(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるような壁パネルが上下方向(縦方向)、横方向(左右方向)に複数並べて配置されることで、一連の壁面が構成される。そして、この壁面においては、凸模様部のエッジ箇所、つまりは、凸模様部を構成する輪郭によって、凸模様部の意匠が構成されることになる。
【0007】
そして、例えば、
図10に示すような横方向に長い方形状の凸模様部92を有する壁パネル90の場合には、凸模様部92の表面から目地溝部に向かう箇所のエッジ箇所によって、横ライン93a、縦ライン93bが外観に現れることになる。
【0008】
また、断面図に示すように、壁パネル90は、凸模様部92と、上下の凸模様部の間に形成される目地溝部94(横目地部)を有しており、最上部には表実部96が形成され、最下部には裏実部98が形成されている。
【0009】
ここで、凸模様部92と目地溝部94の凹凸はプレス成型によって形成されるため、凸模様部92のエッジ箇所92a、つまり凸模様部92と目地溝部94の境界部分は、なだらかな角部93を構成することが考えられる。
【0010】
これに対し、壁パネル90の下端に配置される凸模様部92Aのエッジ箇所98aは、壁パネル90を所定の寸法に切断加工した後のさらなる切断加工によって形成されるものであるため、プレス成型によって形成されるエッジ箇所92aと比較して、より角の立った角部95を構成することが考えられる。
【0011】
そして、特に壁パネル90で構成される壁面を下から見上げた際に、プレス成型で形成されるエッジ箇所92aによって外観に現れる横ライン93aは、エッジ箇所92aがなだらかな角部93であるため、その横ライン93aがぼんやりと現れ、目立ち難くなるものと考えられる。
【0012】
一方で、壁パネル90の下端の凸模様部92Aのエッジ箇所98aによって外観に現れる横ライン95aは、エッジ箇所98aが角の立った角部95で構成されるため、その横ライン95aがくっきりと現れ、目立ち易くなるものと考えられる。
【0013】
そして、この角の立った角部95に起因して現れる横ライン95aが目立ってしまうと、外壁の美観を損なうことになり、また、施工上の不具合であるがごとくの印象を与えてしまうことも考えられる。このため、横ライン95aをより目立たなくするための対策を検討する必要がある。
【0014】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑み、特に壁パネルの下端部に配置される凸模様部において現れる横ラインを目立たなくするための新規な技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0016】
即ち、請求項1に記載のごとく、
模様部により表面模様が形成される長方形状の壁パネルにおいて、
前記模様部と目地部が壁パネルの長辺方向および短片方向で交互に配置されており、
前記模様部のうち少なくとも一部には窪み部が形成され、
壁パネルの最下行の長辺方向全長における窪み部の割合は、
少なくとも一つ上側に隣り合う行の長辺方向全長における窪み部の割合よりも大きく、
前記模様部の周端面には傾斜面が形成され、
前記最下行の模様部の下端には切断加工により形成される切断傾斜面と、
前記最下行の一つ上側の模様部の下端にはプレス成形により形成されるプレス傾斜面と、が形成され、
前記窪み部により前記切断傾斜面及び前記プレス傾斜面が削られる、こととする。
【0017】
また、請求項2に記載のごとく、壁パネルの最下行の少なくとも一つの模様部における窪み部は、上下方向に連続的に構成されており、上側から下側へ向かうほど広がるように形成される、こととする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、請求項1に記載の発明においては、壁パネルの最下行に配置される少なくとも一つの模様部について、その直ぐ上にある模様部と比較すると、現れる横ラインの割合を少なくすることができ、最下行において、角度の鋭いエッジ箇所にて形成される横ラインが顕著に目立ってしまうことを防ぐことができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明においては、模様部について窪み部の形状を含めたデザインをしつつ、エッジ箇所の横ラインが現れる部位を少なくすることができ、横ラインがくっきりと現れることによって外壁の美観を損なってしまうことや、施工上の不具合であるがごとくの印象を与えてしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を参照し、より詳細に説明する。
図1及び
図2に示すごとく、壁パネル1は、縦寸法よりも横寸法が長い長方形状のパネルにて構成される。複数の壁パネル1の上下の端部同士、左右の端部同士を接合することで、連続した一連の壁面を構成できるようになっている。
【0023】
壁パネル1の左右の縦端辺2a,2bや上下の横端辺4a,4bには合抉部が形成され、隣り合う壁パネル1を実嵌合(実接合)できるようになっている。
【0024】
なお、壁パネル1の四辺の全てに合抉部を構成して四辺合抉接合がされる構成とするほか、壁パネル1の三辺に合抉部を構成して三辺合抉接合がされる構成としてもよい。
【0025】
また、以下の実施例においては、横方向に隣り合う壁パネル1同士は、実嵌合や接合金具などを用いる乾式結合(乾式シーリング)の例を用いて説明するが、シーリング材を用いた湿式結合(湿式シーリング)についても本発明を適用することができる。
【0026】
また、以下の実施例においては、壁パネル1同士の接合について説明するが、壁パネル1と同様の表面模様6を有する出隅用パネルと壁パネルを接合する場合にも、本発明は適用できる。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本実施例の壁パネル1は窯業系サイディングにて構成されており、表面に複数の模様部10が縦方向(上下方向)、横方向(左右方向)に配設されることで、模様部10を有してなる表面模様6が構成される。この表面模様6は、プレス機械にてプレスパターンを転写することで形成される。
【0028】
図1に示すごとく、表面模様6は、横方向の一まとまりの行61,62を、上下方向に複数行並べて構成される。各行61,62において、隣り合う模様部10の間には、壁パネル1の厚み方向において模様部10よりも低い位置に縦目地部20が縦方向に形成される。また、各行61,62の間には、壁パネル1の厚み方向において模様部10よりも低い位置に横目地部30が横方向に形成される。
【0029】
各模様部10は、縦目地部20と横目地部30によって周囲を囲まれることで画成され、それぞれが略方形状の単位形状(全体としてパターンを構成するための一要素)をなすように設計されている。
【0030】
図3に示す実施例の模様部10は、その表面において凹凸を有する立体的平面を構成する。より具体的には、その表面に窪み部40を形成し、残りの部位を隆起部50として残すことにより、自然石の石積みを模した立体的な意匠を構成することとしている。
【0031】
図1乃至
図4に示すごとく、表面模様6にはダミー目地部を構成する連続目地部25が形成される。この連続目地部25は、縦目地部20を上下に隣り合う少なくとも二つの行61,62を上下方向に横断するように一直線に通すことで形成される。本実施例では、三つの行61,62,63を横断することで、三つの行61,62,63を跨ぐ一連の連続目地部25が形成されている。
【0032】
このような連続目地部25は、他の部位の縦目地部20と異なり、上下方向の幅が広いため看者の視線を集中させる効果が得られる。そして、この効果によって、壁パネル1を4枚接合した状態の
図2に示すごとく、壁パネル1の接合部5の縦ライン5aへの視線を連続目地部25へと散らすことができ、壁パネル1の接合部5に形成され得る縦ライン5aを目立ち難くすることができる。
【0033】
なお、
図2においては、連続目地部25が形成される位置の一部を、楕円で囲んで表現している。このように、連続目地部25が壁パネル1の複数箇所に点在するように配置されることで、視線を散らし易くなるといった効果が得られる。
【0034】
以上のように構成される壁パネル1は、施工現場に搬入されたままの状態で使用されるほか、施工現場の状況に合わせて切断加工を行い、横幅寸法調整を実施することが想定される。
【0035】
ここで、切断加工後の横幅寸法は施工現場において決められるため、切断加工後の壁パネル1の横方向端部(縦辺部)の模様部10は、切断加工後の横幅寸法に応じて形成されることになる。
【0036】
このため、例えば、
図5(A)のように、行61,62の右端部において、それぞれ窪み部40、隆起部50が配置される場合や、
図5(B)のように、行61,62の右端部において、それぞれ窪み部40、窪み部40が配置されることが考えられる。
【0037】
図6は、切断加工後の壁パネル1の断面の一例を示すものである。上端部には表実部64が形成され、下端部には裏実部66が形成される。また、各行61においては、隆起部50、窪み部40が切断箇所に応じて現れ、行61の間には横目地部30が現れる。
【0038】
図6に示される上下方向の途中部に現れる行61の凹凸は、プレス成型によるパターンの転写により形成される。一方で、表実部64が形成される上端部の行65の上端斜面65aや、裏実部66が形成される下端部の行67の下端斜面67aは、切削(カッティング)によって形成される。
【0039】
このため、
図6に示すごとく、上下端の行65,67の上端斜面65a、下端斜面67aのエッジ箇所65e,67e(それぞれ模様部10の上端側、下端側の角部)の角度(エッジ角)は、他のエッジ箇所60e(プレスにより形成されたままのエッジ箇所)と比べてより鋭くなる、つまり、より角が立った状態となる。
【0040】
図7(A)は、切断加工後に生じる横方向端部(右端部)のバリ52について示すものであり、このバリ52が面取り加工(バリ取り加工)によって除去される。この面取り加工は、作業者がヤスリなどで行うことが想定され、特に隆起部50のバリ52が大きく除去されて、
図7(B)に示すように、幅W1の面取部54が形成される。なお、窪み部40についてはバリ52が形成されない、或いは、形成されたとしても極微小であるため、面取り加工がされないことが想定される。
【0041】
また、
図8(A)に示すように、切断加工された壁パネル1A,1B同士を左右方向に切断した場合、行61において隆起部50が隣り合う場合には、幅W1の面取部54同士が向き合い、略V字溝をなす幅の広い連続面取部56が形成されることになる。
【0042】
また、
図8(B)に示すように、例えば、一方の壁パネル1Bが切断加工がされていない場合であって、施工現場において搬入された状態のまま使用される場合であっても、工場での製作時において形成されたり、或いは、面取部54と同様の外観を生じさせる凸模様部の傾斜面部が、既存面取部55として接合部5に配置される場合には、行61において、この既存面取部55が切断加工された面取部54と隣り合い、略V字溝をなす幅の広い連続面取部56が形成されることになる。
【0043】
また、
図8(C)に示すように、切断加工された壁パネル1A,1B同士の接合部5において、行61において隆起部50と窪み部40が隣り合う場合には、幅W1の面取部54のみが接合部5に現れることになる。
【0044】
さらに、
図8(D)に示すように、切断加工された壁パネル1A,1B同士の接合部5において、行61において窪み部40と窪み部40が隣り合う場合には、接合部5に面取部54が現れない情況となる。
【0045】
以上の構成において、さらに以下の点に特徴的な構成を有する。
即ち、
図1、
図3、
図4、及び、
図9に示すごとく、模様部10により表面模様6が形成される長方形状の壁パネル1において、模様部10と目地部(縦目地部20,横目地部30)が壁パネル1の長辺方向(
図1のX方向)および短片方向(
図1のY方向)で交互に配置されており、模様部10のうち少なくとも一部には窪み部40が形成され、各模様部10の下端側には少なくとも一つの窪み部40が形成され、壁パネル1の最下行の少なくとも一つの模様部10における窪み部40の長辺方向の割合は、少なくとも一つの模様部10の上側に隣り合う他の模様部10の窪み部40の長辺方向の割合よりも、小さい、こととしている。
【0046】
本実施例では、凹凸により表面模様6が形成されている方形状の壁パネル1であって、表面模様6は、複数の模様部10と複数の縦目地部20を交互に横方向に配設してなる行61,62を、横目地部30を挟んで上下方向に配設して構成されており、各模様部10の下端側には少なくとも一つの窪み部40が形成され、各模様部10の下端側のエッジ箇所67eによって現れる横ライン67mは窪み部40を含んで起伏しており、壁パネル1の最下行の行67の少なくとも一つの模様部10Mにおける横ライン67mのうち、壁パネル1の厚み方向の基準高さKよりも高い領域50a,50b,50cの合計横幅(xa+xb+xc)の、横ライン67mの全幅X1に対する割合は、横目地部30を挟んで隣り合う他の模様部10Xの横ライン67xのうち、基準高さKよりも高い領域50e,50fの合計横幅(xe+xf)の、横ライン67xの全幅X2に対する割合よりも、小さい、こととしている。
【0047】
図3に示すように、横ライン67mは、最下行の行67の模様部10に下端側のエッジ箇所67e(
図6も参照)の起伏を、横方向(X方向)、高さ方向(Z方向)にプロットしたもので表される。換言すれば、エッジ箇所67eの起伏が横ライン67mで表現される。なお、
図3の横ライン67mは、模様部10に対する相対的な横・高さ倍率を2倍に拡大して表している。
【0048】
このように特定される横ライン67mが、
図4に示される最下行の行67のある模様部10Mの下端側のエッジ箇所67eで規定される場合において、模様部10Mに対し横目地部30を挟んで隣り合う他の模様部10X,10Yを特定したとする。
【0049】
そして、
図4に示される各模様部10X,10Yの下端側のエッジ箇所67eの起伏についても同様に、
図9に示すごとくの横ライン67x,67yが構成されたとする。
【0050】
また、
図9に示すごとく、壁パネル1の厚み方向のある位置を、基準高さKとして規定する。例えば、壁パネル1の底面高さから、全厚みの1/2だけ高い位置や、全厚みの2/3だけ高い位置を基準高さKとすることができる。
【0051】
そして、
図9に示すように、例えば、横ライン67mについて網掛けで示される領域50a,50b,50cが、壁パネル1の厚み方向の基準高さKよりも高い領域として規定される。各領域50a,50b,50cは、それぞれ横幅xa,xb,xcを有しており、合計横幅(xa+xb+xc)が算出される。
【0052】
また、例えば、横ライン67mについて、全幅X1が規定される。この全幅X1は、横ライン67mのうち、例えば、基準高さKにおける横幅を基準として規定することができる。
【0053】
同様に、横ライン67x,67yについても、合計横幅(xe+xf)、(xg+xh)と、全幅X2,X3が規定される。
【0054】
以上のように各種数値を規定するとともに以下の定義式、関係式が定義される。
(定義式1)
横ライン67mの傾斜面領域割合Qm=(xa+xb+xc)/X1
(定義式2)
横ライン67xの傾斜面領域割合Qx=(xd+xe)/X2
(定義式3)
横ライン67yの傾斜面領域割合Qy=(xf+xg)/X3
(関係式1)
Qm<Qx かつ Qm<Qy
【0055】
以上のようにして、
図9に示すように、壁パネル1の最下行の行67に配置される少なくとも一つの模様部10Mについて、その直ぐ上にある模様部10X,10Yと比較すると、基準高さよりも高い位置に現れる横ラインの割合を少なくすることができ、最下行の行67において、角度の鋭いエッジ箇所(67e:
図6参照)にて形成される横ライン67mが顕著に目立ってしまうことを防ぐことができる。
【0056】
そして、角度の鋭いエッジ箇所(67e:
図6参照)にて形成される横ライン67mがくっきりと現れることにより外壁の美観を損なってしまうことや、施工上の不具合であるがごとくの印象を与えてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
なお、以上の説明では、
図4に示すごとく、ある一つの模様部10Mと、その直ぐ上に配置されて、模様部10Mと隣り合う二つの模様部10X,10Yとの比較の例を用いたが、隣り合う凸模様部の数は二つである場合に限らず、一つとなる場合や、三つ以上である場合も考えられる。
【0058】
また、
図3に示すごとく、壁パネル1の最下行(行67)の少なくとも一つの模様部10における窪み部40は、上下方向に連続的に構成される、つまりは、最下行の行67の上下の横目地部30を連続させるように構成されており、上側から下側へ向かうほど広がるように形成される、こととしている。
【0059】
図3では、窪み部40と隆起部50の境界部分において、末広がりのライン44a,44bをなす窪み部40を構成することで、上側から下側へ向かうほど広がるような窪み部40が形成される。なお、本実施例では、同様の末広がりの形状をなす窪み部40を複数箇所に設けることとしている。
【0060】
このようにして、
図3、
図9に示すごとく、模様部10について窪み部40の形状を含めたデザインをしつつ、エッジ箇所の横ライン67mが現れる部位を少なくすることができ、横ライン67mがくっきりと現れることによって外壁の美観を損なってしまうことや、施工上の不具合であるがごとくの印象を与えてしまうことを防ぐことができる。