(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226469
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】サーバ装置、携帯端末装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20171030BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-248005(P2013-248005)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-106283(P2015-106283A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 顕吾
(72)【発明者】
【氏名】帆足 啓一郎
【審査官】
加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/146746(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/140827(WO,A1)
【文献】
特開2012−003428(JP,A)
【文献】
特開2011−138328(JP,A)
【文献】
特開2005−128645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の携帯端末装置の位置情報に基づいて、少なくとも一つの携帯端末装置に対して、インセンティブを付与するサーバ装置であって、
前記各携帯端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記取得した位置情報に基づいて前記各携帯端末装置間の距離を算出する距離算出部と、
前記算出された距離の和に応じたインセンティブを決定するインセンティブ決定部と、
前記決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの前記携帯端末装置に送信するデータ送受信部と、を備え、
前記インセンティブ決定部は、前記算出した距離の和が大きいほど大きなインセンティブを決定することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
いずれか一つの携帯端末装置との間で距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出する比較対象ユーザ管理部をさらに備え、
前記比較対象ユーザ管理部は、一定以上離れた位置にいるユーザのみを抽出することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
いずれか一つの携帯端末装置との間で距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出する比較対象ユーザ管理部をさらに備え、
前記比較対象ユーザ管理部は、前記いずれか一つの携帯端末装置で実行されるアプリケーションを特定し、前記特定したアプリケーションの種類に応じて、前記距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記比較対象ユーザ管理部は、前記選出した他の携帯端末装置の候補に対して、リクエストを送信し、前記リクエストを受理した他の携帯端末装置の候補を、前記距離を算出する対象とすることを特徴とする請求項2または請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記距離算出部は、前記各携帯端末装置間の直線距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記距離算出部は、前記各携帯端末装置が交通機関を介して移動した経路に基づいて、前記距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のサーバ装置と通信を行なう携帯端末装置であって、
前記サーバ装置に対して、現在の位置情報を送信する一方、前記サーバ装置からインセンティブデータを受信することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
3以上の携帯端末装置の位置情報に基づいて、少なくとも一つの携帯端末装置に対して、インセンティブを付与するサーバ装置のプログラムであって、
前記各携帯端末装置の位置情報を取得する処理と、
前記取得した位置情報に基づいて前記各携帯端末装置間の距離を算出する処理と、
前記算出された距離の和に応じたインセンティブを決定する処理と、
前記決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの前記携帯端末装置に送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させ、
前記インセンティブを決定する処理は、前記算出した距離の和が大きいほど大きなインセンティブを決定することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の携帯端末装置の位置情報に基づいて、少なくとも一つの携帯端末装置に対して、インセンティブを付与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯端末に搭載されたGPS(Global Positioning System)等の位置認識手段を用い、所定時間毎の同端末の移動距離に応じて、ゲームで利用可能なポイントのようなインセンティブを付与するサービスが知られている。特許文献1では、このようなサービスを実施する際、移動距離を適正に算出する方法が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、ユーザが携帯端末でゲーム等のアプリケーションを利用する際に位置情報を取得し、この位置情報を、サーバを通して他のユーザに移転し、他のユーザがその位置情報を利用することを可能とする技術が開示されている。この技術では、位置情報を仮想通貨のように流通させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4789222号明細書
【特許文献2】特開2012−150545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、GPSや周辺基地局の情報により携帯端末の位置を特定することを繰り返し、単一のユーザの移動情報のみに基づいてインセンティブを付与するものであるため、複数のユーザ間の距離をインセンティブに反映することはできない。また、特許文献2に記載されている技術は、各ユーザが個々に取得した位置情報に価値を与えるものである。従って、複数のユーザが取得した位置情報の間で算出される相対的な「距離」という概念に価値を与えるものではなく、「距離」に基づくインセンティブを考慮したものでもない。単一のユーザの位置情報を、他のユーザに移転することを可能とするものであるが、それぞれのユーザが個別に取得した位置情報そのものに価値を与えたり、位置情報と関係がある距離に価値を与えたりすることはできない。また、これらの位置情報の価値や距離の価値をインセンティブに反映することはできない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、遠方のユーザと共にアプリケーションを利用するモチベーションを高めることによって、ユーザのアプリケーションの利用率を向上させ、ひいてはユーザ数の増加を図ることができるサーバ装置、携帯端末装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のサーバ装置は、複数の携帯端末装置の位置情報に基づいて、少なくとも一つの携帯端末装置に対して、インセンティブを付与するサーバ装置であって、前記各携帯端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記取得した位置情報に基づいて前記各携帯端末装置間の距離を算出する距離算出部と、前記算出された距離に応じたインセンティブを決定するインセンティブ決定部と、前記決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの前記携帯端末装置に送信するデータ送受信部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このように、各携帯端末装置の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて各携帯端末装置間の距離を算出し、算出した距離に応じたインセンティブを決定し、決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの携帯端末装置に送信するので、ユーザは、他のユーザとの距離が大きいほど大きなインセンティブを得ることが可能となる。その結果、ユーザのアプリケーションの利用率を向上させ、ひいてはユーザ数の増加を図ることができる。
【0009】
(2)また、本発明のサーバ装置は、いずれか一つの携帯端末装置との間で距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出する比較対象ユーザ管理部をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
このように、いずれか一つの携帯端末装置との間で距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出するので、距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補をユーザに提示することが可能となる。例えば、同一のアプリケーションを利用しているユーザのみを抽出したり、一定以上離れた位置にいるユーザのみを抽出したりすることが可能となる。
【0011】
(3)また、本発明のサーバ装置において、前記比較対象ユーザ管理部は、前記いずれか一つの携帯端末装置で実行されるアプリケーションを特定し、前記特定したアプリケーションの種類に応じて、前記距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出することを特徴とする。
【0012】
このように、いずれか一つの携帯端末装置で実行されるアプリケーションを特定し、特定したアプリケーションの種類に応じて、距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出するので、特定のアプリケーションのユーザに限定して、距離を算出する対象となる他の携帯端末装置の候補を選出することが可能となる。
【0013】
(4)また、本発明のサーバ装置において、前記比較対象ユーザ管理部は、前記選出した他の携帯端末装置の候補に対して、リクエストを送信し、前記リクエストを受理した他の携帯端末装置の候補を、前記距離を算出する対象とすることを特徴とする。
【0014】
このように、選出した他の携帯端末装置の候補に対して、リクエストを送信し、リクエストを受理した他の携帯端末装置の候補を、距離を算出する対象とするので、他の携帯端末装置のユーザの意思確認ができたことを条件に距離を算出する対象とする候補を選定することが可能となる。これにより、他の携帯端末装置のユーザの意思を尊重し、サービス提供者の企業コンプライアンスが遵守される。
【0015】
(5)また、本発明のサーバ装置において、前記距離算出部は、前記各携帯端末装置間の直線距離を算出することを特徴とする。
【0016】
このように、各携帯端末装置間の直線距離を算出するので、ユーザにとって距離感が認識されやすく、また、処理速度の向上および処理負荷の軽減が図られる。
【0017】
(6)また、本発明のサーバ装置において、前記距離算出部は、前記各携帯端末装置が交通機関を介して移動した経路に基づいて、前記距離を算出することを特徴とする。
【0018】
このように、各携帯端末装置が交通機関を介して移動した経路に基づいて、距離を算出するので、ユーザが現実に移動した距離をインセンティブに反映することが可能となる。また、交通機関に関するアプリケーションとの関係性が強くなるため、当該アプリケーションの利用率の向上が図られる。
【0019】
(7)また、本発明の携帯端末装置は、上記(1)から(6)のいずれかに記載のサーバ装置と通信を行なう携帯端末装置であって、前記サーバ装置に対して、現在の位置情報を送信する一方、前記サーバ装置からインセンティブデータを受信することを特徴とする。
【0020】
このように、サーバ装置に対して、現在の位置情報を送信する一方、サーバ装置からインセンティブデータを受信するので、ユーザは、他のユーザとの距離が大きいほど大きなインセンティブを得ることが可能となる。その結果、ユーザのアプリケーションの利用率を向上させ、ひいてはユーザ数の増加を図ることができる。
【0021】
(8)また、本発明のプログラムは、複数の携帯端末装置の位置情報に基づいて、少なくとも一つの携帯端末装置に対して、インセンティブを付与するサーバ装置のプログラムであって、前記各携帯端末装置の位置情報を取得する処理と、前記取得した位置情報に基づいて前記各携帯端末装置間の距離を算出する処理と、前記算出された距離に応じたインセンティブを決定する処理と、前記決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの前記携帯端末装置に送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0022】
このように、各携帯端末装置の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて各携帯端末装置間の距離を算出し、算出した距離に応じたインセンティブを決定し、決定したインセンティブと等価のインセンティブデータを、少なくとも一つの携帯端末装置に送信するので、ユーザは、他のユーザとの距離が大きいほど大きなインセンティブを得ることが可能となる。その結果、ユーザのアプリケーションの利用率を向上させ、ひいてはユーザ数の増加を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザは、他のユーザとの距離が大きいほど大きなインセンティブを得ることが可能となる。その結果、ユーザのアプリケーションの利用率を向上させ、ひいてはユーザ数の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係るインセンティブ付与システムの概略構成を示す図である。
【
図2】インセンティブ付与サーバの概略構成を示す図である。
【
図3】ユーザ端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るインセンティブ付与サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】利用ユーザのユーザ端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】比較対象ユーザのユーザ端末の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態は、従来技術の課題に鑑み、複数のユーザが保持する携帯端末間の距離に基づき、インセンティブを付与することにより、ユーザ個人で利用する場合と比較して、その対象となるゲーム等のアプリケーションにおいて、各ユーザは、メリットが得られることとなる。これにより、他ユーザと共に同アプリケーションを利用するモチベーションを喚起することが可能となる。更に、ユーザ自身からより遠距離に位置する他ユーザと共に同アプリケーションを利用するモチベーションを喚起することができる。
【0026】
本実施形態において、インセンティブとは、ユーザにとって価値のあるもののことを言う。例えば、対象アプリケーションで利用可能な通貨やアイテム、携帯通信事業者による通信利用料や携帯端末購入代金への変換が可能なポイント、アプリケーション提供事業者が運営するオンラインショッピングサイトで、商品購入代金からの割引に利用可能なポイント、アプリケーション提供事業者またはその提携事業者が運営する現実の映画館、レジャー施設を利用できるチケット、割引クーポン、飲食店の割引クーポン、等とすることができる。
【0027】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、同様の機能を有するあらゆる形態において実施することが可能である。
【0028】
図1は、本実施形態に係るインセンティブ付与システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、このインセンティブ付与システムは、インセンティブ付与サーバ10に対して、クライアントとなる複数のユーザ端末20a〜20nが、インターネット等の通信ネットワーク30を介して接続されることで構成されている。
【0029】
図2は、インセンティブ付与サーバの概略構成を示す図である。データ送受信部11は、いずれかのユーザ端末からユーザ認証データ、位置情報および利用ユーザ(以下、ユーザ端末のユーザのことを「利用ユーザ」と呼称する。)により選択された比較対象ユーザ(以下、比較対象とする他ユーザのことを「比較対象ユーザ」と呼称する。)に関する情報を受信する。比較対象ユーザリクエスト発行部15により発行された比較対象ユーザリクエストを、他のユーザ端末へ送信し、同リクエストに対する利用ユーザの応答を位置情報と共に受信する。また、インセンティブ決定部17で決定されたインセンティブと等価のインセンティブデータをユーザ端末へ送信する。ここで、「インセンティブと等価のインセンティブデータ」とは、金銭的価値、経済的価値または社会的価値など、社会通念上、「価値」と考えられているインセンティブと等しい価値を有するデータのことをいう。
【0030】
ユーザデータ認証/管理部12は、データ送受信部11で受信したユーザ認証データをユーザデータDB13の登録内容と照合し、認証する。また、インセンティブ決定部17において決定したインセンティブとその決定に用いた各比較対象ユーザの位置情報を、時刻とともにユーザデータDB13の比較対象ユーザデータに登録する。
【0031】
比較対象ユーザ管理部14は、利用ユーザにより、または対象アプリケーション等を通して自動で選択された全ての比較対象ユーザへの比較対象ユーザリクエストを発行し、送信し、応答状況を管理する。例えば、いずれかのユーザ端末で使用されるアプリケーションの種類に応じて比較対象ユーザの候補を選定したり、いずれかのユーザ端末から一定の距離を隔てた位置にいる比較対象ユーザを選定したりすることができる。また、比較対象ユーザリクエスト発行部15への、各比較対象ユーザへのリクエスト発行命令を制御する。
【0032】
比較対象ユーザリクエスト発行部15は、比較対象ユーザ管理部14からの命令に従い、比較対象ユーザリクエストを発行する。距離算出部16は、利用ユーザおよび比較対象ユーザの位置情報から両者の距離を算出する。ここで算出対象とする距離は、比較対象ユーザが1名である場合は、両位置の直線距離、または実際に交通機関を用いる場合の移動距離(以下、「移動距離」と呼称する。)等とすることができる。一方、比較対象ユーザが2名以上である場合は、利用ユーザの位置を起点とした各比較対象ユーザの位置までの直線距離、移動距離の和、利用ユーザと全ての比較対象ユーザの位置を結ぶ最短の直線距離、または移動距離の和、等とすることができる。更に、上記移動距離においては、ユーザが利用する交通機関の種類(例えば、鉄道、バス、飛行機等)、およびそれらの乗換回数、利用ユーザの年齢等を加味することで、利用ユーザの心理的、体力的な要因による距離の感じ方を反映しても良い。
【0033】
インセンティブ決定部17は、距離算出部16にて算出された距離に基づき、利用ユーザに付与するインセンティブを決定する。このとき、利用ユーザに付与するものと同等、または一部のインセンティブを比較対象ユーザに対して同時に付与しても良い。インセンティブ決定部17で決定されたインセンティブは、それと等価のインセンティブデータとして、ユーザデータ認証/管理部12、データ送受信部11を介して該当するユーザ端末に送信される。位置情報取得部18は、ユーザ端末および比較対象ユーザの位置情報を取得する。本明細書では、位置情報取得部18は、データ送受信部11が取得した情報から位置情報を抽出して距離算出部16に出力する態様を例にとったが、本発明は、これに限定されるわけではなく、他の方法で位置情報を取得することも可能である。
【0034】
図3は、ユーザ端末の概略構成を示すブロック図である。位置情報取得部21は、予め設定されたタイミングでユーザ端末の位置情報を取得し、位置情報DB22に取得した時刻とともに登録する。例えば、ユーザ端末の利用状況に依らず、一定の時間間隔で位置情報を取得する、インセンティブ付与対象のアプリケーション(以下、「対象アプリケーション」と呼称する。)が起動されたタイミングで位置情報を取得する、等としても良い。ここで、位置情報の取得には、GPS衛星からの測位情報に基づく方法の他、ユーザ端末と通信する周辺の携帯電話基地局、あるいはWi−Fiアクセスポイントより得られる情報に基づく方法等を用いることもできる。
【0035】
比較対象ユーザ選択部23は、インセンティブ付与サーバ10からの通知に基づいて、インセンティブ付与のための距離算出にユーザ自身と比較する他ユーザを何れにするか、ユーザ端末の利用ユーザからの選択を受け付ける。比較対象とする他ユーザは、1名としても良いし、2名以上としても良い。ここで、比較対象ユーザの選択は、例えば、対象アプリケーションを通して、利用ユーザにより実施される形態とすることができる。このように、対象アプリケーションを通すことにより、比較対象ユーザとして選択可能な他ユーザは、例えば、全て、または一部の対象アプリケーションユーザとすることができる。また、比較対象ユーザの選択について、利用ユーザからの選択ではなく、対象アプリケーション側が同等の進度の他ユーザをランダムに選択する等としても良い。
【0036】
比較対象ユーザリクエスト応答部24は、インセンティブ付与サーバ10より発行された、他ユーザからの距離算出の比較対象ユーザとしてのリクエスト(以下、「比較対象ユーザリクエスト」と呼称する。)に対し、応ずるか否か、比較対象ユーザからの応答を受け付ける。この応答についても、対象アプリケーションを通して実施される形態とすることができる。
【0037】
データ送受信部25は、予め設定されたタイミングで位置情報DB22に登録された位置情報のうち、距離算出の対象となる位置情報をインセンティブ付与サーバ10へ、ユーザ認証データと共に送信する。例えば、比較対象ユーザとともに対象アプリケーションにおけるリアルタイムイベント(例えば、レイドバトル等)への参加を決定したタイミングで、その時刻に最も近い時刻の位置情報を送信することができる。また、データ送受信部25は、比較対象ユーザ選択部23にて受け付けた、比較対象ユーザに関する情報をインセンティブ付与サーバ10へ送信する。これは、例えば、上記リアルタイムイベントへの参加を決定したタイミングに、位置情報と同時に送信することとすることができる。更に、データ送受信部25は、インセンティブ付与サーバ10より発行された比較対象ユーザリクエストを受信し、これに対して比較対象ユーザリクエスト応答部24にて決定された応答を、位置情報と共にインセンティブ付与サーバ10へ送信する。また、インセンティブ付与サーバ10により付与されたインセンティブと等価のインセンティブデータを受信する。
【0038】
ユーザ状況管理部26は、データ送受信部25が受信したインセンティブデータを、受信した時刻とともにユーザ状況DB27に登録する。ユーザ状況DB27は、対象アプリケーションから参照され、その進行等に反映される。
【0039】
図4は、本実施形態に係るインセンティブ付与サーバの動作例を示すフローチャートである。インセンティブ付与サーバ10は、利用ユーザのユーザ端末から利用ユーザ認証データを受信すると(ステップS1)、ユーザ認証を行なう(ステップS2)。ユーザの認証が成功した場合は、ユーザデータDBより比較対象ユーザ候補を選出し(ステップS3)、上記ユーザ端末に対して、比較対象ユーザ候補を送信する(ステップS4)。上記ユーザ端末からこの送信に対する応答を受領したかどうかを判断し(ステップS5)、受領していない場合はこの判断を繰り返す。
【0040】
一方、ステップS5において、上記ユーザ端末からこの送信に対する応答を受領した場合は、比較対象ユーザ候補に対して比較対象ユーザリクエストを発行する(ステップS6)。比較対象ユーザ候補により、リクエストが受領されたかどうかを判断し(ステップS7)、比較対象ユーザ候補により、リクエストが受領されなかった場合は、ステップS3に遷移し、再度比較対象ユーザ候補を選出する(ステップS3)。なお、ステップS7において、比較対象ユーザ候補が複数存在する場合、すべての比較対象ユーザ候補でリクエストが受領された場合に、ステップS8に進むように構成しても良いし、いずれか一人以上の比較対象ユーザ候補からリクエストが受領された場合に、ステップS8に進むように構成しても良い。また、どの比較対象ユーザ候補からもリクエストが受領されなかった場合は、終了するように構成しても良い。一方、ステップS7において、比較対象ユーザ候補により、リクエストが受領された場合は、比較対象ユーザに関する情報を上記ユーザ端末に送信する(ステップS8)。
【0041】
次に、インセンティブ付与サーバ10は、ユーザ間距離を算出し(ステップS9)、算出した距離に基づいて、インセンティブを決定する(ステップS10)。そして、決定したインセンティブおよび位置情報を時刻と共にユーザデータDBに登録して(ステップS11)、上記ユーザ端末にインセンティブと等価のインセンティブデータを送信して、終了する(ステップS12)。なお、インセンティブデータを比較対象ユーザに対して送信しても良い。
【0042】
図5は、利用ユーザのユーザ端末の動作例を示すフローチャートである。対象アプリケーションのイベントへの参加登録を検知すると(ステップT1)、利用ユーザ認証データをインセンティブ付与サーバ10に送信する(ステップT2)。次に、インセンティブ付与サーバ10から比較対象ユーザ候補を受信すると、いずれかの比較対象ユーザ候補を選出する(ステップT3)。そして、インセンティブ付与サーバ10に対して、選出した比較対象ユーザ候補を送信する(ステップT4)。
【0043】
次に、比較対象ユーザが決定したかどうかを判断し(ステップT5)、比較対象ユーザが決定されていない場合は、ステップT3に遷移し、再び比較対象ユーザ候補の選出を行なう(ステップT3)。一方、ステップT5において、比較対象ユーザが決定した場合は、自装置の位置情報を取得し(ステップT6)、この位置情報を時刻と共に位置情報DBに登録し(ステップT7)、インセンティブ付与サーバ10に対して、位置情報を送信する(ステップT8)。
【0044】
次に、インセンティブ付与サーバ10からインセンティブデータを受信した場合(ステップT9)、インセンティブデータを時刻と共にユーザ状況DBに登録して、終了する(ステップT10)。
【0045】
図6は、比較対象ユーザのユーザ端末の動作例を示すフローチャートである。まず、インセンティブ付与サーバ10からリクエストを受信したかどうかを判断し(ステップR1)、リクエストを受信していない場合は、この判断を繰り返す。一方、ステップR1において、インセンティブ付与サーバ10からリクエストを受信した場合は、ユーザの判断に基づいて、このリクエストが受理されたかどうかを判断する(ステップR2)。このリクエストを受理しない場合は、インセンティブ付与サーバ10に対して不受理応答を行なって(ステップR3)、終了する。
【0046】
一方、ステップR2において、リクエストを受理した場合は、自装置の位置情報を取得し(ステップR4)、位置情報を時刻と共に位置情報DBに登録する(ステップR5)。次に、インセンティブ付与サーバ10に対して、リクエスト応答を行なうと共に、位置情報を送信する(ステップR6)。
【0047】
次に、インセンティブ付与サーバ10からインセンティブデータを受信した場合(ステップR7)、インセンティブデータを時刻と共にユーザ状況DBに登録して、終了する(ステップR8)。
【0048】
なお、以上の説明では、インセンティブ付与サーバとユーザ端末とを分離させた態様を説明したが、本発明は、これに限定されるわけではなく、インセンティブ付与サーバの機能をユーザ端末に持たせ、ユーザ端末で完結したシステムとして構成しても良い。
【実施例1】
【0049】
ユーザ端末において、ソーシャルゲーム内で開催される、複数のユーザが協力し、共通の目的を達成する(敵を倒す等)レイドイベントにおいて、目的達成時に得られるインセンティブ(ゲーム内通貨額やアイテムのレア度)が、協力したユーザ間の距離の和に応じて決定されるものとする。これにより、より多くの遠距離に居住するユーザをゲームに招待することが促される。
【実施例2】
【0050】
交通機関(鉄道等)の提供するアプリケーションにおいて、予め登録した比較対象ユーザ(友人等)の居住地を訪問する際、その移動距離によって利用ユーザと比較対象ユーザの両者が同交通機関利用時の割引ポイントを取得できるようにする。これにより、同交通機関を利用した同一比較対象ユーザへの訪問頻度向上、より多くの比較対象ユーザへの訪問を促すことができる。また、特定の交通機関(鉄道)に対応するアプリケーションを利用する際に、実際にユーザが鉄道を利用し、より長い距離を移動することによって、インセンティブを付与するようにする。これにより、当該交通機関の利用客の増加を図ると共に、アプリケーションの利用率を高めることができ、ひいては通信事業者の加入者数の増加を図ることが可能となる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のユーザの保持する携帯端末間の距離に基づき、インセンティブを付与することで、その対象となるゲーム等のアプリケーションのユーザが、他ユーザとともに同アプリケーションを利用するモチベーションを喚起することが可能となる。また、自身から近距離に居住する他ユーザだけでなく、より遠距離に居住する他ユーザとともに同アプリケーションを利用するモチベーションを喚起することが可能となる。更に、ユーザが旅行等で居住地域から離れた場所を訪れた際にも、より多くのインセンティブが付与される可能性があるため、対象となるアプリケーションを利用するモチベーションを喚起することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 インセンティブ付与サーバ
11 データ送受信部
12 ユーザデータ認証/管理部
13 ユーザデータDB
14 比較対象ユーザ管理部
15 比較対象ユーザリクエスト発行部
16 距離算出部
17 インセンティブ決定部
20a−20n ユーザ端末
21 位置情報取得部
22 位置情報DB
23 比較対象ユーザ選択部
24 比較対象ユーザリクエスト応答部
25 データ送受信部
26 ユーザ状況管理部
30 通信ネットワーク