそれも含めて的確な分包動作がなされるよう、それらの動作を制御するようになっている。なお、撮像計測プログラムと重量計測プログラムと支承部材切替プログラムについては該当する機構等の説明と共に後述する。
【0049】
撮像装置51は、例えば小型のCCDカメラにLED照明を付けたもので良く、前側支持部12の中で前寄り上側の所に後向きで設置されて、散薬カセット90の口92から落下している散薬を正面から幅広く撮るようになっている。また、散薬の画像の明瞭化のため、撮像装置51の撮影方向で散薬落下位置より先に位置する所に黒い背景部材52が設けられている。さらに、撮像装置51で撮って得た画像データを撮像装置51からコントローラ50へ送るとともに、コントローラ50が撮像計測プログラムを実行することで、撮像装置51で撮った画像から例えば画像内の白黒比を時々刻々散薬量に換算するといった演算を行って散薬送出量を算出するようになっている(撮像計測手段)。
【0050】
計量ホッパ60は(図1(c),(d),図2(b)参照)、上に大きな開口を持ち下には小さな開口を持った例えば逆さ錐台状や漏斗状の中空部材からなり、下端開口に又は下端寄り中空部分に揺動可能な開閉弁61が組み込まれていて、開閉弁61の揺動によって開閉されるようになっている。この開閉弁61を揺動させるために、コントローラ50の制御に従って動作するモータや伝動機構等を具備したホッパ開閉駆動機構62も設けられているが、このホッパ開閉駆動機構62は、計量ホッパ60でなく底板11に固設されている。また、それらの開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62は、例えば外歯ギヤ同士の噛合などで着脱可能すなわち係合分離可能になっており、計量ホッパ60が予め調整済みの所定高度の所に昇降して来ると開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが係合し、それ以外の所では開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが離れるようになっている。
【0051】
また、計量ホッパ60は、第1支承部材71と第2支承部材72との何れかによって支承されて昇降もするが、いずれにしろ、散薬カセット90の口92から下方へ延びる散薬落下経路のうち撮像装置51の撮影位置より下流側に位置するようになっている。
そして、コントローラ50の制御に従って開閉弁61を閉じた状態で、散薬カセット90の口から落下した散薬を上端開口から受け入れて、一包分など一纏まりの所定量が集まるまで散薬を中空内・腔内に一時貯留するとともに、所定量の散薬が集まったことを確認したコントローラ50の制御に従い、開閉弁61を開けて貯留散薬を下部開口から放出して落下させるようになっている。
【0052】
第1支承部材71と第2支承部材72は、何れも、計量ホッパ60の下部を上から貫通穴に落とし込んで捧げ持つ拝手状態で計量ホッパ60を保持しうる支承部分(ホッパ拝持部部分)と、その支承部分を上述の散薬落下経路に位置させて経路外へ延びた基部(アーム部)とを具備したものであるが、この例では、第2支承部材72は計量ホッパ60の上側部分を支承し、第1支承部材71は計量ホッパ60の上側部分より下方の中段部分を支承するようになっている。
そのうち第1支承部材71は、底板11に固設された重量計測部材74によって基部が支持されているので、支承中の計量ホッパ60及び開閉弁61と共に、重量計測部材74の重量測定対象になっている。なお、上述したように底板11に固設されたホッパ開閉駆動機構62は重量計測部材74の重量測定対象から外れている。
【0053】
重量計測部材74は、ロードセル等を具備していて、計量ホッパ60を含んだ機械部分の重量を測定すると、その測定データをコントローラ50へ送るようになっているが、重量測定対象部材60,61,77が少なくて軽量なことから、測定レンジ・測定可能最大重量を小さめにすることで測定精度を高めた重量測定機器を採用することが可能なので、微小重量を精度良く測定することができる。そして、コントローラ50が重量計測プログラムを実行することで、重量計測部材74で計測した重量値の変化から散薬送出量を算出するようになっている(重量計測手段)。この重量計測で得た散薬送出量は計量ホッパ60に投入済みの分だけなので、コントローラ50は、上述の撮像計測で得た散薬送出量から空中落下中で計量ホッパ60未投入の分を算出して、それらを合わせることで、正確な散薬送出量を素早く取得するようになっている。
【0054】
昇降機構73は、下面が底板11に固設されており、昇降部が第2支承部材72の基部を支持しており、支承部材切替プログラムを実行するコントローラ50の制御に従って昇降動作を行うことで、第2支承部材72を昇降させ、第1支承部材71と第2支承部材72との相対距離を変更するようになっている。
しかも、上述した第1支承部材71及び第2支承部材72の高低差と支承部分形状差とが、第2支承部材72を下降させた状態では(図1(c)参照)第1支承部材71だけが計量ホッパ60を支承し、第2支承部材72を上昇させた状態では(図1(d)参照)第2支承部材72だけが計量ホッパ60を支承するようになっているので、昇降機構73は、第2支承部材72を昇降させて両支承部材71,72の相対距離を拡縮することで何れか一方にだけ計量ホッパ60を支承させるものとなっている(支承部材切替手段)。
【0055】
また、上述した開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62との係合離脱についても、第2支承部材72が下降して計量ホッパ60が第1支承部材71に支承されている状態では(図1(c)参照)、開閉弁61も下降位置に来ていて、開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが離脱するようになっている。
これに対し、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60が第2支承部材72に支承されている状態では(図1(d)参照)、開閉弁61も上昇位置に来ていて、開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが係合するようになっている。
【0056】
叩打機構80は、例えばモータとカム機構などで構成され、叩打子81を適宜周期で往復動させることにより、叩打子81にて計量ホッパ60を叩くようになっている。その叩打は、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60が第1支承部材71でなく第2支承部材72に支承されているときに行えれば足りるので、叩打子81で計量ホッパ60を直に叩くようになっていても良く、叩打子81で第2支承部材72を叩くといったことで第2支承部材72等を介して間接的に行えるようになっていても良い。
この叩打機構80も図示のように底板11に固設されていて或いは図示は割愛したが第2支承部材72や昇降機構73に装着されていて、叩打機構80と叩打子81も、重量計測部材74の重量測定対象から外れたものとなっている。
【0057】
さらに、コントローラ50は、散薬連続送出部20〜52と散薬貯留分割部60〜86とを制御するに際して各部が適切に協動するよう、散薬を散薬カセット90から計量ホッパ60へ送るときには、必要なら昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を一旦上昇させ、それによって開閉弁61と結合したホッパ開閉駆動機構62を制御することにより開閉弁61を閉状態にするとともに(図1(d)参照)、昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を下降させて計量ホッパ60を第2支承部材72でなく第1支承部材71に支承させるようになっている(図1(c)参照)。
【0058】
それから、コントローラ50は、散薬連続送出部20〜52に散薬排出を行わせながら、重量計測部材74から重量測定結果を取得するとともに撮像装置51から画像データを取得し、それらの取得情報に基づいて一分割量の散薬排出が完了したか否かを判定し、それで一分割量の散薬排出の完了を検知すると、散薬連続送出部20〜52に散薬排出を停止させるとともに、昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を上昇させて計量ホッパ60を第1支承部材71でなく第2支承部材72に支承させ、それから更に、開閉弁61と結合したホッパ開閉駆動機構62を制御することにより開閉弁61を開状態にするとともに(図1(d)参照)、叩打機構80を制御することにより叩打子81に計量ホッパ60を叩かせる。開閉弁61の開状態は一時貯留散薬の落下放出に必要な時間より少し長い時間に亘って維持され、その間に叩打が数回ほど行われるようになっている。
【0059】
この実施例1の散薬供給装置10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が散薬カセット90から散薬99を少しずつ落下排出しているところの右側面図、(b)が計量ホッパ60から一時貯留散薬99を残さず素早く落下放出しているところの右側面図である。
【0060】
散薬供給装置10を作動させるに先立ち、手動で、調剤対象の散薬99を収容している散薬カセット90を、蓋95で口92を閉めた状態のまま、カセット保持機構20に保持させるが、その際、散薬カセット90を横にして後側部分を後側支承部材23に載せてから散薬カセット90を後方へ押して移動させることで、散薬カセット90の底面の穴94に回転駆動機構30の駆動軸32の先端部を嵌入させ、さらに散薬カセット90の前側を下げて散薬カセット90の環状溝93の下側部分にカセット保持機構20の前側支承部材22の上端を挿入させ、それから、予め逃げさせておいたアーム43を揺動させてその先端の爪部を散薬カセット90の環状溝93の上側部分に挿入させる。
【0061】
そして、散薬カセット90の装着後は、分包量(散薬送出量)や分包数(送出回数)といった調剤指示データを操作入力やダウンロード等にてコントローラ50に与えると、後は、コントローラ50の制御により自動で、開閉弁61が閉側に位置して計量ホッパ60の下端側が閉じられるとともに、計量ホッパ60が第1支承部材71に支承されて、計量ホッパ60が散薬を重量測定しながら受け入れる態勢を調える。それから、カセット開閉機構40によって蓋95が下側だけ前進させられて散薬カセット90の口が開き、回転駆動機構30によって散薬カセット90が軸回転させられるので、散薬カセット90の口から散薬99が少しずつ排出される(図4(a)参照)。
【0062】
そのとき、散薬99は、(同図では左右方向の)厚みが薄い状態で、(同図では紙面に垂直な方向である)横に広がりながら、撮像装置51と背景部材52との間を落下して計量ホッパ60に入り込む。そして、その落下中の散薬99が撮像装置51によって撮られ、その画像に基づきコントローラ50の撮像計測プログラム実行によって落下中の散薬99の量の推定値が算出される。更に落下した散薬99は計量ホッパ60に入り込んでその中に一時貯留されるが、そこに貯留中の散薬99であるホッパ投入済み散薬99は、計量ホッパ60及び第2支承部材72と一緒に重量計測部材74のロードセルにて重量測定される。そして、その重量変化に基づきコントローラ50の重量計測プログラム実行によってホッパ投入済み散薬99の量が算出される。
【0063】
それから、更に、コントローラ50によって、ホッパ投入済み散薬99の量と落下中の散薬99の量という二つの算出値に基づいて散薬カセット90からの散薬送出量が算出され、その散薬送出量が指定の一包量(分割量)に達すると、カセット開閉機構40によって蓋95が下側を後退させられて散薬カセット90の口が閉まるとともに、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60を支承する。そして(図4(b)参照)、計量ホッパ60が第1支承部材71から離れた後、開閉弁61が開側になって計量ホッパ60の下端開口が解放されるとともに、計量ホッパ60が叩打子81で叩かれる。
そのため、一包量(分割量)の散薬99が計量ホッパ60から速やかに而もほとんど残ることなく下流の包装装置等へ送り込まれる。
【0064】
このような動作が一包量(分割量)毎に繰り返されて、指定の分包数(送出回数)だけ行われると、所要の散薬供給動作が完了するので、散薬カセット90の口を閉めた状態で散薬供給装置10が動作停止する。そこで、使用済みの散薬カセット90を散薬供給装置10から取り外すときには上述した装着時と逆順の作業を行うが、同じ散薬99を再び調剤するのであれば、カセット脱着作業を省いて調剤指示データの設定から行う。
こうして、横置き円筒カセット回転方式で散薬供給が行われるが、散薬供給装置10は幾つかの点で改良されているので、精度も能率も向上している。
【0065】
すなわち、散薬カセット90が口92側を低くして傾斜角θだけ傾いているので、収容散薬99が少なくなっても散薬の排出速度があまり下がらない。
また、散薬カセット90と回転駆動機構30との回転伝動が穴94と駆動軸32との機械的係止にてなされるので、散薬カセット90の回転状態が安定する。
さらに、蓋95の最上部を口92に当接させつつ蓋95の下部を口92から離隔させて散薬カセット90の口を開けるようにしたので、散薬カセット90の前向き位置ずれが簡便に防止されるとともに、散薬99の落下排出状態が安定する。
【0066】
また、環状溝93に前側支承部材22を入れて散薬カセット90を支承するようにもしたので、散薬カセット前向き位置ずれ防止機能を損なうことなく且つ蓋95の不所望な変形や破損を招くことなく、蓋95の円板97を薄くすることができる。
また、重量測定対象が第1支承部材71と計量ホッパ60と一時貯留散薬に限定されて軽量になっているので、散薬分割量が微小でも精度良く測定することができる。
また、散薬放出性能向上のため計量ホッパ60を叩くようになったが、叩打時には計量ホッパ60が第1支承部材71及び重量計測部材74から離れているので、ロードセル等が叩打によって害されるおそれが無い。
【0067】
[その他]
上記実施例では、第2支承部材72が計量ホッパ60の上側部分を支承する一方それより下側の部分を第1支承部材71が支承するようになっていたが、第1支承部材71と第2支承部材72との上下配置がそのような配置に限定されるものではないので、第1支承部材71が計量ホッパ60の上側部分を支承する一方それより下側の部分を第2支承部材72が支承するようにしても良い。
また、上記実施例では、第2支承部材72が昇降して第1支承部材71と第2支承部材72との相対距離を拡縮させるようになっていたが、両部材71,72の相対距離は両部材71,72又は第1支承部材71の昇降で拡縮させるようにしても良い。
【0068】
上記実施例では、叩打機構80やホッパ開閉駆動機構62が計量ホッパ60の前側(図では左側)に配置されていたが、これは図示に際して各部を見易く配置したためであり、横(図では紙面の手前や裏側)や後側(図では右側)に配置しても良く、その方が、計量ホッパ60を出し入れしたときに、万一、計量ホッパ60から散薬が零れても、零れた散薬が叩打機構80やホッパ開閉駆動機構62に降り掛かるのを回避することができる。
【0069】
上記実施例では、散薬カセット90の外周面に形成されている環状溝93と鍔状張出93aとのうち環状溝93に前側支承部材22の上端部を挿入して溝底に当接させることで環状溝93を環状係合部として使用するようになっていたが、鍔状張出93aを環状係合部として使用することも可能である。例えば、前側支承部材22の上端部に凹部を彫り込み形成しておき、その凹部に散薬カセット90の鍔状張出93aを挿入して凹部の底面に当接させることで、鍔状張出93aを環状係合部として使用することができる。
【0070】
上記実施例ではカセット保持機構20等が剥き出しになっていたが、カセット保持機構20を含む散薬連続送出部20〜52や他の機構60〜86までもが纏めて箱状の筐体に収められていても良く、その場合、筐体の上面部を透明な開閉蓋にすると使いやすい。
上記実施例では、カセット保持機構20等が傾斜板21の上に設置されているのに対しカセット開閉機構40が前側支持部12の上に設置されていたが、カセット開閉機構40が傾斜板21の上に設置されていても良い。傾斜板21が枠体になっていても良い。
上記実施例では、散薬カセット90をカセット保持機構20に保持させる際、駆動軸32と穴94との嵌合を先に行いその後に前側支承部材22の環状溝93への挿入を行ったが、先ず駆動軸32を後方へ退避させておき上記手順と逆順で行うようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の散薬供給装置は、単独で使用しても良いが、散薬分包機に組み込まれることが多く、その際、配分分割用の機構を置換する形で包装装置の直上に設けて散薬を一包分ずつ包装装置へ送り込むようにしても良く、散薬フィーダを置換する形で回転配分式の散薬供給装置に組み込んでも良く、散薬フィーダに散薬を供給する形で回転配分式の散薬供給装置に付設しても良く、回転配分式の散薬供給装置と並設しても良く、それらを切り替えられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0072】
10…散薬供給装置、
11…底板、12…前側支持部、13…後側支持部、
20〜52…散薬連続送出部、
20…カセット保持機構、21…傾斜板、θ…傾斜角、
22…前側支承部材、23…後側支承部材、
30…回転駆動機構、31…モータ、32…駆動軸、
40…カセット開閉機構、41…揺動駆動部、42…蓋保持具、43…アーム、
50…コントローラ(撮像計測手段,重量計測手,段支承部材切替手段)、
51…撮像装置(撮像計測手段)、52…背景部材、
60…計量ホッパ、61…開閉弁、62…ホッパ開閉駆動機構、
70…ホッパ保持部、71…第1支承部材、72…第2支承部材、
73…昇降機構(支承部材切替手段)、74…重量計測部材(重量計測手段)、
80…叩打機構、81…叩打子、
90…散薬カセット、91…有底円筒状容器、92…口、
93…環状溝(環状係合部)、93a…鍔状張出(環状係合部)、
94…穴95蓋、96…掛止部、97…円板、99…散薬
図1
図2
図3
図4