【実施例1】
【0036】
この実施例1では、散薬供給装置10の説明に先立って、それに使用される散薬カセット90を説明する。
図3は、(a)が蓋95を閉めた散薬カセット90の斜視図、(b)が蓋95を外した散薬カセット90の斜視図、(c)が有底円筒状容器91の底面図、(d)が有底円筒状容器91の立面図である。
【0037】
散薬カセット90は(
図3参照)、例えばガラス製の円筒に対して縦置き時の下端部かつ横置き時の後端部のところに例えば金属製の底板が接着や嵌め込み等で固定的に装着された有底円筒状容器91を主体にしたものであり、その有底円筒状容器91の開口端である上端・前端には口金(92+93)がやはり接着や嵌め込み等で固定的に装着されている。口金(92+93)は、例えば金属製のリング状部材からなり、その先端部の内周側には、有底円筒状容器91の開口をテーパ状に拡径する口92(口唇部)が形成され、外周面には、一周に亘る環状溝93(環状係合部)が彫り込み形成され、その縁部が凸状に張り出していてやはり一周に亘る鍔状張出93aとなっている。
【0038】
また、蓋95は、例えば金属製の薄い円板97に掛止部96,96を装着したものであり、円板97の縁を全周に亘って口92に密着させることで散薬カセット90の口を閉め、掛止部96,96の先端を環状溝93に入れて鍔状張出93aに引っ掛けることで閉状態を維持し、掛止部96,96を環状溝93から抜いて円板97を口92(口唇部)から引き離すことで散薬カセット90の口(開口)を開けるようになっている。
さらに、散薬カセット90の底面の中央には穴94が形成されている(
図3(c),(d)参照)。図示した穴94は断面が六角形のものであるが、後述する駆動軸32を軸方向遊嵌状態で挿抜できて挿入時には回転方向係止状態で回転運動を伝達できるようになっていれば、十字状や内歯状など他の形状のものであっても良い。
【0039】
本発明の散薬供給装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が散薬供給動作可能な散薬供給装置10の概要右側面図、(b)が散薬連続送出部20〜52を跳ね上げて計量ホッパ60を取出可能にした散薬供給装置10の概要右側面図、(c)が散薬受入姿勢の計量ホッパ60とホッパ保持部70等の右側面図、(d)が散薬放出姿勢の計量ホッパ60とホッパ保持部70等の右側面図である。また、
図2は、(a)が散薬供給装置10の外観斜視図、(b)が散薬カセット90を保持した状態の内部機構(20〜52,60〜86)等の右側面図である。
【0040】
散薬供給装置10は(
図1(a),(b)参照)、装着された上述の散薬カセット90から散薬を少しずつ落下排出させる散薬連続送出部20〜52と、その落下散薬を一時貯留することで分割する散薬貯留分割部60〜86と、それらを下から支持するための底板11,前側支持部12,及び後側支持部13とを具えたものであり、散薬連続送出部20〜52の前端部を散薬貯留分割部60〜86の直上に下げた状態が散薬カセット90を装着しうる散薬供給動作可能状態・定常状態であり(
図1(a)参照)、散薬連続送出部20〜52の前端を散薬貯留分割部60〜86から離して跳ね上げた状態が計量ホッパ60を出し入れしうる清掃可能状態・保守状態である(
図1(b)参照)。
【0041】
散薬貯留分割部60〜86は(
図1(c),(d)参照)、散薬連続送出部20〜52から排出された落下散薬を受け入れて一時貯留する計量ホッパ60と、計量ホッパ60を支承するホッパ保持部70と、計量ホッパ60を叩く叩打機構80とを具えている。
ホッパ保持部70は、計量ホッパ60を支承する部材として支承位置・支承時高度を異にする二つの第1支承部材71及び第2支承部材72と、第1支承部材71を支持してその重量を測定する重量計測部材74(重量計測手段)と、第2支承部材72を支持するとともにそれを昇降させて両支承部材71,72の相対距離を拡縮することで両支承部材71,72の何れか一方にだけ計量ホッパ60を支承させる昇降機構73(支承部材切替手段)と、第1支承部材71を支持するとともにそれを重量測定対象とする重量計測部材74(重量計測手段)とを具備している。
【0042】
散薬連続送出部20〜52は(
図2参照)、上述した散薬カセット90を着脱可能に保持するためのカセット保持機構20と、散薬カセット90を軸回転させるための回転駆動機構30と、散薬カセット90の口を開け閉めするためのカセット開閉機構40と、各機構の動作制御を行うとともに撮像計測手段と重量計測手段の演算処理を担うコントローラ50と、散薬カセット90の口から排出されて落下している散薬を撮るための撮像装置51(撮像計測手段)とを具えたものであり、定常状態では(
図1(a),
図2参照)、カセット保持機構20と回転駆動機構30とを搭載した傾斜板21を、背の低い前側支持部12と背の高い後側支持部13にて、傾斜角θの前下がり状態で、支持するようになっている。
【0043】
以下、各部の構成を順に詳述する。
カセット保持機構20は(
図2参照)、散薬カセット90を載せられるとそれを傾斜角θの前下がり姿勢で軸回転可能に保持するために、後側支持部13と前側支持部12とによって底板11の上方に傾斜角θの前下がり姿勢で保持されている傾斜板21と、傾斜板21の上面の前寄り部位に立設された前側支承部材22と、傾斜板21の上面の後寄り部位に立設された後側支承部材23とを具えている。前側支承部材22も、後側支承部材23も、滑らかな上端面を散薬カセット90の外周面に下から当接させることで、散薬カセット90の軸回転を許容しつつ散薬カセット90を下から支えるようになっている。そのうち前側支承部材22は、上端部の厚みが散薬カセット90の外周面の環状溝93(環状係合部)の幅より薄いので、上端部を環状溝93に遊挿(係合)しうるものとなっており、上端部を環状溝93に挿入(係合)した状態では上端面を溝底面に当てて、散薬カセット90の軸回転を妨げることなく散薬カセット90の落下を阻止することに加え、上端部側面を溝壁面に当てて散薬カセット90の前進を阻止するようになっている。
【0044】
カセット保持機構20に装着された散薬カセット90が口92を少し下げた傾斜姿勢をとることから、散薬カセット90の口が開いていると、有底円筒状容器91の中の散薬が口から零れてしまうので、有底円筒状容器91の口92を蓋95で閉めた散薬カセット90を着脱することができるように、カセット保持機構20の前後に分かれて配置された回転駆動機構30とカセット開閉機構40と間に十分な空間が確保されるとともに、干渉のおそれのある部材たとえば後述する駆動軸32やアーム43が手動で簡便に移動させられるようになっている。さらに、傾斜角θが図示の例では5゜強に固定されているが、散薬の排出速度が安定する程度に散薬カセット90を前下がり姿勢で即ち底側より口側の低い横置き傾斜状態で保持するようになっていれば良いので、例えば3゜〜20゜の範囲で傾斜角θを可変調整しうるようになっていても良く、その傾斜角調整がコントローラ50の制御等にて散薬情報に応じて自動的に実行されるようになっていても良い。
【0045】
回転駆動機構30は、カセット保持機構20に保持されている散薬カセット90をコントローラ50の制御に従って軸回転させるために、カセット保持機構20の後方に設けられたモータ31と、モータ31から前方のカセット保持機構20に向けて突き出た駆動軸32と、必須ではないがモータ31と駆動軸32とに介在する図示しない減速機構とを具えている。駆動軸32は、少なくとも先端部が散薬カセット90の穴94に対応していて本例では穴94より少しだけ細い六角柱状になっているため、先端部を軸方向相対移動によって穴94に遊嵌状態で挿入することができるうえ、そのようにして嵌合させると周方向については先端部の長径部と穴94の短径部とが干渉して回転方向係止状態になるので、モータ駆動にて散薬カセット90を軸回転させることができるものとなっている。
【0046】
カセット開閉機構40は、散薬カセット90の蓋95に作用して散薬カセット90の口(開口)を開け閉めするために、カセット保持機構20の前方で前側支持部12の上に固定された揺動駆動部41と、その上部に装備された蓋保持具42と、その上部に装備されたアーム43とを具えている。揺動駆動部41は、モータや減速ギヤ等の駆動部材を具備していて、コントローラ50の制御に従って蓋保持具42を蓋着脱に必要なだけ前後方向に直線移動させるとともに蓋開閉に必要なだけ前後方向に揺動させるようになっている。蓋保持具42は、後進して蓋95に当接すると図示しない係止部等で蓋95を保持するとともに蓋95の掛止部96,96を押し開いて環状溝93から外すようになっている。散薬カセット90の口を閉めるときは逆のことを行うようになっている。なお、アーム43は、蓋保持具42の補助のため蓋保持具42にて揺動可能に支持されており、先端の爪部を手で摘まんで散薬カセット90の環状溝93に上から入れることができるようになっている。
【0047】
そして、カセット開閉機構40は、口92を閉じた散薬カセット90が環状溝93の下側部分に前側支承部材22を挿入させた状態で後ろ側を後側支承部材23に載せられるとともに穴94に駆動軸32を差し込まれ、さらにアーム43の先端の爪部が散薬カセット90の環状溝93の上側部分に挿入されると、コントローラ50の制御に従って、掛止部96が散薬排出の邪魔にならない横位置に来るまで一時的に散薬カセット90が軸回転された後、蓋保持具42が後進して蓋95を保持し、それから蓋保持具42が単に又は僅かに前進しながら揺動することにより、蓋95の円板97の最上部を散薬カセット90の口92に当接させつつ散薬カセット90の蓋95の円板97の下部を散薬カセット90の口92から離隔させる態様で散薬カセット90の口(開口)を開け、散薬カセット90の口(開口)を閉めるときは逆のことを行うようになっている
【0048】
コントローラ50は、一ブロックで簡略図示したが、制御機能を発揮できれば単体のコンピュータやシーケンサーでも良く分散型の電子制御回路でも良く専用品でも良く組み込み先の薬剤分包機のコントローラとの兼用品でも良い。ここでは、プログラマブルなコンピュータが採用されて、図示しない制御プログラムと撮像計測プログラムと重量計測プログラムと支承部材切替プログラムとが予めインストールされているものとする。
制御プログラムの実行によってコントローラ50は、図示しない付属の操作表示ユニットや上位の調剤管理装置などから分包量や分包数などの調剤指示データを取得して、そのデータに基づき散薬連続送出部20〜52と散薬貯留分割部60〜86とが的確に協動するよう更に包装装置が連結されている場合はそれも含めて的確な分包動作がなされるよう、それらの動作を制御するようになっている。なお、撮像計測プログラムと重量計測プログラムと支承部材切替プログラムについては該当する機構等の説明と共に後述する。
【0049】
撮像装置51は、例えば小型のCCDカメラにLED照明を付けたもので良く、前側支持部12の中で前寄り上側の所に後向きで設置されて、散薬カセット90の口92から落下している散薬を正面から幅広く撮るようになっている。また、散薬の画像の明瞭化のため、撮像装置51の撮影方向で散薬落下位置より先に位置する所に黒い背景部材52が設けられている。さらに、撮像装置51で撮って得た画像データを撮像装置51からコントローラ50へ送るとともに、コントローラ50が撮像計測プログラムを実行することで、撮像装置51で撮った画像から例えば画像内の白黒比を時々刻々散薬量に換算するといった演算を行って散薬送出量を算出するようになっている(撮像計測手段)。
【0050】
計量ホッパ60は(
図1(c),(d),
図2(b)参照)、上に大きな開口を持ち下には小さな開口を持った例えば逆さ錐台状や漏斗状の中空部材からなり、下端開口に又は下端寄り中空部分に揺動可能な開閉弁61が組み込まれていて、開閉弁61の揺動によって開閉されるようになっている。この開閉弁61を揺動させるために、コントローラ50の制御に従って動作するモータや伝動機構等を具備したホッパ開閉駆動機構62も設けられているが、このホッパ開閉駆動機構62は、計量ホッパ60でなく底板11に固設されている。また、それらの開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62は、例えば外歯ギヤ同士の噛合などで着脱可能すなわち係合分離可能になっており、計量ホッパ60が予め調整済みの所定高度の所に昇降して来ると開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが係合し、それ以外の所では開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが離れるようになっている。
【0051】
また、計量ホッパ60は、第1支承部材71と第2支承部材72との何れかによって支承されて昇降もするが、いずれにしろ、散薬カセット90の口92から下方へ延びる散薬落下経路のうち撮像装置51の撮影位置より下流側に位置するようになっている。
そして、コントローラ50の制御に従って開閉弁61を閉じた状態で、散薬カセット90の口から落下した散薬を上端開口から受け入れて、一包分など一纏まりの所定量が集まるまで散薬を中空内・腔内に一時貯留するとともに、所定量の散薬が集まったことを確認したコントローラ50の制御に従い、開閉弁61を開けて貯留散薬を下部開口から放出して落下させるようになっている。
【0052】
第1支承部材71と第2支承部材72は、何れも、計量ホッパ60の下部を上から貫通穴に落とし込んで捧げ持つ拝手状態で計量ホッパ60を保持しうる支承部分(ホッパ拝持部部分)と、その支承部分を上述の散薬落下経路に位置させて経路外へ延びた基部(アーム部)とを具備したものであるが、この例では、第2支承部材72は計量ホッパ60の上側部分を支承し、第1支承部材71は計量ホッパ60の上側部分より下方の中段部分を支承するようになっている。
そのうち第1支承部材71は、底板11に固設された重量計測部材74によって基部が支持されているので、支承中の計量ホッパ60及び開閉弁61と共に、重量計測部材74の重量測定対象になっている。なお、上述したように底板11に固設されたホッパ開閉駆動機構62は重量計測部材74の重量測定対象から外れている。
【0053】
重量計測部材74は、ロードセル等を具備していて、計量ホッパ60を含んだ機械部分の重量を測定すると、その測定データをコントローラ50へ送るようになっているが、重量測定対象部材60,61,77が少なくて軽量なことから、測定レンジ・測定可能最大重量を小さめにすることで測定精度を高めた重量測定機器を採用することが可能なので、微小重量を精度良く測定することができる。そして、コントローラ50が重量計測プログラムを実行することで、重量計測部材74で計測した重量値の変化から散薬送出量を算出するようになっている(重量計測手段)。この重量計測で得た散薬送出量は計量ホッパ60に投入済みの分だけなので、コントローラ50は、上述の撮像計測で得た散薬送出量から空中落下中で計量ホッパ60未投入の分を算出して、それらを合わせることで、正確な散薬送出量を素早く取得するようになっている。
【0054】
昇降機構73は、下面が底板11に固設されており、昇降部が第2支承部材72の基部を支持しており、支承部材切替プログラムを実行するコントローラ50の制御に従って昇降動作を行うことで、第2支承部材72を昇降させ、第1支承部材71と第2支承部材72との相対距離を変更するようになっている。
しかも、上述した第1支承部材71及び第2支承部材72の高低差と支承部分形状差とが、第2支承部材72を下降させた状態では(
図1(c)参照)第1支承部材71だけが計量ホッパ60を支承し、第2支承部材72を上昇させた状態では(
図1(d)参照)第2支承部材72だけが計量ホッパ60を支承するようになっているので、昇降機構73は、第2支承部材72を昇降させて両支承部材71,72の相対距離を拡縮することで何れか一方にだけ計量ホッパ60を支承させるものとなっている(支承部材切替手段)。
【0055】
また、上述した開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62との係合離脱についても、第2支承部材72が下降して計量ホッパ60が第1支承部材71に支承されている状態では(
図1(c)参照)、開閉弁61も下降位置に来ていて、開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが離脱するようになっている。
これに対し、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60が第2支承部材72に支承されている状態では(
図1(d)参照)、開閉弁61も上昇位置に来ていて、開閉弁61とホッパ開閉駆動機構62とが係合するようになっている。
【0056】
叩打機構80は、例えばモータとカム機構などで構成され、叩打子81を適宜周期で往復動させることにより、叩打子81にて計量ホッパ60を叩くようになっている。その叩打は、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60が第1支承部材71でなく第2支承部材72に支承されているときに行えれば足りるので、叩打子81で計量ホッパ60を直に叩くようになっていても良く、叩打子81で第2支承部材72を叩くといったことで第2支承部材72等を介して間接的に行えるようになっていても良い。
この叩打機構80も図示のように底板11に固設されていて或いは図示は割愛したが第2支承部材72や昇降機構73に装着されていて、叩打機構80と叩打子81も、重量計測部材74の重量測定対象から外れたものとなっている。
【0057】
さらに、コントローラ50は、散薬連続送出部20〜52と散薬貯留分割部60〜86とを制御するに際して各部が適切に協動するよう、散薬を散薬カセット90から計量ホッパ60へ送るときには、必要なら昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を一旦上昇させ、それによって開閉弁61と結合したホッパ開閉駆動機構62を制御することにより開閉弁61を閉状態にするとともに(
図1(d)参照)、昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を下降させて計量ホッパ60を第2支承部材72でなく第1支承部材71に支承させるようになっている(
図1(c)参照)。
【0058】
それから、コントローラ50は、散薬連続送出部20〜52に散薬排出を行わせながら、重量計測部材74から重量測定結果を取得するとともに撮像装置51から画像データを取得し、それらの取得情報に基づいて一分割量の散薬排出が完了したか否かを判定し、それで一分割量の散薬排出の完了を検知すると、散薬連続送出部20〜52に散薬排出を停止させるとともに、昇降機構73を制御することにより第2支承部材72を上昇させて計量ホッパ60を第1支承部材71でなく第2支承部材72に支承させ、それから更に、開閉弁61と結合したホッパ開閉駆動機構62を制御することにより開閉弁61を開状態にするとともに(
図1(d)参照)、叩打機構80を制御することにより叩打子81に計量ホッパ60を叩かせる。開閉弁61の開状態は一時貯留散薬の落下放出に必要な時間より少し長い時間に亘って維持され、その間に叩打が数回ほど行われるようになっている。
【0059】
この実施例1の散薬供給装置10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図4は、(a)が散薬カセット90から散薬99を少しずつ落下排出しているところの右側面図、(b)が計量ホッパ60から一時貯留散薬99を残さず素早く落下放出しているところの右側面図である。
【0060】
散薬供給装置10を作動させるに先立ち、手動で、調剤対象の散薬99を収容している散薬カセット90を、蓋95で口92を閉めた状態のまま、カセット保持機構20に保持させるが、その際、散薬カセット90を横にして後側部分を後側支承部材23に載せてから散薬カセット90を後方へ押して移動させることで、散薬カセット90の底面の穴94に回転駆動機構30の駆動軸32の先端部を嵌入させ、さらに散薬カセット90の前側を下げて散薬カセット90の環状溝93の下側部分にカセット保持機構20の前側支承部材22の上端を挿入させ、それから、予め逃げさせておいたアーム43を揺動させてその先端の爪部を散薬カセット90の環状溝93の上側部分に挿入させる。
【0061】
そして、散薬カセット90の装着後は、分包量(散薬送出量)や分包数(送出回数)といった調剤指示データを操作入力やダウンロード等にてコントローラ50に与えると、後は、コントローラ50の制御により自動で、開閉弁61が閉側に位置して計量ホッパ60の下端側が閉じられるとともに、計量ホッパ60が第1支承部材71に支承されて、計量ホッパ60が散薬を重量測定しながら受け入れる態勢を調える。それから、カセット開閉機構40によって蓋95が下側だけ前進させられて散薬カセット90の口が開き、回転駆動機構30によって散薬カセット90が軸回転させられるので、散薬カセット90の口から散薬99が少しずつ排出される(
図4(a)参照)。
【0062】
そのとき、散薬99は、(同図では左右方向の)厚みが薄い状態で、(同図では紙面に垂直な方向である)横に広がりながら、撮像装置51と背景部材52との間を落下して計量ホッパ60に入り込む。そして、その落下中の散薬99が撮像装置51によって撮られ、その画像に基づきコントローラ50の撮像計測プログラム実行によって落下中の散薬99の量の推定値が算出される。更に落下した散薬99は計量ホッパ60に入り込んでその中に一時貯留されるが、そこに貯留中の散薬99であるホッパ投入済み散薬99は、計量ホッパ60及び第2支承部材72と一緒に重量計測部材74のロードセルにて重量測定される。そして、その重量変化に基づきコントローラ50の重量計測プログラム実行によってホッパ投入済み散薬99の量が算出される。
【0063】
それから、更に、コントローラ50によって、ホッパ投入済み散薬99の量と落下中の散薬99の量という二つの算出値に基づいて散薬カセット90からの散薬送出量が算出され、その散薬送出量が指定の一包量(分割量)に達すると、カセット開閉機構40によって蓋95が下側を後退させられて散薬カセット90の口が閉まるとともに、第2支承部材72が上昇して計量ホッパ60を支承する。そして(
図4(b)参照)、計量ホッパ60が第1支承部材71から離れた後、開閉弁61が開側になって計量ホッパ60の下端開口が解放されるとともに、計量ホッパ60が叩打子81で叩かれる。
そのため、一包量(分割量)の散薬99が計量ホッパ60から速やかに而もほとんど残ることなく下流の包装装置等へ送り込まれる。
【0064】
このような動作が一包量(分割量)毎に繰り返されて、指定の分包数(送出回数)だけ行われると、所要の散薬供給動作が完了するので、散薬カセット90の口を閉めた状態で散薬供給装置10が動作停止する。そこで、使用済みの散薬カセット90を散薬供給装置10から取り外すときには上述した装着時と逆順の作業を行うが、同じ散薬99を再び調剤するのであれば、カセット脱着作業を省いて調剤指示データの設定から行う。
こうして、横置き円筒カセット回転方式で散薬供給が行われるが、散薬供給装置10は幾つかの点で改良されているので、精度も能率も向上している。
【0065】
すなわち、散薬カセット90が口92側を低くして傾斜角θだけ傾いているので、収容散薬99が少なくなっても散薬の排出速度があまり下がらない。
また、散薬カセット90と回転駆動機構30との回転伝動が穴94と駆動軸32との機械的係止にてなされるので、散薬カセット90の回転状態が安定する。
さらに、蓋95の最上部を口92に当接させつつ蓋95の下部を口92から離隔させて散薬カセット90の口を開けるようにしたので、散薬カセット90の前向き位置ずれが簡便に防止されるとともに、散薬99の落下排出状態が安定する。
【0066】
また、環状溝93に前側支承部材22を入れて散薬カセット90を支承するようにもしたので、散薬カセット前向き位置ずれ防止機能を損なうことなく且つ蓋95の不所望な変形や破損を招くことなく、蓋95の円板97を薄くすることができる。
また、重量測定対象が第1支承部材71と計量ホッパ60と一時貯留散薬に限定されて軽量になっているので、散薬分割量が微小でも精度良く測定することができる。
また、散薬放出性能向上のため計量ホッパ60を叩くようになったが、叩打時には計量ホッパ60が第1支承部材71及び重量計測部材74から離れているので、ロードセル等が叩打によって害されるおそれが無い。
【0067】
[その他]
上記実施例では、第2支承部材72が計量ホッパ60の上側部分を支承する一方それより下側の部分を第1支承部材71が支承するようになっていたが、第1支承部材71と第2支承部材72との上下配置がそのような配置に限定されるものではないので、第1支承部材71が計量ホッパ60の上側部分を支承する一方それより下側の部分を第2支承部材72が支承するようにしても良い。
また、上記実施例では、第2支承部材72が昇降して第1支承部材71と第2支承部材72との相対距離を拡縮させるようになっていたが、両部材71,72の相対距離は両部材71,72又は第1支承部材71の昇降で拡縮させるようにしても良い。
【0068】
上記実施例では、叩打機構80やホッパ開閉駆動機構62が計量ホッパ60の前側(図では左側)に配置されていたが、これは図示に際して各部を見易く配置したためであり、横(図では紙面の手前や裏側)や後側(図では右側)に配置しても良く、その方が、計量ホッパ60を出し入れしたときに、万一、計量ホッパ60から散薬が零れても、零れた散薬が叩打機構80やホッパ開閉駆動機構62に降り掛かるのを回避することができる。
【0069】
上記実施例では、散薬カセット90の外周面に形成されている環状溝93と鍔状張出93aとのうち環状溝93に前側支承部材22の上端部を挿入して溝底に当接させることで環状溝93を環状係合部として使用するようになっていたが、鍔状張出93aを環状係合部として使用することも可能である。例えば、前側支承部材22の上端部に凹部を彫り込み形成しておき、その凹部に散薬カセット90の鍔状張出93aを挿入して凹部の底面に当接させることで、鍔状張出93aを環状係合部として使用することができる。
【0070】
上記実施例ではカセット保持機構20等が剥き出しになっていたが、カセット保持機構20を含む散薬連続送出部20〜52や他の機構60〜86までもが纏めて箱状の筐体に収められていても良く、その場合、筐体の上面部を透明な開閉蓋にすると使いやすい。
上記実施例では、カセット保持機構20等が傾斜板21の上に設置されているのに対しカセット開閉機構40が前側支持部12の上に設置されていたが、カセット開閉機構40が傾斜板21の上に設置されていても良い。傾斜板21が枠体になっていても良い。
上記実施例では、散薬カセット90をカセット保持機構20に保持させる際、駆動軸32と穴94との嵌合を先に行いその後に前側支承部材22の環状溝93への挿入を行ったが、先ず駆動軸32を後方へ退避させておき上記手順と逆順で行うようにしても良い。