(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226461
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】キッチンペーパーロール包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20171030BHJP
B65D 33/08 20060101ALI20171030BHJP
B65D 33/10 20060101ALI20171030BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20171030BHJP
B65D 85/671 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/08
B65D33/10
B65D30/16 F
B65D85/671
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-204333(P2013-204333)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-67328(P2015-67328A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】冨田 亜沙美
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−104449(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0048994(US,A1)
【文献】
特開2009−035323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00 − 33/38
B65D 85/671
B65D 67/00 − 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の包装用フィルムの側部を袋内側に折り込みして偏平にした状態で上部が融着され、その融着部を境にして、袋本体部と、中央部に指掛け孔用切り込み部が形成された把手部と、が形成されているガゼット包装袋内に、
各々隣接する二つのキッチンペーパーロールが胴面で接しかつ端面が面一となるようにして並べられた四つのキッチンペーパーロール群が、その一方各端面が前記把手部側となるようにして内包されている、キッチンペーパーロール包装体であって、
前記把手部の幅方向中央部の下縁より下方位置から袋本体部の下方側に向かって延在する縦ミシン目線と、当該縦ミシン目線の袋本体部側端からガゼット包装袋の一方縁側に向かうように方向転換するように配された曲線をなす形状の屈曲ミシン目線と、この屈曲ミシン目線の端からガゼット包装袋の一方縁側に至るまで延在する横ミシン目線と、前記横ミシン目線間を繋ぐマチ部ミシン目線と、が連続してなる開封用ミシン目線を有し、
横ミシン目線の長さが、キッチンペーパーロールの半径以上、キッチンペーパーロールの直径より20mm短い長さ範囲にあり、縦ミシン目線の長さが、キッチンペーパーロールの半径の1/2以上、キッチンペーパーロールの半径より30mm長い長さ範囲とされている、
ことを特徴とするキッチンペーパーロール包装体。
【請求項2】
前記縦ミシン目線と横ミシン目線とが、キッチンペーパーロールの半径以下の曲線で連接している請求項1記載のキッチンペーパーロール包装体。
【請求項3】
屈曲ミシン目線が、円の一部を描くように配され、その円が、半径20mmからキッチンペーパーロールの半径の間とされている、請求項1又は2記載のキッチンペーパーロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のキッチンペーパーロールを包装フィルムによりガゼット包装したキッチンペーパーロール包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のキッチンペーパーをロール状に巻いたキッチンペーパーロールは、概ね4〜6個程度、複数個をまとめてガゼット包装袋に内包した状態で市販されている。なかでも4個のキッチンペーパーロールを各胴面を付き合わせるようにしてまとめてガゼット包装したものが多くみられる。
【0003】
このようなキッチンペーパーロール包装体では、キッチンペーパーロールを使用する際、使用者はそのガゼット包装袋を破って、内包された個々のキッチンペーパーロールを取り出して使用する。
【0004】
ところで、キッチンペーパーロールは、ある程度の長さのキッチンペーパーを巻いて筒状にしたものであるため、一本を使いきるまでにある程度の期間を要する。そのため、複数個をまとめて市販されるキッチンペーパーロール包装体では、いくつかのキッチンペーパーロールを長期に渡ってガゼット包装袋を破って開封した後にも保管をしておかなければならない。
【0005】
他方で、キッチンペーパーロールは、家庭のキッチンなど食材を取り扱う場面で使用されることが多いため衛生的であることが求められる。
【0006】
しかしながら、従来のキッチンペーパーロール包装体は、使用者が力まかせにガゼット包装袋を引裂いて開封するようになっているなど、過度に大きな開封口が形成され、使用されていない残りのキッチンペーパーロールをその開口後のガゼット包装袋内に保管しておく際に、開封口から塵や埃、虫等が侵入するおそれがあり、保管期間中の衛生面において不安があるものであった。
【0007】
また、従来のキッチンペーパーロール包装体の中には、開封用のミシン目線や切り込みカットなどが形成して開封性を高めたものもあるが、容易にキッチンペーパーロールを取り出せる開口が形成できるように開封でき、しかもその開口を形成した後にそれを容易に隙間無く閉じることができるものがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−104449号公報
【特許文献2】特許第3153528号
【特許文献3】特開2012−224353号公報
【特許文献4】特開2011−189965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、内包されたキッチンペーパーロールを取出しやすい開口を容易に形成でき、しかも、複数個の内の一部を包装体内から取り出した後にも残るキッチンペーパーロールを衛生的に保管することができるキッチンペーパーロール包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は、下記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
筒状の包装用フィルムの側部を袋内側に折り込みして偏平にした状態で上部が融着され、その融着部を境にして、袋本体部と、中央部に指掛け孔用切り込み部が形成された把手部と、が形成されているガゼット包装袋内に、
各々隣接する二つ
のキッチンペーパーロールが胴面で接しかつ端面が面一となるようにして並べられた四つのキッチンペーパーロール群が、その一方各端面が前記把手部側となるようにして内包されている、キッチンペーパーロール包装体であって、
前記把手部の幅方向中央部の下縁より下方位置から袋本体部の下方側に向かって延在する縦ミシン目線と、当該縦ミシン目線の袋本体部側端からガゼット包装袋の一方縁側に向かうように方向転換するように配された曲線をなす形状の屈曲ミシン目線と、この屈曲ミシン目線の端からガゼット包装袋の一方縁側に至るまで延在する横ミシン目線と、前記横ミシン目線間を繋ぐマチ部ミシン目線と、が連続してなる開封用ミシン目線を有し、
横ミシン目線の長さが、キッチンペーパーロールの半径以上、キッチンペーパーロールの直径より20mm短い長さ範囲にあり、縦ミシン目線の長さが、キッチンペーパーロールの半径の1/2以上、キッチンペーパーロールの半径より30mm長い長さ範囲とされている、
ことを特徴とするキッチンペーパーロール包装体。
【0011】
【0012】
〔請求項
2記載の発明〕
前記縦ミシン目線と横ミシン目線とが、キッチンペーパーロールの半径以下の曲線で連接している請求項1記載のキッチンペーパーロール包装体。
【0013】
〔請求項
3記載の発明〕
屈曲ミシン目線が、円の一部を描くように配され、その円が、半径20mmからキッチンペーパーロールの半径の間とされている、請求項
1又は2記載のキッチンペーパーロール包装体。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、内包されたキッチンペーパーロールを取出しやすい開口を容易に形成でき、しかも、複数個の内の一部を包装体内から取り出した後にも残るキッチンペーパーロールを衛生的に保管することができるキッチンペーパーロール包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るガゼット包装袋の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガゼット包装袋の断面概略図(
図1のII-II断面概略図)である。
【
図3】本発明の実施形態のキッチンペーパーロール包装体の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態のキッチンペーパーロール包装体の正面図である。
【
図5】本発明の実施形態のキッチンペーパーロール包装体の側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るキッチンペーパーロールの斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るガゼット包装袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次いで、本発明のキッチンペーパーロール包装体の実施形態を
図1〜7を参照しながら詳述する。
本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1は、
図1及び
図2に示す、筒状の包装フィルムの側部2A,2Bを袋内側に折り込みして偏平にした状態で上部が融着され、その融着部41を境にして、袋本体部10と、中央部に指掛け孔用切り込み部21,21が形成された把手部20と、が形成されている構造のガゼット包装袋2内に、
図3に示すように、4本のキッチンペーパーロール30が内包されているものである。
【0017】
本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、
図3〜
図5に示すように、上記構成のガゼット包装袋2内に、4本のキッチンペーパーロール30が、各々隣接する二つキッチンペーパーロールが胴面で接しかつ端面が面一となるようにして並べられ、一方の各端面が前記把手部20に向けて内包されており、その結果、本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、キッチンペーパーロール群30…を包装した状態において、ガゼット包装袋2は、その偏平状態において折り込まれた側部2A,2Bが開かれて形成されるマチ部11A,11Bに連接するように各面12,13,15が形成されている。なお、以後、マチ部11A,11Bに連接し、把手部20から底面に至る二つの面の一方面を正面12、他方面を背面13ともいう。但し、各マチ部11A,11Bと正面12及び背面13は相対的なものであり、いずれの面を正面12とするかは限定されるものではない。また、本実施形態における水平方向、垂直方向とはキッチンペーパーロール包装体の底面15を水平面においた状態を基準とする。
【0018】
本実施形態のキッチンペーパーロール包装体1における被包装物であるキッチンペーパーロール30は、
図6に示すように、紙管31に帯状のキッチンペーパー32を巻きつけたものであり、その大きさは、限定されないが、高さ(幅)が225〜235mm、直径30R(巻径)が100〜130mm、内径30d(芯直径)が35〜45mm、巻長が11.0〜22.3mのものが一般的である。本実施形態のキッチンペーパーロール包装体1は、この大きさのキッチンペーパーロール30を包装したものである場合に、特にその効果を奏する。
【0019】
キッチンペーパーロール30を構成するキッチンペーパー32は、1プライから3プライであり、本発明では特に限定されない。嵩(キッチンペーパー5枚重ね)が2.0〜5.0mm、1プライ当り米坪が11.0〜50.0g/m
2の範囲のものが例示できる。また、エンボスが付与されたものであってもよい。なお、ここでの米坪は、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、嵩(キッチンペーパー5枚重ね)は、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCKG30型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。キッチンペーパー枚数は1プライのものであれば「1枚」、複数プライの場合、ラミネート糊等でキッチンペーパー同士を貼り合わせた状態を「1枚」とする。
【0020】
ガゼット包装袋2を構成する包装フィルムとしては、厚みが20〜45μm、融点が150℃以下のポリエチレン樹脂製フィルムであるのがコスト面及び後述する開封用ミシン目線50の開封性の点で望ましい。なお、融点が低いほうが低温で融着処理できるため好ましいが、過度に融点が低い場合には、摩擦などによって包装袋に傷が付いたり、穴が空くおそれが高まるので、実質的な下限値は80℃である。ポリエチレン樹脂製フィルムとしては、直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)が挙げられる。なかでも、本発明においては、熱融着性及びコストの点で、密度0.910〜0.940g/cm
3で融点が110〜120℃の直鎖低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE)が、特に適する。
【0021】
係るガゼット包装袋2内にキッチンペーパーロール群30…が内包された態様の上記本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1は、例えば、予め筒状に形成された包装フィルムを、その両側部分を筒内側に押し込んだ状態で一方開口部を熱融着処理等により封止するとともに把手部20を形成して一方が閉じられた三方閉じのガゼット包装袋の前駆体を形成し、次に被包装物であるキッチンペーパーロール30を並べた状態で、その前駆体に挿入し、その後に他方開口部を熱融着処理して封止することにより製造することができる。熱融着処理は、一般的な方法にしたがって、180〜230℃で行なうことができる。後述する本実施形態に係る開封用ミシン目線50は、把手部20の形成と同時又は把手部20を形成した後、キッチンペーパーロール30…を挿入する前に形成することができる。
【0022】
一方、本実施形態に係るガゼット包装袋2に係る前記把手部20は、袋本体部10との境となる融着部41の他に、上端近傍にも幅方向に直線上の熱融着部42が形成されており、その上下の熱融着処理部41,42の間に一対の指掛け孔用切り込み部21,21が形成されている。このように上下において熱融着部41,42を形成し、その間に指掛け孔21,21を形成することにより、把手部20において積層された包装フィルム同士が、ずれることなく把手部20の取り扱い性が向上されている。
【0023】
また、本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、把手部20の特に指掛け孔用切り込み部21,21近傍に把手部20を補強するため補強用のフィルムシート25が積層融着されている。このように把手部20に補強用のフィルムシート25を設けることにより、把手部20の厚みが増加して指掛け孔用切り込み部21,21により形成される指掛け孔に指をいれて持つ際の指への負担が低減される。図示の形態では、上下の熱融着部41,42とともに指掛け孔用切り込み部21,21を囲む縦方向の熱融着部43,43が形成されており、本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1は、係る熱融着部41,42,43によって把手部20に対して補強用のフィルムシート25を一体的に積層融着している。但し、補強用のフィルムシート25の融着態様はこの態様に限られるものではない。係る補強用のフィルムシート25としては、融点が110〜120℃であり50〜70μmであるポリエチレンフィルム15が望ましい。このポリエチレンフィルムであると、熱融着による融着が容易に行える。
【0024】
他方、本実施形態のキッチンペーパーロール包装体1は、
図1〜5に示されるように、そのガゼット包装袋2に特徴的に開封用ミシン目線50が形成されている。本実施形態に係るこの開封用ミシン目線50は、把手部20及びマチ部11A,11Bに連接する各面、つまり正面12及び背面13に形成された縦ミシン目線50aと屈曲ミシン目線50dと横ミシン目線50bと、一方のマチ部11Aに形成されたマチ部ミシン目線50cが連接してなる。
【0025】
縦ミシン目線50aは、把手部20の下縁20Bより幅方向中央部の下方位置から袋本体部10の底面側に向かって正面視で実質的に垂直方向に直線的に延在するように配されている。なお、幅方向中央部とは少なくとも幅方向中央から左右に5mmの幅の範囲である。基端となる把手部側端50Sと把手部20の下縁20Bとの間の離間距離L1は、20mm〜60程度とするのがよい。なお、ここでの実質的にとは、ガゼット包装袋2を構成する包装用フィルムの素材に起因する歪み、伸びやミシン目線形成時の製造上の誤差などを許容する意味であり、正面視で概ね垂直方向に対して±10°程度の範囲を意味する。また、幅方向中央部とはこのように縦ミシン目線50aが底面側に直線的かつ正面視で垂直に延在し、その基端50Sと把手部下縁20Bとの間の距離L1が上記範囲であると、特に、把手部20をもって持ち運ぶ際に意図せず縦ミシン目線50aが裂開し難くなる。
【0026】
また、縦ミシン目線50aを配する位置としては、把手部20の幅方向の中央部が好ましい。より、具体的には、
図1のようにガゼット包装袋を折り込みして偏平にした状態において、その両折畳み側部2A,2Bの縁2a,2bの間にあるようにするのが望ましい。この位置であると、マチ部11A,11Bとなる側部2A,2Bにミシン目線を形成することなく、ガゼット包装袋2を偏平にした状態で一方面からミシン目線形成刃などで縦ミシン目線50aを容易に形成することが可能となる。
【0027】
一方、横ミシン目線50bは、縦ミシン目線50aの袋本体部側端50Eよりやや下方位置においてガゼット包装袋2の一方縁、すなわち一方マチ部11Aに至るまで延在するようにほぼ実質的に水平方向に沿って配されている。なお、ここでのほぼ実質的にとは、縦ミシン目線50aで述べたのと同様に、ガゼット包装袋を構成する包装用フィルムの歪み、伸びやミシン目線形成時の製造上の誤差などを許容する意味であり、概ね水平方向に対して±10°程度の範囲を意味する。横ミシン目線50bが実施的に水平方向に延在するように配されていることにより、把手部20をもって持ち運ぶ際に意図せず横ミシン目線50bが裂開することが防止される。特にマチ部ミシン目線50cとの境界部位からの意図しない裂開が好適に防止される。
【0028】
他方、屈曲ミシン目線50dは、縦ミシン目線50aの袋本体部側端50Eからガゼット包装袋2の一方縁、すなわち一方マチ部11Aに向かうように方向転換して横ミシン目線50bの端に連続するように配されている。換言すれば、縦ミシン目線50aと横ミシン目線50bとを繋ぐように配されている。屈曲ミシン目線50dは、縦ミシン目線50aから横ミシン目線50b或いは横ミシン目線50bから縦ミシン目線50aへの裂開がスムーズとなるように、曲線をなす形状に配されている。特に、図示例のように円の一部を描くように、すなわち縦ミシン目線50aと横ミシン目線50bとの間においてフィレット曲線となるように配されているのが望ましい。
【0029】
他方、マチ部ミシン目線50cは、正面12及び背面13の各面に形成された横ミシン目線50bの端同士を連結するように配される。マチ部ミシン目線50cの延在方向は、各面の横ミシン目線50bの端位置に依存するが、横ミシン目線50bと同様の理由から、実質的に水平方向に沿って延在するように配されているのが望ましい。換言すれば正面12及び背面13の各面における横ミシン目線50bの一方のマチ部側11Aの高さ位置が同じ高さ位置にあるのが望ましい。
【0030】
ここで、縦ミシン目線50aの袋本体部側端50Sの位置、換言すれば横ミシン目線50bの位置については、
図1〜5で示されるように、キッチペーパーロール群30…の上側端面に位置する部位Xよりも下方位置にあってもよいし、
図7に示すように前記部位Xと前記把手部20の下縁20Bとの間にあってもよい。前記部位Xと同位置にあってもよい。但し、屈曲ミシン目線50dの形状が、円の一部を描く場合であって、特に、その円の半径が30mm以下であるような場合には、その屈曲ミシン目線50dが、キッチンペーパーロール群30…の上側端面に位置する部位Xにあると、把手部を持ってキッチンペーパーロール包装体2を持った際に、屈曲ミシン目線50dを起点として開封用ミシン目線50が裂開するおそれがやや高まるので、このような場合には、屈曲ミシン目線50dが、キッチンペーパーロール群30…の上側端面に位置する部位X係らないようにするのが望ましい。
【0031】
ここで、開封用ミシン目線50の長さについては、縦ミシン目線50aの長さL2は、キッチンペーパーロール30の半径30rの1/2以上、キッチンペーパーロール30の半径30rより30mm長い長さ以下、の範囲とするのが望ましい。また、横ミシン目線の長さL3は、キッチンペーパーロール30の半径30r以上、キッチンペーパーロール30の直径30Rより20mm短い長さ以下、の範囲とするのが望ましい。また、屈曲ミシン目線50dは、円の一部を描くように配され、その円の半径が20mmからキッチンペーパーロール30の半径30rの間とされているようにするのが望ましい。
【0032】
上述の各ミシン目線の位置関係においてこのような各ミシン目線50a,50b,50dの長さとすると、ガゼット包装袋2の構造上、開封用ミシン目線50の特にマチ部ミシン目線50c、横ミシン目線50b及び屈曲ミシン目線50dの裂開により、袋本体部10の上部の特に一方のマチ部11A側に、隣接するキッチンペーパーロール二本分の端面とほぼ同程度の大きさの開口が形成される。そして、これらマチ部ミシン目線50c、横ミシン目線50b及び屈曲ミシン目線50dに続く縦ミシン目線50aの裂開により、前記キッチンペーパーロール二本分の端面とほぼ同程度の大きさの開口が縦ミシン目線50bにより開かれる部分だけ拡張される。それとともに、各ミシン目線により分断される袋本体部10の上部11yが、各面の縦ミシン目線50bの把手部側基端50Sを軸としてヒンジ蓋のようになる。特にガゼット包装袋2の構造上、正面12及び背面13の各把手部側基端50Sが近接していることから、容易に開口の把手部側上方部分11yが大きく開放できるようになる。縦ミシン目線50aを配せずに単に横ミシン目線50bの長さを長くしても、開口を大きくすることはできるが、開口の上方の開放がし難くキッチンペーパーロール30の取出し性があまり向上しない。本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、縦ミシン目線50aによる開口の拡張と開口上方の開放のし易さにより、開封後に特に最初の一本のキッチンペーパーロールを取り出す際に、残るキッチンペーパーロールや包装袋に形成された開口近傍に引っかかることが格段に解消され、キッチンペーパーロールの取出し性が極めて向上するのである。
【0033】
また、単に横ミシン目線50bを長くしてしまうと、平面視(把手部側から底面側に向う視点)で大きな開口面が形成されるためその開口が閉じづらいものとなる。本実施形態では平面視ではキッチンペーパーロール二本分の端面とほぼ同程度の大きさの開口面となるためその開口を再封止しやすい。特に、開封用ミシン目線50で分断された把手部側部分をガゼット包装袋内に残るキッチンペーパーロールの上側端面に被せるようにして容易に開口を封止できる。
【0034】
さらに、本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、曲線上の屈曲ミシン目線を配することで、横ミシン目線から縦ミシン目線への連続的な開封が容易となるとともに、その屈曲ミシン目線が上述の長さや位置関係であることにより、開封用ミシン目線の裂開によって形成される開口が、キッチンペーパーロールの取出しを妨げないようになる。
【0035】
このように本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、開封用ミシン目線50を裂開することにより、一方のマチ部側11Aの袋本体部10の上部に、隣接する二本のキッチンペーパーロールの上側端面部分の大きさよりやや大きい開口が形成され、しかも開口上方を大きく開放状態にし易く、包装体内部のキッチンペーパーロール30を極めて容易に取り出せるようになる。そのうえ、開口部分の封止も容易に行なえて、未使用状態で包装袋内に残るキッチンペーパーロールの衛生性を十分に確保できるのである。
【0036】
また、本実施形態における開封用ミシン目線50のカット部及びタイ部の長さ及びその比は、(カット部:タイ部)=1mm:1mm〜6mm:6mmの範囲とするのが望ましい。この範囲であれば、開封用ミシン目線50を容易に裂開することができるとともに、意図しない裂開を防止できる。
【0037】
以上のとおり、本実施形態に係るキッチンペーパーロール包装体1では、開封用ミシン目線50の裂開によって、内包されたキッチンペーパーロール30を取り出しやすい開口を容易に形成でき、しかも、係るキッチンペーパーロールを取り出したのちに開封用ミシン目線50の裂開によって分断される把手部側部分を残部のキッチンペーパーロールの上側端面に被せるようにして、その開口を簡易かつ隙間無く封止することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…キッチンペーパーロール包装体、2…ガゼット包装装、2A…ガゼット包装袋の一方側部、2B…ガゼット包装袋の他方側部、10…袋本体部、11A…一方のマチ部、11B…他方のマチ部、12…正面、13…背面、15…底面、21…指掛け孔用切り込み部、20…把手部、20B…把手部下縁、30…キッチンペーパーロール、31…紙管、32…キッチンペーパー、41…把手部と袋本体部との境の熱融着分、42…把手部上端近傍の熱融着部、43…縦方向の熱融着部、25…把手部補強用のフィルムシート、50…開封用ミシン目線、50a…縦ミシン目線、50b…横ミシン目線、50c…マチ部ミシン目線、50d…屈曲ミシン目線、X…キッチペーパーロール群の上側端面に位置する部位、11y…把手部側上方部分、50S…縦ミシン目線の基端、50E…縦ミシン目線の終端、L1…縦ミシン目線と把手部下縁との間の離間距離、L2…縦ミシン目線の長さ、L3…横ミシン目線の長さ、2a,2b…ガゼット包装袋の折り込み縁、30R…キッチンペーパーロールの直径、30r…キッチンペーパーロールの半径、30d…キッチンペーパーロールの内径(芯直径)。