特許第6226720号(P6226720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226720
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ロータリーダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/12 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   F16F9/12
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-244670(P2013-244670)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-102202(P2015-102202A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙次
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−130113(JP,A)
【文献】 特開2010−190329(JP,A)
【文献】 特開平01−182643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 3/14
F16F 9/12−9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングに対して回転可能な筒状のローターと、
前記ローター内に挿入されると共に、前記ハウジングに対して回転不能な状態で前記ハウジングに係止されるシャフトと、
前記ハウジング内に充填される抵抗液と、
を備え、
前記シャフトは、前記ローター内となる位置において、前記シャフトの長手方向に垂直な方向に延在し、当該長手方向に沿って並べられる複数の第1抵抗板を有し、
前記ローターには、前記複数の第1抵抗板の間に配置される少なくとも1つの第2抵抗板が係止され
それぞれの前記第1抵抗板には、第1欠損部が形成され、
それぞれの前記第2抵抗板には、前記シャフトと前記ローターとが所定の回転位置とされる状態において、前記第1欠損部と重なる位置に第2欠損部が形成され、
前記第2抵抗板は、前記ローターの外側から内側へ通じるように配置され、
前記第2欠損部は、前記ローターの外側から前記第1欠損部と重なる位置まで形成される
ことを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項2】
前記第2欠損部は、前記第2抵抗板の外周側から形成される切り欠きとされる
ことを特徴とする請求項記載のロータリーダンパ。
【請求項3】
前記第1欠損部は、前記第1抵抗板の外周側に形成される切り欠きとされる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のロータリーダンパ。
【請求項4】
筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングに対して回転可能な筒状のローターと、
前記ローター内に挿入されると共に、前記ハウジングに対して回転不能な状態で前記ハウジングに係止されるシャフトと、
前記ハウジング内に充填される抵抗液と、
を備え、
前記シャフトは、前記ローター内となる位置において、前記シャフトの長手方向に垂直な方向に延在し、当該長手方向に沿って並べられる複数の第1抵抗板を有し、
前記ローターには、前記複数の第1抵抗板の間に配置される少なくとも1つの第2抵抗板が係止され、
前記ローターには、スリットが複数設けられ、
前記第2抵抗板は、前記スリットに挿入されることで、前記ローターに係止される
ことを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項5】
筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングに対して回転可能な筒状のローターと、
前記ローター内に挿入されると共に、前記ハウジングに対して回転不能な状態で前記ハウジングに係止されるシャフトと、
前記ハウジング内に充填される抵抗液と、
を備え、
前記シャフトは、前記ローター内となる位置において、前記シャフトの長手方向に垂直な方向に延在し、当該長手方向に沿って並べられる複数の第1抵抗板を有し、
前記ローターには、前記複数の第1抵抗板の間に配置される少なくとも1つの第2抵抗板が係止され、
前記第2抵抗板は、前記ローターの回転軸を基準に対称な位置に複数配置される
ことを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項6】
それぞれの前記第1抵抗板には、第1欠損部が形成され、
それぞれの前記第2抵抗板には、前記シャフトと前記ローターとが所定の回転位置とされる状態において、前記第1欠損部と重なる位置に第2欠損部が形成される
ことを特徴とする請求項4または5に記載のロータリーダンパ。
【請求項7】
前記第2抵抗板は、前記ローターの外側から内側へ通じるように配置され、
前記第2欠損部は、前記ローターの外側から前記第1欠損部と重なる位置まで形成される
ことを特徴とする請求項記載のロータリーダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転抵抗を大きくすることができるロータリーダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品や業務用機器等の様々な分野において、蓋体が本体にヒンジ部により軸支され、当該ヒンジ部の軸を中心に蓋体が回動することで開閉する機構が用いられている。このヒンジ部の回転抵抗が小さいと、蓋体が早い回転速度で開閉動作する場合があり、この場合蓋体や本体を損傷する虞がある。このため、蓋体が早い回転速度で開閉動作することを防止する目的で、ヒンジ部に所定の回転抵抗を有するロータリーダンパが用いられる場合がある。また、ロータリーダンパは、ヒンジ部以外にも回転抵抗を必要とする様々な部位に用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、このようなロータリーダンパの一例が記載されている。特許文献1に記載のロータリーダンパは、外筒体内で回転軸が回転する構成とされる。回転軸には、軸に垂直な方向に延在する略円形の可動板が、軸の長手方向に沿って複数枚固定されている。また、上記の可動板の間に入り込む複数の固定板が、外筒体に嵌め込まれることで、外筒体と一体とされている。そして、外筒体と回転軸との間が粘性液体で満たされることで、可動板と固定板との間もこの粘性液体で満たされている。このようなロータリーダンパは、回転軸が外筒体に対して回転する際、回転軸と共に回転する可動板と、外筒体と一体とされる固定板とが、互いに対向した状態で相対的に回転する。このため、可動版と固定板との間の粘性液体のせん断抵抗により回転抵抗が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3148343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、回転抵抗がより大きなロータリーダンパが求められている。そこで、本発明は、回転抵抗を大きくすることができるロータリーダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のロータリーダンパは、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に挿入され、前記ハウジングに対して回転可能な筒状のローターと、前記ローター内に挿入されると共に、前記ハウジングに対して回転不能な状態で前記ハウジングに係止されるシャフトと、前記ハウジング内に充填される抵抗液と、を備え、前記シャフトは、前記ローター内となる位置において、前記シャフトの長手方向に垂直な方向に延在し、当該長手方向に沿って並べられる複数の第1抵抗板を有し、前記ローターには、前記複数の第1抵抗板の間に配置される少なくとも1つの第2抵抗板が係止されることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成のロータリーダンパでは、互いに係止されたローター及び第2抵抗板の組と互いに係止されたシャフト及びハウジングの組とが相対的に回転可能とされる。このように回転すると、抵抗液によるせん断抵抗が生じる。このせん断抵抗は、少なくとも3か所で生じる。第1のせん断抵抗は、ローターの外周面とハウジングの内周面との間において生じる。第2のせん断抵抗は、第1抵抗板の外周面(シャフトの外周面)とローターの内周面との間において生じる。第3のせん断抵抗は、第1抵抗板と第2抵抗板との間において生じる。
【0008】
このように上記特許文献1に記載の多段式ロータリーダンパと比べると、上記第1のせん断抵抗が付加されることとなる。従って本発明のロータリーダンパによれば第1のせん断抵抗が付加される分だけ、回転抵抗を大きくすることができる。
【0009】
また、それぞれの前記第1抵抗板には、第1欠損部が形成され、それぞれの前記第2抵抗板には、前記シャフトと前記ローターとが所定の回転位置とされる状態において、前記第1欠損部と重なる位置に第2欠損部が形成されることが好ましい。
【0010】
このように第1欠損部と第2欠損部とが形成されることで、シャフトとローターとが上記回転位置とされる場合に、第1欠損部と第2欠損部とにより、シャフトの長手方向に沿って連通する空間ができる。このような空間により、ハウジング内が抵抗液で満たされた状態で、気泡が生じる場合であっても、当該空間が気泡を長手方向に移動させるエア抜き路として機能することができる。
【0011】
さらに、前記第2抵抗板は、前記ローターの外側から内側へ通じるように配置され、前記第2欠損部は、前記ローターの外側から前記第1欠損部と重なる位置まで形成されることが好ましい。
【0012】
第2欠損部により生じる空間がローターの内側と外側とをつなぐことにより、ハウジング内に上記のような気泡が生じる場合であっても、第2欠損部が気泡をローターの外部に移動させるエア抜き路として機能することができる。
【0013】
この場合、前記第2欠損部は、前記第2欠損部の外周側に形成される切り欠きとされることが好ましい。切り欠きにより第2欠損部を形成することで、容易に第2欠損部を形成することができる。
【0014】
また、前記第1欠損部は、前記第1抵抗板の外周側に形成される切り欠きとされることが好ましい。切り欠きにより第1欠損部を形成することで、容易に第1欠損部を形成することができる。
【0015】
また、前記ローターには、スリットが複数設けられ、前記第2抵抗板は、前記スリットに挿入されることで、前記ローターに係止されることが好ましい。
【0016】
このように第2抵抗板が係止されることで、製造されるロータリーダンパ毎にスリットに挿入する第2抵抗板の数を変更することができる。つまり、容易に第2抵抗板の数を調整することができ、回転抵抗を容易に調整することができる。
【0017】
また、前記第2抵抗板は、前記ローターの回転軸を基準に対称な位置に複数配置されることが好ましい。
【0018】
このように第2抵抗板が配置されることで、ローターの回転軸を基準として、ローターの外周面の対称な位置に回転抵抗に起因する応力が加わり、応力が偏ることを抑制することができる。従って、ロータリーダンパの長寿命化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、回転抵抗を大きくすることができるロータリーダンパが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るロータリーダンパの分解斜視図である。
図2図1を別の視点から見た図である。
図3図1のロータリーダンパの断面図である。
図4】ローターにシャフト及び第2抵抗板が組み込まれた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るロータリーダンパの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態のロータリーダンパの分解斜視図であり、図2は、図1を別の視点から見た図である。図1図2に示すように本実施形態のロータリーダンパ1は、ハウジング10と、ローター20と、第1抵抗板32を有するシャフト30と、第2抵抗板40と、Oリング52と、キャップ51と、抵抗液とを主な構成として有する。なお、図1図2では、ハウジング10及びローター20及びシャフト30の長手方向に沿った共通の中心軸Cに沿って、ハウジング10及びローター20及びシャフト30が相対的に移動すると共に、第2抵抗板40が当該中心軸Cに垂直な方向に移動することで分解されたロータリーダンパの状態が示され、抵抗液は省略されている。図3は、ロータリーダンパ1の中心軸Cに沿った断面図である。なお、図3において、僅かな隙間が形成されている部位であっても、その隙間が記載されていない場合がある。
【0023】
以下、シャフト30、ローター20、第2抵抗板40、ハウジング10、他の構成の順に説明する。
【0024】
<シャフト30>
シャフト30は、中心軸Cに沿って延在する軸芯31と、複数の第1抵抗板32と、軸芯31の端部に形成される嵌合凸部36とを主な構成として有する。複数の第1抵抗板32は、所定の間隔をあけて、中心軸Cに沿って並べられて、軸芯31に接続されている。この所定の間隔は、第2抵抗板40の厚みよりも僅かに大きな間隔とされる。また、それぞれの第1抵抗板32は、軸芯31の長手方向に垂直な方向に沿って延在する略円形の形状とされ、中心軸Cを基準として互いに180度異なる位置に一対の切り欠きから成る第1欠損部35が形成されている。それぞれの第1抵抗板32に形成される第1欠損部35は、それぞれの第1抵抗板32で同じ位置に形成される。つまり、それぞれの第1抵抗板32に形成される第1欠損部35は、シャフト30の長手方向(中心軸Cの方向)に沿って重なるように形成される。
【0025】
複数の第1抵抗板32の中で一方の端に位置する第1抵抗板32からは、軸芯31が突出している。また、他方の端に位置する第1抵抗板32には、嵌合凸部36が接続されている。嵌合凸部36は、中心軸Cに沿って見る場合に非円形の形状とされ、本実施形態では、概ね楕円形状とされる。なお、本実施形態では、軸芯31と第1抵抗板32と嵌合凸部36とが一体とされている。
【0026】
<ローター20>
ローター20は、中心軸Cを軸とする円筒状の側壁部21と、側壁部21の一方側の開口を塞ぐ前壁部22とを主な構成として有し、側壁部21の前壁部22側と反対側は開口されている。前壁部22には、第2固定部24が側壁部21内の空間側と反対側に突出するように設けられている。また、図3に示すように前壁部22の第2固定部24側と反対側には、軸受用凹部17が形成されている。この軸受用凹部17は、シャフト30の軸芯31が挿入可能な径とされる。
【0027】
また、側壁部21は、シャフト30の嵌合凸部36を除きシャフト30を挿入可能な長さとされる。また、その内径は、シャフト30の第1抵抗板32の直径よりも僅かに大きく、シャフト30がローター20に挿入されると、第1抵抗板32の外周面(シャフト30の外周面)と側壁部21の内周面との間に僅かな隙間が生じる。
【0028】
側壁部21には、中心軸Cの方向に沿って所定の間隔で並び、中心軸Cに垂直な面に沿って延在するスリット25が複数形成されている。また、スリット25は、中心軸Cに垂直な方向において、中心軸Cを基準として対称な位置にもそれぞれ形成されている。本実施形態では、当該中心軸Cに垂直な方向において、180°異なる位置に一対のスリットが形成されている。このスリット25が並ぶ上記所定の間隔は、シャフト30の第1抵抗板32の厚みと概ね同じ大きさとされる。さらに、スリット25の幅は、シャフト30の第1抵抗板32が配置される所定の間隔と同等とされる。従って、スリット25の幅は、第2抵抗板40の厚みよりも僅かに大きな幅とされる。また、複数のスリット25が形成される位置は、図3に示すようにシャフト30がローター20内に挿入された状態で、中心軸Cに垂直な方向において、第1抵抗板32同士の間と重なる位置とされる。従って、この状態で、シャフト30の第1抵抗板32は、中心軸Cに垂直な方向において、スリット25の間の側壁部21と僅かな隙間を空けて重なる。
【0029】
また、側壁部21の最も前壁部22側に形成されるスリット25には、中心軸Cの方向に沿って延在するエア抜き用スリット26が形成されている。エア抜き用スリット26は、前壁部22の外面側(第2固定部24が形成される側)まで達している。
【0030】
なお、上記のように、シャフト30がローター20内に挿入された状態で、軸受用凹部17には、シャフト30の第1抵抗板32から突出する軸芯31が入り込み、シャフト30とローター20とは、中心軸Cを中心として、互いに回転することができる。また、シャフト30がローター20内に挿入された状態で、嵌合凸部36は側壁部21の開口から突出する。
【0031】
<第2抵抗板40>
第2抵抗板40は、円の一部が直線により切り取られた形状である部分円に略一致する外側部42と、略四角形の内側部41とからなる。外側部42の円弧状の外縁の径は、ローター20の側壁部21の外径と同じ大きさとされる。また外側部42には、第2欠損部45が形成されている。この第2欠損部45は、外側部42の円弧上の外縁から内側部41に向けて切り欠かれることで形成される。また、内側部41の外側部42側と反対側には、円弧状の切り欠きからなる軸受部46が形成されている。この軸受部46の円弧の径は、シャフト30の軸芯31の直径より僅かに大きな径とされる。また、内側部41は、ローター20の側壁部21に形成されるスリット25に挿入可能な幅とされる。一方、外側部42の幅は、スリット25からローター20内に入ることのできない幅とされる。
【0032】
図4は、ローター20にシャフト30及び第2抵抗板40が組み込まれた様子をローター20の開口側から見た図である。なお、理解の容易のため、図4ではシャフト30の嵌合凸部36が省略されている。また、図4において、僅かな隙間が形成されている部位であっても、その隙間が記載されていない場合がある。上記のように、ローター20に形成されるスリット25の幅、及び、シャフト30の第1抵抗板32同士の間隔は、第2抵抗板40の厚みよりも僅かに大きくされる。そこで、第2抵抗板40を内側部41側からスリット25に挿入すると、図3図4に示すように、第1抵抗板40の間に内側部41が位置し、外側部42の一部がローター20の側壁部21に引っ掛かる。こうして、第2抵抗板40は、複数の第1抵抗板32の間に少なくとも一枚が配置されて、ローター20に係止される。
【0033】
第2抵抗板40がローター20に係止された状態で、第2抵抗板40とシャフト30の第1抵抗板32との間には僅かな隙間が生じる。また、この状態で、軸受部46とシャフト30の軸芯31との間にも僅かな隙間が生じる。また、第2抵抗板40の外側部42の外縁が、ローター20の側壁部21の外周面と面一とされる。また、第2抵抗板40の第2欠損部とエア抜き用スリット26が中心軸Cに沿った方向において重なる。また、シャフト30とローター20とが所定の回転位置とされる状態において、第2欠損部45は、シャフト30の第1抵抗板32に形成された第1欠損部35と、中心軸Cに沿った方向に重なる位置まで達する。つまり、第2欠損部45は、ローター20の外側から内側の第1欠損部35に重なる位置まで通じるように形成されるのである。上記のように、それぞれの第1抵抗板32に形成される第1欠損部35は、シャフト30の長手方向に沿って重なるように形成されるため、第1欠損部35と第2欠損部45とにより、シャフト30の長手方向に沿って連通する空間ができる。更に、第2欠損部45がエア抜き用スリット26と重なることで、第1欠損部35、第2欠損部45、エア抜き用スリット26により、中心軸Cの長手方向に略沿った空間がローター20の内側から外側まで通じることになる。
【0034】
<ハウジング10>
ハウジング10は、中心軸Cを軸とする円筒状の側壁部11と、側壁部11の一方側の開口を塞ぐ奥壁部12とを主な構成として有し、側壁部11の奥壁部12側と反対側は開口されている。側壁部11は、ローター20の側壁部21を完全に挿入可能な長さとされる。またその内径は、ローター20の側壁部21の外径よりもわずかに大きく、図3に示されるようにローター20がハウジング10内に挿入されると、ローター20の側壁部21の外周面とハウジング10の側壁部11の内周面との間に僅かな隙間が生じる。従って、ローター20がハウジング10内に挿入された状態で、ローター20とハウジング10とは、中心軸Cを中心として、互いに回転することができる。
【0035】
また、奥壁部12には、凸状に形成された部位を有する第1固定部14が形成されている。奥壁部12の内壁部側には、図3に示すように嵌合凹部16が形成されている。嵌合凹部16は、シャフト30の嵌合凸部36が嵌め込み可能とされ、中心軸Cに沿って見る場合に非円形とされる。本実施形態では、上記のように嵌合凸部36の中心軸に沿って見る場合の形状が概ね楕円形状とされるため、この嵌合凹部16を中心軸に沿って見る場合の形状も、特に図示しないが、概ね楕円形状とされる。
【0036】
<他の構成>
Oリング52は、ローター20がハウジング10に挿入された状態で、ハウジング10の側壁部11の内周面とローター20の外周面とを塞ぐ構造とされる。Oリング52は、封止性能を向上させるために弾性体からなり、このような弾性体としては、例えば、NBR(Nitril-Butadiene Rubber)等の合成ゴムを挙げることができる。また、キャップ51は、硬質な樹脂や金属から形成される固定キャップであり、Oリング52や、ローター20等がハウジング10から外れることを防止している。
【0037】
ハウジング10内は、隙間なく抵抗液で満たされる。抵抗液は、いわゆる粘性液が用いられることが一般的であるが、ロータリーダンパ1の回転抵抗に合わせて、その種類を選ぶことができる。抵抗液としては、鉱物系やシリコーンのオイル等の合成系のオイルを挙げることができる。
【0038】
次に、ロータリーダンバ1の組み立てについて説明する。
【0039】
まず、図1に示すように、シャフト30とローター20とを中心軸Cが一致するように配置し、シャフト30をローター20内に挿入する。このときシャフト30の一方側から突出する軸芯31がローター20の軸受用凹部17に挿入され、嵌合凸部36は側壁部21の開口から突出する。そして、シャフト30の第1抵抗板32同士の間とローター20のスリット25とが中心軸Cに垂直な方向において重なる。
【0040】
次に、第2抵抗板40を内側部41側からスリット25に挿入し、上記のように第2抵抗板40をローター20に係止する。このとき、少なくとも1枚の第2抵抗板40を挿入すれば良く、複数のスリット25の全てに第2抵抗板40を挿入する必要はない。このようにローター20に係止する第2抵抗板40の数を調整することで、後述するロータリーダンバ1の回転抵抗を調整することができる。なお、第2抵抗板40は、ローター20の回転軸(中心軸C)を基準に対称な位置に配置されれば、ローター20の回転軸を基準として、ローター20の外周面の対称な位置に回転抵抗に起因する応力が加わり、応力が偏ることを抑制することができるため好ましい。
【0041】
次に、シャフト30とローター20との回転位置を調整して、第1欠損部35第2欠損部45とが中心軸Cの方向に沿って重なるようにする。その後、シャフト30が挿入され第2抵抗板40が係止された状態のローター20を、抵抗液が入れられたハウジング10内に挿入する。ローター20がハウジング10に挿入されると、シャフト30の嵌合凸部36がハウジング10の嵌合凹部16に嵌合する。上記のように嵌合凹部16及び嵌合凸部は、中心軸Cに沿ってみる場合に非円形であるため、両者が嵌合された状態で、シャフト30はハウジング10に対して回転不能とされる。こうして、シャフト30は、ハウジング10に回転不能に係止される。
【0042】
また、ローター20をハウジング10内に挿入する際に、抵抗液に気泡が生じる場合であっても、当該気泡は、第1欠損部35及び第2欠損部45により形成される空間を通りローター20の長手方向に逃げることができ、同時に第2欠損部45からローター20の外側に逃げることができる。こうして、第1欠損部35及び第2欠損部45は、エア抜き路として機能することができる。そして、上記のようにローター20の最も前壁部22側のスリット25にはエア抜き用スリット26が接続されているため、最も前壁部22側の第2抵抗板40の第2欠損部45から、ローター20のエア抜き用スリット26に気泡等のエアが逃げることができる。従って、ローター20がハウジング10に挿入された後においても、ハウジング10内の気泡はハウジング10の外側に逃げることができる。
【0043】
ローター20がハウジング10内に挿入された後、ハウジング10の開口側を上にした状態で所定の期間、所定の温度でエア抜きのためのエージングが施される。エージングは、室温で行われても良いが、抵抗液の粘性を小さくしてエアが抜けやすくなるように、所定の温度の恒温室で行われても良い。なお、このエージングは必須では無い。そして、必要なエージング処理が終了後、Oリング52で抵抗液が漏れないよう封止され、キャップ51がハウジング10の開口に噛め込まれて、ロータリーダンパ1の組み立てが完了する。
【0044】
次にロータリーダンパ1の動作について説明する。
【0045】
ロータリーダンパ1は、家電製品や業務用機器等の部品として用いられる。ロータリーダンパ1が用いられる際、第1固定部14及び第2固定部24が、機器等の互いに回動する部材にそれぞれ固定される。そして、第1固定部14と第2固定部24とに、互いに回動する応力が加えられる。
【0046】
第1固定部14と第2固定部24とが互いに回転するような力が加えられると、互いに回転不能に係止されたハウジング10及びシャフト30と、第2抵抗板40が係止されたローターとが、互いに回転する。このとき、抵抗液によるせん断抵抗が生じる。せん断抵抗は、互いに動く部材の間で生じるが、ロータリーダンパ1では、主に次の3カ所でのせん断抵抗が生じる。
【0047】
第1のせん断抵抗は、ローター20の外周面とハウジングの内周面との間において生じる。上記のようにローター20の側壁部21の外周面とハウジング10の側壁部11の内周面との間に僅かな隙間が生じており、この隙間は抵抗液で満たされている。従って、ローター20とハウジング10とが相対的に回転すると、相対的に移動する側壁部21の外周面と側壁部11の内周面との間で、抵抗液によるせん断抵抗が生じる。
【0048】
第2のせん断抵抗は、第1抵抗板32の外周面(シャフト30の外周面)とローター20との間において生じる。上記のように第1抵抗板32の外周面とローター20の側壁部21の内周面との間に僅かな隙間が生じており、この隙間は抵抗液で満たされている。従って、シャフト30とローター20とが相対的に回転すると、第1抵抗板32の外周面と側壁部21の内周面との間で、抵抗液によるせん断抵抗が生じる。
【0049】
第3のせん断抵抗は、第1抵抗板32と第2抵抗板40との間において生じる。上記のように、第2抵抗板40がローター20に係止された状態で、第2抵抗板40とシャフト30の第1抵抗板32との間には僅かな隙間が生じており、この隙間は抵抗液で満たされている。また、第2抵抗板40はローター20に係止されるため、第2抵抗板40はローター20と共に回転する。従って、シャフト30とローター20とが相対的に回転すると、第1抵抗板32と第2抵抗板40との間で、抵抗液によるせん断抵抗が生じる。
【0050】
また、第2抵抗板45とシャフト30の軸芯31との間にも僅かな隙間が形成されているため、せん断抵抗が生じる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のロータリーダンパ1によれば、少なくとも3つのせん断抵抗が生じる。従って、本発明のロータリーダンパによれば、回転抵抗を大きくすることができる。
【0052】
また、上記のようにスリット25から挿入される第2抵抗板40の数を調整することで、上記の第3のせん断抵抗の大きさを調整することができ、結果としてロータリーダンパ1の回転抵抗を調整することができる。
【0053】
以上、本発明のロータリーダンパについて上記実施形態を例に説明したが、本発明は上記実施形態のロータリーダンパ1に限定されず、適宜変形することができる。
【0054】
例えば、第2抵抗板40は、ローター20に形成されたスリット25から挿入されて、ローター20に固定された。しかし、本発明はこのような構成に限らない。例えば、第2抵抗板がシャフトの第1抵抗板同士の間に配置された状態で、ローターに挿入されても良い。この場合、シャフト及び第2抵抗板がローターに挿入された状態において、第2抵抗板に設けられた凸部が、ローターの内壁に設けられた凹部に嵌合して、第2抵抗板がローターに係止されるよう構成すれば良い。
【0055】
また、上記実施形態では、嵌合凸部36が嵌合凹部16に嵌め込まれることで、シャフト30がハウジング10に係止されたが、シャフト30とハウジング10との係止は他の方法により行われても良い。
【0056】
また、第1抵抗板32に形成される第1欠損部35や、第2抵抗板40に形成される第2欠損部45は必須では無い。また、第1欠損部35は、切り欠きではなく孔により形成されてもよく、第2欠損部45も孔により形成されても良い。ただし、第1欠損部35も第2欠損部45も切り欠きにより形成されることが、それぞれの欠損部を容易に形成できるため好ましい。特に第2欠損部45は、ローター20の外側から内側にかけて形成されることが、エア抜きの観点から好ましいため、切り欠きにより形成されることが好ましい。
【0057】
また、第1固定部14や第2固定部24の形状は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、回転抵抗を大きくすることができるロータリーダンパが提供され、本体に対して回動する蓋体を有する機器や、回転する部材を有する機器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ロータリーダンパ
10・・・ハウジング
11・・・側壁部
12・・・奥壁部
14・・・第1固定部
16・・・嵌合凹部
17・・・軸受用凹部
20・・・ローター
21・・・側壁部
22・・・前壁部
24・・・第2固定部
25・・・スリット
26・・・エア抜き用スリット
30・・・シャフト
31・・・軸芯
32・・・第1抵抗板
35・・・第1欠損部
36・・・嵌合凸部
40・・・第2抵抗板
41・・・内側部
42・・・外側部
45・・・第2欠損部
46・・・軸受部
51・・・キャップ
52・・・Oリング
図1
図2
図3
図4