(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外容器内には、前記匙体のうち内容物を受ける受部が前記連通孔と対向する位置で、前記匙体の前記外容器の内側に向けた前進を規制する規制手段が配設されていることを特徴とする請求項1記載の注出容器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態の注出容器1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着された注出部材3と、当該容器本体2及び注出部材3を内部に保持する外容器6と、を備えている。また、前記外容器6は、容器本体2を口部2aが下方を向く倒立姿勢に保持する筒状の基体4と、基体4に連結されるとともに、口部2aを下方から覆う被覆体5と、を備えており、本実施形態における被覆体5は有底筒状に形成されている。
【0014】
なお、容器本体2、基体4、及び被覆体5は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う容器本体2側を上側、被覆体5側を下側という。さらに、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。また、本実施形態において、容器本体2内に収容される内容物としては、例えばクリーム状等、比較的粘性の高い内容物を挙げることができるが、これに限定されない。
【0015】
基体4は、容器本体2を収容する筒状の収容部11と、収容部11を上方から閉塞する有頂筒状の蓋体12と、収容部11の下端部に取り付けられ、収容部11を介して容器本体2を保持する有底筒状の保持部13と、を備えている。
【0016】
収容部11は、下方に位置するものほど径が小さい多段筒状に形成され、容器本体2を容器軸O方向の全体に亘って収容している。具体的に、収容部11は、容器本体2の外形形状に倣って形成されており、その内側に容器本体2の口部2aがアンダーカット嵌合等により装着されている。また、収容部11の下端部には、口部2a内に嵌合されるシール筒15が連設されている。シール筒15は、容器軸O方向に沿って延びるとともに、その上端部が口部2a内に配置されている。
【0017】
保持部13は、収容部11に装着された装着筒21と、装着筒21を囲繞する囲繞筒22と、装着筒21と囲繞筒22との間を連結する環状の連結部23と、を備えている。
装着筒21は、その内側に収容部11の下部がアンダーカット嵌合等により装着されるとともに、上述したシール筒15を下方に向けて突出させた状態で、収容部11を保持している。
囲繞筒22は、その下端縁が装着筒21よりも下方に位置している。
連結部23は、囲繞筒22における容器軸O方向に沿う中央部と、装着筒21の下端部と、の間を連結している。また、径方向において、連結部23の内側端部は、装着筒21よりも内側に突出しており、この突出した部分に収容部11が上方から近接または当接している。
【0018】
注出部材3は、いわゆるスリット弁であって、弾性変形可能に構成されるとともに、上述したシール筒15に取り付けられている。具体的に、注出部材3は、シール筒15内に取り付けられた胴部31と、胴部31を下方から閉塞する円板状の閉塞部32と、を備えている。
【0019】
胴部31は、その上端部がシール筒15の内側でシール筒15に固定される一方、下端部がシール筒15から下方に向けて突出している。したがって、注出部材3は、シール筒15を通して容器本体2内に連通している。
閉塞部32は、上方に向けて突の湾曲面形状に形成されている。また、閉塞部32の中央部には、注出部材3が弾性変形したときに拡開され、容器本体2内と外部とを連通させるスリット状の注出口33が形成されている。なお、
図3に示すように、注出口33は、例えばX字状を呈している。
【0020】
図1〜
図4に示すように、被覆体5は、その周壁部41が上述した囲繞筒22の下部に外嵌されている。被覆体5の周壁部41、及び囲繞筒22のうち、周方向の一部には、匙体42が差し込まれる差込孔43が形成されている。この差込孔43は、径方向から見た側面視で矩形状とされ、周壁部41及び囲繞筒22を径方向に貫通して、被覆体5の内外を連通させている。なお、以下の説明では、径方向のうち、差込孔43の開口方向を前後方向L1といい、前後方向L1に沿う差込孔43に対して被覆体5の内側を前側、差込孔43に対して被覆体5の外側を後側という。また、前後方向L1及び容器軸O方向に直交する方向を左右方向L2という。
【0021】
ここで、
図2、
図4に示すように、匙体42は、容器軸O方向を厚さ方向とし、かつ前後方向L1に沿って延びる姿勢とされた状態で、差込孔43を通して被覆体5内に進退可能とされている。
【0022】
以下、このような差込姿勢とされた匙体42について説明する。匙体42は、後側に位置する把持部44と、把持部44の前端部に連設されて把持部44よりも拡径された拡径部45と、を有している。
拡径部45の上面における中央部は、注出口33から注出される内容物を受ける受部46を構成している。また、拡径部45における左右方向L2の両端縁には、左右方向L2の外側に向けて突設された一対の脚部47が前後方向L1に沿って延在している。また、拡径部45の前端部には、前方に向けて突出する突出部48が形成されている。なお、把持部44の後端部は、後方に向かうに従い漸次上方に向けて延在している。
【0023】
図1、
図2、
図4に示すように、被覆体5の底壁部51には、上述した匙体42の脚部47を下方から各別に摺動可能に支持する一対の下側レール部52が立設されている。これら下側レール部52は、左右方向L2に間隔をあけて配設されるとともに、前後方向L1に沿って延在している。また、下側レール部52の後端部は、被覆体5の周壁部41に近接する位置まで延在し、前端部は容器軸Oよりも前側まで延在している。なお、図示の例において、下側レール部52の上端縁は、上述した差込孔43よりも下方に位置している。
【0024】
また、被覆体5の底壁部51のうち、各下側レール部52に対して左右方向L2の外側に位置する部分には、一対の案内壁54が上方に向けて立設されている。これら案内壁54は、容器軸O方向における高さが下側レール部52よりも高くなっており、匙体42の脚部47に対して左右方向L2の両側に位置して、匙体42の前後方向L1への移動を案内する。
【0025】
各案内壁54には、差込孔43から被覆体5内に差し込まれる匙体42を、被覆体5内で前進させる過程で、下方に案内し、かつ下方位置に維持する案内部材55が各別に取り付けられている。案内部材55は、容器軸O方向から見て下方に向けて開放されたU字状を呈し、各案内壁54の後端部を上方から覆うように各案内壁54に取り付けられている。なお、下方位置とは、匙体42の脚部47が被覆体5の底壁部51(下側レール部52)により支持される位置とする。
【0026】
各案内部材55のうち、左右方向L2の内側に位置する内側壁部は、匙体42の拡径部45に対して左右方向L2の両側に位置して、匙体42の前後方向L1への移動を案内する上側レール部57を構成している。また、各上側レール部57は、その下端縁により匙体42の脚部47を上方から各別に摺動可能に支持している。具体的に、上側レール部57は、後端部に位置して、前方に向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜部58と、傾斜部58の前端部から前方に向けて下側レール部52と平行に延在する延在部59と、を有している。
【0027】
傾斜部58には、匙体42の受部46の少なくとも一部が被覆体5の外側に位置した状態で、脚部47の前端部が当接するようになっており、匙体42の前進に伴って匙体42を下方位置に向けて案内する。
延在部59は、匙体42の脚部47に上方から近接または当接するようになっており、傾斜部58により下方位置まで案内された匙体42を下方位置に保持する。すなわち、匙体42は、脚部47が下側レール部52と上側レール部57との間に沿って案内されながら、被覆体5内を移動するようになっている。
【0028】
図2に示すように、被覆体5の底壁部51のうち、下側レール部52の前方に位置する部分には、規制手段61が上方に向けて立設されている。この規制手段61は、匙体42の前端部が当接可能となっており、匙体42の受部46が後述する連通孔75aと容器軸O方向で対向する位置(以下、単に受取位置という)よりも前方への匙体42の移動を規制する。
【0029】
ここで、被覆体5内には、容器本体2に対して容器軸O方向に沿って進退可能とされ、注出口33からの内容物の注出及びその停止を切り替える切替部材71と、被覆体5内での匙体42の前後方向L1への移動に連動して切替部材71を操作する操作部材72と、が一体に配設されている。
【0030】
切替部材71は、前後方向L1に沿って延びる一対のアーム部73と、アーム部73の後端部から左右方向L2の外側に突設された軸部74と、アーム部73の前端部同士を架け渡すとともに、注出部材3を押圧する押圧体75と、を備えている。切替部材71は、上述した保持部13の連結部23から下方に向けて延設された一対の支持片76に各軸部74がそれぞれ支持され、軸部74の軸線周りに回動可能とされている。
押圧体75は、注出口33に連通する連通孔75aを有する環状とされ、上述した注出部材3の閉塞部32を囲繞している。
【0031】
操作部材72は、各アーム部73に各別に連設され、前方に向かうに従い漸次下方に向けて延在している。各操作部材72は、上端部が容器軸Oよりも後方で各アーム部73にそれぞれ連結され、下端部が容器軸Oよりも前方(図示の例では、下側レール部52よりも前方)で被覆体5の底壁部51に近接または当接している。また、各操作部材72の下部は、上述した各案内壁54間に位置しており、上述した匙体42が被覆体5内を前進する過程で、匙体42が後方から当接するようになっている。
【0032】
次に、上述した注出容器1の作用について説明する。
まず、
図5に示すように、匙体42の把持部44を指等により把持し、差込孔43を通して匙体42を被覆体5内に差し込む。すると、匙体42のうち、受部46が被覆体5内に進入する際に、脚部47の前端縁が上側レール部57の傾斜部58に突き当たる。この状態で、匙体42をさらに前方に向けて押し込むと、脚部47の前端縁が傾斜部58上を摺動することで、匙体42が下方に向けて案内されながら前進する。そして、脚部47が傾斜部58を乗り越えることで、匙体42の拡径部45が下方位置に到達する(
図5中の鎖線参照)。その後、匙体42は、下側レール部52と上側レール部57の延在部59との間を通って被覆体5内を前進する。
【0033】
図6に示すように、匙体42は、下側レール部52と上側レール部57の延在部59との間を通って被覆体5内を前進する過程で、前端縁が各操作部材72に後方から突き当たるとともに、突出部48が操作部材72間に進入する。その後、匙体42をさらに前方に向けて押し込むと、匙体42が操作部材72に摺接しながら前進することで、操作部材72が上方に向けて押し上げられる。そして、匙体42は、前端縁(突出部48)が規制手段61に突き当たることで、前方への移動が規制される。これにより、匙体42が受取位置で位置決めされる。
【0034】
ここで、匙体42の前進に伴い、操作部材72が押し上げられると、操作部材72に連設された切替部材71が軸部74周りに回動することで、押圧体75が上昇する。すると、押圧体75は、注出部材3を上方に向けて押し込むことで、注出部材3が弾性変形する。これにより、注出口33が拡開され、容器本体2内の内容物が押し込み量に応じた分だけ注出口33を通って注出される。その後、注出口33から注出された内容物は、連通孔75aを通って下方に向けて滴下し、匙体42の受部46上で受け取られる。これにより、匙体42に内容物を供給することができる。なお、匙体42が受取位置にある状態では、操作部材72の下方移動が匙体42により規制されているため、切替部材71の下方に向けた回動動作が規制されている。また、押圧体75の押し込み量に応じた分の内容物が注出されると、注出口33が閉塞して、内容物の注出が停止される。
【0035】
一方、内容物が供給された匙体42(拡径部45)を被覆体5内から取り出す際には、匙体42を後方に向けて引っ張る。すると、匙体42は、上述した前進時と逆の動作を経て被覆体5から引き抜かれる。具体的には、受取位置にある匙体42を後方に引っ張ると、匙体42(拡径部45)は下側レール部52と上側レール部57の延在部59との間を通って被覆体5内を後退する。
図5に示すように、匙体42は、上側レール部57の延在部59を通過することで、上側レール部57による下方位置への規制が解除される。そして、匙体42を後斜め上方に向けて引っ張ることで、匙体42が上側レール部57の傾斜部58に沿って後退する。その後、匙体42の拡径部45が差込孔43を通して被覆体5から引き抜かれることで、受部46上に供給された内容物を取り出すことができる。
【0036】
また、匙体42が下側レール部52と上側レール部57の延在部59との間を通って被覆体5内を後退する過程で、受取位置から退避することで、操作部材72の下方移動が許容される。すると、注出部材3が復元変形することにより、切替部材71(押圧体75)が下方に向けて押し下げられる。これにより、切替部材71及び操作部材72が下方に向けて回動して、初期位置(
図1、
図2の位置)に戻るようになっている。
【0037】
このように、本実施形態によれば、匙体42が被覆体5内を前進する過程で、匙体42が操作部材72を押し込むことで、匙体42の前進に連動して操作部材72により切替部材71(押圧体75)が上昇する。これにより、切替部材71の上昇分に応じて内容物が注出口33から注出されることになる。すなわち、匙体42の前進に連動して内容物を注出させることができるので、一定量の内容物を容易に注出することが可能になるとともに、注出口33から注出される内容物を匙体42で受け止めやすくなる。
しかも、注出口33が被覆体5により覆われているので、注出口33周辺で内容物が固化しにくい。また、注出容器1に対して不意に外力が加えられたとしても、内容物が予期せず注出されるのを抑制できる。
その結果、優れた操作性を具備させることができるとともに、内容物を手で受ける必要がない。
【0038】
しかも、本実施形態では、匙体42の受部46が連通孔75aと容器軸O方向で対向する受取位置で、匙体42の前進を規制する規制手段61を備えているため、匙体42を規制手段61に当接する位置まで前進させることで、匙体42を常に一定の位置に位置決めすることができる。これにより、一定量の内容物をより確実に注出することが可能になるとともに、注出口33から注出される内容物を匙体42の受部46で確実に受け止めることができる。
【0039】
また、匙体42を被覆体5内で前進させる過程で、下方に案内し、かつ下方位置に維持する案内部材55を備えているため、被覆体5内において匙体42の容器軸O方向へのがたつきを抑制できる。そのため、注出口33から受部46上に供給された内容物が、被覆体5の内面等に付着したり、被覆体5内で零れ落ちたりするのを抑制できる。
しかも、本実施形態では、匙体42の受部46が被覆体5の外側に位置した状態で匙体42が案内部材55に当接するため、差込孔43を通して匙体42を被覆体5から引き抜く過程において、差込孔43の上端開口縁に受部46を接触させずに匙体42を引き抜くことができる。これにより、受部46上に供給された内容物が差込孔43の上端開口縁等に付着したり、匙体42が差込孔43の上端開口縁に接触することで内容物が零れ落ちたりするのも抑制できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、外容器6のうち、被覆体5を有底筒状に形成した場合について説明したが、これに限らず、板状の蓋体としても構わない。この場合、外容器6のうち、基体4(保持部13)のみに差込孔43が形成されることになる。すなわち、外容器6の周壁部(基体4(保持部13)及び被覆体5の少なくとも一方)に差込孔43が形成されていれば構わない。
【0042】
また、上述した実施形態では、注出部材3としてスリット弁を採用する構成について説明したが、これに限らず、例えば
図7、
図8に示す注出容器100のように、ポンプタイプの注出部材101を採用しても構わない。ポンプタイプの注出部材101は、容器本体2の口部2aに装着される装着キャップ102と、下方付勢状態で上方移動可能に配設されたステム103を有する注出器本体104と、を備えている。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、保持部13や被覆体5とは別体で案内部材55を配設する構成について説明したが、これに限らず、
図7、
図8に示すように、保持部110と一体で案内部材111を配設しても構わない。具体的に、保持部110は、有底筒状とされ、収容部11に下方から装着されている。保持部110の底壁部113には、下方に向けて案内部材111が延設されている。案内部材111は、左右方向L2に間隔をあけて一対設けられており、傾斜部58、及び延在部59を有している。なお、被覆体5に案内部材を一体で配設しても構わない。
【0044】
また、上述した実施形態では、匙体42における把持部44の後端部を上方に向けて傾斜させる構成について説明したが、これに限られない。例えば、
図7、
図8に示す匙体120のように、把持部44の後端部を前端部に比べて肉厚に形成しても構わない。
さらに、拡径部45の受部46を下方に向けて窪む凹状に形成しても構わない。なお、受部46に刷毛等の塗布部を配設しても構わない。
【0045】
また、上述した実施形態では、切替部材71及び操作部材72を一体で形成した場合について説明したが、これに限られない。具体的に、
図7、
図8に示す注出容器100において、切替部材130は、有底筒状を呈し、ステム103を下方から覆うようにステム103に装着されている。切替部材130の底部131には、底部131を容器軸O方向に貫通して、ステム103の注出口103a内に連通する連通孔132が形成されている。また、切替部材130の底部131には、下方に向けて突出する突出片133が左右方向L2に間隔をあけて一対設けられている。これら突出片133は、左右方向L2から見た側面視で三角形状とされ、容器軸O方向に沿う長さが前方に向かうに従い長くなっている。突出片133は、保持部110の底壁部113に形成された貫通孔114を通して被覆体5内に臨んでいる。
【0046】
一方、操作部材140は、被覆体5内を前後方向L1に沿ってスライド移動可能に構成されている。具体的に、操作部材140は、被覆体5内に差し込まれた匙体120の前端部を受け入れる収容部141と、収容部141から前方に向けて延びるガイドバー142と、ガイドバー142の前端部に連設され、左右方向の両側に向けて延びるストッパ143と、を有している。
【0047】
収容部141は、匙体120の前端縁の形状に倣って前方に向けて突の湾曲形状を呈している。収容部141の前面には、後方に向けて延びるひさし部145が形成されている。ひさし部145は、収容部141の内側に匙体120の前端部が収容された際に、匙体120の前端部を上方から覆っている。
また、収容部141における左右方向L2の両端部には、上方に向けて突出する操作片146が一対配設されている。各操作片146は、左右方向L2から見た側面視で三角形状とされ、容器軸O方向に沿う長さが後方に向かう従い長くなっている。各操作片146は、上述した切替部材130の突出片133と容器軸O方向で対向しており、その上端縁が突出片133の下端縁を摺動可能に係合している。また、操作部材140は、操作片146と切替部材130の突出片133とが係合することで、上方への移動が規制されている。
【0048】
ガイドバー142は、その前端部が被覆体5の底壁部51に形成された一対の隔壁部151間を通して前方に向けて突出している。なお、隔壁部151は、ガイドバー142に対して左右方向L2の両側に間隔をあけて配設されている。
ストッパ143は、上述した隔壁部151に前方から近接または当接しており、操作部材140の後方への抜け止めとして機能している。
【0049】
ここで、被覆体5の底壁部51と、操作部材140との間には、操作部材140の前後方向L1へのスライド移動を案内する案内機構160が配設されている。案内機構160は、ストッパ143から下方に向けて突出する案内ピン161と、被覆体5の底壁部51に形成されて案内ピン161を収容する案内溝162と、操作部材140を後方に向けて付勢する付勢部材163と、を有している。
【0050】
図8、
図9に示すように、案内溝162は、平面視で、前後方向L1に沿って延びる仮想線に対して対称のハート形状を呈している。具体的に、案内溝162は、後端合流部162aから前方に向かうに従い左右方向L2の外側に向けて二股に分岐して延在するとともに、前端部に位置する折り返し部162bを介して後方に向けて折り返されることで、前端合流部162cにおいて合流している。
【0051】
また、案内溝162のうち、仮想線に対して左右方向L2の一方側に位置する部分は、後端合流部162aから前端合流部162cに向かうに従い溝深さが漸次浅くなり、左右方向L2の他方側に位置する部分は、後端合流部162aから前端合流部162cに向かうに従い溝深さが漸次深くなっている。そして、案内溝162の後端合流部162a及び前端合流部162cにおいて、仮想線に対して左右方向L2の一方側に位置する部分と、左右方向L2の他方側に位置する部分と、の接続部分には、容器軸O方向に沿って段部165が各別に形成されている。
【0052】
付勢部材163は、後方に向けて突のアーチ状とされ、その後端部が操作部材140のストッパ143に前方から近接または当接している。なお、付勢部材163の両端部は、被覆体5の底壁部51のうち、案内溝162に対して左右方向L2の両側に形成された支持壁164に各別に支持されている。
【0053】
図7、
図8に示すように、このように構成された注出容器100において、内容物を取り出すには、匙体120の把持部44を指等により把持し、差込孔43を通して匙体42を被覆体5内に差し込む。すると、匙体120のうち、受部46が被覆体5内に進入する際に、脚部47の前端縁が案内部材111に後方から突き当たる。これにより、匙体120が下方に向けて案内されながら前進することで、下方位置に到達する。その後、匙体120は、被覆体5の底壁部51と案内部材111との間を通って被覆体5内を前進し、操作部材140の収容部141に後方から突き当たる。これにより、匙体120が、操作部材140の収容部141内に収容(係合)される。
【0054】
図10、
図11に示すように、匙体120を前方に向けてさらに押し込むと、操作部材140が付勢部材163を弾性変形させながら前方に向けて移動する。このとき、操作部材140は、操作片146の上端縁が、切替部材130の突出片133の下端縁に摺動しながら前進することで、切替部材130が上方に向けて押し上げられる。切替部材130が押し上げられることで、注出部材101のステム103が切替部材130により押し上げられ、その押し上げ分に応じた量の内容物が注出口103aを通して注出される。
【0055】
注出口103aから注出された内容物は、切替部材130の連通孔132を通って下方に向けて滴下し、匙体120の受部46で受け取られる。これにより、匙体42に内容物を供給することができる。
【0056】
ここで、
図12に示すように、匙体120を被覆体5内で前進させる過程で、操作部材140が前方に向けてスライド移動すると、案内ピン161が案内溝162内を前方に向けて移動する。具体的に、案内ピン161は、案内溝162のうち、左右方向L2の一方側に位置する部分に沿って前方に向けて移動する。そして、案内ピン161が案内溝162の折り返し部162bに到達した時点で、匙体120の押し込みを解除する。すると、操作部材140は、付勢部材163の復元力によって後方に向けて押し出される。これにより、案内ピン161は、案内溝162のうち、左右方向L2の一方側に位置する部分を折り返し部162bから前端合流部162cに向けて移動する(
図12中のX1)。
【0057】
そして、案内ピン161は、前端合流部162cに到達することで、後方への移動が規制される。さらに、案内ピン161は、前端合流部162cにおいて、段部165を乗り越えることで、左右方向L2の一方側に位置する部分側への移動が段部165によって規制される(
図12中のX2)。これにより、操作部材140は、案内ピン161が折り返し部162bに到達することで、匙体120の前方への移動が規制されるとともに、案内ピン161が前端合流部162cに到達することで、匙体120を受取位置に位置決めできる。すなわち、操作部材140及び案内機構160によって規制手段を構成している。
【0058】
一方、操作部材140(案内ピン161)の規制を解除するには、匙体120を介して操作部材140を再度前方に向けて押し込む。すると、案内ピン161は、案内溝162のうち、左右方向L2の他方側に位置する部分に沿って前方に向けて移動する。そして、案内ピン161が案内溝162の折り返し部162bに到達した時点で、匙体120の押し込みを解除する。すると、操作部材140は、付勢部材163の復元力によって後方に向けて押し出される。そして、案内ピン161は、案内溝162のうち、左右方向L2の他方側に位置する部分を折り返し部162bから後端合流部162aに向けて移動する(
図12中のX3)。これにより、操作部材140が後方に向けてスライド移動するとともに、匙体120が後方に向けて押し出される。
【0059】
なお、案内ピン161は、付勢部材163の付勢力によって前方への移動が規制されるとともに、後端合流部162aにおいて、段部165を乗り越えることで、左右方向L2の他方側に位置する部分側への移動が段部165によって規制される(
図12中のX0)。これにより、操作部材140の前方への移動が規制される。
また、操作部材140が後方に向けてスライド移動する際、切替部材130は、突出片133の下端縁が操作部材140の操作片146の上端縁に摺接しながら、注出器本体104の復元力により下降することで、初期位置(
図7、
図8の位置)に戻るようになっている。
【0060】
その後、匙体120を後方に向けて引っ張ることで、匙体120が差込孔43を通して被覆体5から引き抜かれる。これにより、受部46上に供給された内容物を取り出すことができる。
【0061】
この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、案内機構160によって操作部材140の前後方向L1への移動を案内できるとともに、操作部材140及び匙体120を受取位置で位置決めできる。これにより、一定量の内容物を容易に注出することが可能になるとともに、注出口103aから注出される内容物を匙体120で受け止めやすくなる。
【0062】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。