特許第6226514号(P6226514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古野電気株式会社の特許一覧

特許6226514物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法
<>
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000002
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000003
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000004
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000005
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000006
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000007
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000008
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000009
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000010
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000011
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000012
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000013
  • 特許6226514-物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226514
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/62 20060101AFI20171030BHJP
   G01S 15/96 20060101ALI20171030BHJP
   G01S 7/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G01S7/62 C
   G01S15/96
   G01S7/10
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-190068(P2012-190068)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-48103(P2014-48103A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130904
【弁理士】
【氏名又は名称】大洞 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】中道 淳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悠
(72)【発明者】
【氏名】松原 昌亮
(72)【発明者】
【氏名】西本 典弘
【審査官】 請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−113480(JP,A)
【文献】 特開平05−073011(JP,A)
【文献】 特開2003−344530(JP,A)
【文献】 特開2011−237180(JP,A)
【文献】 特開2008−131616(JP,A)
【文献】 特開2010−026343(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0295803(US,A1)
【文献】 特開2001−033541(JP,A)
【文献】 特開2001−034253(JP,A)
【文献】 特開平11−223063(JP,A)
【文献】 特開平04−265881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72 − 1/82
3/80 − 3/86
5/18 − 7/42
7/52 − 7/64
13/00 − 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力する送受信部と
記受信信号から深度に対応する第1のエコーデータまたは第2のエコーデータを生成する信号処理部と
解像度が高い長辺を有する第1の辺と解像度が低い短辺を有する第2の辺とを有する表示画面操作者に向けた状態で回動可能に設けられ、前記第1のエコーデータまたは前記第2のエコーデータを表示する表示部と
記表示部の回動に伴う前記表示画面の画面状態を検出する制御部と
備え、
前記制御部は
前記第1の辺が上下方向に沿って配置される第1画面状態及び前記第2の辺が上下方向に沿って配置される第2画面状態を検出し、
記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲と空間的な範囲を変化させ
記信号処理部は
前記第1画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から一定量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第1の辺に深度を関連付けた前記第1のエコーデータを生成する第1エコーデータ生成部と、
前記第2画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から前記第1エコーデータ生成部よりも多量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第2の辺に深度を関連付けた前記第2のエコーデータを生成する第2エコーデータ生成部と、を有し、
前記画面状態の検出結果に応じて、前記第1のエコーデータと前記第2のエコーデータとを切り替える、
とを特徴とする物標探知装置。
【請求項2】
前記第1のエコーデータを保存する第1メモリと、前記第2のエコーデータを保存する第2メモリとを更に具備し、前記表示部は、前記第1メモリに保存された前記第1のエコーデータ又は前記第2メモリに保存された前記第2のエコーデータを表示することを特徴とする請求項1に記載の物標探知装置。
【請求項3】
前記信号処理部は
前記第1画面状態が検出された場合に前記第2メモリ内の前記第2のエコーデータを伸長して前記第1メモリに出力する伸長部と、
記第2画面状態が検出された場合に前記第1メモリ内の前記第1のエコーデータを圧縮して前記第2メモリに出力する圧縮部とを有する
とを特徴とする請求項2記載の物標探知装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1メモリに前記第1のエコーデータと伸長した前記第2のエコーデータとが保存される場合に両者が合成された合成エコーデータを表示することを特徴とする請求項3記載の物標探知装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記第2メモリに前記第2のエコーデータと圧縮した前記第1のエコーデータとが保存される場合に両者が合成された合成エコーデータを表示することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の物標探知装置。
【請求項6】
前記エコーデータを表示する表示画面を有する無線通信端末と通信を行う通信部を更に具備し、前記無線通信端末の表示画面の状態通知を受けると、前記制御部は、前記第1のエコーデータ又は前記第2のエコーデータを前記通信部を介して前記無線通信端末に送信することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の物標探知装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の物標探知装置が適用されることを特徴とする魚群探知機。
【請求項8】
解像度が高い長辺を有する第1の辺と解像度が低い短辺を有する第2の辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられた表示部を備える物標探知装置における第1のエコーデータまたは第2のエコーデータを含むエコーデータの表示方法であって、
送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力するステップと
記受信信号から深度に対応する前記第1のエコーデータまたは前記第2のエコーデータを生成するステップと
記表示部の回動に伴う前記第1の辺が上下方向に沿って配置される第1画面状態及び前記第2の辺が上下方向に沿って配置される第2画面状態を検出するステップと
記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲と空間的な範囲を変化させるステップと
具備し
記深度に対応する前記第1のエコーデータまたは前記第2のエコーデータを生成するステップでは
前記第1画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から一定量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第1の辺に深度を関連付けた前記第1のエコーデータを生成するステップと、
前記第2画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から前記第1のエコーデータよりも多量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第2の辺に深度を関連付けた前記第2のエコーデータを生成するステップとを、
前記画面状態の検出結果に応じて切り替える、
ことを特徴とする物標探知装置におけるエコーデータの表示方法。
【請求項9】
解像度が高い長辺を有する第1の辺と解像度が低い短辺を有する第2の辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられた表示部における第1のエコーデータまたは第2のエコーデータを含むエコーデータの表示プログラムであって、
コンピュータに
信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力する手順と
記受信信号から深度に対応する前記第1のエコーデータまたは前記第2のエコーデータを生成する手順と
記表示部の回動に伴う前記第1の辺が上下方向に沿って配置される第1画面状態及び前記第2の辺が上下方向に沿って配置される第2画面状態を検出する手順と
記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲と空間的な範囲を変化させる手順と
実行させ
記深度に対応する前記第1のエコーデータまたは前記第2のエコーデータを生成する手順では、
前記第1画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から一定量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第1の辺に深度を関連付けた前記第1のエコーデータを生成する手順と、
前記第2画面状態が検出された場合に、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに、前記受信信号から前記第1のエコーデータよりも多量の前記空間的な範囲の信号要素を間引いて、前記第2の辺に深度を関連付けた前記第2のエコーデータを生成する手順とを、
前記画面状態の検出結果に応じて切り替える、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送受信して物標からのエコーを検出する物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を送受信して物標からのエコーを検出する魚群探知機等の物標探知装置においては、検出結果の視認性を改善するための種々の手法が提案されている。例えば、単記画面及び拡大画面の複数画面を表示すると共に、単記画面内に、拡大範囲を指定するための領域を表示する魚群探知機(物標探知装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。操作者は、この領域の位置や大きさ等の変更を指示することにより、所望の拡大範囲を容易に指定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−281736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の魚群探知機(物標探知装置)においては、単記画面等を表示する表示画面の表示方向が固定されている。一般に、単記画面を表示する表示領域においては、縦方向(深度方向)の解像度が相対的に高く設定される一方、横方向(時間方向)の解像度が相対的に低く設定されている。このため、エコーデータの時間的な表示範囲が固定され、柔軟に切り替えることができない。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることができる物標探知装置及び物標探知装置におけるエコーデータの表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物標探知装置は、送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力する送受信部と、前記受信信号から深度に対応するエコーデータを生成する信号処理部と、第1の辺と第2の辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられ、前記エコーデータを表示する表示部と、前記表示部の回動に伴う前記表示画面の画面状態を検出する制御部とを備え、前記制御部は、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲と空間的な範囲を変化させ、前記信号処理部は、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに前記空間的な範囲の信号要素の間引く量を異ならせることを特徴とする
【0007】
上記物標探知装置によれば、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて表示部に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させることができる。これにより、表示画面の画面状態に応じてエコーデータの時間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【0008】
上記物標探知装置において、前記制御部は、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの空間的な範囲をも変化させる。この場合には、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて表示部に表示されるエコーデータの空間的な範囲を変化させることができる。これにより、表示画面の画面状態に応じてエコーデータの空間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的な表示範囲だけでなく、空間的な表示範囲をも柔軟に切り替えることが可能となる。
また、前記信号処理部は、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記時間的な範囲の信号要素は間引かずに前記空間的な範囲の信号要素の間引く量を異ならせるため、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて、エコーデータを詳細に表示したり圧縮して表示することが出来る。
【0009】
上記物標探知装置において、前記信号処理部は、前記制御部による前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示画面の解像度が高い前記第1の辺に深度を関連付けた第1のエコーデータと、前記表示画面の解像度が低い前記第2の辺に深度を関連付けた第2のエコーデータとの間で生成する前記エコーデータを切り替えることを特徴とする。
【0010】
上記物標探知装置によれば、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて第1のエコーデータと第2のエコーデータとが切り替えて表示される。これにより、表示画面の解像度が高い第1の辺に深度方向を関連付ける一方、表示画面の解像度が高い第1の辺に時間方向を関連付けることができる。この結果、エコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0011】
例えば、上記物標探知装置において、前記表示画面は、前記第1の辺として長辺を有する一方、前記第2の辺として短辺を有することが好ましい。この場合には、表示画面の長辺に深度方向を関連付ける一方、表示画面の長辺に時間方向を関連付けることができる。この結果、エコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0012】
また、上記物標探知装置において、前記制御部は、前記表示画面の長辺が上下方向に沿って配置される第1画面状態及び前記表示画面の短辺が上下方向に沿って配置される第2画面状態を検出し、前記信号処理部は、前記第1画面状態が検出された場合に前記第1のエコーデータを生成する一方、前記第2画面状態が検出された場合に前記第2のエコーデータを生成する。この場合には、表示画面の長辺及び短辺が上下方向に沿って配置されるか否かによって、表示画面に表示される第1、第2のエコーデータが切り替えられる。これにより、表示画面の画面状態に応じて確実にエコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0013】
さらに、例えば、上記物標探知装置において、前記信号処理部は、前記受信信号から一定量の信号要素を間引いて前記第1のエコーデータを生成する第1エコーデータ生成部と、前記受信信号から前記第1エコーデータ生成部よりも多量の信号要素を間引いて前記第2のエコーデータを生成する第2エコーデータ生成部とを有する。この場合には、信号処理部に個別に備えられた生成部において、予め定められた量の信号要素をそれぞれ間引いて第1エコーデータ及び第2エコーデータが生成される。これにより、受信信号から第1のエコーデータ及び第2のエコーデータを確実に生成することが可能となる。
【0014】
なお、上記物標探知装置においては、前記第1のエコーデータを保存する第1メモリと、前記第2のエコーデータを保存する第2メモリとを更に具備し、前記表示部は、前記第1メモリに保存された前記第1のエコーデータ又は前記第2メモリに保存された前記第2のエコーデータを表示することが好ましい。この場合には、受信信号から生成された第1のエコーデータ及び第2のエコーデータがそれぞれ第1メモリ及び第2メモリに保存されていく。これにより、表示画面の画面状態に応じて、誤表示等の事態を発生させることなく、適切に第1のエコーデータ及び第2のエコーデータを表示することが可能となる。
【0015】
また、上記物標探知装置において、前記信号処理部は、前記第1画面状態が検出された場合に前記第2メモリ内の前記第2のエコーデータを伸長して前記第1メモリに出力する伸長部と、前記第2画面状態が検出された場合に前記第1メモリ内の前記第1のエコーデータを圧縮して前記第2メモリに出力する圧縮部とを有することが好ましい。この場合には、第2メモリ内の第2のエコーデータが伸長部により伸長されて第1メモリに出力される。このため、伸長された第2のエコーデータが第1画面状態の表示画面に表示される。これにより、例えば、表示画面の画面状態が第2画面状態から第1画面状態に切り替えられた場合に、第1のエコーデータの表示を待つことなく伸長された第2のエコーデータで魚群の位置等を表示することができる。一方、第1メモリ内の第1のエコーデータが圧縮部により圧縮されて第2メモリに出力される。このため、圧縮された第1のエコーデータが第2画面状態の表示画面に表示される。これにより、例えば、表示画面の画面状態が第1画面状態から第2画面状態に切り替えられた場合に、第2のエコーデータの表示を待つことなく圧縮された第1のエコーデータで魚群の位置等を表示することができる。
【0016】
例えば、上記物標探知装置において、前記表示部は、前記第1メモリに前記第1のエコーデータと伸長した前記第2のエコーデータとが保存される場合に両者が合成された合成エコーデータを表示する。この場合には、第1のエコーデータと、第2のエコーデータとして保存されたエコーデータとが合成されて表示画面に表示される。これにより、第2のエコーデータとして保存されたエコーデータと第1のエコーデータとを含む、情報量の多いエコーデータを第1画面状態の表示画面に表示することが可能となる。
【0017】
また、例えば、上記物標探知装置において、前記表示部は、前記第2メモリに前記第2のエコーデータと圧縮した前記第1のエコーデータとが保存される場合に両者が合成された合成エコーデータを表示する。この場合には、第2のエコーデータと、第1のエコーデータとして保存されたエコーデータとが合成されて表示画面に表示される。これにより、第1のエコーデータとして保存されたエコーデータと第2のエコーデータとを含む、情報量の多いエコーデータを第2画面状態の表示画面に表示することが可能となる。
【0018】
なお、上記物標探知装置においては、前記エコーデータを表示する表示画面を有する無線通信端末と通信を行う通信部を更に具備し、前記無線通信端末の表示画面の状態通知を受けると、前記制御部は、前記第1のエコーデータ又は前記第2のエコーデータを前記通信部を介して前記無線通信端末に送信するようにしても良い。この場合には、無線通信端末の表示画面の状態に応じたエコーデータが無線通信端末に送信される。これにより、魚群探知機と無線通信可能な無線通信端末にて、魚群探知機の表示部と同等のエコーデータを表示することが可能となる。
【0019】
本発明の魚群探知機は、上述したいずれかの態様の物標探知装置が適用されることを特徴とする。これにより、上述した物標探知装置で得られる効果を魚群探知機で得ることが可能となる。
【0020】
本発明の物標探知装置におけるエコーデータの表示方法は、第1の辺と第2の辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられた表示部を備える物標探知装置におけるエコーデータの表示方法であって、送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力するステップと、前記受信信号から深度に対応するエコーデータを生成するステップと、前記表示部の回動に伴う前記表示画面の画面状態を検出するステップと、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲を変化させるステップとを具備することを特徴とする。
【0021】
上記物標探知装置におけるエコーデータの表示方法によれば、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて表示部に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させることができる。これにより、表示画面の画面状態に応じてエコーデータの時間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【0022】
本発明のエコーデータの表示プログラムは、第1の辺と第2の辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられた表示部におけるエコーデータの表示プログラムであって、コンピュータに、送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力する手順と、前記受信信号から深度に対応するエコーデータを生成する手順と、前記表示部の回動に伴う前記表示画面の画面状態を検出する手順と、前記表示画面の画面状態の検出結果に応じて、前記表示部に表示される前記エコーデータの時間的な範囲を変化させる手順とを実行させるためのプログラムである。
【0023】
上記エコーデータの表示プログラムによれば、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて表示部に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させることができる。これにより、表示画面の画面状態に応じてエコーデータの時間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係る物標探知装置としての魚群探知機の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る魚群探知機が有する表示部の説明図である。
図3】第1の実施の形態に係る魚群探知機が有するメモリに記録される受信信号の説明図である。
図4】第1の実施の形態に係る魚群探知機の詳細表示用エコーデータの生成方法の一例の説明図である。
図5】第1の実施の形態に係る魚群探知機の詳細表示用エコーデータの説明図である。
図6】第1の実施の形態に係る魚群探知機の広範表示用エコーデータの生成方法の一例の説明図である。
図7】第1の実施の形態に係る魚群探知機の広範表示用エコーデータの説明図である。
図8】第1の実施の形態に係る魚群探知機の詳細表示用エコーデータの圧縮方法の一例の説明図である。
図9】第1の実施の形態に係る魚群探知機の広範表示用エコーデータの伸長方法の一例の説明図である。
図10】第1の実施の形態に係る魚群探知機において、詳細/広範表示用エコーデータを表示する際の動作を説明するためのフロー図である。
図11】第1の実施の形態に係る魚群探知機において、圧縮/伸長後のエコーデータを表示する際の動作を説明するためのフロー図である。
図12】第1の実施の形態に係る魚群探知機で合成エコーデータを表示した表示画面の表示例の説明図である。
図13】第2の実施の形態に係る魚群探知機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る物標探知装置を魚群探知機に具現化した場合について説明する。しかしながら、本発明に係る物標探知装置が適用される対象については、魚群探知機に限定されるものではない。例えば、電波を発射し、その反射波を捕捉することにより、海上の船やブイ、鳥などの物標を捉えるレーダー装置などにも適用することが可能である。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る魚群探知機1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る魚群探知機1は、魚群探知機1を統括的に制御する制御部101を備える。制御部101には、操作部102及び表示部103が接続されている。また、制御部101には、送信回路104、受信回路105、A/D変換部106、メモリ107、信号処理部108及び表示処理部109が接続されている。
【0028】
操作部102は、魚群探知機100に対する操作者からの操作を受け付ける。例えば、操作部102は、カーソルを上下左右に移動させる十字キーや、決定を指示する決定ボタン、所定の機能が割り当てられたファンクションキーなどで構成される。操作者は、操作部102を介して、魚群探知機100における探知レンジの設定等を制御部101に指示できる。
【0029】
表示部103は、表示画面を操作者に向けた状態で魚群探知機1の筐体に回動可能に設けられている。表示部103は、表示画面の縦軸を深度方向とし、横軸を時間方向として、表示用の受信データ(エコーデータ)を表示する。ここで、図2を参照しながら、魚群探知機100が備える表示部103の構成について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100が備える表示部103の説明図である。
【0030】
図2に示すように、表示部103は、長方形状の表示画面103aを有する。表示画面103aにおいては、魚群等のエコーデータやノイズの画像が多数表示される。なお、表示画面103aにおいて、エコーデータは、反射強度が高いほど濃い画像として表示される。また、表示画面103aにおいては、縦方向に1ラインずつ、時間経過と共に刻々とエコーデータが更新表示される。
【0031】
表示画面103aは、相対的に解像度が高く設定される第1の辺としての長辺103bと、相対的に解像度が低く設定される第2の辺としての短辺103cとを有する。図2Aにおいては、表示画面103aの長辺103bを魚群探知機100の上下方向に沿って配置した状態(以下、「縦長画面状態」という)を示し、図2Bにおいては、表示画面103aの短辺103cを魚群探知機100の上下方向に沿って配置した状態(以下、「横長画面状態」という)を示している。なお、ここで、魚群探知機100の上下方向とは、鉛直方向に限定されるものでなく、水平方向に対して一定角度以上の角度をもって延在する方向を含む概念である。
【0032】
表示部103は、表示画面103aを図2Aに示す縦長画面状態と図2Bに示す横長画面状態との間で回動可能に構成されている。すなわち、表示部103は、表示画面103aを操作者に向けた状態で90°回動できる。詳細について後述するように、制御部101は、表示部103の回動に伴う表示画面103aの画面状態(縦長画面状態又は横長画面状態)を検出し、その検出した画面状態に応じたエコーデータの生成を制御する。なお、縦長画面状態は、第1画面状態に相当するものであり、エコーデータの深度方向を詳細に表示することができる。一方、横長画面状態は、第2画面状態に相当するものであり、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することができる。
【0033】
図1に戻り、魚群探知機100の構成の説明を続ける。送信回路104は、制御部101の制御の下、送受波器110にパルス状の信号を入力する。この際、送信回路104からのパルス状の信号は、トラップ回路を内蔵した送受切替部111を介して送受波器110に入力される。送受波器110は、例えば、船底等に取り付けられる振動子で構成される。送受波器110は、送信回路104から入力されるパルス状の信号に応じて水中に超音波(送信信号)を出力する。なお、この送受波器110は、送受信部を構成する。
【0034】
送受波器110から出力された超音波は、水中を伝搬し、伝搬経路上の魚群や海底などの物標に反射する。物標に反射した超音波は、エコーとして送受波器110に受信される。送受波器110は、受信したエコーの強度に応じた受信信号を受信回路105に出力する。この際、送受波器110からの受信信号は、送受切替部111を介して受信回路105に入力される。受信回路105は、制御部101の制御の下、入力された受信信号を増幅してA/D変換部106に出力する。
【0035】
A/D変換部106は、制御部101の制御の下、受信信号を予め定められたサンプリングレートを用いてデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、メモリ107に順次記録される。ここで、図3を参照しながら、メモリ107に記録される受信信号の一例について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100が有するメモリ107に記録される受信信号の説明図である。
【0036】
メモリ107には、1回の測定で得られる受信信号が深度方向に所定分解能で順次記録される。例えば、受信信号は、超音波の送信から所定時間経過毎にメモリ107に順次記録される。メモリ107には、複数回の測定に対応するデータ列が記録される。例えば、メモリ107には、図3に示すように、最新の受信信号として、送信から受信までの時間差が最も小さい(最も深度の浅い)データがM(0,0)として記録される。そして、深度方向の分解能に応じて、順にM(0,1)〜M(0,n)として記録される。
【0037】
同様に、前回の受信信号の測定においては、最も深度の浅いデータがM(1,0)として記録され、深度方向の分解能に応じて、順にM(1,1)〜M(1,n)として記録される。また、前々回の受信信号の測定においては、最も深度の浅いデータがM(2,0)として記録され、深度方向の分解能に応じて、順にM(2,1)〜M(2,n)として記録される。なお、図3に示す例では、最新のデータ列を含む3回分のデータ列を記録する場合について示しているが、記録されるデータ列はメモリ107の容量に応じて適宜変更することができる。予め設定された数以上のデータ列が記録される場合には、最も古いデータ列が破棄され、最新のデータ列が更新される。
【0038】
信号処理部108は、制御部101の制御の下、表示部103の表示画面103aに表示されるエコーデータを生成する処理を行う。信号処理部108は、第1エコーデータ生成部108a、第2エコーデータ生成部108b及び圧縮/伸長部108cを有する。信号処理部108で生成されたエコーデータは、表示処理部109に出力される。表示処理部109は、第1表示処理部109a及び第2表示処理部109bを有する。
【0039】
第1エコーデータ生成部108aは、メモリ107に記録された受信信号を表示画面103aに表示するためのエコーデータに変換する。より具体的には、第1エコーデータ生成部108aは、縦長画面状態における表示画面103aに表示される詳細表示用エコーデータ(以下、「詳細エコーデータ」という)を生成する。この詳細エコーデータは、第1のエコーデータを構成する。詳細エコーデータは、表示画面103aの長辺103bに深度を関連付けたエコーデータである。ここで、図4を参照しながら、第1エコーデータ生成部108aにおける詳細エコーデータの生成方法の一例を説明する。図4は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の詳細表示用エコーデータの生成方法の一例の説明図である。なお、図4に示す受信信号においては、エコー強度が大きい信号要素に斜線を付与している。
【0040】
詳細エコーデータを生成する際、第1エコーデータ生成部108aは、メモリ107から各受信信号を読み出す。そして、第1エコーデータ生成部108aは、縦長画面状態の表示画面103aの長辺103bの画素数(画面解像度)に応じて各受信信号から一定量の信号要素を間引く処理を行う。このように一定量の信号要素を間引いたデータが1回の測定(1ping)分の詳細エコーデータとなる。
【0041】
例えば、第1エコーデータ生成部108aは、図4に示すように、最新に測定された受信信号M(0,0)〜M(0,n)のうち、信号要素M(0,0)〜M(0,1)で最もエコー強度が大きい信号要素を最も深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータf(0,0)とする。そして、信号要素M(0,2)〜M(0,3)で最もエコー強度が大きい信号要素を2番目に深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータf(0,1)とする。さらに、信号要素M(0,4)〜M(0,5)で最もエコー強度が大きい信号要素を3番目に深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータf(0,2)とする。このように第1エコーデータ生成部108aは、エコー強度が大きい信号要素を残す方法で間引くことで、各画素のエコーデータf(0,0)〜f(0,m)を生成する。このようにして生成したエコーデータが最新の1ping分の詳細エコーデータとなる。なお、第1エコーデータ生成部108aにおける詳細エコーデータの生成処理については、図4に示す例に限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0042】
第1エコーデータ生成部108aは、このようにして生成した詳細エコーデータを第1表示処理部109aに出力して、当該第1表示処理部109aの画像メモリの内容を更新する。なお、この第1表示処理部109aの画像メモリは、第1メモリを構成するものであり、詳細エコーデータを保存する。ここで、図5を参照しながら、第1表示処理部109aに記録された詳細エコーデータの一例について説明する。図5は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の第1表示処理部109aに記録された詳細エコーデータの説明図である。以下においては、第1表示処理部109aの画像メモリを「詳細表示用メモリ」と呼ぶものとする。
【0043】
図5に示すように、詳細表示用メモリは、縦長画面状態の表示画面103aに表示される全画素分の詳細エコーデータが記録可能に構成されている。具体的には、縦長画面状態の表示画面103aの右方側端部に対応するエコーデータとして、最新の詳細エコーデータf(0,0)〜f(0,m)が記録されている。同様に、前回の測定に係る詳細エコーデータf(1,0)〜f(1,m)が記録されている。そして、縦長画面状態の表示画面103aの短辺103c方向の画素数に応じて詳細エコーデータf(i,0)〜f(i,m)まで記録されている。
【0044】
なお、魚群探知機100の起動時においては、詳細表示用メモリには、詳細エコーデータが記録されていない。この場合、例えば、表示画面103aには、表示画面103aの背景色が表示される。そして、時間経過と共に、詳細エコーデータが順次更新されていく。なお、詳細エコーデータが縦長画面状態の表示画面103aの短辺103c方向の最大画素数以上に更新されると、最も古い詳細エコーデータが破棄される。
【0045】
一方、第2エコーデータ生成部108bは、メモリ107に記録された受信信号を表示画面103aに表示するためのエコーデータに変換する。より具体的には、第2エコーデータ生成部108bは、横長画面状態における表示画面103aに表示される広範エコーデータ(以下、「広範エコーデータ」という)を生成する。この広範エコーデータは、第2のエコーデータを構成する。広範エコーデータは、表示画面103aの短辺103cに深度を関連付けたエコーデータである。ここで、図6を参照しながら、第2エコーデータ生成部108bにおける広範エコーデータの生成方法の一例を説明する。図6は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の広範エコーデータの生成方法の一例の説明図である。なお、図6に示す受信信号においては、図4と同様に、エコー強度が大きい信号要素に斜線を付与している。
【0046】
広範エコーデータを生成する際、第2エコーデータ生成部108bは、メモリ107から各受信信号を読み出す。そして、第2エコーデータ生成部108bは、横長画面状態の表示画面103aの短辺103cの画素数(画面解像度)に応じて各受信信号から一定量の信号要素を間引く処理を行う。なお、広範エコーデータの生成に伴う間引き処理の対象となる信号要素は、詳細エコーデータの生成に伴う間引き処理の対象となる信号要素よりも多量である。このように一定量の信号要素を間引いたデータが1回の測定(1ping)分の広範エコーデータとなる。
【0047】
例えば、第2エコーデータ生成部108bは、図6に示すように、最新に測定された受信信号M(0,0)〜M(0,n)のうち、信号要素M(0,0)〜M(0,1)で最もエコー強度が大きい信号要素を最も深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータg(0,0)とする。そして、信号要素M(0,2)〜M(0,3)で最もエコー強度が大きい信号要素を2番目に深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータg(0,1)とする。さらに、信号要素M(0,4)〜M(0,5)で最もエコー強度が大きい信号要素を3番目に深度の浅い位置に対応する画素のエコーデータg(0,2)とする。このように第2エコーデータ生成部108bは、エコー強度が大きい信号要素を残す方法で間引くことで、各画素のエコーデータg(0,0)〜g(0,l)を生成する。このようにして生成したエコーデータが最新の1ping分の広範エコーデータとなる。なお、第2エコーデータ生成部108bにおける広範エコーデータの生成処理については、図6に示す例に限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0048】
第2エコーデータ生成部108bは、このようにして生成した広範エコーデータを第2表示処理部109bに出力して、当該第2表示処理部109bの画像メモリの内容を更新する。なお、この第2表示処理部109bの画像メモリは、第2メモリを構成するものであり、広範エコーデータを保存する。ここで、図7を参照しながら、第2表示処理部109bに記録された広範エコーデータの一例について説明する。図7は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の第2表示処理部109bに記録された広範エコーデータの説明図である。以下においては、第2表示処理部109bの画像メモリを「広範表示用メモリ」と呼ぶものとする。
【0049】
図7に示すように、広範表示用メモリは、横長画面状態の表示画面103aに表示される全画素分の広範エコーデータが記録可能に構成されている。具体的には、横長画面状態の表示画面103aの右方側端部に対応するエコーデータとして、最新の広範エコーデータg(0,0)〜g(0,l)が記録されている。同様に、前回の測定に係る広範エコーデータg(1,0)〜g(1,l)が記録されている。そして、横長画面状態の表示画面103aの長辺103b方向の画素数に応じて広範エコーデータg(r,0)〜g(r,l)まで記録されている。
【0050】
なお、魚群探知機100の起動時においては、広範表示用メモリには、広範エコーデータが記録されていない。この場合、例えば、表示画面103aには、表示画面103aの背景色が表示される。そして、時間経過と共に、広範エコーデータが順次更新されていく。なお、広範エコーデータが横長画面状態の表示画面103aの長辺103b方向の最大画素数以上に更新されると、最も古い広範エコーデータが破棄される。
【0051】
このように本実施の形態に係る魚群探知機100においては、信号処理部108に個別に備えられたエコーデータ生成部(第1エコーデータ生成部108a、第2エコーデータ生成部108b)において、予め定められた量の信号要素をそれぞれ間引いて詳細エコーデータ及び広範エコーデータが生成される。これにより、受信信号から詳細エコーデータ及び広範エコーデータを確実に生成することが可能となる。
【0052】
圧縮/伸長部108cは、圧縮部を構成するものであり、第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに保存された詳細エコーデータを深度方向に圧縮する。この場合、圧縮/伸長部108cは、詳細エコーデータを、広範エコーデータの深度方向の信号要素と同一になるように圧縮する。そして、圧縮/伸長部108cは、圧縮した詳細エコーデータ(以下、適宜「圧縮エコーデータ」という)を第2表示処理部109bの広範表示用メモリに出力する。
【0053】
ここで、図8を参照しながら、詳細表示用メモリに保存された詳細エコーデータの圧縮方法の一例について説明する。図8は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の詳細エコーデータの圧縮方法の一例の説明図である。なお、図8においては、説明の便宜上、1ping分の詳細エコーデータを例に説明するものとする。2ping分以上の詳細エコーデータが保存される場合には、以下の圧縮方法が繰り返される。
【0054】
図8に示すように、詳細エコーデータを圧縮する際、圧縮/伸長部108cは、第1表示処理部109a内の詳細エコーデータf(0,0)〜f(0,m)を読み出す。そして、圧縮/伸長部108cは、横長画面状態の表示画面103aの短辺103cの画素数に応じて詳細エコーデータf(0,0)〜f(0,m)から一定量の信号要素を圧縮する処理を行う。この場合、詳細エコーデータから圧縮される信号要素数は、表示画面103aの長辺103bの画素数と、短辺103cの画素数との差分に相当する。
【0055】
例えば、圧縮/伸長部108cは、詳細エコーデータf(0,0)〜f(0,m)のうち、詳細エコーデータf(0,0)、f(0,1)を平均化し、最も深度の浅い位置に対応する画素の圧縮エコーデータg’(0,0)とする。同様に、圧縮/伸長部108cは、詳細エコーデータf(0,2)、f(0,3)を平均化し、2番目に深度の浅い位置に対応する画素の圧縮エコーデータg’(0,1)とする。このように圧縮/伸長部108cは、複数の詳細エコーデータを平均化して圧縮することで、各画素のエコーデータg’(0,0)〜g’(0,l)を生成する。このようにして生成したエコーデータが1ping分の圧縮エコーデータとなる。なお、圧縮/伸長部108cにおける詳細エコーデータの圧縮処理については、図8に示す例に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、単純画像圧縮方法を詳細エコーデータの圧縮処理に適用してもよい。
【0056】
一方、圧縮/伸長部108cは、伸長部を構成するものであり、第2表示処理部109bの広範表示用メモリに保存された広範エコーデータを深度方向に伸長する。この場合、圧縮/伸長部108cは、広範エコーデータを、詳細エコーデータの深度方向の信号要素と同一になるように伸長する。そして、圧縮/伸長部108cは、伸長した広範エコーデータ(以下、適宜「伸長エコーデータ」という)を第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに出力する。
【0057】
ここで、図9を参照しながら、広範表示用メモリに保存された広範エコーデータの伸長方法の一例について説明する。図9は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の広範エコーデータの伸長方法の一例の説明図である。なお、図9においては、説明の便宜上、1ping分の広範エコーデータを例に説明するものとする。2ping分以上の広範エコーデータが保存される場合には、以下の伸長方法が繰り返される。
【0058】
図9に示すように、広範エコーデータを伸長する際、圧縮/伸長部108cは、第2表示処理部109b内の広範エコーデータg(0,0)〜g(0,l)を読み出す。そして、圧縮/伸長部108cは、縦長画面状態の表示画面103aの長辺103bの画素数に応じて広範エコーデータg(0,0)〜g(0,l)から一定量の信号要素を伸長する処理を行う。この場合、広範エコーデータから伸長される信号要素数は、表示画面103aの長辺103bの画素数と、短辺103cの画素数との差分に相当する。
【0059】
例えば、圧縮/伸長部108cは、広範エコーデータg(0,0)〜g(0,l)のうち、広範エコーデータg(0,0)を複製し、1番目、2番目に深度の浅い位置に対応する画素の伸長エコーデータf’(0,0)、f’(0,1)とする。同様に、圧縮/伸長部108cは、広範エコーデータg(0,1)を複製し、3番目、4番目に深度の浅い位置に対応する画素の圧縮エコーデータf’(0,2)、f’(0,2)とする。このように圧縮/伸長部108cは、単一の広範エコーデータを複製して伸長することで、各画素のエコーデータf’(0,0)〜f’(0,m)を生成する。このようにして生成したエコーデータが1ping分の伸長エコーデータとなる。なお、圧縮/伸長部108cにおける広範エコーデータの伸長処理については、図9に示す例に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、単純画像伸長方法を広範エコーデータの圧縮処理に適用してもよい。
【0060】
制御部101は、接続された各種の構成要素との間で信号を授受し、これらの構成要素の制御を行う。例えば、制御部101は、操作部102を介して操作者から探知レンジの設定などの指示入力を受け付ける。このような操作者からの指示入力に応答して、制御部101は、送信回路104の送信周期、探知レンジ等の設定、AD変換機106のサンプリングパルスの周期設定を行う。また、制御部101は、メモリ107への書き込み、読み出しクロックやアドレスの生成処理の実行指示を行う。さらに、制御部101は、信号処理部108及び表示処理部109への各種処理信号の生成、演算処理の実行指示を行う。
【0061】
特に、制御部101は、表示部103の回動に伴う表示画面103aの画面状態(縦長画面状態又は横長画面状態)を検出する。そして、制御部101は、その検出した画面状態に応じて、表示部103に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させる。同様に、制御部101は、検出した画面状態に応じて、表示部103に表示されるエコーデータの空間的な範囲を変化させる。具体的には、制御部101は、検出した画面状態に応じて、表示部103に表示されるエコーデータ(詳細エコーデータや広範エコーデータ等)の生成及び表示を指示する。
【0062】
以下、魚群探知機100におけるエコーデータの表示方法について説明する。まず、魚群探知機100において、詳細エコーデータ/広範エコーデータを表示する際の動作について説明する。図10は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100における詳細エコーデータ/広範エコーデータを表示する際の動作を説明するためのフロー図である。
【0063】
魚群探知機100においては、例えば、操作者からエコーデータの表示が指示されると、送信回路104から送受波器110にパルス状の信号が出力される。送受波器110は、このパルス状の信号に応じて水中に超音波を出力する。そして、水中の物標に反射した超音波は、エコーとして送受波器110に受信される。送受波器110は、受信したエコーの強度に応じた受信信号を受信回路105に出力する。制御部101においては、超音波を出力した後、受信回路105で受信信号を検出するか監視している(ステップST101)。
【0064】
受信信号が検出された場合、制御部101は、表示部103の表示画面103aが縦長画面状態であるか、横長画面状態であるかを判定する(ステップST102)。制御部101は、例えば、表示部103の傾きを検知する傾きセンサや加速度センサからの検出信号に応じて表示画面103aの画面状態を判定する。例えば、制御部101は、表示画面103aの長辺103bが、水平方向に対して所定の傾斜角度以上の位置に配置した場合に縦長画面状態であると判定し、表示画面103aの短辺103cが、水平方向に対して所定の傾斜角度以上の位置に配置された場合に横長画面状態であると判定する。
【0065】
なお、表示画面103aの画面状態の判定手法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、表示部103の一部の位置を検出する位置センサや光センサからの検出信号に応じて判定することも可能である。なお、受信回路105で受信信号が検出されない場合には、制御部101は、ステップST101の監視動作を継続する。
【0066】
受信回路105で受信された受信信号は、A/D変換部106でデジタル信号に変換された後、メモリ107に順次記録されていく。例えば、1回の測定(1ping)分の受信信号がメモリ107に記録されると、制御部101は、ステップST102における画面状態の判定結果に応じて詳細エコーデータ又は広範エコーデータの生成を信号処理部108に指示する。
【0067】
ステップST102で縦長画面状態と判定された場合、制御部101は、第1エコーデータ生成部108aに対して詳細エコーデータの生成を指示する。この指示を受けると、第1エコーデータ生成部108aは、メモリ107に記録された受信信号を読み出し、表示画面103aの長辺103bの画素数(画面解像度)に対応する詳細エコーデータを生成する(ステップST103、図4参照)。そして、第1エコーデータ生成部108aは、生成した詳細エコーデータを第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに保存する(ステップST104)。
【0068】
次に、制御部101は、第1表示処理部109aに対して、表示部103での詳細エコーデータの表示を指示する。この指示を受けると、第1表示処理部109aは、保存された詳細エコーデータを表示部103に出力する。詳細エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに詳細エコーデータを表示する(ステップST105)。この場合、縦長画面状態の表示画面103aにおいては、エコーデータの空間的な表示範囲が相対的に広く構成され、エコーデータの深度方向を詳細に表示することができる。これにより、操作者は、高い解像度で水中の魚群等の位置及び状態等を確認することができる。なお、縦長画面状態の表示画面103aにおいては、エコーデータの時間的な表示範囲が相対的に狭く構成されている。
【0069】
一方、ステップST102で横長画面状態と判定された場合、制御部101は、第2エコーデータ生成部108bに対して広範エコーデータの生成を指示する。この指示を受けると、第2エコーデータ生成部108bは、メモリ107に記録された受信信号を読み出し、表示画面103aの短辺103cの画素数(画面解像度)に対応する広範エコーデータを生成する(ステップST106、図6参照)。そして、第2エコーデータ生成部108bは、生成した広範エコーデータを第2表示処理部109bの広範表示用メモリに保存する(ステップST107)。
【0070】
次に、制御部101は、第2表示処理部109bに対して、表示部103での広範エコーデータの表示を指示する。この指示を受けると、第2表示処理部109bは、保存された広範エコーデータを表示部103に出力する。広範エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに広範エコーデータを表示する(ステップST108)。この場合、横長画面状態の表示画面103aにおいては、エコーデータの時間的な表示範囲が相対的に広く構成され、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することができる。これにより、操作者は、高い解像度で過去の魚群の位置及び状態等を確認することができる。なお、横長画面状態の表示画面103aにおいては、エコーデータの空間的な表示範囲が相対的に狭く構成されている。
【0071】
このように本実施の形態に係る魚群探知機100においては、表示部103の回動に伴う表示画面103aの画面状態に応じて、表示部103に表示されるエコーデータの時間的又は空間的な範囲を変化させる。これにより、表示画面103aの画面状態に応じてエコーデータの時間的又は空間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的又は空間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【0072】
具体的にいうと、本実施の形態に係る魚群探知機100においては、表示部103の回動に伴う表示画面103aの画面状態に応じて、詳細エコーデータと広範エコーデータとが切り替えて表示画面103aに表示される。これにより、表示画面103aの長辺103bに深度方向を関連付ける一方、表示画面103aの長辺103bに時間方向を関連付けることができる。この結果、エコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0073】
特に、本実施の形態に係る魚群探知機100においては、表示部103の回動に伴う表示画面103aの画面状態の検出結果に応じて、検出された画面状態に好適なエコーデータ(詳細エコーデータ又は広範エコーデータ)が生成される。このため、表示画面103aにて、縦方向に1ラインずつ、時間経過と共に刻々とエコーデータが更新表示される、魚群探知機100に特有の表示態様であっても、操作者の視認性を確保しながらエコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係る魚群探知機100においては、表示画面103aの長辺103b及び短辺103cが魚群探知機100の上下方向に沿って配置されるか否かによって、表示画面103aに表示されるエコーデータが切り替えられる。これにより、表示画面103aの画面状態に応じて確実にエコーデータの深度方向を詳細に表示すると共に、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することが可能となる。
【0075】
さらに、本実施の形態に係る魚群探知機100においては、受信信号から生成された詳細エコーデータ及び広範エコーデータがそれぞれ詳細表示用メモリ及び広範表示用メモリに保存されていく。これにより、表示画面103aの画面状態に応じて、誤表示等の事態を発生させることなく、適切に詳細エコーデータ及び広範エコーデータを表示することが可能となる。
【0076】
次に、本実施の形態に係る魚群探知機100において、圧縮エコーデータ/伸長エコーデータを表示する際の動作について説明する。図11は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100における圧縮エコーデータ/伸長エコーデータを表示する際の動作を説明するためのフロー図である。
【0077】
表示部103の表示画面103aで詳細エコーデータ又は広範エコーデータを表示している場合において、操作者が画面表示の変更を望む場合がある。例えば、詳細エコーデータが表示された状態から時間方向に広範囲に亘ってエコーデータを確認したい場合や、広範エコーデータが表示された状態から深度方向に詳細なエコーデータを確認したい場合などが該当する。
【0078】
このような操作に対応するため、制御部101においては、魚群探知機100の起動後、常に表示部103の表示画面103aの画面状態の切替えの有無を監視する(ステップST111)。すなわち、制御部101は、表示画面103aの画面状態が縦長画面状態から横長画面状態に切り替えられるか、或いは、横長画面状態から縦長画面状態に切り替えられるかを監視する。
【0079】
表示画面103の画面状態の切替えが検出された場合、制御部101は、切り替え後の画面状態が縦長画面状態であるか,横長画面状態であるかを判定する(ステップST112)。この場合の画面状態の検出手法については、図10に示すステップST102と同様である。なお、表示画面103の画面状態の切替えが検出されない場合、制御部101は、ステップST111の監視動作を継続する。
【0080】
ステップST112で切り替え後の画面状態が縦長画面状態と判定された場合、制御部101は、圧縮/伸長部108cに対して広範エコーデータの伸長を指示する。この指示を受けると、圧縮/伸長部108cは、第2表示処理部109bの広範表示用メモリに記録された広範エコーデータを読み出す(ステップST113)。そして、圧縮/伸長部108cは、この広範エコーデータに対して伸長処理を行う(ステップST114、図9参照)。そして、圧縮/伸長部108cは、伸長した広範エコーデータ(伸長エコーデータ)を、第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに保存する(ステップST115)。
【0081】
次に、制御部101は、第1表示処理部109aに対して、表示部103での伸長エコーデータの表示を指示する。この指示を受けると、第1表示処理部109aは、保存された伸長エコーデータを表示部103に出力する。伸長エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに伸長エコーデータを表示する(ステップST116)。この場合、縦長画面状態の表示画面103aにおいては、広範表示用メモリに記録された広範エコーデータを利用した伸長エコーデータを表示することができる。これにより、表示画面103aの画面状態が横長画面状態から縦長画面状態に切り替えられた場合に、詳細エコーデータの表示を待つことなく伸長エコーデータが表示される。
【0082】
一方、ステップST112で切り替え後の画面状態が横長画面状態と判定された場合、制御部101は、圧縮/伸長部108cに対して詳細エコーデータの圧縮を指示する。この指示を受けると、圧縮/伸長部108cは、第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに記録された詳細エコーデータを読み出す(ステップST117)。そして、圧縮/伸長部108cは、この詳細エコーデータに対して圧縮処理を行う(ステップST118、図8参照)。そして、圧縮/伸長部108cは、圧縮した詳細エコーデータ(圧縮エコーデータ)を、第2表示処理部109bの広範表示用メモリに保存する(ステップST119)。
【0083】
次に、制御部101は、第2表示処理部109bに対して、表示部103での圧縮エコーデータの表示を指示する。この指示を受けると、第2表示処理部109bは、保存された圧縮エコーデータを表示部103に出力する。圧縮エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに圧縮エコーデータを表示する(ステップST120)。この場合、横長画面状態の表示画面103aにおいては、詳細表示用メモリに記録された詳細エコーデータを利用した圧縮エコーデータを表示することができる。これにより、表示画面103aの画面状態が縦長画面状態から横長画面状態に切り替えられた場合に、広範エコーデータの表示を待つことなく圧縮エコーデータが表示される。
【0084】
このように本実施の形態に係る魚群探知機100においては、詳細表示用メモリ内の詳細エコーデータが圧縮/伸長部108cにより圧縮されて広範表示用メモリに出力される。このため、圧縮エコーデータが横長画面状態の表示画面103aに表示される。これにより、操作者は、表示画面103aの画面状態を縦長画面状態から横長画面状態に切り替えた後、すぐに圧縮エコーデータで水中の魚群の位置及び状態等を確認することができる。同様に、広範表示用メモリ内の広範エコーデータが圧縮/伸長部108cにより伸長されて詳細表示用メモリに出力される。このため、伸長エコーデータが縦長画面状態の表示画面103aに表示される。これにより、操作者は、表示画面103aの画面状態を横長画面状態から縦長画面状態に切り替えた後、すぐに伸長された広範エコーデータで水中の魚群の位置及び状態等を確認することができる。
【0085】
なお、図11に従って伸長エコーデータの表示が指示された場合において、詳細表示用メモリに過去の詳細エコーデータが残存する場合、第1表示処理部109aは、残存する詳細エコーデータと、圧縮/伸長部108cから受け取った伸長エコーデータとを合成した合成エコーデータを表示部103に出力する。この合成エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに詳細エコーデータ及び伸長エコーデータからなる合成エコーデータを表示する。すなわち、表示部103は、詳細表示用メモリに詳細エコーデータと伸長エコーデータとが混在して保存される場合、詳細エコーデータ及び伸長エコーデータからなる合成エコーデータを表示する。
【0086】
この場合、表示部103の表示画面103aにおいては、図12Aに示すような詳細エコーデータ及び伸長エコーデータからなる合成エコーデータが表示される。図12Aに示すように、表示画面103aにおいては、その左方側部分に詳細エコーデータが表示されると共に、この詳細エコーデータに連続して伸長エコーデータが表示されている。これにより、広範エコーデータとして保存されたエコーデータと詳細エコーデータとを含む、情報量の多いエコーデータを縦長画面状態の表示画面103aに表示することが可能となる。
【0087】
特に、伸長エコーデータは、上述のように、詳細エコーデータの深度方向の信号要素と同一になるように伸長されている。このため、縦長画面状態の表示画面103aにおける通常の表示態様で、広範エコーデータとして広範表示用メモリに保存されたエコーデータを表示できる。この結果、操作者は、広範エコーデータを活用する場合であっても、縦長画面状態の表示画面103aに違和感を覚えることなくエコーデータを確認することが可能となる。
【0088】
同様に、図11に従って圧縮エコーデータの表示が指示された場合において、広範表示用メモリに過去の広範エコーデータが残存する場合、第2表示処理部109bは、残存する広範エコーデータと、圧縮/伸長部108cから受け取った圧縮エコーデータとを合成した合成エコーデータを表示部103に出力する。この合成エコーデータを受け取ると、表示部103は、表示画面103aに広範エコーデータ及び圧縮エコーデータからなる合成エコーデータを表示する。すなわち、表示部103は、広範表示用メモリに広範エコーデータと圧縮エコーデータとが混在して保存される場合、広範エコーデータ及び圧縮エコーデータからなる合成エコーデータを表示する。
【0089】
この場合、表示部103の表示画面103aにおいては、図12Bに示すような広範エコーデータ及び圧縮エコーデータからなる合成エコーデータが表示される。図12Bに示すように、表示画面103aにおいては、その左方側部分に広範エコーデータが表示されると共に、この広範エコーデータに連続して圧縮エコーデータが表示されている。これにより、詳細エコーデータとして保存されたエコーデータと広範エコーデータとを含む、情報量の多いエコーデータを横長画面状態の表示画面103aに表示することが可能となる。
【0090】
特に、圧縮エコーデータは、上述のように、広範エコーデータの深度方向の信号要素と同一になるように圧縮されている。このため、横長画面状態の表示画面103aにおける通常の表示態様で、詳細エコーデータとして詳細表示用メモリに保存されたエコーデータを表示できる。この結果、操作者は、詳細エコーデータを活用する場合であっても、横長画面状態の表示画面103aに違和感を覚えることなくエコーデータを確認することが可能となる。
【0091】
なお、図12Aに示す合成エコーデータにおいて、伸長エコーデータは、広範エコーデータから伸長して生成される。このため、伸長エコーデータにおける魚群等の表示精度は、本来の詳細エコーデータよりも低下する。同様に、図12に示す合成エコーデータにおいて、圧縮エコーデータは、詳細エコーデータを圧縮して生成される。このため、圧縮エコーデータにおける魚群等の表示精度は、本来の広範エコーデータよりも低下する。しかしながら、図12においては、説明の便宜上、これらを区別することなく示している。
【0092】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る魚群探知機100は、表示部103の表示画面103aでエコーデータ(詳細エコーデータや広範エコーデータ等)を表示する。これに対し、第2の実施の形態に係る魚群探知機は、通信機能を有する表示装置でエコーデータを表示可能とするものである。図13は、第2の実施の形態に係る魚群探知機200の構成を示すブロック図である。なお、図13に示す魚群探知機200において、図1と共通する構成要素については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0093】
図13に示すように、第2の実施の形態に係る魚群探知機200は、第1の実施の形態に係る魚群探知機100の構成要素に加え、通信部としての無線通信部201を更に備える点で魚群探知機100と相違する。無線通信部201は、魚群探知機200から一定距離に位置する無線通信端末と無線通信を行う。なお、図13においては、無線通信201が通信する無線通信端末として、2つの無線通信端末A、Bを示している。通信対象とされる無線通信端末の数は、2つに限定されない。
【0094】
無線通信部201は、例えば、無線LAN通信機能を有し、無線LAN通信機能を有する無線通信端末と通信可能に構成される。なお、無線通信部201で利用される無線通信技術は、無線LAN通信技術に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信技術や、赤外線を利用するIrDA(Infrared Data Association)通信技術を利用することもできる。
【0095】
無線通信部201は、制御部101と、表示処理部109の第1表示処理部109a及び第2表示処理部109bとに接続されている。無線通信部201は、制御部101の制御の下、これらの第1表示処理部109aや第2表示処理部109bから受け取ったエコーデータを無線通信端末A、Bに送信する。また、無線通信部201は、無線通信端末A、Bから表示画面の画面状態等を含む情報を受信する。
【0096】
無線通信端末A、Bは、例えば、多機能携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。多機能携帯電話には、所謂、スマートフォンが含まれる。PCには、タブレット型のPCが含まれる。無線通信端末A、Bは、相対的に解像度が高く設定される長辺と、相対的に解像度が低く設定される短辺とを有する表示画面を備えるものとする。無線通信端末A、Bは、無線LAN通信機能を有し、無線通信部201からエコーデータを受信する。そして、無線通信端末A、Bは、受信したエコーデータを表示画面に表示する。また、無線通信端末A、Bは、現在の表示画面の画面状態を含む情報を、無線通信部201に送信する。例えば、無線通信端末A、Bは、表示画面が縦長画面状態であるか、横長画面状態であるかを無線通信部201に送信する。
【0097】
以下、図10を参照しながら、第2の実施の形態に係る魚群探知機200において、無線通信端末A、Bの表示画面で詳細エコーデータ/広範エコーデータを表示する際の動作について説明する。無線通信端末A、Bの表示画面で詳細エコーデータ/広範エコーデータを表示する場合、制御部101は、図10に示すステップST101の処理と並行して無線通信端末A、Bから現在の表示画面の画面状態を含む情報(以下、「表示画面情報」という)の受信を監視している。ここでは、ステップST101で受信信号を検出したものとする。
【0098】
無線通信端末A、Bから表示画面情報を受信した場合、制御部101は、ステップST102と同様に、表示画面情報に含まれる画面状態が縦長画面状態であるか、横長画面状態であるかを判定する。なお、この場合における判定は、無線通信端末A、Bからの表示画面情報の内容に基づいて行われる。
【0099】
無線通信端末A、Bの画面状態が縦長画面状態と判定された場合、魚群探知機200においては、ステップST103及びステップST104と同様に、詳細エコーデータの生成が指示される。そして、この指示に応じて生成された詳細エコーデータが第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに保存される。
【0100】
次に、制御部101は、第1表示処理部109a及び無線通信部201に対して、詳細エコーデータの無線通信端末A、Bでの表示を指示する。この指示を受けると、第1表示処理部109aは、保存された詳細エコーデータを無線通信部201に出力する。無線通信部201は、この詳細エコーデータを無線通信端末A、Bに出力する。
【0101】
詳細エコーデータを受け取ると、無線通信端末A、Bは、表示画面に詳細エコーデータを表示する。この場合、縦長画面状態の表示画面においては、エコーデータの深度方向を詳細に表示することができる。これにより、無線通信端末A、Bの操作者は、高い解像度で水中の魚群の位置及び状態等を確認することができる。
【0102】
一方、無線通信端末A、Bの画面状態が横長画面状態と判定された場合、魚群探知機200においては、ステップST106及びステップST107と同様に、広範エコーデータの生成が指示される。そして、この指示に応じて生成された広範エコーデータが第2表示処理部109bの広範表示用メモリに保存される。
【0103】
次に、制御部101は、第2表示処理部109b及び無線通信部201に対して、広範エコーデータの無線通信端末A、Bでの表示を指示する。この指示を受けると、第2表示処理部109bは、保存された広範エコーデータを無線通信部201に出力する。無線通信部201は、この広範エコーデータを無線通信端末A、Bに出力する。
【0104】
広範エコーデータを受け取ると、無線通信端末A、Bは、表示画面に広範エコーデータを表示する。この場合、横長画面状態の表示画面においては、エコーデータの時間方向を広範囲に表示することができる。これにより、無線通信端末A、Bの操作者は、高い解像度で過去の魚群の位置及び状態等を確認することができる。
【0105】
次に、図11を参照しながら、第2の実施の形態に係る魚群探知機200において、圧縮エコーデータ/伸長エコーデータを表示する際の動作について説明する。圧縮エコーデータ/伸長エコーデータを表示する場合においても、制御部101は、ステップST111の処理と同様に、無線通信端末A、Bから現在の表示画面の画面状態を含む表示画面情報の受信を監視している。
【0106】
無線通信端末A、Bから表示画面情報を受信した場合、制御部101は、ステップST112と同様に、表示画面情報に含まれる画面状態が縦長画面状態であるか、横長画面状態であるかを判定する。なお、この場合における判定は、無線通信端末A、Bからの表示画面情報の内容に基づいて行われる。
【0107】
無線通信端末A、Bの画面状態が縦長画面状態と判定された場合、魚群探知機200においては、ステップST113〜ステップST115と同様に、広範表示用メモリから広範エコーデータが読み出され、圧縮/伸長部108cで伸長処理が施された後、第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに保存される。
【0108】
次に、制御部101は、第1表示処理部109a及び無線通信部201に対して、伸長エコーデータの無線通信端末A、Bでの表示を指示する。この指示を受けると、第1表示処理部109aは、保存された伸長エコーデータを無線通信部201に出力する。無線通信部201は、この伸長エコーデータを無線通信端末A、Bに出力する。
【0109】
伸長エコーデータを受け取ると、無線通信端末A、Bは、表示画面に伸長エコーデータを表示する。この場合、無線通信端末A、Bの縦長画面状態の表示画面においては、第2表示処理部109bの広範表示用メモリに記録された広範エコーデータを利用した伸長エコーデータを表示することができる。これにより、表示画面の画面状態が横長画面状態から縦長画面状態に切り替えられた場合に、詳細エコーデータの表示を待つことなく伸長エコーデータが表示される。この結果、無線通信端末A、Bの操作者は、表示画面の画面状態を横長画面状態から縦長画面状態に切り替えた後、すぐに伸長エコーデータで水中の魚群の位置及び状態等を確認することができる。
【0110】
一方、無線通信端末A、Bの画面状態が横長画面状態と判定された場合、魚群探知機200においては、ステップST117〜ステップST119と同様に、詳細表示用メモリから詳細エコーデータが読み出され、圧縮/伸長部108cで圧縮処理が施された後、第2表示処理部109Bの広範表示用メモリに保存される。
【0111】
次に、制御部101は、第2表示処理部109b及び無線通信部201に対して、圧縮エコーデータの無線通信端末A、Bでの表示を指示する。この指示を受けると、第2表示処理部109bは、保存された圧縮エコーデータを無線通信部201に出力する。無線通信部201は、この圧縮エコーデータを無線通信端末A、Bに出力する。
【0112】
圧縮エコーデータを受け取ると、無線通信端末A、Bは、表示画面に圧縮エコーデータを表示する。この場合、無線通信端末A、Bの横長画面状態の表示画面においては、第1表示処理部109aの詳細表示用メモリに記録された詳細エコーデータを利用した圧縮エコーデータを表示することができる。これにより、表示画面の画面状態が縦長画面状態から横長画面状態に切り替えられた場合に、広範エコーデータの表示を待つことなく圧縮エコーデータが表示される。この結果、無線通信端末A、Bの操作者は、縦長画面状態から横長画面状態に切り替えた後、すぐに圧縮エコーデータで過去の魚群の位置及び状態等を確認することができる。
【0113】
このように本実施の形態に係る魚群探知機200においては、無線通信端末A、Bの表示画面の状態に応じたエコーデータ(詳細エコーデータや広範エコーデータ等)が生成され、無線通信端末A、Bに送信される。これにより、魚群探知機200と無線通信可能な無線通信端末A、Bにて、魚群探知機200の表示部103と同等のエコーデータを表示することが可能となる。
【0114】
なお、ここでは、無線通信端末A、Bが表示画面の画面状態を通知する一方、その画面状態に応じたエコーデータ(詳細エコーデータや広範エコーデータ等)を魚群探知機200から受信して表示画面に表示する場合について説明している。しかしながら、無線通信端末A、Bにおけるエコーデータの表示方法については、これに限定されるものでなく適宜変更が可能である。例えば、無線通信端末A、Bは、魚群探知機200からエコーデータを受信した場合には、表示画面の画面状態を通知することなく、その受信したエコーデータを利用して表示画面に表示するようにしてもよい。この場合には、表示画面の画面状態に応じてエコーデータ(詳細エコーデータや広範エコーデータ等)を適宜切り替えて表示することも可能である。
【0115】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0116】
例えば、上記実施の形態においては、信号処理部108の第2エコーデータ生成部108bで受信信号から一定量の信号要素を間引いて第2のエコーデータとしての広範エコーデータを生成する場合について説明している。しかしながら、第2エコーデータ生成部108bで生成される第2のエコーデータについては、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、受信信号に含まれるエコー強度が大きい深度を中心に設定されたエコーデータや、操作部102を介して操作者から予め指定された深度を中心に設定されたエコーデータ、或いは、海底部分が表示画面103aの最下端部に設定されたエコーデータを生成することもできる。
【0117】
また、上記実施の形態においては、信号処理部108に第1エコーデータ生成部108a、第2エコーデータ生成部108b及び圧縮/伸長部108cを備える場合について説明している。しかしながら、信号処理部108の構成について、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、圧縮エコーデータ及び伸長エコーデータの表示を省略する場合には、圧縮/伸長部108cは、必ずしも信号処理部108に備える必要はない。
【0118】
また、上記第1の実施の形態においては、表示部103が魚群探知機100の筐体に回動可能に設けられる場合について説明している。しかしながら、表示部103の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、表示部103を魚群探知機100から独立した構成とし、表示画面103aの画面状態に関する情報等を制御部101との間で通信するようにしてもよい。なお、この場合における画面状態に関する情報の通信に関しては、第2の実施の形態に係る魚群探知機200に準じて行うことができる。
【0119】
また、上記第2の実施の形態においては、魚群探知機200と無線通信可能な無線通信端末で所定のエコーデータを表示可能とする魚群探知機に関する発明として説明している。しかしながら、上記第2の実施の形態については、魚群探知機200と、この魚群探知機200と無線通信可能な無線通信端末とを備える魚群探知システムに関する発明としても成立する。
【0120】
さらに、本発明は、長辺と短辺とを有する表示画面を操作者に向けた状態で回動可能に設けられた表示部におけるエコーデータの表示プログラムとしても成立する。すなわち、本発明に係るエコーデータの表示プログラムは、コンピュータに、送信信号に対するエコーの強度に応じた受信信号を出力する手順と、受信信号から深度に対応するエコーデータを生成する手順と、上記表示部の回動に伴う表示画面の画面状態を検出する手順と、その表示画面の画面状態の検出結果に応じて、表示部に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させる手順とを実行させるためのプログラムである。本発明に係るエコーデータの表示プログラムによれば、表示部の回動に伴う表示画面の画面状態に応じて表示部に表示されるエコーデータの時間的な範囲を変化させることができる。これにより、表示画面の画面状態に応じてエコーデータの時間的な表示範囲を切り替えることができる。この結果、エコーデータの時間的な表示範囲を柔軟に切り替えることが可能となる。
【符号の説明】
【0121】
100、200 魚群探知機
101 制御部
102 操作部
103 表示部
103a 表示画面
103b 長辺
103c 短辺
104 送信回路
105 受信回路
106 A/D変換部
107 メモリ
108 信号処理部
108a 第1エコーデータ生成部
108b 第2エコーデータ生成部
108c 圧縮/伸長部
109 表示処理部
109a 第1表示処理部
109b 第2表示処理部
110 送受波器
111 送受切替部
201 無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13