特許第6226420号(P6226420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226420
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電動アシスト機能付きはさみ
(51)【国際特許分類】
   B26B 15/00 20060101AFI20171030BHJP
   A01G 3/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B26B15/00
   A01G3/02 502C
   A01G3/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-194903(P2013-194903)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-58242(P2015-58242A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014000
【氏名又は名称】スターテング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】角田 修平
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕士
(72)【発明者】
【氏名】西村 勇彦
(72)【発明者】
【氏名】都丸 幸信
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−146544(JP,A)
【文献】 特開2001−340023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0077621(US,A1)
【文献】 実開昭54−115683(JP,U)
【文献】 特開2012−105623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00 − 15/00
B25F 5/00
B23D 29/00
A01G 3/02
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
握力による切断力とモータの動力による切断力の合力によって切断する方式の動力アシスト機能付きはさみであって、支軸によって回動自在に支持される一対の刃部の開閉動作によって被切断物を切断する方式となし、かつ前記一対の刃部の各把持部間に両把持部を開き勝手になるように付勢するスプリングを有し、前記一対の把持部と動力源であるモータとが動力伝達用ワイヤにて接続され、一方の把持部には握力による切断力検知手段が組込まれ、前記切断力検知手段によりモータをON/OFFさせる構成となした電動アシスト機能付きはさみにおいて、前記一対の刃部の開閉動作の全閉位置を検知し前記切断力検知手段によりモータをON/OFFさせる全閉位置検知手段を前記把持部に組込んだ構成となし、前記握力による切断力検知手段は、一対の把持部を握り被剪断物を一対の刃部で挟んだ際に当該刃部にかかる切断力を検知し、その検知された切断力に応じて前記モータをON/OFFする方式であって、把持部に組込まれた片持ちはりに取着された板ばねと、前記板ばねにより作動するON/OFFスイッチとで構成され、前記片持ちはりに作用するある一定以上の負荷により前記板ばねを介して前記ON/OFFスイッチがONとなる仕組みとなし、前記刃部の全閉位置検知手段は、前記切断力検知手段の切断力検知用板ばねと相対向して当該把持部に組込んだスライドピンと、他方の把持部に取着された板ばねとで構成され、刃部の全閉位置において他方の把持部に取着された全閉位置検知用板ばねを介して前記スライドピンが押されて前記切断力検知用板ばねを押圧することにより前記ON/OFFスイッチがOFFとなる仕組みとなしていることを特徴とする電動アシスト機能付きはさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等の動力で刃体を開閉する動力アシスト機能を備えたはさみに係り、より詳しくは握力による切断力と動力による切断力の合力によって切断する方式の電動アシスト機能付きはさみの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、植木等の剪定に用いられるはさみとしては、支軸によって回動自在に支持される一対の刃体の手動による開閉動作によって被切断物を切断するものであって、一対の刃体の基部にそれぞれ把持柄(レバー)がばね等によって固定されているものが普通であるが、手の力による切断力のみでは、大きな切断力を必要とする場合により強い力で把持柄(レバー)を操作する必要があった。このため最近は、作業の省力化をはかるため、モータの動力で刃体を開閉する方式の電動式はさみが各種提案されている。
【0003】
特許文献1には、トリガを回転操作する可動刃が、電動モータを駆動源として回転する方式の電動式はさみにおいて、電動モータの回転動力をギヤの噛合いを経て可動刃に伝達する構成とすることによりトリガの操作性をよくし、さらにトリガの位置と可動刃の位置をセンサにより検知する構成とすることにより、トリガの回転支軸を固定することができ、かつ可動刃をトリガの回転操作量に応じて任意の位置で停止させることができる電動式せん定はさみが提案されている。
【0004】
特許文献2には、トグルリンク機構によりモータ駆動軸を支点に屈曲した2つのリンクのなす角が開く方向に駆動軸を変位させると、2つのリンクに接続された2つの刃部(刃体)が閉じて行き、発生する切断力が増加し、2つの刃部(刃体)が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生する構成となした電動はさみが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記した二種類の電動はさみを含む従来の電動アシスト機能を備えた電動式はさみは、すべてモータの動力のみにより刃部(刃体)を開閉する方式であるため、大きな切断力を得るためには高出力のモータ・バッテリーが必要となり、はさみ全体の大型化と重量アップを余儀なくされ、コストアップを免れないのみならず、はさみ全体の大型化は操作性の悪化を招き、重量アップは持ち手に大きな負担を与えることになり好ましくない。又、バッテリーが消費されてモータが動作しなくなった場合には、再充電をしない限りはさみを使用することができないこと、刃部(刃体)の開放動作には、可逆モータもしくはギヤを用いる必要があること、被切断物の切断負荷にかかわらず常に一定の速度で刃部(刃体)を開閉動作させるため、被切断物の切断負荷に応じて刃部(刃体)の開閉動作を行うことができない上、バッテリーの消費を抑制することができないこと、等の欠点を有する。
【0006】
そこで、本発明者らは、上記した従来の電動アシスト機能を備えた電動式はさみの欠点を解消し得る電動アシスト機能付きはさみを先に提案した(特許文献3)。
この電動アシスト機能付きはさみは、握力による切断力と動力による切断力の合力によって切断する方式とすることにより、高出力のモータ・バッテリーが不要となり小型軽量化(操作性向上)とコスト低減がはかられるのみならず、バッテリーが消費されてモータが動作しなくなっても従来の手動式はさみとして継続使用することができ、さらに被切断物の切断負荷に応じて刃部(刃体)の開閉動作を行うことができるという特徴を有するもので、その構造は支軸によって回動自在に支持される一対の刃部の開閉動作によって被切断物を切断する方式となし、かつ前記一対の刃部の各把持部(レバー)間に両把持部を開き勝手になるように付勢するスプリング(リターンスプリング)を有するはさみにおいて、前記一対の把持部(レバー)と動力源であるモータとが動力伝達用ワイヤにて接続され、一方の把持部(レバー)には握力による切断力検知手段(スイッチ)が組込まれ、前記切断力検知手段によりモータをON/OFFさせる構成となしたもので、その手段として、切断力検知手段により直接モータをON/OFFさせる方式と、モータと動力伝達手段との間に例えば電磁クラッチ等のクラッチを介設し、該クラッチ手段によりモータの動力を当該モータの回転軸に取付けられた動力伝達用ワイヤ引込み部材に伝達する方式が採用されている。このうち、電磁クラッチ等のクラッチによりモータの動力をワイヤ引込み部材に伝達する方式は、前記切断力検知手段がOFFの時はモータ及びクラッチが非作動状態にあり、切断力検知手段がONになるとモータ及びクラッチが作動して、モータの動力が当該モータの回転軸に取付けられた動力伝達用ワイヤ引込み部材に伝達され、動力伝達用ワイヤが引込まれる仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−128561号公報
【特許文献2】特開2010−172622号公報
【特許文献3】特開2013−146544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者らが先に提案した上記電動アシスト機能付きはさみ(特開2013−146544号)には、以下に記載する問題点があった。
即ち、モータと動力伝達手段との間に例えば電磁クラッチ等のクラッチを介設し、該クラッチ手段によりモータの動力を当該モータの回転軸に取付けられた動力伝達用ワイヤ引込み部材に伝達し、動力伝達用ワイヤが引込まれる仕組みとなした前記電動アシスト機能付きはさみの場合は、切断力検知手段のON/OFFスイッチがONになると、クラッチ及びモータが作動し動力伝達用ワイヤが引き込まれる仕組みとなっているため、被切断物の切断が終了し、一対の刃部が閉じた状態で把持部(レバー)を握り続けるとモータはON状態を維持するが、動力伝達用ワイヤはそれ以上引き込むことができずモータがON状態を維持されたままとなるため安全性の面で好ましくない。このため安全性を考慮して、把持部に組込まれた握力による切断力検知手段の動作にかかわらずモータ及びクラッチを常に非作動状態にしておくための、一対の刃部の全閉位置検出手段を設けている。この刃部の全閉位置検出手段としては、例えば動力伝達用ワイヤ引込み部材の回動により全閉位置検出用スイッチが作動する仕組みとなっているものを採用することができる。
しかしながら、上記動力伝達用ワイヤ引込み部材等を利用した刃部の全閉位置検出手段により、把持部に組込まれた握力による切断力検知手段の動作にかかわらずモータ及びクラッチを常に非作動状態にしておく方式の場合、初期の動力伝達用ワイヤ等の取付け時における動力伝達用ワイヤの長さ誤差や、被切断物切断時の切断負荷により発生する動力伝達用ワイヤの伸長等により、一対の刃部が閉じる全閉位置と全閉位置検出手段作動位置にずれが生じ、一対の刃部が完全に閉じ切る前に全閉位置検出手段が作動することがあるため、刃部の全閉位置検出手段の作動位置の再調整を必要とするという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、モータの動力伝達用ワイヤの長さ誤差や、被切断物切断時の切断負荷による動力伝達用ワイヤの伸び等が発生しても、前記したような刃部の全閉位置検出手段の位置調整を必要とすることなく常に安定して精度よく刃部の全閉位置を検知できる機能を備えた電動アシスト機能付きはさみを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電動アシスト機能付きはさみは、握力による切断力とモータの動力による切断力の合力によって切断する方式の動力アシスト機能付きはさみであって、支軸によって回動自在に支持される一対の刃部の開閉動作によって被切断物を切断する方式となし、かつ前記一対の刃部の各把持部間に両把持部を開き勝手になるように付勢するスプリングを有し、前記一対の把持部と動力源であるモータとが動力伝達用ワイヤにて接続され、一方の把持部に組込まれた握力による切断力検知手段によりモータをON/OFFさせる構成となした電動アシスト機能付きはさみにおいて、前記一対の刃部の開閉動作の全閉位置を検知し前記モータをON/OFFさせる全閉位置検知手段を前記把持部に組込んだ構成となし、前記握力による切断力検知手段は、一対の把持部を握り被切断物を一対の刃部で挟んだ際に当該刃部にかかる切断力を検知し、その検知された切断力に応じて前記モータをON/OFFする方式であって、把持部に組込まれた片持ちはり及び当該片持ちはりに取着された板ばねと、前記板ばねにより作動するON/OFFスイッチとで構成され、前記片持ちはりに作用するある一定以上の負荷により前記板ばねを介して前記ON/OFFスイッチがONとなる仕組みとなし、前記刃部の全閉位置検知手段は、前記切断力検知手段の切断力検知用板ばねと相対向して当該把持部に組込んだスライドピンと、他方の把持部に取着された全閉位置検知用板ばねとで構成され、刃部の全閉位置において他方の把持部に取着された全閉位置検知用板ばねにより前記スライドピンが押されて前記切断力検知用板ばねを押圧することにより前記ON/OFFスイッチがOFFとなる仕組みとなしていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動アシスト機能付きはさみは、切断力検知手段のON/OFFスイッチを、一対の把持部において刃部が完全に閉じた状態を検知する全閉位置検知手段によりOFFできる機能を備えているので、モータの動力伝達用ワイヤの長さ誤差や、被切断物切断時の切断負荷による動力伝達用ワイヤの伸び等が発生しても、これらの影響を受けることなく、常に安定して精度よく刃部の全閉位置を検知してモータをOFFすることができる。又、切断力検知手段と刃部の全閉位置検知手段は、片持ちはり及び当該はりに取着された板ばねと、該板ばねにより作動するON/OFFスイッチを共用しているので部品点数も少なくて済みコストも安価につく。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電動アシスト機能付きはさみの構成の一実施例を一部破断して示す側面図である。
図2図1に示す電動アシスト機能付きはさみの要部を拡大して示す縦断面図である。
図3図1図2に示す電動アシスト機能付きはさみの被切断物切断時の切断力検知手段作動時の状態(スイッチONの状態)を示す拡大縦断面図である。
図4図1図2に示す電動アシスト機能付きはさみの被切断物切断終了時の刃部の全閉位置検知手段作動時の状態(スイッチOFFの状態)を示す拡大縦断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の改善の対象とする電動アシスト機能付きはさみとしては、例えば前記したように一対の把持部(レバー)と動力源であるモータとが動力伝達用ワイヤにて接続され、一方の把持部(レバー)には握力による切断力検知手段が組込まれ、前記切断力検知手段によりモータ及びクラッチをON/OFFさせる構成となしたもので、前記クラッチを介してモータの動力を当該モータの回転軸に取付けられた動力伝達用ワイヤ引込み部材に伝達する方式を採用するとともに、安全性を考慮して、把持部に組込まれた握力による切断力検知手段の動作にかかわらず前記モータ及びクラッチを常に非作動状態にしておくための、一対の刃部の全閉位置検知手段を備えたものである。
本発明は、この電動アシスト機能付きはさみの、一対の刃部の全閉位置検知手段では、前記したように初期の動力伝達用ワイヤ等の取付け時における動力伝達用ワイヤの長さ誤差や、被切断物切断時の切断負荷により発生する動力伝達用ワイヤの伸長等により、一対の刃部が閉じる全閉位置と全閉位置検知手段作動位置にずれが生じ、全閉位置検知手段の作動位置の再調整を必要とするという問題を解決するために、一対の刃部の開閉動作の全閉位置を検知する全閉位置検知手段を把持部に組込む方式を採用したものである。
【0015】
図1図4に一実施例を示す本発明の電動アシスト機能付きはさみは、先端に第1の刃部(刃体)1−1を有するレバー1、同じく先端に第2の刃部(刃体)2−1を有するレバー2が、それぞれ支軸3を支点に回動自在に支持されて一対となし、前記一対の刃部の各レバー1、2間にはスプリング(リターンスプリング)4が介設されており、常時はスプリング(リターンスプリング)4により両レバー1、2を開き勝手になるように付勢されている。又、前記一対のレバー1、2の端部には、動力源であるモータ(図示せず)の動力を伝達するための動力伝達用ワイヤ5が接続され、このワイヤ5を介してモータ(図示せず)の動力が前記一対のレバー1、2に伝達される仕組みとなしている。
【0016】
前記はさみの一方のレバー2に組込まれている、モータをON/OFFさせる握力による切断力検知手段は、はさみのレバー1、2を握り被切断物Wを一対の刃部1−1、2−1で挟んだ際に、該刃部にかかる切断力を、一方のレバー2に一端が取着された片持ちはり7で検知し、その検知された切断力(負荷)に応じてモータをON/OFFする働きをするもので、その構造は、一方のレバー2の内部に装着されたコイルバネ6にて常時外方への力を付勢された片持ちはり7と、前記片持ちはり7の端部にボルト9にて取着された切断力検知用板ばね8と、前記板ばね8を介して作動するON/OFFスイッチ10とで構成されている。即ち、この切断力検知手段は、通常はON/OFFスイッチ10がOFF状態にあり、一対のレバー1、2を握り被切断物Wを一対の刃部1−1、2−1で挟んだ際に、握力により片持ちはり7がたわみ、ある一定以上の負荷(負荷レベル)が作用すると、そのたわんだ片持ちはり7により切断力検知用板ばね8を介してON/OFFスイッチ10が押圧されてONとなり、他方、前記片持ちはり7に作用する負荷が小さく動力を必要としない場合には片持ちはり7が作用せずON/OFFスイッチ10がOFFとなる仕組みとなしたものである。
【0017】
又、一対の刃部1−1、2−1の全閉位置検知手段は、前記切断力検知手段が組込まれている一方のレバー2の前記ON/OFFスイッチ10に近接して前記切断力検知用板ばね8の下方位置に内方側端部が突出するように取付けられた一本のスライドピン11と、他方のレバー1の内面側に前記スライドピン11と相対向する位置に取付けられた全閉位置検知用板ばね12とで構成されている。前記スライドピン11は、軸部11−1と該軸部より大径の頭部11−2とからなり、レバー2に設けられたガイド孔11−3に軸部11−1がスライド可能に取付けられている。この全閉位置検知手段は、一対のレバー1、2の閉じる動作に伴って、他方のレバー1に取着された全閉位置検知用板ばね12によりスライドピン11が切断力検知用板ばね8に抗して当該レバー2内に押し込まれ、刃部1−1、2−1が完全に閉じるとその握力によりスライドピン11により切断力検知用板ばね8がさらに押圧されることにより該切断力検知用板ばね8が外側にたわんでON/OFFスイッチ10より離れて当該スイッチがOFFとなる仕組みとなしている。なお、前記スライドピン11は、レバー1、2が開いている時は自重又は切断力検知用板ばね8の復元力でレバー内方側にスライドして軸部11−1の端部がレバー2より突出して頭部11−2により係止されている。
【0018】
前記一対のレバー1、2と動力源であるモータとを接続するための動力伝達用ワイヤ5は、チューブ状ワイヤガイド5−1の内部にインナーワイヤ5−2が収納された構造となしたもので、このワイヤを介してモータの動力がレバー1、2に伝達される仕組みとなしたもので、その構成は、モータの駆動軸に取付けられたワイヤ引き込み部材(図示せず)により引き込まれる動力伝達用ワイヤ5が一対のレバー1、2の端部に接続されている。なお、チューブ状ワイヤガイド5−1の内部にインナーワイヤ5−2が収納された構造の動力伝達用ワイヤ5は、一方のレバー2の端部に設けられたワイヤガイド支持部材15にチューブ状ワイヤガイド5−1がガイド筒13及びナット14を介してボルト・ナット方式にて回動可能に取着され、インナーワイヤ5−2の先端部が他方のレバー1の端部のワイヤ接続部材16に接続されている。
図中、17はリード線、18はコルゲートチューブである。
【0019】
上記構成の電動アシスト機能付きはさみにおいて、電源スイッチ(図示せず)をONにした状態(図1)でレバー1、2を握り被切断物Wを一対の刃部1−1、2−1で挟んだ際に、握力により一定以上の負荷が作用して片持ちはり7がたわみ、そのたわんだ片持ちはり7の端部に取着した切断力検知用板ばね8によりON/OFFスイッチ10が押圧されてONになると、モータが駆動し、チューブ状ワイヤガイド5−1の内部に収納されたインナーワイヤ5−2が引き込まれ、握力による切断力と動力による切断力の合力によって刃部1−1、2−1が全閉して被切断物Wが切断される。
その後、被切断物Wの切断が終了し、レバー1、2が閉じられて刃部1−1、2−1が完全に閉じると、その握力により一対の刃部1−1、2−1の全閉位置検知手段の全閉位置検知用板ばね12を介してスライドピン11が切断力検知用板ばね8に抗して当該レバー2内に押し込まれることにより、切断力検知用板ばね8が外側にたわんでON/OFFスイッチ10より離れて当該スイッチがOFFとなり、モータと動力伝達手段との間に介設されているクラッチ、及びモータが非作動状態となり、モータ停止状態を保持することができる。
このように本発明の電動アシスト機能付きはさみは、切断力検知手段のON/OFFスイッチを、一対の把持部において刃部が完全に閉じた状態を検知する全閉位置検知手段によりOFFできるので、モータの動力伝達用ワイヤの長さ誤差や、被切断物切断時の切断負荷による動力伝達用ワイヤの伸長等が発生しても、これらの影響を受けることなく、常に安定して精度よく刃部の全閉位置を検知してモータ及びクラッチをOFFすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1、2 レバー
1−1、2−1 刃部(刃体)
3 支軸
4 スプリング(リターンスプリング)
5 動力伝達用ワイヤ
5−1 チューブ状ワイヤガイド
5−2 インナーワイヤ
6 コイルバネ
7 片持ちはり
8 切断力検知用板ばね
9 ボルト
10 ON/OFFスイッチ
11 スライドピン
11−1 軸部
11−2 頭部
11−3 ガイド孔
12 全閉位置検知用板ばね
13 ガイド筒
14 ナット
15 ワイヤガイド支持部材
16 ワイヤ接続部材
17 リード線
18 コルゲートチューブ
図1
図2
図3
図4