(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のばね片は、前記カム突部の内周側および外周側の前記周面を挟むように摺接する一対の摺接部を有するとともに、前記一対の摺接部より先端側に、前記一対の摺接部の間隔よりも間隔が広い一対の案内部を有することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の回転型電気部品。
前記他方の部材には、前記基部の一面と当接可能に対向する第1突部が設けられるとともに、前記基部の他面と当接可能に対向する第2突部が設けられていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の回転型電気部品。
【背景技術】
【0002】
ラジオコントロールで操作可能な玩具の操作装置などに回転型電気部品が用いられることがある。
【0003】
このような回転型電気部品は、入力操作する手元から目を離した状態で操作されることが多いので、入力操作が行われたときにクリック感などの操作感触を発生させる構成を備えていることが好ましい。
【0004】
従来の操作感触を発生させる構成としては、特許文献1に記載の節度装置900が有する感触発生手段が知られている。
【0005】
図19は、従来の節度装置900の構成を示す模式断面図である。従来の節度装置900は、
図19に示すように、節度凹部934が設けられたベース部921と、収容部930が形成された回転体924 と、回転体924を回転させる操作レバー926と、を備えている。また、収容部930に収容配置されるとともに、節度凹部934に係合可能な節度ボール931と、節度ボール931を節度凹部934へ押圧付勢するばね932と、を備えている。
【0006】
ベース部921と回転体924とは対向配置されているとともに、回転操作によって節度凹部934の開口部と収容部930の開口部とは対向配置可能となっている。なお、ばね932は、収容部930と節度凹部934との位置が重なっていないときには、節度ボール931を、収容部930の開口部と対向して設けられたベース部921の節度凹部934以外の平坦面へ押圧付勢している。そのため、節度ボール931とベース部921との当接面には摩擦力が発生するので、操作レバー926を回転操作して回転体924を回転させる操作者には、摩擦力による抵抗感が僅かに伝わる。
【0007】
その後、回転体924が回転して収容部930の開口部と節度凹部934の開口部との位置が重なって節度ボール931が収容部930から更に突出可能となったとき、節度ボール931が節度凹部934へ押圧付勢される。この際、節度ボール931は、ばね932の付勢力によって節度凹部934へ入り込もうとするため、この節度ボール931が節度凹部934の開口端部(平坦面との段差部)を押圧する力は、回転体924の回転動作を補助するように作用するものとなり、回転体924を回転操作する操作感触は軽くなる。この操作感触の変化が節度感触(クリック感)として、操作者に伝わる。
【0008】
さらに、回転体924が回転操作されて収容部930の開口部と節度凹部934の開口部との位置がずれるとき、節度ボール931は、節度凹部934に係合した位置から節度凹部934の開口端部を乗越えた位置へと移行して収容部930の内部へと収まる。このとき、操作レバー926を回転操作する操作者には、一瞬重たくなった直後に軽くなるような操作感触が伝わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような回転体924(操作レバー926)の回転操作に伴って、節度感触が得られる回転型電気部品において、回転操作後に操作を解除した場合に、回転体924を操作前の初期状態に復帰ばね等によって戻したいという要望がある。しかしながら、前述した節度装置900は、節度ボール931が節度凹部934から平坦面側へと段差を乗り上げる必要があることから、復帰ばねの付勢力が弱かったり、逆に、節度ボール931を押圧するばね932の付勢力が強かったりすると、復帰ばねによって、節度ボール931が節度凹部934から抜け出すことができず、回転操作を解除しても回転体924が初期状態に復帰できない場合が生じるという課題があった。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するもので、回転部材への回転操作に伴って操作感触が得られるとともに、操作を解除した際には、回転部材を初期状態に確実に復帰させることが可能な回転型電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも2つの端子が設けられた固定部材と、前記固定部材に対して所定角度の範囲で回転操作可能な回転部材と、前記回転部材の回転操作に伴って操作感触を生起する感触発生手段と、初期状態から一方向へ回転操作された前記回転部材を初期状態に復帰させる復帰部材と、を備え、前記回転部材の回転操作に伴って前記少なくとも2つの端子間の導通状態が切換えられる回転型電気部品において、前記感触発生手段は、カム突部と一対のばね片とを備えてなり、前記カム突部は、前記固定部材と前記回転部材とのいずれか一方の部材に設けられ、前記固定部材と前記回転部材とのいずれか他方の部材側へ突出するとともに円弧状に形成された突堤部と、前記突堤部の一端部側に設けられ先端側に向かうにしたがって幅寸法が小さくなるように形成された楔部とを有し、前記一対のばね片は、前記他方の部材に保持されているとともに、前記カム突部を挟持して当該カム突部の内周側および外周側の周面を摺動可能に設けられ、初期状態において、前記カム突部と前記一対のばね片とは離間しており、前記回転部材の一方向への回転に伴って、前記カム突部と前記一対のばね片とが相対的に回転移動することによって接触し、前記一対のばね片が前記カム突部の前記楔部から前記突堤部へと摺動することを特徴とする。
【0013】
これによれば、回転部材が初期状態から一方向へ回転するのに伴って、一対のばね片は、カム突部の周面に沿って楔部から円弧状の突堤部へ摺動する。一対のばね片が楔部を挟んで摺動しているときには、楔部の幅寸法が徐々に大きくなるため、ばね片は、徐々に大きく弾性変形し、その変形量に応じた復元力によってカム突部の周面から徐々に強い力を受けるようになる。そのため、回転部材を操作する操作者に伝わる抵抗感(操作荷重)が徐々に強くなる。そして、一対のばね片が楔部を過ぎて突堤部を挟んで摺動する際には、一対のばね片の形状は殆ど変化しないので、操作者に伝わる抵抗感は急激に小さくなり、この抵抗感の変化によって、操作者は節度感触を得ることができる。また、回転部材への操作を解除した復帰時には、一対のばね片は、カム突部の円弧状の突堤部から幅寸法が徐々に小さくなる楔部に移行するものとなるため、その際に、一対のばね片がカム突部の段差部を乗り上げるようなことはない。このため、操作者が回転操作を解除した際には、復帰部材によって、回転部材を確実に初期状態に復帰させることが可能となる。さらに、一対のばね片がカム突部を挟持しているので、回転部材には、内周側および外周側から、カム突部によって弾性変形させられる一対のばね片からの付勢力が加わり、内周側あるいは外周側の一方へ偏った力を受けにくくなる。そのため、カム突部の内周側あるいは外周側の周面が偏摩耗することは抑制され、良好な操作感触を長期間にわたって得ることができる。
【0014】
また、本発明の回転型電気部品において、前記他方の部材に保持された板ばね部材を具備し、前記板ばね部材は、前記一対のばね片と、前記一対のばね片をつなぐ基部と、を有し、前記一対のばね片は、前記基部の離間した二箇所から互いに対向するように前記カム突部側へ延設されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、一つの部材で一対のばね片を構成できるので、取扱いや組み立てが容易になる。
【0016】
また、本発明の回転型電気部品において、前記板ばね部材には、前記一対のばね片の延設方向と交差する方向へ突出する突出片が前記基部から延設されており、前記突出片は、前記他方の部材に取り付けられる取付部を有するとともに、前記基部と前記取付部との間には、前記突出片が捩れるように変形可能な弾性変形部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、板ばね部材の基部と取付部との間に設けられた弾性変形部が捩れるように変形することによって、一対のばね片が均等に近い荷重でカム突部に摺接するため、一方のばね片にのみ荷重が加わってカム突部の内周側および外周側の周面が偏摩耗することをいっそう抑制できる。これにより、良好な操作感触を長期間にわたって得ることができる。
【0018】
また、本発明の回転型電気部品において、前記突出片は、板状に形成されているとともに、前記取付部は、前記弾性変形部よりも幅が広い幅広部を有し、前記他方の部材には、前記突出片が挿入される穴部が設けられており、前記幅広部の両端部が、前記幅広部の両端部に対向する前記穴部の壁部と係合しているとともに、前記弾性変形部は、前記穴部を構成する前記壁部と隙間を有して対向して配置されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、弾性変形部は、穴部を構成する壁部に妨げられることがないので、確実に捩れるように変形することができる。
【0020】
また、本発明の回転型電気部品において、前記一対のばね片は、前記カム突部の内周側および外周側の前記周面を挟むように摺接する一対の摺接部を有するとともに、前記一対の摺接部より先端側に、前記一対の摺接部の間隔よりも間隔が広い一対の案内部を有することを特徴とする。
【0021】
これによれば、一対のばね片の先端部に間隔が広がっている一対の案内部を設けることで、回転部材を回転操作した際に、カム突部が一対のばね片の間に案内されやすくなる。よって、ばね片の先端にカム突部が衝突しばね片を座屈させる不具合が発生し難くなる。
【0022】
また、本発明の回転型電気部品において、前記他方の部材には、前記基部の一面と当接可能に対向する第1突部が設けられるとともに、前記基部の他面と当接可能に対向する第2突部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、カム突部と一対のばね片とが摺接する際に、一対のばね片から荷重を受ける基部を第1突部あるいは第2突部に当接させて支えることができるようになるので、良好な操作感触を得ることができる。
【0024】
また、本発明の回転型電気部品において、前記回転部材に前記カム突部が設けられ、前記固定部材に前記板ばね部材が設けられていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、回転操作される回転部材と、操作感触を発生させるカム突部との間に、弾性部材が介在しないので、操作感触が、鈍ることなく良好に操作者に伝えられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、感触発生手段は、カム突部と一対のばね片とを備えてなり、回転部材の一方向への回転操作に伴って、一対のばね片がカム突部の楔部から突堤部へと摺動する構成としたので、一対のばね片の位置が徐々に幅広となる楔部から円弧状の突堤部へ移行する際に、節度感触を得ることができる。また、回転部材への操作を解除した際には、一対のばね片の位置は突堤部から徐々に幅寸法が小さくなる楔部側へ移行するものとなるので、ばね片が段差部を乗り上げるようなことはないことから、復帰部材によって、回転部材を確実に初期状態に復帰させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態の回転型電気部品1について、
図1〜
図9を用いて説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0029】
図1は、第1実施形態の回転型電気部品1を斜め上方から見た斜視図である。
図2は、回転型電気部品1を示す正面図である。
図3は、回転型電気部品1を示す平面図である。
図4は、回転型電気部品1を斜め上方から見た分解斜視図である。
図5は、固定部材10を斜め上方から見た斜視図である。
図6は、固定部材10を斜め下方から見た斜視図である。
図7は、固定部材10を上方から見た平面図である。
図8は、板ばね部材30を示す説明図であり、
図8(a)は平面図、
図8(b)は正面図、
図8(c)は左側面図である。
図9は、回転部材20を斜め下方から見た斜視図である。
【0030】
回転型電気部品1は、
図1〜
図4に示すように、固定部材10と、回転部材20と、板ばね部材30と、復帰部材40と、フレーム50と、を備えてなる。回転型電気部品1において、操作体である回転部材20は、フレーム50に形成された側面開口孔59から突出する操作部22hを備えた回転本体22を有し、操作部22hを操作するように構成されている。
【0031】
なお、本実施形態において、回転型電気部品1の構成を分かりやすく説明するために、
図1のZ1方向から見て、回転部材20の回転軸AAの周りを時計回りに回る回転方向をCC方向と呼ぶ。
【0032】
固定部材10は、
図5および
図6に示すように、ウエハ12と、2つの端子18a、18bとを備えている。ウエハ12は、合成樹脂を成型してなる成型体である。ウエハ12は、底壁を構成する基底部12aと、この基底部12aから上方(Z1方向)に立設された円柱部12bおよび円筒壁12cとを備えている。内周側に位置する円柱部12bと外周側に位置する円筒壁12cとは、Z1方向から見て同心円状になっており、それらの間に、基底部12aよりも高さ(Z1方向における位置)の高い台部12dが形成されている。台部12dは、外周側に位置する円筒壁12cに連続して形成されており、台部12dの内周面と円柱部12bとの間には、後述する復帰部材40の巻回部40aが配置される収容部12kが設けられている。また、
図7に示すように、台部12dには、復帰部材40の一方の腕部40bが挿入される凹状の係止部12mが設けられている。ウエハ12と、端子18a、18bとは、インサート成型によって固定されている。ただし、端子18a、18bが、ウエハ12に圧入されている構成としても良い。端子18a、18bは、打ち抜き加工によって形成した金属製の平板を屈曲させることによって形成された金属片であり、ウエハ12の基底部12aおよび台部12dを上下方向に貫通して埋設されている。この端子18a、18bの上面(Z1側の面)は、後述する可動接点体28が摺動する固定接点を構成している。なお、
図6および
図7には、端子18a、18b以外の端子も埋設されているが、本明細書では説明を省略する。基底部12aには、
図7に示すように、穴部12eと第1突部12fと第2突部12gとが設けられている(
図11参照)。穴部12eは、Z1方向に開口を有する穴である。穴部12eを形成する壁部は、Z1方向から見たとき四角形の形状を有している。第1突部12fは、台部12dから突出するように穴部12eの一方向(CC方向)側に設けられている。第1突部12fは、
図5に示すように、円筒壁12cと連続して、ほぼ同じ高さに形成されている。第2突部12gは、台部12dから突出するように穴部12eの他方向側に設けられている。第2突部12gは、円筒壁12cおよび第1突部12fとの間に隙間を有している。なお、基底部12aの外周面には、複数の係合突部12hが設けられている。
【0033】
板ばね部材30は、弾性を有する金属の薄板を加工したものである。板ばね部材30は、
図8に示すように、一対のばね片32、33と、一対のばね片32、33をつなぐ基部31と、を有し、クリップ状に形成されている。また、板ばね部材30には、基部31から延出する突出片36が設けられている。ばね片32は、摺接部32aと、摺接部32aよりも先端側に設けられた案内部32bと、を備えている。ばね片33は、摺接部33aと、摺接部33aよりも先端側に設けられた案内部33bと、を備えている。一対のばね片32、33は、基部31の離間した二箇所から互いに対向するように延設されており、摺接部32aと摺接部33aとが互いに押し合うような付勢力が付与されている。突出片36は、板状に形成されているとともに、一対のばね片32、33の延設方向と交差する方向(Z2方向)へ突出して、弾性変形部34と取付部35とを有している。この取付部35は、弾性変形部34よりも幅が広い幅広部35aを備えている。また、突出片36は、基部31と取付部35との間に、弾性変形部34を有しているので、基部31と取付部35との間で捩れるように変形可能になっている。
【0034】
復帰部材40は、弾性を有する金属の線材を加工したトーションばねで構成された復帰ばねである。復帰部材40は、
図4に示すように、円筒コイル状に形成された巻回部40aと、巻回部40aの両端部に設けられた一対の腕部40bとを有している。巻回部40aは、固定部材10の収容部12kと後述する回転部材20の収容部22kとによって構成される収容空間に配置される。また、一方の腕部40bは、固定部材10の係止部12mに係止されるとともに、他方の腕部40bは、回転部材20の係止部22mに係止される。このように構成された復帰部材40によって、固定部材10に対して回転可能に保持された回転部材20は、回転操作前の初期状態に復帰する。
【0035】
フレーム50は、合成樹脂を成型してなる成型体である。また、金属を加工して成形したものであってもよい。フレーム50は、
図4に示すように、天板部51と、側壁52と、係止脚53と、を備えている。天板部51は、平板状で円形に形成されている。側壁52は、天板部51の円周縁部からZ2方向に延在する円筒形状に形成され、側面開口孔59が設けられている。この側面開口孔59の範囲内を、操作部22hが回動可能となっており、これにより、回転部材20の回転範囲が所定角度の範囲に制限されている。また、係止脚53は、係合孔を有するとともに、側壁52の下端部から延設されて形成されている。そして、係止脚53の係合孔に固定部材10の係合突部12hが係合することで、固定部材10とフレーム50とが一体化される。
【0036】
操作体である回転部材20は、
図9に示すように、回転本体22と、可動接点体28と、を備えている。
【0037】
回転本体22は、合成樹脂を成型してなる成型体である。回転本体22は、内壁22aと外壁22bとが円筒状に形成され、それぞれが固定部材10の円柱部12bと円筒壁12cとに摺接可能になっている。すなわち、回転部材20(回転本体22)は、固定部材10によって回転可能に保持されている。回転本体22には、レバー状の操作部22hが外壁22bから径方向の外方に向かって突出するように形成されている。なお、操作部22hの先端は球状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。回転本体22の内壁22aと外壁22bとの間には、中間壁22gが円筒状に設けられており、この中間壁22gの内側は、復帰部材40の巻回部40aが配置される収容部22kとなっている。中間壁22gの一部には、上方(Z1方向)に窪んだ係止部22mが形成されており、この係止部22mに、復帰部材40の他方の腕部40bが係止される。内壁22aと外壁22bとの間には、回転部材20の天井部を構成する上部壁が形成されている。収容部22kに位置する上部壁は、他の部分の上部壁よりも肉厚となっている。中間壁22gと外壁22bとの間には、上部壁の一部を構成する平坦部22cが形成されるとともに、平坦部22cから固定部材10の基底部12a側(Z2方向側)に突出したカム突部22dが形成されている。カム突部22dは、突堤部22fと、楔部22eとを備えている。突堤部22fは、円弧状であり、回転部材20の回転軸AA(
図1参照)を中心とする円周上に沿って配置されている。突堤部22fのCC方向には、楔部22eが形成されており、その幅は回転軸AAを中心とする円周上でCC方向に向かって先細りになっている。板ばね部材30の一対のばね片32、33は、カム突部22dを外周側と内周側とから挟持し、回転部材20の回転動作に伴って、一対のばね片32、33(摺接部32a、33a)とカム突部22dの外周側および内周側の周面とが所定の範囲内で摺動する。回転軸AAを中心とする円弧状に形成された突堤部22fは、少なくとも一対のばね片32、33と摺動する範囲において、幅寸法(外周と内周との間の幅寸法)が一定となるように構成されている。また、突堤部22fの一端部側に設けられた楔部22eは、先端側に向かうにしたがって、徐々に幅寸法が小さくなっている。このように、カム突部22dの外周側および内周側の周面は、一対のばね片32、33と摺動する範囲において、凹部が存在しないものとなっている。
【0038】
可動接点体28は、導電性を有する金属の薄板を加工したものである、可動接点体28は、円弧状であり、回転部材20の回転軸AA(
図1参照)を中心とする円周上に配置されている。可動接点体28の円周方向の両端は可動接点部28a、28bになっており、ばね弾性を有している。この可動接点体28は、回転本体22の上部壁にカシメなどの手段によって固定されている。なお、
図9では、可動接点体28以外の可動接点体を省略している。
【0039】
本実施形態の回転型電気部品1は、上述したように、固定部材10に2つの端子18a、18bを備え、回転部材20に可動接点体28を備えている。復帰部材40の付勢力によって、回転部材20が初期状態にあるときは、可動接点体28の可動接点部28bが端子18aに摺接しているが、端子18bには、いずれの可動接点部28a、28bも摺接していない。可動接点部28a、28bが端子18a、18bの両方またはいずれか一方に摺接していない場合には、2つの端子18a、18b間が非導通状態である。回転部材20の回転操作に伴って、可動接点部28aが端子18aと、可動接点部28bが端子18bと、に同時に摺接すると、2つの端子18a、18b間の導通状態が得られる。こうして、回転部材20の回転操作に伴って少なくとも2つの端子18a、18b間の導通状態が切換えられる。
【0040】
次に、本実施形態の回転型電気部品1における感触発生手段60の構成について、
図10〜
図18を用いて説明する。
【0041】
図10は、固定部材10に板ばね部材30を取り付けた状態を示す説明図である。
図11は、
図10のB部の拡大図である。
図12は、
図11のXII−XII線で切断した断面図である。
図13は、
図12の高さHにおける穴部12eと板ばね部材30との配置を説明する模式図である。
図14は、
図2のXIV−XIV線で切断した断面図である。
図15は、感触発生手段60の構成を示す説明図であり、
図14の断面における回転操作時の状態を示す説明図である。
図16は、
図15からさらに回転操作した感触発生手段60の状態を示す説明図である。
図17は、
図16からさらに回転操作した感触発生手段60の状態を示す説明図である。
図18は、
図17からさらに回転操作した感触発生手段60の状態を示す説明図である。なお、
図15ないし
図18においては、初期状態に位置するカム突部22dを仮想線(二点鎖線)で示している。
【0042】
本実施形態における感触発生手段60は、カム突部22dと一対のばね片32、33とを備えてなる(
図15参照)。本実施形態の回転型電気部品1において、感触発生手段60は、回転部材20にカム突部22dが設けられ、固定部材10に板ばね部材30が設けられている。
【0043】
一対のばね片32、33は、
図10および
図11に示すように、固定部材10に保持された板ばね部材30の基部31から延設されている。ばね片32、33を別々に作製して組み立てることも可能であるが、一つの部材で一対のばね片32、33を構成することにより、取扱いや組み立てが容易になる。前述のように、板ばね部材30の突出片36は、板状に形成されているとともに、取付部35は、弾性変形部34よりも幅が広い幅広部35aを有している(
図8参照)。固定部材10には、突出片36が挿入される穴部12eが設けられている。
図12に示すように、幅広部35aの両端部に対向する穴部12eの一対の壁部は、幅広部35aの両端部が係合(嵌合)する間隔を有して対向配置されており、この間隔の寸法は弾性変形部34の幅よりも大きくなっている。そして、弾性変形部34は、
図13に示すように、穴部12eを構成する全ての壁部と隙間を有して対向して配置されている。このため、弾性変形部34は、穴部12eを構成する壁部に妨げられることなく、捩れるように変形可能となっている。また、固定部材10の第1突部12fと第2突部12gとの間隙は、対向する基部31の板厚より広く、弾性変形部34の変形に大きく影響を及ぼさない(
図11参照)。なお、板ばね部材30は、幅広部35aが穴部12eを構成する一対の壁部に係合して固定されることによって、固定部材10に取り付けられている。
【0044】
一方、カム突部22dは、固定部材10に対して所定角度の範囲で回転操作可能な回転部材20の回転本体22に形成されている(
図9参照)。また、回転部材20は、復帰部材40によって初期状態(
図1参照)を保持するように付勢されている。
【0045】
図14に示すように、初期状態で、カム突部22dは一対のばね片32、33と離間した位置にある。したがって、操作部22hを操作する操作者は復帰部材40による付勢力を感じながら、回転部材20を初期状態から一方向(
図1のCC方向)へ回転操作することになる。
【0046】
回転部材20の回転動作に伴って、カム突部22dと板ばね部材30の一対のばね片32、33とが相対的に回転移動することによって接触する。
図15に示すように、カム突部22dが一対のばね片32、33の位置に到達すると、最初に楔部22eとばね片32、33の先端側にある案内部32b、33bとが接触する。このとき、操作部22hを操作する操作者は抵抗感を感じるようになる。固定部材10には、板ばね部材30の基部31の一面と当接可能に対向する第1突部12fが設けられるとともに、基部31の他面と当接可能に対向する第2突部12gが設けられている。これにより、カム突部22dと一対の案内部32b、33bとが接触した際に、一対のばね片32、33から荷重を受ける基部31を第1突部12fに当接させて支えることができる。
【0047】
さらに操作部22hを回転操作すると、
図16に示すように、カム突部22dの楔部22eが一対のばね片32、33の摺接部32a、33aを押し広げるように摺動して、一対のばね片32、33の間に案内される。板ばね部材30のばね片32、33は、一対の摺接部32a、33aがカム突部22dの内周側および外周側の周面を挟むように摺接する。このとき、板ばね部材30の基部31と取付部35との間に設けられた弾性変形部34が捩れるように変形することによって、一対のばね片32、33がほぼ同等の荷重で摺接する。一対のばね片32、33が楔部22eを挟んで摺動しているときには、楔部22eの幅寸法が徐々に大きくなるため、ばね片32、33は、徐々に大きく弾性変形するとともに、その変形量に応じた復元力によってカム突部22dの周面から徐々に強くなる力を受ける。このため、操作者は、抵抗感(操作荷重)が徐々に増していくように感じる。
【0048】
図17に示すように、カム突部22dの突堤部22fが一対のばね片32、33の摺接部32a、33aを押し広げるように摺動する位置まで回転操作されると、一対のばね片32、33の変形量は最大となり、その変形量に応じた復元力は最大となる。このため、
図17の状態に至る瞬間に、操作者に伝わる抵抗感は最大となる。
【0049】
さらに操作部22hが回転操作されて、
図18に示す回し切り状態(押し切り状態)までの間は、カム突部22dの突堤部22fが一対のばね片32、33の摺接部32a、33aと摺動する。
図17に示す回転位置を過ぎてからは、一対のばね片32、33の摺接部32a、33aの間隔が更に広げられるようなことはない。このため、摺接部32a、33aが楔部22eを摺動することによって、
図15に示す回転位置から操作者が感じていた抵抗感は急激に小さくなる。そして、この抵抗感の変化によって、操作者は節度感触(クリック感)を感じることができる。なお、
図17から
図18に至る回転位置では、一対のばね片32、33が突堤部22fを挟んで摺動しており、一対のばね片32、33の形状は殆ど変化しない。この間、一対のばね片32、33の変形量に応じた復元力は一定であるので、操作者に伝わる抵抗感はほぼ一定となる。
【0050】
このように、
図14の初期状態から
図18の回し切り状態に至る間に、カム突部22dの周面を一対のばね片32、33が付勢する力が変化することで、節度感触を伴った操作感触を得ることができる。回転操作される回転部材20と、操作感触を発生させるカム突部22dとの間に、弾性部材が介在しないので、操作感触が、鈍ることなく良好に操作者に伝えられる。
【0051】
また、本実施形態の回転型電気部品1においては、初期状態から一方向へ回転操作された回転部材20を、復帰部材40が初期状態に復帰させるように付勢し続けている。このため、操作者が回転部材20(操作部22h)への操作を解除したり、操作力を弱めると、回転部材20は初期状態に戻ろうとする。回転部材20の復帰時には、一対のばね片32、33は、カム突部22dの突堤部22fから楔部22eに移行するものとなる。すなわち、一対のばね片32、33の摺接部32a、33aが挟持する位置は、円弧状の突堤部22fから幅寸法が徐々に小さくなる楔部22e側へと移り、一対のばね片32、33がカム突部22dによって、その変形量が大きくなる方向へ変形することはない。このため、回転部材20への回転操作を解除した際には、回転部材20は、復帰部材40の付勢力によって、
図14に示す初期状態に復帰する。
【0052】
以上のように、本実施形態の回転型電気部品1においては、復帰部材40の付勢力に抗して回転部材20を一方向へ回転操作した際には、節度感触を伴った操作感触を得ることができ、回転操作を解除した際には、回転部材20を初期状態に復帰させることができる。
【0053】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0054】
本実施形態の回転型電気部品1は、少なくとも2つの端子18a、18bが設けられた固定部材10と、固定部材10に対して所定角度の範囲で回転操作可能な回転部材20と、回転部材20を初期状態に復帰させる復帰部材40と、を備える。回転型電気部品1は、回転部材20の回転操作に伴って少なくとも2つの端子18a、18b間の導通状態が切換えられる。そして、初期状態から一方向へ回転操作された回転部材20の回転に伴って操作感触を生起する感触発生手段60を備えている。感触発生手段60は、カム突部22dと一対のばね片32、33とを備えてなる。カム突部22dは、回転部材20に設けられ、固定部材10側へ突出するとともに円弧状に形成された突堤部22fと、突堤部22fの一端部側に設けられ先端側に向かうにしたがって幅寸法が小さくなるように形成された楔部22eとを有している。一対のばね片32、33は、固定部材10に保持されているとともに、カム突部22dを挟持してカム突部22dの内周側および外周側の周面を摺動可能に設けられている。初期状態において、カム突部22dと一対のばね片32、33とは離間しており、回転部材20の一方向への回転動作に伴って、カム突部22dと一対のばね片32、33とが相対的に回転移動することによって接触し、さらに、一対のばね片32、33がカム突部22dの楔部22eから突堤部22fへと摺動することを特徴とする。
【0055】
これによれば、回転部材20が初期状態から一方向へ回転するのに伴って、一対のばね片32、33は、カム突部22dの周面に沿って楔部22eから円弧状の突堤部22fへ摺動する。一対のばね片32、33が楔部22eを挟んで摺動しているときには、楔部22eの幅寸法が徐々に大きくなるため、ばね片32、33は、徐々に大きく弾性変形し、その変形量に応じた復元力によってカム突部22dの周面から徐々に強い力を受けるようになる。そのため、回転部材20を操作する操作者に伝わる抵抗感(操作荷重)が徐々に強くなる。そして、一対のばね片32、33が楔部22eを過ぎて突堤部22fを挟んで摺動する際には、一対のばね片32、33の形状は殆ど変化しないので、操作者に伝わる抵抗感は急激に小さくなり、この抵抗感の変化によって、操作者は節度感触を得ることができる。また、回転部材20への操作を解除した復帰時には、一対のばね片32、33は、カム突部22dの円弧状の突堤部22fから幅寸法が徐々に小さくなる楔部22eに移行するものとなるため、その際に、一対のばね片32、33がカム突部22dの段差部を乗り上げるようなことはない。このため、操作者が回転部材20への回転操作を解除した際には、復帰部材40の付勢力によって、回転部材20を確実に初期状態に復帰させることが可能となる。さらに、一対のばね片32、33がカム突部22dを挟持しているので、回転部材20には、内周側および外周側から、カム突部22dによって弾性変形させられる一対のばね片32、33からの付勢力(復元力)が加わり、内周側あるいは外周側の一方へ偏った力を受けにくくなる。そのため、カム突部22dの内周側あるいは外周側の周面が偏摩耗することは抑制され、良好な操作感触を長期間にわたって得ることができる。
【0056】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、固定部材10に保持された板ばね部材30を具備し、板ばね部材30は、一対のばね片32、33と、一対のばね片32、33をつなぐ基部31と、を有している。そして、一対のばね片32、33は、基部31の離間した二箇所から互いに対向するようにカム突部22d側へ延設されている。これによれば、一つの部材で一対のばね片32、33を構成できるので、取扱いや組み立てが容易になる。
【0057】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、感触発生手段60は、回転部材20にカム突部22dが設けられ、固定部材10に板ばね部材30が設けられている。これによれば、回転操作される回転部材20と、操作感触を発生させるカム突部22dとの間に、弾性部材が介在しないので、操作感触が、鈍ることなく良好に操作者に伝えられる。
【0058】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、板ばね部材30には、一対のばね片32、33の延設方向と交差する方向へ突出する突出片36が基部31から延設されており、突出片36は、固定部材10に取り付けられる取付部35を有する。そして、基部31と取付部35との間には、突出片36が捩れるように変形可能な弾性変形部34が設けられている。
【0059】
これによれば、板ばね部材30の基部31と取付部35との間に設けられた弾性変形部34が捩れるように変形することによって、一対のばね片32、33が均等に近い荷重で摺接する。このため、一方のばね片にのみ荷重が加わってカム突部22dの内周側および外周側の周面が偏摩耗することをいっそう抑制できる。これにより、良好な操作感触を長期間にわたって得ることができる。
【0060】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、突出片36は、板状に形成されているとともに、取付部35は、弾性変形部34よりも幅が広い幅広部35aを有している。また、固定部材10には、突出片36が挿入される穴部12eが設けられている。そして、幅広部35aの両端部が、幅広部35aの両端部に対向する穴部12eの壁部と係合しているとともに、弾性変形部34は、穴部12eを構成する壁部と隙間を有して対向して配置されている。
【0061】
これによれば、弾性変形部34は、穴部12eを構成する壁部に妨げられることがないので、確実に捩れるように変形することができる。
【0062】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、一対のばね片32、33は、カム突部22dの内周側および外周側の周面を挟むように摺接する一対の摺接部32a、33aを有する。さらに、一対のばね片32、33は、一対の摺接部32a、33aより先端側に、一対の摺接部32a、33aの間隔よりも間隔が広い一対の案内部32b、33bを有する。
【0063】
これによれば、一対のばね片32、33の先端部に間隔が広がっている一対の案内部32b、33bを設けることで、回転部材20を回転操作した際に、カム突部22dが一対のばね片32、33の間に案内されやすくなる。よって、ばね片の先端にカム突部22dが衝突しばね片を座屈させる不具合が発生し難くなる。
【0064】
また、本実施形態の回転型電気部品1において、固定部材10には、基部31の一面と当接可能に対向する第1突部12fが設けられるとともに、基部31の他面と当接可能に対向する第2突部12gが設けられている。
【0065】
これによれば、カム突部22dと一対のばね片32、33とが摺接する際に、一対のばね片から荷重を受ける基部31を第1突部12fあるいは第2突部12gに当接させて支えることができるようになるので、良好な操作感触を得ることができる。
【0066】
以上のように、本発明の第1実施形態の回転型電気部品1を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0067】
(1)本実施形態において、感触発生手段60は、回転部材20にカム突部22dが設けられ、固定部材10に板ばね部材30が設けられている構成としたが、カム突部とばね片の配置を反対とするように変更してもよい。すなわち、一方の部材にカム突部22dが設けられ、他方の部材に板ばね部材30が設けられていればよい。また、回転部材20は操作部22hを突出させる構成としたが、円柱状の操作つまみであってもよい。
【0068】
(2)本実施形態において、一対のばね片32、33は、一つの部材で構成されているものとしたが、異なる部材で構成し、別々に組み立てるようにしてもよい。
【0069】
(3)本実施形態において、突堤部22fの幅寸法を一定としたが、周面に凹部を有さなければ、幅寸法が楔部22eよりも小さい変化率で変化していてもよい。この場合には、回転部材20を確実に復帰させるために、楔部から離れるにしたがって幅寸法が楔部よりも緩やかに増加する突堤部とするのが好ましい。
【0070】
(4)本実施形態において、突堤部22fの幅寸法を一定としたが、突堤部の幅寸法が楔部から離れるにしたがって大きくなるものであれば、幅を段階的に変化させることによって、多段の操作感触が得られるようにしてもよい。
【0071】
(5)本実施形態において、回転型電気部品1を回転部材20の回転操作に伴って少なくとも2つの端子18a、18b間の導通状態が切換えられる構成としたが、これに限らず、抵抗値が変化する回転型電気部品に感触発生手段60を適用した構成としてもよい。