特許第6226725号(P6226725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226725
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B65D47/08
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-251573(P2013-251573)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-107815(P2015-107815A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−224375(JP,A)
【文献】 特開2007−008553(JP,A)
【文献】 特開2003−312702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取付けられるキャップ本体と、ヒンジ部を介してキャップ本体に設けられた蓋体とを有し、
蓋体を閉じた状態で、蓋体の係合部がキャップ本体の係合部に係合するキャップであって、
ヒンジ部はキャップ本体の径方向における一端縁部に設けられ、
キャップ本体の係合部は、ヒンジ部を除いたヒンジ部とは反対側の他端縁部に形成され、
キャップ本体に、突出した注出筒が設けられ、
注出筒は先端部に注出口を有し、
蓋体の内側に、注出口を開閉する中栓を保持する保持筒が設けられ、
中栓は、保持筒内に保持されており、蓋体を閉じた状態で注出筒内に嵌まり込む封止部を有し、
封止部の外周が注出筒の内周に当接することにより、注出口が中栓で閉じられ、
注出筒と保持筒との少なくともいずれかに、位置矯正部材がヒンジ部に近い側に位置して設けられ、
蓋体が閉じられた際、位置矯正部材は、保持筒の内周又は注出筒の外周に当接して、保持筒をヒンジ部の側へ向けて押し返すことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
位置矯正部材は注出筒の外周部に設けられ、
蓋体が閉じられた際、位置矯正部材は、保持筒の内周に当接して、保持筒をヒンジ部の側へ押し返すことを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
注出筒は、キャップ本体の中心に対して、ヒンジ部から遠ざかる位置に偏心していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のキャップ。
【請求項4】
キャップ本体の係合部は、キャップ本体の周縁部に沿って、平面視において半円弧状に形成されており、
径方向において、キャップ本体の係合部とヒンジ部との間に注出筒が位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図5図6に示すように、容器101の口部102に取付けられるキャップ本体103と、ヒンジ部104を介してキャップ本体103に設けられた蓋体105とを有している。キャップ本体103と蓋体105とにはそれぞれ、キャップ本体側突部106と蓋体側突部107とが設けられている。蓋体105を閉じた状態では、蓋体側突部107がキャップ本体側突部106に係合することにより、蓋体105が閉位置に固定される。
【0003】
ヒンジ部104はキャップ本体103の径方向における一端縁部Aに設けられている。また、キャップ本体側突部106と蓋体側突部107とは、ヒンジ部104を除いたヒンジ部104とは反対側の他端縁部Bに形成されている。
【0004】
キャップ本体103には、外側へ突出した円筒状の注出筒108が設けられている。また、蓋体105の内面には、蓋体105を閉じた状態で、注出筒108の上方先端部の内面と密接する封止リング109が設けられている。また、蓋体105の内面には位置決め用突部110が設けられ、キャップ本体103には位置決め用の縦溝111が形成されている。
【0005】
これによると、蓋体105を閉じることにより、蓋体側突部107がキャップ本体側突部106に係合し、蓋体105が閉位置に固定される。この際、封止リング109が注出筒108の上方先端部の内面に密接するため、注出筒108の先端の注出口108aと蓋体105との間が封止リング109によってシールされる。
【0006】
また、蓋体105は、ヒンジ部104の回動軸心112の周りに回動することによって、開閉される。蓋体105を閉じた状態では、位置決め用突部110が位置決め用の縦溝111に嵌まり込むことにより、蓋体105は、回動軸心112の方向において、キャップ本体103に対し位置決めされる。これにより、ヒンジ部104が捩れたり或いは切断されるのを防止することができる。
【0007】
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−72053
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、図5に示すように、蓋体105を閉じた際、蓋体側突部107がキャップ本体側突部106に係合することにより、蓋体105の位置がヒンジ部104とは反対側の方向C(すなわちヒンジ部104から遠ざかる方向)へ偏り、ヒンジ部104に近い側Eにおいて、封止リング109の外周面が十分な押圧力で注出筒108の先端部内周面に当接しなかったり或いは封止リング109の外周面と注出筒108の先端部内周面との間に隙間が発生し、容器101内の液体が封止リング109の外周面と注出筒108の先端部内周面との間から外部へ漏出する虞がある。
【0010】
本発明は、蓋体を閉じた状態で、容器内の内容物が外部に漏出するのを防止することが可能なキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器の口部に取付けられるキャップ本体と、ヒンジ部を介してキャップ本体に設けられた蓋体とを有し、
蓋体を閉じた状態で、蓋体の係合部がキャップ本体の係合部に係合するキャップであって、
ヒンジ部はキャップ本体の径方向における一端縁部に設けられ、
キャップ本体の係合部は、ヒンジ部を除いたヒンジ部とは反対側の他端縁部に形成され、
キャップ本体に、突出した注出筒が設けられ、
注出筒は先端部に注出口を有し、
蓋体の内側に、注出口を開閉する中栓を保持する保持筒が設けられ、
中栓は、保持筒内に保持されており、蓋体を閉じた状態で注出筒内に嵌まり込む封止部を有し、
封止部の外周が注出筒の内周に当接することにより、注出口が中栓で閉じられ、
注出筒と保持筒との少なくともいずれかに、位置矯正部材がヒンジ部に近い側に位置して設けられ、
蓋体が閉じられた際、位置矯正部材は、保持筒の内周又は注出筒の外周に当接して、保持筒をヒンジ部の側へ向けて押し返すものである。
【0012】
これによると、蓋体を閉じた場合、蓋体の係合部がキャップ本体の係合部に係合することにより、蓋体がキャップ本体に固定されるとともに、中栓の封止部が注出筒内に嵌まり込んで、中栓の封止部の外周が注出筒の内周に当接し、注出口が中栓で閉じられる。
【0013】
このように蓋体を閉じた際、位置矯正部材が保持筒をヒンジ部の側へ向けて押し返すため、蓋体の位置がヒンジ部とは反対側の方向(すなわちヒンジ部から遠ざかる方向)へ偏ってしまうのを防止することができる。これにより、ヒンジ部に近い側において、中栓の封止部の外周が十分な押圧力で注出筒の内周に当接するため、中栓の封止部の外周と注出筒の内周との間に隙間が発生することはなく、容器内の内容物が中栓の封止部の外周と注出筒の内周との間から外部に漏出するのを防止することができる。
【0014】
本第2発明におけるキャップは、位置矯正部材は注出筒の外周部に設けられ、
蓋体が閉じられた際、位置矯正部材は、保持筒の内周に当接して、保持筒をヒンジ部の側へ押し返すものである。
【0015】
これによると、蓋体を閉じた際、位置矯正部材が保持筒の内側に当接して保持筒をヒンジ部の側へ押し返すため、蓋体の位置がヒンジ部とは反対側の方向(すなわちヒンジ部から遠ざかる方向)へ偏ってしまうのを防止することができる。
【0016】
本第3発明におけるキャップは、注出筒は、キャップ本体の中心に対して、ヒンジ部から遠ざかる位置に偏心しているものである。
本第4発明におけるキャップは、キャップ本体の係合部は、キャップ本体の周縁部に沿って、平面視において半円弧状に形成されており、
径方向において、キャップ本体の係合部とヒンジ部との間に注出筒が位置するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によると、蓋体を閉じた状態で、容器内の内容物が中栓の封止部の外周と注出筒の内周との間から外部に漏出するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップの縦断面図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
図2】同、キャップの縦断面図であり、蓋体を開いた状態を示す。
図3図2におけるX−X矢視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの縦断面図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
図5】従来のキャップの縦断面図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
図6】同、キャップの平面図であり、蓋体を開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図3に示すように、1は容器2に取付けられたキャップであり、キャップ1は、容器2の口部3に取付けられるキャップ本体4と、ヒンジ部5を介してキャップ本体4に設けられた蓋体6とを有している。キャップ本体4は、円筒状の胴部8と、胴部8の先端上部に設けられた天板部9と、天板部9の径方向における一端縁部に立設された縦壁部10とを有している。胴部8には、下方が開放された挿入部12が全周にわたり形成され、容器2の口部3が挿入部12に挿入して装着されている。
【0020】
ヒンジ部5は、縦壁部10の先端部に設けられて、キャップ本体4の径方向における一端縁部Aに位置している。天板部9の周縁部には、径方向外側へ突出する第1係合突部13(キャップ本体の係合部の一例)が、平面視において180°の範囲で半円弧状に形成されている(図3参照)。第1係合突部13は、ヒンジ部5を除いたヒンジ部5とは反対側の他端縁部Bに形成されている。
【0021】
キャップ本体4の天板部9には、突出した円筒状の注出筒14が設けられている。注出筒14は、先端部に、容器2の内外に連通する円形の注出口15を有している。尚、図1に示すように、注出筒14は、キャップ本体4の中心軸16に対して、ヒンジ部5から遠ざかる位置に偏心しているとともに、径方向において、第1係合突部13とヒンジ部5との間に位置している。
【0022】
蓋体6は、円形の蓋板部20と、蓋板部20の周縁に設けられた周壁部21とを有している。周壁部21の先端内周部には、径方向内側へ突出する第2係合突部23(蓋体の係合部の一例)が、平面視において180°の範囲で半円弧状に形成されている(図3参照)。第2係合突部23は、ヒンジ部5を除いたヒンジ部5とは反対側の他端縁部Bに形成されている。
【0023】
図1に示すように、蓋体6が閉じられた状態では、第2係合突部23が、第1係合突部13よりも閉方向Sの側に位置し、開方向Oから第1係合突部13に係止される。
蓋体6の蓋板部20の内面には、注出口15を開閉する中栓25を保持する円筒状の保持筒26が設けられている。保持筒26は、その先端開口部の内周に、径方向内向きに突出した脱落防止用突部27を全周にわたり有している。
【0024】
中栓25は、保持筒26内に遊嵌された状態で保持されており、円盤状の栓本体部29と、蓋体6を閉じた状態で注出筒14内に嵌まり込む円筒状の封止部30とを有している。封止部30は、栓本体部29よりも小径であり、栓本体部29に設けられている。尚、栓本体部29の周縁部が脱落防止用突部27に係合することにより、中栓25は保持筒26内から脱落せずに保持される。また、図1に示すように、蓋体6を閉じた状態では、封止部30の外周面が注出筒14の内周に当接することにより、注出口15が中栓25で閉じられる。
【0025】
注出筒14の外周面には位置矯正部材32が設けられている。位置矯正部材32は、平板状の部材であり、ヒンジ部5に最も近い側に位置して、径方向においてヒンジ部5に対向している。図1に示すように、蓋体6が閉じられた際、位置矯正部材32は、保持筒26の脱落防止用突部27(保持筒の内側の一例)に当接して、保持筒26をヒンジ部5の側Dへ向けて押し返すように構成されている。
【0026】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、蓋体6を閉じた場合、第2係合突部23が第1係合突部13に係合することにより、蓋体6がキャップ本体4に固定されるとともに、中栓25の封止部30が注出筒14内に嵌まり込んで、封止部30の外周面が注出筒14の内周面に当接し、注出口15が中栓25で閉じられる。
【0027】
このように蓋体6を閉じた際、第2係合突部23が第1係合突部13に係合するため、蓋体6の位置がヒンジ部5とは反対側の方向C(すなわちヒンジ部5から遠ざかる方向)へ偏ろうとするが、これに対して、位置矯正部材32が、保持筒26の脱落防止用突部27に当接して、保持筒26をヒンジ部5の側Dへ向けて押し返すため、蓋体6の位置がヒンジ部5とは反対側の方向Cへ偏ってしまうのを防止することができる。
【0028】
これにより、ヒンジ部5に近い側Eにおいて、封止部30の外周面が十分な押圧力で注出筒14の内周面に当接するため、封止部30の外周面と注出筒14の内周面との間に隙間が発生することはなく、容器2内の液体(内容物の一例)が封止部30の外周面と注出筒14の内周面との間から外部に漏出するのを防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
先述の第1の実施の形態では、図2に示すように、位置矯正部材32を注出筒14の外周面に設けたが、第2の実施の形態では、図4に示すように、位置矯正部材32を保持筒26の開口端部(下端部)に設けている。位置矯正部材32は、保持筒26の開口端部から突出し、先端部に傾斜面32aを有しており、ヒンジ部5に最も近い側に位置している。蓋体6が閉じられた際、位置矯正部材32は、傾斜面32aが注出筒14の外周面に当接することにより、保持筒26をヒンジ部5の側Dへ向けて押し返すように構成されている。
【0030】
これによると、先述の第1の実施の形態と同様に、蓋体6を閉じた際、第2係合突部23が第1係合突部13に係合するため、蓋体6の位置がヒンジ部5とは反対側の方向Cへ偏ろうとするが、これに対して、位置矯正部材32が、注出筒14の外周面に当接して、保持筒26をヒンジ部5の側Dへ向けて押し返すため、蓋体6の位置がヒンジ部5とは反対側の方向Cへ偏ってしまうのを防止することができる。
【0031】
(第3の実施の形態)
先述の第1の実施の形態では、図1に示すように、位置矯正部材32を注出筒14の外周面に設け、第2の実施の形態では、図4に示すように、位置矯正部材32を保持筒26の開口端部に設けたが、第3の実施の形態として、位置矯正部材32を注出筒14の外周面と保持筒26の開口端部との両方に設けても良い。
【0032】
上記第1および第2の実施の形態では、それぞれ、位置矯正部材32を一個(単数個)設けたが、複数個設けてもよい。また、第3の実施の形態では、位置矯正部材32を注出筒14の外周面の一箇所と保持筒26の開口端部の一箇所とに設けたが、複数箇所に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 キャップ本体
5 ヒンジ部
6 蓋体
13 第1係合突部(キャップ本体の係合部)
14 注出筒
15 注出口
16 中心軸
23 第2係合突部(蓋体の係合部)
25 中栓
26 保持筒
30 封止部
32 位置矯正部材
A 一端縁部
B 他端縁部
D ヒンジ部の側
図1
図2
図3
図4
図5
図6