(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
病院や介護施設、自宅等において、患者に対する治療活動として点滴を打つケースが多く見られる。点滴は、輸液パックを患者よりも高い位置に配置し、重力を利用して輸液パック内の輸液を患者の体内に送るという仕組みであるため、輸液パックを患者の上方に支持しておく点滴スタンドを用いるのが一般的である。
【0003】
こうした点滴スタンドの基本構成としては、床面上に載置される脚部に、上下方向に沿って延出する支柱部が取り付けられ、その支柱部の上端部に輸液吊り下げ具が取り付けられているのが一般的である(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1〜3に記載の点滴スタンドは、輸液吊り下げ具が、支柱部の上端から略水平方向に延出する一対のアーム部と、各アーム部の先端部に設けられて輸液パックを直接吊り下げるためのフック部と、を備えた構成とされている。また、これらの点滴スタンドは、いずれも患者や看護師等が必要に応じてスタンドを自由に移動できるように脚部にキャスタが設けられている。
こうした使い勝手においては、移動する際の患者の所有物を載置したり、輸液パックを吊り下げる作業時の作業面として、点滴スタンドにトレー(物品載置台)が設けられているのが望ましい。このような構成とした場合には、点滴スタンドとしての利便性をより向上させることができる。
【0004】
また、点滴スタンドを移動させる際には、点滴スタンドの支柱部と一体の把持ハンドルが存在することが望ましく、このような把持ハンドルを備えた点滴スタンドが従来より案出されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の点滴スタンドは、円環状のハンドル本体と、支柱部の外面に固定されるボス部と、ボス部とハンドル本体を連結する連結部とによって構成される把持ハンドルが設けられている。この特許文献2に記載の点滴スタンドにおいては、支柱部の周囲のいずれの方向からでも把持ハンドルを把持してスタンドを移動させることができるとともに、複数人で把持ハンドルを把持してスタンドを操作することもできる。このため、点滴スタンドとしての操作性が良好なものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在、点滴スタンドの利便性と操作性を高めるために、点滴スタンドの支柱部に、上記のようなトレーと把持ハンドルとを設けることを検討している。しかし、単純にトレーと把持ハンドルとを支柱部上の離間した部位に別々に設けた場合、支柱部からの張り出し部位が支柱部の離間した箇所に複数でき、見栄えが低下することが懸念される。
また、物品を載置するトレー上には、載置した物品の落下を規制する規制部があることが望ましい。このため、上記のようにトレーと把持ハンドルとを支柱部上の離間した部位に別々に設ける場合にも、トレーに規制部を設けることを検討している。しかし、この場合、規制部を備えたトレーを採用すると、上述のように見栄えが低下するばかりでなく、支柱部上での占有スペースが大きくなってしまう。
【0007】
そこでこの発明は、見栄えの低下や占有スペースの増大を招くことなく、利便性の向上と操作性の向上を図ることのできる点滴スタンドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明では、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
この発明に係る点滴スタンドは、上下方向に沿って延出する支柱部に、輸液パックが輸液吊り下げ具を介して吊り下げ支持される点滴スタンドであって、物品が載置可能な物品載置面を有するトレーと、前記トレーの物品載置面の少なくとも一部の上方に配置され前記トレー上に載置された物品の落下を規制するガイド部材と、を備え、前記トレーと前記ガイド部材
は、直接若しくは間接的に前記支柱部に連結され、前記ガイド部材と前記トレーの間
には、操作者が前記ガイド部材を把持ハンドルとして把持可能な把持空間部が設けられ
、前記ガイド部材は、前記トレーの外周縁部に沿う上方位置に配置されるとともに、上面視で、内周面が前記トレーの外周面よりも外側、若しくは、略同一位置となるように形成され、前記トレーの上面の略全域は、平面に形成されて前記物品載置面とされていることを特徴とするものである。
これにより、トレー上の物品載置面に物品を載せ置くと、その物品の落下がガイド部材によって規制されるようになる。また、患者や看護師等の操作者は、トレーの上方のガイド部材を把持ハンドルとして把持することにより、点滴スタンドを操作できるようになる。また、トレーとガイド部材は支柱部の上下方向で大きく離間して配置されることがなくなる。
この場合、トレーの上面のほぼ全域を物品載置面として利用することが可能になる。
また、この場合、ガイド部材が平面視でトレーよりも内側に位置しないことから、トレーの上面のほぼ全域を物品載置面として有効利用することが可能になるうえ、操作者がガイド部材を把持ハンドルとして把持するときに、トレーが邪魔になりにくくなる。
【0009】
前記トレーの前記物品載置面、及び、前記ガイド部材の上面の全域は、略水平に形成されるようにしても良い。
【0013】
前記ガイド部材は、上面視で、前記トレーの外縁形状と相似形状をなすように形成されるようにしても良い。この場合、外観バランスが良好になり、外部からの見栄えの低下が生じなくなる。
【0014】
前記ガイド部材は、上面視で、環状をなすように形成されることが望ましい。この場合、操作者がガイド部材を把持ハンドルとして把持するときに、いずれの方向からもガイド部材を把持することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、トレーの所定距離上方側のガイド部材を、物品の落下を規制する規制部と把持ハンドルとして機能させることができるため、トレーと把持ハンドルが支持軸上で離間して配置されることによる見栄えの低下や占有スペースの増大を招くことなく、トレー上への物品載置と操作者が把持しての点滴スタンドの容易な操作を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、
図1〜
図6に示す第1の実施形態について説明する。なお、以下で説明する各実施形態やその変形例においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
図1,
図2は、この実施形態に係る点滴スタンド1の外観を示す斜視図である。
点滴スタンド1は、病院や介護施設、自宅等の床面上に載置される脚部ブロック2と、脚部ブロック2に支持されて上下方向に沿って延出する支柱部3と、支柱部3の上端部に取り付けられ、輸液パックPを吊り下げ支持する輸液吊り下げ具4と、を備えている。
【0018】
脚部ブロック2は、支柱部3の下端を保持するボス部10の外周側に5本の脚フレーム11が放射状に延設され、各脚フレーム11の延出端にキャスタ12が取り付けられている。したがって、この実施形態の脚部ブロック2は、キャスタ12を介して床面上を移動可能にされている。なお、この実施形態の場合、実際にはボス部10や脚フレーム11の上方側が樹脂製のカバー部材13によって覆われているが、
図1,
図2においては、図示都合上、カバー部材13上のボス部10や脚フレーム11に対応する箇所に符号10,11を付している。
【0019】
この実施形態の場合、支柱部3は、下端が脚部ブロック2に取り付けられる中空状のアウタ支柱3Aと、上端に輸液吊り下げ具4が取り付けられる中空状のインナ支柱3Bと、を備え、支柱部3の下部領域がアウタ支柱3Aの上部に摺動自在に嵌入されている。アウタ支柱3Aの内部には、アウタ支柱3Aとインナ支柱3Bの相対位置を固定するための図示しないロック機構が装備され、そのロック機構を解除することにより、アウタ支柱3Aとインナ支柱3Bの相対位置(支柱部3の伸縮長さ)を適宜調整できるようになっている。
【0020】
インナ支柱3Bの上下方向の略中間部には、前記ロック機構を解除操作するための解除操作スリーブ14が設置されている。この解除操作スリーブ14は、インナ支柱3Bの内部においてロック機構のロック解除片に接続され、看護師等の操作者によって上方にスライド操作されたときにロック機構を解除し、下方に戻し操作されたときにロック機構を再度ロック状態に維持するようになっている。
【0021】
また、この実施形態では、アウタ支柱3Aには、荷掛けフックアタッチメント15と、ハンドルアタッチメント16が昇降調整可能に取り付けられている。
荷掛けフックアタッチメント15は、アウタ支柱3Aの外周面に対して締結固定可能なボス部17と、ボス部17から相反方向に延出する一対のフック部18,18と、を備え、各フック部18にウロバッグや手荷物19等を適宜吊り下げ支持できるようになっている。ハンドルアタッチメント16については後に詳述する。
【0022】
輸液吊り下げ具4は、支柱部3のインナ支柱3Bの上端部に締結固定されるボス部27と、支柱部3の軸心o回りを取り囲むように上下方向に沿って立設された略方形筒状の周壁28と、ボス部27と周壁28を連結する連結支柱29と、周壁28の下端寄りの外側面から外側(支柱部3の軸心oの位置される側と逆側)に突出する4つの吊り下げ支持片30…と、を備えている。
【0023】
周壁28は、左右方向の両側の縁部が円弧状に丸みをおびた4つの支持壁31…が方形状に配置され、隣接する支持壁31,31同士が相互に連結された形状とされている。この実施形態の場合、周壁28全体が硬質の樹脂材料によって方形筒状に一体に形成されている。各支持壁31の外面31a(支柱部3の軸心oの位置される側と逆側の面)は幅方向の中央領域を中心としてほぼ平坦に形成されている。
【0024】
連結支柱29は、各支持壁31の下縁の幅方向の中央位置とボス部27の外面とを連結するように計4つ設けられている。吊り下げ支持片30は、金属製の板材によって断面略L字状に形成され、L字の一辺を成す部分が対応する支持壁31の下縁の幅方向の中央位置に取り付けられるとともに、L字の他辺を成す部分が上方に向かって延出している。吊り下げ支持片30のL字の一辺を成す部分は、その一部を残して先端部領域が対応する支持壁31と連結支柱29に挿し込まれ、その状態で対応する連結支柱29に固定されている。各吊り下げ支持片30には、
図1に示すように、輸液パックPの吊り下げ孔7が係合可能とされている。なお、
図1中の符号8aは、吊り下げ孔7が形成されている輸液パックPの上シール部であり、符号9は、図示しない点滴チューブが接続される輸液パックPの注出筒である。
【0025】
図3,
図4は、ハンドルアタッチメント16部分を示す斜視図であり、
図5は、支柱部3を破断して示すハンドルアタッチメント16部分の上面図である。また、
図6は、一部を断面にしたハンドルアタッチメント16部分の側面図である。
ハンドルアタッチメント16は、上面にカップ等の日用品その他の物品26を載置可能なトレー21と、トレー21の上方側に所定距離離間して配置される円環状のハンドル本体20(ガイド部材)と、トレー21とハンドル本体20を連結する一対の連結支柱22,22(連結部)と、アウタ支柱3Aの外周面に対して締結固定可能なボス部24(取付部)と、を備えている。
【0026】
トレー21は、ハンドル本体20の内周面よりも一回り小さい円形の平板状に形成され、その上面が物品26を載せ置くための物品載置面21aとされている。トレー21は、ハンドル本体20の下方側に同軸に配置され、トレー21の外周上の相反位置において、連結支柱22,22によってハンドル本体20に連結されている。連結支柱22は、トレー21の外周側の上面とハンドル本体20の内周側の下面を連結するように傾斜して配置されている。トレー21には、その中心部からオフセットした位置に、上下に貫通する挿通孔23が設けられ、その挿通孔23にアウタ支柱3Aが挿通されるようになっている。
この実施形態の場合、トレー21と連結支柱22,22とハンドル本体20とは、ボス部24の一部とともに硬質樹脂によって一体に形成されている。
【0027】
また、ボス部24は、トレー21の下面の挿通孔23と同軸となる位置に設けられている。このボス部24は、トレー21の下面に突設された半割円筒状の内筒24aと、内筒24aの外側に被着される外筒24bとから構成されている。内筒24aは、半割部を中心として径方向内側に変形可能にされるとともに、外周面に雄ねじ50が設けられている。一方、外筒24bは、内筒24aの雄ねじ50と螺合可能な雌ねじ51を備え、内筒24aの雌ねじ50に締め込むことによって、内筒24aを支柱部3(アウタ支柱3A)の外周面に圧接固定できるようになっている。したがって、ボス部24は、外筒24bの締め込みを緩めることによって、ハンドルアタッチメント16を支柱部3(アウタ支柱3A)上で移動可能にし、所望の位置で外筒24bを再度締め込むことによってハンドルアタッチメント16を支柱部3(アウタ支柱3A)に対して固定することができる。
なお、この実施形態の場合、トレー21はボス部24を介して支柱部3に直接連結され、ハンドル本体20(ガイド部材)は、トレー21を介して支柱部3に間接的に連結されている。
【0028】
ここで、一対の連結支柱22,22によってトレー21に連結されたハンドル本体20の下方には、操作者がハンドル本体20を把持するのに充分な把持空間部25が確保されている。このため、患者や看護師等の操作者は、脚部ブロック2のキャスタ12がロックされていなければ、ハンドル本体20を把持して点滴スタンド1を自由な方向に移動させることができる。
【0029】
また、ハンドル本体20は、トレー21との間に把持空間部25が確保されているものの、トレー21の上面からの高さが、カップ等の患者が日常一般に使用する物品26の高さよりも低く設定され、トレー21上に載置された物品26の落下を規制するガイド部材(規制部)としても機能するようになっている。この実施形態の場合、アウタ支柱3Aが挿通されるトレー21上の挿通孔23がトレー21の中心からオフセットした位置に配置されているため、トレー21上には、アウタ支柱3Aと干渉することのない充分な物品配置スペースが確保されている。
また、この実施形態では、ハンドル本体20の上面は全域が略水平になるように形成されており、必要に応じてハンドル本体20の上面にも点滴パックP等の大型の物品を載置することも可能となっている。
【0030】
以上のようにこの実施形態に係る点滴スタンド1は、支柱部3に取り付けられるハンドルアタッチメント16に、物品載置面21aを有する平板状のトレー21と、トレー21の物品載置面21aの上方を取り囲むように配置される環状のガイド部材であるハンドル本体20と、が設けられ、ハンドル本体20とトレー21の間に把持空間部25が確保されているため、物品26の載置機能部と把持ハンドル機能部とをコンパクトに集約して支柱部3回りに設置することができる。このため、この実施形態の点滴スタンド1においては、支柱部3回りの見栄えの低下や占有スペースの増大を招くことなく、支柱部3回りへの物品26の載置と、移動時等における操作者による確実な把持をともに実現することができる。
また、特に、この点滴スタンド1においては、ハンドル本体20が、トレー21の物品載置面21a上に載置した物品26の落下を規制するガイド部材(規制部)としても機能するため、トレー21上に物品26を載置した際の利便性をより高めることができる。したがって、この点滴スタンド1の場合、ハンドルアタッチメント16が物品26の落下規制機能を備えながらも、占有スペースの増大を抑え、全体の見栄え低下も良好にすることができる。
【0031】
また、ハンドルアタッチメント16のトレー21は側方に延出する連結アーム等を設ければ支柱部3の外側に配置することも可能であるが、この実施形態の点滴スタンド1は、ハンドルアタッチメント16のトレー21に挿通孔23が設けられ、支柱部3がその挿通孔23に挿通される構造とされているため、支柱部3からのトレー21の張り出し量をより小さくすることができる。したがって、このことから、この点滴スタンド1では、点滴スタンドとしての利便性と見栄えをより高めることができる。
【0032】
さらに、この実施形態の点滴スタンド1においては、挿通孔23が、上面視でトレー21の中心位置からオフセットした位置に設けられているため、トレー21上に支柱部3と干渉しない纏まった物品載置スペースを確保することができる。このため、この点滴スタンド1では、トレー21上への物品26の載置し易さを確保しつつ、トレー21の張り出し量を抑制することができる。
ただし、ハンドルアタッチメント16は、必ずしも、トレー21の中心位置からオフセットした位置に挿通孔23を設けなければならないものではなく、
図7に示す変形例のように、挿通孔23をトレー21の中心位置に設けることも可能である。
【0033】
また、ハンドルアタッチメント16のハンドル本体20は、トレー21の物品載置面21aの少なくとも一部の上方に配置されていれば、必ずしもトレー21の外周縁部に沿う上方位置に配置されていなくても良いが、この実施形態の点滴スタンド1は、ハンドル本体20がトレー21の外周縁部に沿う上方位置に配置されていることから、トレー21の上面上の広い領域を物品載置面21aとしの有効に利用することができる。
特に、この実施形態の場合、ハンドルアタッチメント16のハンドル本体20が、上面視で、その内周面がトレー21の外周面よりも外側位置となるように配置されているため、トレー21の上面のほぼ全域を物品載置面21aとして有効利用することができるうえ、操作者がハンドル本体20を把持ハンドルとして把持するときに、トレー21が邪魔になりにくくなるという利点がある。
なお、ハンドル本体20は、上面視で、その内周面がトレー21の外周面と略同一位置となるように形成するようにしても良い。
【0034】
また、この実施形態の点滴スタンド1においては、トレー21の上方に配置されるハンドルアタッチメント16のハンドル本体20がトレー21の外縁形状と相似形状に形成されているため、外観バランスが良好なものとなり、外部からの見栄えの低下が生じなくなる。
【0035】
また、ハンドルアタッチメント16のハンドル本体20は、トレー21の物品載置面21aの少なくとも一部の上方に配置されていれば、必ずしも環状である必要はないが、この実施形態の点滴スタンド1は、ハンドル本体20が環状に形成されているため、操作者がハンドル本体20を把持ハンドルとして把持するときに周域のいずれの方向からも把持でき、操作性が良いという利点がある。
【0036】
つづいて、
図8〜
図11に示す他の実施形態について説明する。
図8〜
図11に示す各実施形態は、上述した第1の実施形態とハンドルアタッチメントの構造のみが異なり、他の部分は同様の構造となっている。
図8(a),(b)は、第2の実施形態のハンドルアタッチメント116部分の斜視図と上面図である。
この実施形態のハンドルアタッチメント116は、上面が物品載置面21aとされた円板状のトレー21と、トレー21の上方側に所定距離離間して配置される円環状のハンドル本体20(ガイド部材)と、を備え、ハンドル本体20がトレー21と同心となるように配置されるとともに、ハンドル本体20とトレー21の間に把持空間部25が確保されている。この実施形態の場合も、ハンドル本体20の内周面は、トレー21の外周面よりも一回り大きい円形形状に形成されている。第1の実施形態では、ハンドル本体20とトレー21は、円周上の相反位置に配置される一対の連結支柱によって連結されていたが、この実施形態では、ハンドル本体20とトレー21が一つの連結支柱122によって連結されている。
【0037】
連結支柱122には、ハンドル本体20の内周面から、トレー21の外周縁に達する位置まで径方向内側に膨出する台形状の膨出部33が一体に形成されている。この膨出部33とトレー21のこの膨出部33の連結される部位には、支柱部3のアウタ支柱3Aが上下方向に挿通される挿通孔23が形成され、膨出部33が、ハンドルアタッチメント116を支柱部3に取り付ける取付部の少なくとも一部を構成するようになっている。この実施形態の場合、挿通孔23はトレー21の中心位置からオフセットした位置に配置されている。なお、ハンドルアタッチメント116を支柱部3に直接圧接固定する固定部構造は、膨出部33に設けるようにしても良いが、第1の実施形態と同様にトレー21の下面側に設けるようにしても良い。
【0038】
この実施形態の点滴スタンドは、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、ハンドルアタッチメント116のハンドル本体20が円周方向の一箇所で連結支柱122によって連結されているため、ハンドル本体20を操作者が把持ハンドルとして把持するときに、連結支柱122と干渉せずに把持できる領域を拡張して操作性を高めることができるとともに、外観品質をより高めることができる。
【0039】
さらに、この実施形態の場合、ハンドル本体20とトレー21を連結する連結支柱122に、ハンドルアタッチメント116を支柱部3に取り付ける取付部の少なくとも一部を構成する膨出部33が設けられているため、ハンドルアタッチメント116自体をよりコンパクト化することができる。
なお、ここでは、挿通孔23をトレー21の中心位置からオフセットした位置に配置する例について説明したが、
図8(c)に示す変形例のように挿通孔23をトレー21の中心位置に配置するようにしても良い。この変形例の場合、連結支柱122には膨出部を設けずに、連結支柱122によってトレー21とハンドル本体20を斜めに連結するようにしている。
【0040】
図9(a)は、第3の実施形態のハンドルアタッチメント216部分の上面図である。
この実施形態のハンドルアタッチメント216は、上面が物品載置面21aとされた円板状のトレー21と、トレー21の上方側に所定距離離間して配置されるハンドル本体220(ガイド部材)と、を備え、ハンドル本体220とトレー21の間に把持空間部25が確保されている。ただし、この実施形態の場合、ハンドル本体220は完全な円環形状ではなく、円形の一部が切欠かれた円弧形状とされている。ハンドル本体220は、トレー21と同心となるように配置され、両側の円弧端と円弧の中央領域が3つの連結支柱22によってトレー21の外周縁部に連結されている。また、トレー21は、その中心位置からオフセットした位置に、支柱部3の挿通される挿通孔23が設けられており、ハンドル本体220の内面は、トレー21の外周面よりも一回り大きい円形形状に形成されている。
また、ハンドル本体220の両側の円弧端の間には、上面視で、トレー21の外周面に向かって略扇状に窪む凹状空間35が設けられている。
【0041】
この実施形態の点滴スタンドは、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、ハンドルアタッチメント216のハンドル本体220が、円形の一部が切欠かれた円弧形状に形成され、その両端の円弧端の間に凹状空間35が設けられているため、例えば、輸液吊り下げ具に吊り下げられた輸液パックに輸液ポンプを接続し、輸液ポンプを介して患者に点滴チューブを接続するような場合に、輸液パックから引き出されたチューブ類を、ハンドル本体220と干渉することなく凹状空間35を通して下方に引き出すことができる。このため、点滴時における作業性と利便性をより高めることができる。
なお、ここでは、挿通孔23をトレー21の中心位置からオフセットした位置に配置する例について説明したが、
図9(b)に示す変形例のように挿通孔23をトレー21の中心位置に配置するようにしても良い。
【0042】
図10(a)は、第4の実施形態のハンドルアタッチメント316部分の上面図である。
この実施形態のハンドルアタッチメント316は、上面が物品載置面21aとされた円板状のトレー21と、トレー21の上方側に所定距離離間して配置されるハンドル本体320(ガイド部材)と、を備え、ハンドル本体320とトレー21の間に把持空間部25が確保されている。ハンドル本体320は、円弧状の一対のハンドル片320A,320Bから成り、各ハンドル片320A,320Bの両端部が連結支柱22によってトレー21の外周縁部に連結されている。この実施形態では、隣接するハンドル片320A,320Bの各間に凹状空間35が設けられている。トレー21上には、支柱部3が上下方向に挿通される挿通孔23が、トレー21の中心位置に対して一方の凹状空間35側にオフセットした位置に設けられている。
【0043】
この実施形態の点滴スタンドは、基本的に第3の実施形態と同様の効果を得ることができるが、ハンドル本体320の円周上の相反位置に二つの凹状空間35,35が設けられているため、点滴作業時等にトレー21回りの複数個所からチューブ類を下方に引き出すことが可能になるため、点滴時における作業性と利便性をより高めることができる。
なお、この実施形態の場合も、
図10(b)に示す変形例のように挿通孔23をトレー21の中心位置に配置するようにしても良い。
【0044】
図11は、第5の実施形態のハンドルアタッチメント416部分の上面図である。
この実施形態のハンドルアタッチメント416は、上面が物品載置面21aとされた円板状のトレー21と、トレー21の上方側に所定距離離間して配置されるハンドル本体420(ガイド部材)と、を備え、ハンドル本体420とトレー21の間に把持空間部25が確保されている。トレー21上には、支柱部3が上下方向に挿通される挿通孔23が、トレー21の中心位置からオフセットした位置に設けられている。ハンドル本体420は、半円状の円弧部420aと、その円弧部420aの両端部を直線状に連結する直線部420bと、を有する略D字状に形成され、トレー21の上方側の支柱部3から外側にオフセットした位置に配置されている。ハンドル本体420の円弧部420aは、トレー21の外径よりも一回り大きい外径に形成され、トレー21の中心と同心となるように3つの連結支柱22によってトレー21の外周縁部に連結されている。また、ハンドル本体420の直線部420bは、支柱部3の外側にオフセットした位置でトレー21の上方を横切るように配置されている。この実施形態では、ハンドル本体420の直線部420bの外側には略半円状の空間435が設けられている。
【0045】
この実施形態の点滴スタンドは、基本的に第3,第4の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができるが、ハンドル本体420が略D字状に形成されて、そのハンドル本体420の外側に支柱部3が配置されるとともに、ハンドル本体420の外側に略半円状の空間435が設けられていることから、ハンドル本体420の外側に隣接する位置に、チューブ類を下方に引き出すためのスペースをより大きく確保することができるとともに、トレー21の物品載置面21a上に載置した物品が支柱部3と干渉するのを防止することができる。
【0046】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上述した各実施形態では、ハンドルアタッチメントのトレー部分が支柱部に取り付けられるようになっているが、トレー部分ではなくハンドル本体部分が支柱部に取り付けられるようにしたり、トレー部分とハンドル本体部分の両方が支柱部に取り付けられるようにしたりすることも可能である。