(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度センサは、前記撮像素子近傍の温度を検出するために前記撮像素子近傍に設けられた、又は前記本体部の温度を検出するために前記本体部に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
前記温度は、前記撮像素子の出力信号における、前記リセットゲート信号が重畳した貫通パルス部の波高値の電位と、基準電位との差に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
前記撮像素子の出力信号の貫通パルスの波高値が、所定の閾値以上になると、前記リセットゲート信号の波高値を、所定量だけ下げ、その下げた波高値以上にならないように制限する波高値制限部を、さらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の構成図である。
【0014】
内視鏡装置1は、細長の挿入部2と、挿入部2の基端が接続された本体部3とを有して構成されている。挿入部2の先端部には、撮像素子としてのCCD11と、CCD11の撮像面に被写体像を結像させるための対物光学系12が設けられている。CCD11には、信号線L1を介して駆動信号が、波形整形回路13を介して入力される。CCD11の撮像信号は信号線L2を介して出力される。すなわち、内視鏡装置1は、先端部に撮像素子を有する挿入部2と、本体部3とを有する。
【0015】
さらに、挿入部2の先端部には、複数の発光ダイオード(以下、LEDと略す)を含む照明部14が設けられている。照明部14の照明光は、図示しない照明用光学系を介して、挿入部2の先端部から出射される。
【0016】
挿入部2の先端部には、CCD11の近傍の温度を検出するための温度検出素子15が設けられている。温度検出素子15は、サーミスタなどの温度センサであり、照明部14と温度検出素子15は、信号線L3,L4からの電源の供給を受けている。
CCD11は、光源である照明部14により照明された対象からの光に応じた電荷を読み出して、映像信号である出力信号CCDoutを出力する。
【0017】
本体部3は、中央処理装置(以下、CPUという)21と、アナログフロントエンド部(以下、AFE部という)22と、プリアンプ23と、波形整形回路24と、表示部25と、グラフィック重畳部26と、電源部27と、入力部28と、メモリ部29と、アナログデジタル変換回路(以下、ADC回路という)30を含んで構成されている。
【0018】
CPU21は、内視鏡装置1の全体の制御及び指定された機能を実行するための制御部である。CPU21は、後述するように、CCD11を駆動するパルス信号のパルス幅を、温度に応じて変更する制御も行う。
【0019】
AFE部22は、後述するように、タイミングジェネレータ、CDS回路等を含んで、CCD11の駆動と、CCD11からの映像信号である撮像信号を処理してCPU21へ、画像信号を出力する回路である。AFE22の構成については、後述する。
【0020】
プリアンプ23は、CCD11からの出力信号CCDoutを増幅する増幅器である。プリアンプ23は、挿入部2内に挿通された信号ケーブル長により減衰したCCD11の出力信号(CCDout)を増幅する。
波形整形回路24は、AFE22から出力される、水平同期信号等の各種駆動信号の波形を整形する回路である。
【0021】
また、波形整形回路24は、CPU21からの設定信号に基づいて、各種駆動信号の波形の波高値を変更することができる。よって、
図1に示すように、波形整形回路24は、CPU21からの信号が入力されるように構成されている。
【0022】
表示部25は、内視鏡画像及び各種メニュー画面を表示する、液晶表示器などの表示装置である。
グラフィック重畳部26は、CPU21で生成されたメニュー画面等のグラフィック画像を、内視鏡画像上に重畳するための回路である。
【0023】
電源部27は、バッテリ27aを含み、内視鏡装置1内の各部へ電源を供給する回路である。
入力部28は、各種ボタンを有する操作部及び表示部25に設けられたタッチパネル等の入力装置であり、入力された信号、データなどをCPU21へ出力する。
【0024】
メモリ部29は、CPU21が実行する各種プログラムと各プログラムの実行に必要なデータを記憶する不揮発性のメモリ(例えば、ハードディスク装置、フラッシュメモリ)を含む。
【0025】
ADC回路30は、挿入部2に設けられた温度検出素子15において検出された温度に応じた電圧などをデジタル信号に変換して、CPU21へ出力する回路である。すなわち、CPU21は、ADC回路30の出力信号にから挿入部2の先端部の温度情報を得ることができる。
【0026】
なお、挿入部2の先端部の温度と本体部3の周囲温度とが同じであるような状況で、内視鏡装置1が使用される場合は、温度検出素子は、本体部3に設けるようにしてもよい。その場合、
図1において、点線で示すように、温度検出素子31と、その温度検出素子31のアナログ信号をデジタル信号に変換するADC回路32とが、本体部3に設けられ、CPU21は、ADC回路32から本体部3の温度情報を得ることができる。
【0027】
さらになお、
図1では、挿入部2の先端部のCCD11の入力段に波形整形回路13が設けられ、さらにAFE部22の出力段に波形整形回路24が設けられているが、挿入部2が長くない場合は、いずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0028】
図2は、AFE部22の構成を示すブロック図である。AFE部22は、タイミングジェネレータ(以下、TGという)41と、水平・垂直ドライバ42と、OBクランプ回路43と、相関二重サンプリング回路(以下、CDS回路という)44と、オートゲインコントロール回路(以下、AGC回路という)45と、ADC回路46とを有する。
【0029】
TG41は、AFE部22内の各部で使用される各種タイミング信号を生成して出力する回路である。
水平・垂直ドライバ42は、TG41からのタイミング信号に基づいて、水平同期信号及び垂直同期信号を出力する。ここでは、水平同期信号としてのリセットゲート信号RG及び水平転送信号Hは、波形整形回路24に出力される。垂直同期信号は、CCD11へ出力される。すなわち、水平・垂直ドライバ42は、撮像素子であるCCD11を駆動する駆動信号を出力する駆動回路を構成する。
【0030】
水平・垂直ドライバ42は、ドライブIC、DCバイアス回路、微分回路等を含み、CCD11を適切に駆動させるために、水平転送信号Hとリセットゲート信号RGを、波形整形を行って出力する。
OBクランプ回路43は、CCD11のOB(オプティカルブラック)領域の電荷をクランプし、黒レベルの信号を再生する回路である。
【0031】
CDS回路44は、相関二重サンプリングを行う回路である。CDS回路は、CCD11の出力信号(CCDout)のフィードスルー期間をクランプするサンプルホールドパルス(以下、SHP信号という)と、信号期間をクランプするサンプルホールドパルス(以下、SHD信号という)に基づいて、出力信号(CCDout)のアンプノイズとリセットノイズを除去する。SHP信号とSHD信号は、TG41からCDS回路44に入力される。
【0032】
AGC回路45は、入力信号に対するゲインの自動調整を行う回路である。CPU21からの設定データがAGC回路45に入力され、ゲインの自動調整が行われる。AGC回路45は、暗い被写体の画像信号のゲインを上げると共に、後段のADC回路46のダイナミックレンジに、出力信号(CCDout)の振幅を合わせる。
ADC回路46は、AGC回路45から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。
【0033】
図3は、メモリ部29に記憶されるテーブルTBL1の例を示す図である。
テーブルTBL1は、温度に応じたリセットゲート信号RGのパルス幅値のデータが設定されたデータテーブルである。ここでは、温度検出素子15により検出された温度が、100度以上の場合、50度以上100度未満の場合、20度以上50度未満の場合、20度未満の場合の4つの場合に応じて、それぞれリセットゲート信号RGのパルス幅を、10nsec(ナノ秒)、8nsec、5nsec、2nsecとするデータが、テーブルTBL1に登録されている。
【0034】
ここで、はじめに、CCD11の出力信号CCDoutが、温度によってどのように変化するかの例を説明する。
図4は、水平同期信号と、CCD11の出力信号CCDoutと、SHP信号と、SHD信号との関係を示す波形図である。
【0035】
水平同期信号であるリセットゲート信号RGと水平転送信号Hの入力に応じて、CCD11は、映像信号である出力信号CCDoutを出力する。このとき、出力信号CCDoutには、リセットゲート信号に応じた貫通パルス部PPを有する。リセットゲート信号RGは、撮像素子であるCCD11の出力信号CCDoutに重畳して出力される信号である。さらに、出力信号CCDoutは、貫通パルス部PPの後に、フィードスルー期間FTと、信号期間STを有する。
【0036】
SHP信号とSHD信号が、フィードスルー期間FTと信号期間STのそれぞれの安定した所定のタイミングで出力されることによって、CDS回路44は、相関二重サンプリングのための電圧をクランプすることができる。
【0037】
出力信号CCDoutの貫通パルス部PPの波形は、CCD11の温度が低くなると、点線で示す常温時の波形よりも高くなるという特性を、CCD11は有する。これは、CCD11自体の温度特性あるいは波形整形回路13を含む駆動回路の温度特性によるものである。
【0038】
このような貫通パルス信号PPの波高値が高くなると、貫通パルス部PPに続く波形におけるアンダーシュートが大きくなり、フィードスルー期間FTが短くなる。
図4では、貫通パルス信号PPの波高値が高いときのフィードスルー期間FT2が、点線で示す常温時の貫通パルス信号PPのフィードスルー期間FT1よりも、短くなっていることが示されている。
【0039】
このように、フィードスルー期間FT期間が短くなると、CDS回路において安定して基準電位をサンプルホールドすることできない虞がある。
そこで、本実施の形態では、CPU21がテーブルTBL1のデータを利用して、温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅を調整することによって、フィードスルー期間FTが短くならないように、リセットゲート信号RGの波形を変更する。
【0040】
図5は、CPU21によるリセットゲート信号RGの波形を変更する処理の流れの例を示すフローチャートである。
CPU21は、ADC回路30を介して温度検出素子15により検出されたCCD11の温度データを取得する(S1)。温度検出素子15は、CCD11近傍の温度を検出するためにCCD11近傍に設けられているので、S1において取得された温度データは、略CCD11の温度データである。なお、上述したように、温度検出素子31の場合は、温度検出素子31が本体部3の温度を検出するために本体部3に設けられているので、S1において取得された温度データは、本体部3の温度データである。
【0041】
次に、CPU21は、取得した温度データから温度に変化があるか否かを判定する(S2)。この判定は、前回取得した温度が属するテーブルTBL1の温度範囲と、今回取得した現在の温度が属する温度範囲とが異なるか否かによって、行われる。例えば、前回取得した温度が25度で、今回取得した温度が24度であれば、2つの温度は、共に、テーブルTBL1の同じ温度範囲(20度以上50度未満の範囲)にあるので、温度に変化がなしと判定される(S2:NO)。また、例えば、前回取得した温度が20度で、今回取得した温度が19度であれば、前回取得した温度は、テーブルTBL1の温度範囲(20度以上50度未満の範囲)にあるが、今回取得した温度は、テーブルTBL1の温度範囲(20度未満の範囲)にあるので、温度に変化がありと判定される(S2:YES)。
なお、初回は、前回取得した温度データは存在しないので、温度変化ありと判定される。
【0042】
温度に変化がない場合は(S2:NO)、処理は、S1に戻る。温度に変化があると(S2:YES)、CPU21は、テーブルTBL1から、今回取得した温度に対応するパルス幅の変更データを読み出す(S3)。
【0043】
例えば、
図3の場合、今回取得した温度が20度未満であれば、「2nsec」が、変更データとして、メモリ部29のテーブルTBL1から読み出される。
そして、CPU21は、その変更データを用いて、リセットゲート信号RGの波形を変更する(S4)。リセットゲート信号RGの波形の変更は、CPU21が、TG41へリセットゲート信号RGのパルス幅の変更データを与え、TG41がそのパルス幅の変更データに基づいてリセットゲート信号RGを生成することにより、行われる。S4の後、処理は、S1に戻る。
【0044】
よって、CPU21とTG41は、CCD11近傍又は本体部3の温度に応じて、駆動信号である水平同期信号に含まれるリセットゲート信号RGのパルス幅を変更する変更部を構成する。さらに、メモリ部29は、温度に対応する、パルス幅を変更するための変更値が記憶された記憶部を構成する。そして、変更部であるCPU21は、メモリ部29のテーブルTBL1を参照して、温度に対応する変更値を読み出し、その読み出した変更値に基づいて、パルス幅を変更する。
【0045】
なお、テーブルTBL1は、変更値自体が設定されているが、所定の基準値に対する補正値を設定され記憶するようにしてもよい。CPU21は、その補正値に基づいて、パルス幅を変更する。
【0046】
図6は、リセットゲート信号RGのパルス幅を変更したときの、水平同期信号と、CCD11の出力信号CCDoutと、SHP信号と、SHD信号との関係を示す波形図である。
例えば、
図6に示すように、リセットゲート信号RGのパルス幅が短くなると、貫通パルスPPの幅が狭くなる。その結果、フィードスルー期間FTは、常温時のフィードスルー期間FT1と同じになる。
【0047】
すなわち、テーブルTBL1には、温度に応じて、フィードスルー期間FTが常温時のフィードスルー期間FT1と同じになるように、リセットゲート信号RGのパルス幅のデータが設定され、登録されており、CPU21は、検出されたCCD11の温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅を変更する。
【0048】
その結果、CDS回路44において安定して基準電位をサンプルホールドすることでき、結果として、アンプ雑音とリセット雑音を適切に除去して、ノイズの少ない高品位な内視鏡画質を得ることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅が調整されているが、第2の実施の形態では、温度に応じて、リセットゲート信号RGの波高値が調整される。
【0049】
第2の実施の形態の内視鏡装置の構成は、第1の実施の形態の内視鏡装置の構成と略同じであるので、同じ構成要素については、同じ符号を用いて、異なる構成についてのみ説明する。
【0050】
図7はメモリ部29に記憶されるテーブルTBL2の例を示す図である。
テーブルTBL2は、温度に応じたリセットゲート信号RGの波高値のデータが設定されたデータテーブルである。ここでは、温度検出素子15により検出された温度が、100度以上の場合、50度以上100度未満の場合、20度以上50度未満の場合、20度未満の場合の4つの場合に応じて、それぞれリセットゲート信号RGの波高値を、3.6V(ボルト)、3.4V、3.2V、3.0Vとするデータが、テーブルTBL2に登録されている。
【0051】
本実施の形態におけるCPU21によるリセットゲート信号RGの波形を変更する処理は、
図5の処理と同様であり、
図5のS3において、変更データは、テーブルTBL2から読み出され、S4においては、リセットゲート信号RGの波形の波高値が変更される。リセットゲート信号RGの波形の変更は、CPU21が、波形整形回路24へリセットゲート信号RGの波高値の変更データを与え、波形整形回路24がその波高値の変更データに基づいてリセットゲート信号RGを生成することにより、行われる。
【0052】
よって、CPU21と波形整形回路24は、CCD11近傍又は本体部3の温度に応じて、駆動信号である水平同期信号に含まれるリセットゲート信号RGの波高値を変更する変更部を構成する。さらに、メモリ部29は、温度に対応する、波高値を変更するための変更値が記憶された記憶部を構成する。そして、変更部であるCPU21は、メモリ部29のテーブルTBL2を参照して、温度に対応する変更値を読み出し、その読み出した変更値に基づいて、波高値を変更する。
【0053】
なお、テーブルTBL2は、変更値自体が設定されているが、所定の基準値に対する補正値を設定され記憶するようにしてもよい。CPU21は、その補正値に基づいて、波高値を変更する。
【0054】
図8は、リセットゲート信号RGの波高値を変更したときの、水平同期信号と、CCD11の出力信号CCDoutと、SHP信号と、SHD信号との関係を示す波形図である。
例えば、
図8に示すように、リセットゲート信号RGの波高値が、点線で示す常温時の波高値よりも低くなると、貫通パルスPPの波高値は低下し、アンダーシュートも減少する。その結果、フィードスルー期間FTは、常温時のフィードスルー期間FT1と同じになる。
【0055】
すなわち、テーブルTBL2には、温度に応じて、フィードスルー期間FTが常温時のフィードスルー期間FT1と同じになるように、リセットゲート信号RGの波高値のデータが設定されて登録されており、CPU21は、検出されたCCD11の温度に応じて、リセットゲート信号RGの波高値を変更する。
【0056】
その結果、CDS回路44において安定して基準電位をサンプルホールドすることでき、結果として、アンプ雑音とリセット雑音を適切に除去して、ノイズの少ない高品位な内視鏡画質を得ることができる。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅が調整され、第2の実施の形態では、温度に応じて、リセットゲート信号RGの波高値が調整されているが、本実施の形態では、温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値の両方が調整される。
【0057】
第3の実施の形態の内視鏡装置の構成は、第1の実施の形態の内視鏡装置の構成と略同じであるので、同じ構成要素については、同じ符号を用いて、異なる構成についてのみ説明する。
【0058】
図9はメモリ部29に記憶されるテーブルTBL3の例を示す図である。
テーブルTBL3は、温度に応じたリセットゲート信号RGのパルス幅と波高値のデータが設定されたデータテーブルである。ここでは、温度検出素子15により検出された温度が、100度以上の場合、50度以上100度未満の場合、20度以上50度未満の場合、20度未満の場合の4つの場合に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値を、それぞれ9nsecと3.5V、7nsecと3.3V、4nsecと3.1V、1nsecと2.9Vとするデータが、テーブルTBL3に登録されている。
【0059】
なお、テーブルTBL3は、変更値自体が設定されているが、所定の基準値に対する補正値を設定され記憶するようにしてもよい。CPU21は、その補正値に基づいて、パルス幅波高値を変更する。
【0060】
本実施の形態におけるCPU21によるリセットゲート信号RGの波形を変更する処理は、
図5の処理と同様であり、
図5のS3において、変更データは、テーブルTBL3から読み出され、S4においては、リセットゲート信号RGの波形のパルス幅と波高値が変更される。リセットゲート信号RGの波形の変更は、CPU21が、TG41へリセットゲート信号RGのパルス幅の変更データを与え、波形整形回路24へ波高値の変更データを与え、TG41と波形整形回路24がそれぞれパルス幅と波高値の変更データに基づいてリセットゲート信号RGを生成することにより、行われる。
【0061】
図10は、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値を変更したときの、水平同期信号と、CCD11の出力信号CCDoutと、SHP信号と、SHD信号との関係を示す波形図である。
【0062】
例えば、
図10に示すように、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値が、点線で示す常温時のパルス幅よりも短くかつ波高値よりも低くなると、貫通パルスPPの波高値は上がらず、アンダーシュートも減少しない。その結果、フィードスルー期間FTは、常温時のフィードスルー期間FT1よりも長く(FT3)なる。
【0063】
すなわち、テーブルTBL3には、温度に応じて、フィードスルー期間FTが常温時のフィードスルー期間FT1と同じになるように、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値のデータが登録されており、CPU21は、検出されたCCD11の温度に応じて、リセットゲート信号RGのパルス幅と波高値を変更する。
【0064】
その結果、CDS回路44において安定して基準電位をサンプルホールドすることでき、結果として、アンプ雑音とリセット雑音を適切に除去して、ノイズの少ない高品位な内視鏡画質を得ることができる。
(第4の実施の形態)
上述した第1〜第3の実施の形態では、内視鏡装置における撮像素子近傍の温度あるいは本体部の温度を、サーミスタなどの温度検出器を用いて検出しているが、第4の実施の形態では、撮像素子の温度を、サーミスタなどを用いないで検出する。
【0065】
図11は、本実施の形態に係る、AFE部22と温度検出部の構成を示すブロック図である。
図11において、
図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0066】
AFE部22のOBクランプ回路43の出力は、第2のCDS回路51に入力される。CDS回路51では、後述するような相関二重サンプリングを行い、その結果信号をADC回路52へ出力する。ADC回路52は、入力された信号をデジタルデータに変換して、CPU21へ出力する。CDS回路51とADC回路52が、温度検出部を構成する。CDS回路51とADC回路52のそれぞれには、TG41から所定のタイミング信号が入力される。
図12は、CDS回路51において実行される相関二重サンプリングを説明するための、CCD11の出力信号CCDoutと、SHP信号と、SHD信号との関係を示す波形図である。
【0067】
第2のSHD信号が、リセットゲート信号RGよりも遅れたタイミングで、TG41からCDS回路51に入力される。第2のSHD信号により、貫通パルス信号PPの波高値の電圧がクランプされる。第2のSHP信号は、CDS回路44のSHP信号と同じタイミングで、TG41からCDS回路51に入力される。
よって、第2のSHP信号と第2のSHD信号により、
図12において、点線で示す電位差ΔVが得られ、その電位差ΔVが、ADC回路52に入力される。
【0068】
ここで、電位差ΔVは、撮像素子であるCCD11の温度に応じて変化する。よって、電位差ΔVと、温度の関係を測定あるいは演算により予め求めておき、メモリ部29に予め記憶しておく。例えば、ΔV毎の温度の情報が登録されたテーブルデータとして、メモリ部29に記憶しておく。
【0069】
すなわち、温度は、撮像素子であるCCD11の出力信号CCDoutにおける、リセットゲート信号RGが重畳した貫通パルス部PPの波高値の電位と、基準電位との差に基づいて決定されて検出される。
【0070】
検出した電位差ΔVの値データを受信すると、CPU21は、メモリ部29に記憶されたテーブルデータを参照して、電位差ΔVに対応する温度情報を読み出すことによって、CPU21は、CCD11の温度を検出することができる。
【0071】
CPU21は、検出した温度に応じて、上述した第1の実施の形態の内視鏡装置のように、リセットゲート信号RGのパルス幅が調整される。
【0072】
その結果、CDS回路44において安定して基準電位をサンプルホールドすることでき、結果として、アンプ雑音とリセット雑音を適切に除去して、ノイズの少ない高品位な内視鏡画質を得ることができる。
(変形例)
本変形例は、第4の実施の形態における第2のCDS回路51においてクランプされた貫通パルス信号PPの波高値に基づいて、リセットゲート信号RGの波高値を、所定の値以上ならないように、制限するようにしたものである。本変形例は、上述した第1〜第4の実施の形態に、追加的に適用可能である。
【0073】
第4の実施の形態では、第2のCDS回路51により得られた電位差ΔVに基づいて、温度を検出しているが、本変形例では、第2のCDS回路51においてクランプされた貫通パルス信号PPの波高値に基づいて、リセットゲート信号RGの波高値を、所定の値以上ならないように、制限するようにしたものである。
【0074】
回路構成は、第4の実施の形態と同じであるが、ここでは、SHD信号に基づいてクランプされた貫通パルス信号PPの波高値のみが、ADC回路52においてクランプされ、CPU21に出力される。
【0075】
CPU21は、ADC回路52からの貫通パルス信号PPの波高値が、予め設定された閾値以上になったか否かを判定し、貫通パルス信号PPの波高値が、予め設定された閾値以上になると、リセットゲート信号RGの波高値を所定量だけ下げるようにし、その所定量だけ下げた値の波高値で固定する。
【0076】
図13は、本変形例に係る、波高値制限処理の流れの例を示すフローチャートである。
CPU21は、第2のCDS51によりクランプされた出力信号CCDoutの貫通パルスの波高値を取得する(S11)。
【0077】
CPU21は、取得した波高値が所定の閾値TH以上であるか否かを判定し(S12)、取得した波高値が所定の閾値TH以上であると(S12:YES)、リセットゲート信号RGの現在の波高値よりも所定量だけ小さい値に下げる(S13)。
【0078】
CPU21は、S13の後、リセットゲート信号RGの波高値を、S13で下げた波高値に固定し、制限する(S14)。S14の処理により、CPU21は、波形整形回路24から出力されるリセットゲート信号RGの波高値が、S13で下げた値の波高値以上にならないように制限する。
【0079】
すなわち、S12とS13の処理は、撮像素子であるCCD11の出力信号CCDoutの貫通パルスPPの波高値が、所定の閾値TH以上になると、リセットゲート信号RGの波高値を、所定量だけ下げ、その下げた波高値以上にならないように制限する波高値制限部を構成する。
【0080】
よって、第1〜第4の各実施の形態において、出力されるリセットゲート信号RGの波高値が、本変形例の機能の追加により制限される。
なお、取得した波高値が所定の閾値TH以上でなければ(S12:NO)、処理は、何もしない。
【0081】
以上のように、上述した各実施の形態及び変形例の内視鏡装置によれば、温度変化によらず、安定的に撮像素子の出力信号のフィードスルー期間を確保し、結果として、アンプ雑音とリセット雑音を除去し、ノイズの少ない高品位な内視鏡画質を得ることができる。
【0082】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。