特許第6226764号(P6226764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226764
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】通信システム及びアクセスポイント
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20171030BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04W8/26 110
   H04W84/12
   H04W92/12
   H04W92/20
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-21308(P2014-21308)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-149601(P2015-149601A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
(72)【発明者】
【氏名】米坂 真司
(72)【発明者】
【氏名】美尾谷 成貴
(72)【発明者】
【氏名】川村 昌史
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−209678(JP,A)
【文献】 特開2004−356945(JP,A)
【文献】 特開2013−258533(JP,A)
【文献】 特表2011−515921(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0264915(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04L 12/00−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末をローカルのIPネットワークに収容する第1アクセスポイントと、レイヤ2ブリッジとしての機能を有し、自装置に無線帰属する無線端末の通信を前記第1アクセスポイントに中継する第2アクセスポイントと、を備える通信システムであって、
前記第1アクセスポイントは、
前記ローカルのIPネットワークとは異なる外部のIPネットワークに接続可能な第1通信部と、
前記無線端末又は前記第2アクセスポイントと無線通信する第1無線通信部と、
前記無線端末又は前記第2アクセスポイントの要求に応じて要求元の前記無線端末又は前記第2アクセスポイントに対してIPアドレスを割り当てる割当部と、
前記割当部によってIPアドレスが割り当てられた前記無線端末又は前記第2アクセスポイントの通信を前記外部のIPネットワークに中継する第1中継部と、
を備え、
前記第2アクセスポイントは、
前記第1アクセスポイントと通信する第2通信部と、
自装置に対する無線端末の帰属を受け付ける第2無線通信部と、
前記無線端末の通信を前記第1アクセスポイントに中継する第2中継部と、
前記第2通信部を介して前記外部のIPネットワークに接続する外部接続部と、
アドレス取得部と、
を備え、
前記アドレス取得部は、前記外部接続部、前記外部のIPネットワークに接続する際、前記第2通信部に対するIPアドレスの割り当てを前記第1アクセスポイントに要求し、
前記第1アクセスポイントの割当部は、前記アドレス取得部の要求に応じて、前記無線端末とは異なるネットワークのIPアドレスを前記第2通信部に対して割り当てる、
通信システム。
【請求項2】
無線端末をローカルのIPネットワークに収容するアクセスポイントであって、
前記ローカルのIPネットワークとは異なる外部のIPネットワークに接続可能な第1通信部と、
レイヤ2ブリッジとしての機能を有し、自身に無線帰属する無線端末の通信を自装置に中継する子アクセスポイント、又は前記無線端末と無線通信する無線通信部と、
前記無線端末又は前記子アクセスポイントの要求に応じて要求元の前記無線端末又は前記子アクセスポイントに対してIPアドレスを割り当てる割当部と、
前記割当部によってIPアドレスが割り当てられた前記無線端末又は前記子アクセスポイントの通信を前記外部のIPネットワークに中継する中継部と、
を備え、
前記割当部は、前記子アクセスポイントの要求に応じて、前記無線端末とは異なるネットワークのIPアドレスを前記子アクセスポイントに対して割り当てる、
アクセスポイント。
【請求項3】
レイヤ2ブリッジとしての機能を有し、自装置に無線帰属する無線端末の通信を、前記無線端末をローカルのIPネットワークに収容する親アクセスポイントに中継するアクセスポイントであって、
前記親アクセスポイントと通信する通信部と、
自装置に対する無線端末の帰属を受け付ける無線通信部と、
前記無線端末の通信を前記親アクセスポイントに中継する中継部と、
前記通信部を介して、前記ローカルのIPネットワークとは異なる外部のIPネットワークに接続する外部接続部と、
アドレス取得部と、
を備え、
前記アドレス取得部は、前記外部接続部、前記外部のIPネットワークに接続する際、前記通信部に対するIPアドレスの割り当てを前記親アクセスポイントに要求する、
アクセスポイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部ネットワークへの接続環境を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅の居住者に無線によるインターネット接続環境を提供するサービス(以下、「無線接続サービス」という。)が行われている。
図13は、無線接続サービスの概要を示す概略図である。
無線端末71〜76は、集合住宅100の居住者が利用する無線端末である。AP90は、無線端末71〜76が無線LAN(Local Area Network)に接続するためのアクセスポイントである。AP90は、ISP(Internet Service Provider)5との間に敷設されたIP(Internet Protocol)網4を介して、ISP5との間でPPP(Point to Point Protocol)接続する。AP90は、ISP5との間でPPPセッションを確立し、PPPトンネル41を形成する。AP90は、PPP接続によりISP5からグローバルIPアドレスを取得する。AP90は、無線端末71〜76とインターネット6との間の通信をNAPT(Network Address Port Translation)により中継する。
【0003】
このような、集合住宅向けの無線接続サービスでは、1つのアクセスポイントによって全ての住戸に十分な電波を伝播させることが困難な場合がある。そのため、1つの集合住宅に複数のアクセスポイントを設置することによって、全ての住戸に対して十分な電波を伝播させることが行われている。
図14は、複数のアクセスポイントを用いた無線接続サービスの概要を示す概略図である。
図14では、親AP91及び子AP92の2つのアクセスポイントが1つの集合住宅100に設置されている。親AP91は自装置に帰属する無線端末とインターネット6との間の通信を中継する。さらに、親AP91は子AP92に帰属する無線端末とインターネット6との間の通信を中継する。子AP92は、親AP91と無線端末との間でレイヤ2ブリッジとして動作し、親AP91と無線端末との間の通信を中継する。これにより、集合住宅100の居住者は、十分な電波が届くアクセスポイントに無線端末を帰属させることにより、良好な接続環境を享受することができる。
【0004】
ところで、無線接続サービスを提供する事業者は、アクセスポイントのメンテナンスを行う必要がある。メンテナンスとは、例えば、アクセスポイントを動作させるためのプログラムを更新する作業である。このようなメンテナンスを人手によって行うには、多くの労力を要する。そのため、情報機器のメンテナンスの負荷を軽減する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
親AP91は、ISP5から付与されたグローバルIPアドレスを使用して、インターネット6上に存在する更新サーバに接続することができる。親AP91は、インターネット6上の更新サーバから更新プログラムを取得し、自装置のプログラムを更新する。そのため、親AP91は、自装置のメンテナンスを自律して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−217656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、レイヤ2ブリッジとして動作するアクセスポイント子機(子AP92)には、WAN(Wide Area Network)側の通信インタフェースに対してIPアドレスが付与されない。そのため、アクセスポイント子機(子AP92)は、外部ネットワーク(インターネット6)上に存在する更新サーバに接続することができず、更新プログラムを取得することができないという問題があった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、アクセスポイント子機が、外部ネットワーク上に存在する更新サーバから更新プログラムを取得することを可能とする通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1の通信装置と第2の通信装置とを備える通信システムであって、前記第1の通信装置は、外部ネットワークに接続可能な第1通信部と、前記第2の通信装置と通信する第2通信部と、前記第2の通信装置の要求に応じてIPアドレスを割り当てる割当部と、前記第2の通信装置と前記外部ネットワークとの間の通信を中継する制御部と、を備え、前記第2の通信装置は、利用者の無線端末と通信する第1通信部と、前記第1の通信装置と通信する第2通信部と、前記無線端末と前記第1の通信装置との間の通信を中継する制御部と、所定のタイミングで前記第1の通信装置から前記IPアドレスを取得する取得部と、前記IPアドレスが取得されると、取得された前記IPアドレスを用いて通信し、所定の処理を実行する実行部と、を備える通信システムである。
【0010】
本発明の一態様は、外部ネットワークに接続可能な第1通信部と、IPアドレスの割り当てを要求する機器と通信する第2通信部と、前記機器に対し、前記機器の種別に応じたアドレス帯から選択されたIPアドレスを割り当てる割当部と、前記IPアドレスが割り当てられた前記機器と前記外部ネットワークとの間の通信を中継する制御部と、を備える通信装置である。
【0011】
本発明の一態様は、要求した無線端末にIPアドレスを割り当てる装置と通信する通信部と、所定のタイミングで前記装置からIPアドレスを取得する取得部と、前記IPアドレスが取得されると、取得された前記IPアドレスを用いて通信し、所定の処理を実行する実行部と、を備える通信装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、アクセスポイント子機が、外部ネットワーク上に存在する更新サーバから更新プログラムを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の通信システム1のシステム構成を示すシステム構成図。
図2】親AP2の機能構成を示す機能ブロック図。
図3】機器管理テーブル241の具体例を示す図。
図4】アドレス範囲テーブル242の具体例を示す図。
図5】アドレス管理テーブル243の具体例を示す図。
図6】子AP3の機能構成を表す機能ブロック図。
図7】更新時刻テーブル331の具体例を示す図。
図8】取得アドレステーブル332の具体例を示す図。
図9】子AP3が起動時に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すフローチャート。
図10】子AP3が起動後に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すフローチャート。
図11】子AP3が起動時に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すシーケンス図。
図12】子AP3が起動後に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すシーケンス図。
図13】無線接続サービスの概要を示す概略図。
図14】複数のアクセスポイントを用いた無線接続サービスの概要を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の通信システム1のシステム構成を示すシステム構成図である。
アクセスポイント親機が、自装置に帰属する無線端末の通信を中継する外部ネットワークには、インターネットやNGN(Next Generation Network)などのネットワークが挙げられる。図1には、外部ネットワークがインターネットである場合の例が示されている。
【0015】
通信システム1は、親AP2及び子AP3−1〜3−3を備える。
親AP2は、無線端末にプライベートIPアドレスを付与し、IP LANに無線端末を収容するアクセスポイントである。親AP2は、IP網4を介してISP5にPPP接続する。親AP2は、ISP5との間でPPPセッションを確立し、PPPトンネル41を形成する。親AP2は、NAPTにより、自装置が収容する無線端末とインターネット6との間の通信を中継する。
また、親AP2は、子AP3−1〜3−3の要求に応じて、子AP3−1〜3−3にプライベートIPアドレスを付与し、IP LANに子AP3−1〜3−3を収容する。親AP2は、NAPTにより、子AP3−1〜3−3とインターネット6との間の通信を中継する。
【0016】
子AP3−1〜3−3は、無線端末と親AP2との間でレイヤ2ブリッジとして動作するアクセスポイントである。子AP3−1〜3−3は、自装置に帰属する無線端末の通信を親AP2に中継する。これにより、子AP3−1〜3−3に帰属する無線端末は、親AP2のIP LANに収容される。なお、親AP2に帰属する子AP3−1〜3−3の台数は、図1と異なる数であってもよい。
【0017】
無線端末7−1〜7−6は、子AP3−1〜3−3に帰属する無線端末である。無線端末7−1及び無線端末7−2は、子AP3−1に帰属している。無線端末7−3及び無線端末7−4は、子AP3−2に帰属している。無線端末7−5及び無線端末7−6は、子AP3−3に帰属している。なお、無線端末7−1〜7−6は、親AP2及び子AP3−1〜子AP3−3のうち、どのアクセスポイントに帰属してもよい。また、子AP3−1〜3−3に帰属する無線端末は、図1と異なる数であってもよい。
【0018】
無線端末8−1及び無線端末8−2は、親AP2に帰属する無線端末である。なお、無線端末8−1及び無線端末8−2は、親AP2及び子AP3−1〜子AP3−3のうち、どのアクセスポイントに帰属してもよい。また、親AP2に帰属する無線端末は、図1と異なる数であってもよい。
【0019】
更新サーバ9は、親AP2及び子AP3−1〜3−3の更新プログラムを保持する、インターネット6上のサーバである。更新プログラムとは、親AP2及び子AP3−1〜3−3の機能を更新するためのプログラムである。更新サーバ9は、親AP2及び子AP3−1〜3−3の要求に応じて更新プログラムを送信する。
【0020】
以下、特に区別しない場合、子AP3−1〜3−3を子AP3と記載する。同様に、無線端末7−1〜7−6を無線端末7と記載する。同様に、無線端末8−1及び無線端末8−2を無線端末8と記載する。
【0021】
図2は、親AP2の機能構成を示す機能ブロック図である。
親AP2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、親AP制御プログラムを実行する。親AP2は、親AP制御プログラムの実行によって、第1通信部21、第2通信部22、第3通信部23、記憶部24、アドレス管理部25及び通信制御部26を備える装置として機能する。
なお、親AP2の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。親AP制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。親AP制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0022】
第1通信部21は、無線LAN等の通信インタフェースを用いて構成される。第1通信部21は、無線端末8との間で通信する。
第2通信部22は、LANや無線LAN等の通信インタフェースを用いて構成される。第2通信部22は、子AP3との間で通信する。
第3通信部23は、LAN等の通信インタフェースを用いて構成される。第3通信部23は、IP網4に接続されISP5との間で通信する。第3通信部23には、ISP5から割り当てられたグローバルIPアドレスが設定される。
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部24は、機器管理テーブル241、アドレス範囲テーブル242及びアドレス管理テーブル243を予め記憶している。また、記憶部24は、リース情報を予め記憶している。リース情報とは、子AP3が、親AP2から割り当てられたIPアドレスを保持する時間を表す情報である。
【0023】
図3は、機器管理テーブル241の具体例を示す図である。
機器管理テーブル241は、子AP3の識別情報を保持するテーブルである。機器管理テーブル241は、機器ID毎に機器管理レコードを有する。機器管理レコードは、機器IDの値を有する。機器IDは子AP3を識別するための情報である。本実施形態では、機器IDにMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。機器管理テーブル241は、予め通信システム1の管理者によって記憶部24に登録される。
【0024】
図4は、アドレス範囲テーブル242の具体例を示す図である。
アドレス範囲テーブル242は、子AP3に割り当てられるIPアドレスの範囲を保持するテーブルである。アドレス範囲テーブル242は、アドレス範囲毎にアドレス範囲レコードを有する。アドレス範囲レコードは、アドレス範囲の値を有する。アドレス範囲は、子AP3に割り当てられるIPアドレスの範囲を表す。アドレス範囲レコードは、予め通信システム1の管理者によって記憶部24に登録される。
【0025】
図5は、アドレス管理テーブル243の具体例を示す図である。
アドレス管理テーブル243は、自装置に帰属する機器に割り当てられているIPアドレスを保持するテーブルである。アドレス管理テーブル243は、機器ID毎にアドレス管理レコードを有する。アドレス管理レコードは、機器ID、割当アドレスの各値を有する。機器IDは、機器管理テーブル241の機器IDと同様である。割当アドレスは、機器IDが示す機器に割り当てられているIPアドレスである。アドレス管理テーブル243は、アドレス管理部25によって更新される。
【0026】
図2の説明に戻る。
アドレス管理部25は、IPアドレス割り当ての要求に応じて、機器管理テーブル241、アドレス範囲テーブル242及びアドレス管理テーブル243を参照し、要求元の機器に割り当てるIPアドレスを選択する。アドレス管理部25は、記憶部24からリース情報を取得する。アドレス管理部25は、選択されたIPアドレス及びリース情報を要求元の機器に送信する。
【0027】
通信制御部26は、第1通信部21を介して無線端末8との間で通信する。通信制御部26は、第2通信部22を介して子AP3との間で通信する。通信制御部26は、子AP3を介して無線端末7との間で通信する。通信制御部26は、第3通信部23を介してISP5にPPP接続し、ISP5との間にPPPトンネル41を形成する。通信制御部26は、PPPトンネル41を介してインターネット6に接続する。通信制御部26は、無線端末7及び無線端末8とインターネット6との間の通信をNAPTにより中継する。
また、通信制御部26は、子AP3のWAN側の通信インタフェースにIPアドレスが割り当てられている場合、子AP3とインターネット6との間の通信をNAPTにより中継する。
【0028】
図6は、子AP3の機能構成を表す機能ブロック図である。
子AP3は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、子AP制御プログラムを実行する。子AP3は、子AP制御プログラムの実行によって、第1通信部31、第2通信部32、記憶部33、アドレス取得部34、更新部35及び通信制御部36を備える装置として機能する。
なお、子AP3の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。子AP制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。子AP制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0029】
第1通信部31は、無線LAN等の通信インタフェースを用いて構成される。第1通信部31は、無線端末7との間で通信する。
第2通信部32は、LANや無線LAN等の通信インタフェースを用いて構成される。第2通信部32は、親AP2との間で通信する。
記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部33は、更新時刻テーブル331及び取得アドレステーブル332を予め記憶している。
【0030】
図7は、更新時刻テーブル331の具体例を示す図である。
更新時刻テーブル331は、子AP3が自装置のメンテナンスを行う時刻を保持するテーブルである。更新時刻テーブル331は、更新時刻毎に更新時刻レコードを有する。更新時刻レコードは、更新時刻の値を有する。更新時刻は、子AP3が自装置のメンテナンスを行う時刻を表す。更新時刻テーブル331には、複数の更新時刻レコードが登録されてもよい。更新時刻テーブル331は、予め通信システム1の管理者によって記憶部33に登録される。
【0031】
図8は、取得アドレステーブル332の具体例を示す図である。
取得アドレステーブル332は、子AP3が親AP2から取得したIPアドレスを保持するテーブルである。取得アドレステーブル332は、1つの取得アドレスレコードを有する。取得アドレスレコードは、取得アドレス及びリース期間の値を有する。取得アドレスは、子AP3が親AP2から取得したIPアドレスを表す。リース期間は、取得アドレスの値が示すIPアドレスを、子AP3が保持する時間を表す。取得アドレステーブル332は、予め通信システム1の管理者によって記憶部33に登録される。取得アドレステーブル332は、アドレス取得部34によって更新される。
【0032】
図6の説明に戻る。
アドレス取得部34は、親AP2にIPアドレスの割り当てを要求する。アドレス取得部34は、割り当てられたIPアドレスと、リース情報とを親AP2から取得する。アドレス取得部34は、割り当てられたIPアドレスをWAN側の通信インタフェースに設定する。WAN側の通信インタフェースは、具体的には、第2通信部32である。アドレス取得部34は、取得されたIPアドレスと、取得されたリース情報が示す時間とを値に持つ取得アドレスレコードを、取得アドレステーブル332に登録する。アドレス取得部34は、登録した取得アドレスレコードのリース期間が示す時間が経過すると、割り当てられたIPアドレスを親AP2に返却し、取得アドレステーブル332から取得アドレスレコードを削除する。
【0033】
通信制御部36は、第1通信部31を介して無線端末7との間で通信する。通信制御部36は、第2通信部32を介して親AP2との間で通信する。通信制御部36は、無線端末7と親AP2との間の通信を中継する。
【0034】
図9は、子AP3が起動時に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すフローチャートである。
図9の処理は、例えば、子AP3が起動された後、レイヤ2ブリッジとしての動作を開始する前のタイミングで実行される。
【0035】
まず、アドレス取得部34が、親AP2に対してIPアドレスの割り当てを要求する(ステップS101)。アドレス取得部34は、親AP2が要求に応答したか否かを判定する(ステップS102)。親AP2が要求に応答しない場合(ステップS102−NO)、ステップS101に戻り、アドレス取得部34は、親AP2に対してIPアドレスの割り当ての要求を繰り返す。
【0036】
一方、親AP2が要求に応答した場合(ステップS102−YES)、アドレス取得部34は、取得されたIPアドレスを自装置の第2通信部32に設定する(ステップS103)。子AP3のWAN側の通信インタフェース(第2通信部32)にIPアドレスが設定されたことにより、子AP3はインターネット6上の更新サーバ9と通信可能になる。
【0037】
更新部35は、更新サーバ9に更新プログラムの有無を問い合わせる(ステップS104)。更新部35は、問い合わせの結果に基づいて、更新プログラムの有無を判定する(ステップS105)。更新プログラムがある場合(ステップS105−YES)、更新部35は、更新サーバ9に更新プログラムの送信を要求する(ステップS106)。更新部35は、更新プログラムの受信が成功したか否かを判定する(ステップS107)。更新プログラムの受信が失敗した場合(ステップS107−NO)、ステップS106に戻り、更新部35は、更新サーバ9に対して更新プログラムの送信の要求を繰り返す。
【0038】
一方、更新プログラムの受信が成功した場合(ステップS107−YES)、更新部35は、自装置のプログラムを更新する(ステップS108)。プログラムの更新が完了すると、アドレス取得部34は、第2通信部32のIPアドレスの設定を解除する(ステップS109)。その後、通信制御部36は、無線端末7の子AP3に対する帰属の要求を受け付ける(ステップS110)。
【0039】
一方、ステップS105において、更新プログラムがない場合(ステップS105−NO)、ステップS109に進み、アドレス取得部34は、第2通信部32のIPアドレスの設定を解除する。その後、通信制御部36は、無線端末7の子AP3に対する帰属の要求を受け付ける。
【0040】
図10は、子AP3が起動後に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すフローチャートである。
図10において、図9と同様の処理については図9と同様の符号を付すことにより説明を省略する。
図10の処理は、例えば、子AP3が起動された後、レイヤ2ブリッジとして動作を開始した後に実行される。
【0041】
まず、更新部35が、更新時刻テーブル331を参照し、更新時刻レコードの更新時刻が示すメンテナンス時刻が到来したか否かを判定する(ステップS201)。メンテナンス時刻が到来していない場合(ステップS201−NO)、ステップS201に戻り、更新部35はメンテナンス時刻の到来を待つ。
【0042】
一方、メンテナンス時刻が到来した場合(ステップS201−YES)、通信制御部36は、無線端末7に対して、帰属の解除を要求する(ステップS202)。無線端末7の帰属が解除されると、子AP3は、図9と同様の処理を実行し、自装置のプログラムを更新する。
【0043】
図11は、子AP3が起動時に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すシーケンス図である。
図9と同様に、図11の処理は、例えば、子AP3が起動された後、レイヤ2ブリッジとしての動作を開始する前のタイミングで実行される。
【0044】
まず、子AP3が、親AP2にIPアドレスの割り当てを要求する(ステップS301)。親AP2は、要求を受け付けると、機器管理テーブル241を参照し、要求を送信した機器のMACアドレスを機器IDの値に持つ機器管理レコードを選択する。機器管理レコードが選択されることにより、親AP2は、要求を送信した機器が子AP3であることを認識する。
【0045】
親AP2は、アドレス範囲テーブル242を参照し、子AP3に割り当てるIPアドレスの範囲を取得する。親AP2は、アドレス管理テーブル243を参照し、機器管理テーブル241に登録されている機器IDの値を持つアドレス管理レコードを選択する。親AP2は、選択されたアドレス管理レコードの割当アドレスの値と重複しないIPアドレスを、取得されたIPアドレスの範囲から1つ選択する(ステップS302)。親AP2は、選択されたアドレス管理レコードの機器IDの値と、選択されたIPアドレスとを値に持つアドレス管理レコードをアドレス管理テーブル243に登録する。親AP2は、選択されたIPアドレスをAP3に応答する(ステップS303)。
【0046】
子AP3は、取得されたIPアドレスを第2通信部32に設定する(ステップS304)。子AP3は、更新サーバ9に更新プログラムの有無を問い合わせる(ステップS305)。更新サーバ9は、更新プログラムの有無を応答する(ステップS306)。子AP3は、更新サーバ9の応答に基づいて、更新の有無を判断する(ステップS307)。更新プログラムがある場合(ステップS307−YES)、子AP3は、更新サーバ9に対して更新プログラムの送信を要求する(ステップS308)。更新サーバ9は、更新プログラムを子AP3に送信する(ステップS309)。
【0047】
子AP3は、受信された更新プログラムを用いて自装置のプログラムを更新する(ステップS310)。子AP3は、プログラムの更新が完了すると、親AP2に対して、割り当てられたIPアドレスの開放を要求する(ステップS311)。親AP2は、要求を受け付けると、要求を送信した機器のMACアドレスの値を有するアドレス管理レコードをアドレス管理テーブル243から削除する。この処理によって、親AP2は、子AP3に割り当てられたIPアドレスを開放する(ステップS312)。親AP2は、子AP3にIPアドレスの開放完了を応答する(ステップS313)。子AP3は、親AP2の応答を受けると、第2通信部32のIPアドレスの設定を解除する(ステップS314)。そして、子AP3は、無線端末7の自装置に対する帰属の要求を受け付ける(ステップS315)。その後、子AP3は、無線端末7と親AP2と間で、レイヤ2ブリッジとして動作する。
【0048】
図12は、子AP3が起動後に自装置のプログラムを更新する処理の流れを示すシーケンス図である。
図12において、図11と同様の処理については図11と同様の符号を付すことにより説明を省略する。
図12の処理は、例えば、子AP3が起動された後、レイヤ2ブリッジとして動作中にメンテナンス時刻が到来したタイミングで実行される。
【0049】
まず、子AP3が、無線端末7に対して、帰属の解除を要求する(ステップS401)。無線端末7は、要求を受け付けると、子AP3への帰属を解除する(ステップS402)。無線端末7は、子AP3への帰属を解除すると、子AP3に対して、帰属の解除完了を応答する(ステップS403)。無線端末7の帰属が解除されると、子AP3は、図11と同様の処理を実行し、自装置のプログラムを更新する。プログラムの更新後、子AP3は、無線端末7の自装置への帰属を受け付け、再び無線端末7と親AP2との間で、レイヤ2ブリッジとして動作する。
【0050】
このように構成された実施形態の通信システム1では、子AP3は、起動時及びメンテナンス時刻の到来時に、親AP2に対してIPアドレスの割り当てを要求する。親AP2は、子AP3の要求に応じて、一時的にプライベートIPアドレスを割り当てる。子AP3は、自装置のWAN側の通信インタフェースに割り当てられたIPアドレスを設定することにより、更新サーバ9に接続可能となり、自立して自装置のメンテナンスを行うことが可能となる。
また、子AP3に割り当てるIPアドレスは、予め設定された専用のアドレス帯から割り当てられるため、子AP3のIPアドレスが無線端末7及び無線端末8と重複することを回避することができる。
また、実施形態の通信システム1では、子AP3は、親AP2とISP5との間のPPPトンネル41を介して更新サーバ9に接続する。これによって、子AP3がISP5との間でPPPトンネルを形成する必要がなくなり、子AP3のメンテナンスに伴うコストを低減することができる。
また、本発明を応用することにより、子AP3は、インターネット6との間の通信を必要とする様々な処理を自立して行うことが可能となる。
【0051】
<変形例>
親AP2と子AP3とは、無線によって接続されてもよいし、レイヤ2スイッチを介して有線接続されてもよい。
アドレス範囲テーブル242には、ネットワークアドレスが登録されてもよい。
【0052】
上述した実施形態における通信システム1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…通信システム, 2…親AP, 21…第1通信部, 22…第2通信部, 23…第3通信部, 24…記憶部, 241…機器管理テーブル, 242…アドレス範囲テーブル, 243…アドレス管理テーブル, 25…アドレス管理部, 26…通信制御部 3、3−1〜3−3…子AP, 31…第1通信部, 32…第2通信部, 33…記憶部, 331…更新時刻テーブル, 332…取得アドレステーブル, 34…アドレス取得部, 34…更新部, 36…通信制御部, 4…IP(Internet Protocol)網, 41…PPP(Point to Point Protocol)トンネル, 5…ISP(Internet Service Provider), 6…インターネット, 7、7−1〜7−6…無線端末, 8、8−1〜8−2…無線端末, 9…更新サーバ
図1
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