特許第6226364号(P6226364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226364
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】歪み補償装置及び送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20171030BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20171030BHJP
   H04L 27/36 20060101ALI20171030BHJP
   H04L 27/20 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04B1/04 R
   H03F1/32
   H04L27/36
   H04L27/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-178625(P2013-178625)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-50484(P2015-50484A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 逸平
【審査官】 原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−118454(JP,A)
【文献】 特開2010−278505(JP,A)
【文献】 特開2003−304122(JP,A)
【文献】 特開2010−278865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H03F 1/32
H04L 27/20
H04L 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DTMB方式の放送トランスポートストリームのシグナルフレームを構成しているフレームヘッダ及びフレームボディのそれぞれの平均電力に基づいて、前記フレームヘッダと前記フレームボディを識別するための識別信号を生成する識別信号生成部と、
前記放送トランスポートストリームに対応するベースバンド信号に後段に接続される電力増幅器の歪み特性の逆特性の歪み特性を有する歪みを重畳するディジタルプリディストータを有し、前記ディジタルプリディストータの出力データ、前記電力増幅器の出力した送信信号をフィードバックしたフィードバック信号及び前記識別信号に基づいて、前記シグナルフレームのうち、平均電力が同一のデータ区間に対応するデータを歪み推定用に用いて歪み推定を行い、前記ディジタルプリディストータにより歪み補償を行う補償部と、
を備えた歪み補償装置。
【請求項2】
前記データ区間に対応するデータは、前記フレームヘッダあるいは前記フレームボディのいずれか一方に対応するデータである、
請求項1記載の歪み補償装置。
【請求項3】
前記補償部は、前記識別信号に基づいて、前記ディジタルプリディストータの出力データに対応する送信信号及び前記フィードバック信号の利得を計算する利得計算部と、
前記識別信号に基づいて、前記ディジタルプリディストータの出力データに対応する前記フィードバック信号の遅延時間を推定し、前記利得を補正するための遅延補正データを出力する遅延推定・補正部と、
前記利得計算部が計算した送信信号及び前記フィードバック信号の利得を、前記遅延補正データにより補正する利得補正部と、
前記利得補正部の補正結果及び前記フィードバック信号に対応するフィードバックデータに基づいて、電力増幅器の歪み特性の逆特性の歪み特性を推定する歪み推定部と、
を備えた請求項1又は請求項2記載の歪み補償装置。
【請求項4】
DTMB方式の放送トランスポートストリームのシグナルフレームを構成しているフレームヘッダ及びフレームボディのそれぞれの平均電力に基づいて、前記フレームヘッダと前記フレームボディを識別するための識別信号を生成する識別信号生成部を有し、前記放送トランスポートストリームを変調して、ベースバンド信号を出力する変調部と、
前記ベースバンド信号に歪みを重畳するディジタルプリディストータを有し、前記ディジタルプリディストータの出力データ、電力増幅器の出力した放送信号をフィードバックしたフィードバック信号及び前記識別信号に基づいて、前記シグナルフレームのうち、平均電力が同一のデータ区間に対応するデータを歪み推定用に用いて歪み推定を行い、前記ディジタルプリディストータにより歪み補償を行う補償部と、
前記歪み補償がなされた前記補償部の出力信号の変調を行う送信変調部と、
前記送信変調部の出力信号の電力増幅を行って前記放送信号とし、当該放送信号をアンテナを介して放送電波として放射する電力増幅器と、
を備えた送信装置。
【請求項5】
前記ディジタルプリディストータの出力データのディジタル/アナログ変換を行い出力するディジタル/アナログ変換部と、
前記放送信号の一部であるフィードバック信号のアナログ/ディジタル変換を行い出力するアナログ/ディジタル変換部と、を備え、
前記送信変調部は、前記ディジタル/アナログ変換部の出力信号の変調を行う、
請求項4記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、歪み補償装置及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
線形変調波や複数の変調波を増幅する電力増幅器(Power Amplifier:PA)では、不要電波(スプリアス)の放射を抑制して電力効率を高めるために、出来る限り非線形歪みを小さくする必要がある。これを解決するために各種の歪み補償が用いられており、その一つとしてディジタルプリディストーション方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−232325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ディジタルプリディストーション方式では、元信号(送信信号)とフィードバック信号から電力増幅器の歪みを推定するために歪み推定の信号処理において、ある長さの連続した信号系列を用いるに際して、推定の処理を正しく行うためには信号処理に使う元信号とフィードバック信号の電力(平均電力)を合わせる必要がある。
【0005】
ディジタルプリディストーション方式であっても、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式などではフレーム内、またはフレーム間で平均電力が変わることはないが、DTMB(Digital Terrestrial Multimedia Broadcast)方式ではフレームヘッダがNRZ(Non-Return-to-Zero)のBPSKでマッピングされ平均電力がフレームボディ(=データ区間)の2倍になっている。
【0006】
ここで、フレームボディの長さは一定ではないため、DTMB方式ではフレームヘッダを含む信号系列を信号処理に使う場合に平均電力の誤差が大きく正しい推定値を得ることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、DTMB方式で、フレーム内で平均電力が変化することにより、推定の精度が劣化することを防ぐことが可能な歪み補償装置及び送信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の歪み補償装置の識別信号生成部は、入力されたDTMB方式の放送トランスポートストリームのシグナルフレームを構成しているフレームヘッダ及びフレームボディのそれぞれの平均電力に基づいて、フレームヘッダと前記フレームボディを識別するための識別信号を生成し、補償部に出力する。
補償部は、放送トランスポートストリームに対応するベースバンド信号に後段に接続される電力増幅器の歪み特性の逆特性の歪み特性を有する歪みを重畳するディジタルプリディストータを有し、ディジタルプリディストータの出力データ、電力増幅器の出力した送信信号をフィードバックしたフィードバック信号及び識別信号に基づいて、シグナルフレームのうち、平均電力が同一のデータ区間に対応するデータを歪み推定用に用いて歪み推定を行い、ディジタルプリディストータにより歪み補償を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の送信装置の概要構成ブロック図である。
図2図2は、DTMB方式の放送トランスポートストリームのデータフォーマットの説明図である。
図3図3は、シグナルフレームSGFの振幅(電力)と時間との関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の送信装置の概要構成ブロック図である。
送信装置10は、DTMB(Digital Terrestrial Multimedia Broadcast)方式の送信装置であり、大別すると、放送トランスポートストリーム(TS)の符号化及びディジタル変調を行いベースバンドI信号IBB、ベースバンドQ信号QBB及び後述する識別信号FFTGPを生成し、出力する変調部11と、ディジタルプリディストーション方式で電力増幅器の非線形歪みの補償を行う補償部12と、補償部12により非線形歪み補償がなされたベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBBに基づいて直交変調(Quadrature amplitude Modulation)を行って直交変調信号を出力する直交変調部13と、直交変調部13が出力した直交変調信号の電力増幅を行って送信信号とする電力増幅器14と、送信信号を送信電波(電磁波)として空間に放射し、送信するアンテナ15と、電力増幅器14の送信信号の一部をフィードバック信号として検出し、直交復調する直交復調部16と、直交変調部13に対して直交変調用の基準信号を出力し、直交復調部16に対して直交復調用の基準信号を出力するシンセサイザ17と、を備えている。
【0011】
補償部12は、ベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBB並びに及び後述する識別信号FFTGP及び後述する歪み推定データDdisを用いて電力増幅器14の歪み特性と逆特性の歪みを発生し、ベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBBのそれぞれに重畳し、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを出力するディジタルプリディストータ21と、歪み重畳ベースバンドIデータxIのディジタル/アナログ変換を行って、歪み重畳ベースバンドI信号を出力する第1D/Aコンバータ22−1と、歪み重畳ベースバンドQデータxQのディジタル/アナログ変換を行って、歪み重畳ベースバンドQ信号を出力する第2D/Aコンバータ22−2と、直交復調部16により復調されたフィードバックベースバンドI信号のアナログ/ディジタル変換を行って、フィードバックベースバンドIデータyIを出力する第1A/Dコンバータ23−1と、直交復調部16により復調されたフィードバックベースバンドQ信号のアナログ/ディジタル変換を行って、フィードバックベースバンドQデータyQを出力する第2A/Dコンバータ23−2と、を備えている。
【0012】
さらに補償部12は、歪み重畳ベースバンドIデータxI、識別信号FFTGP、歪み重畳ベースバンドQデータxQ、フィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQが入力され、利得計算を行う利得計算部24と、識別信号FFTGP、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQが入力され、ベースバンドI信号IBB、ベースバンドQ信号QBBに対する、フィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQの遅延量(遅延時間)を推定し、補正するための遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmpを生成し出力する遅延推定・補正部25と、利得計算部24の計算結果に基づいて、遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmpの利得補正を行って出力する利得補正部26と、利得補正がなされた、遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmp並びにフィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQに基づいて、電力増幅器14の歪み特性を推定し、歪み推定データDdisをディジタルプリディストータ21に出力する歪み推定部27と、を備えている。
【0013】
ここで、具体的な動作説明に先立ち、DTMB方式の放送トランスポートストリームのデータフォーマットについて説明する。
図2は、DTMB方式の放送トランスポートストリームのデータフォーマットの説明図である。
【0014】
DTMB方式の放送トランスポートストリームは、図2に示すように、24時間の連続放送に対応し、1440個の分(minute)フレームMF0〜MF1439を含むカレンダーデイフレームCDFとして構成されている。
分フレームMF0〜MF1439は、それぞれ、480個のスーパーフレームSF0〜SF479を含んでいる。
【0015】
さらに各スーパーフレームSF0〜SF479は、各スーパーフレームSF0〜SF479の先頭を表すファーストフレームFFと、フレーム長が555.6μsec、578.703μsec又は625μsecのいずれかである複数のシグナルフレームSGFを含んでいる。
【0016】
ここで、シグナルフレームSGFは、シグナルフレームSGFの先頭を表すフレームヘッダFHと、放送データの実データであるデータブロックを含むフレームボディFBと、を備えている。
【0017】
図3は、シグナルフレームSGFの振幅(電力)と時間との関係の説明図である。
図3に示すように、シグナルフレームSGFのフレームヘッダFHは、PN信号(疑似ランダム信号)をNRZ(Non Return to Zero [非ゼロ復帰]:1と0が“Hi”レベルまたは“Lo”レベルの電圧の相互に逆の電圧によって表され、符号化されたビット間はゼロ(基準)電圧に戻ることのない2進符号化方式)の二値信号にマッピングされており、RZ(Return to Zero [ゼロ復帰]:1と0が“Hi”レベルまたは“Lo”レベルの電圧の相互に逆の電圧によって表され、符号化されたビット間をゼロ(基準)電圧に戻す2進符号化方式)の二値信号にマッピングされたフレームボディFBの2倍の電力の信号となっている。
【0018】
そこで、本実施形態においては、変調部11に設けた識別信号生成部11Aにより、シグナルフレームSGFの単位時間当たりの平均電力を算出して、入力された放送トランスポートストリームに含まれるシグナルフレームSGFのフレームヘッダFH及びフレームボディFBを識別する識別信号FFTGPを生成している。
【0019】
次に実施形態の動作を説明する。
まず、変調部11は、放送トランスポートストリーム(TS)の符号化及びディジタル変調を行いベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBBを生成する。
これと並行して、識別信号生成部11Aは、シグナルフレームSGFの単位時間当たりの平均電力を算出して、入力された放送トランスポートストリームに含まれるシグナルフレームSGFのフレームヘッダFH及びフレームボディFBを識別する識別信号FFTGPを生成する。
そして、変調部11は、生成したベースバンドI信号IBB、ベースバンドQ信号QBB及び後述する識別信号FFTGPをディジタルプリディストータ21に出力する。
【0020】
ディジタルプリディストータ21は、ベースバンドI信号IBB、ベースバンドQ信号QBB及び後述する識別信号FFTGPを用いて電力増幅器14の歪み特性と逆特性の歪みを発生し、ベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBBのそれぞれに重畳し、歪み重畳ベースバンドIデータxIを第1D/Aコンバータ22−1に出力し、歪み重畳ベースバンドQデータxQを第2D/Aコンバータ22−2に出力する。
【0021】
第1D/Aコンバータ22−1は、歪み重畳ベースバンドIデータxIのディジタル/アナログ変換を行って、歪み重畳ベースバンドI信号を直交変調部13に出力する。
また、第2D/Aコンバータ22−2は、歪み重畳ベースバンドQデータxQのディジタル/アナログ変換を行って、歪み重畳ベースバンドQ信号を直交変調部13に出力する。
【0022】
この結果、直交変調部13はディジタルプリディストータ21により非線形歪み補償、すなわち、電力増幅器14の歪み特性と逆特性の歪みが重畳されたベースバンドI信号IBB及びベースバンドQ信号QBB並びにシンセサイザ17が出力した直交変調用の基準信号に基づいて、直交変調を行って直交変調信号を電力増幅器14に出力する。
【0023】
電力増幅器14は、直交変調部13が出力した直交変調信号の電力増幅を行って送信信号とし、アンテナ15を介して、送信信号を送信電波(電磁波)として空間に放射し、送信する。
【0024】
一方、直交復調部16は、電力増幅器14の送信信号の一部をフィードバック信号として検出し、シンセサイザ17が出力した直交復調用の基準信号に基づいて、直交復調し、第1A/Dコンバータ23−1及び第2A/Dコンバータ23−2に出力する。
【0025】
第1A/Dコンバータ23−1は、直交復調部16により復調されたフィードバックベースバンドI信号のアナログ/ディジタル変換を行って、フィードバックベースバンドIデータyIを利得計算部24及び歪み推定部27に出力する。
同様に、第2A/Dコンバータ23−2は、直交復調部16により復調されたフィードバックベースバンドQ信号のアナログ/ディジタル変換を行って、フィードバックベースバンドQデータyQを利得計算部24及び歪み推定部27に出力する。
【0026】
また、利得計算部24は、識別信号FFTGP、歪み重畳ベースバンドIデータxI、歪み重畳ベースバンドQデータxQ、フィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQが入力され、送信信号及びフィードバック信号の利得計算を行う。
【0027】
さらに遅延推定・補正部25は、識別信号FFTGP、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQが入力され、ベースバンドI信号IBB、ベースバンドQ信号QBBに対する、フィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQの遅延量(遅延時間)を推定し、補正するための遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmpを生成し利得補正部26に出力する。
【0028】
ここで、利得計算部24及び遅延推定・補正部25で用いる歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQの取得タイミングについて、再び図3を参照して説明する。
【0029】
図3に示すように、シグナルフレームSGFは、フレームヘッダFH及びフレームボディFBを備えており、上述したように、フレームヘッダFHの平均電力は、フレームボディFBの2倍となっている。
【0030】
これにより、識別信号生成部11Aが出力する識別信号FFTGPは、平均電力が高いフレームヘッダFH部分では、“Hi”レベルとなり、平均電力が低いフレームボディFB部分では、“Lo”レベルとなっている。
【0031】
そこで、利得計算部24及び遅延推定・補正部25は、識別信号生成部11Aが出力する識別信号FFTGPが“Lo”レベルとなった時刻t1から所定時間T1が経過した時刻t2から所定時間T2が経過する時刻t3の期間に利得計算及び遅延推定・補正に用いる歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得する。
【0032】
この結果、利得計算部24及び遅延推定・補正部25は、確実に平均電力が“Lo”レベルとなっているフレームボディFBの先頭から所定位置のタイミングで、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得できる。すなわち、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQの取得位置が、シグナルフレームSGF中で平均電力が“Hi”レベルの領域及び“Lo”レベルの領域にまたがることがないので、正確に利得計算及び遅延推定を行うことができる。換言すれば、平均電力が異なる領域間でデータを比較することが無いので、正確な計算及び推定が行えることとなる。
【0033】
この結果、利得補正部26は、利得計算部24の計算結果に基づいて、遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmpの利得補正を適正に行って歪み推定部27に出力し、歪み推定部27は、利得補正がなされた、遅延補正データxI_dlycmp及び遅延補正データxQ_dlycmp並びにフィードバックベースバンドIデータyI及びフィードバックベースバンドQデータyQに基づいて、電力増幅器14の歪み特性を推定し、ディジタルプリディストータ21に出力することとなる。
【0034】
以上の説明のように、本実施形態によれば、シグナルフレームSGF内の常に一定の領域から歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得しているので、常に平均電力がほぼ一定の部分から歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得でき、元信号とフィードバック信号との電力を同一(実装上、同一と見なす場合も含む)として、安定して正しい歪み推定を行うことができる。
ひいては、電力増幅器14の非線形歪みを小さくすることができ、アンテナ15から放射される放送電波のスプリアス放射を抑制して、電力効率を高くすることができる。
【0035】
以上の説明においては、平均電力が“Lo”レベルとなっているフレームボディFBの先頭から所定位置のフレームボディFBのタイミングで、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得していたが、平均電力が“Hi”レベルとなっているフレームヘッダFHの先頭から所定位置のタイミングで、歪み重畳ベースバンドIデータxI及び歪み重畳ベースバンドQデータxQを取得するように構成することも可能である。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10 送信装置
11 変調部
11A 識別信号生成部
12 補償部
13 直交変調部
14 電力増幅器
15 アンテナ
16 直交復調部
17 シンセサイザ
21 ディジタルプリディストータ
22−1、22−2 D/Aコンバータ(ディジタル/アナログ変換部)
23−1、23−2 A/Dコンバータ(アナログ/ディジタル変換部)
24 利得計算部
25 遅延推定・補正部
26 利得補正部
27 歪み推定部
Ddis 歪み推定データ
FB フレームボディ
FFTGP 識別信号
FH フレームヘッダ
IBB ベースバンドI信号
QBB ベースバンドQ信号
SGF シグナルフレーム
xI 歪み重畳ベースバンドIデータ
xI_dlycmp 遅延補正データ
xQ 歪み重畳ベースバンドQデータ
xQ_dlycmp 遅延補正データ
yI フィードバックベースバンドIデータ
yQ フィードバックベースバンドQデータ
図1
図2
図3